ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

タグ:賃金統制令

gunjyukoujyou002
 今日は、昭和時代前期の1939年(昭和14)に、「国家総動員法」第6条に基づいて、「従業者雇入制限令」(昭和14年勅令第126号)が公布(施行は同年4月20日)された日です。
 「従業者雇入制限令」(じゅうぎょうしゃやといいれせいげんれい)は、1938年(昭和13)4月1日に公布(同年5月5日施行)された、「国家総動員法」に基づいて、翌年3月31日に公布(施行は同年4月20日)された勅令(昭和14年勅令第126号)でした。厚生大臣が指定する職種(技術者9種類、職工84種の計93職種)の労働者のうち、年齢15歳以上50歳未満の男子で、他の雇用者に3ヶ月以上雇用されていた者、あるいは3ヶ月以上雇用された後、雇用を終了し6ヶ月以内の者については、新たに雇用する場合に職業紹介所長の認可を要するとしたものです。
 尚、同時に、「国家総動員法」に基づいて、「工場就業時間制限令」(昭和14年勅令第127号)、「賃金統制令」(昭和14年勅令第128号)、「学校技能者養成令」(昭和14年勅令第130号)、「工場事業場技能者養成令」(昭和14年勅令第131号)などが出されています。この勅令は、「従業者移動防止令」(昭和15年勅令第750号)に改正され、1940年(昭和15)11月20日で廃止されました。
 以下に、「従業者雇入制限令」(昭和14年勅令第126号)を掲載しておきましたので、ご参照下さい。

〇「従業者雇入制限令」(昭和14年勅令第126号) 1939年(昭和14)3月31日公布、同年4月10日施行

第一条 左ノ各号ノ一ニ該当スル者(以下従業者ト称ス)ノ国家総動員法第六条ノ規定ニ基ク雇入制限ハ本令ノ定ムル所ニ依ル
 一 年齢十六年以上五十年未満ノ男子ニシテ引続キ三月以上他人ニ雇傭セラレテ厚生大臣ノ指定スル職業ニ従事スルモノ
 二 年齢十六年以上五十年未満ノ男子ニシテ引続キ三月以上他人ニ雇傭セラレテ前号ノ職業ニ従事シ本令施行後ニ於テ其ノ雇傭ヲ終了シ且其ノ雇傭ヲ終了シタル日ヨリ厚生大臣ノ指定スル学校卒業者タル者ニ在リテハ一年、其ノ他ノ者ニ在リテハ六月ヲ経過セザルモノ
 三 引続キ三月以上工場事業場技能者養成令ノ養成工(以下養成工ト称ス)タル者
 四 引続キ三月以上養成工タリシ者ニシテ養成工タラザルニ至リタル日ヨリ六月ヲ経過セザルモノ

第二条 工場又ハ事業場ニ於テ使用スル為従業者ヲ雇入レントスル者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ前条第一号又ハ第三号ニ該当スル者ノ雇入ニ付テハ其ノ者ガ現ニ就業スル地ノ所轄職業紹介所長ノ、前条第二号ニ該当スル者ノ雇入ニ付テハ其ノ者ガ雇傭終了ニ至ル迄前条第一号ノ職業ニ従事シタル地ノ所轄職業紹介所長ノ、前条第四号ニ該当スル者ノ雇入ニ付テハ其ノ者ガ養成工タラザルニ至ル迄就業シタル地ノ所轄職業紹介所長ノ認可ヲ受クベシ前条第一号ノ職業ニ従事セシムル為従業者ヲ雇入レントスル者亦同ジ

第三条 職業紹介所長前条ノ認可ノ申請ニ付不正又ハ虚偽ノ事実アリト認ムルトキハ認可ヲ取消スコトヲ得

第四条 第二条ノ認可ニ関シ必要アル場合ニ於テハ同条ノ職業紹介所長及雇入ニ依リ従業者ノ就業スベキ地ノ所轄職業紹介所長ハ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ関係人ヨリ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ関係ノ工場、事業場若ハ事務所ニ臨検セシメ業務ノ状況若ハ帳簿書類ヲ検査セシムルコトヲ得
2 前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ

第五条 本令ハ市町村其ノ他之ニ準ズベキモノニ於テ従業者ヲ吏員トシテ採用スル場合ニ之ヲ準用ス

第六条 本令ハ国又ハ道府県ニ於ケル従業者ノ雇入ニハ之ヲ適用セズ

第七条 本令中厚生大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トシ職業紹介所長トアルハ朝鮮ニ在リテハ府尹、郡守又ハ島司、台湾ニ在リテハ市尹又ハ郡守(澎湖庁ニ在リテハ庁長)、樺太ニ在リテハ樺太庁支庁長、南洋群島ニ在リテハ南洋庁支庁長トシ道府県トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、台湾ニ在リテハ州又ハ庁、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トス

  附 則

本令ハ昭和十四年四月二十日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十四年八月一日ヨリ之ヲ施行ス

      「官報」より

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chingintouseirei01

 今日は、昭和時代前期の1939年(唱和14)に、「国家総動員法」に基づいて、「賃金統制令」(昭和14年勅令第128号)が公布(施行は同年4月10日)された日です。
 「賃金統制令(ちんぎんとうせいれい)」は、1938年(昭和13)に制定された「国家総動員法」の第6条に基づく勅令で、「従業者雇入制限令」と共に、軍需企業の賃金抑制のため従業員50人以上の事業場を対象に出されました。戦時下の労働力不足に伴い、賃金上昇の傾向があった時で、これを抑制するために、賃金規則の作成とその届出を義務づけ、未経験工採用の際の初給賃金を公定し、その諮問機関として中央および道府県に賃金委員会を設けたものです。
 この勅令で、軍需関係工業の初任給の1年間固定措置が臨時的にとられましたが、かえって賃金の部門間不均衡を生じさせたため、7月には指定工場の適用を鉱工業全部門に拡大、9月に女子の初給賃金も公定、10月には、「賃金臨時措置令」で9月18日現在の賃金で1年間凍結しました。翌年には、同令も10月20日に「賃金臨時措置令」を統合して全面改訂されます。
 これによって、政府は賃金決定権を全面的に留保し、以降は、地域別・男女別・職業別・業種別・年齢別・経験別の賃金の公定が進み、年功序列賃金制度の確立を促進しました。太平洋戦争敗戦後の「国家総動員法」廃止により、1946年(唱和21)9月30日に失効しています。
 以下に、制定当初の「賃金統制令」(昭和14年勅令第128号)を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「賃金統制令」(昭和14年勅令第128号)1939年(唱和14)3月31日公布、4月10日施行

第一条 国家総動員法第六条ノ規定ニ基ク労働者ノ賃金ノ統制ハ別ニ定ムルモノヲ除クノ外本令ノ定ムル所ニ依ル

第二条 本令ハ左ノ各号ノ一ニ該当スル事業ニ之ヲ適用ス
 一 工場法ノ適用ヲ受クル工場ニシテ厚生大臣ノ指定スル事業ヲ営ムモノ
 二 鉱業法ノ適用ヲ受クル事業
 三 其ノ他厚生大臣ノ指定スル事業

第三条 本令ニ於テ賃金ト称スルハ労働者ガ労務ノ対償トシテ事業主ヨリ受クル給与其ノ他ノ利益ヲ謂フ
2 賃金ノ範囲及評価ニ関シテハ命令ヲ以テ之ヲ定ム

第四条 常時五十人以上ノ労働者ヲ使用スル工場又ハ事業場ノ事業主ハ賃金規則ヲ作成シ地方長官(東京府ニ在リテハ警視総監以下之ニ同ジ)ニ届出ヅベシ之ヲ変更シタルトキ亦同ジ
2 賃金規則ニ定ムベキ事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
3 地方長官不適当ト認ムルトキハ賃金規則ノ変更ヲ命ズルコトヲ得

第五条 厚生大臣又ハ地方長官ハ命令ノ定ムル所ニ依リ未経験労働者ノ初給賃金ヲ定ムルコトヲ得
2 事業主未経験労働者ヲ雇入レタルトキハ命令ヲ以テ定ムル期間前項ノ規定ニ依ル初給賃金ニ準拠シ賃金ヲ支払フベシ但シ命令ニ別段ノ定アル場合ハ此ノ限ニ在ラズ

第六条 前条ノ場合ノ外地方長官労働者ニ支払ハレタル賃金ノ額又ハ其ノ支給方法著シク不適当ト認ムルトキハ事業主ニ対シ将来ニ向ツテ之ヲ変更スベキコトヲ命ズルコトヲ得

第七条 第二条第三号ノ規定ニ依ル事業ノ指定、第五条第一項ノ規定ニ依ル初給賃金ノ決定並ニ第四条第三項及前条ノ規定ニ依ル命令ハ賃金委員会ニ諮問シテ之ヲ為ス
2 賃金委員会ニ関スル規程ハ別ニ之ヲ定ム

第八条 厚生大臣又ハ地方長官必要アリト認ムルトキハ賃金ノ統制ニ関シ国家総動員法第三十一条ノ規定ニ基キ事業主ヨリ報告ヲ徴シ又ハ当該官吏ヲシテ工場、事業場、事務所其ノ他ノ場所ニ臨検シ帳簿書類ヲ検査セシムルコトヲ得
2 前項ノ規定ニ依リ当該官吏ヲシテ臨検検査セシムル場合ニ於テハ其ノ身分ヲ示ス証票ヲ携帯セシムベシ

第九条 本令ハ国又ハ道府県ノ事業ニハ之ヲ適用セズ

第十条 本令中地方長官トアルハ内地ニ於ケル鉱業法ノ適用ヲ受クル事業ニ付テハ鉱山監督局長トス

第十一条 本令中工場法ノ適用ヲ受クル工場トアルハ朝鮮、台湾又ハ南洋群島ニ在リテハ常時十人以上ノ労働者ヲ使用スル工場、樺太ニ在リテハ工場取締規則ノ適用ヲ受クル工場トシ鉱業法トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮鉱業令、台湾ニ在リテハ台湾鉱業規則、南洋群島ニ在リテハ南洋群島鉱業令トス
2 本令中厚生大臣トアルハ朝鮮ニ在リテハ朝鮮総督、台湾ニ在リテハ台湾総督、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トシ地方長官トアルハ朝鮮ニ在リテハ道知事、台湾ニ在リテハ台湾鉱業規則ノ適用ヲ受クル事業ニ付テハ台湾総督、其ノ他ノ事業ニ付テハ州知事又ハ庁長、樺太ニ在リテハ樺太庁長官、南洋群島ニ在リテハ南洋庁長官トシ道府県トアルハ朝鮮ニ在リテハ道、台湾ニ在リテハ州又ハ庁、南洋群島ニ在リテハ南洋群島地方費トス

  附 則

本令ハ昭和十四年四月十日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十四年八月一日ヨリ之ヲ施行ス

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1906年(明治39)政府が全国17の私鉄を買収することを定めた「鉄道国有法」を公布する詳細
物理学者朝永振一郎の誕生日詳細
1947年(昭和22)旧「教育基本法」が公布・施行される詳細
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