今日は、昭和時代中期の1950年(昭和25)に、「臨時石炭鉱業管理法」が廃止され、炭鉱の国家管理が終了した日です。
「臨時石炭鉱業管理法」(りんじせきたんこうぎょうかんりほう)は、炭鉱を国家管理する3年の時限立法でした。太平洋戦争敗戦後、日本での生産復興をめぐって、石炭増産を中心に据えて復興を図っていこうとし、そのために石炭産業の国家管理を打ち出したものです。
1947年(昭和22)9月に、社会党首班政権である片山内閣によって法案が国会に提出されましたが、国家管理される炭鉱主側が反発が強く、保守系会派と結んで抵抗した結果、生産現場の国家直接管理の方針は撤回され、経営者を通じた間接管理に修正され、炭鉱自体の経営権に触れる条項はなくなりました。その上で、一時的に石炭産業を政府の管理下に置き、商工省の下に石炭庁を設置、北海道札幌市、福島県平市(現在のいわき市)、山口県宇部市、福岡県福岡市に石炭局を置き、商工省・石炭局に諮問機関を置いて、政府指定の特定炭鉱で、政府が決定した事業計画の実施を強制する一方で、必要物資を優先的に調達するというものとなります。
そして、3年間の時限立法(1948年4月1日~)とされて、同年12月に修正案がようやく成立しました。その後、1948年(昭和23)10月15日の芦田均内閣崩壊による社会党下野によって廃止論が優勢となり、1950年(昭和25)5月20日に期限を半年余り残して、廃止されています。
以下に、「臨時石炭鉱業管理法」(昭和22年法律第219号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。
〇「臨時石炭鉱業管理法」(昭和22年法律第219号)1947年(昭和22)12月20日公布、翌年4月1日施行
第一章 総則
第一条 この法律は、産業の復興と経済の安定に至るまでの緊急措置として、政府において石炭鉱業を臨時に管理し、以て政府、経営者及び従業者がその全力をあげて石炭の増産を達成することを目的とする。
第二条 この法律で炭鉱とは、石炭の堀採を目的とする事業場(これに附属する事業場を含む。)をいう。
第三条 商工大臣その他この法律の施行の責に任ずる官吏及び炭鉱管理委員会の委員は、炭鉱の事業主が、生産協議会の議を経て定められた事項以外の事項について、炭鉱の従業者が組織する労働組合法に規定する労働組合と団体交渉をする権限と責任を尊重しなければならない。
第四条 この法律の規定に基いてした命令その他の処分及びこの法律の規定に基いて炭鉱の事業主がした行為は、炭鉱の事業主の承継人に対してもその効力を有する。
第二章 炭鉱の管理
第五条 炭鉱の事業主は、命令の定めるところにより、その経営する炭鉱ごとに毎年度の予定事業計画及び毎四半期の事業計画を作成して、所轄石炭局長に届け出なければならない。予定事業計画又は事業計画を変更したときも同様である。
石炭局長は、必要があると認めるときには、地方炭鉱管理委員会に諮つて、前項の事業計画の変更を命ずることができる。
事業主は、前項の命令が著しく不当であると認めるときには、商工大臣に対して不服の申立をすることができる。
商工大臣は、全国炭鉱管理委員会に諮つて、前項の申立を理由があると認めるときは、当該石炭局長に対して当該命令を取り消し、又は変更すべきことを命じなければならない。
第六条 炭鉱の事業主は、政府の監督に従い、事業計画の実施の責に任ずる。
第七条 炭鉱の事業主は、命令の定めるところにより、事業計画の実施状況を所轄石炭局長に報告しなければならない。
第八条 石炭庁長官又は石炭局長は、炭鉱の事業主の業務の状況に関し必要な報告をさせ、又は当該の官吏をして生産拡充用の資金及び資材の使途、生産の状況並びに拡充工事の達成状況に関して、監査させることができる。
前項の規定により当該の官吏に監査させる場合には、その身分を示す証票を携帯させなければならない。
第九条 この法律の規定による報告又は監査に基き必要があると認めるときには、石炭庁長官は、全国炭鉱管理委員会に、石炭局長は、地方炭鉱管理委員会に諮つて、炭鉱の事業主に対し、監督上必要な命令をすることができる。
第十条 炭鉱の事業主は、商工大臣の許可を受けなければ、その経営する石炭鉱業の全部又は一部を廃止し、又は休止してはならない。
商工大臣は、前項の許可をしようとするときには、全国炭鉱管理委員会に諮らなければならない。
第十一条 石炭鉱業の全部若しくは一部の賃貸、譲渡若しくは経営の委任又は炭鉱の事業主である会社の合併若しくは解散は、商工大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
商工大臣は、前項の認可をしようとするときには、全国炭鉱管理委員会に諮らなければならない。
第十二条 特に必要があると認めるときには、石炭庁長官は、全国炭鉱管理委員会に、石炭局長は、地方炭鉱管理委員会に諮つて、炭鉱の事業主に対し、その所有する設備又は資材を他の炭鉱の事業主に譲渡し、又は貸し渡すべきことを命ずることができる。
前項の規定により命令を受けた者は、他の法令の規定にかかわらず、譲り渡し、又は貸し渡すことができる。
第一項の場合における譲渡又は貸渡の条件は、当事者間の協議によりこれを定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときには、石炭庁長官又は石炭局長が、これを裁定する。
前項の裁定中対価について不服のある者は、その裁定の通知を受けた日から三十日以内に、訴を以てその金額の増減を請求することができる。
前項の訴においては、譲渡又は貸渡の当事者を被告とする。
第一項の規定による命令をする場合におけるその担保の処理その他必要な事項は、命令でこれを定める。
第三章 指定炭鉱の管理
第一節 指定炭鉱の指定
第十三条 商工大臣は、全国炭鉱管理委員会に諮つて、前章の規定によるの外、この章の規定による管理を行うべき炭鉱(指定炭鉱)を指定する。
前項の規定による指定の基準は、能率、生産費、品位、出炭量等に基いて、これを毎六箇月に定めるものとする。
第一項の規定による指定は、告示により、これを行う。
第十四条 商工大臣は、指定炭鉱について、この章の規定による管理を行う必要がなくなつたと認めるときには、全国炭鉱管理委員会に諮つて、その指定を取り消すことができる。
前条第三項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第二節 業務計画
第十五条 指定炭鉱の事業主は、第十七条の規定により、当該指定炭鉱につき、毎四半期の詳細な事業計画(業務計画)の案を作成し、所轄石炭局長に提出するものとする。
指定炭鉱については、前章中事業計画に関する規定は、これを適用しない。
第十六条 石炭局長は、地方炭鉱管理委員会に諮つて、指定炭鉱ごとにその業務計画の案の作成上基準となるべき事項を定めて、これを当該指定炭鉱の事業主に指示しなければならない。
第十七条 前条の規定による指示があつたときには、その指示に従い、命令の定めるところにより、指定炭鉱の事業主は、炭鉱管理者をして業務計画の案を作成せしめ、所轄石炭局長に提出しなければならない。
炭鉱管理者は、前項の案を作成する場合には、生産協議会の議を経なければならない。
前項の場合において、生産協議会の議を経ることができないときには、事業主は、当該業務計画の案を作成して提出するとともに、命令の定めるところにより、その旨を所轄石炭局長に報告しなければならない。
第十八条 石炭局長は、前条第一項又は第三項の規定による業務計画の案の提出があつたときには、これを審査した上で、地方炭鉱管理委員会に諮つて、当該指定炭鉱の業務計画を決定し、これを指定炭鉱の事業主及び炭鉱管理者に指示しなければならない。
前項の規定による指示があるまでは、事業主は、前条第一項又は第三項の規定により所轄石炭局長に提出した業務計画の案により、指定炭鉱の業務を行わなければならない。
第十九条 指定炭鉱の事業主は、やむを得ない事由により前条第一項の業務計画を変更する必要があると認めるときには、命令の定めるところにより、所轄石炭局長に、業務計画の変更案を提出することができる。
第十七条の規定は、前項の場合に、これを準用する。
石炭局長は、第一項の規定により業務計画の変更案の提出があつた場合において、業務計画を変更する必要があると認めるときには、遅滞なく、地方炭鉱管理委員会に諮つて、業務計画を変更し、これを事業主及び炭鉱管理者に指示しなければならない。
石炭局長は、特に必要があると認めるときには、地方炭鉱管理委員会に諮つて、指定炭鉱の業務計画を変更し、これを事業主及び炭鉱管理者に指示することができる。
第二十条 石炭局長は、指定炭鉱の業務計画の実施上必要があると認めるときには、地方炭鉱管理委員会に諮つて、指定炭鉱の事業主に対し、監督上必要な命令をし、又は必要な指示をすることができる。
指定炭鉱の事業主又は炭鉱管理者は、前項の命令又は指示に不服があるときには、命令の定めるところにより、商工大臣に対して、不服の申立をすることができる。
商工大臣は、全国炭鉱管理委員会に諮つて、前項の申立を理由があると認めるときには、当該石炭局長に対して、当該命令又は指示を取り消し、又は変更すべきことを命じなければならない。
第二十一条 指定炭鉱の事業主は、命令の定めるところにより、業務計画の実施状況を所轄石炭局長に報告しなければならない。
第三節 炭鉱管理者
第二十二条 指定炭鉱の事業主は、指定炭鉱の指定があつたとき、又は炭鉱管理者が欠けたときには、遅滞なく、指定炭鉱ごとに炭鉱管理者一人を選任しなければならない。
事業主は、前項の規定による選任をしたときには、その旨を商工大臣に届け出なければならない。
第二十三条 炭鉱管理者は、所轄石炭局長の監督を受け、当該炭鉱の最高能率の発揮を目途として、業務計画の実施の責に任ずる。
第二十四条 生産協議会の委員の定数の過半数に相当する委員が、炭鉱管理者を著しく不適任であると認めるときには、その旨を、所轄石炭局長を経由して、商工大臣に申し立てることができる。この場合には、商工大臣は、指定炭鉱の事業主の意見を徴した上で、全国炭鉱管理委員会に諮つて、事業主に対し、当該炭鉱管理者を解任すべきことを命ずることができる。
商工大臣は、炭鉱管理者が著しく不適任であると認めるときには、事業主の意見を徴した上で、全国炭鉱管理委員会に諮つて、事業主に対し、当該炭鉱管理者を解任すべきことを命ずることができる。
第二十五条 指定炭鉱の事業主は、業務計画の実施に関し、命令の定めるところにより、必要な権限を炭鉱管理者に委任しなければならない。
第四節 生産協議会
第二十六条 指定炭鉱ごとに生産協議会を置く。
第二十七条 生産協議会は、炭鉱管理者及び委員で、これを組織する。
委員は、業務委員及び労働委員とし、各々同数とする。
生産協議会の議長は、炭鉱管理者を以て、これに充てる。
第二十八条 生産協議会の委員の数は、命令の定めるところにより、炭鉱管理者が、これを定める。
炭鉱管理者は、必要があると認めるときには、生産協議会の議を経て、委員の数を増加し、又は減少することができる。但し、委員の数を減少するのは、委員の任期の満了した際に限る。
前二項の場合においては、炭鉱管理者は、遅滞なく、委員の数を、適当な方法で、公示しなければならない。
第二十九条 業務委員は、当該指定炭鉱の業務に従事する者の中から、炭鉱管理者が、これを選任する。
労働委員は、当該指定炭鉱の坑内従業者三坑外従業者二の比率とし、指定炭鉱の従業者の過数が労働組合を組織している場合において、その労働組合の数が一であるときにはその推薦により、労働組合の数が二以上であるときには、それらの労働組合の共同の推薦により、労働組合の推薦がない場合及び指定炭鉱の従業者の過半数が労働組合を組織していない場合には、当該指定炭鉱の従業者又はこれを代表する従業者の過半数の推薦により、炭鉱管理者が、これを選任する。
前項の従業者には、指定炭鉱の事業主の利益を代表すると認められる者を含まない。
第二項で労働組合とは、指定炭鉱ごとに組織する労働組合法に規定する労働組合をいう。
業務委員と労働委員とは、互にこれを兼ね、又は代理することができない。
第三十条 生産協議会の委員の選任は、第二十八条第一項の場合又は委員の任期が満了した場合には、同条第三項の規定による公示があつた日又は委員の任期が満了した日から二週間以内に全員につき同時に、委員が欠けた場合又は同条第二項の規定により委員の数が増加した場合には、委員が欠けた日又は同条第三項の規定による公示があつた日から二週間以内に、これを行わなければならない。
第三十一条 生産協議会の委員の任期は、一年とする。但し、補欠委員及び第二十八条第二項の規定により委員の数が増加した際にあらたに選任された委員の任期は、他の委員の残任期間と同一とする。
第三十二条 生産協議会の委員の選任が行われたときには、炭鉱管理者は、遅滞なく、その委員の氏名を所轄石炭局長に届け出なければならない。
第三十三条 生産協議会は、議長がこれを招集し、その議事は、出席した委員の過半数でこれを決する。但し、第三十五条第一項但書の場合には、出席した委員全員で、これを決する。
生産協議会は、業務委員及び労働委員各々一人以上が出席しなければ、議事を開くことができない。
議長は、いかなる場合においても、議決に加わることができない。
第三十四条 炭鉱管理者は、業務計画の実施に関し、左に掲げる事項の基本について、生産協議会の議を経てこれを定めなければならない。
一 作業計画に関する事項
二 労働能率の向上又は作業条件の合理化に関する事項
三 労働条件の適正化に関する事項
四 労働力の保全に関する事項
五 安全保特に関する事項
炭鉱管理者は、前項の場合を除くの外、業務計画の実施に関し必要と認める事項について、生産協議会の議を経てこれを定めることができる。
第二十条第一項の命令又は指示を受けた事項については、前二項の規定は、これを適用しない。
生産協議会は、第一項又は第二項に規定する審議のため必要があると認めるときには、指定炭鉱の事業主に対して、事業の経理内容に関する報告を求めることができる。
第三十五条 炭鉱管理者は、前条第一項又は第二項の場合において、生産協議会の議を経ることができないときには、命令の定めるところにより、所轄石炭局長の裁定を求めることができる。但し、労働条件の適正化その他従業者の待遇に関する事項については、石炭局長の裁定を求めることにつき、生産協議会の議を経た場合に限る。
前項の規定による石炭局長の裁定は、地方炭鉱管理委員会に諮つて、これを行わなければならない。
第一項但書の事項について、石炭局長の裁定を求めることにつき、生産協議会の議を経ることができない場合の処置については、労働関係調整法の定めるところによる。
第三十六条 この法律及びこの法律に基いて発する命令に定めるものの外、生産協議会に関し必要な事項は、生産協議会の議を経て、炭鉱管理者が、これを定める。
第五節 雑則
第三十七条 指定炭鉱の事業主である会社は、商工大臣の認可を受けなければ、利益金を処分することができない。
第三十八条 特に必要があると認めるときには、石炭庁長官は、全国炭鉱管理委員会に、石炭局長は、地方炭鉱管理委員会に諮つて、指定炭鉱の事業主に対し、指定炭鉱の設備の新設、拡張若しくは改良又は新坑の開発若しくは坑道の掘進を命ずることができる。
指定炭鉱の事業主は、前項の命令が著しく不当であると認めるときには、命令の定めるところにより、商工大臣に対して、不服の申立をすることができる。
商工大臣は、全国炭鉱管理委員会に諮つて、前項の申立を理由があると認めるときには、石炭庁長官又は当該石炭局長に対して、当該命令を取り消し、又は変更すべきことを命じなければならない。
第四章 協力命令
第三十九条 主務大臣は、特に必要があると認めるときには、石炭の生産に要する物資の生産又は販売の事業を営む者に対して、その所有する物資を、炭鉱の事業主に譲り渡すべきことを命ずることができる。
主務大臣は、特に必要があると認めるときには、遊休設備の所有者に対して、当該設備を、炭鉱の事業主に譲り渡し、又は貸し渡すべきことを命ずることができる。
主務大臣は、特に必要があると認めるときには、左に掲げる事業を営む者に対して、炭鉱の事業主の業務に必要な機械の修理、工事の施行又は貨物の運送若しくは取扱に関し必要な命令をすることができる。
一 機械の修理の事業
二 土木、建築その他工作物の建設(改造及び修理を含む。)の事業
三 貨物の運送又は取扱の事業
第十二条第二項乃至第六項の規定は、前三項の場合に、これを準用する。但し、同条第三項中「石炭庁長官又は石炭局長」とあるのは、「主務大臣」と読み替えるものとする。
第五章 損失の補償
第四十条 政府は、この法律の規定に基いてした命令又は指示に因り損失を受けた者に対して、その損失を補償する。
前項の規定により補償すべき損失は、通常生ずべき損失とする。
第一項の規定による補償を伴うべき命令又は指示は、これによつて必要となる補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額を超えない範囲内で、これをしなければならない。
第一項の規定による補償の金額は、商工大臣が、大蔵大臣に協議して、石炭鉱業損失補償審査会の議を経てこれを定める。
前項の石炭鉱業損失補償審査会に関する事項は、政令でこれを定める。
前五項に定めるものの外、損失の補償に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第六章 石炭局
第四十一条 この法律の施行に関する事務その他石炭の生産に関する事務を掌らしめるため、石炭局を置く。
石炭局は、商工大臣の管理に属する。
第四十二条 石炭局の名称、位置及び管轄区域は、別表の通りとする。
第四十三条 石炭局に左の職員を置く。
局長
局員
主事
局員及び主事の定数は、各石炭局ごとに、商工大臣が、これを定める。
第四十四条 局長は、石炭の生産に関し学識経験ある一級の商工事務官又は商工技官を以て、これに充てる。
局長は、商工大臣(石炭庁長官の権限に属する事項については石炭庁長官)の指揮監督を受け、局中全般の事務を掌理する。
局長に事故があるとき、又は局長が欠けたときには、商工大臣の指定する局員が、臨時に、局長の職務を行う。
第四十五条 局長は、所部の職員を指揮監督し、三級官吏の進退を行う。
第四十六条 局員は、石炭の生産に関し学識経験ある者又は一級若しくは二級の商工事務官若しくは商工技官の中から、商工大臣が、これを命ずる。
局員は、局長の命を受け、局務を掌る。
第四十三条第二項の規定による各石炭局の局員の定数の過半数に相当する局員は、石炭の生産に関し学識経験ある者及び石炭の生産に関し学識経験ある官吏の中から、命ぜられた者でなければならない。
第四十七条 主事は、三級の商工事務官又は商工技官の中から、これを命ずる。
主事は、上司の指揮を受け、局務に従事する。
第四十八条 官吏でなくて局員を命ぜられた者の服務については、官吏服務紀律を準用する。
第四十九条 商工大臣は、石炭局の局務の一部を分掌させるため、必要に応じ、石炭局の支局を置くことができる。
支局の名称、位置及び管轄区域は、商工大臣が、全国炭鉱管理委員会に諮つて、これを定める。
第七章 炭鉱管理委員会
第五十条 炭鉱管理委員会は、全国炭鉱管理委員会及び地方炭鉱管理委員会とする。
全国炭鉱管理委員会は、商工省にこれを置く。
地方炭鉱管理委員会は、石炭局ごとにこれを置き、当該石炭局の名称を冠する。
全国炭鉱管理委員会は、商工大臣の、地方炭鉱管理委員会は、石炭局長の監督に属する。
第五十一条 全国炭鉱管理委員会は、この法律の他の規定によりその権限に属せしめられた事項を調査審議するの外、商工大臣又は石炭庁長官の諮問に応じ、石炭の生産に関する左の事項を調査審議する。
一 石炭鉱業の管理の運営方針に関する事項
二 石炭の生産に関する計画に関する事項
三 石炭鉱業の最高能率発揮に関する事項
地方炭鉱管理委員会は、この法律の他の規定によりその権限に属せしめられた事項を調査審議するの外、石炭局長の諮問に応じ、石炭の生産に関する前項各号の事項を調査審議する。
炭鉱管理委員会は、石炭の生産に関する事項について、関係行政庁に建議することができる。
第五十二条 全国炭鉱管理委員会は、会長一人、委員三十人、特別委員若干人及び臨事委員若干人で、これを組織する。
地方炭鉱管理委員会は、会長一人、委員四十五人以内及び特別委員若干人で、これを組織する。
第五十三条 全国炭鉱管理委員会の会長は、商工大臣を以て、これに充てる。
全国炭鉱管理委員会の委員は、石炭の生産に関し学識経験ある者五人、炭鉱の事業主を代表する者十人、炭鉱の従業者(炭鉱の事業主の利益を代表すると認められる者を除く。)を代表する者十人及び石炭の需要者を代表する者五人とし、商工大臣が、これを命ずる。
商工大臣は、必要があると認めるときには、石炭鉱業と密接な関係を有する事業を代表する者を、臨時委員として依嘱することができる。
第五十四条 地方炭鉱管理委員会の会長は、石炭局長を以て、これに充てる。
地方炭鉱管理委員会の委員は、石炭の生産に関し学識経験ある者五人以内、当該石炭局管轄区域内の炭鉱の事業主を代表する者二十人以内、当該石炭局管轄区域内の炭鉱の従業者(事業主の利益を代表すると認められる者を除く。)を代表する者二十人以内とし、石炭局長が、これを命ずる。
前項の規定による炭鉱の従業者を代表する委員は、坑内従業者三坑外従業者二の比率とする。
第五十五条 炭鉱管理委員会の会長は、労働能率の向上に関する事項その他炭鉱管理委員会の所掌事項に係る事門的事項を分掌させるため、労働事門部会その他の専門部会を置くことができる。
地方炭鉱管理委員会の会長は、地方炭鉱管理委員会の所掌事項のうち地区的事項を分掌させるため、石炭局の支局ごとに、地区部会を置くことができる。
地方炭鉱管理委員会は、その定めるところにより、地区部会の決議を以て、地方炭鉱管理委員会の決議に代えることができる。
第五十六条 商工大臣又は石炭局長は、関係官公吏の中から特別委員を依嘱することができる。
第五十七条 特別委員及び臨時委員は議決権を有しない。
第五十八条 この法律に定めるものの外、炭鉱管理委員会に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第八章 罰則
第五十九条 左の各号の一に該当する指定炭鉱の事業主(事業主が法人である場合には、その違反行為をした代表者)は、これを三年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第九条に規定する石炭庁長官又は石炭局長の監督上の命令に違反した者
二 第十条第一項の規定に違反した者
三 第十二条第一項に規定する石炭庁長官又は石炭局長の命令に違反した者
四 第二十条第一項に規定する石炭局長の監督上の命令に違反した者
五 第三十八条第一項に規定する石炭庁長官又は石炭局長の命令に違反した者
第六十条 第三十七条の違反があつた場合においては、その違反行為をした会社の代表者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第六十一条 第八条の規定による当該の官吏の監査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
第六十二条 左の各号の一に該当する者(法人である場合には、その違反行為をした代表者)は、これを一万円以下の過料に処する。
一 第五条第一項の規定に違反して、予定事業計画又は事業計画を届け出なかつた者
二 第七条、第八条第一項又は第二十一条の規定に違反して、報告を怠り、又は虚偽の報告をした者
三 第九条に規定する石炭庁長官又は石炭局長の監督上の命令に違反した者(第五十九条の規定により処罰される者を除く。)
四 第十条第一項の規定に違反した者(第五十九条の規定により処罰される者を除く。)
五 第十二条第一項に規定する石炭庁長官又は石炭局長の命令に違反した者(第五十九条の規定により処罰される者を除く。)
六 第十七条第一項又は第三項の規定に違反して業務計画の案を提出しなかつた者
七 第二十二条第二項の規定による炭鉱管理者の選任を届け出なかつた者
八 第二十四条の規定による解任の命令に違反した者
九 第三十九条第一項、第二項又は第三項に規定する主務大臣の命令に違反した者
附 則
第六十三条 この法律施行の期日は、昭和二十三年四月一日とする。
第六十四条 この法律の有効期間は、この法律の施行の日から、三年とする。但し、その期間満了の際における経済事情により特に必要があるときには、これを延長することができる。
前項の場合について必要な事項は、法律でこれを定める。
別 表
名称 | 位置 | 管理区域 |
札幌石炭局 | 札幌市 | 北海道 |
平石炭局 | 平市 | 青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県 東京都 茨城県 群馬県 栃木県 埼玉県 千葉県 神奈川県 山梨県 新潟県 長野県 岐阜県 愛知県 静岡県 三重県 富山県 石川県 |
宇部石炭局 | 宇部市 | 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 福井県 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 |
福岡石炭局 | 福岡市 | 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 |
「衆議院ホームページ」より
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
626年(推古天皇34) | 古代の大臣・中央豪族蘇我馬子の命日(新暦6月19日) | 詳細 |
1875年(明治8) | フランスのパリで、「メートル条約」が締結される | 詳細 |
1886年(明治19) | 洋画家・紙絵作家高村(旧姓長沼)智恵子の誕生日 | 詳細 |
1901年(明治34) | 機械工学者・鉄道技術者島秀雄の誕生日 | 詳細 |
1933年(昭和8) | 大阪市営地下鉄1号線(現在の大阪メトロ御堂筋線)の梅田~心斎橋間が開業する | 詳細 |
1942年(昭和17) | 東条英機首相の提唱により翼賛政治会が結成され、初代総裁に阿部信行(元首相)が就任する | 詳細 |
1978年(昭和53) | 千葉県成田市に新東京国際空港(現在の成田国際空港)が開港する | 詳細 |