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 今日は、昭和時代後期の1966年(昭和41)に、岩手県岩手郡松尾村(現在の八幡平市)に松川地熱発電所が完成し、送電を開始した日(地熱発電の日)です。
 松川地熱発電所(まつかわちねちはちでんしょ)は、岩手県岩手郡松尾村(現在の八幡平市)に建設された、商用としては国内最初(世界で4番目)の地熱発電所でした。1952年(昭和27)に、地元自治体である松尾村が温泉開発を目的に掘削した井戸から蒸気が噴出、1956年(昭和31)に東科工(現在の日本重化学工業)が地熱蒸気の調査に着手、1962年(昭和37)に着工、1966年(昭和41)9月12日に竣工し、同年10月8日に日本最初の商業用地熱発電所として運転を開始します。
 当初の出力は9,500kW、ドライスチーム方式の発電で、総工費は20億円となりました。その後、追加井を掘削し、1968年(昭和43)に20,000kW、1973年(昭和48)に22,000kW、更にタービン更新により、1993年(平成5)には、23,500kWへ発電出力を増加させています。
 2003年(平成15)に東北地熱エネルギー(後の東北水力地熱)に譲渡され、2015年(平成27)には、東北水力地熱を含む東北電力グループ企業4社が統合し、東北自然エネルギー株式会社となりました。また、温排水は周辺のビニールハウス等にも供給されて農業用途にも使用、隣接する「松川地熱館」では、地熱発電の仕組みをビデオ・パネルで解説、実際に使用された蒸気タービン等を展示し、観光目的にも寄与しています。
 2016年(平成28)には、様々な地熱特有の技術課題を克服し、半世紀にわたり安定して発電を続けてきたことが評価され、日本機械学会より「機械遺産」(機械遺産第77号)に認定されました。尚、2016年(平成28)に、運転開始から50周年を迎えることにちなんで、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が日本地熱協会および電気事業連合会と共同で、運転開始日(10月8日)を「地熱発電の日」に制定しています。

〇地熱発電とは?

 地下1~3kmの地層中の亀裂に貯えられている200℃超の高温高圧の地熱流体を、掘削によって取り出し、その蒸気でタービンを回転させて発電する方式です。
 蒸気の力で発電機を回して電気を作るしくみは火力発電と同じですが、蒸気を作るための燃料(石炭、石油など)が不要で、発電する際に放出されるCO²排出量も火力発電所の1/10から1/20と少なく、クリーンなエネルギーとして注目されてきました。日本でも、1966年(昭和41)に日本重化学工業が岩手県松川で2万kW、九州電力が1967年(昭和42)に阿蘇の大岳で 1.1万kW、1980年(昭和55)前後に八丁原で5.5万kW、東北電力が岩手県の葛根田で5万kWの発電所を建設するなど、現在は全国に20ヶ所以上の地熱発電所があり、合計出力は約57万kWとなっています。

☆松川地熱発電所関係略年表

・1952年(昭和27) 地元自治体である松尾村が温泉開発を目的に掘削した井戸から蒸気が噴出する
・1956年(昭和31) 東科工(現・日本重化学工業)が地熱蒸気の調査に着手する
・1962年(昭和37) 日本重化学工業が委託を受け着工する
・1966年(昭和41)9月12日 竣工する
・1966年(昭和41)10月8日 9,500kWで日本最初の商業用地熱発電所として運転開始する
・1968年(昭和43) 追加井を掘削し、20,000kWとなる
・1973年(昭和48) 追加井を掘削し、22,000kWとなる
・1993年(平成5)6月 タービン更新により、23,500kWへ発電出力を増加させる
・2003年(平成15)10月 東北地熱エネルギー(後の東北水力地熱)に譲渡される
・2015年(平成27)7月 東北水力地熱株式会社を含む東北電力グループ企業4社が統合し、東北自然エネルギー株式会社となる
・2016年(平成28)8月 日本機械学会より「機械遺産」(機械遺産第77号)に認定される
・2016年(平成28)9月 運転開始から50周年を迎えることにちなんで、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が日本地熱協会および電気事業連合会と共同で、運転開始日(10月8日)を「地熱発電の日」に制定する

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1857年(安政4)昆虫学者・名和昆虫研究所の創設者名和靖の誕生日(新暦11月24日)詳細
1884年(明治19)歌人・小説家吉井勇の誕生日詳細
1946年(昭和21)洋画家・版画家・美術教育家山本鼎の命日詳細
2005年(平成17)小説家・児童文学作家早船ちよの命日詳細