
光化学スモッグ(こうかがくすもっぐ)は、大気中の窒素酸化物(NO(/x))と炭化水素(HC)が、強い紫外線を受けて高濃度のオゾンを大量に発生させ、次にそれがオキシダントまたは還元性物質であるホルムアルデヒド、アクロレイン、その他硝酸ミスト、硫酸ミストを発生させる現象です。
人体に害を及ぼし、植物に被害を与える型のスモッグで、最初は、1940年代のアメリカのロサンゼルスで見出されたとされていますが、日本では、昭和時代後期の1970年(昭和45)7月18日に、東京立正中学校・高等学校(東京都杉並区)の生徒43名が、グランドで体育の授業中に目に対する刺激・のどの痛みなどを訴える事件が起こり、光化学スモッグによるものと発表されて知られるようになりました。
それ以後、多数報告されるようになって、光化学スモッグ注意報も出されるようになり、1973年(昭和48年)には、それが300日を超えてピークに達しました。
その後、減少してはいるものの、都市部ではまだかなりの日数注意報が出されています。現在は、「大気汚染防止法施行令」で、注意報(基準:0.120ppm以上)と重大緊急時警報(基準:0.400ppm以上)が発令されていますが、各都道府県独自の予報・警報などもあります。
以下に、その根拠となっている「大気汚染防止法」(抜粋)と「大気汚染防止法施行令」(抜粋)を載せておきます。
〇「大気汚染防止法」(抜粋)
(緊急時の措置)
第二十三条 都道府県知事は、大気の汚染が著しくなり、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある場合として政令で定める場合に該当する事態が発生したときは、その事態を一般に周知させるとともに、ばい煙を排出する者、揮発性有機化合物を排出し、若しくは飛散させる者又は自動車の使用者若しくは運転者であつて、当該大気の汚染をさらに著しくするおそれがあると認められるものに対し、ばい煙の排出量若しくは揮発性有機化合物の排出量若しくは飛散の量の減少又は自動車の運行の自主的制限について協力を求めなければならない。
2 都道府県知事は、気象状況の影響により大気の汚染が急激に著しくなり、人の健康又は生活環境に重大な被害が生ずる場合として政令で定める場合に該当する事態が発生したときは、当該事態がばい煙又は揮発性有機化合物に起因する場合にあつては、環境省令で定めるところにより、ばい煙排出者又は揮発性有機化合物排出者に対し、ばい煙量若しくはばい煙濃度又は揮発性有機化合物濃度の減少、ばい煙発生施設又は揮発性有機化合物排出施設の使用の制限その他必要な措置をとるべきことを命じ、当該事態が自動車排出ガスに起因する場合にあつては、都道府県公安委員会に対し、道路交通法 の規定による措置をとるべきことを要請するものとする。
〇「大気汚染防止法施行令」(抜粋)
(緊急時)
第十一条 法第二十三条第一項 の政令で定める場合は、別表第五の上欄に掲げる物質について、それぞれ、同表の中欄に掲げる場合に該当し、かつ、気象条件からみて当該大気の汚染の状態が継続すると認められるときとする。
2 法第二十三条第二項 の政令で定める場合は、別表第五の上欄に掲げる物質について、それぞれ、同表の下欄に掲げる場合に該当し、かつ、気象条件からみて当該大気の汚染の状態が継続すると認められるときとする。
別表第五 (第十一条関係)
オキシダント
(注意報の基準)一時間値百万分の〇・一二以上である大気の汚染の状態になつた場合
(警報の基準)一時間値百万分の〇・四以上である大気の汚染の状態になつた場合
備考 この表に規定する一時間値の算定に関し必要な事項並びに浮遊粒子状物質及びオキシダントの範囲は、環境省令で定める。
☆光化学スモッグ関係略年表
・1970年(昭和45)7月18日 東京立正中学校・高等学校(東京都杉並区)の生徒43名が、グランドで体育の授業中に目に対する刺激・のどの痛みなどを訴える事件が起きる(初の光化学スモッグ被害)
・1970年(昭和45)7月27日 東京都で光化学スモッグ注意報・警報の発令体制が開始される
・1970年(昭和45)12月 第64臨時国会で、「大気汚染防止法」を含む既存の公害関係諸法は大幅な改正がなされる
・1973年(昭和48) 光化学スモッグ注意報が300日を超えてピークに達し、窒素酸化物排出規制などの対策がとられるようになる
・1984年(昭和59) 光化学スモッグ注意報が100日以下となる
・1991年(平成3) 光化学オキシダント注意報の発令は,延べ 121日(15都府県)となる
・1992年(平成4) 排ガス規制として「自動車排出窒素酸化物総量削減法」が成立する
・2001年(平成13) 「自動車排出窒素酸化物総量削減法」が改正され、窒素酸化物の規制が強化されると共に、新たに浮遊粒子状物質の排出規制が加えられる
・2002年(平成14) 千葉県で国内で18年ぶり(千葉県内では28年ぶり)となる光化学スモッグ警報が発表される
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
1471年(文明3) | 浄土真宗中興の祖・蓮如が越前に吉崎御坊を建てる(新暦8月13日) | 詳細 |
1719年(享保4) | 幕臣・大名・老中田沼意次の誕生日(新暦9月11日) | 詳細 |
1835年(天保6) | 日本画家橋本雅邦の誕生日(新暦8月21日) | 詳細 |
1940年(昭和15) | 大本営政府連絡会議において、「世界情勢ノ推移ニ伴フ時局処理要綱」が決定される | 詳細 |
1976年(昭和51) | 田中角榮前首相がロッキード事件で東京地検に逮捕される | 詳細 |
1986年(昭和61) | 遺伝学者木原均の命日 | 詳細 |
1995年(平成7) | 人吉仮出入口~えびのIC間の開通(暫定2車線)により、九州自動車道が全線開通する | 詳細 |