ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

タグ:大気汚染防止法

taikiosen001
 今日は、昭和時代後期の1970年(昭和45)に、東京都で光化学スモッグ注意報・警報の発令体制が開始された日です。
 光化学スモッグ(こうかがくすもっぐ)は、大気中の窒素酸化物(NO(/x))と炭化水素(HC)が、強い紫外線を受けて高濃度のオゾンを大量に発生させ、次にそれがオキシダントまたは還元性物質であるホルムアルデヒド、アクロレイン、その他硝酸ミスト、硫酸ミストを発生させる現象です。
 人体に害を及ぼし、植物に被害を与える型のスモッグで、最初は、1940年代のアメリカのロサンゼルスで見出されたとされていますが、日本では、昭和時代後期の1970年(昭和45)7月18日に、東京立正中学校・高等学校(東京都杉並区)の生徒43名が、グランドで体育の授業中に目に対する刺激・のどの痛みなどを訴える事件が起こり、光化学スモッグによるものと発表されて知られるようになりました。
 それ以後、多数報告されるようになって、光化学スモッグ注意報も出されるようになり、1973年(昭和48年)には、それが300日を超えてピークに達しました。
 その後、減少してはいるものの、都市部ではまだかなりの日数注意報が出されています。現在は、「大気汚染防止法施行令」で、注意報(基準:0.120ppm以上)と重大緊急時警報(基準:0.400ppm以上)が発令されていますが、各都道府県独自の予報・警報などもあります。
 以下に、その根拠となっている「大気汚染防止法」(抜粋)と「大気汚染防止法施行令」(抜粋)を載せておきます。

〇「大気汚染防止法」(抜粋)

(緊急時の措置)
第二十三条 都道府県知事は、大気の汚染が著しくなり、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある場合として政令で定める場合に該当する事態が発生したときは、その事態を一般に周知させるとともに、ばい煙を排出する者、揮発性有機化合物を排出し、若しくは飛散させる者又は自動車の使用者若しくは運転者であつて、当該大気の汚染をさらに著しくするおそれがあると認められるものに対し、ばい煙の排出量若しくは揮発性有機化合物の排出量若しくは飛散の量の減少又は自動車の運行の自主的制限について協力を求めなければならない。
2 都道府県知事は、気象状況の影響により大気の汚染が急激に著しくなり、人の健康又は生活環境に重大な被害が生ずる場合として政令で定める場合に該当する事態が発生したときは、当該事態がばい煙又は揮発性有機化合物に起因する場合にあつては、環境省令で定めるところにより、ばい煙排出者又は揮発性有機化合物排出者に対し、ばい煙量若しくはばい煙濃度又は揮発性有機化合物濃度の減少、ばい煙発生施設又は揮発性有機化合物排出施設の使用の制限その他必要な措置をとるべきことを命じ、当該事態が自動車排出ガスに起因する場合にあつては、都道府県公安委員会に対し、道路交通法 の規定による措置をとるべきことを要請するものとする。

〇「大気汚染防止法施行令」(抜粋)

(緊急時)
第十一条 法第二十三条第一項 の政令で定める場合は、別表第五の上欄に掲げる物質について、それぞれ、同表の中欄に掲げる場合に該当し、かつ、気象条件からみて当該大気の汚染の状態が継続すると認められるときとする。
2 法第二十三条第二項 の政令で定める場合は、別表第五の上欄に掲げる物質について、それぞれ、同表の下欄に掲げる場合に該当し、かつ、気象条件からみて当該大気の汚染の状態が継続すると認められるときとする。

別表第五 (第十一条関係)

オキシダント
 (注意報の基準)一時間値百万分の〇・一二以上である大気の汚染の状態になつた場合
 (警報の基準)一時間値百万分の〇・四以上である大気の汚染の状態になつた場合

備考 この表に規定する一時間値の算定に関し必要な事項並びに浮遊粒子状物質及びオキシダントの範囲は、環境省令で定める。

☆光化学スモッグ関係略年表

・1970年(昭和45)7月18日 東京立正中学校・高等学校(東京都杉並区)の生徒43名が、グランドで体育の授業中に目に対する刺激・のどの痛みなどを訴える事件が起きる(初の光化学スモッグ被害)
・1970年(昭和45)7月27日 東京都で光化学スモッグ注意報・警報の発令体制が開始される
・1970年(昭和45)12月 第64臨時国会で、「大気汚染防止法」を含む既存の公害関係諸法は大幅な改正がなされる
・1973年(昭和48) 光化学スモッグ注意報が300日を超えてピークに達し、窒素酸化物排出規制などの対策がとられるようになる
・1984年(昭和59) 光化学スモッグ注意報が100日以下となる
・1991年(平成3) 光化学オキシダント注意報の発令は,延べ 121日(15都府県)となる
・1992年(平成4) 排ガス規制として「自動車排出窒素酸化物総量削減法」が成立する
・2001年(平成13) 「自動車排出窒素酸化物総量削減法」が改正され、窒素酸化物の規制が強化されると共に、新たに浮遊粒子状物質の排出規制が加えられる
・2002年(平成14) 千葉県で国内で18年ぶり(千葉県内では28年ぶり)となる光化学スモッグ警報が発表される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

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1719年(享保4)幕臣・大名・老中田沼意次の誕生日(新暦9月11日)詳細
1835年(天保6)日本画家橋本雅邦の誕生日(新暦8月21日)詳細
1940年(昭和15)大本営政府連絡会議において、「世界情勢ノ推移ニ伴フ時局処理要綱」が決定される詳細
1976年(昭和51)田中角榮前首相がロッキード事件で東京地検に逮捕される詳細
1986年(昭和61)遺伝学者木原均の命日詳細
1995年(平成7)人吉仮出入口~えびのIC間の開通(暫定2車線)により、九州自動車道が全線開通する詳細
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taikiosen001
 今日は、昭和時代後期の1968年(昭和43)に、「大気汚染防止法」(昭和43年法律第97号)が公布(施行は同年12月1日)された日です。
 「大気汚染防止法」(たいきおせんぼうしほう)は、工場の煤煙・粉じん排出の規制、自動車排出ガスの許容限度を定めるなど、大気汚染を防止すると共に、国民の健康の保護と生活環境の保全を図り、被害が発生した場合の事業者の損害賠償責任について定めている法律でした。1967年(昭和42)8月3日に公布・施行された「公害対策基本法」に基づき、公害防止関係法整備の一環として、従前の「煤煙排出規制法」(1962年)を全面改正して制定されたものです。
 より具体的な規制対象や規制手法は、同法をうけた命令、行政規則(「大気汚染防止法施行令」、「大気汚染防止法施行規則」および関連の告示等)に規定されました。その後、1970年(昭和45)、1971年(昭和46)、1972年(昭和47)、1974年(昭和49)に改正され、①「経済の健全な発達との調和」条項の削除、② ばい煙として新たにカドミウム、塩素などを加えるなど規制物質の拡大、③工場などの集合している地域における総量規制基準、④指定地域制廃止による全国的規制、⑤都道府県または知事の権限強化などが盛り込まれ、さらに何度か改正されて現在に至っています。
 尚、大気汚染防止に関連した法律では、排ガス規制として、1992年(平成4)に「自動車排出窒素酸化物総量削減法」が成立、また、ダイオキシンについては廃棄物処理施設からの排出を極力抑えることがもっとも重要な対策の一つであるとされ、1999年(平成11)に、「ダイオキシン類対策特別措置法」が成立しました。
 以下に、制定当初の「大気汚染防止法」(昭和43年法律第97号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「大気汚染防止法」(昭和43年法律第97号)1968年(昭和43)6月10日公布、同年12月1日施行

   第一章 総則

 (目的)

第一条 この法律は、工場及び事業場における事業活動に伴つて発生するばい煙の排出を規制し、並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により、大気の汚染に関し、国民の健康を保護し、あわせて生活環境を保全するとともに、大気の汚染に関する紛争について和解の仲介の制度を設けることにより、その解決に資することを目的とする。
2 前項に規定する生活環境の保全については、産業の健全な発展との調和が図られるようにするものとする。

 (定義)

第二条 この法律において「ばい煙」とは、燃料その他の燃焼に伴い発生するいおう酸化物及び燃料その他の物の燃焼又は熱源としての電気の使用に伴い発生するすすその他の粉じんをいう。
2 この法律において「指定地域」とは、次条第一項の政令で定める地域をいう。
3 この法律において「ばい煙発生施設」とは、工場又は事業場(鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)第二条第二項本文に規定する鉱山を除く。以下同じ。)に設置される施設のうち、ばい煙を多量に発生する施設であつて政令で定めるものをいう。
4 この法律において「ばい煙処理施設」とは、ばい煙発生施設において発生するばい煙を処理するための施設及びこれに附属する施設をいう。
5 この法律において「特定有害物質」とは、硫化水素、塩素その他の人の健康に著しく有害な物質(ばい煙を除く。)であつて政令で定めるものをいう。
6 この法律において「自動車排出ガス」とは、自動車(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車のうち運輸省令で定めるものをいう。以下同じ。)の運行に伴い発生する一酸化炭素その他の人の健康に有害な物質であつて政令で定めるものをいう。

   第二章 ばい煙の排出の規制等

 (指定地域)

第三条 この法律の規定によりばい煙の排出を規制する地域は、次の各号のいずれかに該当する地域について、政令で定める。
 一 ばい煙発生施設が集合して設置されている地域でその地域におけるばい煙発生施設において発生し、大気中に排出されるばい煙が大気を著しく汚染し、又は著しく汚染するおそれがある地域及び当該地域に隣接する地域でその地域におけるばい煙発生施設の設置が当該汚染に著しい影響を与えるおそれがあると認められる地域
 二 ばい煙発生施設が集合して設置されることが確実である地域でその地域におけるばい煙発生施設の設置が大気を急速にかつ著しく汚染するおそれがあると認められる地域
2 厚生大臣及び通商産業大臣は、前項の政令の制定又は改廃の立案をしようとするときは、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。

 (排出基準)

第四条 厚生大臣及び通商産業大臣は、指定地域ごとに排出基準を定めなければならない。
2 厚生大臣及び通商産業大臣は、指定地域の一部の区域におけるばい煙発生施設において発生し、大気中に排出されるばい煙により政令で定める限度をこえる大気の汚染が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、当該一部の区域を限り、その区域に新たに設置されるばい煙発生施設について、前項の排出基準にかえて適用すべき特別の排出基準を定めることができる。
3 前二項の排出基準は、第二条第一項のいおう酸化物にあつてはばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出されるいおう酸化物の量(以下「ばい煙量」という。)について、排出口の高さ(厚生省令、通商産業省令で定める方法により補正を加えたものをいう。)に応じて定める許容限度とし、同項のすすその他の粉じんにあつてはばい煙発生施設において発生し、排出口から大気中に排出される排出物に含まれるすすその他の粉じんの量(以下「ばい煙濃度」という。)について、ばい煙発生施設の種類ごとに定める許容限度とする。
4 厚生大臣及び通商産業大臣は、第一項又は第二項の規定により排出基準を定めようとするときは、関係都道府県知事の意見をきかなければならない。これを変更し、又は廃止しようとするときも、同様とする。
5 厚生大臣及び通商産業大臣は、第一項又は第二項の規定により排出基準を定めるときは、当該排出基準を公示しなければならない。これを変更し、又は廃止するときも、同様とする。

 (排出基準の遵守義務)

第五条 指定地域におけるばい煙発生施設において発生するばい煙を排出する者(以下「ばい煙排出者」という。)は、当該ばい煙発生施設に係る排出基準を遵守しなければならない。

 (ばい煙による汚染の状況の監視)

第六条 都道府県知事は、指定地域の指定があつたときは、ばい煙に関し、当該指定地域に係る大気の汚染の状況を常時監視しなければならない。

 (ばい煙発生施設の設置の届出)

第七条 ばい煙を排出する者は、指定地域内にばい煙発生施設を設置しようとするときは、厚生省令、通商産業省令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。
 一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
 二 工場又は事業場の名称及び所在地
 三 ばい煙発生施設の種類
 四 ばい煙発生施設の構造
 五 ばい煙発生施設の使用の方法
 六 ばい煙の処理の方法
2 前項の規定による届出には、当該ばい煙発生施設に係るばい煙量又はばい煙濃度に関する説明書その他厚生省令、通商産業省令で定める書類を添附しなければならない。

 (経過措置)

第八条 一の地域が指定地域となつた際現にその地域内にばい煙発生施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。以下この項において同じ。)であつてばい煙を排出するもの又は一の施設がばい煙発生施設となつた際現に指定地域内にその施設を設置している者であつてばい煙を排出するものは、当該地域が指定地域となつた日又は当該施設がばい煙発生施設となつた日から三十日以内に、厚生省令、通商産業省令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。

 (ばい煙発生施設の構造等の変更の届出)

第九条 第七条第一項又は前条第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る第七条第一項第四号から第六号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、厚生省令、通商産業省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。ただし、当該事項の変更が当該ばい煙発生施設に係るばい煙量又はばい煙濃度の増加を伴わない場合は、この限りでない。
2 第七条第二項の規定は、前項の規定による届出について準用する。

 (計画変更命令)

第十条 都道府県知事は、第七条第一項又は前条第一項の規定による届出があつた場合において、その届出に係るばい煙発生施設に係るばい煙量又はばい煙濃度がそのばい煙発生施設に係る排出基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から六十日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係るばい煙発生施設の構造若しくは使用の方法若しくはばい煙の処理の方法に関する計画の変更(同項の規定による届出に係る計画の廃止を含む。)又は第七条第一項の規定による届出に係るばい煙発生施設の設置に関する計画の廃止を命ずることができる。

 (実施の制限)

第十一条 第七条第一項の規定による届出をした者又は第九条第一項の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から六十日を経過した後でなければ、それぞれ、その届出に係るばい煙発生施設を設置し、又はその届出に係るばい煙発生施設の構造若しくは使用の方法若しくはばい煙の処理の方法の変更をしてはならない。
2 都道府県知事は、第七条第一項又は第九条第一項の規定による届出に係る事項の内容が相当であると認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。

 (氏名の変更等の届出)

第十二条 第七条第一項又は第八条第一項の規定による届出をした者は、その届出に係る第七条第一項第一号若しくは第二号に掲げる事項に変更があつたとき、又はその届出に係るばい煙発生施設の使用を廃止したときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

 (承継)

第十三条 第七条第一項又は第八条第一項の規定による届出をした者からその届出に係るばい煙発生施設を譲り受け、又は借り受けた者は、当該ばい煙発生施設に係る当該届出をした者の地位を承継する。
2 第七条第一項又は第八条第一項の規定による届出をした者について相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、当該届出をした者の地位を承継する。
3 前二項の規定により第七条第一項又は第八条第一項の規定による届出をした者の地位を承継した者は、その承継があつた日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

 (改善命令)

第十四条 都道府県知事は、指定地域内に設置されているばい煙発生施設に係るばい煙量又はばい煙濃度がそのばい煙発生施設に係る排出基準に適合しないと認めるときは、当該ばい煙発生施設において発生するばい煙を排出する者に対し、期限を定めて、当該ばい煙発生施設の構造若しくは使用の方法又は当該ばい煙発生施設に係るばい煙の処理の方法の改善を命ずることができる。
2 都道府県知事は、前項の規定による命令を受けた者がその命令に従わないときは、当該ばい煙発生施設の使用の一時停止を命ずることができる。
3 前二項の規定は、第八条第一項の規定による届出をした者の当該届出に係るばい煙発生施設については、同項に規定する指定地域となつた日又は同項に規定するばい煙発生施設となつた日から二年間は、適用しない。ただし、当該地域が指定地域となつた際又は当該施設がばい煙発生施設となつた際その者に適用されている地方公共団体の条例の規定で第一項の規定に相当するものがあるとき、及びその者が第九条第一項の規定による届出をした場合において当該届出が受理された日から六十日を経過したときは、この限りでない。

 (ばい煙量等の測定)

第十五条 ばい煙排出者は、厚生省令、通商産業省令で定めるところにより、当該ばい煙発生施設に係るばい煙量又はばい煙濃度を測定し、その結果を記録しておかなければならない。

 (ばい煙に関する事故時の措置等)

第十六条 ばい煙排出者は、ばい煙発生施設又はばい煙処理施設について故障、破損その他の事故が発生し、当該事故に係るばい煙発生施設に係るばい煙量又はばい煙濃度がそのばい煙発生施設に係る排出基準に適合しないばい煙を排出し、又は排出するおそれが生じたときは、ただちに、その事故について応急の措置を講じ、かつ、その事故をすみやかに復旧するように努めなければならない。
2 前項に規定する事故が発生した場合において、その事故が厚生省令、通商産業省令で定める程度のものであるときは、当該事故に係るばい煙排出者は、すみやかに、その事故の状況並びにその事故についての応急の措置の内容及び復旧工事の計画を都道府県知事に届け出なければならない。
3 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事故についての復旧工事を完了したときは、すみやかに、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 第十四条第一項及び第二項の規定は、第二項の規定による届出をした者については、その届出に係る事故についての復旧工事に必要と認められる期間内は、適用しない。

 (緊急時における都道府県知事の措置等)

第十七条 都道府県知事は、指定地域に係る大気の汚染が著しく人の健康をそこなうおそれがある場合として厚生省令、通商産業省令で定める場合に該当する事態が発生したときは、その事態を一般に周知させるとともに、指定地域内においてばい煙を排出する者に対し、ばい煙の排出量の減少について協力を求めなければならない。
2 ばい煙排出者であつて、ばい煙量が厚生省令、通商産業省令で定める量をこえるばい煙発生施設を設置しているものは、厚生省令、通商産業省令で定めるところにより、当該ばい煙発生施設についてばい煙量の減少のための措置に関する計画を作成し、都道府県知事に届け出なければならない。
3 都道府県知事は、第一項に規定する事態が発生した場合において、同項に規定する措置によつてはその事態を改善することが困難であると認めるときは、前項の規定による届出をした者に対し、その届出に係る計画を参酌して、ばい煙量の減少のための措置をとるべきことを勧告することができる。

 (特定有害物質に関する事故時の措置)

第十八条 工場又は事業場に設置される特定有害物質を発生する施設(以下「特定施設」という。)において発生する特定有害物質を排出する者(以下「特定有害物質排出者」という。)は、特定施設について故障、破損その他の事故が発生し、特定有害物質が多量に排出されたときは、ただちに、その事故について応急の措置を講じ、かつ、その事故をすみやかに復旧するように努めなければならない。
2 都道府県知事は、前項に規定する事故が発生した場合において、当該事故に係る工場又は事業場の周辺の区域における人の健康がそこなわれ、又はそこなわれるおそれがあると認めるときは、当該特定有害物質排出者に対し、その事故の拡大又は再発の防止のため必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

   第三章 自動車排出ガスに係る許容限度等

 (許容限度)

第十九条 運輸大臣は、自動車が一定の条件で運行する場合に発生し、大気中に排出される排出物に含まれる自動車排出ガスの量の許容限度を定めなければならない。
2 自動車排出ガスによる大気の汚染の防止を図るため、運輸大臣は、道路運送車両法に基づく命令で、自動車排出ガスの排出に係る規制に関し必要な事項を定める場合には、前項の許容限度が確保されるように考慮しなければならない。
3 運輸大臣は、第一項の規定により許容限度を定めようとするときは、厚生大臣の意見をきかなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

 (自動車排出ガスの濃度の測定)

第二十条 都道府県知事は、交差点等があるため自動車の交通が渋滞することにより自動車排出ガスによる大気の著しい汚染が生じ、又は生ずるおそれがある道路の部分及びその周辺の区域について、大気中の自動車排出ガスの濃度の測定を行なうものとする。

 (測定に基づく意見)

第二十一条 都道府県知事は、前条の測定を行なつた場合において特に必要があると認めるときは、当該道路の部分の構造の改善その他自動車排出ガスの濃度の減少に資する事項に関し、道路管理者又は関係行政機関の長に意見を述べることができる。

   第四章 和解の仲介

 (和解の仲介の申立て)

第二十二条 ばい煙発生施設又は特定施設において発生し、大気中に排出されたばい煙又は特定有害物質による被害について、損害賠償に関する紛争その他の民事上の紛争が生じたときは、当事者は、政令で定めるところにより、都道府県知事に和解の仲介の申立てをすることができる。

 (仲介員名簿の作成)

第二十三条 都道府県知事は、毎年仲介員候補者十五人以内を委嘱し、その名簿を作成しておかなければならない。
2 前項の仲介員候補者は、一般公益を代表する者及び産業又は公衆衛生に関し学識経験を有する者のうちから、委嘱されなければならない。

 (仲介員の指定)

第二十四条 都道府県知事は、第二十二条の規定による申立てがあつたときは、前条第一項の名簿に記載されている者のうちから、仲介員五人以内を指定しなければならない。
2 前項の場合において、一の紛争に係る申立てが二以上の都道府県知事になされたときは、当該都道府県知事は、協議により仲介員を指定することができる。

 (仲介員の任務)

第二十五条 仲介員は、紛争の実情を詳細に調査し、事件が公正に解決されるように努めなければならない。

   第五章 雑則

 (報告及び検査)

第二十六条 都道府県知事は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、ばい煙排出者若しくは特定有害物質排出者に対し、ばい煙発生施設の状況、特定施設の事故の状況その他必要な事項の報告を求め、又はその職員に、ばい煙排出者若しくは特定有害物質排出者の工場若しくは事業場に立ち入り、ばい煙発生施設、ばい煙処理施設、特定施設その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 (適用除外)

第二十七条 電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第七項に規定する電気工作物又はガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二条第二項に規定するガス工作物であるばい煙発生施設又は特定施設において発生するばい煙又は特定有害物質を排出する者については、第七条から第十四条まで、第十六条第二項及び第三項並びに第十八条第二項の規定を適用せず、電気事業法又はガス事業法の相当規定の定めるところによる。

 (関係行政機関の協力)

第二十八条 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長又は関係地方公共団体の長に対し、ばい煙発生施設の状況等に関する資料の送付その他の協力を求め、又はばい煙による大気の汚染の防止に関し意見を述べることができる。

 (国の援助)

第二十九条 国は、ばい煙処理施設の整備を促進することにより、大気の汚染の防止に資するため、ばい煙処理施設の設置又は改善につき必要な資金のあつせん、技術的な助言その他の援助に努めるものとする。

 (研究の推進等)

第三十条 国は、ばい煙、特定有害物質及び自動車排出ガスの処理に関する技術の研究、大気の汚染の人の健康に及ぼす影響の研究その他大気の汚染の防止に関する研究を推進し、その成果の普及に努めるものとする。

 (事務の委任)

第三十一条 この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、政令で定める市の長に委任することができる。

 (条例との関係)

第三十二条 この法律の規定は、地方公共団体が、指定地域に設置されるばい煙を発生する施設であつて第二条第三項に規定するばい煙発生施設以外のものについて、その施設において発生するばい煙の排出に関し、条例で必要な規制を定めることを妨げるものではない。

   第六章 罰則

第三十三条 第十条又は第十四条第一項若しくは第二項の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

第三十四条 第七条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、五万円以下の罰金に処する。

第三十五条 次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。
 一 第八条第一項又は第九条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 二 第十一条第一項の規定に違反した者
 三 第十五条の規定による記録をせず、又は虚偽の記録をした者
 四 第二十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第三十六条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

第三十七条 第十二条、第十三条第三項、第十六条第二項若しくは第三項又は第十七条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、一万円以下の過料に処する。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第四条第四項の規定は、公布の日から施行する。

 (ばい煙の排出の規制等に関する法律の廃止)

2 ばい煙の排出の規制等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十六号。以下「旧法」という。)は、廃止する。

 (経過措置)

3 この法律の施行の際現に旧法第十二条の規定による実施の制限を受けている者についての第十条及び第十一条の規定の適用については、第十条中「その届出を受理した日」とあるのは「旧ばい煙の排出の規制等に関する法律第八条第一項又は第十条第一項の規定による届出を受理した日」と、第十一条第一項中「その届出が受理された日」とあるのは「旧ばい煙の排出の規制等に関する法律第八条第一項又は第十条第一項の規定による届出が受理された日」とする。

4 この法律の施行の際現に旧法第十六条第三項の規定により同条第一項又は第二項の規定を適用しないものとされているばい煙発生施設についての第十四条第三項の規定の適用については、同項中「同項に規定する指定地域となつた日又は同項に規定するばい煙発生施設となつた日」とあるのは「旧ばい煙の排出の規制等に関する法律第九条第一項に規定する指定地域となつた日又は同項に規定するばい煙発生施設となつた日」とする。

5 この法律の施行前に旧法第九条第一項の規定による届出をした者であつて、その届出をした日からこの法律の施行の日までの期間が六十日に満たないものの当該届出に係るばい煙発生施設についての第十四条第三項ただし書の規定の適用については、同項ただし書中「当該届出が受理された日」とあるのは、「旧ばい煙の排出の規制等に関する法律第十条第一項の規定による届出をした日」とする。

6 この法律の施行の際現に旧法第二十三条第一項の規定によつて委嘱されている仲介員候補者又は同法第二十四条第一項の規定によつて指定されている仲介員は、それぞれ、第二十三条第一項の規定によつて委嘱され、又は第二十四条第一項の規定によつて指定されたものとみなす。

7 前項に規定する場合のほか、旧法によつてした処分、手続その他の行為は、この法律中にこれに相当する規定があるときは、この法律によつてしたものとみなす。

8 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

 (地方税法の一部改正)

9 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。

  第三百四十八条第二項第六号の五中「ばい煙の排出の規制等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十六号)」を「大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)」に改める。

 (中小企業近代化資金等助成法の一部改正)

10 中小企業近代化資金等助成法(昭和三十一年法律第百十五号)の一部を次のように改正する。

  第五条ただし書中「ばい煙の排出の規制等に関する法律(昭和三十七年法律第百四十六号)」を「大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)」に改める。

 (運輸省設置法の一部改正)

11 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

  第二十八条第一項第十号の次に次の一号を加える。

  十の二 自動車排出ガスに係る許容限度に関すること。

    「衆議院ホームページ」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1216年(建保4)歌人・随筆家鴨長明の命日(新暦7月26日)詳細
1870年(明治3)日本4番目の洋式灯台である樫野埼灯台が初点灯する(新暦7月8日)詳細
1897年(明治30)「古社寺保存法」(明治30年6月10日法律第49号)が公布される詳細
1903年(明治36)満州問題に関する対露強硬論である「大学七博士意見書」が政府に提出される詳細
1949年(昭和24)「社会教育法」が公布・施行される(社会教育法施行記念日)詳細
1962年(昭和37)北陸本線の北陸トンネルが開通する詳細
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