今日は、昭和時代後期の1986年(昭和61)に、洋画家荻須高徳の亡くなった日です。
荻須高徳(おぎす たかのり)は、明治時代後期の1901年(明治34)11月30日に、愛知県中島郡井長谷村(現在の稲沢市井堀高見町)で、地主の子として生まれました。愛知県立第三中学校(現在の津島高等学校)を1921年(大正10)に卒業後、上京し川端画学校に学び、藤島武二の指導を受けます。
1922年(大正11)の21歳の時、東京美術学校(現在の東京芸術大学)西洋画科に入学、1926年(大正15)に卒業後渡仏し、1928年(昭和3)には、サロン・ドートンヌに初入選しました。1936年(昭和11)にサロン・ドートンヌ会員となりましたが、第2次世界大戦が勃発すると1940年(昭和15)には、13年ぶりに帰国、新制作派協会会員となっています。
1948年(昭和23)に戦後初めて日本人画家として、フランス滞在を許され8年ぶりにパリに入り、翌年には、モナコ賞展で大賞を受賞しました。均衡のとれた明快な色彩と堅牢なマチエールで、パリやベネチアなどの風景画を描き、1953年(昭和28)に民衆絵画賞、1954年(昭和29)に毎日美術賞(特別賞)、1956年(昭和31)には、フランス政府からレジオン・ドヌール勲章などを送られています。
その後もパリに滞在して裏町風景を気どらない筆致で描き続け、1972年(昭和47)に勲三等旭日章に叙され、中日文化賞を受賞、1974年(昭和49)にパリ市より、メダイユ・ド・ヴェルメイユ勲章を授与され、1978年(昭和53)には、パリのシャトー・ド・バガテルで「荻須高徳パリ在住50年記念回顧展」がパリ市主催で開催されるなどしました。1981年(昭和56)に文化功労者に顕賞されて10年ぶりに帰国、1982年(昭和57)には、フランス国立造幣局が、荻須高徳の肖像を浮彫にしたメダイユを発行するなどしています。
1983年(昭和58)に郷里に「稲沢市荻須記念美術館」が開館しましたが、1986年(昭和61)10月14日に、パリのアトリエで制作中に84歳で亡くなり、文化勲章が追贈されました。
〇荻須高徳の主要な作品
・『ル・ペック』
・『ラヴォワール』
・『サン・マルコ寺院』
・『ロケット通り』
・『プラス・サンタンドレ』
・『橋』
・『広告塔』(1928年)
・『プラス・サンタンドレ』(1936年)フランス政府買上げ
・『街角』(1937年)サロン・ドートンヌ出品
・『サン・タンドレ・デザール広場』(1938年)ポンピドゥーセンター所蔵
・『モンマルトル裏』(1940年)東京国立近代美術館収蔵
・『パリの屋根』(1950年)
・『サン・マルタンの裏町、パリ』(1950年)
・『路に面した家・パリ』(1955年)
・『金のかたつむり』(1978年)稲沢市荻須記念美術館収蔵
☆荻須高徳関係略年表
・1901年(明治34)11月30日 愛知県中島郡井長谷村大字井堀149番戸(現在の稲沢市井堀高見町)に生まれる
・1908年(明治41) 7歳の時、千代田尋常高等小学校に入学する
・1916年(大正5) 15歳の時、愛知県立第三中学校(現在の津島高等学校)に入学
・1921年(大正10) 20歳の時、中学校卒業後、上京し川端画学校に学び、藤島武二の指導を受ける
・1922年(大正11) 21歳の時、東京美術学校(現在の東京芸術大学)西洋画科に入学、同級生に猪熊弦一郎、牛島憲之、岡田謙三、小磯良平、小堀四郎、高野三三男、永田一脩、中西利雄、山口長男らがいた
・1926年(大正15) 25歳の時、東京美術学校を卒業する
・1927年(昭和2)9月 26歳の時、フランス留学の途につく
・1928年(昭和3) 27歳の時、このころから署名をOGUISSとし、サロン・ドートンヌに初入選する
・1933年(昭和8) 32歳の時、オルドネール189番地のアトリエに入居する
・1936年(昭和11) 35歳の時、サロン・ドートンヌ会員となる
・1939年(昭和14) 38歳の時、第2次世界大戦が勃発する
・1940年(昭和15)8月 39歳の時、13年ぶりに帰国、新制作派協会会員となる
・1944年(昭和19) 43歳の時、横江美代子と結婚する
・1945年(昭和20) 44歳の時、終戦を迎える
・1946年(昭和21) 45歳の時、長女恵美子が生まれる
・1948年(昭和23)10月 47歳の時、戦後初めて日本人画家として、フランス滞在を許され8年ぶりにパリに入る
・1949年(昭和24)10月 モナコ賞展で大賞を受ける
・1953年(昭和28) 民衆絵画賞を受賞する
・1954年(昭和29)1月 毎日美術賞(特別賞)が決定する
・1956年(昭和31)8月 55歳の時、フランス政府から、レジオン・ドヌール勲章を授与される
・1965年(昭和40)3月 在ヨーロッパ日本人美術展がローマ日本文化会館で開催される
・1972年(昭和47) 71歳の時、勲三等旭日章に叙され、中日文化賞を受賞する
・1974年(昭和49) 73歳の時、パリ市より、メダイユ・ド・ヴェルメイユ勲章を授与される
・1978年(昭和53) 77歳の時、パリのシャトー・ド・バガテルで「荻須高徳パリ在住50年記念回顧展」がパリ市主催で開催される
・1980年(昭和55) 79歳の時、稲沢市に油彩画《金のかたつむり》を寄贈する
・1981年(昭和56) 80歳の時、文化功労者に顕賞され、10年ぶりに帰国、稲沢市を訪問する
・1982年(昭和57) 81歳の時、フランス国立造幣局が、荻須高徳の肖像を浮彫にしたメダイユを発行する
・1983年(昭和58) 82歳の時、8月2日に稲沢市荻須記念美術館が開館する
・1986年(昭和61)10月14日、パリのアトリエで制作中に84歳で亡くなり、文化勲章が追贈される
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
1867年(慶応3) | 第15代将軍徳川慶喜が朝廷に政権返上し、大政奉還される(新暦11月9日) | 詳細 |
1873年(明治6) | 祝祭日を定める太政官布告「年中祭日祝日ノ休暇日ヲ定ム」が発布される | 詳細 |
2007年(平成19) | 埼玉県さいたま市大宮区に鉄道博物館が開館する | 詳細 |