今日は、明治時代前期の1871年(明治4)に、東京・京都・大阪に最初の郵便役所が創設され、東京~京都~大阪間に現行の制度の礎となる郵便制度が開始、日本初の郵便切手(竜文切手)が発行された日ですが、新暦では4月20日となります。
郵便切手(ゆうびんきって)は、郵便料金を支払った証として郵便物にはりつけられる印紙です。1840年にイギリスにおいて発行が始まりましたが、日本では1871年(明治4)に、近代的郵便制度が創設されたのに伴い、旧暦3月1日より、48文、100文、200文、500文の計4種の竜文切手が発行されたのが最初となりました。
この切手は、幕末にオランダから渡来したエッチングの技術を用いて薄手和紙に印刷され、切手の印刷原版は、銅版彫刻技術者であった松田緑山(敦朝)が彫刻し、彼の工房であった玄々堂が人力で切手の製造を請け負い、図案は雷紋と七宝の輪郭文様の中に向かい合った竜が描かれています。裏糊も目打もないもので、一つ一つはさみで切って、糊を裏面につけて貼り付けて使用しましたが、翌年には図案が「銭」の単位に変更され、目打が出来ました。
切手の額面は、当初の距離別及び重量別の料金体系に沿ったものとなっています。ちなみに、創業当日に東京から横浜に1匁(約3.75g)までの書状を差し出すには48文必要で、5匁(約18.75g)の場合には10倍の500文が必要となっていました。
〇郵便制度とは?
明治新政府が発足し、1870年(明治3年5月)に前島密が、駅逓権正となり、交通運輸の事務を担当した当時、飛脚に頼っていた東京~京都~大阪間の政府の手紙等の配達に毎年1,500両支出していたのがあまりに高額であることに着目、太政官に外国の制度に倣った、国営の“新式郵便”制度の創設を建議します。翌年1月24日に、「書状ヲ出ス人ノ心得」及び「郵便賃銭切手高並代銭表」、「郵便規則表」等、“新式郵便”を開設することを内容とする一連の太政官布告が出され、3月1日から、東京・京都・大阪に最初の郵便役所が創設され、郵便切手を発行、東京~京都~大阪間に現行の制度の礎となる郵便制度が確立されました。
創業当初には、郵便取扱所などと呼ばれた郵便局は、179局でしたが、翌年には1,159局に増加、横浜、神戸、長崎、函館、新潟と全国展開が図られ、書留郵便も始まり、1873年(明治6年)には、全国約1,100ヶ所の名主が郵便取扱所を快諾したことから、“新式郵便”制度は全国に拡大します。この制度は、従来の飛脚制度に比べて、①国営(明治6年から国の独占)、②切手による料金前納、③書状集メ箱(ポスト)の設置、④あて所配達、⑤全国均一料金(明治6年から実施)などの特徴があり、さらに発展していきました。
1873年(明治6)に「日米郵便交換条約」に調印、翌年に外国郵便の取扱開始、郵便貯金・郵便為替の取扱が始まり、翌々年に上海と釜山浦に在外郵便局を開設、1877年(明治10)には、万国郵便連合(UPU)に加盟します。そして、1882年(明治15)12月には、新たに「郵便条例」が公布され事業の基本法となり、郵便物の種類が第一種(書状)、第二種(郵便葉書)、第三種(毎月1回以上発行する定時印刷物)、第四種(書籍、各種印刷物等)とされました。
1885年(明治18)に内閣制度の発足に伴って逓信省が創設され、国際郵便を正式に扱い始め、1892年(明治25)からは小包郵便も開始されます。1900年(明治33)に「(旧)郵便法」などが施行され、1916年(大正5)に簡易保険の創業、1921年(大正10)に国内航空郵便開始とさらに業務を広げていきました。
太平洋戦争後の1948年(昭和23)に「(新)郵便法」が施行されてさらに拡大し、1968年(昭和43)に郵便番号を実施、1981年(昭和56)に電子郵便が登場、1983年(昭和58)にふるさと小包が誕生するなどしましたが、2003年(平成15)に日本郵政公社へ移行、さらに2005年(平成17)には「郵政民営化法」が公布され、日本郵便が手掛ける業務となっています。
☆日本の郵便制度関係略年表(明治5年以前の日付は旧暦です)
・1870年(明治3年5月) 駅逓権正となった前島密が太政官に郵便制度の創設を建議する
・1871年(明治4年1月24日) 「書状ヲ出ス人ノ心得」及び「郵便賃銭切手高並代銭表」、「郵便規則表」等、「新式郵便」を開設することを内容とする一連の太政官布告が公布される
・1871年(明治4年3月1日) 東京~京都~大阪間に現行の制度の礎となる郵便制度が確立され、東京・京都・大阪に最初の郵便役所が創設され、郵便切手(竜文切手)が発行される
・1871年(明治4年12月5日) 初めての「郵便規則」が施行される
・1872年(明治5年8月) 前島が英国より帰京すると、郵便役所はさらに横浜、神戸、長崎、函館、新潟と全国展開が図られ、書留郵便が始まる
・1873年(明治6)4月 全国均一料金を実施するとともに、郵便葉書を発行する
・1873年(明治6) 「日米郵便交換条約」に調印する
・1875年(明治8) 外国郵便の取扱開始、郵便貯金・郵便為替の取扱が始まる
・1876年(明治9) 上海と釜山浦に在外郵便局を開設する
・1877年(明治10) 万国郵便連合(UPU)に加盟する
・1882年(明治15)12月 新たに「郵便条例」が公布され事業の基本法となる
・1883年(明治16)1月 「郵便条例」が施行され、郵便物の種類が第一種(書状)、第二種(郵便葉書)、第三種(毎月1回以上発行する定時印刷物)、第四種(書籍、各種印刷物等)とされる
・1885年(明治18)12月 内閣制度の発足に伴って逓信省創設、国際郵便を正式にあつかいはじめる
・1892年(明治25)6月 「小包郵便法」が公布される
・1892年(明治25)10月 小包郵便の取扱いを開始する
・1900年(明治33)3月12日 旧来の法規を整理し、「(旧)郵便法」が公布される
・1900年(明治33)10月1日 「(旧)郵便法」などが施行される
・1916年(大正5) 簡易保険が創業する
・1921年(大正10) 国内航空郵便を開始する
・1943年(昭和18) 逓信省を廃止、通信院を運輸通信省の外局として設置する
・1945年(昭和20) 運輸通信省の廃止にともない通信院を、逓信院に改めて内閣に移管する
・1946年(昭和21) 逓信省を再発足する
・1947年(昭和22)12月 「(新)郵便法」が公布される
・1948年(昭和23)1月1日 「(新)郵便法」が施行される
・1949年(昭和24)6月 逓信省を郵政省と電気通信省に分割する
・1966年(昭和41) 第五種郵便物を廃止し、第一種郵便物に統合する
・1968年(昭和43) 郵便番号(3桁又は5桁)を実施する
・1970年(昭和45) 角型ポストが登場する
・1979年(昭和54) 毎月23日をふみの日として定める、電話自動化が完了し郵便局での電話交換業務が終了する
・1981年(昭和56) 電子郵便が登場する
・1983年(昭和58) ふるさと小包が誕生する
・1984年(昭和59) 国際電子郵便の取り扱いが始まる
・1986年(昭和61) 鉄道輸送を廃止する
・1989年(平成元) ふみカード(プリペイドカード)を発行、カタログ小包制度を新設する
・1998年(平成10) 郵便番号(7桁)を実施する
・2001年(平成13) 中央省庁再編に伴い、郵政省は自治省、総務庁とともに総務省 へ、事業部門は 郵政事業庁(総務省外局)へ移行する
・2003年(平成15) 日本郵政公社へ移行する
・2005年(平成17) 「郵政民営化法」が公布される
・2007年(平成19) 郵政事業民営化により日本郵政グループへ移行し、郵便は郵便事業(初代日本郵便)が手掛ける業務となる
・2012年(平成24) 郵政事業民営化見直しに伴い、日本郵便が手掛ける業務となる(郵便事業が郵便局に吸収合併されたため)
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
1941年(昭和16) | 「国民学校令」が公布される | 詳細 |
1952年(昭和27) | 小説家・劇作家・俳人久米正雄の命日(三汀忌) | 詳細 |
1954年(昭和29) | 第五福竜丸が太平洋のビキニ環礁のアメリカ水爆実験で被曝する(ビキニデー) | 詳細 |