今日は、昭和時代中期の1954年(昭和29)に、日本とビルマ連邦がビルマのラングーンにおいて、「日本国とビルマ連邦との間の平和条約」及び「日本国とビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定」に調印した日です。
「日本国とビルマ連邦との間の平和条約」(にほんとぴるまれんぽうとのあいだのへいわじょうやく)は、1954年(昭和29)11月5日に、ビルマのラングーンにおいて調印された、第2次世界大戦後に、日本とビルマ連邦 (現在のミャンマー) との間に、平和関係樹立を取決めた二国間条約です。ビルマ連邦は、1951年(昭和26)のサンフランシスコ講和条約交渉に招請されましたが、対日講和条約の賠償条項を不満として出席を拒否しました。
しかし、1952年(昭和27)4月30日に、対日戦争状態終結を宣言し、日本との正式国交を開く努力を積み重ねた結果締結に至り、翌年4月16日に発効しています。この条約は全10条からなり、領土、安全保障条項を欠きますが、役務・生産物による2億ドルの賠償と、5,000万ドルの経済協力の10年間にわたる提供を規定したことが特徴で、同時に「日本国とビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定」を締結しました。
この条約により、日本との戦争状態が正式に終結し、経済関係を中心とした戦後の両国関係構築の基礎となります。
以下に、「日本国とビルマ連邦との間の平和条約」と「日本国とビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定」を掲載しておきますので、ご参照下さい。
しかし、1952年(昭和27)4月30日に、対日戦争状態終結を宣言し、日本との正式国交を開く努力を積み重ねた結果締結に至り、翌年4月16日に発効しています。この条約は全10条からなり、領土、安全保障条項を欠きますが、役務・生産物による2億ドルの賠償と、5,000万ドルの経済協力の10年間にわたる提供を規定したことが特徴で、同時に「日本国とビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定」を締結しました。
この条約により、日本との戦争状態が正式に終結し、経済関係を中心とした戦後の両国関係構築の基礎となります。
以下に、「日本国とビルマ連邦との間の平和条約」と「日本国とビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定」を掲載しておきますので、ご参照下さい。
〇「日本国とビルマ連邦との間の平和条約」1954年(昭和29)11月5日締結、1955年(昭和30)4月16日発効
ビルマ連邦政府は、千九百五十二年四月三十日に宣言により日本国とビルマ連邦との間の戦争状態を終結したので、
日本国政府及びビルマ連邦政府は、国際連合憲章の原則に適合して、両国民の共通の福祉の増進並びに国際の平和及び安全の維持のため友好的な連携の下に協力することを希望するので、
よつて、日本国政府及びビルマ連邦政府は、この平和条約を締結することに決定し、このため、その全権委員として次のとおり任命した。
日本国政府
日本国外務大臣 岡崎勝男
ビルマ連邦政府
ビルマ連邦外務大臣代理 チョウ・ニェン
これらの全権委員は、互にその全権委任状を示し、それが妥当であると認められた後、次の諸条を協定した。
第一条
日本国とビルマ連邦との間及び両国の国民相互の間には、堅固なかつ永久の平和及び友好の関係が存在するものとする。
第二条
ビルマ連邦は、この条約の効力発生の後一年以内に、日本国とビルマとの間に適用されていた戦前の二国間の条約又は協約のうちいずれを引き続いて有効とし又は復活させることを希望するかを日本国に通告するものとする。こうして通告された条約又は協約は、この条約に適合することを確保するための必要な修正を受けるだけで、引き続いて有効とされ、又は復活される。こうして通告された条約及び協約は、通告の日の後三箇月で、引き続いて有効なものとみなされ、又は復活され、かつ、国際連合事務局に登録されるものとする。
日本国にこうして通告されないすべての条約及び協約は、廃棄されたものとみなす。
第三条
両締約国は、その貿易、海運、航空その他の通商の関係を安定したかつ友好的な基礎の上に置くために、条約又は協定を締結するための交渉をできる限りすみやかに開始することに同意する。
第四条
日本国は、ビルマ連邦が希望するときは、公海における漁猟の規制又は制限並びに漁場の保存及び開発について規定する協定を締結するため、ビルマ連邦と交渉を開始することに同意する。
第五条
1 日本国は、戦争中に日本国が与えた損害及び苦痛を償うためビルマ連邦に賠償を支払う用意があり、また、ビルマ連邦における経済の回復及び発展並びに社会福祉の増進に寄与するため協力する意思を有する。しかし、日本国が存立可能な経済を維持すべきものとすれば、日本国の資源は、戦争中に日本国がビルマ連邦その他の国に与えたすべての損害及び苦痛に対し完全な賠償を行い、かつ同時に、日本国の他の債務を履行するためには充分でないことが承認される。
よつて、
(a)(I)日本国は、別に合意される細目規定に従うことを条件として、年平均二千万アメリカ合衆国ドルに等しい七十二億円の価値を有する日本人の役務及び日本国の生産物を、十年間、賠償としてビルマ連邦に供与することに同意する。
(Ⅱ)日本国は、別に合意される細目規定に従うことを条件として、年平均五百万アメリカ合衆国ドルに等しい十八億円の価値に達する日本人の役務及び日本国の生産物を、十年間、ビルマ連邦の政府及び国民の使用に供することにより行われる経済協力を容易にするため、あらゆる可能な措置を執ることに同意する。
(Ⅲ)日本国は、また、他のすべての賠償請求国に対する賠償の最終的解決の時に、その最終的解決の結果と賠償総額の負担に向けることができる日本国の経済力とに照らして、公正なかつ衡平な待遇に対するビルマ連邦の要求を再検討することに同意する。
(b)(I)ビルマ連邦は、この条約の効力発生の時にその管轄内にある日本国及び日本国民(法人を含む。)のすべての財産、権利及び利益を差し押え、留置し、清算し、その他なんらかの方法で処分する権利を有する。この(I)に掲げられる財産、権利及び利益は、現在、封鎖され、若しくは名義を変えられており、又はビルマ連邦の敵産管理当局の占有若しくは管理に係る財産、権利及び利益で、同当局の管理の下におかれた時に日本国又は日本国民(法人を含む。)に属し、又はこれらのために保有され、若しくは管理されていたものを含む。
(Ⅱ)次のものは、(I)に定める権利から除く。
(i)日本国政府が所有し、かつ、外交目的又は領事目的に使用されたすべての不動産、家具及び備品並びに日本国の外交職員又は領事職員が所有したすべての個人の家具、用具類その他の投資的性質をもたない私有財産で外交機能又は領事機能の遂行に通常必要であつたもの
(ⅱ)宗教団体又は私的慈善団体に属し、かつ、もつぱら宗教又は慈善の目的に使用された財産
(ⅲ)日本国とビルマ連邦との間における千九百四十五年九月二日後の貿易、金融その他の関係の再開の結果としてビルマ連邦の管轄内にはいつた財産、権利及び利益
(ⅳ)日本国若しくは日本国民の債務、日本国に所在する有体財産に関する権利、権原若しくは利益、日本国の法律に基いて組織された企業に関する利益又はこれらについての証書。ただし、この除外は、日本国の通貨で表示された日本国及びその国民の債務にのみ適用する。
(Ⅲ)(II)に例外として掲げられた財産は、その保存及び管理のために要した合理的な費用が支払われることを条件として、返還しなければならない。これらの財産が清算されているときは、その代金を返還しなければならない。
(Ⅳ)(I)に定める財産を差し押え、留置し、清算し、その他なんらかの方法で処分する権利は、ビルマ連邦の法律に従つて行使されるものとし、所有者は、これらの法律によつて与えられる権利のみを有するものとする。
2 ビルマ連邦は、この条約に別段の定がある場合を除くほか、戦争の遂行中に日本国及びその国民が執つた行動から生じたビルマ連邦及びその国民のすべての請求権を放棄する。
第六条
日本国は、この条約の効力発生の後九箇月以内に申請があつたときは、その申請の日から六箇月以内に、日本国にあるビルマ連邦及びその国民の有体及び無体財産並びに種類のいかんを問わずすべての権利又は利益で、千九百四十一年十二月七日から千九百四十五年九月二日までの間のいずれかの時に日本国にあつたものを返還するものとする。ただし、所有者が強迫又は詐欺によることなく自由にこれらを処分した場合は、この限りでない。
前記の財産は戦争があつたために課せられたすべての負担及び課徴金を免除し、かつ、その返還のための課徴金を課さずに返還しなければならない。
所有者により若しくは所有者のために又はビルマ連邦政府により所定の期間内に返還が申請されない財産は、日本国政府がその定めるところに従つて処分することができる。
前記のいずれかの財産が千九百四十一年十二月七日に日本国に所在し、かつ、返還することができず、又は戦争の結果として損傷若しくは損害を受けている場合には、日本国の連合国財産補償法(昭和二十六年法律第二百六十四号)の定める条件よりも不利でない条件で補償されるものとする。
第七条
1 両締約国は、戦争状態の介在が、戦争状態の存在前にあつた債務及び契約(債券に関するものを含む。)並びに戦争状態の存在前に取得された権利から生ずる金銭債務で、日本国の政府若しくは国民がビルマ連邦の政府若しくは国民に対して、又はビルマ連邦の政府若しくは国民が日本国の政府若しくは国民に対して負つているものを支払う義務に影響を及ぼさなかつたものと認める。両締約国は、また、戦争状態の介在が、戦争状態の存在前に財産の滅失若しくは損害又は身体の傷害若しくは死亡に関して生じた請求権で、日本国政府がビルマ連邦政府に対して、又はビルマ連邦政府が日本国政府に対して提起し、又は再提起するものを、その根拠の当否に応じて、検討する義務に影響を及ぼさなかったものと認める。
2 日本国は、日本国の戦前の対外債務に関する責任と日本国が責任を負うと後に宣言した日本国の団体の債務に関する責任とを確認し、また、これらの債務の支払再開に関してその債権者とすみやかに交渉を開始する意思を表明する。
3 両締約国は、他の戦前の請求権及び債務に関する交渉を促進し、かつ、これに応じて金額の支払を容易にするものとする。
第八条
1 日本国は、戦争から生じ、又は戦争状態が存在したために執られた行動から生じたビルマ連邦及びその国民に対する日本国及びその国民のすべての請求権を放棄する。
2 前記の放棄には、千九百三十九年九月一日からこの条約の効力発生までの間に日本の船舶に関してビルマ又はビルマ連邦が執つた行動から生じた請求権並びにビルマ又はビルマ連邦の手中にあつた日本人の捕虜及び被抑留者に関して生じた請求権及び債権が含まれる。ただし、千九百四十五年九月二日以後に制定されたビルマ又はビルマ連邦の法律で特に認められた日本国民の請求権を含まない。
第九条
この条約の解釈又は適用から生ずる紛争は、まず交渉により解決するものとし、交渉の開始の時から六箇月の期間内に解決に至らないときは、いずれか一方の締約国の要請により、国際司法裁判所に決定のため付託されるものとする。
第十条
この条約は、批准されなければならない。この条約は、批准書の交換の日に効力を生ずる。批准書の交換は、東京でできる限りすみやかに行われなければならない。
以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名調印した。
千九百五十四年十一月五日にラングーンで本書二通を作成した。
日本国のために
岡崎勝男(署名調印)
ビルマ連邦のために
チョウ・ニェン(署名調印)
「日本外交主要文書・年表」より
〇「日本国とビルマ連邦との間の賠償及び経済協力に関する協定」1954年(昭和29)11月5日締結、1955年(昭和30)4月16日発効
日本国及びビルマ連邦は、
千九百五十四年十一月五日にラングーンで署名された日本国とビルマ連邦との間の平和条約(以下「条約」という。)第五条1(a)の規定の実施に関する協定を締結することを希望し、
よつて、このためそれぞれの代表者を任命した。これらの代表者は、次のとおり協定した。
第一条
1 日本国は、年平均二千万アメリカ合衆国ドルに等しい七十二億円の価値を有する日本人の役務及び日本国の生産物を、条約の効力発生の日から十年間、賠償としてビルマ連邦に供与するものとする。
2 日本国は、年平均五百万アメリカ合衆国ドルに等しい十八億円の価値に達する日本人の役務及び日本国の生産物を、条約の効力発生の日から十年間、日本人とビルマ連邦の政府又は国民との共同事業の形式で使用に供することにより行われる経済協力を容易にするため、あらゆる可能な措置を執るものとする。
3 1及び2にいう役務及び生産物は、この協定の附属書に掲げられ、かつ、原則として同意されたビルマ連邦の経済の回復及び発展並びに社会福祉の増進のため供与し、又は使用に供するものとする。供与され又は使用に供される役務及び生産物は、両政府の合意により決定されるものとする。
第二条
1 ビルマ連邦は、この協定の第一条の規定を円滑に実施するため必要な措置を執るものとする。
2 ビルマ連邦は、日本国がこの協定の第一条1にいう役務及び生産物を供与できるようにするため、利用することができる現地の労務、資材及び設備を提供するものとする。
3 ビルマ連邦は、ビルマ連邦の政府及び国民がこの協定の第一条2にいう経済協力が円滑に行われるように共同事業の資本のうちその当然負担すべき部分を提供することを約束する。
4 ビルマ連邦は、この協定に基いて供与され、又は使用に供される日本国の生産物が、両政府間で別段の合意をした場合を除くほか、ビルマ連邦の領域から再輸出されないようにすることを約束する。
第三条
1 この協定の第一条にいう共同事業におけるビルマ連邦の政府又は国民の持分又は所有株式の割合は、当事者間で別段の合意をした場合を除くほか、六十パーセントより少なくないものとする。
2 共同事業における日本人の持分又は所有株式は、個個の契約が結ばれる時にビルマ連邦政府がその日本人に対して収用しないことにつき保証を与えた期間中は収用されることはないものとする。
3 ビルマ連邦政府が共同事業における日本人の持分又は所有株式を前記の保証期間の経過後に収用しようとするときは、その収用は、前記の個個の契約が結ばれる時に同政府が定めなければならない条件に従つてのみ行われるものとする。
4 ビルマ連邦政府は、前記の収用に対する補償金、共同事業における日本人の持分又は所有株式の売却代金、その持分又は所有株式から生ずる利子及び配当金並びに日本人が共同事業から受け取る俸給その他の所得の日本国への送金を、個個の契約が結ばれる時に同政府が定めなければならない条件に従つて許可するものとする。
第四条
両政府は、その代表者から構成されるべき合同委員会を設置するものとする。この合同委員会は、この協定の実施に関する事項についての協議及び両政府への勧告のための機関とする。
第五条
この協定の実施に関する細目は、両政府の協議により合意されるものとする。
第六条
1 この協定の解釈及び実施に関する両国間の紛争は、まず、外交上の径路を通じて解決するものとする。両政府がこうして解決することができなかったときは、その紛争は、各政府が任命する各一人の仲裁委員とこうして選定された二人の仲裁委員が合意する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁裁判所に決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両国のうちいずれかの国の国民であつてはならない。各政府は、いずれか一方の政府が他方の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日以内に一人の仲裁委員を任命しなければならない。第三の仲裁委員については、前記の期間の後の三十日の期間内に合意されなければならない。
2 両国は、前項の規定に基いて行われた決定に従うことを約束する。
第七条
この協定は、それぞれの国により、その国内法上の手続に従つて承認されなければならない。この協定は、その承認を通知する公文が交換された日に効力を生ずる。
以上の証拠として、下名は、両国のそれぞれの政府から正当に委任を受けて、この協定に署名した。
千九百五十四年十一月五日にラングーンで本書二通を作成した。
日本国のために
岡崎勝男(署名)
ビルマ連邦のために
チョウ・ニェン(署名)
附属書
1 水力発電所の建設
2 製鉄所の建設
3 港湾施設の復旧
4 病院の建設及び医療の提供
5 ビルマ人の技術者及び学生の日本国における教育
6 ビルマ人の技術者のビルマにおける技術訓練
7 肥料工場の建設
8 鉄道の復旧
9 造船所の建設
10 爆薬及び砲弾の製造
11 セメント工場の建設
12 塩田の開発
13 砂糖工場の建設
14 化学工場の建設
15 河川運送施設の復旧
16 非鉄金属工場の建設
17 機械工場の建設
18 電気通信施設の復旧
19 両政府間で合意される他の生産物及び役務の提供
「日本外交主要文書・年表」より
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
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1857年(安政4) | 吉田松陰が長州藩の許可を得て萩に松下村塾を開講する(新暦12月9日) | 詳細 |
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