
文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として損傷、破壊等の脅威から保護し、保存するための国際的な協力及び援助の体制を確立することを目的とし、(1)保護の対象は、記念工作物、建造物群、遺跡、自然の地域等で普遍的価値を有するもの(第1~3条)、(2)締約国は、自国内に存在する遺産を保護する義務を認識し、最善を尽くす(第4条)、また、自国内に存在する遺産については、保護に協力することが国際社会全体の義務であることを認識する(第6条)、(3)「世界遺産委員会」(委員国は締約国から選出)の設置(第8条)、同委員会は、各締約国が推薦する候補物件を審査し、その結果に基づいて「世界遺産一覧表」を作成するほか、締約国の要請に基づき、同一覧表に記載された物件の保護のための国際的援助の供与を決定する。同委員会の決定は、出席しかつ投票する委員国の三分の二以上の多数による議決で行う(第11条,第13条)、(4)締約国の分担金(ユネスコ分担金の1%を超えない額(我が国の場合,2017年は約3,500万円)及び任意拠出金,その他の寄付金等を財源とする、「遺産」のための「世界遺産基金」を設立(第15条,第16条)、(5)「世界遺産委員会」が供与する国際的援助は、調査・研究、専門家派遣、研修、機材供与、資金協力等の形をとる(第22条)、(6)締約国は,自国民が「遺産」を評価し尊重することを強化するための教育・広報活動に努める(第27条)などを規定しています。
2021年(令和3)7月末現在で、締約国数は194ヶ国で、エジプトのピラミッド、中国の万里の長城、米国のグランドキャニオン国立公園など合計1,154件が世界遺産リストに登録(文化遺産:897件、自然遺産:218件、複合遺産:39件)されました。日本では、1993年(平成5)12月に、「法隆寺地域の仏教建造物」(奈良県生駒郡斑鳩町)「姫路城」(兵庫県姫路市)、古都京都の文化財登録(京都府、滋賀県)の3件が登録されたのを最初として、順次増やされていき、2021年末現在で25件(文化遺産:20件、自然遺産:5件)が登録されています。
以下に、「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」の日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。