その速さから田鎖綱紀は「電筆将軍」と呼ばれるようになりました。1888(明治22)に、講習会の7周年記念会を開いた時に、この日が「速記記念日」として定められます。現在では日本速記協会が中心となり、ひろく国民に速記に関する関心を啓発する催し等が行われてきました。
日本では、1882年(明治15)9月16日に、田鎖綱紀が『時事新報』にグラハム式を参考にした日本傍聴記録法として発表、10月28日には、日本傍聴筆記法講習会を開設し、田鎖式速記の指導を開始します。1888年(明治22)に、講習会の7周年記念会を開いた時に、10月28日が「速記記念日」として定められました。
1890年(明治24)に帝国議会が開設され、議会速記が必要とされる時代を迎え、1906年(明治39)に熊崎(くまざき)式(熊崎健一郎創案)、1914年(大正3)には、中根(なかね)式(中根正親創案)が発表されます。1918年(大正7)に帝国議会では、速記練習生を募集し内部養成する方針に転換され、1920年(大正9)には、日本速記協会結成され、機関誌「日本速記協会雑誌」が発刊されました。
1930年(昭和5)に早稲田(わせだ)式(川口渉創案)が発表され、1932年(昭和7)に速記発表50周年記念全国速記者大会が開催され、1936年(昭和11)には、第1回速記技術認定試験が実施されるようになります。1942年(昭和17)に衆議院式標準符号が定められ、1944年(昭和19)には、ソクタイプ(川上晃(あきら)創案)が特許を受け、最高裁判所書記官研修所に採用されました。
太平洋戦争後、衆議院速記者養成所、参議院速記者養成所は、各機関の速記者養成を目標としたものでしたが、2006年(平成18)に閉所され、2008年(平成20)に参議院では、担当職員がモニターで音声と映像を確認してパソコン入力する方式となり、2011年(平成23)に、衆議院では、音声認識システムが導入されるようになります。また、地方議会でも、手書き速記が廃止されてきました。