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 今日は、昭和時代中期の1951年(昭和26)に、「宗教法人法」(昭和26年法律第126号)が公布・施行された日です。
 「宗教法人法」(しゅうきょうほうじんほう)は、「日本国憲法」で保障された信教の自由の理念の具体化として、宗教団体に法人格を与えることに関する法律(昭和26年法律第126号)でした。前身は、太平洋戦争後の1945年(昭和20)12月28日に公布・施行された「宗教法人令」で、戦前・戦中に国家の政策と深くかかわっていた神道を政治から分離し、信教の自由の原則に従ってすべての宗教を法人化した考え方に基づいたものです。
 宗教法人の設立、規則の変更、事務の管理、合併、解散、登記など社会的行為について規則を設けるだけで、信仰上の内容については、一切の制約を設けていませんでした。一方で、国家は特定の宗教のための宗教教育その他の宗教活動を行ってはならず、また、宗教団体を保護、援助してはならず、すべての宗教を公平平等に取り扱うと規定されています。
 これにより、宗教団体は法律上の権利・義務を有する法人格を得て宗教法人となることとなりました。
 以下に、現行の「宗教法人法」(昭和26年法律第126号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「宗教法人法」(昭和26年法律第126号)1951年(昭和26)4月3日公布・施行

第一章 総則
(この法律の目的)

第一条 
この法律は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることを目的とする。
2 憲法で保障された信教の自由は、すべての国政において尊重されなければならない。従つて、この法律のいかなる規定も、個人、集団又は団体が、その保障された自由に基いて、教義をひろめ、儀式行事を行い、その他宗教上の行為を行うことを制限するものと解釈してはならない。
(宗教団体の定義)

第二条 
この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。
一 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体
二 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体
(境内建物及び境内地の定義)

第三条 
この法律において「境内建物」とは、第一号に掲げるような宗教法人の前条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい、「境内地」とは、第二号から第七号までに掲げるような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。
一 本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所その他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む。)
二 前号に掲げる建物又は工作物が存する一画の土地(立木竹その他建物及び工作物以外の定着物を含む。以下この条において同じ。)
三 参道として用いられる土地
四 宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せんヽヽ田、仏供田、修道耕牧地等を含む。)
五 庭園、山林その他尊厳又は風致を保持するために用いられる土地
六 歴史、古記等によつて密接な縁故がある土地
七 前各号に掲げる建物、工作物又は土地の災害を防止するために用いられる土地
(法人格)

第四条 
宗教団体は、この法律により、法人となることができる。
2 この法律において「宗教法人」とは、この法律により法人となつた宗教団体をいう。
(所轄庁)

第五条 
宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。
2 次に掲げる宗教法人にあつては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、文部科学大臣とする。
一 他の都道府県内に境内建物を備える宗教法人
二 前号に掲げる宗教法人以外の宗教法人であつて同号に掲げる宗教法人を包括するもの
三 前二号に掲げるもののほか、他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人
(公益事業その他の事業)

第六条 
宗教法人は、公益事業を行うことができる。
2 宗教法人は、その目的に反しない限り、公益事業以外の事業を行うことができる。この場合において、収益を生じたときは、これを当該宗教法人、当該宗教法人を包括する宗教団体又は当該宗教法人が援助する宗教法人若しくは公益事業のために使用しなければならない。
(宗教法人の住所)

第七条 
宗教法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
(登記の効力)

第八条 
宗教法人は、第七章第一節の規定により登記しなければならない事項については、登記に因り効力を生ずる事項を除く外、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
(登記に関する届出)

第九条 
宗教法人は、第七章の規定による登記(所轄庁の嘱託によつてする登記を除く。)をしたときは、遅滞なく、登記事項証明書を添えて、その旨を所轄庁に届け出なければならない。
(宗教法人の能力)

第十条 
宗教法人は、法令の規定に従い、規則で定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
(宗教法人の責任)

第十一条 
宗教法人は、代表役員その他の代表者がその職務を行うにつき第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
2 宗教法人の目的の範囲外の行為に因り第三者に損害を加えたときは、その行為をした代表役員その他の代表者及びその事項の決議に賛成した責任役員、その代務者又は仮責任役員は、連帯してその損害を賠償する責任を負う。
第二章 設立
(設立の手続)

第十二条 
宗教法人を設立しようとする者は、左に掲げる事項を記載した規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 設立しようとする宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別
五 代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員及び仮責任役員の呼称、資格及び任免並びに代表役員についてはその任期及び職務権限、責任役員についてはその員数、任期及び職務権限、代務者についてはその職務権限に関する事項
六 前号に掲げるものの外、議決、諮問、監査その他の機関がある場合には、その機関に関する事項
七 第六条の規定による事業を行う場合には、その種類及び管理運営(同条第二項の規定による事業を行う場合には、収益処分の方法を含む。)に関する事項
八 基本財産、宝物その他の財産の設定、管理及び処分(第二十三条但書の規定の適用を受ける場合に関する事項を定めた場合には、その事項を含む。)、予算、決算及び会計その他の財務に関する事項
九 規則の変更に関する事項
十 解散の事由、清算人の選任及び残余財産の帰属に関する事項を定めた場合には、その事項
十一 公告の方法
十二 第五号から前号までに掲げる事項について、他の宗教団体を制約し、又は他の宗教団体によつて制約される事項を定めた場合には、その事項
十三 前各号に掲げる事項に関連する事項を定めた場合には、その事項
2 宗教法人の公告は、新聞紙又は当該宗教法人の機関紙に掲載し、当該宗教法人の事務所の掲示場に掲示し、その他当該宗教法人の信者その他の利害関係人に周知させるに適当な方法でするものとする。
3 宗教法人を設立しようとする者は、第十三条の規定による認証申請の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、規則の案の要旨を示して宗教法人を設立しようとする旨を前項に規定する方法により公告しなければならない。
(規則の認証の申請)

第十三条 
前条第一項の規定による認証を受けようとする者は、認証申請書及び規則二通に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。
一 当該団体が宗教団体であることを証する書類
二 前条第三項の規定による公告をしたことを証する書類
三 認証の申請人が当該団体を代表する権限を有することを証する書類
四 代表役員及び定数の過半数に当る責任役員に就任を予定されている者の受諾書
(規則の認証)

第十四条 
所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該申請者に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、これらの要件を備えていると認めたときはその規則を認証する旨の決定をし、これらの要件を備えていないと認めたとき又はその受理した規則及びその添附書類の記載によつてはこれらの要件を備えているかどうかを確認することができないときはその規則を認証することができない旨の決定をしなければならない。
一 当該団体が宗教団体であること。
二 当該規則がこの法律その他の法令の規定に適合していること。
三 当該設立の手続が第十二条の規定に従つてなされていること。
2 所轄庁は、前項の規定によりその規則を認証することができない旨の決定をしようとするときは、あらかじめ当該申請者に対し、相当の期間内に自ら又はその代理人を通じて意見を述べる機会を与えなければならない。
3 第一項の場合において、所轄庁が文部科学大臣であるときは、当該所轄庁は、同項の規定によりその規則を認証することができない旨の決定をしようとするときは、あらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞かなければならない。
4 所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その申請を受理した日から三月以内に、第一項の規定による認証に関する決定をし、且つ、認証する旨の決定をしたときは当該申請者に対し認証書及び認証した旨を附記した規則を交付し、認証することができない旨の決定をしたときは当該申請者に対しその理由を附記した書面でその旨を通知しなければならない。
5 所轄庁は、第一項の規定による認証に関する決定をするに当り、当該申請者に対し第十二条第一項各号に掲げる事項以外の事項を規則に記載することを要求してはならない。
(成立の時期)

第十五条 
宗教法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることに因つて成立する。
第十六条及び第十七条 
削除
第三章 管理
(代表役員及び責任役員)

第十八条 
宗教法人には、三人以上の責任役員を置き、そのうち一人を代表役員とする。
2 代表役員は、規則に別段の定がなければ、責任役員の互選によつて定める。
3 代表役員は、宗教法人を代表し、その事務を総理する。
4 責任役員は、規則で定めるところにより、宗教法人の事務を決定する。
5 代表役員及び責任役員は、常に法令、規則及び当該宗教法人を包括する宗教団体が当該宗教法人と協議して定めた規程がある場合にはその規程に従い、更にこれらの法令、規則又は規程に違反しない限り、宗教上の規約、規律、慣習及び伝統を十分に考慮して、当該宗教法人の業務及び事業の適切な運営をはかり、その保護管理する財産については、いやしくもこれを他の目的に使用し、又は濫用しないようにしなければならない。
6 代表役員及び責任役員の宗教法人の事務に関する権限は、当該役員の宗教上の機能に対するいかなる支配権その他の権限も含むものではない。
(事務の決定)

第十九条 
規則に別段の定がなければ、宗教法人の事務は、責任役員の定数の過半数で決し、その責任役員の議決権は、各〻平等とする。
(代務者)

第二十条 
左の各号の一に該当するときは、規則で定めるところにより、代務者を置かなければならない。
一 代表役員又は責任役員が死亡その他の事由に因つて欠けた場合において、すみやかにその後任者を選ぶことができないとき。
二 代表役員又は責任役員が病気その他の事由に因つて三月以上その職務を行うことができないとき。
2 代務者は、規則で定めるところにより、代表役員又は責任役員に代つてその職務を行う。
(仮代表役員及び仮責任役員)

第二十一条 
代表役員は、宗教法人と利益が相反する事項については、代表権を有しない。この場合においては、規則で定めるところにより、仮代表役員を選ばなければならない。
2 責任役員は、その責任役員と特別の利害関係がある事項については、議決権を有しない。この場合において、規則に別段の定がなければ、議決権を有する責任役員の員数が責任役員の定数の過半数に満たないこととなつたときは、規則で定めるところにより、その過半数に達するまでの員数以上の仮責任役員を選ばなければならない。
3 仮代表役員は、第一項に規定する事項について当該代表役員に代つてその職務を行い、仮責任役員は、前項に規定する事項について、規則で定めるところにより、当該責任役員に代つてその職務を行う。
(役員の欠格)

第二十二条 
次の各号のいずれかに該当する者は、代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員又は仮責任役員となることができない。
一 未成年者
二 成年被後見人又は被保佐人
三 禁錮 以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
(財産処分等の公告)

第二十三条 
宗教法人(宗教団体を包括する宗教法人を除く。)は、左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、その行為の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。但し、第三号から第五号までに掲げる行為が緊急の必要に基くものであり、又は軽微のものである場合及び第五号に掲げる行為が一時の期間に係るものである場合は、この限りでない。
一 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。
二 借入(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入を除く。)又は保証をすること。
三 主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却又は著しい模様替をすること。
四 境内地の著しい模様替をすること。
五 主要な境内建物の用途若しくは境内地の用途を変更し、又はこれらを当該宗教法人の第二条に規定する目的以外の目的のために供すること。
(行為の無効)

第二十四条 
宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反してした行為は、無効とする。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない。
(財産目録等の作成、備付け、閲覧及び提出)

第二十五条 
宗教法人は、その設立(合併に因る設立を含む。)の時に財産目録を、毎会計年度終了後三月以内に財産目録及び収支計算書を作成しなければならない。
2 宗教法人の事務所には、常に次に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。
一 規則及び認証書
二 役員名簿
三 財産目録及び収支計算書並びに貸借対照表を作成している場合には貸借対照表
四 境内建物(財産目録に記載されているものを除く。)に関する書類
五 責任役員その他規則で定める機関の議事に関する書類及び事務処理簿
六 第六条の規定による事業を行う場合には、その事業に関する書類
3 宗教法人は、信者その他の利害関係人であつて前項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項各号に掲げる書類又は帳簿を閲覧することについて正当な利益があり、かつ、その閲覧の請求が不当な目的によるものでないと認められる者から請求があつたときは、これを閲覧させなければならない。
4 宗教法人は、毎会計年度終了後四月以内に、第二項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項第二号から第四号まで及び第六号に掲げる書類の写しを所轄庁に提出しなければならない。
5 所轄庁は、前項の規定により提出された書類を取り扱う場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。
第四章 規則の変更
(規則の変更の手続)

第二十六条 
宗教法人は、規則を変更しようとするときは、規則で定めるところによりその変更のための手続をし、その規則の変更について所轄庁の認証を受けなければならない。この場合において、宗教法人が当該宗教法人を包括する宗教団体との関係(以下「被包括関係」という。)を廃止しようとするときは、当該関係の廃止に係る規則の変更に関し当該宗教法人の規則中に当該宗教法人を包括する宗教団体が一定の権限を有する旨の定がある場合でも、その権限に関する規則の規定によることを要しないものとする。
2 宗教法人は、被包括関係の設定又は廃止に係る規則の変更をしようとするときは、第二十七条の規定による認証申請の少くとも二月前に、信者その他の利害関係人に対し、当該規則の変更の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない。
3 宗教法人は、被包括関係の設定又は廃止に係る規則の変更をしようとするときは、当該関係を設定しようとする場合には第二十七条の規定による認証申請前に当該関係を設定しようとする宗教団体の承認を受け、当該関係を廃止しようとする場合には前項の規定による公告と同時に当該関係を廃止しようとする宗教団体に対しその旨を通知しなければならない。
4 宗教団体は、その包括する宗教法人の当該宗教団体との被包括関係の廃止に係る規則の変更の手続が前三項の規定に違反すると認めたときは、その旨をその包括する宗教法人の所轄庁及び文部科学大臣に通知することができる。
(規則の変更の認証の申請)

第二十七条 
宗教法人は、前条第一項の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書及びその変更しようとする事項を示す書類二通に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。
一 規則の変更の決定について規則で定める手続を経たことを証する書類
二 規則の変更が被包括関係の設定に係る場合には、前条第二項の規定による公告をし、及び同条第三項の規定による承認を受けたことを証する書類
三 規則の変更が被包括関係の廃止に係る場合には、前条第二項の規定による公告及び同条第三項の規定による通知をしたことを証する書類
(規則の変更の認証)

第二十八条 
所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該規則の変更の認証に関する決定をしなければならない。
一 その変更しようとする事項がこの法律その他の法令の規定に適合していること。
二 その変更の手続が第二十六条の規定に従つてなされていること。
2 第十四条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。この場合において、同条第四項中「認証した旨を附記した規則」とあるのは、「認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す書類」と読み替えるものとする。
第二十九条 
削除
(規則の変更の時期)

第三十条 
宗教法人の規則の変更は、当該規則の変更に関する認証書の交付に因つてその効力を生ずる。
(合併に伴う場合の特例)

第三十一条 
合併に伴い合併後存続する宗教法人が規則を変更する場合においては、当該規則の変更に関しては、この章の規定にかかわらず、第五章の定めるところによる。
第五章 合併
(合併)

第三十二条 
二以上の宗教法人は、合併して一の宗教法人となることができる。
(合併の手続)

第三十三条 
宗教法人は、合併しようとするときは、第三十四条から第三十七条までの規定による手続をした後、その合併について所轄庁の認証を受けなければならない。
第三十四条 
宗教法人は、合併しようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、信者その他の利害関係人に対し、合併契約の案の要旨を示してその旨を公告しなければならない。
2 合併しようとする宗教法人は、前項の規定による公告をした日から二週間以内に、財産目録及び第六条の規定による事業を行う場合にはその事業に係る貸借対照表を作成しなければならない。
3 合併しようとする宗教法人は、前項の期間内に、その債権者に対し合併に異議があればその公告の日から二月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告し、且つ、知れている債権者には各別に催告しなければならない。
4 合併しようとする宗教法人は、債権者が前項の期間内に異議を申し述べたときは、これに弁済をし、若しくは相当の担保を供し、又はその債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなければならない。ただし、合併をしてもその債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
第三十五条 
合併に因つて一の宗教法人が存続し他の宗教法人が解散しようとする場合において、当該合併に伴い規則の変更を必要とするときは、その合併後存続しようとする宗教法人は、規則で定めるところにより、その変更のための手続をしなければならない。
2 合併に因つて宗教法人を設立しようとする場合においては、その合併しようとする各宗教法人が選任した者は、共同して第十二条第一項及び第二項の規定に準じ規則を作成しなければならない。
3 前項に規定する各宗教法人が選任した者は、第三十八条第一項の規定による認証申請の少くとも二月前に、信者その他の利害関係人に対し、前項の規定により作成した規則の案の要旨を示して合併に因つて宗教法人を設立しようとする旨を第十二条第二項に規定する方法により公告しなければならない。
第三十六条 
第二十六条第一項後段及び第二項から第四項までの規定は、合併しようとする宗教法人が当該合併に伴い被包括関係を設定し、又は廃止しようとする場合に準用する。この場合において、左の各号に掲げる同条各項中の字句は、当該各号に掲げる字句に読み替えるものとする。
一 第一項後段中「当該関係の廃止に係る規則の変更」とあるのは「当該関係の廃止に係る規則の変更その他当該関係の廃止」
二 第二項中「第二十七条」とあるのは「第三十八条第一項」、「当該規則の変更の案」とあるのは「被包括関係の設定又は廃止に関する事項」
三 第三項中「第二十七条」とあるのは「第三十八条第一項」、「前項」とあるのは「第三十四条第一項」
四 第四項中「被包括関係の廃止に係る規則の変更の手続」とあるのは「被包括関係の廃止を伴う合併の手続」、「前三項」とあるのは「第三十四条から第三十七条まで」
第三十七条 
合併に伴い第三十五条第三項又は前条において準用する第二十六条第二項の規定による公告をしなければならない場合においては、当該公告は、第三十四条第一項の規定による公告とあわせてすることを妨げない。この場合において、第三十五条第三項の規定による公告を他の公告とあわせてするときは、合併しようとする宗教法人と同項に規定する各宗教法人が選任した者とが共同して当該公告をするものとする。
(合併の認証の申請)

第三十八条 
宗教法人は、第三十三条の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書及び第三十五条第一項の規定に該当する場合にはその変更しようとする事項を示す書類二通に、同条第二項の規定に該当する場合にはその規則二通に、左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。
一 合併の決定について規則で定める手続(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定による手続)を経たことを証する書類
二 第三十四条第一項の規定による公告をしたことを証する書類
三 第三十四条第二項から第四項までの規定による手続を経たことを証する書類
四 第三十五条第一項又は第二項の規定に該当する場合には、同条第一項又は第二項の規定による手続を経たことを証する書類
五 第三十五条第二項の規定に該当する場合には、合併後成立する団体が宗教団体であることを証する書類
六 第三十五条第三項又は第三十六条において準用する第二十六条第二項の規定による公告をしなければならない場合には、当該公告をしたことを証する書類
七 合併に伴い被包括関係を設定し、又は廃止しようとする場合には、第三十六条において準用する第二十六条第三項の規定による承認を受け、又は同項の規定による通知をしたことを証する書類
2 前項の規定による認証の申請は、合併しようとする各宗教法人の連名でするものとし、これらの宗教法人の所轄庁が異なる場合には、合併後存続しようとする宗教法人又は合併に因つて設立しようとする宗教法人の所轄庁をもつて当該認証を申請すべき所轄庁とする。
(合併の認証)

第三十九条 
所轄庁は、前条第一項の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る事案が左に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該合併の認証に関する決定をしなければならない。
一 当該合併の手続が第三十四条から第三十七条までの規定に従つてなされていること。
二 当該合併が第三十五条第一項又は第二項の規定に該当する場合には、それぞれその変更しようとする事項又は規則がこの法律その他の法令の規定に適合していること。
三 当該合併が第三十五条第二項の規定に該当する場合には、当該合併後成立する団体が宗教団体であること。
2 第十四条第二項から第五項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。この場合において、同条第四項中「認証した旨を附記した規則」とあるのは、「当該合併が第三十五条第一項又は第二項の規定に該当する場合には認証した旨を附記した変更しようとする事項を示す書類又は規則」と読み替えるものとする。
3 第一項又は前項において準用する第十四条第四項の規定による宗教法人に対する所轄庁の通知及び認証書等の交付は、当該認証を申請した宗教法人のうちの一に対してすれば足りる。
第四十条 
削除
(合併の時期)

第四十一条 
宗教法人の合併は、合併後存続する宗教法人又は合併によつて設立する宗教法人がその主たる事務所の所在地において第五十六条の規定による登記をすることによつてその効力を生ずる。
(合併の効果)

第四十二条 
合併後存続する宗教法人又は合併に因つて設立した宗教法人は、合併に因つて解散した宗教法人の権利義務(当該宗教法人が第六条の規定により行う事業に関し行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)を承継する。
第六章 解散
(解散の事由)

第四十三条 
宗教法人は、任意に解散することができる。
2 宗教法人は、前項の場合のほか、次に掲げる事由によつて解散する。
一 規則で定める解散事由の発生
二 合併(合併後存続する宗教法人における当該合併を除く。)
三 破産手続開始の決定
四 第八十条第一項の規定による所轄庁の認証の取消し
五 第八十一条第一項の規定による裁判所の解散命令
六 宗教団体を包括する宗教法人にあつては、その包括する宗教団体の欠亡
3 宗教法人は、前項第三号に掲げる事由に因つて解散したときは、遅滞なくその旨を所轄庁に届け出なければならない。
(任意解散の手続)

第四十四条 
宗教法人は、前条第一項の規定による解散をしようとするときは、第二項及び第三項の規定による手続をした後、その解散について所轄庁の認証を受けなければならない。
2 宗教法人は、前条第一項の規定による解散をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、信者その他の利害関係人に対し、解散に意見があればその公告の日から二月を下らない一定の期間内にこれを申し述べるべき旨を公告しなければならない。
3 宗教法人は、信者その他の利害関係人が前項の期間内にその意見を申し述べたときは、その意見を十分に考慮して、その解散の手続を進めるかどうかについて再検討しなければならない。
(任意解散の認証の申請)

第四十五条 
宗教法人は、前条第一項の規定による認証を受けようとするときは、認証申請書に左に掲げる書類を添えて、これを所轄庁に提出し、その認証を申請しなければならない。
一 解散の決定について規則で定める手続(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定による手続)を経たことを証する書類
二 前条第二項の規定による公告をしたことを証する書類
(任意解散の認証)

第四十六条 
所轄庁は、前条の規定による認証の申請を受理した場合においては、その受理の日を附記した書面でその旨を当該宗教法人に通知した後、当該申請に係る解散の手続が第四十四条の規定に従つてなされているかどうかを審査し、第十四条第一項の規定に準じ当該解散の認証に関する決定をしなければならない。
2 第十四条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による認証に関する決定の場合に準用する。この場合において、同条第四項中「認証書及び認証した旨を附記した規則」とあるのは、「認証書」と読み替えるものとする。
(任意解散の時期)

第四十七条 
宗教法人の第四十三条第一項の規定による解散は、当該解散に関する認証書の交付によつてその効力を生ずる。
(破産手続の開始)

第四十八条 
宗教法人がその債務につきその財産をもつて完済することができなくなつた場合には、裁判所は、代表役員若しくはその代務者若しくは債権者の申立てにより又は職権で、破産手続開始の決定をする。
2 前項に規定する場合には、代表役員又はその代務者は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
(清算中の宗教法人の能力)

第四十八条の二 
解散した宗教法人は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。
(清算人)

第四十九条 
宗教法人が解散(合併及び破産手続開始の決定による解散を除く。)したときは、規則に別段の定めがある場合及び解散に際し代表役員又はその代務者以外の者を清算人に選任した場合を除くほか、代表役員又はその代務者が清算人となる。
2 前項の規定により清算人となる者がないとき、又は清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任することができる。
3 宗教法人が第四十三条第二項第四号又は第五号に掲げる事由によつて解散したときは、裁判所は、前二項の規定にかかわらず、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を選任する。
4 第二十二条の規定は、宗教法人の清算人に準用する。
5 重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、清算人を解任することができる。
6 宗教法人の責任役員及びその代務者は、規則に別段の定めがなければ、宗教法人の解散によつて退任するものとする。宗教法人の代表役員又はその代務者で清算人とならなかつたものについても、また同様とする。
7 第三項の規定に該当するときは、宗教法人の代表役員、責任役員及び代務者は、前項の規定にかかわらず、当該解散によつて退任するものとする。
(清算人の職務及び権限)

第四十九条の二 
清算人の職務は、次のとおりとする。
一 現務の結了
二 債権の取立て及び債務の弁済
三 残余財産の引渡し
2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
(債権の申出の催告等)

第四十九条の三 
清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。
2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
3 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
4 第一項の公告は、官報に掲載してする。
(期間経過後の債権の申出)

第四十九条の四 
前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、宗教法人の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。
(清算中の宗教法人についての破産手続の開始)

第四十九条の五 
清算中に宗教法人の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになつたときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをし、その旨を公告しなければならない。
2 清算人は、清算中の宗教法人が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
3 前項に規定する場合において、清算中の宗教法人が既に債権者に支払い、又は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
4 第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。
(裁判所の選任する清算人の報酬)

第四十九条の六 
裁判所は、第四十九条第二項又は第三項の規定により清算人を選任した場合には、宗教法人が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該清算人(当該宗教法人の規則で当該宗教法人の財産の状況及び役員の職務の執行の状況を監査する機関を置く旨が定められているときは、当該清算人及び当該監査の機関)の陳述を聴かなければならない。
(残余財産の処分)

第五十条 
解散した宗教法人の残余財産の処分は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、規則で定めるところによる。
2 前項の場合において、規則にその定がないときは、他の宗教団体又は公益事業のためにその財産を処分することができる。
3 前二項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。
(裁判所による監督)

第五十一条 
宗教法人の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。
2 裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。
3 裁判所は、第一項の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。
4 第四十九条の六の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合に準用する。この場合において、同条中「清算人(当該宗教法人の規則で当該宗教法人の財産の状況及び役員の職務の執行の状況を監査する機関を置く旨が定められているときは、当該清算人及び当該監査の機関)」とあるのは、「宗教法人及び検査役」と読み替えるものとする。
5 宗教法人の解散及び清算を監督する裁判所は、所轄庁に対し、意見を求め、又は調査を嘱託することができる。
6 前項に規定する所轄庁は、同項に規定する裁判所に対し、意見を述べることができる。
(解散及び清算の監督等に関する事件の管轄)

第五十一条の二 
宗教法人の解散及び清算の監督並びに清算人に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
第五十一条の三 
削除
(不服申立ての制限)

第五十一条の四 
清算人又は検査役の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
第七章 登記
第一節 宗教法人の登記
(設立の登記)

第五十二条 
宗教法人の設立の登記は、規則の認証書の交付を受けた日から二週間以内に、主たる事務所の所在地においてしなければならない。
2 設立の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的(第六条の規定による事業を行う場合には、その事業の種類を含む。)
二 名称
三 事務所の所在場所
四 当該宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別
五 基本財産がある場合には、その総額
六 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
七 規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る第二十三条第一号に掲げる行為に関する事項を定めた場合には、その事項
八 規則で解散の事由を定めた場合には、その事由
九 公告の方法
(変更の登記)

第五十三条 
宗教法人において前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。
(他の登記所の管轄区域内への主たる事務所の移転の登記)

第五十四条 
宗教法人がその主たる事務所を他の登記所の管轄区域内に移転したときは、二週間以内に、旧所在地においては移転の登記をし、新所在地においては第五十二条第二項各号に掲げる事項を登記しなければならない。
(職務執行停止の仮処分等の登記)

第五十五条 
代表権を有する者の職務の執行を停止し、若しくはその職務を代行する者を選任する仮処分命令又はその仮処分命令を変更し、若しくは取り消す決定がされたときは、その主たる事務所の所在地において、その登記をしなければならない。
(合併の登記)

第五十六条 
宗教法人が合併するときは、当該合併に関する認証書の交付を受けた日から二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、合併後存続する宗教法人については変更の登記をし、合併により解散する宗教法人については解散の登記をし、合併により設立する宗教法人については設立の登記をしなければならない。
(解散の登記)

第五十七条 
第四十三条第一項又は第二項(第二号及び第三号を除く。以下この条において同じ。)の規定により宗教法人が解散したときは、同条第一項の規定による解散の場合には当該解散に関する認証書の交付を受けた日から、同条第二項の規定による解散の場合には当該解散の事由が生じた日から、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、解散の登記をしなければならない。
(清算結了の登記)

第五十八条 
宗教法人の清算が結了したときは、清算結了の日から二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、清算結了の登記をしなければならない。
(従たる事務所の所在地における登記)

第五十九条 
次の各号に掲げる場合(当該各号に規定する従たる事務所が主たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内にある場合を除く。)には、当該各号に定める期間内に、当該従たる事務所の所在地において、従たる事務所の所在地における登記をしなければならない。
一 宗教法人の設立に際して従たる事務所を設けた場合(次号に規定する場合を除く。) 主たる事務所の所在地における設立の登記をした日から二週間以内
二 合併により設立する宗教法人が合併に際して従たる事務所を設けた場合 当該合併に関する認証書の交付を受けた日から三週間以内
三 宗教法人の成立後に従たる事務所を設けた場合 従たる事務所を設けた日から三週間以内
2 従たる事務所の所在地における登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。ただし、従たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内に新たに従たる事務所を設けたときは、第三号に掲げる事項を登記すれば足りる。
一 名称
二 主たる事務所の所在場所
三 従たる事務所(その所在地を管轄する登記所の管轄区域内にあるものに限る。)の所在場所
3 前項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、三週間以内に、当該従たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。
(他の登記所の管轄区域内への従たる事務所の移転の登記)

第六十条 
宗教法人がその従たる事務所を他の登記所の管轄区域内に移転したときは、旧所在地(主たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内にある場合を除く。)においては三週間以内に移転の登記をし、新所在地(主たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内にある場合を除く。以下この条において同じ。)においては四週間以内に前条第二項各号に掲げる事項を登記しなければならない。ただし、従たる事務所の所在地を管轄する登記所の管轄区域内に新たに従たる事務所を移転したときは、新所在地においては、同項第三号に掲げる事項を登記すれば足りる。
(従たる事務所における変更の登記等)

第六十一条 
第五十六条及び第五十八条に規定する場合には、これらの規定に規定する日から三週間以内に、従たる事務所の所在地においても、これらの規定に規定する登記をしなければならない。ただし、合併後存続する宗教法人についての変更の登記は、第五十九条第二項各号に掲げる事項に変更が生じた場合に限り、するものとする。
(管轄登記所及び登記簿)

第六十二条 
宗教法人の登記に関する事務は、その事務所の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所が管轄登記所としてつかさどる。
2 各登記所に宗教法人登記簿を備える。
(登記の申請)

第六十三条 
設立の登記は、宗教法人を代表すべき者の申請によつてする。
2 設立の登記の申請書には、所轄庁の証明がある認証を受けた規則の謄本及び宗教法人を代表すべき者の資格を証する書類を添付しなければならない。
3 第五十二条第二項各号に掲げる事項の変更の登記の申請書には、当該事項の変更を証する書類を添付しなければならない。ただし、代表権を有する者の氏名又は住所の変更の登記については、この限りでない。
4 合併による変更又は設立の登記の申請書には、前二項に規定する書類のほか、第三十四条第三項及び第四項の規定による手続を経たことを証する書類並びに合併により解散する宗教法人(当該登記所の管轄区域内に主たる事務所があるものを除く。)の登記事項証明書を添付しなければならない。
5 第五十七条の規定による解散の登記の申請書には、解散の事由を証する書類を添付しなければならない。
6 この法律の規定による所轄庁の認証を要する事項に係る登記の申請書には、第二項から前項までに規定する書類のほか、所轄庁の証明がある認証書の謄本を添付しなければならない。
第六十四条 
削除
(商業登記法の準用)

第六十五条 
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第二条から第五条まで(登記所及び登記官)、第七条から第十五条まで、第十七条、第十八条、第十九条の二から第二十三条の二まで、第二十四条(第十五号及び第十六号を除く。)、第二十六条、第二十七条(登記簿等、登記手続の通則及び同一の所在場所における同一商号の登記の禁止)、第四十八条から第五十三条まで、第七十一条第一項及び第三項、第七十九条、第八十二条、第八十三条(株式会社の登記)並びに第百三十二条から第百四十八条まで(登記の更正及び抹消並びに雑則)の規定は、この章の規定による登記について準用する。この場合において、同法第四十八条第二項中「会社法第九百三十条第二項各号」とあるのは「宗教法人法第五十九条第二項各号」と、同法第七十一条第三項ただし書中「会社法第四百七十八条第一項第一号の規定により清算株式会社の清算人となつたもの(同法第四百八十三条第四項に規定する場合にあつては、同項の規定により清算株式会社の代表清算人となつたもの)」とあるのは「宗教法人法第四十九条第一項の規定による清算人」と読み替えるものとする。
第二節 礼拝用建物及び敷地の登記
(登記)

第六十六条 
宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地については、当該不動産が当該宗教法人において礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をすることができる。
2 敷地に関する前項の規定による登記は、その上に存する建物について同項の規定による登記がある場合に限りすることができる。
(登記の申請)

第六十七条 
前条第一項の規定による登記は、当該宗教法人の申請によつてする。
2 登記を申請するには、その申請情報と併せて礼拝の用に供する建物又はその敷地である旨を証する情報を提供しなければならない。
(登記事項)

第六十八条 
登記官は、前条第一項の規定による申請があつたときは、その建物又は土地の登記記録中権利部に、建物については当該宗教法人において礼拝の用に供するものである旨を、土地については当該宗教法人において礼拝の用に供する建物の敷地である旨を記録しなければならない。
(礼拝の用途廃止に因る登記の抹消)

第六十九条 
宗教法人は、前条の規定による登記をした建物が礼拝の用に供せられないこととなつたときは、遅滞なく同条の規定による登記の抹消を申請しなければならない。前条の規定による登記をした土地が礼拝の用に供する建物の敷地でなくなつたときも、また同様とする。
2 登記官は、前項前段の規定による申請に基き登記の抹消をした場合において、当該建物の敷地について前条の規定による登記があるときは、あわせてその登記を抹消しなければならない。
(所有権の移転に因る登記の抹消)

第七十条 
登記官は、第六十八条の規定による登記をした建物又は土地について所有権移転の登記をしたときは、これとともに当該建物又は土地に係る同条の規定による登記を抹消しなければならない。
2 前条第二項の規定は、前項の規定により建物について登記の抹消をした場合に準用する。
3 前二項の規定は、宗教法人の合併の場合には適用しない。
第八章 宗教法人審議会
(設置及び所掌事務)

第七十一条 
文部科学省に宗教法人審議会を置く。
2 宗教法人審議会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
3 宗教法人審議会は、所轄庁がこの法律の規定による権限(前項に規定する事項に係るものに限る。)を行使するに際し留意すべき事項に関し、文部科学大臣に意見を述べることができる。
4 宗教法人審議会は、宗教団体における信仰、規律、慣習等宗教上の事項について、いかなる形においても調停し、又は干渉してはならない。
(委員)

第七十二条 
宗教法人審議会は、十人以上二十人以内の委員で組織する。
2 委員は、宗教家及び宗教に関し学識経験がある者のうちから、文部科学大臣が任命する。
(任期)

第七十三条 
委員の任期は、二年とする。
2 委員は、再任されることができる。
(会長)

第七十四条 
宗教法人審議会に会長を置く。
2 会長は、委員が互選した者について、文部科学大臣が任命する。
3 会長は、宗教法人審議会の会務を総理する。
(委員の費用弁償)

第七十五条 
委員は、非常勤とする。
2 委員は、その職務に対して報酬を受けない。但し、職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。
3 費用弁償の額及びその支給方法は、文部科学大臣が財務大臣に協議して定める。
第七十六条 
削除
(運営の細目)

第七十七条 
この章に規定するものを除くほか、宗教法人審議会の議事の手続その他その運営に関し必要な事項は、文部科学大臣の承認を受けて、宗教法人審議会が定める。
第九章 補則
(被包括関係の廃止に係る不利益処分の禁止等)

第七十八条 
宗教団体は、その包括する宗教法人と当該宗教団体との被包括関係の廃止を防ぐことを目的として、又はこれを企てたことを理由として、第二十六条第三項(第三十六条において準用する場合を含む。)の規定による通知前に又はその通知後二年間においては、当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の役員又は規則で定めるその他の機関の地位にある者を解任し、これらの者の権限に制限を加え、その他これらの者に対し不利益の取扱をしてはならない。
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。
3 宗教法人は、他の宗教団体との被包括関係を廃止した場合においても、その関係の廃止前に原因を生じた当該宗教団体に対する債務の履行を免かれることができない。
(報告及び質問)

第七十八条の二 
所轄庁は、宗教法人について次の各号の一に該当する疑いがあると認めるときは、この法律を施行するため必要な限度において、当該宗教法人の業務又は事業の管理運営に関する事項に関し、当該宗教法人に対し報告を求め、又は当該職員に当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に対し質問させることができる。この場合において、当該職員が質問するために当該宗教法人の施設に立ち入るときは、当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者の同意を得なければならない。
一 当該宗教法人が行う公益事業以外の事業について第六条第二項の規定に違反する事実があること。
二 第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証をした場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていること。
三 当該宗教法人について第八十一条第一項第一号から第四号までの一に該当する事由があること。
2 前項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させようとする場合においては、所轄庁は、当該所轄庁が文部科学大臣であるときはあらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞き、当該所轄庁が都道府県知事であるときはあらかじめ文部科学大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聞かなければならない。
3 前項の場合においては、文部科学大臣は、報告を求め、又は当該職員に質問させる事項及び理由を宗教法人審議会に示して、その意見を聞かなければならない。
4 所轄庁は、第一項の規定により報告を求め、又は当該職員に質問させる場合には、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。
5 第一項の規定により質問する当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者に提示しなければならない。
6 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(公益事業以外の事業の停止命令)

第七十九条 
所轄庁は、宗教法人が行う公益事業以外の事業について第六条第二項の規定に違反する事実があると認めたときは、当該宗教法人に対し、一年以内の期間を限りその事業の停止を命ずることができる。
2 前項の規定による事業の停止の命令は、その理由及び事業の停止を命ずる期間を附記した書面で当該宗教法人に通知してするものとする。
3 所轄庁は、第一項の規定による事業の停止の命令に係る弁明の機会を付与するに当たつては、当該宗教法人が書面により弁明をすることを申し出たときを除き、口頭ですることを認めなければならない。
4 前条第二項の規定は、第一項の規定により事業の停止を命じようとする場合に準用する。
(認証の取消し)

第八十条 
所轄庁は、第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証をした場合において、当該認証に係る事案が第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したときは、当該認証に関する認証書を交付した日から一年以内に限り、当該認証を取り消すことができる。
2 前項の規定による認証の取消は、その理由を附記した書面で当該宗教法人に通知してするものとする。
3 宗教法人について第一項の規定に該当する事由があることを知つた者は、証拠を添えて、所轄庁に対し、その旨を通知することができる。
4 第一項の規定による認証の取消しに係る聴聞の主宰者は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二十条第三項の規定により当該宗教法人の代表者又は代理人が補佐人とともに出頭することを申し出たときは、これを許可しなければならない。ただし、当該聴聞の主宰者は、必要があると認めたときは、その補佐人の数を三人までに制限することができる。
5 第七十八条の二第二項の規定は、第一項の規定による認証の取消しをしようとする場合に準用する。
6 所轄庁は、第一項の規定による認証の取消しをしたときは、当該宗教法人の主たる事務所及び従たる事務所の所在地の登記所に解散の登記の嘱託をしなければならない。
(審査請求の手続における諮問等)

第八十条の二 
第十四条第一項、第二十八条第一項、第三十九条第一項若しくは第四十六条第一項の規定による認証に関する決定、第七十九条第一項の規定による事業の停止の命令又は前条第一項の規定による認証の取消しについての審査請求に対する裁決は、当該審査請求を却下する場合を除き、あらかじめ宗教法人審議会に諮問した後にしなければならない。
2 前項の審査請求に対する裁決は、当該審査請求があつた日から四月以内にしなければならない。
(解散命令)

第八十一条 
裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
二 第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。
三 当該宗教法人が第二条第一号に掲げる宗教団体である場合には、礼拝の施設が滅失し、やむを得ない事由がないのにその滅失後二年以上にわたつてその施設を備えないこと。
四 一年以上にわたつて代表役員及びその代務者を欠いていること。
五 第十四条第一項又は第三十九条第一項の規定による認証に関する認証書を交付した日から一年を経過している場合において、当該宗教法人について第十四条第一項第一号又は第三十九条第一項第三号に掲げる要件を欠いていることが判明したこと。
2 前項に規定する事件は、当該宗教法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄とする。
3 第一項の規定による裁判には、理由を付さなければならない。
4 裁判所は、第一項の規定による裁判をするときは、あらかじめ当該宗教法人の代表役員若しくはその代務者又は当該宗教法人の代理人及び同項の規定による裁判の請求をした所轄庁、利害関係人又は検察官の陳述を求めなければならない。
5 第一項の規定による裁判に対しては、当該宗教法人又は同項の規定による裁判の請求をした所轄庁、利害関係人若しくは検察官に限り、即時抗告をすることができる。この場合において、当該即時抗告が当該宗教法人の解散を命ずる裁判に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。
6 裁判所は、第一項の規定による裁判が確定したときは、その解散した宗教法人の主たる事務所及び従たる事務所の所在地の登記所に解散の登記の嘱託をしなければならない。
7 第二項から前項までに規定するものを除くほか、第一項の規定による裁判に関する手続については、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)の定めるところによる。
(随伴者に対する意見を述べる機会の供与)

第八十二条 
文部科学大臣及び都道府県知事は、この法律の規定による認証に関し宗教法人の代表者若しくは代理人若しくは第十二条第一項の規定による認証を受けようとする者若しくはその代理人が意見を述べる場合又は第七十九条第一項の規定による事業の停止の命令に関し宗教法人の代表者若しくは代理人が口頭により弁明をする場合においては、これらの者のほか、助言者、弁護人等としてこれらの者に随伴した者に対し、意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、必要があると認めたときは、その意見を述べる機会を与える随伴者の数を三人までに制限することができる。
(礼拝用建物等の差押禁止)

第八十三条 
宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地で、第七章第二節の定めるところにより礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をしたものは、不動産の先取特権、抵当権又は質権の実行のためにする場合及び破産手続開始の決定があつた場合を除くほか、その登記後に原因を生じた私法上の金銭債権のために差し押さえることができない。
(宗教上の特性及び慣習の尊重)

第八十四条 
国及び公共団体の機関は、宗教法人に対する公租公課に関係がある法令を制定し、若しくは改廃し、又はその賦課徴収に関し境内建物、境内地その他の宗教法人の財産の範囲を決定し、若しくは宗教法人について調査をする場合その他宗教法人に関して法令の規定による正当の権限に基く調査、検査その他の行為をする場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。
(解釈規定)

第八十五条 
この法律のいかなる規定も、文部科学大臣、都道府県知事及び裁判所に対し、宗教団体における信仰、規律、慣習等宗教上の事項についていかなる形においても調停し、若しくは干渉する権限を与え、又は宗教上の役職員の任免その他の進退を勧告し、誘導し、若しくはこれに干渉する権限を与えるものと解釈してはならない。
第八十六条 
この法律のいかなる規定も、宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない。
(審査請求と訴訟との関係)

第八十七条 
第八十条の二第一項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。
(事務の区分)

第八十七条の二 
第九条、第十四条第一項、第二項(第二十八条第二項、第三十九条第二項及び第四十六条第二項において準用する場合を含む。)及び第四項(第二十八条第二項、第三十九条第二項及び第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第二十五条第四項、第二十六条第四項(第三十六条において準用する場合を含む。)、第二十八条第一項、第三十九条第一項、第四十三条第三項、第四十六条第一項、第四十九条第三項、第五十一条第五項及び第六項、第七十八条の二第一項及び第二項(第七十九条第四項及び第八十条第五項において準用する場合を含む。)、第七十九条第一項から第三項まで、第八十条第一項から第三項まで及び第六項、第八十一条第一項、第四項及び第五項並びに第八十二条の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
第十章 罰則
第八十八条 
次の各号のいずれかに該当する場合においては、宗教法人の代表役員、その代務者、仮代表役員又は清算人は、十万円以下の過料に処する。
一 所轄庁に対し虚偽の記載をした書類を添付してこの法律の規定による認証(第十二条第一項の規定による認証を除く。)の申請をしたとき。
二 第九条又は第四十三条第三項の規定による届出を怠り、又は虚偽の届出をしたとき。
三 第二十三条の規定に違反して同条の規定による公告をしないで同条各号に掲げる行為をしたとき。
四 第二十五条第一項若しくは第二項の規定に違反してこれらの規定に規定する書類若しくは帳簿の作成若しくは備付けを怠り、又は同条第二項各号に掲げる書類若しくは帳簿に虚偽の記載をしたとき。
五 第二十五条第四項の規定による書類の写しの提出を怠つたとき。
六 第四十八条第二項又は第四十九条の五第一項の規定による破産手続開始の申立てを怠つたとき。
七 第四十九条の三第一項又は第四十九条の五第一項の規定による公告を怠り、又は不正の公告をしたとき。
八 第五十一条第二項の規定による裁判所の検査を妨げたとき。
九 第七章第一節の規定による登記をすることを怠つたとき。
十 第七十八条の二第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
十一 第七十九条第一項の規定による事業の停止の命令に違反して事業を行つたとき。
第八十九条 
宗教法人を設立しようとする者が所轄庁に対し虚偽の記載をした書類を添付して第十二条第一項の規定による認証の申請をしたときは、当該申請に係る団体の代表者は、十万円以下の過料に処する。

附則(抄)

1 この法律は、公布の日から施行する。
2 宗教法人令(昭和二十年勅令第七百十九号)及び宗教法人令施行規則(昭和二十年司法、文部省令第一号)は、廃止する。
3 この法律施行の際現に存する宗教法人令の規定による宗教法人は、この法律施行後も、同令の規定による宗教法人として存続することができる。
4 第二項に掲げる命令の規定は、前項の宗教法人(以下「旧宗教法人」という。)については、この法律施行後も、なおその効力を有する。この場合において、宗教法人令第五条第一項及び第十四条第一項中「命令」とあるのは、「法務省令、文部科学省令」とする。
5 旧宗教法人は、この法律中の宗教法人の設立に関する規定(設立に関する罰則の規定を含む。)に従い、規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受け、設立の登記をすることに因つて、この法律の規定による宗教法人(以下「新宗教法人」という。)となることができる。
6 二以上の旧宗教法人は、共同して、この法律中の宗教法人の設立に関する規定(設立に関する罰則の規定を含む。)に従い、規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受け、設立の登記をすることに因つて、一の新宗教法人となることができる。
7 第三十四条第二項から第四項までの規定は、前項の規定により二以上の旧宗教法人が一の新宗教法人となろうとする場合に準用する。この場合において、同条第二項中「前項の規定による公告」とあるのは「附則第六項の規定により二以上の旧宗教法人が一の新宗教法人となろうとする決定」と、「第六条の規定による事業」とあるのは「公益事業その他の事業」と読み替えるものとする。
8 第五項又は第六項の規定により旧宗教法人が新宗教法人となるための設立の登記の申請書には、旧宗教法人のうち、教派、宗派及び教団にあつてはその主たる事務所の所在地の登記所において、神社、寺院及び教会にあつてはその所在地の登記所において、当該設立の登記をする場合を除く外、旧宗教法人の登記簿の謄本を添えなければならない。
9 第六項の規定により二以上の旧宗教法人が一の新宗教法人となるための設立の登記の申請書には、第七項において準用する第三十四条第三項及び第四項の規定による手続を経たことを証する書類を添えなければならない。
10 第六項の規定により一の新宗教法人となろうとする旧宗教法人が第七項において準用する第三十四条第二項から第四項までの規定による手続を経ないで、所轄庁に対し規則の認証の申請をしたときは、当該旧宗教法人の主管者又は代務者は、一万円以下の過料に処する。
11 旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となろうとする旨の決定及び当該新宗教法人に係る規則に関する決定は、当該旧宗教法人における規則の変更に関する手続に従つてするものとする。
12 旧宗教法人のうち神社、寺院又は教会で、だ ん 徒会、信徒会等当該旧宗教法人における規則の変更に関し議決の権限を有する機関を有しないものにあつては、前項に規定する決定をするに当つて、当該旧宗教法人の主管者又は代務者は、信者その他の利害関係人の意向を反映させるため必要があると認めたときは、当該旧宗教法人の規則にかかわらず、特に現任の総代と同数の総代を選任して、当該決定に参与させることができる。
13 旧宗教法人と当該旧宗教法人を包括する宗教団体との被包括関係の廃止は、当該関係の廃止が当該旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となることに伴う場合に限りすることができるものとする。
14 前項の規定により旧宗教法人が被包括関係を廃止しようとする場合の手続に関しては、第十一項の規定にかかわらず、左の各号の定めるところによる。
一 旧宗教法人令第六条後段の規定による手続を経ることを要しないこと。
二 当該被包括関係の廃止に関し当該旧宗教法人の規則中に当該旧宗教法人を包括する宗教団体が一定の権限を有する旨の定がある場合においても、その権限に関する規則の規定によることを要しないこと。
三 第十二条第三項の規定による公告と同時に、当該旧宗教法人を包括する宗教団体に対し当該被包括関係を廃止しようとする旨を通知しなければならないこと。
15 旧宗教法人は、第五項又は第六項の規定により新宗教法人となろうとするときは、この法律施行の日から一年六月以内に、第十三条の規定による認証の申請をしなければならない。
16 前項の規定による申請があつた場合における認証については、第十四条第四項中「三月」とあるのは、「一年六月」と読み替えるものとする。
17 旧宗教法人は、第十五項の期間内に認証の申請をしなかつた場合又は当該認証の申請をしたがその認証を受けることができなかつた場合においては、当該認証の申請をすることができる期間の満了の日又は当該認証を受けることのできないことが確定した日(その日が当該認証の申請をすることができる期間の満了の日前である場合には、当該期間の満了の日)において、これらの日前において解散したものを除いて、解散する。
18 旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となつたときは、その設立の登記をした日において、当該旧宗教法人は解散し、その権利義務(当該旧宗教法人が行う公益事業その他の事業に関し行政庁の許可、認可その他の処分に基いて有する権利義務を含む。)は、新宗教法人が承継する。この場合においては、法人の解散及び清算に関する民法及び非訟事件手続法の規定は適用しない。
19 第五項又は第六項の規定により旧宗教法人が新宗教法人となるための設立の登記がなされたときは、登記官吏は、職権で、当該旧宗教法人の登記用紙を閉鎖しなければならない。
20 旧宗教法人が第五項又は第六項の規定により新宗教法人となつた場合においては、当該宗教法人が所有する旧宗教法人令第十五条に規定する建物又はその敷地について同条の規定による登記をした事項(当該建物又はその敷地について旧宗教法人令の規定による登記をしたものとみなされた事項を含む。)は、当該宗教法人が新宗教法人となつた日において、第六十八条の規定による登記をしたものとみなす。
21 前項の建物及びその敷地については、第八十三条中「その登記後」とあるのは、「旧宗教法人令又は旧宗教団体法(昭和十四年法律第七十七号)の規定による登記後」と読み替えるものとする。
22 旧宗教法人のうち教派、宗派又は教団で第五項又は第六項の規定により新宗教法人となつたものの所轄庁は、第五条第一項の規定にかかわらず、文部科学大臣とする。
23 当分の間、宗教法人は、第六条第二項の規定による公益事業以外の事業を行わない場合であつて、その一会計年度の収入の額が寡少である額として文部科学大臣が定める額の範囲内にあるときは、第二十五条第一項の規定にかかわらず、当該会計年度に係る収支計算書を作成しないことができる。
24 前項に規定する額の範囲を定めようとする場合においては、文部科学大臣は、あらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聞かなければならない。
25 附則第二十三項の場合において、宗教法人は、第二十五条第二項(第一号、第二号及び第四号から第六号までを除く。)の規定にかかわらず、同項第三号に掲げる収支計算書を作成している場合に限り、これを宗教法人の事務所に備えなければならない。

   「ウィキソース」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

604年(推古天皇12)聖徳太子(厩戸皇子)が「十七条憲法」を制定する(新暦5月6日)詳細
1673年(寛文13)日本黄檗宗の開祖隠元隆琦の命日(新暦5月19日)詳細
1881年(明治14)洋画家児島虎次郎の誕生日詳細
1897年(明治30)柏崎明治30年大火(日野屋火事)で、1,230戸が焼失する詳細
1919年(大正8)総合雑誌「改造」が創刊される詳細
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kenpoukaiseisouan01
 今日は、昭和時代中期の1946年(昭和21)に、「日本国憲法」の原案となった、政府の「憲法改正草案」が発表された日です。
 「憲法改正草案」(けんぽうかいせいそうあん)は、太平洋戦争後の「大日本帝国憲法」に代わる憲法の制定過程で、日本政府が1946(昭和21)4月17日に発表したものでした。すでに3月6日に「憲法改正草案要綱」が政府発表され、同時に昭和天皇の勅語と幣原喜重郎内閣総理大臣談話も出されていましたが、口語化の検討が進められ、4月5日に口語化の第一次案が完成します。
 4月16日には幣原首相が内奏し、法令の口語化はまず憲法について行い、憲法の成立施行後は他の法令にも及ぶことを伝え、翌4月17日に、この「憲法改正草案」が発表されました。その後、枢密院の審議を経て、6月20日の帝国議会に提出され、3ヶ月余の吟味を受け、いくつかの修正をしたうえで、10月7日の衆議院で「日本国憲法」が成立し、11月3日に公布され、翌年5月3日に施行されています。
 以下に、「憲法改正草案」を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇太平洋戦争直後の憲法改正 

 日本が敗戦に当たって受諾した「ポツダム宣言」の第6条「日本国国民を欺瞞し、之をして世界征服の挙に出づるの過誤を犯さしめたる者の権力及び勢力は、永久に除去せられざるべからず」に基づき、1945年(昭和20)10月4日に、連合国最高司令官 D.マッカーサー元帥は「政治的、公民的及び宗教的自由に対する制限の撤廃に関する覚書(民主化指令)SCAPIN-93」(①天皇に関する議論をふくむ思想、言論の自由を抑圧する一切の法令の廃止、②治安維持法関連の一切の法令の廃止、③政治犯の即時釈放(10月10日までに)、④思想警察その他一切の類似機関の廃止、⑤内務大臣および警察関係の首脳部、その他日本全国の思想警察および弾圧活動に関係ある官吏の罷免)を発し、東久邇内閣の国務相近衛文麿に新憲法制定を示唆しましたが、それはとても実施できないとの衝撃を受けて東久邇内閣が翌日に総辞職すると、10月9日に幣原内閣が成立しました。
 10月11日には、幣原首相・マッカーサー(連合国最高司令官)会談が行われ、その時にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)指令として、いわゆる「五大改革指令」(①秘密警察の廃止、②労働組合の結成奨励、③婦人解放、④学校教育の自由化、⑤経済の民主化)が口頭で通達されます。そして、10月22日に「日本教育制度に対する管理政策」(SCAPIN-178)、10月30日に「教育関係者の資格についての指令」(SCAPIN-212)、11月6日に「持株会社の解体に関する覚書」(SCAPIN-244)、11月24日に「戦時利得の除去及び国家財政の再編成に関する覚書」(SCAPIN337)、12月9日に「農地改革に関する覚書」(SCAPIN-411)、12月15日に「国家神道、神社神道に対する政府の保証、支援、保全、監督並に弘布の廃止に関する件(宗教指令)」など、年末までに重要指令が次々とGHQから幣原内閣に出されました。
 その中で、幣原内閣の下で、憲法改正問題の検討も進められ、それを担当した松本烝治国務大臣は、憲法問題調査委員会の調査・審議を経て、12月8日には、いわゆる「松本四原則」(①天皇が統治権を総覧するという原則には変更を加えない、②議会の権限を拡大し、その結果として大権事項を制限する、③国務大臣の責任を国務の全般にわたるものたらしめ、国務大臣は議会に対して責任を負うものとする、④人民の自由・権利の保護を強化し、その侵害に対する救済を完全なものとする)をまとめ、これに基づいて翌年1月には、松本案(いわゆる「甲」案)を作成、これに若干の加筆改訂を加え、2月8日に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)へ提出したのが「憲法改正要綱」(松本私案)です。その内容は、国体護持を重視した、それまでの「大日本帝国憲法」の微温的修正にとどまり、天皇主権の原則は維持され、統帥権の独立は否定されたものの軍隊は存続させられており、基本的人権の考え方はなく法律で自由に制限できる「臣民の権利」が保障されるといったものとなりました。
 しかし、GHQは「ポツダム宣言」の第6条の軍国主義除去の実施には、不十分なものとみなし、受け入れられないことになります。当時、民間でも憲法改正論議は活発化し、天皇主権(国体護持)、国家主権(君民同治)、国民主権(天皇象徴化)、人民主権(天皇制廃止)など様々な憲法案が出されていましたが、GHQは2月13日に、「ポツダム宣言」の第6条に沿いつつも、中庸な国民主権(天皇象徴化・戦争放棄・基本的人権確立)を採用したマッカーサー案を日本側に手渡しました。
 それに対し、日本政府は22日に受諾を決定、その後日米双方で検討し、3月6日に「憲法改正草案要綱」が政府発表されます。同時に昭和天皇の勅語と幣原喜重郎内閣総理大臣談話も発表され、翌日の新聞にはマッカーサーの要綱支持の声明も発表されました。国民はその内容に大きな衝撃を受けたものの、おおむね好評で、「毎日新聞」1946年5月27日付の「新憲法草案に関する世論調査の結果」によると、草案の象徴天皇制への賛否では、支持85%、反対13%、不明1.7%、また、戦争放棄の条項を必要とするかでは、必要あり70%、必要なし28%となっています。
 この憲法改正案に対し、国語の平易化運動を熱心に進めていた「国民の国語運動」(代表・安藤正次博士)は、「法令の書き方についての建議」という幣原喜重郎首相あての意見書を提出しました。そして、4月2日に、GHQの了承と閣議の了解を得て、ひらがな口語体による「憲法改正草案」を準備することとなります。4月5日に口語化の第一次案が完成、4月16日には幣原首相が内奏し、法令の口語化はまず憲法について行い、憲法の成立施行後は他の法令にも及ぶことを伝え、翌4月17日に、「憲法改正草案」が発表されました。
、その後、枢密院の審議を経て、6月20日の帝国議会に提出され、3ヶ月余の吟味を受け、いくつかの修正をしたうえで、10月7日の衆議院で「日本国憲法」が成立し、11月3日に公布され、翌年5月3日に施行されました。この時、新聞社が実施した世論調査では、8割以上が「日本国憲法」を評価し、国民に歓迎されています。
 
☆「憲法改正草案」 1946(昭和21)4月17日発表

日本国憲法

日本国民は、国会における正当に選挙された代表者を通じて、我ら自身と子孫のために、諸国民との間に平和的協力を成立させ、日本国全土にわたつて自由の福祉を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が発生しないやうにすることを決意し、ここに国民の総意が至高なものであることを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の崇高な信託によるものであり、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行ひ、その利益は国民がこれを受けるものであつて、これは人類普遍の原理であり、この憲法は、この原理に基くものである。我らは、この憲法に反する一切の法令と詔勅を廃止する。
日本国民は、常に平和を念願し、人間相互の関係を支配する高遠な理想を深く自覚するものであつて、我らの安全と生存をあげて、平和を愛する世界の諸国民の公正と信義に委ねようと決意した。我らは、平和を維持し、専制と隷従と圧迫と偏狭を地上から永遠に払拭しようと努めてゐる国際社会に伍して、名誉ある地位を占めたいものと思ふ。我らは、すべての国の国民がひとしく恐怖と欠乏から解放され、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
我らは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならぬのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであると信ずる。この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉に懸け、全力をあげてこの高遠な主義と目的を達成することを誓ふ。

第一章 天皇

第一条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、日本国民の至高の総意に基く。
第二条 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
第三条 天皇の国務に関するすべての行為には、内閣の補佐と同意を必要とし、内閣がその責任を負ふ。
第四条 天皇は、この憲法の定める国務のみを行ひ、政治に関する権能を有しない。
天皇は、法律の定めるところにより、その権能を委任することができる。
第五条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその権能を行ふ。この場合には前条第一項の規定を準用する。
第六条 天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
第七条 天皇は、内閣の補佐と同意により、国民のために、左の国務を行ふ。
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

第二章 戦争の抛棄

第九条 国の主権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、他国との間の紛争の解決の手段としては、永久にこれを抛棄する。
陸海空軍その他の戦力の保持は、許されない。国の交戦権は、認められない。

第三章 国民の権利及び義務
第十条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
第十一条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならぬのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
第十二条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十三条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別を受けない。
華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
第十四条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
第十五条 何人も、損害その他に関する救済、公務員の罷免及び法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
第十六条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第十七条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第十八条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第十九条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第二十条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第二十一条 学問の自由は、これを保障する。
第二十二条 婚姻は、両性の合意に基いてのみ成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の権威と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
第二十三条 法律は、すべての生活分野について、社会の福祉及び安寧並びに公衆衛生の向上及び増進のために立案されなければならない。
第二十四条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
すべて国民は、その保護する児童に初等教育を受けさせる義務を負ふ。初等教育は、これを無償とする。
第二十五条 すべて国民は、勤労の権利を有する。
賃金、就業時間その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
児童は、これを酷使してはならない。
第二十六条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
第二十七条 財産権は、これを侵してはならない。
財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
第二十八条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。
第二十九条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
第三十条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
第三十一条 何人も、理由を直ちに告げられず、又は直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
第三十二条 国民が、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
第三十三条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
第三十四条 すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
刑事被告人は、すべての証人に対して、審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
第三十五条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
強制、拷問若しくは脅迫の下での自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
第三十六条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

第四章 国会

第三十七条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第三十八条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
第三十九条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。
第四十条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分又は門地によつて差別してはならない。
第四十一条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。
第四十二条 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。
第四十三条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
第四十四条 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。
第四十五条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
第四十六条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
第四十七条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
第四十八条 国会の常会は、毎年一囘これを召集する。
第四十九条 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。
第五十条 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。
第五十一条 両議院は、各々その議員の選挙又は資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第五十二条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第五十三条 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
両議院は、その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。
出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
第五十四条 両議院は、各々議長その他の役員を選任する。
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。
第五十五条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第五十六条 予算はさきに衆議院に提出しなければならない。
予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて四十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第五十七条 条約の締結に必要な国会の同意については、前条第二項の規定を準用する。
第五十八条 両議院は、各々国務に関する調査を行ひ、これに関する証人の出頭、証言の供述及び記録の提出を要求することができる。
第五十九条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。
第六十条 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。
弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

第五章 内閣

第六十一条 行政権は、内閣がこれを行ふ。
第六十二条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
第六十三条 内閣総理大臣は、国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて二十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
第六十四条 内閣総理大臣は、国会の同意により、国務大臣を任命する。この同意については、前条第二項の規定を準用する。
内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
第六十五条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
第六十六条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
第六十七条 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
第六十八条 内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。
第六十九条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の同意を経ることを必要とする。
四 法律の定める規準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。
第七十条 法律及び政令には、すべて主任の国務大臣が署名し、内閣総理大臣が連署することを必要とする。
第七十一条 国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。

第六章 司法

第七十二条 司法権は、すべて最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所が、これを行ふ。
特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
第七十三条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権能を有する。
検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。
最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、下級裁判所に委任することができる。
第七十四条 裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行ふことはできない。
第七十五条 最高裁判所は、法律の定める員数の裁判官でこれを構成し、その裁判官は、すべて内閣でこれを任命し、法律の定める年齢に達した時に退官する。
最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。
前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。
審査に関する事項は、法律でこれを定める。
最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
第七十六条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。
第七十七条 最高裁判所は、終審裁判所である。
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する。
第七十八条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
裁判所が、裁判官の全員一致で、公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治に関する犯罪、出版物に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならない。

第七章 財政

第七十九条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
第八十条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
第八十一条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする。
第八十二条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。
第八十三条 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の同意を得なければならない。
第八十四条 世襲財産以外の皇室の財産は、すべて国に属する。皇室財産から生ずる収益は、すべて国庫の収入とし、法律の定める皇室の経費は、予算に計上して国会の同意を得なければならない。
第八十五条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
第八十六条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。
第八十七条 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、少くとも毎年一囘、国の財政状況について報告しなければならない。

第八章 地方自治

第八十八条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。
第八十九条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。
第九十条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
第九十一条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。

第九章 改正

第九十二条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

第十章 最高法規

第九十三条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
第九十四条 この憲法並びにこれに基いて制定された法律及び条約は、国の最高法規とし、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
第九十五条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

第十一章 補則

第九十六条 この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
第九十七条 この憲法施行の際現に華族その他の貴族の地位にある者については、その地位は、その生存中に限り、これを認める。但し、将来、華族その他の貴族たることにより、いかなる政治的権力も有しない。
第九十八条 この憲法施行の際、参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、衆議院は、国会としての権限を行ふ。
第九十九条 この憲法による第一期の参議院議員のうち、その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、法律の定めるところにより、これを定める。
第百条 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。

  「国立国会図書館ホームページ」より

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 今日は、昭和時代中期の太平洋戦争敗戦後の1946年(昭和21)に、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)へ「憲法改正要綱」(松本私案)が提出された日です。
 「憲法改正要綱(けんぽうかいせいようこう)」は、東久邇内閣の総辞職後の1945年(昭和20)10月9日に成立した幣原内閣で、憲法改正問題を担当した松本烝治国務大臣がとりまとめた憲法改正案で松本私案とも呼ばれました。
 日本が敗戦に当たって受諾した「ポツダム宣言」の第6条「日本国国民を欺瞞し、之をして世界征服の挙に出づるの過誤を犯さしめたる者の権力及び勢力は、永久に除去せられざるべからず」に基づき、1945年(昭和20)10月4日に、連合国最高司令官 D.マッカーサー元帥は「政治的、公民的及び宗教的自由に対する制限の撤廃に関する覚書(民主化指令)SCAPIN-93」(①天皇に関する議論をふくむ思想、言論の自由を抑圧する一切の法令の廃止、②治安維持法関連の一切の法令の廃止、③政治犯の即時釈放(10月10日までに)、④思想警察その他一切の類似機関の廃止、⑤内務大臣および警察関係の首脳部、その他日本全国の思想警察および弾圧活動に関係ある官吏の罷免)を発し、東久邇内閣の国務相近衛文麿に新憲法制定を示唆しましたが、それはとても実施できないとの衝撃を受けて東久邇内閣が翌日に総辞職すると、10月9日に幣原内閣が成立します。10月11日には、幣原首相・マッカーサー(連合国最高司令官)会談が行われ、その時にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)指令として、いわゆる「五大改革指令」(①秘密警察の廃止、②労働組合の結成奨励、③婦人解放、④学校教育の自由化、⑤経済の民主化)が口頭で通達されました。
 そして、10月22日に「日本教育制度に対する管理政策」(SCAPIN-178)、10月30日に「教育関係者の資格についての指令」(SCAPIN-212)、11月6日に「持株会社の解体に関する覚書」(SCAPIN-244)、11月24日に「戦時利得の除去及び国家財政の再編成に関する覚書」(SCAPIN337)、12月9日に「農地改革に関する覚書」(SCAPIN-411)、12月15日に「国家神道、神社神道に対する政府の保証、支援、保全、監督並に弘布の廃止に関する件(宗教指令)」など、年末までに重要指令が次々とGHQから幣原内閣に出されます。その中で、幣原内閣で、憲法改正問題を担当した松本烝治国務大臣は、憲法問題調査委員会の調査・審議を経て、12月8日には、いわゆる「松本四原則」(①天皇が統治権を総覧するという原則には変更を加えない、②議会の権限を拡大し、その結果として大権事項を制限する、③国務大臣の責任を国務の全般にわたるものたらしめ、国務大臣は議会に対して責任を負うものとする、④人民の自由・権利の保護を強化し、その侵害に対する救済を完全なものとする)をまとめ、これに基づいて翌年1月には、松本案(いわゆる「甲」案)を作成、これに若干の加筆改訂を加え、2月8日に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)へ提出したのが「憲法改正要綱」(松本私案)でした。
 その内容は、国体護持を重視し、それまでの「大日本帝国憲法」の微温的修正にとどまり、天皇主権の原則は維持され、統帥権の独立は否定されたものの軍隊は存続させられており、基本的人権の考え方はなく法律で自由に制限できる「臣民の権利」が保障されるといったものとなります。しかし、GHQは「ポツダム宣言」の第6条の軍国主義除去の実施には、不十分なものとみなし、受け入れられませんでした。
 当時、民間でも憲法改正論議は活発化し、天皇主権(国体護持)、国家主権(君民同治)、国民主権(天皇象徴化)、人民主権(天皇制廃止)など様々な憲法案が出されていましたが、GHQは2月13日に、「ポツダム宣言」の第6条に沿いつつも、中庸な国民主権(天皇象徴化・戦争放棄・基本的人権確立)を採用したマッカーサー案を日本側に手渡します。日本政府は同月22日にその受諾を決定、そののち日米双方で検討し、3月6日に「憲法改正草案要綱」として内容が政府発表されました。
 その後、枢密院の審議を経て、6月20日の帝国議会に提出され、3ヶ月余の吟味を受け、いくつかの修正をしたうえで、10月7日の衆議院で「日本国憲法」が成立し、11月3日に公布され、翌年5月3日に施行されます。この時、新聞社が実施した世論調査では、8割以上が「日本国憲法」を評価し、国民に歓迎されました。
 以下に、「憲法改正要綱」(松本私案)を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「憲法改正要綱」(松本私案) 1946年(昭和21)2月8日

憲法改正要綱

第一章 天皇
一 第三条ニ「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」トアルヲ「天皇ハ至尊ニシテ侵スヘカラス」ト改ムルコト
二 第七条所定ノ衆議院ノ解散ハ同一事由ニ基ツキ重ネテ之ヲ命スルコトヲ得サルモノトスルコト
三 第八条所定ノ緊急勅令ヲ発スルニハ議院法ノ定ムル所ニ依リ帝国議会常置委員ノ諮詢ヲ経ルヲ要スルモノトスルコト
四 第九条中ニ「公共ノ安寧秩序ヲ保持シ及臣民ノ幸福ヲ増進スル為ニ必要ナル命令」トアルヲ「行政ノ目的ヲ達スル為ニ必要ナル命令」ト改ムルコト(要綱十参照)
五 第十一条中ニ「陸海軍」トアルヲ「軍」ト改メ且第十二条ノ規定ヲ改メ軍ノ編制及常備兵額ハ法律ヲ以テ之ヲ定ムルモノトスルコト(要綱二十一参照)
六 第十三条ノ規定ヲ改メ戦ヲ宣シ和ヲ講シ又ハ法律ヲ以テ定ムルヲ要スル事項ニ関ル条約若ハ国庫ニ重大ナル負担ヲ生スヘキ条約ヲ締結スルニハ帝国議会ノ協賛ヲ経ルヲ要スルモノトスルコト但シ内外ノ情形ニ因リ帝国議会ノ召集ヲ待ツコト能ハサル緊急ノ必要アルトキハ帝国議会常置委員ノ諮詢ヲ経ルヲ以テ足ルモノトシ此ノ場合ニ於テハ次ノ会期ニ於テ帝国議会ニ報告シ其ノ承諾ヲ求ムヘキモノトスルコト
七 第十五条ニ「天皇ハ爵位勲章及其ノ他ノ栄典ヲ授与ス」トアルヲ「天皇ハ栄典ヲ授与ス」ト改ムルコト

第二章 臣民権利義務
八 第二十条中ニ「兵役ノ義務」トアルヲ「役務ニ服スル義務」ト改ムルコト
九 第二十八条ノ規定ヲ改メ日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有スルモノトスルコト
十 日本臣民ハ本章各条ニ掲ケタル場合ノ外凡テ法律ニ依ルニ非スシテ其ノ自由及権利ヲ侵サルルコトナキ旨ノ規定ヲ設クルコト
十一 非常大権ニ関スル第三十一条ノ規定ヲ削除スルコト
十二 軍人ノ特例ニ関スル第三十二条ノ規定ヲ削除スルコト

第三章 帝国議会
十三 第三十三条以下ニ「貴族院」トアルヲ「参議院」ト改ムルコト
十四 第三十四条ノ規定ヲ改メ参議院ハ参議院法ノ定ムル所ニ依リ選挙又ハ勅任セラレタル議員ヲ以テ組織スルモノトスルコト
十五 衆議院ニ於テ引続キ三回其ノ総員三分ノ二以上ノ多数ヲ以テ可決シテ参議院ニ移シタル法律案ハ参議院ノ議決アルト否トヲ問ハス帝国議会ノ協賛ヲ経タルモノトスル旨ノ規定ヲ設クルコト
十六 第四十二条所定ノ帝国議会ノ会期「三箇月」ヲ改メ「三箇月以上ニ於テ議院法ノ定メタル期間」トスルコト
十七 両議院ノ議員ハ各々其ノ院ノ総員三分ノ一以上ノ賛成ヲ得テ臨時会ノ召集ヲ求ムルコトヲ得ル旨ノ規定ヲ設クルコト
十八 第四十五条所定ノ衆議院解散後ニ於ケル帝国議会ヲ召集スヘキ期限「五箇月以内」ヲ「三箇月以内」ト改ムルコト
十九 第四十八条但書ノ規定ヲ改メ両議院ノ会議ヲ秘密会ト為スハ専ラ其ノ院ノ決議ニ依ルモノトスルコト
二十 会期前ニ逮捕セラレタル議員ハ其ノ院ノ要求アルトキハ会期中之ヲ釈放スヘキ旨ノ規定ヲ設クルコト

第四章 国務大臣及枢密顧問
二十一 第五十五条第一項ノ規定ヲ改メ国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ一切ノ国務ニ付帝国議会ニ対シテ其ノ責ニ任スルモノトシ且同条第二項中ニ軍ノ統帥ニ関ル詔勅ニモ亦国務大臣ノ副署ヲ要スル旨ヲ明記スルコト
二十二 衆議院ニ於テ国務各大臣ニ対スル不信任ヲ議決シタルトキハ解散アリタル場合ヲ除ク外其ノ職ニ留ルコトヲ得サル旨ノ規定ヲ設クルコト(要綱二参照)
二十三 国務各大臣ヲ以テ内閣ヲ組織スル旨及内閣ノ官制ハ法律ヲ以テ之ヲ定ムル旨ノ規定ヲ設クルコト
二十四 枢密院ノ官制ハ法律ヲ以テ之ヲ定ムル旨ノ規定ヲ設クルコト

第五章 司法
二十五 第六十一条ノ規定ヲ改メ行政事件ニ関ル訴訟ハ別ニ法律ノ定ムル所ニ依リ司法裁判所ノ管轄ニ属スルモノトスルコト

第六章 会計
二十六 参議院ハ衆議院ノ議決シタル予算ニ付増額ノ修正ヲ為スコトヲ得サル旨ノ規定ヲ設クルコト
二十七 第六十六条ノ規定ヲ改メ皇室経費中其ノ内廷ノ経費ニ限リ定額ニ依リ毎年国庫ヨリ之ヲ支出シ増額ヲ要スル場合ヲ除ク外帝国議会ノ協賛ヲ要セサルモノトスルコト
二十八 第六十七条ノ規定ヲ改メ憲法上ノ大権ニ基ツケル既定ノ歳出ハ政府ノ同意ナクシテ帝国議会之ヲ廃除シ又ハ削減スルコトヲ得ルモノトスルコト
二十九 予備費ヲ以テ予算ノ外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツルトキ及予備費外ニ於テ避クヘカラサル予算ノ不足ヲ補フ為ニ又ハ予算ノ外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツル為ニ支出ヲ為ストキハ帝国議会常置委員ノ諮詢ヲ得ヘキ旨ノ規定ヲ設クルコト
三十 第七十条所定ノ財政上ノ緊急処分ヲ為スニハ帝国議会常置委員ノ諮詢ヲ経ルヲ要スルモノトスルコト
三十一 第七十一条ノ規定ヲ改メ予算不成立ノ場合ニハ政府ハ会計法ノ定ムル所ニ依リ暫定予算ヲ作成シ予算成立ニ至ルマテノ間之ヲ施行スヘキモノトシ此ノ場合ニ於テハ会計年度開始後ニ於テ其ノ年度ノ予算ト共ニ暫定予算ヲ帝国議会ニ提出シ其ノ承諾ヲ求ムルヲ要スルモノトスルコト

第七章 補則
三十二 両議院ノ議員ハ各々其ノ院ノ総員三分ノ一以上ノ賛成ヲ得テ憲法改正ノ議案ヲ発議スルコトヲ得ル旨ノ規定ヲ設クルコト
三十三 天皇ハ帝国議会ノ議決シタル憲法改正ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命スル旨ノ規定ヲ設クルコト
三十四 憲法及皇室典範変更ノ制限ニ関スル第七十五条ノ規定ヲ削除スルコト
三十五 以上憲法改正ノ各規定ノ施行ニ関シ必要ナル規定ヲ設クルコト

    「国立国会図書館デジタルコレクション」より

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 今日は、昭和時代中期の1951年(昭和26)に、「日本国憲法」の精神に基づき、「児童憲章」が制定された日です。
 「児童憲章(じどうけんしょう)」は、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福を図るために定められた児童の権利宣言でした。各界からの代表者による「児童憲章制定会議」が結成され、2年余の討論の末、5月5日の子どもの日を期して、自主的に宣言されたものです。
 前文と本文の基礎になる3原則を示した総則、12ヶ条の本文とから成り、前文で「日本国憲法の精神」にもとづき正しい児童観を確立し、「すべての児童の幸福をはかる」ことを確認、総則で「児童は、人として尊ばれる。」、「児童は、社会の一員として重んぜられる。」、「児童は、よい環境の中で育てられる。」の三原則を述べ、各条で、児童の生活権や学習権の保障、児童の心身の保護などにわたって定めていますが、法的拘束力はないものでした。これが、制定された背景には、1947年(昭和22)5月3日に「日本今憲法」が施行され、同年12月12日に「児童福祉法」が制定されましたが、太平洋戦争後の社会的、経済的に混乱した状況下のため、戦災孤児や浮浪児などの問題が深刻化しており、社会や国民一般の児童に対する責任を明確にする必要に迫られたものです。
 尚、この後、国連においては、1959年(昭和34)11月20日に「児童の権利宣言」が、1989年(昭和64)11月20日の第44回総会では、「子どもの権利に関する条約」が採択され、日本も1994年(平成6)に批准しました。
 以下に、「児童憲章」を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「児童憲章」全文 1951年(昭和26)5月5日制定

・昭和二十六年五月五日

われらは、日本国憲法の精神にしたがい、児童に対する正しい観念を確立し、すべての児童の幸福をはかるために、この憲章を定める。

児童は、人として尊ばれる。

児童は、社会の一員として重んぜられる。

児童は、よい環境の中で育てられる。

一 すべての児童は、心身ともに健やかにうまれ、育てられ、その生活を保証される。

二 すべての児童は、家庭で、正しい愛情と知識と技術をもって育てられ、家庭に恵まれない児童には、これにかわる環境が与えられる。

三 すべての児童は、適当な栄養と住居と被服が与えられ、また、疾病と災害からまもられる。

四 すべての児童は、個性と能力に応じて教育され、社会の一員としての責任を自主的に果たすように、みちびかれる。

五 すべての児童は、自然を愛し、科学と芸術を尊ぶように、みちびかれ、また、道徳的心情がつちかわれる。

六 すべての児童は、就学のみちを確保され、また、十分に整った教育の施設を用意される。

七 すべての児童は、職業指導を受ける機会が与えられる。

八 すべての児童は、その労働において、心身の発育が阻害されず、教育を受ける機会が失われず、また、児童としての生活がさまたげられないように、十分に保護される。

九 すべての児童は、よい遊び場と文化財を用意され、悪い環境からまもられる。

十 すべての児童は、虐待・酷使・放任その他不当な取扱からまもられる。あやまちをおかした児童は、適切に保護指導される。

十一 すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不充分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる。

十二 すべての児童は、愛とまことによって結ばれ、よい国民として人類の平和と文化に貢献するように、みちびかれる。

                    「文部科学省ホームページ」より

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 今日は、昭和時代中期の1947年(昭和22)に、旧「教育基本法」(昭和22年3月31日 法律25号)が公布・施行された日です。
 旧「教育基本法(きょういくきほんほう)」は、前年11月3日に公布された「日本国憲法」の精神に基づいて、戦後の新しい日本の教育の根本理念を確定した法律で、「学校教育法」と共に制定されました。前文と11条からなり、「教育勅語」に代わって、教育を国民自らのものとする教育権利宣言であると共に、教育諸法令の基本法としての性格を持つものとなります。
 前文で「憲法の理想の実現は、根本において教育の力にまつべきもの」とし、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」とうたい、教育の目的、方針、機会均等、義務教育、男女共学、学校教育、社会教育、政治教育、宗教教育、教育行政にわたる10ヶ条と補則(第11条)から成っていました。戦前の教育が戦争に大きく関わったことを踏まえ、敗戦後の1946年(昭和21)のアメリカ教育使節団の報告書に基づき、安倍能成を中心とした教育刷新委員会が作成したものです。
 しかし、第一次安倍晋三内閣によって、2006年(平成18)に全面改訂され、前文と4章18条となるものに変わりました。
 以下に、1947年(昭和22)制定当初の旧「教育基本法」(昭和22年3月31日 法律25号)を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇 旧「教育基本法」(昭和22年3月31日 法律25号)

朕は、枢密顧問の諮詢を経て、帝国議会の協賛を経た教育基本法を裁可し、ここにこれを公布せしめる。

教育基本法

 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。
 ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

第一条(教育の目的) 教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身とも健康な国民の育成を期して行われなければならない。

第二条(教育の方針) 教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。

第三条(教育の機会均等) ① すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない。

② 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。

第四条(義務教育) ① 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。

② 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。

第五条(男女共学) 男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、教育上男女の共学は、認められなければならない。

第六条(学校教育) ① 法律に定める学校は、公の性質をもつものであつて、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

② 法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。

第七条(社会教育) ① 家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。 

② 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によつて教育の目的の実現に努めなければならない。

第八条(政治教育) ① 良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。

② 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

第九条(宗教教育) ① 宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。

② 国及び地方公共団体の設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。

第十条(教育行政) ① 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。

② 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

第十一条(補則) この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。

附則

 この法律は、公布の日から、これを施行する。
 
    「文部科学省ホームページ」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1906年(明治39)政府が全国17の私鉄を買収することを定めた「鉄道国有法」を公布する詳細
物理学者朝永振一郎の誕生日詳細


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