
「専売略規則」(せんばいりゃくきそく)は、日本初の特許法令とされる太政官布告(明治4年太政官布告第175号)でした。これは、発明者への「専売」を認める権限を政府に付与するものであり、発明者に権利を認めるものではなかったとされます。
明治新政府が殖産興業のための制度として導入したものと考えられ、福沢諭吉著の『西洋事情外編』(1868年刊行)に触発されたものとされてきました。しかし、技術の未発達により特許を得られる発明品が少なかったことや審査員の不足などがあり、1件の官許もないまま、翌年には施行が停止されています。
その後、ガラ紡や人力車のように、特許制度が整備されていないことで様々な問題が生じると、再び制度の必要性が確認され、復活が求められるようになりました。これを受け、新たに1884年(明治17)に「商標条例」が、1885年(明治18)に本格的な特許法である「専売特許条例」(明治18年太政官布告第7号)が公布・施行(明治21年に特許条例に改正)される及び、「専売略規則」は廃止されています。さらに、1888年(明治21)には、「意匠条例」が公布され、本格的な特許制度が開始されました。
以下に、「専売略規則」(明治4年太政官布告第175号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。
明治新政府が殖産興業のための制度として導入したものと考えられ、福沢諭吉著の『西洋事情外編』(1868年刊行)に触発されたものとされてきました。しかし、技術の未発達により特許を得られる発明品が少なかったことや審査員の不足などがあり、1件の官許もないまま、翌年には施行が停止されています。
その後、ガラ紡や人力車のように、特許制度が整備されていないことで様々な問題が生じると、再び制度の必要性が確認され、復活が求められるようになりました。これを受け、新たに1884年(明治17)に「商標条例」が、1885年(明治18)に本格的な特許法である「専売特許条例」(明治18年太政官布告第7号)が公布・施行(明治21年に特許条例に改正)される及び、「専売略規則」は廃止されています。さらに、1888年(明治21)には、「意匠条例」が公布され、本格的な特許制度が開始されました。
以下に、「専売略規則」(明治4年太政官布告第175号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。
〇「専売略規則」(明治4年太政官布告第175号)明治4年4月7日布告
何品ニ寄ラス新発明致シ候者ハ爾来専売御差許相成候間府藩県管下ニ於テ願人有之節ハ別紙規則ニ照準シ当分ノ内民部省ヘ可伺出事
(別紙)
専売略規則
一是迄御国内ニ未タ開ケサル舎密諸機関器械諸器物武器織物類其外都テ新発明及有来リノ器物トイヘトモ別ニ工夫ヲ為シ一層世用ノ便利ヲ為スモノハ年限ヲ以官許ヲ与フヘシ
一年限ノ儀ハ発明ノ次第ニ寄リ第一等ヲ十五年第二等ヲ十年第三等ヲ七年トス
一官許願出度モノハ明細書絵図面等相添其管轄地方官ヘ願出ヘシ地方官之ヲ民部省ヘ差出シ免許状ヲ受クヘシ
一発明ノ品柄及工夫ノ手続等竪図横図平図等ニ形ヲ図写シ機関ノ箇所ハイロハ或ハ一二三ノ番号ヲ加ヘ明細書ト照合セ一覧了然タラシムヘシ尤発明ノ本人並証拠人共調印ノ上差出スヘシ
但絵図面ニ写取難キモノハ雛形ニ仕立差出スヘシ
一民部省ヨリ免許状相渡候ハヽ其地方官ニ於テ発明ノ本人並証人ヘ請証文為差出候上相渡スヘシ
一税銀ノ儀ハ年限中一ケ年金五両ツヽ管轄地方官ヘ前納スヘシ
但発明ノ品柄ニ寄リ税銀増減アルヘシ尤管轄地方官ヨリ共節々民部省ヘ差送ルヘシ
一専売免許状相渡候トモ売試ノ為六ケ月ノ間ハ税銀差出ニ不及七ケ月目ニ至リ売レ方見留相付候ハヽ其節一ケ年ノ税銀ヲ地方官ヘ相納ムヘシ
一六ケ月売試ノ内売方アシク御免願出候儀ハ勝手タルヘシ若シ七ケ月後御免願出候者ハ其年前納一ケ年ノ税銀ヲ差戻サス
一民部省ヘ差出候願書ハ都テ着到ノ順序ヲ以テ前後ヲ分ツヘシ
一他人ノ発明セシ品ヘ更ニ工夫ヲ加ヘタル分ハ某発明ノ品ヘ何々ノ廉改正ト委詳ニ書記スヘシ若他人ノ発明セシ品ニ似寄リタルモ其実品物ノ工用或ハ工夫等全ク相違致シ候ハヽ異同ノ辧ヲ具サニ書分差出スヘシ
一世用有益ノ品ニテ某ノ発明ニ相違ナク現ニ其本人存在スト雖モ既ニ世間ニ年久シク流布スル分ハ官許ヲ与フヘカラス
一数人心ヲ合セ発明シタル品ハ官許状ヲ与フルニ各通ニ相渡サス社中連名ニ認メ下ケ渡スヘシ
一免許済ノ株ヲ相当ノ代金ヲ以テ年限中他人ニ売渡シ候儀勝手タルヘシ尤其段ハ双方ヨリ免許状ヘ書添ヲ願出ヘシ
一官許相成候者ハ年限中我名前ニテ所々ヘ出店ヲ設ケ或ハ他人ヘ発明ノ品ヲ伝授スルコト苦シカラス
一発明ノモノ官許年限中死亡致シ候節ハ身寄リノモノヘ譲リ渡シ苦シカラス尤免許状ヘ書添ヲ願出ヘシ
一何管轄所何国何郡何町村誰何品新発明ニ付専売免許相成候趣其節々民部省ヨリ遍ク布告スヘシ
一官許年限中損失償ヒ兼候節ハ世間必用闕クヘカラサルノ品柄篤ト取調ノ上延期聞届クヘシ
一官許ノ文字及発明人ノ名前一々相記シ売出スヘシ
一発明人ノ名前ヲ偽リ或ハ官許ナキ品物ヲ官許ト偽リ候モノハ過料申付ヘシ