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 今日は、江戸時代末期の1865年(元治2)に、長崎に大浦天主堂が完成(西洋建築の木造三廊)し、献堂式が挙行された日ですが、新暦では2月19日となります。
 大浦天主堂(おおうらてんしゅどう)は、長崎県長崎市に建立された日本最古の現存するキリスト教建築物でした。フランス人宣教師プティジャンらの指導により建設されたもので、正式名称は日本二十六聖殉教者堂といいました。
 教会完成後、浦上地区の村民たちが、ここのプチジャン司教を訪ね、カトリックの信者(江戸時代の間信仰を守った隠れキリシタン)であることを告白し、「信徒発見」とよばれる歴史的事件となります。1979年(明治12)には、木造からレンガ造りに改築(五廊式1塔の煉瓦壁漆喰塗)され、洋風のゴシック様式建造物となりました。
 現存する日本最古の洋風建造物として、とても貴重なので、1933年(昭和8)に、「国宝保存法」に基づき旧国宝(現行法の重要文化財に相当)となり、1953年(昭和28)には、「文化財保護法」に基づき国宝に指定されます。さらに、2018年(平成30)には、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を構成する文化財の1つとして、世界文化遺産に登録されました。

〇大浦天主堂関係略年表(明治5年以前の日付は旧暦です)

・1862年(文久2年) フランスのパリ外国宣教会宣教師で日本教区長のジラール神父の命により、横浜にいたフランス人司祭(神父)フューレが長崎に赴任、司祭館と教会堂の建築準備に着手する
・1863年(文久3年) プティジャン神父(後に司教)が長崎に着任、フューレを補助し、天主堂建設に尽力する
・1864年(元治元年12月1日) 大浦天主堂が竣工(西洋建築の木造三廊)する
・1865年(元治2年1月24日) ジラール神父を始め、フランス領事、長崎港内に停泊中のフランス、ロシア、オランダ、イギリス各国の軍艦艦長臨席のもとに荘厳に献堂式が挙行される
・1865年(元治2年2月12日) 浦上の潜伏キリシタンが大浦天主堂を訪ね、プティジャン神父に密かに信仰者であることを名乗る(信徒発見)
・1868年(慶応4年6月7日) フランス人神父ド・ロがペルーズ号で来航し、大浦天主堂に入る
・1875年(明治8年) ポアリエ神父の設計で、天主堂の大規模な増改築を開始する
・1879年(明治12年) 天主堂の大規模な増改築が完成し、九州初の煉瓦造構造(五廊式1塔の煉瓦壁漆喰塗)となる
・1891年(明治24年) カトリック長崎司教区(現・カトリック長崎大司教区)の司教座聖堂となる
・1933年(昭和8年)1月23日 当時の「国宝保存法」に基づき国宝(旧国宝:現行法の重要文化財に相当)に指定される
・1945年(昭和20年)8月9日 長崎市への原爆投下によって破損したが、爆心地から比較的離れていたため倒壊・焼失は免れる
・1952年(昭和27年)6月30日 原爆被害の修理が完了する
・1953年(昭和28年)3月31日 「文化財保護法」に基づき国宝に指定される(洋風建築としては初の国宝指定)
・1962年(昭和37年)1月1日 カトリック長崎大司教区の司教座聖堂が浦上教会に変更される
・1962年(昭和37年)6月8日 日本二十六聖人列聖記念100年祭のミサが執り行われる
・1962年(昭和37年)6月10日 西坂公園で記念式典を挙行、国内外よりカトリック信徒約1万人が参列する
・1965年(昭和40年)2月21日 大浦天主堂創建100周年記念式典が挙行される
・1965年(昭和40年)3月16日 キリスト信者発見100周年記念祭が開催。信者発見記念碑「聖母像」の除幕式が挙行される
・1965年(昭和40年)3月17日 ローマ教皇特使マレラ枢機卿が長崎を訪れ、大浦天主堂で荘厳ミサが執り行われる
・1975年(昭和50年)11月3日 天主堂に登る石段横の隣接地にカトリック大浦教会が新築される
・2007年(平成19年) 建立当初の設計図(平面図と側面図)がパリ外国宣教会本部古文書局の保管資料から発見される
・2016年(平成28年) 教皇庁典礼秘跡省長官ロベール・サラ枢機卿による4月26日付公式文書により、日本初の小バシリカとなる
・2018年(平成30年)4月1日 「キリシタン博物館」が開設される
・2018年(平成30年)6月 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を構成する文化財の1つとして、世界文化遺産に登録される

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