ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

タグ:GHQ

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 今日は、昭和時代前期の1945年(昭和20)に、アメリカ軍の先遣隊が厚木基地に上陸し、横浜に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)本部を置いた日です。
 連合国軍最高司令官総司令部(れんごうこくぐんさいこうしれいかんそうしれいぶ)は、太平洋戦争後の1945年(昭和20)に、連合国軍が日本を占領・管理するための最高司令部として設置したるので、英語名をGeneral Headquarters, the Supreme Commander for the Allied Powersと言い、GHQと略称で呼ばれました。
 8月14日に、日本が「ポツダム宣言」を受諾して降伏すると同時に、連合国の同意の下にアメリカのマッカーサー元帥が連合国軍最高司令官に任命され、8月28日にアメリカ軍の先遣隊が厚木基地に上陸し、横浜に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)本部が設置されます。8月30日に、マッカーサーが厚木基地に到着し、9月2日には、東京湾上の戦艦ミズーリ号で降伏文書の調印が行われ、連合軍による日本占領が急展開しました。
 10月には、東京日比谷の第一相互ビル(現在の第一生命ビル)にGHQが移動、幕僚各局や民政局(GS)・経済科学局(ESS)・民間情報教育局(CIE)・天然資源局(NRS)などが設置され、これに極東国際軍事裁判所・国際検事局などが付設されます。日本政府は、9月20日に緊急勅令「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件」を公布し、占領行政に関して法律に代わる勅令(いわゆるポツダム勅令)を出してGHQの指令を実施しました。
 1946年(昭和21)に政策決定機関として極東委員会、司令官の諮問機関として対日理事会が設置され、極東委員会の下にGHQがあり、米・英・ソ・中からなる対日理事会に諮問することが定められたものの、実質的には、GHQはアメリカ単独で組織され、アメリカの意向に添った政策が実施され、絶大な権限を行使します。1951年(昭和26)、朝鮮戦争に関して、マッカーサーがトルーマン米大統領と衝突して解任され、M・B・リッジウェーリッジウェーにひき継がれました。
 しかし、1952年(昭和27)4月28日の「サンフランシスコ講和条約」の発効と同時に廃止されています。

〇連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)関係略年表

<1945年(昭和20)>
・7月26日:連合国が連名で「ポツダム宣言」を発表する
・8月14日:日本政府が「ポツダム宣言」の受諾を通告し、昭和天皇が終戦の詔書を出す
・8月15日:昭和天皇が国民に向けて「ポツダム宣言」の受諾を発表(玉音放送)し、鈴木貫太郎内閣総辞職する
・8月17日:東久邇宮稔彦王内閣成立する
・8月28日:テンチアメリカ陸軍大佐以下150名が横浜に初上陸し、連合国軍本部を設置する
・8月30日:マッカーサー厚木飛行場に降り立ち、横浜税関の建物を接収して太平洋陸軍総司令部(AFPAC)を設置する
・9月2日:日本政府が戦艦ミズーリで降伏文書調印、GHQ指令第一号(陸海軍解体、軍需生産の全面停止等)が出る
・9月8日:連合国軍が、東京を占領後、都内の建物600箇所以上を接収する
・9月10日:「言論及ビ新聞ノ自由ニ関スル覚書」(SCAPIN-16)発令、連合国軍が検閲を開始する
・9月15日:東京・日比谷の第一生命館を接収する
・9月16日:連合国軍本部が横浜から第一生命館に移転する
・9月17日:マッカーサー、東京の本部に入る
・9月18日:朝日新聞への二日間の発行停止を命令(SCAPIN-34)する
・9月19日:言論統制のためのプレスコードが出される
・9月20日:連合国軍最高司令官の法的根拠を定めたポツダム緊急勅令が公布、同日から施行される
・9月22日:放送に対する検閲、ラジオコード(SCAPIN-43)を指令する
・9月27日:昭和天皇、GHQ本部へ行幸。密談が行われる
・10月2日:連合国軍最高司令官総本部(GHQ/SCAP)設置、一般命令第4号により「民間情報教育局」が米太平洋陸軍総司令部(GHQ/USAFPAC)より移行する
・10月4日:自由の指令(「政治的、公民的及び宗教的自由に対する制限の除去の件(覚書)」、「政治警察廃止に関する覚書」)発令する
・10月9日:東久邇宮内閣総辞職し、幣原内閣が成立する
・10月11日:女性の解放と参政権の授与、労働組合組織化の奨励と児童労働の廃止、学校教育の自由化、秘密警察制度と思想統制の廃止、経済の集中排除と経済制度の民主化を指示する
・10月15日:治安維持法の廃止。国内の日本軍、武装解除を完了する
・11月18日:皇族資産凍結の指令する
・12月6日:近衛文麿や木戸幸一など民間人9人の逮捕を命令する
・12月7日:いわゆる農地解放指令(農地の小作人への分配)する
・12月8日:太平洋戰爭史を全国の新聞へ掲載させる
・12月9日:農地改革を指示。眞相はかうだの放送を開始する
・12月15日:神道指令を指示(政教分離等)する
・12月31日:「修身、日本歴史及ビ地理停止ニ関スル件」(覚書)(SCAPIN-519)を発令、修身、国史、地理の授業は中止、教科書は蒐集される

<1946年(昭和21)>
・1月4日:軍人・戦犯・軍国主義者及び同傾向政治家などの公職追放を指示する
・2月:イギリス連邦占領軍が本格的な日本進駐を開始。直ちに中国地方および四国地方の占領任務を、1945年9月より同地に進駐していたアメリカ軍から引き継ぐ
・2月3日:マッカーサー、民政局長コートニー・ホイットニーに自作の憲法案のメモを渡し、憲法モデルを作成するよう命じる
・2月13日:ホイットニー局長、新憲法モデル文章を吉田茂らに見せる
・3月6日:日本政府が、「憲法改正草案要綱」(戦争の放棄、象徴天皇、主権在民)を公表する
・5月3日:極東国際軍事裁判(東京裁判)開廷する
・11月3日:「日本国憲法」が公布される
・12月18日:ワシントンの極東委員会、日本の労働運動16原則を決定(占領目的を阻害する労働運動の禁止)する

<1947年(昭和22)>
・1月31日:マッカーサー、二・一ゼネスト中止命令、伊井、NHKでスト中止を発表(後に占領政策違反で逮捕)する
・5月:総司令部内に賠償局を設置する
・5月:GHQ、日本政府に対し「帝国」の語の使用を禁じる
・5月3日:「日本国憲法」が施行される
・7月11日:マッカーサーの進言により、米国政府が連合国に対し、対日講和会議の開催を提案する
・7月22日:ソ連が米国提案の対日講和会議に反対する

<1948年(昭和23)>
・6月30日:福井地震の被災地救援活動を発表。上空から支援物資の投下、救援列車の編成などが行われる
・11月12日:東京裁判がA級戦犯25人に有罪判決、うち板垣征四郎、木村兵太郎、土肥原賢二、東條英機、広田弘毅、武藤章、松井石根に死刑判決が出る
・11月30日:政令201を受け「国家公務員法」を改正、公務員の団体行動権を否定(労働基本権#日本の公務員の労働基本権)する
・12月8日:民政局次長チャールズ・ケーディス大佐が対日政策転換を阻止するため帰国(昭電事件の余波から逃れる為と噂される)する
・12月18日:GHQ/SCAP、対日自立復興の9原則を発表(対日政策転換。逆コースの始まり)する
・12月23日:東条英機ら旧指導者7人に死刑執行される

<1949年(昭和24)>
・3月1日:GHQ/SCAP経済顧問ジョゼフ・ドッジ、超均衡予算、補助金全廃、復興金融金庫の貸出禁止など、収支均衡予算の編成を指示(ドッジ・ライン)する
・5月3日:帰国中のチャールズ・ケーディス大佐が民政局次長を辞任する
・5月10日:浦和事件の判決の刑期は不当であるという旨のGHQの指摘により行われた国政調査権調査は越権行為であるとして最高裁判所が抗議を申入れる(参議院は裁判官会議によるの申入れが越権行為であると回答)
・9月15日:シャウプ税制使節団、税制の抜本的改編を発表する
・11月1日:米国務省、「対日講和条約について検討中」と声明、講和案に賠償・領土割譲が無いことが報道される。これ以降、国内では西側との「単独講和論」と東側を含めた「全面講和論」が対立(世論調査では全面講和が優位)する

<1950年(昭和25)>
・6月6日:マッカーサー、日本共産党中央委員24名を公職追放する
・6月25日:朝鮮戦争勃発(- 1953年)。アメリカ合衆国軍とイギリス連邦占領軍が大韓民国を支援するため出動し、日本が前線基地となる
・7月8日:マッカーサー、吉田首相に警察力強化(警察予備隊7万5000名の創設と海上保安庁8,000名増員)を求める書簡を送る
・7月24日:GHQ/SCAP、日本共産党幹部逮捕と日本新聞協会代表に共産党員の追放を勧告(レッドパージ)する
・8月10日:警察予備隊令を公布。総理府の機関として、警察予備隊が置かれる
・8月27日:第2次アメリカ教育使節団来日する
・9月14日:米トルーマン大統領、対日講和と日米安全保障条約締結交渉の開始を指令する
・11月24日:米国政府、「対日講和7原則」を発表。日本への請求権放棄と、日本防衛を日米共同で行う旨を明記する

<1951年(昭和26)>
・1月:マッカーサー、日本政府に再軍備の必要性を説く
・4月11日:マッカーサー、朝鮮戦争で中国東北部空爆を巡りトルーマン大統領と対立し更迭(英語版)される
・4月16日:マッカーサーとホイットニーら、アメリカへ帰国。マシュー・リッジウェイ中将が第二代最高司令官に就任(就任後に大将へ昇進)する
・9月8日:サンフランシスコ講和会議で「日本国との平和条約(サンフランシスコ条約)」を調印(ソ連は未署名)、続いて日米安全保障条約に調印する

<1952年(昭和27)>
・2月28日:「日米行政協定」が締結される
・4月28日:「日本国との平和条約(サンフランシスコ条約)」が発効、日本の主権回復に伴い、GHQが解体され、SCAPが廃止される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

718年(養老2)貴族・歌人大伴家持の命日(新暦10月5日)詳細
1253年(建長5)日本の曹洞宗開祖道元の命日(新暦9月22日)詳細
1597年(慶長2)室町幕府第15代将軍だった足利義昭の命日(新暦10月9日)詳細
1886年(明治19)医学者で名古屋大学総長だった勝沼精蔵の誕生日詳細
1899年(明治32)台風による別子大水害が起き、別子銅山で死者513人を出し、大量の鉱毒水が流出する詳細
1923年(大正12)「盲学校及聾唖学校令」(大正12年勅令第375号)が公布(施行は翌年4月1日)される詳細
1967年(昭和42)新潟県、山形県を襲った羽越豪雨(羽越水害)において大きな被害が出る詳細
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GHQhonbu02
 今日は、昭和時代中期の1952年(昭和27)に、「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」が公布・施行され、憲法よりも連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の命令を優先すると定めた、ポツダム命令(政令)が廃止された日です。
 ポツダム命令(ぽつだむめいれい)は、昭和時代前期の1945年(昭和20)9月20日に公布・施行された、「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件(1945年勅令第542号)によって、発令された連合国最高司令官の命令を実施するための勅令(政令)・閣令・省令でした。太平洋戦争後の日本に対する占領統治の特徴は、沖縄は全面的な軍政下に置かれていたものの、本土では占領軍の命令が日本政府に出され、それを責任をもって施行する間接統治ということとなり、そのために出されたものでした。当初は緊急勅令(ポツダム勅令)の形式をとり、「国防保安法廃止等ニ関スル件」、「治安維持法廃止等ノ件」、「治安警察法廃止等ノ件」、「政治犯人等ノ資格回復ニ関スル件」などが出されていますが、1947年(昭和22)5月3日の「日本国憲法」施行後は、「政令」の形式をとり、「ポツダム政令」と呼ばれるよう変わりました。
 その後は、「公職追放令」、「物価統制令」、「団体等規正令」、「占領目的阻害行為等処罰令」などが出されました。この勅令542号は、1952年(昭和27)3月31日公布の「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」(昭和27年法律第81号)によって、「サンフランシスコ平和条約」発効の同年4月28日に失効し、ポツダム命令は消滅することになります。
 以下に、「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件(1945年勅令第542号)と「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」(昭和27年法律第81号)を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ發スル命令ニ關スル件(1945年勅令第542号) 1945年(昭和20)9月20日公布・施行

朕茲ニ緊急ノ必要アリト認メ樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ帝國憲法第八條第一項ニ依リ「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ發スル命令ニ關スル件ヲ裁可シ之ヲ公布セシム

御名御璽
昭和二十年九月二十日

       內閣總理大臣    稔  彥  王
       國 務 大 臣 公爵 近衞  文麿
       海 軍 大 臣    米內  光政
       運 輸 大 臣    小日山直登
       大 藏 大 臣    津島  壽一
       司 法 大 臣    岩田  宙造
       農 林 大 臣    千石興太郞
       國 務 大 臣    緖方  竹虎
       內 務 大 臣    山崎    巖
       商 工 大 臣    中島知久平
       厚 生 大 臣    松村  謙三
       文 部 大 臣    前田  多門
       國 務 大 臣    小畑敏四郞
       陸 軍 大 臣    下村    定
       外 務 大 臣    吉田    茂

勅令第五百四十二號

政府ハ「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ聯合國最高司令官ノ爲ス要求ニ係ル事項ヲ實施スル爲特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ爲シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得

附則

本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

     「ウィキソース」より

〇「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」(昭和27年法律第81号)1952年(昭和27)4月11日公布・施行

法律第八十一号

1 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号。以下「勅令第五百四十二号」という。)は、廃止する。
2 勅令第五百四十二号に基く命令は、別に法律で廃止又は存続に関する措置がなされない場合においては、この法律施行の日から起算して百八十日間に限り、法律としての効力を有するものとする。
3 この法律は、勅令第五百四十二号に基く命令により法律若しくは命令を廃止し、又はこれらの一部を改正した効果に影響を及ぼすものではない。

附 則
1 この法律は、日本国との平和条約の最初の効力発生の日から施行する。
2 この法律施行のための経過的規定その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

     「ウィキソース」より

☆ポツダム命令(政令)一覧

<1945年(昭和20)>

・568 國防保安法廢止等ニ關スル件
・575 治安維持法廢止等ノ件
・576 要塞地帶法廢止等ノ件
・577 金、銀又ハ白金ノ取引等取締ニ關スル件
・578 金、銀又ハ白金ノ地金又ハ合金ノ輸入ノ制限又ハ禁止等ニ關スル件
・604 軍事特別措置法廢止等ニ關スル件
・605 臨時郵便取締令廢止ノ件
・615 外國爲替管理法ノ罰則ノ特例ニ關スル件
・634 兵役法廢止等ニ關スル件
・635 要求物資使用収用令
・636 土地工作物使用令
・638 治安警察法廢止等ノ件
・641 住宅緊急措置令
・643 軍馬資源保護法廢止等ニ関スル件
・653 昭和十三年法律第三十號廢止等ニ關スル件
・655 昭和二十年勅令第五百七十八號中改正ノ件
・656 外國爲替資產等ノ分離保管ノ件
・657 會社ノ解散ノ制限等ノ件
・658 第一復員裁判所及第二復員裁判所令
・718 宗敎團體法等廢止ノ件
・719 宗敎法人令
・730 政治犯人等ノ資格囘復ニ關スル件
・731 衆議院議員選擧人名簿ノ特例ニ關スル件

<1946年(昭和21)>

・33 国際的協定又ハ国際的契約ノ禁止等ニ關スル件
・43 厚生年金保険法等中改正ノ件
・52 有毒飲食物等取締令
・53 工業所有権法戦時特例中改正ノ件
・68 恩給法ノ特例ニ關スル件
・70 宗教法人令中改正ノ件
・71 官国幣社経費ニ関スル法律等廃止ノ件
・81 地方団体ノ吏員等連合国最高司令官ノ命令ニ基キ退職シタルトキノ退隠料等ヲ受クルノ資格又ハ権利ノ喪失等ニ関スル件
・82 永楽土地建物株式会社ノ財産ノ取引ノ制限等ノ件
・96 衆議院議員選挙法第百一条ノ三及第百四条ノ規定ノ適用ニ関スル件
・101 政党、協会其ノ他ノ団体ノ結成ノ禁止等ニ関スル件
・105 戦争終結後復員シタル陸海軍ノ軍人等ニ対シ支給シタル退職賞与金ノ国庫返納ニ関スル件
・109 就職禁止、退官、退職等ニ関スル件
・110 臨時軍事費特別会計ノ終結ニ關スル件
・112 軍人及軍属ニ交付セラレタル賜金国庫債券ヲ無効トスルコトニ関スル件
・116 退職手当金、年金其ノ他此等ニ準ズベキ利益ノ給付ノ制限ニ関スル件
・118 物価統制令
・126 都会地転入抑制緊急措置令
・139 臨時船舶管理法中改正等ニ関スル件
・142 国有財産法中改正等ノ件
・143 昭和二十年勅令第六百五十七号会社ノ解散ノ制限等ノ件中改正ノ件
・144 臨時肥料配給統制法中改正等ニ関スル件
・146 昭和十三年法律第八十四號大東亞戰爭ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及被選擧權等ニ關スル法律中改正等ノ件
・148 会計法戦時特例中改正等ノ件
・161 昭和十八年法律第八十八號陪審法ノ停止ニ關スル法律中改正ノ件
・188 昭和二十一年勅令第三十三号国際的協定又ハ国際的契約ノ禁止等ニ關スル件中改正ノ件
・233 持株会社整理委員会令
・243 会社配当等禁止制限令
・262 日本通運株式会社法中改正等ノ件
・263 教職員ノ除去、就職禁止及復職等ノ件
・266 昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く傷兵院法を廃止する勅令
・273 民事裁判権の特例に関する勅令
・274 刑事裁判権等の特例に関する勅令
・275 臨時貴金属数量等報告令
・277 関税法の罰則等の特例に関する勅令
・278 陸軍軍法會議法、海軍軍法會議法及第一復員裁判所及第二復員裁判所令廢止ニ關スル件
・282 昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く都会地転入抑制緊急措置令の一部を改正する勅令
・283 軍需金融等特別措置法等の一部を改正する勅令
・284 同年勅令第六百三十四号兵役法廢止等ニ關スル件中改正ノ件
・285 復員官署ニ於テ運航スル船舶ニシテ復員又ハ掃海ニ使用スルモノノ乗員ニ付船員法等ノ一部準用ノ件
・286 特定財産管理令
・288 臨時建築制限令
・294 聯合国財産の返還等の件
・298 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く住宅緊急措置令の一部を改正する勅令
・300 銃砲等所持禁止令
・304 昭和二十一年勅令第六十八号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く恩給法の特例に関する勅令)の一部を改正する勅令
・306 昭和二十一年勅令第百九号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く就職禁止、退官、退職等に関する件)の一部を改正する勅令
・307 昭和二十一年勅令第百九号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く就職禁止、退官、退職等に関する件)の一部を改正する勅令
・311 聯合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令
・312 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く昭和二十一年勅令第百一号(政党、協会その他の団体の結成の禁止等に関する勅令)の一部を改正する勅令
・325 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く有毒飲食物等取締令の一部を改正する勅令
・328 貿易等臨時措置令
・329 閉鎖機関に関する債権の時効等の特例に関する勅令
・330 交易営団解散令
・382 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く物価統制令の一部を改正する勅令
・384 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き銃砲等所持禁止令の一部を改正する勅令
・418 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き昭和二十一年勅令第八十二号永楽土地建物株式会社の財産の取引の制限等に関する勅令を廃止する勅令
・421 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き戸籍法の一部を改正する勅令
・434 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き銃砲等所持禁止令の一部を改正する勅令
・442 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き、都会地転入抑制緊急措置令の一部を改正する勅令
・443 地代家賃統制令
・446 重要産業団体令を廃止する等の勅令
・452 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く昭和二十年法律第四十四号国家総動員法及び戦時緊急措置法廃止法律の一部を改正する勅令
・456 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き、臨時貴金属数量等報告令の一部を改正する等の勅令
・475 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き昭和二十一年勅令第二百七十三号民事裁判権の特例に関する勅令の一部を改正する勅令
・516 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き臨時貴金属数量等報告令の一部を改正する勅令
・529 漁業法の罰則の特例に関する勅令
・540 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き、昭和二十一年勅令第九十六号衆議院議員選挙法第百一条ノ三及び第百四条の規定の適用に関する件の一部を改正する勅令
・562 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く船舶保護法の廃止等に関する勅令
・563 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く東亜海運株式会社の解散に関する勅令
・564 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く軍用電気通信法等を廃止する勅令
・567 会社の証券保有制限等に関する勅令
・570 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基き昭和二十一年勅令第三百十二号(同年勅令第百一号政党、協会その他の団体の結成に関する件の一部を改正する勅令)の一部を改正する勅令
・571 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基き都会地転入抑制緊急措置令の一部を改正する勅令
・576 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き昭和二十一年勅令第二百七十七号関税法の罰則等の特例に関する勅令の一部を改正する勅令
・592 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基き持株会社整理委員会令の一部を改正する勅令
・634 日本銀行に対する外国通貨等の引渡に関する勅令

<1947年(昭和22)>

・1 公職に関する就職禁止、退官、退職等に関する勅令を改正する勅令
・3 市町村長の立候補禁止等に関する勅令
・4 町内会部落会又はその連合会の長の選挙に関する勅令
・9 婦女に賣淫をさせた者等の処罰に関する勅令
・21 会社の証券保有制限等に関する件の一部を改正する勅令
・27 地代家賃統制令の一部を改正する勅令
・36 連合国人の特許発明等の実施状況調査に関する勅令
・45 臨時建築制限令を廃止する勅令
・46 連合国財産の返還等に関する件の一部を改正する勅令
・48 会社の証券保有制限等に関する件の一部を改正する勅令
・61 昭和二十二年勅令第一号(公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令) の特例に関する勅令
・65 昭和二十二年勅令第一号の規定による覚書該当者の指定の解除の訴願に関する勅令
・67 町内会部落会又はその連合会の長の選挙に関する勅令の廃止に関する勅令
・74 閉鎖機関令
・75 閉鎖機関整理委員会令
・77 公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令の一部を改正する勅令
・82 都会地転入抑制緊急措置令の一部を改正する勅令
・84 政党、協会その他の団体の結成の禁止等に関する勅令の一部を改正する勅令
・109 国家総動員法及び戦時緊急措置法を廃止する法律の一部を改正する勅令
・133 物価統制令の一部を改正する勅令
・171 肥料配給公団令
・207 外國人登錄令

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1782年(天明2)儒学者・教育者・漢詩人広瀬淡窓の誕生日(新暦5月22日)詳細
1868年(慶応4)[閏]会津藩・庄内藩赦免を求めるため、奥羽25藩の代表による白石列藩会議が始まる(新暦5月3日)詳細
1919年(大正8)「ベルサイユ条約」によって、国際連盟に国際労働機関(ILO)が設立される詳細
1925年(大正14)陸軍現役将校学校配属令」が発せられ、中学校以上の公立学校で軍事教練開始詳細
1952年(昭和27)「夏時刻法を廃止する法律」(昭和27年法律第84号)が公布・施行され、夏時間が廃止される詳細
1967年(昭和42)「日本近代文学館」が開館する詳細
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 今日は、昭和時代前期の連合国軍占領下、1945年(昭和20)に、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)から、「救済配給のために保管されている予備物資に関する覚書」が出された日です。
 GHQ「救済配給のために保管されている予備物資に関する覚書」(じーえいちきゅーきゅうさいはいきゅうのためにほかんされているよびぶっしにかんするおぼえがき)は、昭和時代前期の太平洋戦争敗戦後の連合国軍占領下で、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)によって、1945年(昭和20)11月22日に発令された、連合国最高司令官指令第333号(SCAPIN-333)のことでした。日本政府に対し、主要な食材と衣料品のすべての在庫の詳細な目録を提供するよう指示し、各都道府県内の正確な位置と、食材と衣料品の配布計画を示したものです。
 政府の保管している予備物資が、横領・横流しなどで散逸するのを防止し、国民の為の救済配給に確実に回されるようにするために、講じられた措置でした。その後、この指令は、同年11月26日のGHQ「救援物資の配布のために保管されている予備物資に関する覚書」(SCAPIN-352)により更新されています。
 以下に、GHQ「救援物資の配布のために保管されている予備物資に関する覚書」(SCAPIN-352)の原文と日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇GHQ「救済配給のために保管されている予備物資に関する覚書」1945年(昭和20)11月22日GHQ指令

GENERAL HEADQUARTERS
RESERVE SUPPLIES HELD FOR RELIEF DISTRIBUTION

AG 400 (22 Nov 45) PH    22 November 1945
(SCAPIN-333) 

MEMORANDUM FOR:IMPERIAL JAPANESE GOVERNMENT.
THROUGH:Central Liaison Office, Tokyo.
SUBJECT:Reserve supplies Held for Relief Distribution.

1. Receipt is acknowledged of your memorandum, file number 372, dated 26 October 1945 on the subject of materials, supplies and equipment to be turned over to the Imperial Japanese Government by the Allied Forces.
2. The Imperial Japanese Government will furnish this headquarters without delay a detailed inventory of all stocks of staple foodstuffs and clothing listed in paragraph 3 (1) and 3 (2) of memorandum number 372, showing their exact location within each prefecture.
3. Prior to the distribution of any of the listed foodstuffs and clothing, and before 15 December 1945 a distribution plan will be submitted by the Imperial Japanese Government to this headquarters for approval. This plan will make provision for:
a. Control of relief distribution to be exercised by a central agency operating through prefectural governments.
b. A social welfare agency in each prefecture staffed by perfonnel selected for their training and skill in the handling of welfare problems, and specifically not for their present or former military or naval status;
c. Eligibility for receipt of relief supplies based only upon individual need determined by family budgetary deficiency:
d. Prevention of the use of supplies in mass feeding or distribution schemes without specific authority from this headquarters;
e. Issuance of relief supplies without cost to the recipient;
f. The maintenance of a record for each family to whom supplies are issued containing necessary identifying data;
g. Distribuiion through normal ration channels by withdrawal authorizations issued by the Social Welfare Agency.
h. Local accounting based upon the individual record (item f.) and individual withdrawal authorizations (item g.)
i. Submission by the central agency to this headquarters of a monthly report in metric weights showing by prefecture.
(1) Amount of supplies by item on hand at beginning of each month.
(2) Supplies added to stock during the month by source.
(3) Supplies withdrawn during the month indicating amount issued free to needy persons and amount withdrawn for other reasons (such as spoilage and transfer)
(4) Amount of each item on hand at end of the month.
(5) Number of families, and persons (dependants) represented in those families, to whom supplies were issued during the month.
(6) Totals of above items for all prefectures.

   FOR THE SUPREME COMMANDER:
       H.W.ALLEN,
       Colonel, A.G.D.,
       Asst Adjutant General.

      「国立国会図書館デジタルコレクション」よりGENERAL HEADQUARTERS

<日本語訳>

救済配給のために保管されてゐる予備物資に関する覚書

一九四五年一一月二二日

1. 連合国軍より日本帝国政府に引渡されるべき資材、需品及び裝備の件に関する一九四五年一〇月二六日附貴政府覚書第三七二号を受領した。
2. 日本帝国政府は、覚書第三七二号の第三項(1)及び第三項(2)に列記されてゐる主要食糧及び衣料の一切の在庫につきその詳細目録を遲滯なく本司令部に提出しなければならない。尚これには各府県內に於ける正確な所在地をも示すことを要する。
3. 列記された食料及び衣料の配給に先立ち、又一九四五年一二月一五日以前に、配分計画案が日本帝国政府より本司令部に提出され承認を受けることを要する。この計画案は以下各項を規定しなければならない。
a. 府県庁を通じて運用される中央機関による救済配給の統制管理
b. 特に現在の又は従来の陸海軍に於ける地位のためではなく、厚生関係諸問題の処理に於ける訓練と技量のために選ばれた人員を職員とする各府県社会厚生機関
c. 家庭予算の不足によつて決定される個人的必要のみを基礎とした救済物資受給資格
d. 物資の多数給食に使用されることの防止、及び本司令部の特定認可なき配給予定計画の防止
e. 受給者に入費をかけざる救済物資の配布
f. 物資の配給を受けた各家庭に対する記録の保存、これには必要な確認資料を含むこと
g. 社会厚生機関によつて発行された引取認可による正常配給機構を通ずる配給
h. 個々の記録(f項)と個々の引取認可(g項)を基礎とした各地方の詳細報吿
i. 府県別に以下の各項を示すメートル屯単位による月次報吿の中央機関による当司令部への提出
(1) 各月頭初に於ける手持物資の項目別数量
(2) 補給源別にその月中に在庫に追加された物資
(3) 無料で窮民に配布された量及びその他の理由(例へば腐敗及び移動等で引取られた量を示すその月中の引取物資)
(4) 月末手持の各項目の数量
(5) その月中に物資の配布を受けた家族数及びそれら家族に表はされてゐる個人(家族員)員数
(6) 全府県に対する上記項目の総計

   『日本管理法令研究』12巻より

 ※旧字を新字に直してあります。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1724年(享保9)浄瑠璃・歌舞伎作者近松門左衛門の命日(新暦1725年1月6日)詳細
1917年(大正6)江戸幕府15代将軍・公爵徳川慶喜の命日詳細
1941年(昭和16)「国家総動員法」第5条に基づいて、「国民勤労報国協力令」が交布(施行は同年12月1日)される詳細
1944年(昭和19)米・英・中首脳による日本の戦後処理についてのカイロ会談が始まる詳細
1945年(昭和20)「農地制度改革ニ関スル件」が閣議決定される詳細
1969年(昭和44)「沖縄返還に関する屋良朝苗琉球政府主席声明」が出される詳細
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 今日は、昭和時代中期の1950年(昭和25)‎に、連合国最高司令官総司令部(GHQ)が自衛隊の前身となる警察予備隊の創設及び海上保安庁の増員を求める吉田茂首相宛の「日本警察力増強に関する書簡」を送った日です。
 警察予備隊(けいさつよびたい)は、朝鮮戦争開始直後の1950年(昭和25)7月8日‎に、在日アメリカ軍が出動した空白を埋めるために、連合国軍最高司令官マッカーサー元帥が、吉田茂首相宛に発した「日本警察力増強に関する書簡」に基づき、同年8月10日に「警察予備隊令」(昭和25年政令第260号)を制定して設置された機関でした。首相に直属し、国内の秩序維持のため警察力を補うものとされ、全国で定員7万5千人の募集が行われましたが、実質的には小型陸軍の建設を目ざしたもので、再軍備の第一歩とされています。
 その後、1952年(昭和27)に、「保安庁法」により保安隊に改編され、1954年(昭和29)には、「自衛隊法」により自衛隊となりました。
 以下に、「警察予備隊令」(昭和25年政令第260号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「警察予備隊令」(けいさつよびたいれい)とは?

 昭和時代中期の1950年(昭和25)8月10日に公布・施行された、連合国軍最高司令官マッカーサー元帥が発した日本警察力増強に関する書簡に基づいた、いわゆるポツダム政令の一つで、「旧警察法」に基づいて制定され、警察予備隊を設置するものです。1950年(昭和25)6月25日に勃発した朝鮮戦争において、アメリカ軍は日本駐留部隊を朝鮮半島に出動させることとなり、それをどう補うかが課題となり、日本政府に対し、日本警察力増強に関する書簡を送ることとなりました。
 それに基づいて制定されましたが、その目的は、「わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うため」(第1条)とされたものの、総理府に属して内閣総理大臣に直属し、装備・訓練は米軍に依存し、定員7万5,000名で実質的には小型陸軍の建設を目ざしたもので、再軍備の第一歩とされてきました。
 その後、1952年(昭和27)に、「保安庁法」により保安隊に改編され、1954年(昭和29)には、「自衛隊法」により自衛隊となっています。

☆「警察予備隊令」 (全文)  1950年(昭和25)8月10日公布・施行 

警察予備隊令 (政令第260号)

警察予備隊令をここに公布する。
 御名御璽

 昭和二十五年八月十日
              内閣総理大臣 吉田  茂

政令第二百六十号 
 警察予備隊令内閣は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号)に基き、この政令を制定する。

 (目的)
 第一條 この政令は、わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うため警察予備隊を設け、その組織等に関し規定することを目的とする。 

 (設置)
 第二條 総理府の機関として警察予備隊を置く。 

 (任務)
 第三條 警察予備隊は、治安維持のため特別の必要がある場合において、内閣総理大臣の命を受け行動するものとする。 
 2 警察予備隊の活動は、警察の任務の範囲に限られるべきものであつて、いやしくも日本国憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉にわたる等その権能を濫用することとなつてはならない。 
 3 警察予備隊の警察官の任務に関し必要な事項は、政令で定める。 

 (定員)
 第四條 警察予備隊の職員の定員は、七万五千百人とし、うち七万五千人を警察予備隊の警察官とする。 

 (組織)
 第五條 警察予備隊に、本部及び部隊その他所要の機関を置く。 

 (本部の組織)
 第六條 本部に、長官官房[1]の外、警務局、人事局、裝備局、経理局及び医務局を置く。 

 (長官及び次長)
 第七條 本部に、長官及び次長各一人を置く。 
 2 長官は、内閣総理大臣が任命する。 
 3 長官の任免は、天皇が認証する。 
 4 長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、警察予備隊の長として隊務を統轄する。 
 5 次長は、長官の職務を助ける。 

 (職員の人事管理)
 第八條 警察予備隊の職員の職は、特別職とする。 
 2 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三章第六節(第三款を除く。)及び第七節の規定並びにこれらの規定に関する罰則の規定は、前項の職員に準用する。この場合において、これらの規定中「人事院」とあるのは「内閣総理大臣」と、「人事院規則」とあるのは「総理府令」と読み替えるものとする。 
 3 警察予備隊の職員に対する恩給法(大正十二年法律第四十八号)、国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)及び国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律(昭和二十五年法律第百四十二号)の適用については、政令で特別の定をすることができる。 
 4 前三項に定めるものを除くの外、警察予備隊の職員の階級、任免、昇任、給與、服制その他人事に関する事項については、政令で定める。 

 (内閣総理大臣の権限の代行)
 第九條 内閣総理大臣は、特に必要があると認める場合においては、この政令に基きその権限に属する事務を、他の国務大臣に行わせることができる。 

 (組織編成等の細目)
 第十條 この政令に定めるものを除くの外、警察予備隊の組織編成その他必要な事項については、総理府令で定める。 

 附 則
 1 この政令は、公布の日から施行する。 
 2 昭和二十五年度に限り、内閣は、一般会計予算における国債費の金額のうち二百億円を、警察予備隊に必要な経費に移用する。 
 3 昭和二十五年度内における契約等に因り支出の義務を生じ、当該年度内に支出を終らなかつた経費の金額は、翌年度に繰り越して使用することができる。 
 4 内閣総理大臣は、当分の間、国家地方警察の機関をして、警察予備隊の事務の一部を取り扱わせることができる。 
 5 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。 
 第十六條の二の次に、次の一條を加える。第十六條の三 総理府の機関として警察予備隊を置く。2 警察予備隊は、わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するため、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うものとして設置される機関とする。3 警察予備隊の組織及び所掌事務については、警察予備隊令(昭和二十五年政令第二百六十号)の定めるところによる。
 6 労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)及び労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)並びにこれらの法律に基いて発せられる命令は、警察予備隊の職員には適用しない。 

               内閣総理大臣 吉田  茂
               法務総裁   大橋 武夫
               大蔵大臣   池田 勇人

  「ウイキソース」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1588年(天正16)豊臣秀吉が「刀狩り令」を布告する(新暦8月29日)詳細
1783年(天明3)浅間山天明大噴火が起きる(新暦8月5日)詳細
1908年(明治41)日本画家・著述家東山魁夷の誕生日詳細
1912年(明治45)日本とロシアとの間で、「第三次日露協約」が締結される詳細
1939年(昭和14)「国民徴用令」(勅令第451号)が公布される詳細
1955年(昭和30)日本住宅公団を設立するための「日本住宅公団法」(昭和30年法律第53号)が公布される詳細
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 今日は、昭和時代中期の戦後占領下、1946年(昭和21)に、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が、「改正憲法草案(マッカーサー草案)」を日本政府に手交した日です。
 「改正憲法草案(マッカーサー草案)」(かいせいけんぽうそうあん)は、太平洋戦争後の憲法改正に関して、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)から日本本政府に手交された憲法の改正草案でした。日本が敗戦に当たって受諾した「ポツダム宣言」の第6条「日本国国民を欺瞞し、之をして世界征服の挙に出づるの過誤を犯さしめたる者の権力及び勢力は、永久に除去せられざるべからず」に基づき、日本の民主化の措置が進められる中で、「大日本帝国憲法」の改正も動き出します。
 憲法問題調査委員会が設置され、調査・審議を経て、1945年(昭和20)12月8日には、いわゆる「松本四原則」(①天皇が統治権を総覧するという原則には変更を加えない、②議会の権限を拡大し、その結果として大権事項を制限する、③国務大臣の責任を国務の全般にわたるものたらしめ、国務大臣は議会に対して責任を負うものとする、④人民の自由・権利の保護を強化し、その侵害に対する救済を完全なものとする)をまとめ、これに基づいて翌年1月には、松本案(いわゆる「甲」案)を作成されました。これに若干の加筆改訂を加え、2月8日に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)へ提出したのが「憲法改正要綱」(松本私案)となります。
 その内容は、国体護持を重視した、それまでの「大日本帝国憲法」の微温的修正にとどまり、天皇主権の原則は維持され、統帥権の独立は否定されたものの軍隊は存続させられており、基本的人権の考え方はなく法律で自由に制限できる「臣民の権利」が保障されるといったものとなりました。しかし、GHQは「ポツダム宣言」の第6条の軍国主義除去の実施には、不十分なものとみなし、受け入れられないことになります。
 当時、民間でも憲法改正論議は活発化し、天皇主権(国体護持)、国家主権(君民同治)、国民主権(天皇象徴化)、人民主権(天皇制廃止)など様々な憲法案が出されていましたが、GHQは2月13日に、「ポツダム宣言」の第6条に沿いつつも、中庸な国民主権(天皇象徴化・戦争放棄・基本的人権確立)を採用した「改正憲法草案(マッカーサー草案)」を日本側に手交しました。それに対し、日本政府は22日に受諾を決定、その後日米双方で検討し、3月6日に「憲法改正草案要綱」が政府発表されるに至ります。
 その後、ひらがな口語体での条文化が進められ、4月17日に、「憲法改正草案」として公表されました。
 以下に、「改正憲法草案(マッカーサー草案)」の英語版原文と日本政府による仮訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「改正憲法草案(マッカーサー草案)」 1946年(昭和21)2月13日手交

<英語版原文>

CONSTITUTION OF JAPAN

We, the Japanese People, acting through our duly elected representatives in the National Diet, determined that we shall secure for ourselves and our posterity the fruits of peaceful cooperation with all nations and the blessings of liberty throughout this land, and resolved that never again shall we be visited with the horrors of war through the action of government, do proclaim the sovereignty of the people's will and do ordain and establish this Constitution, founded upon the universal principle that government is a sacred trust the authority for which is derived from the people, the powers of which are exercised by the representatives of the people, and the benefits of which are enjoyed by the people; and we reject and revoke all constitutions, ordinances, laws and rescripts in conflict herewith.
Desiring peace for all time and fully conscious of the high ideals controlling human relationship now stirring mankind, we have determined to rely for our security and survival upon the justice and good faith of the peace-loving peoples of the world. We desire to occupy an honored place in an international society designed and dedicated to the preservation of peace, and the banishment of tyranny and slavery, oppression and intolerance, for all time from the earth. We recognize and acknowledge that all peoples have the right to live in peace, free from fear and want.
We hold that no people is responsible to itself alone, but that laws of political morality are universal; and that obedience to such laws is incumbent upon all peoples who would sustain their own sovereignty and justify their sovereign relationship with other peoples.
To these high principles and purposes we, the Japanese People, pledge our national honor, determined will and full resources.

CHAPTER I The Emperor

Article I. The Emperor shall be the symbol of the State and of the Unity of the People, deriving his position from the sovereign will of the People, and from no other source.
Article Ⅱ. Succession to the Imperial Throne shall be dynastic and in accordance with such Imperial House Law as the Diet may enact.
Article Ⅲ. The advice and consent of the Cabinet shall be required for all acts of the Emperor in matters of state, and the Cabinet shall be responsible therefor.
The Emperor shall perform only such state functions as are provided for in this Constitution. He shall have no governmental powers, nor shall he assume nor be granted such powers.
The Emperor may delegate his functions in such manner as may be provided by law.
Article IV. When a regency is instituted in conformity with the provisions of such Imperial House Law as the Diet may enact, the duties of the Emperor shall be performed by the Regent in the name of the Emperor; and the limitations on the functions of the Emperor contained herein shall apply with equal force to the Regent.
Article V. The Emperor appoints as Prime Minister the person designated by the Diet.
Article VI. Acting only on the advice and with the consent of the Cabinet, the Emperor, on behalf of the people, shall perform the following state functions:
Affix his official seal to and proclaim all laws enacted by the Diet, all Cabinet orders, all amendments to this Constitution, and all treaties and international conventions;
Convoke sessions of the Diet;
Dissolve the Diet;
Proclaim general elections;
Attest the appointment or commission and resignation or dismissal of Ministers of State, ambassadors and those other state officials whose appointment or commission and resignation or dismissal may by law be attested in this manner;
Attest grants of amnesty, pardons, commutation of punishment, reprieves and rehabilitation;
Award honors;
Receive ambassadors and ministers of foreign States; and
Perform appropriate ceremonial functions.
Article VⅡ. No grants of money or other property shall be made to the Imperial Throne, and no expenditures shall be made by the Imperial Throne, unless authorized by the Diet.

CHAPTER Ⅱ Renunciation of War

Article VⅢ. War as a sovereign right of nation is abolished. The threat or use of force is forever renounced as a means for settling disputes with any other nation.
No army, navy, air force, or other war potential will ever be authorized and no rights of belligerency will ever be conferred upon the State.

CHAPTER Ⅲ Rights and Duties of the People

Article IX. The people of Japan are entitled to the enjoyment without interference of all fundamental human rights.
Article X. The fundamental human rights by this Constitution guaranteed to the people of Japan result from the age-old struggle of man to be free. They have survived the exacting test for durability in the crucible of time and experience, and are conferred upon this and future generations in sacred trust, to be held for all time inviolate.
Article XI. The freedoms, rights and opportunities enunciated by this Constitution are maintained by the eternal vigilance of the people and involve an obligation on the part of the people to prevent their abuse and to employ them always for the common good.
Article XⅡ. The feudal system of Japan shall cease. All Japanese by virtue of their humanity shall be respected as individuals. Their right to life, liberty and the pursuit of happiness within the limits of the general welfare shall be the supreme consideration of all law and of all governmental action.
Article XⅢ. All natural persons are equal before the law. No discrimination shall be authorized or tolerated in political, economic or social relations on account of race, creed, sex, social status, caste or national origin.
No patent of nobility shall from this time forth embody within itself any national or civic power of government.
No rights of peerage except those of the Imperial dynasty shall extend beyond the lives of those now in being. No special privilege shall accompany any award of honor, decoration or other distinction; nor shall any such award be valid beyond the lifetime of the individual who now holds or hereafter may receive it.
Article XIV. The people are the ultimate arbiters of their government and of the Imperial Throne. They have the inalienable right to choose their public officials and to dismiss them.
All public officials are servants of the whole community and not of any special groups.
In all elections, secrecy of the ballot shall be kept inviolate, nor shall any voter be answerable, publicly or privately, for the choice he has made.
Article XV. Every person has the right of peaceful petition for the redress of grievances for the removal of public officials and for the enactment, repeal or amendment of laws, ordinances or regulations; nor shall any person be in any way discriminated against for sponsoring such a petition.
Article XVI. Aliens shall be entitled to the equal protection of law.
Article XVⅡ. No person shall be held in enslavement, serfdom or bondage of any kind. Involuntary servitude, except as a punishment for crime, is prohibited.
Article XVⅢ. Freedom of thought and conscience shall be held inviolable.
Arlicle XIX. Freedom of religion is guaranteed to all. No religious organization shall receive special privileges from the State, nor exercise political authority.
No person shall be compelled to take part in any religious acts, celebrations, rites or practices.
The State and its organs shall refrain from religious education or any other religious activity.
Article XX. Freedom of assembly, speech and press and all other forms of expression are guaranteed. No censorship shall be maintained, nor shall the secrecy of any means of communication be violated.
Article XXI. Freedom of association, movement and choice of abode are guaranteed to every person to the extent they do not conflict with the general welfare.
All persons shall be free to emigrate and to change their nationality.
Article XXⅡ. Academic freedom and choice of occupation are guaranteed.
Article XXⅢ. The family is the basis of human society and its traditions for good or evil permeate the nation. Marriage shall rest upon the indisputable legal and social equality of both sexes, founded upon mutual consent instead of parental coercion, and maintained through cooperation instead of male domination. Laws contrary to these principles shall be abolished, and replaced by others viewing choice of spouse, property rights,inheritance, choice of domicile, divorce and other matters pertaining to marriage and the family from the standpoint of individual dignity and the essential equality of the sexes.
Article XXIV. In all spheres of life, laws shall be designed for the promotion and extension of social welfare, and of freedom, justice and democracy.
Free, universal and compulsory education shall be established.
The exploitation of children shall be prohibited.
The public health shall be promoted.
Social security shall be provided.
Standards for working conditions, wages and hours shall be fixed.
Article XXV. All men have the right to work.
Article XXVI. The right of workers to organize and to bargain and act collectively is guaranteed.
Article XXVⅡ. The right to own property is inviolable, but property rights shall be defined by law, in conformity with the public welfare.
Article XXVⅢ. The ultimate fee to the land and to all natural resources reposes in the State as the collective representative of the people. Land and other natural resources are subject to the right of the State to take them, upon just compensation therefor, for the purpose of securing and promoting the conservation, development, utilization and control thereof.
Article XXIX. 0wnership of property imposes obligations. Its use shall be in the public good. Private property may be taken by the State for public use upon just compensation therefor.
Article XXX. No person shall be apprehended except upon warrant issued by a competent officer of a court of law specifying the offense upon which the person is charged, unless he is apprehended while committing a crime.
Article XXXI. No person shall be arrested or detained without being at once informed of the charges against him nor without the immediate privilege of counsel; he shall not be held incommunicado; he shall not be detained without adequate cause; and upon demand of any person such cause must be immediately shown in open court in his presence and the presence of his counsel.
Article XXXⅡ. No person shall be deprived of life or liberty, nor shall any criminal penalty be imposed, except according to procedures established by the Diet, nor shall any person be denied the right of appeal to the courts.
Article XXXⅢ. The right of the people to be secure in their persons, homes, papers and effects against entries, searches and seizures shall not be impaired except upon judicial warrant issued only for probable cause, and particularly describing the place to be searched and the person or things to be seized.
Each search or seizure shall be made upon separate warrant issued for the purpose by a competent officer of a court of law.
Article XXXIV. The infliction of torture by any public officer is absolutely forbidden.
Article XXXV. Excessive bail shall not be required, nor cruel or unusual punishments inflicted.
Article XXXVI. In all criminal cases the accused shall enjoy the right to a speedy and public trial by an impartial tribunal.
He shall be permitted full opportunity to cross-examine all witnesses, and he shall have the right of compulsory process for obtaining witnesses on his behalf at public expense.
At all times the accused shall have the assistance of competent counsel who shall, if the accused be unable to secure the same by his own efforts, be assigned to his use by the government.
Article XXXVⅡ. No person shall be declared guilty of a crime except by a court of competent jurisdiction.
No person shall be twice placed in jeopardy for the same offense.
Article XXXVⅢ. No person shall be compelled to testify against himself.
No confession shall be admitted in evidence if made under compulsion, torture or threat, or after prolonged arrest or detention.
No person shall be convicted or punished in cases where the only proof against him is his own confession.
Article XXXIX. No person shall be held criminally liable for an act lawful at the time it was committed.

CHAPTER IV The Diet

Article XL. The Diet shall be the highest organ of state power and shall be the sole law-making authority of the State.
Article XLI. The Diet shall consist of one House of elected representatives with a membership of not less than 300 nor more than 500.
Article XLⅡ. The qualifications of electors and of candidates for election to the Diet shall be determined by law, and in determining such qualifications there shall be no discrimination because of sex, race, creed, color or social status.
Article XLⅢ. Members of the Diet shall receive adequate compensation from the national treasury as determined by law.
Article XLIV. Members of the Diet shall in all cases, except those specified by law, be free from arrest while attending the sessions of the Diet or while travelling to and from such sessions; and for any speech, debate, or vote in the Diet, they shall not be held legally liable elsewhere.
Article XLV. The term of the members shall be four years, but it may be terminated at an earlier date by dissolution of the Diet as provided herein.
Article XLVI. The method of election, apportionment, and voting shall be determined by law.
Article XLVⅡ. The Diet shall convene at least once in every year.
Article XLVⅢ. The Cabinet may call special sessions and shall do so on petition of not less than twenty per cent of the members of the Diet.
Article XLVIX. The Diet shall be the sole judge of the elections and the qualifications of its members. The denial of a seat to anyone who is certified to have been elected and whose right to the seat has been questioned shall require the vote of a majority of the members present.
Article L. A quorum to transact business shall consist of not less than one-third of all the members. Except as otherwise provided herein all actions of the Diet shall be by majority vote of those present. In case of a tie the presiding officer shall cast the deciding vote.
Article LI. The Diet shall choose its presiding officer and other officials. It may determine the rules of its proceedings, punish members for disorderly behavior and expel them. On a motion for expulsion of a member a vote of not less than two-thirds of the members present shall be required to effect such expulsion.
Article LⅡ. No law shall be passed except by bill.
Article LⅢ. The deliberations of the Diet shall be public, and no secret sessions shall be held. The Diet shall maintain and publish a record of its proceedings and this record shall be made available to the public. The individual votes of members on any question shall be recorded in the journal upon the demand of twenty per cent of those present.
Article LIV. The Diet shall have the power to conduct investigations, to compel the attendance and testimony of witnesses and the production of records, and to punish for refusal to comply.
Article LV. The Diet by a majority vote of those present shall designate the Prime Minister. The designation of a Prime Minister shall take precedence over all other business of the Diet.
The Diet shall establish the several Ministries of State.
Article LVI. The Prime Minister and the Ministers of State whether or not they hold seats in the Diet may at any time appear before that body for the purpose of presenting and arguing bills, and shall appear when required to answer interpellations.
Article LVⅡ. Within ten days after the passage of a resolution of non-confidence or the failure to pass a resolution of confidence by a majority of the total membership of the Diet, the Cabinet shall resign or order the Diet to dissolve. When the Diet has been ordered dissolved a special election of a new Diet shall be held not less than thirty days nor more than forty days after the date of dissolution. The newly elected Diet shall be convoked within thirty days after the date of election.
Article LVⅢ. The Diet shall constitute from among its members a court of impeachment to try members of the judiciary against whom removal proceedings have been instituted.
Article LIX. The Diet shall enact all laws necessary and proper to carry into execution the provisions of this Constitution.

CHAPTER V The Cabinet

Article LX. The executive power is vested in a Cabinet.
Article LXI. The Cabinet consists of a Prime Minister, who is its head, and such other Ministers of State as may be authorized by the Diet.
In the exercise of the executive power, the Cabinet is collectively responsible to the Diet.
Article LXⅡ. The Prime Minister shall with the advice and consent of the Diet appoint Ministers of State.
The Prime Minister may remove individual Ministers at will.
Article LXⅢ. Whenever a vacancy occurs in the office of Prime Minister or upon the convening of a new Diet, the Cabinet shall collectively resign and a new Prime Minister shall be designated.
Pending such designation, the Cabinet shall continue to perform its duties.
Article LXIV. The Prime Minister introduces bills on behalf of the Cabinet, reports to the Diet on general affairs of State and the status of foreign relations, and exercises control and supervision over the several executive departments and agencies.
Article LXV. In addition to other executive responsibilities, the Cabinet shall:
Faithfully execute the laws and administer the affairs of State;
Conduct foreign relation;
Conclude such treaties, international conventions and agreements with the consent of the Diet by prior authorization or subsequent ratification as it deems in the public interest;
Administer the civil service according to standards established by the Diet;
Prepare and submit to the Diet an annual budget;
Issue orders and regulations to carry out the provisions of this Constitution and the law, but no such order or regulation shall contain a penal provision; and
Grant amnesty, pardon, commutation of punishment, reprieve and rehabilitation.
Article LXVI. The competent Minister of State shall sign and the Prime Minister shall countersign all acts of the Diet and executive orders.
Article LXVⅡ. Cabinet Ministers shall not be subject to judicial process during their tenure of office without the consent of the Prime Minister, but no right of action shall be impaired by reason hereof.

CHAPTER VI Judiciary.

Article LXVⅢ. A strong and independent judiciary being the bulwark of the people's rights, the whole judicial power is vested in a Supreme Court and in such inferior courts as the Diet shall from time to time establish.
No extraordinary tribunal shall be established, nor shall any organ or agency of the Executive be given final judicial power.
All judges shall be independent in the exercise of their conscience and shall be bound only by this Constitution and the laws enacted pursuant thereto.
Article LXIX. The Supreme Court is vested with the rule-making power under which it determines the rules of practice and of procedure, the admission of attorneys, the internal discipline of the courts, the administration of judicial affairs, and such other matters as may properly affect the free exercise of the judicial power.
Public procurators shall be officers of the court and subject to its rule-making power.
The Supreme Court may delegate the power to make rules for inferior courts to such courts.
Article LXX. Removals of judges shall be accomplished by public impeachment only and no disciplinary action shall be administered them by any executive organ or agency.
Article LXXI. The Supreme Court shall consist of a chief justice and such number of associate justices as may be determined by the Diet. All such justices shall be appointed by the Cabinet and shall hold office during good behavior but not after the attainment of the age of 70 years, provided however that all such appointments shall be reviewed at the first general election held following the appointment and thereafter at every general election held immediately following the expiration of ten calendar years from the next prior confirmation. Upon a majority vote of the electorate not to retain the incumbent the office shall become vacant.
All such justices shall receive, at regular, stated intervals, adequate compensation which shall not be decreased during their terms of office.
Article LXXⅡ. The judges of the inferior courts shall be appointed by the Cabinet from a list which for each vacancy shall contain the names of at least two persons nominated by the Supreme Court. All such justices shall hold office for a term of ten years with privilege of reappointment and shall receive, at regular, stated intervals, adequate compensation which shall not be decreased during their terms of office. No judge shall hold office after attaining the age of 70 years.
Article LXXⅢ. The Supreme Court is the court of last resort. Where the determination of the constitutionality of any law, order, regulation or official act is in question, the judgment of the Supreme Court in all cases arising under or involving Chapter III of this Constitution is final; in all other cases where determination of the constitutionality of any law, ordinance, regulation or official act is in question, the judgment of the Court is subject to review by the Diet.
A judgment of the Supreme Court which is subject to review may be set aside only by the concurring vote of two-thirds of the whole number of representatives of the Diet. The Diet shall establish rules of procedure for reviewing decisions of the Supreme Court.
Article LXXIV. In all cases affecting ambassadors, ministers and consuls of foreign states, the Supreme Court has exclusive original jurisdiction.
Article LXXV. Trials shall be conducted and judgment declared publicly. Where, however, a court unanimously determines publicity to be dangerous to public order or morals, a trial may be conducted privately, but trials of political offenses, offenses of the press, and cases wherein the rights of citizens as reserved in Chapter III of this Constitution are in question, shall be conducted publicly without exception.

CHAPTER VII Finance

Article LXXVI. The power to levy taxes, borrow money, appropriate funds, issue and regulate the value of coins and currency shall be exercised through the Diet.
Article LXXVⅡ. No new taxes shall be imposed or existing ones modified except by action of the Diet or under such conditions as the Diet may prescribe.
All taxes in effect at the time this Constitution is promulgated shall continue to be collected under existing regulations until changed or modified by the Diet.
Article LXXVⅢ. No contract shall be entered into in the absence of an appropriation therefor, nor shall the credit of the State be pledged except as authorized by the Diet.
Article LXXIX. The Cabinet shall prepare and submit to the Diet an annual budget setting forth the complete government fiscal program for the next ensuing fiscal year, including all proposed expenditures, anticipated revenues and borrowings.
Article LXXX. The Diet may disapprove, reduce, increase or reject any item in the budget or add new items.
The Diet shall appropriate no money for any fiscal year in excess of the anticipated income for that period, including the proceeds of any borrowings.
Article LXXXI. In order to provide for unforeseen deficiencies in the budget a reserve fund may be authorized to be expended under the direct supervision of the Cabinet.
The Cabinet shall be held accountable to the Diet for all payments from the reserve fund.
Article LXXXⅡ. All property of the Imperial Household, other than the hereditary estates, shall belong to the nation. The income from all Imperial properties shall be paid into the national treasury, and allowances and expenses of the Imperial Household , as defined by law, shall be appropriated by the Diet in the annual budget.
Article LXXXⅢ. No public money or property shall be appropriated for the use, benefit or support of any system of religion, or religious institution or association, or for any charitable, educational or benevolent purposes not under the control of the State.
Article LXXXIV. A final audit of all expenditures and revenues of the Sate shall be made annually by a board of audit and submitted by the Cabinet to the Diet during the fiscal year immediately following the period covered.
The organization and competency of the board of audit shall be determined by the Diet.
Article LXXXV. At regular intervals and at least annually the Cabinet shall report to the Diet and the people on the state of public finances.

CHAPTER VⅢ Local Government

Article LXXXVI. The governors of prefectures, the mayors of cities and towns and the chief executive officers of all other subordinate bodies politic and corporate having taxing power, the members of prefectural and local legislative assemblies, and such other prefectural and local officials as the Diet may determine, shall be elected by direct popular vote within their several communities.
Article LXXXVⅡ. The inhabitants of metropolitan areas, cities and towns shall be secure in their right to manage their property, affairs and government and to frame their own charters within such laws as the Diet may enact.
Article LXXXVⅢ. The Diet shall pass no local or special act applicable to a metropolitan area, city or town where a general act can be made applicable, unless it be made subject to the acceptance of a majority of the electorate of such community.

CHAPTER IX Amendments

Article LXXXIX. Amendments to this Constitution shall be initiated by the Diet, through a concurring vote of two-thirds of all its members, and shall thereupon be submitted to the people for ratification, which shall require the affirmative vote of a majority of all votes cast thereon at such election as the Diet shall specify.
Amendments when so ratified shall immediately be proclaimed by the Emperor, in the name of the People, as an integral part of this Constitution.

CHAPTER X Supreme Law

Article XC. This Constitution and the laws and treaties made in pursuance hereof shall be the supreme law of the nation, and no public law or ordinance and no imperial rescript or other governmental act, or part thereof, contrary to the provisions hereof shall have legal force or validity.
Article XCI. The Emperor, upon succeeding to the Throne, and the Regent, Ministers of State, Members of the Diet, Members of the Judiciary and all other public officers upon assuming office, shall be bound to uphold and protect this Constitution.
All public officials duly holding office when this Constitution takes effect shall likewise be so bound and shall remain in office until their successors are elected or appointed.

CHAPTER XI Ratification

Article XCⅡ. This Constitution shall be established when ratified by the Diet by roll-call vote of two-thirds of the members present.
Upon ratification by the Diet, the Emperor shall immediately proclaim, in the name of the People, that this Constitution has been established as the supreme law of the nation.

<日本政府による(仮)日本語訳>

日本国憲法

我等日本国人民ハ、国民議会ニ於ケル正当ニ選挙セラレタル我等ノ代表者ヲ通シテ行動シ、我等自身及我等ノ子孫ノ為ニ諸国民トノ平和的協力及此ノ国全土ニ及フ自由ノ祝福ノ成果ヲ確保スヘク決心シ、且政府ノ行為ニ依リ再ヒ戦争ノ恐威ニ訪レラレサルヘク決意シ、茲ニ人民ノ意思ノ主権ヲ宣言シ、国政ハ其ノ権能ハ人民ヨリ承ケ其ノ権力ハ人民ノ代表者ニ依リ行使セラレ而シテ其ノ利益ハ人民ニ依リ享有セラルトノ普遍的原則ノ上ニ立ツ此ノ憲法ヲ制定確立ス、而シテ我等ハ此ノ憲法ト抵触スル一切ノ憲法、命令、法律及詔勅ヲ排斥及廃止ス
我等ハ永世ニ亘リ平和ヲ希求シ且今ヤ人類ヲ揺リ動カシツツアル人間関係支配ノ高貴ナル理念ヲ満全ニ自覚シテ、我等ノ安全及生存ヲ維持スル為世界ノ平和愛好諸国民ノ正義ト信義トニ依倚センコトニ意ヲ固メタリ、我等ハ平和ノ維持並ニ横暴、奴隷、圧制及無慈悲ヲ永遠ニ地上ヨリ追放スルコトヲ主義方針トスル国際社会内ニ名誉ノ地位ヲ占メンコトヲ欲求ス、我等ハ万国民等シク恐怖ト欠乏ニ虐ケラルル憂ナク平和ノ裏ニ生存スル権利ヲ有スルコトヲ承認シ且之ヲ表白ス
我等ハ如何ナル国民モ単ニ自己ニ対シテノミ責任ヲ有スルニアラスシテ政治道徳ノ法則ハ普遍的ナリト信ス、而シテ斯ノ如キ法則ヲ遵奉スルコトハ自己ノ主権ヲ維持シ他国民トノ主権ニ基ク関係ヲ正義付ケントスル諸国民ノ義務ナリト信ス
我等日本国人民ハ此等ノ尊貴ナル主義及目的ヲ我等ノ国民的名誉、決意及総力ニ懸ケテ誓フモノナリ

第一章 皇帝

第一条 皇帝ハ国家ノ象徴ニシテ又人民ノ統一ノ象徴タルヘシ彼ハ其ノ地位ヲ人民ノ主権意思ヨリ承ケ之ヲ他ノ如何ナル源泉ヨリモ承ケス
第二条 皇位ノ継承ハ世襲ニシテ国会ノ制定スル皇室典範ニ依ルヘシ
第三条 国事ニ関スル皇帝ノ一切ノ行為ニハ内閣ノ輔弼及協賛ヲ要ス而シテ内閣ハ之カ責任ヲ負フヘシ
皇帝ハ此ノ憲法ノ規定スル国家ノ機能ヲノミ行フヘシ彼ハ政治上ノ権限ヲ有セス又之ヲ把握シ又ハ賦与セラルルコト無カルヘシ
皇帝ハ其ノ機能ヲ法律ノ定ムル所ニ従ヒ委任スルコトヲ得
第四条 国会ノ制定スル皇室典範ノ規定ニ従ヒ摂政ヲ置クトキハ皇帝ノ責務ハ摂政之ヲ皇帝ノ名ニ於テ行フヘシ而シテ此ノ憲法ニ定ムル所ノ皇帝ノ機能ニ対スル制限ハ摂政ニ対シ等シク適用セラルヘシ
第五条 皇帝ハ国会ノ指名スル者ヲ総理大臣ニ任命ス
第六条 皇帝ハ内閣ノ輔弼及協賛ニ依リテノミ行動シ人民ニ代リテ国家ノ左ノ機能ヲ行フヘシ即国会ノ制定スル一切ノ法律、一切ノ内閣命令、此ノ憲法ノ一切ノ改正並ニ一切ノ条約及国際規約ニ皇璽を欽シテ之ヲ公布ス
国会ヲ召集ス
国会ヲ解散ス
総選挙ヲ命ス
国務大臣、大使及其ノ他国家ノ官吏ニシテ法律ノ規定ニ依リ其ノ任命又ハ嘱託及辞職又ハ免職カ此ノ方法ニテ公証セラルヘキモノノ任命又ハ嘱託及辞職又ハ免職ヲ公証ス
大赦、恩赦、減刑、執行猶予及復権ヲ公証ス
栄誉ヲ授与ス
外国ノ大使及公使ヲ受ク
適当ナル式典ヲ執行ス
第七条 国会ノ許諾ナクシテハ皇位ニ金銭又ハ其ノ他ノ財産ヲ授与スルコトヲ得ス又皇位ハ何等ノ支出ヲ為スコトヲ得ス

第二章 戦争ノ廃棄

第八条 国民ノ一主権トシテノ戦争ハ之ヲ廃止ス他ノ国民トノ紛争解決ノ手段トシテノ武力ノ威嚇又ハ使用ハ永久ニ之ヲ廃棄ス
陸軍、海軍、空軍又ハ其ノ他ノ戦力ハ決シテ許諾セラルルコト無カルヘク又交戦状態ノ権利ハ決シテ国家ニ授与セラルルコト無カルヘシ

第三章 人民ノ権利及義務

第九条 日本国ノ人民ハ何等ノ干渉ヲ受クルコト無ク一切ノ基本的人権ヲ享有スル権利ヲ有ス
第十条 此ノ憲法ニ依リ日本国ノ人民ニ保障セラルル基本的人権ハ人類ノ自由タラントスル積年ノ闘争ノ結果ナリ時ト経験ノ坩堝ノ中ニ於テ永続性ニ対スル厳酷ナル試練ニ克ク耐ヘタルモノニシテ永世不可侵トシテ現在及将来ノ人民ニ神聖ナル委託ヲ以テ賦与セラルルモノナリ
第十一条 此ノ憲法ニ依リ宣言セラルル自由、権利及機会ハ人民ノ不断ノ監視ニ依リ確保セラルルモノニシテ人民ハ其ノ濫用ヲ防キ常ニ之ヲ共同ノ福祉ノ為ニ行使スル義務ヲ有ス
第十二条 日本国ノ封建制度ハ終止スヘシ一切ノ日本人ハ其ノ人類タルコトニ依リ個人トシテ尊敬セラルヘシ一般ノ福祉ノ限度内ニ於テ生命、自由及幸福探求ニ対スル其ノ権利ハ一切ノ法律及一切ノ政治的行為ノ至上考慮タルヘシ
第十三条 一切ノ自然人ハ法律上平等ナリ政治的、経済的又ハ社会的関係ニ於テ人種、信条、性別、社会的身分、階級又ハ国籍起源ノ如何ニ依リ如何ナル差別的待遇モ許容又ハ黙認セラルルコト無カルヘシ
爾今以後何人モ貴族タルノ故ヲ以テ国又ハ地方ノ如何ナル政治的権力ヲモ有スルコト無カルヘシ
皇族ヲ除クノ外貴族ノ権利ハ現存ノ者ノ生存中ヲ限リ之ヲ廃止ス
栄誉、勲章又ハ其ノ他ノ優遇ノ授与ニハ何等ノ特権モ附随セサルヘシ又右ノ授与ハ現ニ之ヲ有スル又ハ将来之ヲ受クル個人ノ生存中ヲ限リ其ノ効力ヲ失フヘシ
第十四条 人民ハ其ノ政府及皇位ノ終局的決定者ナリ彼等ハ其ノ公務員ヲ選定及罷免スル不可譲ノ権利ヲ有ス
一切ノ公務員ハ全社会ノ奴僕ニシテ如何ナル団体ノ奴僕ニモアラス
有ラユル選挙ニ於テ投票ノ秘密ハ不可侵ニ保タルヘシ選挙人ハ其ノ選択ニ関シ公的ニモ私的ニモ責ヲ問ハルルコト無カルヘシ
第十五条 何人モ損害ノ救済、公務員ノ罷免及法律、命令又ハ規則ノ制定、廃止又ハ改正ニ関シ平穏ニ請願ヲ為ス権利ヲ有ス又何人モ右ノ如キ請願ヲ主唱シタルコトノ為ニ如何ナル差別的待遇ヲモ受クルコト無カルヘシ
第十六条 外国人ハ平等ニ法律ノ保護ヲ受クル権利ヲ有ス
第十七条 何人モ奴隷、農奴又ハ如何ナル種類ノ奴隷役務ニ服セシメラルルコト無カルヘシ犯罪ノ為ノ処罰ヲ除クノ外本人ノ意思ニ反スル服役ハ之ヲ禁ス
第十八条 思想及良心ノ自由ハ不可侵タルヘシ
第十九条 宗教ノ自由ハ何人ニモ保障セラル如何ナル宗教団体モ国家ヨリ特別ノ特権ヲ受クルコト無カルヘク又政治上ノ権限ヲ行使スルコト無カルヘシ
何人モ宗教的ノ行為、祝典、式典又ハ行事ニ参加スルコトヲ強制セラレサルヘシ
国家及其ノ機関ハ宗教教育又ハ其ノ他如何ナル宗教的活動ヲモ為スヘカラス
第二十条 集会、言論及定期刊行物並ニ其ノ他一切ノ表現形式ノ自由ヲ保障ス検閲ハ之ヲ禁シ通信手段ノ秘密ハ之ヲ犯ス可カラス
第二十一条 結社、運動及住居選定ノ自由ハ一般ノ福祉ト抵触セサル範囲内ニ於テ何人ニモ之ヲ保障ス
何人モ外国ニ移住シ又ハ国籍ヲ変更スル自由ヲ有ス
第二十二条 学究上ノ自由及職業ノ選択ハ之ヲ保障ス
第二十三条 家族ハ人類社会ノ基底ニシテ其ノ伝統ハ善カレ悪シカレ国民ニ滲透ス婚姻ハ男女両性ノ法律上及社会上ノ争フ可カラサル平等ノ上ニ存シ両親ノ強要ノ代リニ相互同意ノ上ニ基礎ツケラレ且男性支配ノ代リニ協力ニ依リ維持セラルヘシ此等ノ原則ニ反スル諸法律ハ廃止セラレ配偶ノ選択、財産権、相続、住所ノ選定、離婚並ニ婚姻及家族ニ関スル其ノ他ノ事項ヲ個人ノ威厳及両性ノ本質ニ立脚スル他ノ法律ヲ以テ之ニ代フヘシ
第二十四条 有ラユル生活範囲ニ於テ法律ハ社会的福祉、自由、正義及民主主義ノ向上発展ノ為ニ立案セラルヘシ
自由、普遍的且強制的ナル教育ヲ設立スヘシ
児童ノ私利的酷使ハ之ヲ禁止スヘシ
公共衛生ヲ改善スヘシ
社会的安寧ヲ計ルヘシ
労働条件、賃銀及勤務時間ノ規準ヲ定ムヘシ
第二十五条 何人モ働ク権利ヲ有ス
第二十六条 労働者カ団結、商議及集団行為ヲ為ス権利ハ之ヲ保障ス
第二十七条 財産ヲ所有スル権利ハ不可侵ナリ然レトモ財産権ハ公共ノ福祉ニ従ヒ法律ニ依リ定義セラルヘシ
第二十八条 土地及一切ノ天然資源ノ究極的所有権ハ人民ノ集団的代表者トシテノ国家ニ帰属ス
国家ハ土地又ハ其ノ他ノ天然資源ヲ其ノ保存、開発、利用又ハ管理ヲ確保又ハ改善スル為ニ公正ナル補償ヲ払ヒテ収用スルコトヲ得
第二十九条 財産ヲ所有スル者ハ義務ヲ負フ其ノ使用ハ公共ノ利益ノ為タルヘシ国家ハ公正ナル補償ヲ払ヒテ私有財産ヲ公共ノ利益ノ為ニ収用スルコトヲ得
第三十条 何人モ裁判所ノ当該官吏カ発給シ訴追ノ理由タル犯罪ヲ明示セル逮捕状ニ依ルニアラスシテ逮捕セラルルコト無カルヘシ但シ犯罪ノ実行中ニ逮捕セラルル場合ハ此ノ限ニ存ラス
第三十一条 何人モ訴追ノ趣旨ヲ直チニ告ケラルルコト無ク又ハ直チニ弁護人ヲ依頼スル特権ヲ与ヘラルルコト無クシテ逮捕又ハ拘留セラレサルヘシ何人モ監禁セラルルコト無カルヘシ何人モ適当ナル理由無クシテ拘留セラレサルヘシ要求アルトキハ右理由ハ公開廷ニテ本人及其ノ弁護人ノ面前ニ於テ直チニ開示セラルヘシ
第三十二条 何人モ国会ノ定ムル手続ニ依ルニアラサレハ其ノ生命若ハ自由ヲ奪ハレ又ハ刑罰ヲ科セラルルコト無カルヘシ又何人モ裁判所ニ上訴ヲ提起スル権利ヲ奪ハルコト無カルヘシ
第三十三条 人民カ其ノ身体、家庭、書類及所持品ニ対シ侵入、捜索及押収ヨリ保障セラルル権利ハ相当ノ理由ニ基キテノミ発給セラレ殊ニ捜索セラルヘキ場所及拘禁又ハ押収セラルヘキ人又ハ物ヲ表示セル司法逮捕状ニ依ルニアラスシテ害セラルルコト無カルヘシ
各捜索又ハ拘禁若ハ押収ハ裁判所ノ当該官吏ノ発給セル格別ノ逮捕状ニ依リ行ハルヘシ
第三十四条 公務員ニ依ル拷問ハ絶対ニ之ヲ禁ス
第三十五条 過大ナル保釈金ヲ要求スヘカラス又残虐若ハ異常ナル刑罰ヲ科スヘカラス
第三十六条 一切ノ刑事訴訟事件ニ於テ被告人ハ公平ナル裁判所ノ迅速ナル公判ヲ受クル権利ヲ享有スヘシ
刑事被告人ハ一切ノ証人ヲ反対訊問スル有ラユル機会ヲ与ヘラルヘク又自己ノ為ノ証人ヲ公費ヲ以テ獲得スル強制的手続ニ対スル権利ヲ有スヘシ
被告人ハ常ニ資格アル弁護人ヲ依頼シ得ヘク若シ自己ノ努力ニ依リ弁護人ヲ得ル能ハサルトキハ政府ニ依リ弁護人ヲ附添セラルヘシ
第三十七条 何人モ管轄権有ル裁判所ニ依ルニアラサレハ有罪ト宣言セラルルコト無カルヘシ
何人モ同一ノ犯罪ニ因リ再度厄ニ遭フコト無カルヘシ
第三十八条 何人モ自己ニ不利益ナル証言ヲ為スコトヲ強要セラレサルヘシ
自白ハ強制、拷問若ハ脅迫ノ下ニ為サレ又ハ長期ニ亘ル逮捕若ハ拘留ノ後ニ為サレタルトキハ証拠トシテ許容セラレサルヘシ
何人モ其ノ為ニ不利益ナル唯一ノ証拠カ其ノ自白ナル場合ニハ有罪ト決定又ハ処罰セラレサルヘシ
第三十九条 何人モ実行ノ時ニ於テ合法ナリシ行為ニ因リ刑罰ヲ科セラルルコト無カルヘシ

第四章 国会

第四十条 国会ハ国家ノ権力ノ最高ノ機関ニシテ国家ノ唯一ノ法律制定機関タルヘシ
第四十一条 国会ハ三百人ヨリ少カラス五百人ヲ超エサル選挙セラレタル議員ヨリ成ル単一ノ院ヲ以テ構成ス
第四十二条 選挙人及国会議員候補者ノ資格ハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ而シテ右資格ヲ定ムルニ当リテハ性別、人種、信条、皮膚色又ハ社会上ノ身分ニ因リ何等ノ差別ヲ為スヲ得ス
第四十三条 国会議員ハ国庫ヨリ法律ノ定ムル適当ノ報酬ヲ受クヘシ
第四十四条 国会議員ハ法律ノ規定スル場合ヲ除クノ外如何ナル場合ニ於テモ国会ノ議事ニ出席中又ハ之ニ出席スル為ノ往復ノ途中ニ於テ逮捕セラルルコト無カルヘク又国会ニ於ケル演説、討論又ハ投票ニ因リ国会以外ニ於テ法律上ノ責ヲ問ハルルコト無カルヘシ
第四十五条 国会議員ノ任期ハ四年トス然レトモ此ノ憲法ノ規定スル国会解散ニ因リ満期以前ニ終了スルコトヲ得
第四十六条 選挙、任命及投票ノ方法ハ法律ニ依リ之ヲ定ムヘシ
第四十七条 国会ハ少クトモ毎年一囘之ヲ召集スヘシ
第四十八条 内閣ハ臨時議会ヲ召集スルコトヲ得国会議員ノ二割ヨリ少カラサル者ノ請願アリタルトキハ之ヲ召集スルコトヲ要ス
第四十九条 国会ハ選挙及議員ノ資格ノ唯一ノ裁決者タルヘシ当選ノ証明ヲ有スルモ其ノ効力ニ疑アル者ノ当選ヲ拒否セントスルトキハ出席議員ノ多数決ニ依ルヲ要ス
第五十条 議事ヲ行フニ必要ナル定足数ハ議員全員ノ三分ノ一ヨリ少カラサル数トス此ノ憲法ニ規定スル場合ヲ除クノ外国会ノ行為ハ凡ヘテ出席議員ノ多数決ニ依ルヘシ可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依ル
第五十一条 国会ハ議長及其ノ他役員ヲ選定スヘシ国会ハ議事規則ヲ定メ並ニ議員ヲ無秩序ナル行動ニ因リ処罰及除名スルコトヲ得議員除名ノ動議有リタル場合ニ之ヲ実行セントスルトキハ出席議員ノ三分ノ二ヨリ少カラサル者ノ賛成ヲ要ス
第五十二条 法律ハ法律案ニ依ルニアラサレハ之ヲ議決スルコトヲ得ス
第五十三条 国会ノ議事ハ之ヲ公開スヘク秘密会議ハ之ヲ開クコトヲ得ス国会ハ其ノ議事ノ記録ヲ保存シ且発表スヘク一般公衆ハ此ノ記録ヲ入手シ得ヘシ出席議員二割ノ要求アルトキハ議題ニ対スル各議員ノ賛否ヲ議事録ニ記載スヘシ
第五十四条 国会ハ調査ヲ行ヒ証人ノ出頭及証言供述並ニ記録ノ提出ヲ強制シ且之ニ応セサル者ヲ処罰スル権限ヲ有スヘシ
第五十五条 国会ハ出席議員ノ多数決ヲ以テ総理大臣ヲ指定スヘシ総理大臣ノ指定ハ国会ノ他ノ一切ノ事務ニ優先シテ行ハルヘシ
国会ハ諸般ノ国務大臣ヲ設定スヘシ
第五十六条 総理大臣及国務大臣ハ国会ニ議席ヲ有スルト否トヲ問ハス何時ニテモ法律案ヲ提出シ討論スル目的ヲ以テ出席スルコトヲ得質問ニ答弁スルコトヲ要求セラレタルトキハ出席スヘシ
第五十七条 内閣ハ国会カ全議員ノ多数決ヲ以テ不信任案ノ決議ヲ通過シタル後又ハ信任案ヲ通過セサリシ後十日以内ニ辞職シ又ハ国会ニ解散を命スヘシ国会カ解散ヲ命セラレタルトキハ解散ノ日ヨリ三十日ヨリ少カラス四十日ヲ超エサル期間内ニ特別選挙ヲ行フヘシ新タニ選挙セラレタル国会ハ選挙ノ日ヨリ三十日以内ニ之ヲ召集スヘシ
第五十八条 国会ハ忌避訴訟ノ被告タル司法官ヲ裁判スル為議員中ヨリ弾劾裁判所ヲ構成スヘシ
第五十九条 国会ハ此ノ憲法ノ規定ヲ施行スル為必要ニシテ適当ナル一切ノ法律ヲ制定スヘシ

第五章 内閣

第六十条 行政権ハ内閣ニ帰属ス
第六十一条 内閣ハ其ノ首長タル総理大臣及国会ニ依リ授権セラルル其ノ他ノ国務大臣ヲ以テ構成ス
内閣ハ行政権ノ執行ニ当リ国会ニ対シ集団的ニ責任ヲ負フ
第六十二条 総理大臣ハ国会ノ輔弼及協賛ヲ以テ国務大臣ヲ任命スヘシ
総理大臣ハ個々ノ国務大臣ヲ任意ニ罷免スルコトヲ得
第六十三条 総理大臣欠員ト為リタルトキ又ハ新国会ヲ召集スルトキハ内閣ハ総辞職ヲ為スヘク新総理大臣指名セラルヘシ
右指名アルマテハ内閣ハ其ノ責務ヲ行フヘシ
第六十四条 総理大臣ハ内閣ニ代リテ法律案ヲ提出シ一般国務及外交関係ヲ国会ニ報告シ並ニ行政府ノ各部及各支部ノ指揮及監督ヲ行フ
第六十五条 内閣ハ他ノ行政的責任ノホカ
法律ヲ忠実ニ執行シ国務ヲ管理スヘシ
外交関係ヲ処理スヘシ
公共ノ利益ト認ムル条約、国際規約及協定ヲ事前ノ授権又ハ事後ノ追認ニ依ル国会ノ協賛ヲ以テ締結スヘシ
国会ノ定ムル規準ニ従ヒ内政事務ヲ処理スヘシ
年次予算ヲ作成シテ之ヲ国会ニ提出スヘシ
此ノ憲法及法律ノ規定ヲ実行スル為命令及規則ヲ発スヘシ然レトモ右命令又ハ規則ハ刑罰規定ヲ包含スヘカラス
大赦、恩赦、減刑、執行猶予及復権ヲ賦与スヘシ
第六十六条 一切ノ国会制定法及行政命令ハ当該国務大臣之ニ署名シ総理大臣之ニ副署スヘシ
第六十七条 内閣大臣ハ総理大臣ノ承諾無クシテ在任中訴追セラルルコト無カルヘシ然レトモ此ノ理由ニ因リ如何ナル訴権モ害セラルルコトナシ

第六章 司法

第六十八条 強力ニシテ独立ナル司法府ハ人民ノ権利ノ堡塁ニシテ全司法権ハ最高法院及国会ノ随時設置スル下級裁判所ニ帰属ス
特別裁判所ハ之ヲ設置スヘカラス又行政府ノ如何ナル機関又ハ支部ニモ最終的司法権ヲ賦与スヘカラス
判事ハ凡ヘテ其ノ良心ノ行使ニ於テ独立タルヘク此ノ憲法及其レニ基キ制定セラルル法律ニノミ拘束セラルヘシ
第六十九条 最高法院ハ規則制定権ヲ有シ其レニ依リ訴訟手続規則、弁護士ノ資格、裁判所ノ内部規律、司法行政並ニ司法権ノ自由ナル行使ニ関係アル其ノ他ノ事項ヲ定ム
検事ハ裁判所ノ職員ニシテ裁判所ノ規則制定権ニ服スヘシ
最高法院ハ下級裁判所ノ規則ヲ制定スル権限ヲ下級裁判所ニ委任スルコトヲ得
第七十条 判事ハ公開ノ弾劾ニ依リテノミ罷免スルコトヲ得行政機関又ハ支部ニ依リ懲戒処分ニ附セラルルコト無カルヘシ
第七十一条 最高法院ハ首席判事及国会ノ定ムル員数ノ普通判事ヲ以テ構成ス右判事ハ凡ヘテ内閣ニ依リ任命セラレ不都合ノ所為無キ限リ満七十歳ニ到ルマテ其ノ職ヲ免セラルルコト無カルヘシ但シ右任命ハ凡ヘテ任命後最初ノ総選挙ニ於テ、爾後ハ次ノ先位確認後十暦年経過直後行ハルル総選挙ニ於テ、審査セラルヘシ若シ選挙民カ判事ノ罷免ヲ多数決ヲ以テ議決シタルトキハ右判事ノ職ハ欠員ト為ルヘシ
右ノ如キ判事ハ凡ヘテ定期ニ適当ノ報酬ヲ受クヘシ報酬ハ任期中減額セラルルコト無カルヘシ
第七十二条 下級裁判所ノ判事ハ各欠員ニ付最高法院ノ指名スル少クトモ二人以上ノ候補者ノ氏名ヲ包含スル表ノ中ヨリ内閣之ヲ任命スヘシ右判事ハ凡ヘテ十年ノ任期ヲ有スヘク再任ノ特権ヲ有シ定期ニ適当ノ報酬ヲ受クヘシ報酬ハ任期中減額セラルルコト無カルヘシ判事ハ満七十歳ニ達シタルトキハ退職スヘシ
第七十三条 最高法院ハ最終裁判所ナリ法律、命令、規則又ハ官憲ノ行為ノ憲法上合法ナリヤ否ヤノ決定カ問題ト為リタルトキハ憲法第三章ニ基ク又ハ関聯スル有ラユル場合ニ於テハ最高法院ノ判決ヲ以テ最終トス法律、命令、規則又ハ官憲ノ行為ノ憲法上合法ナリヤ否ヤノ決定カ問題ト為リタル其ノ他ノ有ラユル場合ニ於テ国会最高法院ノ判決ヲ再審スルコトヲ得
再審ニ附スルコトヲ得ル最高法院ノ判決ハ国会議員全員ノ三分ノ二ノ賛成ヲ以テノミ之ヲ破棄スルコトヲ得国会ハ最高法院ノ判決ノ再審ニ関スル手続規則ヲ制定スヘシ
第七十四条 外国ノ大使、公使及領事館ニ関係アル一切ノ事件ニ於テハ最高法院専属的原始管轄ヲ有ス
第七十五条 裁判ハ公開廷ニ於テ行ヒ判決ハ公然言ヒ渡スヘシ然レトモ裁判所カ公開ヲ公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ニ害有リト全員一致ヲ以テ決スルトキハ非公開ニテ裁判ヲ行フコトヲ得但シ政治的犯罪、定期刊行物ノ犯罪及此ノ憲法第三章ノ確保スル人民ノ権利カ問題ト為レル場合ニ於ケル裁判ハ例外ナク公開セラルヘシ

第七章 財政

第七十六条 租税ヲ徴シ、金銭ヲ借入レ、資金ヲ使用シ並ニ硬貨及通貨ヲ発行シ及其ノ価格ヲ規整スル権限ハ国会ヲ通シテ行使セラルヘシ
第七十七条 国会ノ行為ニ依リ又ハ国会ノ定ムル条件ニ依ルニアラサレハ新タニ租税ヲ課シ又ハ現行ノ租税ヲ変更スルコトヲ得ス
此ノ憲法発布ノ時ニ於テ効力ヲ有スル一切ノ租税ハ現行ノ規則カ国会ニ依リ変更セラルルマテ引キ続キ現行ノ規則ニ従ヒ徴集セラルヘシ
第七十八条 充当スヘキ特別予算無クシテ契約ヲ締結スヘカラス又国会ノ承認ヲ得ルニアラサレハ国家ノ資産ヲ貸与スヘカラス
第七十九条 内閣ハ一切ノ支出計画並ニ歳入及借入予想ヲ含ム次期会計年度ノ全財政計画ヲ示ス年次予算ヲ作成シ之ヲ国会ニ提出スヘシ
第八十条 国会ハ予算ノ項目ヲ不承認、減額、増額若ハ却下シ又ハ新タナル項目ヲ追加スルコトヲ得
国会ハ如何ナル会計年度ニ於テモ借入金額ヲ含ム同年度ノ予想歳入ヲ超過スル金銭ヲ支出スヘカラス
第八十一条 予期セサル予算ノ不足ニ備フル為ニ内閣ノ直接監督ノ下ニ支出スヘキ予備費ヲ設クルコトヲ許スコトヲ得
内閣ハ予備費ヲ以テスル一切ノ支出ニ関シ内閣ニ対シ責任ヲ負フヘシ
第八十二条 世襲財産ヲ除クノ外皇室ノ一切ノ財産ハ国民ニ帰属スヘシ一切ノ皇室財産ヨリスル収入ハ国庫ニ納入スヘシ而シテ法律ノ規定スル皇室ノ手当及費用ハ国会ニ依リ年次予算ニ於テ支弁セラルヘシ
第八十三条 公共ノ金銭又ハ財産ハ如何ナル宗教制度、宗教団体若ハ社団ノ使用、利益若ハ支持ノ為又ハ国家ノ管理ニ服ササル如何ナル慈善、教育若ハ博愛ノ為ニモ、充当セラルルコト無カルヘシ
第八十四条 会計検査院ハ毎年国家ノ一切ノ支出及歳入ノ最終的会計検査ヲ為シ内閣ハ次年度中ニ之ヲ国会ニ提出スヘシ
会計検査院ノ組織及権限ハ国会之ヲ定ムヘシ
第八十五条 内閣ハ定期ニ且少クトモ毎年財政状態ヲ国会及人民ニ報告スヘシ

第八章 地方政治

第八十六条 府県知事、市長、町長、徴税権ヲ有スル其ノ他ノ一切ノ下級自治体及法人、府県及地方議会並ニ国会ノ定ムル其ノ他ノ府県及地方役員ハ夫レ夫レ其ノ社会内ニ於テ直接普遍選挙ニ依リ選挙セラルヘシ
第八十七条 首都地方、市及町ノ住民ハ彼等ノ財産、事務及政治ヲ処理シ並ニ国会ノ制定スル法律ノ範囲内ニ於テ彼等自身ノ憲章ヲ作成スル権利ヲ奪ハルルコト無カルヘシ
第八十八条 国会ハ一般法律ノ適用セラレ得ル首都地方、市又ハ町ニ適用セラルヘキ地方的又ハ特別ノ法律ヲ通過スヘカラス但シ右社会ノ選挙民ノ大多数ノ受諾ヲ条件トスルトキハ此ノ限ニ在ラス

第九章 改正

第八十九条 此ノ憲法ノ改正ハ議員全員ノ三分ノ二ノ賛成ヲ以テ国会之ヲ発議シ人民ニ提出シテ承認ヲ求ムヘシ人民ノ承認ハ国会ノ指定スル選挙ニ於テ賛成投票ノ多数決ヲ以テ之ヲ為スヘシ右ノ承認ヲ経タル改正ハ直ニ此ノ憲法ノ要素トシテ人民ノ名ニ於テ皇帝之ヲ公布スヘシ

第十章 至上法

第九十条 此ノ憲法並ニ之ニ基キ制定セラルル法律及条約ハ国民ノ至上法ニシテ其ノ規定ニ反スル公ノ法律若ハ命令及詔勅若ハ其ノ他ノ政府ノ行為又ハ其ノ部分ハ法律上ノ効力ヲ有セサルヘシ
第九十一条 皇帝皇位ニ即キタルトキ並ニ摂政、国務大臣、国会議員、司法府員及其ノ他ノ一切ノ公務員其ノ官職ニ就キタルトキハ、此ノ憲法ヲ尊重擁護スル義務ヲ負フ
此ノ憲法ノ効力発生スル時ニ於テ官職ニ在ル一切ノ公務員ハ右ト同様ノ義務ヲ負フヘク其ノ後任者ノ選挙又ハ任命セラルルマテ官職ニ止マルヘシ

第十一章 承認

第九十二条 此ノ憲法ハ国会カ出席議員三分ノ二ノ氏名点呼ニ依リ承認セラレタル時ニ於テ確立スヘシ
国会ノ承認ヲ得タルトキハ皇帝ハ此ノ憲法カ国民ノ至上法トシテ確立セラレタル旨ヲ人民ノ名ニ於テ直ニ宣布スヘシ

   「国立国会図書館ホームページ」より

☆太平洋戦争直後の憲法改正関係略年表

<1945年(昭和20)>
・10月4日 連合国最高司令官 D.マッカーサー元帥から「政治的、公民的及び宗教的自由に対する制限の撤廃に関する覚書(民主化指令)」(SCAPIN-93)が出される
・10月5日 民主化指令はとても実施できないと東久邇内閣が総辞職する
・10月9日 幣原内閣が成立する
・10月11日 幣原首相・マッカーサー(連合国最高司令官)会談で、「五大改革指令」(①秘密警察の廃止、②労働組合の結成奨励、③婦人解放、④学校教育の自由化、⑤経済の民主化)が口頭で通達される
・10月22日 「日本教育制度に対する管理政策」(SCAPIN-178)が出される
・10月30日 「教育関係者の資格についての指令」(SCAPIN-212)が出される
・11月6日 「持株会社の解体に関する覚書」(SCAPIN-244)が出される
・11月24日 「戦時利得の除去及び国家財政の再編成に関する覚書」(SCAPIN337)が出される
・12月9日 「農地改革に関する覚書」(SCAPIN-411)が出される
・12月15日に「国家神道、神社神道に対する政府の保証、支援、保全、監督並に弘布の廃止に関する件(宗教指令)」が出される。その中で、幣原内閣の下で、憲法改正問題の検討も進められ、それを担当した松本烝治国務大臣は、憲法問題調査委員会の調査・審・12月8日 憲法改正について「松本四原則」(①天皇が統治権を総覧するという原則には変更を加えない、②議会の権限を拡大し、その結果として大権事項を制限する、③国務大臣の責任を国務の全般にわたるものたらしめ、国務大臣は議会に対して責任を負うものとする、④人民の自由・権利の保護を強化し、その侵害に対する救済を完全なものとする)をまとめる

<1946年(昭和21)>
・1月 憲法改正の松本案(いわゆる「甲」案)が作成される
・2月8日 「憲法改正要綱」(松本私案)が連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)へ提出される
・2月13日 GHQは「ポツダム宣言」の第6条に沿いつつも、中庸な国民主権(天皇象徴化・戦争放棄・基本的人権確立)を採用した「マッカーサー案」を日本側に手渡す
・2月22日 日本政府は「マッカーサー案」受諾を決定する
・3月6日 「憲法改正草案要綱」が政府発表、昭和天皇の勅語と幣原喜重郎内閣総理大臣談話も発表される
・3月7日 新聞にはマッカーサーの要綱支持の声明も発表される
・4月2日 GHQの了承と閣議の了解を得て、ひらがな口語体による「憲法改正草案」を準備することとなる
・4月5日 口語化の第一次案が完成する
・4月16日 幣原首相が天皇に内奏し、法令の口語化はまず憲法について行い、憲法の成立施行後は他の法令にも及ぶことを伝える
・4月17日 「憲法改正草案」が発表される
・5月27日 「毎日新聞」が「新憲法草案に関する世論調査の結果」をおおむね好評と報道する
・6月20日 枢密院の審議を経て、帝国議会に提出される
・10月7日 いくつかの修正をした上で、衆議院で「日本国憲法」が成立する
・11月3日 「日本国憲法」が公布される

<1947年(昭和22)>
・5月3日 「日本国憲法」が施行され、新聞社が実施した世論調査では、8割以上が「日本国憲法」を評価し、国民に歓迎される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

797年(延暦16)六国史二番目の『続日本紀』が完成・奏上される(新暦3月15日)詳細
807年(大同2)斎部広成撰の『古語拾遺』が平城天皇に献上される(新暦3月25日)詳細
1875年(明治8)「平民苗字必称義務令」が出され国民に姓を名乗ることを義務附ける(苗字制定記念日)詳細
1900年(明治33)足尾鉱毒事件被害民二千余名が請願のため上京する途中、警官隊・憲兵と衝突した川俣事件が起きる詳細
2006年(平成18)財団法人日本城郭協会が「日本100名城」を発表する詳細
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