ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

タグ:軍需産業

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 今日は、昭和時代前期の1942年(昭和17)に、「企業整備令」が公布され、平和的民需産業である中小企業の整理・淘汰が強制されるようになった日です。
 「企業整備令」(きぎょうせいびれい)は、太平洋戦争下に「国家総動員法」に基づいて、中小企業の整理・淘汰について法的強制力を付与した勅令(昭和17年勅令第503号)でした。遊休設備をもつ民需産業の再編・統合、軍需産業への転換を目的としています。
 本法には、整備統合する業種は掲載されていませんが、同法公布前後に業種別、または商業部門について整備統合のための要綱などが出されました。当初は、行政指導による整備が困難な場合に発動するという方針がとられ、自主的な整備を保証する根拠として機能したものの、1943年(昭和18)6月の「戦力増強企業整備基本要綱」の閣議決定以降は、新たな段階に入り、政府の強制的な整備命令の根拠となります。
 太平洋戦争敗戦後の1945年(昭和20)10月24日の「工場事業場管理令等廃止ノ件」(昭和20年勅令第601号)によって、廃止されました。

〇「企業整備令」(昭和17年勅令第503号) 1942年(昭和17)5月13日公布

第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム以下同ジ)第十六条ノ二ノ規定ニ基ク事業ニ属スル設備又ハ権利(水ノ使用ニ関スル権利ヲ除ク以下同ジ)ノ讓渡其ノ他ノ処分、出資、使用又ハ移動ニ関スル命令及国家総動員法第十六条ノ三ノ規定ニ基ク事業ノ委託、讓渡、廃止若ハ休止又ハ法人ノ合併若ハ解散ニ関スル命令ニ付テハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル

第二条 本令ハ国民経済ノ総力発揮ニ資スル為企業ヲ整備シ又ハ之ガ為事業ニ属スル設備若ハ権利ノ利用ヲ有效ナラシムルコトヲ目的トス

第三条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ物資ノ生產(加工ヲ含ム以下同ジ)、修理、販売、輸出、輸入又ハ保管ノ事業ニシテ主務大臣ノ指定スルモノニ属スル設備又ハ権利ニ付一般的ニ讓渡其ノ他ノ処分、出資、使用又ハ移動ヲ制限又ハ禁止スルコトヲ得
 前項ノ設備又ハ権利ハ主務大臣之ヲ指定ス

第四条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ物資ノ生產、修理、販売、輸出、輸入又ハ保管ノ事業ニシテ主務大臣ノ指定スルモノニ付一般的ニ当該事業ノ全部又ハ一部ノ讓渡、廃止又ハ休止ヲ制限又ハ禁止スルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依リ主務大臣ノ指定スル事業ヲ営ム法人ノ合併又ハ解散ノ決議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ

第五条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ物資ノ生產、修理、販売、輸出、輸入若ハ保管ノ業ヲ営ム者(以下事業主ト称ス)又ハ主務大臣ノ指定スル法人ニ対シ其ノ事業ニ属スル設備若ハ権利ノ讓渡若ハ貸渡ヲ命ジ又ハ事業主若ハ主務大臣ノ指定スル法人ニ対シ当該設備若ハ権利ノ讓受若ハ借受ヲ命ズルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ハ他ノ法令ニ拘ラズ讓渡又ハ貸借ヲ為スコトヲ得

第六条 前条ノ場合ニ於ケル讓渡又ハ貸借ノ条件ハ当事者゙間ノ協議ニ依ル
 前項ノ協議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
 第一項ノ協議調ハズ又ハ協議ヲ為スコト能ハザルトキハ主務大臣ハ讓渡又ハ貸借ニ関シ必要ナル決定ヲ為スコトヲ得

第七条 知レタル担保権ノ目的タル設備又ハ権利ニ付第五条第一項ノ規定ニ依ル讓渡又ハ讓受ノ命令アリタル場合ニ於テ当該担保権ヲ消滅セシムルニ非ザレバ企業ヲ整備シ又ハ当該設備若ハ権利ノ利用ヲ有効ナラシムルコト困難ナルトキハ当事者ハ担保権ノ処理ニ付担保権者ニ協議スルコトヲ得
 前項ノ協議調ハズ又ハ協議ヲ為スコト能ハザルトキハ当事者又ハ担保権者ハ当該事項ニ付主務大臣ノ裁定ヲ申請スルコトヲ得

第八条 前条ノ規定ハ知レタル賃借権其ノ他ノ権利ノ目的タル設備又ハ権利ニ付第五条第一項ノ規定ニ依ル命令アリタル場合ニ之ヲ準用ス

第九条 讓渡ヲ受クル設備又ハ権利ニ付知レタル担保権ノ存スル場合ニ於テ当該担保権ガ第七条ノ規定ニ依リ消滅スルトキハ当該設備又ハ権利ノ讓渡価格ヲ支払フベキ者ハ其ノ讓渡価格ヲ供託スルコトヲ要ス但シ同条ノ協議又ハ裁定ニ於テ別段ノ定ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
 前項ノ場合ニ於テハ当該担保権者ハ供託金ニ対シ其ノ権利ヲ行フコトヲ得

第十条 主務大臣ハ第五条第一項ノ規定ニ依リ事業ニ属スル設備ノ讓渡又ハ貸渡ノ命令ヲ為シタル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ第六条ノ協議又ハ決定前ト雖モ当該設備ヲ占有スル者ニ対シ必要ナル事項ヲ指定シテ当該設備ノ讓受又ハ借受ヲ為スベキ者ニ当該設備ヲ使用セシムベキコトヲ命ズルコトヲ得
 前項ノ場合ニ於テ主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ当該設備ノ讓受又ハ借受ヲ為スベキ者ヲシテ相当ノ担保ヲ供託セシムルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依リ供託シタルモノノ処理ニ付テハ第六条ノ協議又ハ決定ニ於テ必要ナル定ヲ為スベシ

第十一条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ事業主ニ対シ其ノ事業ニ属スル設備又ハ権利ヲ株式会社、株式合資会社又ハ有限会社ニ出資スベキコトヲ命ズルコトヲ得此ノ場合ニ於テ主務大臣ハ出資ノ相手方タル会社ニ対シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
 第五条第二項及第六条乃至第八条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
 出資スル設備又ハ権利ニ付知レタル担保権ノ存スル場合ニ於テ当該担保権ガ前項ニ於テ準用スル第七条ノ規定ニ依リ消滅スルトキハ当該担保権者ハ出資ニ対シ割当テラレタル株式又ハ持分ノ上ニ質権ヲ有ス但シ同条ノ協議又ハ裁定ニ於テ別段ノ定ヲ為シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
 前項ノ質権ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第十二条 事業ニ属スル設備ニ付第五条第一項又ハ前条第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ハ当該設備ノ滅失、毀損其ノ他已ムヲ得ザル事由ニ因リ命令ニ応ズルコト能ハザルニ至ルベキトキハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ遅滞ナク之ヲ主務大臣ニ報吿スベシ
 前項ノ規定ハ事業ニ属スル権利ニ付第五条第一項又ハ前条第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ニ之ヲ準用ス

第十三条 第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依ル讓渡、貸渡又ハ出資ノ命令ヲ受ケタル者ハ讓渡、貸渡又ハ出資ニ支障ヲ及ボス処ナキ場合ヲ除クノ外主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ当該設備又ハ権利ヲ讓渡シ、貸渡シ其ノ他当該設備又ハ権利ニ関シ新ナル処分ヲ為スコトヲ得ズ

第十四条 第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ基キ事業ニ属スル設備又ハ権利ノ讓渡又ハ出資ヲ受ケタル者当該設備又ハ権利ニ付讓渡其ノ他ノ処分ヲ為サントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ

第十五条 事業ニ属スル設備又ハ権利ニ関シ強制競売手続、国税徴収法ニ依ル強制徴収手続、土地收用法ニ依ル使用若ハ收用ノ手続又ハ国家総動員法第十条若ハ第十三条ノ規定ニ基ク使用若ハ收用ノ手続其ノ他此等ノ手続ニ準ズベキモノノ進行中ナルトキハ其ノ進行中ニ限リ当該設備又ハ権利ニ関シテハ第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ハ之ヲ適用セズ

第十六条 工場財団又ハ鉱業財団ニ属スルモノハ第七条(第十一条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ規定ニ依リ担保権ノ消滅シタル場合ヲ除クノ外第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ基キ讓渡又ハ出資アリタル後ト雖モ仍原財団ニ属スルモノトス

第十七条 主務大臣ハ第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ基キ事業ニ属スル設備又ハ権利ヲ讓渡又ハ出資シタル者ヲシテ第十八条ノ規定ニ依リ債務ノ承継アリタル場合ヲ除クノ外讓渡又ハ出資ヲ受ケタル者ガ担保権ノ実行ニ因リ受クルコトアルベキ損失ノ補償ニ充ツル為命令ノ定ムル所ニ依リ相当ノ担保ヲ供託セシムルコトヲ得
 讓渡又ハ出資ヲ受ケタル者ハ前項ノ規定ニ依リ供託セラレタルモノノ上ニ質権ヲ有ス

第十八条 主務大臣ハ第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依リ事業ニ属スル設備又ハ権利ノ讓渡又ハ出資ヲ命ジタル場合ニ於テ讓渡又ハ出資シタル者ヲシテ当該設備又ハ権利ヲ担保トスル債務ヲ引続キ負担セシメ置クコトヲ適当ナラズト認ムルトキハ国家総動員法第十八条ノ二ノ規定ニ基キ命令ノ定ムル所ニ依リ讓渡又ハ出資ヲ受ケタル者ヲシテ当該債務ノ全部又ハ一部ヲ承継セシムルコトヲ得
 前項ノ場合ニ於ケル承継価格其ノ他ノ承継ニ関スル条件ハ当事者間ノ協議ニ依ル
 第六条第二項及第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第十九条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ事業主ニ対シ事業ノ委託、受託、讓渡若ハ讓受又ハ事業主タル会社ノ合併ヲ命ズルコトヲ得
 第五条第二項、第六条乃至第十条及第十二条乃至前条ノ規定ハ前項ノ規定ニ依リ事業ノ讓渡又ハ讓受ノ命令アリタル場合ニ之ヲ準用ス
 第五条第二項及第六条ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依リ事業ノ委託若ハ受託又ハ会社ノ合併ノ命令アリタル場合ニ之ヲ準用ス

第二十条 第六条(第十一条第二項、第十八条第三項及前条第二項第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ協議若ハ決定、第七条(第八条、第十一条第二項及前条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ協議若ハ裁定又ハ第十八条ノ協議ニ基キ会社ガ事業ノ讓渡、合併其ノ他当該協議、決定又ハ裁定ニ於テ定メラレタル事項ノ実行ヲ為サントスルニ付株主総会又ハ之ニ準ズベキモノノ決議、同意等ヲ必要トスル場合ニ於テ其ノ決議、同意等ヲ得ルコト能ハザルトキハ会社ハ主務大臣ノ認可ヲ受ケ当該事項ノ実行ヲ為スコトヲ得

第二十一条 本令ニ規定スルモノノ外第六条(第十一条第二項、第十八条第三項及第十九条第二項第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ決定及第七条(第八条、第十一条第二項及第十九条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)ノ裁定並ニ第五条第一項又ハ第十一条第一項ノ規定ニ依リ事業ニ属スル設備又ハ権利ノ讓渡又ハ出資ヲ命ジタル場合及第十九条第一項ノ規定ニ依リ事業ノ讓渡ヲ命ジタル場合ニ於ケル讓渡又ハ出資シタル者ノ負担スル債務ノ承継及担保ノ処理ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第二十二条 主務大臣ハ必要アリト認ムルトキハ事業主ニ対シ事業ノ全部又ハ一部ノ廃止又ハ休止ヲ命ズルコトヲ得
 第五条第二項ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス

第二十三条 国家総動員法第二十七条ノ規定ニ基キ補償スベキ損失ハ前条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ因ル通常生ズベキ損失トス
 前項ノ規定ニ依ル損失補償請求ノ時期ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第二十四条 主務大臣ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ事業主、第五条ノ規定ニ依リ主務大臣ノ指定スル法人其ノ他関係者ヨリ必要ナル報吿ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ工場、事業場、店舖、倉庫其ノ他ノ場所ニ臨検シ業務ノ状況若ハ帳簿書類、設備其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
 前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帶セシムベシ

第二十五条 主務大臣ハ本令ニ定ムル職権ノ一部ヲ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監ヲ含ム)又ハ当該主務大臣ノ所轄スル官衙ノ長ニ委任スルコトヲ得
 前項ノ規定中地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監ヲ含ム)ニ関スル規定ハ樺太及南洋群島ニハ之ヲ適用セズ

第二十六条 第五条、第六条(第十一条第二項及第十八条第三項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第七条(第八条及第十一条第二項ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第十条乃至第十四条、第十七条、第十八条、第二十条(事業ノ委託、受託、讓渡、讓受及会社ノ合併ニ関スル場合ヲ除ク)及第二十四条中主務大臣トアルハ軍事上特ニ必要アル設備又ハ権利ニ付テハ陸軍大臣又ハ海軍大臣トス
 前項ノ場合ヲ除クノ外本令中主務大臣、他ノ大臣、所管大臣又ハ当該大臣トアルハ朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トス
 条中地方長官(東京府ニ在リテハ前警視総監ヲ含ム)トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長トス

第二十七条 主務大臣本令ニ依リ命令ヲ為サントスル場合ニ於テ当該設備若ハ権利ノ属スル事業又ハ当該事業ガ他ノ大臣ノ所管ニ属スルモノナルトキハ当該所管大臣ニ協議スベシ但シ陸軍大臣又ハ海軍大臣軍機保護上特ニ必要アル設備又ハ権利ニ付命令ヲ為サントスル場合ハ此ノ限ニ在ラズ
 主務大臣本令ニ依リ命令ヲ為サントスル場合ニ於テ当該命令ガ軍事上ニ影響ヲ及ボスベキモノナルトキハ陸軍大臣又ハ海軍大臣ニ協議スベシ
 主務大臣本令ニ依リ命令ヲ為サントスル場合ニ於テ当該事項ガ他ノ法令ニ基キ他ノ大臣ノ許可、認可、承認、免許等ヲ要スルモノナルトキハ当該大臣ニ協議スベシ

附 則

 本令ハ昭和十七年五月十五日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十七年六月十五日ヨリ之ヲ施行ス

   「官報」より

 ※旧字を新字に直してあります。

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 今日は、昭和時代前期の太平洋戦争中の1944年(昭和19)に、「女子挺身隊勤労令」が公布・施行された日ですが、同時に「学徒勤労令」も出されています。
 「女子挺身隊勤労令(じょしていしんたいきんろうれい)」は、戦時下の深刻な労働力不足を補うために、主に未婚女性を軍需産業や食料生産に動員させるための勅令(昭和19年勅令第519号)でした。1943年(昭和18)6月に、「国民勤労報国協力令」が改正されると勤労報国隊は常時組織化され、無職の未婚女子に対して3~6ヶ月の勤労奉仕を要求するようになり、同年9月に「国内態勢強化方策」が閣議決定されると、14~25歳の未婚・無職・不在学の女子が居住地で女子挺身隊に組織されます。
 翌年3月から強制的になり、6月からは12歳にまで引き下げられました。その法令上の措置として、1944年(昭和19)8月23日に公布・施行されたのが「女子挺身隊勤労令」で、「学徒勤労令」と同じ日の公布・施行となります。
 同令により、1年間の勤労動員が義務づけられ、違反者には「国家総動員法」により、1年以下の懲役または1,000円以下の罰金が科せられるようになって、14歳から40歳までの女性が軍需工場などの戦争遂行体制に動員さました。しかし、戦局が悪化したため本土決戦に備え、1945年(昭和20年)3月6日に公布・施行された「国民勤労動員令」に、労務関係の他の4勅令(国民徴用令、労務調整令、学校卒業者使用制限令、国民勤労報国協力令)と共に、一本化されて廃止されます。
 以下に、「女子挺身隊勤労令」を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「女子挺身隊勤労令」(全文) 1944年(昭和19)8月23日公布・施行

女子挺身隊勤労令 (昭和19年勅令第519号)

第一条 勤労常時要員トシテノ女子(学徒勤労令ノ適用ヲ受クベキ者ヲ除ク)ノ隊組織(以下女子挺身隊ト称ス)ニ依ル勤労協力ニ関スル命令ニシテ国家総動員法第五条ノ規定ニ基クモノ並ニ当該命令ニ依ル勤労協力ヲ為スベキ者及女子挺身隊ニ依ル従業ヲ為ス者ノ雇入、使用、就職、従業又ハ給与其ノ他ノ従業条件ニ関スル命令ニシテ同法第六条ノ規定ニ基クモノニ関シテハ本令ノ定ムル所ニ依ル

第ニ条 国家総動員法第五条ノ規定ニ依ル命令ニ依リ女子ガ女子挺身隊ニ依リ為ス勤労協力(以下挺身勤労ト称ス)ハ国、地方公共団体又ハ厚生大臣若ハ地方長官(東京都ニ在リテハ警視総監以下同ジ)ノ指定スル者ノ行フ命令ヲ以テ定ムル総動員業務ニ付之ヲ為サシムルモノトス

第三条 挺身勤労ヲ為スベキ者(以下隊員ト称ス)ハ国民職業能力申告令ニ依ル国民登録者タル女子トス
2 前項該当者以外ノ女子ハ志願ヲ為シタル場合ニ限リ隊員ト為スコトヲ得ルモノトス

第四条 引続キ挺身勤労ヲ為サシムル期間ハ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外概ネ一年トス
2 隊員ヲシテ引続キ一年ヲ超エ挺身勤労ヲ為サシムル場合ニ於テハ隊員ノ同意アルコトヲ要ス

第五条 挺身勤労ヲ受ケントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ地方長官ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ

第六条 地方長官前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタル場合ニ於テ女子挺身隊ヲ出動セシムル必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ市町村長(市町村長ニ準ズベキモノヲ含ミ東京都ノ区ノ存スル区域並ニ京都市、大阪市、名古屋市、横浜市及神戸市ニ在リテハ区長トス以下同ジ)其ノ他ノ団体ノ長又ハ学校長ニ対シ隊員ト為ルベキ者ヲ選抜スベキコトヲ命ズルモノトス

第七条 前条ノ命令ヲ受ケタル者ハ本人ノ年齢、身体ノ状態、家庭ノ状況等ヲ斟酌シ隊員ト為ルベキ者ヲ選抜シ之ヲ地方長官ニ報告スベシ

第八条 地方長官ハ前条ノ規定ニ依ル報告アリタル者ノ中ヨリ隊員ヲ決定シ本人ニ其ノ旨ヲ挺身勤労令書ニ依リ通知シ挺身勤労ニ関シ必要ナル事項ヲ指示スルモノトス

第九条 前条ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル者ハ同条ノ規定ニ依ル指示ニ従ヒ挺身勤労ヲ為スベシ

第十条 挺身勤労ヲ為ス場合ノ女子挺身隊ノ組織及運営並ニ其ノ隊員ノ規律ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第十一条 地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特別ノ事情アル場合ニ於テハ挺身勤労ノ全部又ハ一部ノ停止ニ関シ必要ナル措置ヲ為スコトヲ得

第十二条 挺身勤労ニ要スル経費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外其ノ挺身勤労ヲ受クル者之ヲ負担スルモノトス

第十三条 厚生大臣(軍需省所管企業ニ於ケル勤労管理及給与ニ関スル事項ニ付テハ軍需大臣)又ハ地方長官必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ挺身勤労ヲ受クル事業主ニ対シ隊員ノ使用又ハ給与其ノ他ノ従業条件ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
2 隊員ガ業務上負傷シ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於ケル本人又ハ其ノ遣族ノ扶助ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第十四条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ隊員ト為サザルモノトス但シ隊員ニシテ第一号又ハ第二号ニ該当スルニ至リタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
 一 陸海軍軍属
  二 陸軍大臣若ハ海軍大臣ノ所管ニ属スル官衙(部隊及学校ヲ含ム)又ハ厚生大臣ノ指定スル工場、事業場其ノ他ノ場所ニ於テ軍事上必要ナル総動員業務ニ従事スル者
  三 法令ニ依リ拘禁中ノ者

第十五条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ志願ニ依ル場合ヲ除クノ外隊員ト為サザルモノトス
 一 厚生大臣ノ指定スル総動員業務ニ従事スル者
  二 家庭生活ノ根軸タル者
  三 其ノ他厚生大臣ノ指定スル者

第十六条 厚生大臣又ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ挺身勤労ニ関シ市町村長其ノ他ノ団体ノ長若ハ学校長又ハ隊員若ハ挺身勤労ヲ受クル事業主ヲ監督ス

第十七条 地方長官必要アリト認ムル場合ニ於テハ国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ挺身勤労ヲ為サザル者ニ対シ第五条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ニ係ル工場、事業場其ノ他ノ場所ニ就職スルコトヲ命ズルコトヲ得
2 前項ノ工場、事業場其ノ他ノ場所ノ事業主ハ国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ同項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ヨリ就職申出ヲ受ケタルトキハ之ヲ雇入ルルコトヲ要ス
3 厚生大臣(軍需省所管企業ニ於ケル勤労管理及給与ニ関スル事項ニ付テハ軍需大臣)又ハ地方長官必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者又ハ前項ノ事業主ニ対シ第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者ノ使用、従業又ハ給与其ノ他ノ従業条件ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
4 第十三条第二項ノ規定ハ第一項ノ規定ニ依ル命令ヲ受ケタル者又ハ其ノ遺族ノ扶助ニ之ヲ準用ス

第十八条 第十三条ノ規定ハ地方長官又ハ国民勤労動員署長ノ為ス指導又ハ勧奨ニ基キ女子ガ女子挺身隊ニ依リ第二条ノ規定ニ依ル総動員業務ニ付工場、事業場其ノ他ノ場所ニ於テ従業スル場合ニ之ヲ準用ス

第十九条 地方長官必要アリト認ムルトキハ本令ニ依ル其ノ事務ノ一部ヲ国民勤労動員署長ヲシテ分掌セシムルコトヲ得

第二十条 第十三条(第十七条第四項及第十八条ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)、第十六条並ニ第十七条第二項及第三項ノ規定ハ事業主タル国及都道府県ニ之ヲ適用セズ

第二十一条 本令中厚生大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長トシ市町村長トアルハ朝鮮ニ在リテハ府尹(京城府ニ在リテハ区長)又ハ邑面長、台湾ニ在リテハ市長又ハ郡守(澎湖庁ニ在リテハ庁長)トシ国民勤労動員署長トアルハ朝鮮ニ在リテハ府尹、郡守又ハ島司、台湾ニ在リテハ市長又ハ郡守(澎湖庁ニ在リテハ庁長)トシ都道府県トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、台湾ニ在リテハ州又ハ庁トス

第二十二条 挺身勤労ニハ国民勤労報国協力令ハ之ヲ適用セズ

第二十三条 本令ニ規定スルモノノ外挺身勤労ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

  附 則

本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

         「官報」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1914年(大正3)第一次世界大戦で、「日英同盟」を理由に日本がドイツに宣戦布告する詳細
1942年(昭和17)日本画家竹内栖鳳の命日詳細
1944年(昭和19)学徒勤労令」が公布・施行される詳細


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 今日は、昭和時代前期の太平洋戦争中の1944年(昭和19)に、「学徒勤労令」が公布・施行された日ですが、同時に「女子挺身隊勤労令」も出されています。
 昭和時代前期の日中戦争最中の1938年(昭和13)6月に、文部省「集団的勤労作業実施に関する通牒」が出され、すでに学生・生徒は長期休業中に3~5日勤労奉仕することを義務づけられていました。
 それを恒常化したのが1939年(昭和14)の木炭や食料の増産運動からで、学生・生徒は正課として作業に参加することになったのです。
 さらに、1941年(昭和16)2月には、年間30日の授業を勤労作業にあててよいという指示が出され、同年8月には学校報国隊が結成されました。
 その後、太平洋戦争に突入し、軍需部門を中心に労働力不足が深刻化したため、1943年(昭和18)6月に、東条内閣は各学校の軍事教練強化を命じ、翌年1月には勤労動員は年間4ヶ月を継続して行うことが義務づけられ、3月には通年実施と決定し、どんどん拡大していきます。
 その法令上の措置として、1944年(昭和19)8月23日に公布・施行されたものが、「学徒勤労令」で、同じ日に「女子挺身隊勤労令」も出されました。
 その後、動員は徹底的に強化され、11月には夜間学校の学徒や弱体のためそれまで動員から除外されていた学徒の動員が拓令されます。また、12月には中等学校卒業者の勤労動員継続の措置がきまり、翌年3月卒業後も引き続いて学徒勤労を継続させるため中等学校に付設課程を設け、これに進学させることとしました。このような学徒の全面的な動員に対して、政府は12月「動員学徒援護事業要綱」を閣議決定し、これに基づいて動員学徒援護会が設置されたのです。
 以後、この勅令は、昭和20年勅令第96号および同勅令第510号により2度改正がなされて、強化されました。
 この結果、敗戦時での動員学徒数は340万人を超えたといわれ、学徒動員による空襲等による死亡者は10,966人、傷病者は9,789人にも及んだのです。
 しかし、太平洋戦争敗戦後の「国民勤労動員令廃止等ノ件」(昭和20年勅令第566号)により、1945年(昭和20)10月11日をもって、この勅令は廃止されることになりました。
 以下に、最初に出された「学徒勤労令」の全文を掲載しておきます。

〇「学徒勤労令」(全文)1944年(昭和19)8月23日に公布・施行

学徒勤労令 (昭和19年勅令第518号)

第一条 国家総動員法第五条ノ規定ニ基ク学徒(国民学校初等科及之ニ準ズベキモノノ児童並ニ青年学校ノ生徒ヲ除ク)ノ勤労協力及之ニ関連スル教職員ノ勤労協力(以下学徒勤労ト総称ス)ニ関スル命令並ニ同法第六条ノ規定ニ基ク学徒勤労ヲ為ス者ノ使用又ハ従業条件ニ関スル命令ニシテ学徒勤労ヲ受クル者ニ対スルモノニ付テハ当分ノ内本令ノ定ムル所ニ依ル

第ニ条 学徒勤労ハ教職員及学徒ヲ以テスル隊組織(以下学校報国隊ト称ス)ニ依ルモノトス但シ命令ヲ以テ定ムル特別ノ場合ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ学校報国隊ニ依ラザルコトヲ得

第三条 学徒勤労ニ当リテハ勤労即教育タラシムル様力ムルモノトス

第四条 学徒勤労ハ国、地方公共団体又ハ厚生大臣若ハ地方長官(東京都ニ在リテハ警視総監)ノ指定スル者ノ行フ命令ヲ以テ定ムル総動員業務ニ付之ヲ為サシムルモノトス

第五条 引続キ学徒勤労ヲ為サシムル期間ハ一年以内トス

第六条 学校報国隊ニ依ル学徒勤労ニ付其ノ出動ヲ求メントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ文部大臣又ハ地方長官ニ之ヲ請求又ハ申請スベシ学校ノ校地、校舎、設備等ヲ利用シテ為ス学校報国隊ニ依ル学徒勤労ニ付亦同ジ

第七条 前条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ハ厚生大臣又ハ地方長官(東京都ニ在リテハ警視総監)ガ割当テタル人員ノ範囲内ニ於テ之ヲ為スモノトス但シ命令ヲ以テ定ムル特別ノ場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ

第八条 文部大臣又ハ地方長官第六条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請アリタルトキハ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外学校長ニ対シ学徒勤労ヲ受クベキ者、作業ノ種類、学徒勤労ヲ為スベキ場所及期間並ニ所要人員数其ノ他必要ナル事項ヲ指定シテ学校報国隊ノ出動ニ関シ必要ナル措置ヲ命ズルモノトス

第九条 前条ノ措置ヲ命ゼラレタル学校長ハ命令ノ定ムル所ニ依リ学校報国隊ニ依ル学徒勤労ヲ為スベキ者ヲ選定シ其ノ選定アリタル旨ヲ本人ニ通知シ学徒勤労ニ関シ必要ナル事項ヲ指示スベシ

第十条 命令ヲ以テ定ムル特別ノ場合ニ於テハ第六条ノ規定ニ依ル請求又ハ申請ハ之ヲ当該学校長ニ為スモノトス
2 前項ノ場合ニ於テ学校長ハ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外直ニ前条ニ規定スル措置ヲ為スモノトス

第十一条 前二条ノ規定ニ依ル通知ヲ受ケタル者ハ同条ノ規定ニ依ル指示ニ従ヒ学校報国隊ニ依ル学徒勤労ヲ為スベシ

第十二条 文部大臣又ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特別ノ事情アル場合ニ於テハ学校報国隊ニ依ル学徒勤労ノ全部又ハ一部ノ停止ニ関シ必要ナル措置ヲ為スコトヲ得

第十三条 隊長タル学校長又ハ教職員ハ当該学校報国隊ノ隊員ノ学徒勤労ニ関シ其ノ隊員ヲ指揮監督ス

第十四条 文部大臣又ハ地方長官ハ学徒勤労ヲ受クル工場、事業場等ノ職員ニ対シ学徒勤労ノ指導ニ関スル事務ヲ嘱託スルコトヲ得

第十五条 学徒勤労ニ要スル経費ハ命令ノ定ムル所ニ依リ特別ノ事情アル場合ヲ除クノ外学徒勤労ヲ受クル者之ヲ負担スルモノトス

第十六条 厚生大臣(軍需省所管企業ニ於ケル勤労管理及給与ニ関スル事項ニ付テハ軍需大臣)及文部大臣又ハ地方長官(東京都ニ在リテハ警視総監ヲ含ム)必要アリト認ムルトキハ国家総動員法第六条ノ規定ニ基キ学徒勤労ヲ受クル事業主ニ対シ学徒勤労ヲ為ス者ノ使用又ハ従業条件ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
2 学徒勤労ヲ為ス者ガ業務上負傷シ、疾病ニ罹リ又ハ死亡シタル場合ニ於ケル本人又ハ其ノ遣族ノ扶助ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第十七条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ学徒勤労ヲ為サシメザルモノトス但シ学徒勤労ヲ為ス者ニシテ第三号ニ該当スルニ至リタルモノハ此ノ限ニ在ラズ
 一 陸海軍軍人ニシテ現役中ノモノ(未ダ入営セザル者ヲ除ク)及召集中ノモノ(召集中ノ身分取扱ヲ受クル者ヲ含ム)
 二 徴用中ノ者
 三 陸軍大臣若ハ海軍大臣ノ所管ニ属スル官衙(部隊及学校ヲ含ム)又ハ厚生大臣ノ指定スル工場、事業場其ノ他ノ場所ニ於テ軍事上必要ナル総動員業務ニ従事スル者
 四 法令ニ依リ拘禁中ノ者

第十八条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ志願ニ依ル場合ヲ除クノ外学徒勤労ヲ為サシメザルモノトス
 一 厚生大臣ノ指定スル総動員業務ニ従事スル者
 二 其ノ他厚生大臣ノ指定スル者

第十九条 文部大臣又ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ学徒勤労ニ関シ学校長又ハ学徒勤労ヲ為ス者若ハ学徒勤労ヲ受クル事業主ヲ監督ス

第二十条 第六条乃至第十二条ノ規定ハ学校報国隊ニ依ラズシテ為ス学徒勤労ニ之ヲ準用ス

第二十一条 第十六条及第十九条ノ規定ハ事業主タル国及都道府県ニ之ヲ適用セズ

第二十二条 本令ニ於テ学徒ト称スルハ文部大臣ノ所轄ニ属スル学校ノ学徒ヲ謂ヒ学校ト称スルハ第十七条第三号ノ場合ヲ除クノ外文部大臣ノ所轄ニ属スル学校ノ長ヲ謂フ

第二十三条 前条ノ規定ハ朝鮮及台湾ニハ之ヲ適用セズ
2 第六条、第八条、第十二条及第十四条ノ中文部大臣トアルハ朝鮮ニ在ル学校ノ学徒ニ関シテハ朝鮮総督、台湾ニ在ル学校ニ関シテハ台湾総督トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在ル学校ノ学徒ニ関シテハ道知事、台湾ニ在ル学校ノ学徒ニ関シテハ州知事又ハ庁長トス
3 前項ノ場合ヲ除クノ外本令中厚生大臣トアリ又ハ文部大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ州知事又ハ庁長トス
4 本令中都道府県トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、台湾ニ在リテハ州又ハ庁トス

第二十四条 学徒勤労ニハ国民勤労報国協力令ハ之ヲ適用セズ

第二十五条 本令ニ規定スルモノノ外学徒勤労ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

  附 則

1 本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス
2 本令施行ノ際現ニ国民勤労報国協力令ニ依リテ為ス学校在学者ノ国民勤労報国隊ニ依ル協力ハ之ヲ本令ニ依ル学徒勤労ト看做ス

                            「官報」より
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