今日は、大正時代の1914年(大正3)に、詩人・俳人木下夕爾が生まれた日です。
木下夕爾(きのした ゆうじ)は、広島県深安郡上岩成村(現在の福山市御幸町)で、小地主で精米所と雑貨店を営む父・木下常一の次男として生まれましたが、本名は優二と書きました。1920年(大正9)の6歳の時、父を亡くし、1927年(昭和2)に広島県立府中中学校へ入学、13歳の時に、堀口大学の詩誌「若草」に投稿して特選を取っています。
1933年(昭和8)に上京して第一早稲田高等学院文科へ入学、堀口大学に大いなる影響を受けました。しかし、養父の結核発病に伴い家業を継ぐために、2年で中退して、1935年(昭和10)に愛知高等薬学校(現在の名古屋市立大学)に入学しなおします。
1938年(昭和13)に卒業後、帰郷して薬局を営み、その傍ら詩作に励んで、1939年(昭和14)に処女詩集『田舎の食卓』を刊行、翌年には第6回文芸汎論詩集賞を受賞、続けて、同年に詩集『生れた家』も刊行しました。太平洋戦争後は、1946年(昭和21)に詩集『昔の歌』を刊行しましたが、一方で俳誌「春燈」の創刊号に句作を発表、主宰者の久保田万太郎の激賞を受け主要同人となります。
1949年(昭和24)に雑誌「木靴」を創刊、1956年(昭和31)に句集『南風妙』を刊行、1958年(昭和33)には詩集『笛を吹くひと』を刊行するなど創作活動を続けました。1959年(昭和34)に広島県詩人協会会長となり、句集『遠雷』も刊行、1961年(昭和36)には、広島春燈会を結成して句誌「春雷」を主宰すめなど、詩作、句作の両分野で活躍します。
また、備後地方の各学校、市町村などの校歌や団体歌を数多く作ったものの、1965年(昭和40)8月4日に、福山市御幸町の自宅において、50歳で亡くなりました。尚、没後の1966年(昭和41)に、『定本・木下夕爾詩集』が刊行され、翌年に第18回読売文学賞を受賞しています。
<代表的な句>
・「家々や 菜の花いろの 灯をともし」(遠雷)
・「つくねんと 木馬よ春の 星ともり」(遠雷)
・「遠雷や はづして光る 耳かざり」
・「しその葉に 秋風にほひ そめにけり」
・「にせものと きまりし壺の 夜長かな」
・「入日いま 大きく赤し 山つつじ」
〇木下夕爾の主要な著作
・処女詩集『田舎の食卓』(1939年)第6回文芸汎論詩集賞受賞
・詩集『生れた家』(1940年)
・詩集『昔の歌』(1946年)
・詩集『晩夏』(1949年)
・『児童詩集』(1955年)
・句集『南風妙』(1956年)
・詩集『笛を吹くひと』(1958年)
・句集『遠雷』(1959年)
・『定本・木下夕爾詩集』(1966年)第18回読売文学賞受賞
☆木下夕爾関係略年表
・1914年(大正3)10月27日 広島県福山市御幸町で木下常一の次男として生まれる
・1920年(大正9) 6歳の時に父を亡くす
・1927年(昭和2) 広島県立府中中学校へ入学する
- - 堀口大学の詩誌「若草」に投稿して特選となる
・1932年(昭和7) 広島県立府中中学校を卒業する
・1933年(昭和8) 第一早稲田高等学院文科へ入学する
- - 堀口大学に大いなる影響を受ける
・1935年(昭和10) 第一早稲田高等学院を中退、愛知高等薬学校(現名古屋市立大学)に入学する
・1938年(昭和13) 名古屋薬学専門学校(現名古屋市立大学)を卒業、帰郷して薬局を営む
・1939年(昭和14)10月 処女詩集『田舎の食卓』を刊行する
・1940年(昭和15) 『田舎の食卓』で、第6回文芸汎論詩集賞を受賞する
・1946年(昭和21) 俳誌「春燈」の創刊号に句作を発表、主宰者の久保田万太郎の激賞を受け主要同人となる
・1949年(昭和24)3月 雑誌「木靴」を創刊する
・1956年(昭和31) 句集『南風妙』を刊行する
・1958年(昭和33) 詩集『笛を吹くひと』を刊行する
・1959年(昭和34) 広島県詩人協会会長となり、句集『遠雷』を刊行する
・1961年(昭和36)1月 広島春燈会を結成、句誌「春雷」を主宰する
・1962年(昭和37)6月17日 福山市沼隈町中山南上横倉の福泉坊境内に、自筆の「入日いま 大きく赤し 山つつじ」の句碑が建てられる
・1965年(昭和40)8月4日 福山市御幸町の自宅において、50歳で亡くなる
・1966年(昭和41)8月7日 福山市御幸町上岩成の生家近くに、桑田三舟揮毫の「家々や 菜の花いろの 灯をともし」の句碑が建てられる
・1966年(昭和41)11月20日 『定本・木下夕爾詩集』が刊行される
・1967年(昭和42)2月 『定本・木下夕爾詩集』が第18回読売文学賞を受賞する
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
記念日 | 「文字・活字文化振興法」により制定された「文字・活字文化の日」です | 詳細 |
1876年(明治9) | 秋月の乱がおこる | 詳細 |
1903年(明治36) | 幸徳秋水と堺利彦が平民社を設立する | 詳細 |
1977年(昭和52) | 日本画家前田青邨の命日 | 詳細 |