ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

タグ:国際デー

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 今日は、国際デーの一つ、「国際民主主義デー」です。
 国際民主主義デー(こくさいみんしゅしゅぎでー)は、国連が定める国際デーの一つで、英語では、International Day of Democracyと表記され、民主主義の促進、人権ならびに基本的自由の尊重を呼びかける日とされてきました。1997年(平成9)の列国議会同盟の会合を背景に、2007年(平成19)の国際連合総会において、「民主主義の原則を推進し維持する目的」で決議して、定められています。
 そして、すべての国連加盟国および組織に対し、募金への寄与など適切な方法でその日を記念するように呼び掛けました。
 以下に、2011年(平成23)9月15日の「国際民主主義デーの事務総長メッセージ」を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「国際民主主義デーの事務総長メッセージ」 2011年(平成23)9月15日

<英語版>

MESSAGE ON THE INTERNATIONAL DAY OF DEMOCRACY
Press Release 11-056-E 2011.09.15

This year has been a remarkable one in the history of democracy. Millions of people participated in the dramatic events in the Middle East, North Africa and beyond, and yet more followed with intense interest. Their engagement confirmed that democracy is a universal model yearned for by all peoples and alien to no culture. This year also served as a reminder that democracy cannot be exported or imposed from abroad; it must be generated by the will of the people and nurtured by a strong and active civil society. The world saw the truth of the saying that countries do not become fit for democracy; they become fit through democracy. Young people, above all, brought home this message. They championed the democratic ideal and now face the challenge of working to realize the potential of the transitions they helped to set in motion.

The same truths are borne out by another milestone this year — the 20th anniversary of the massive transformation in Eastern Europe. Many of the region’s countries are still in the early stages of their democratic passage. They know the painstaking work involved in building the rule of law, fostering transparency and accountability, and overhauling political and economic systems. They know the setbacks that can disappoint expectations, and the passion needed to keep moving forward. Their experiences provide important lessons.

The United Nations is there to support these efforts. It does more than any other single organization to develop and strengthen democratic institutions and practices around the world. The UN supports free and fair elections, encourages popular participation by civil society, and nurtures dialogue when parties are deadlocked after a disputed vote. It mediates in fragile political situations to prevent conflict, and fosters accountable security institutions after a conflict has ended. It deploys experts to help strengthen the rule of law, develop multi-party structures and build effective, accountable public administration, ombudsman institutions, anti-corruption agencies and gender equality bodies.

In all these endeavours, the UN does not seek to export or promote any particular national or regional model of democracy. It works on the understanding that the democratic ideal is rooted in philosophies and traditions from all parts of the world; that effective democratic governance enhances the quality of life for men and women everywhere; and that democracy provides the foundations for durable peace, security and development.

On this International Day of Democracy, let us redouble our efforts to support all people, in particular the young – the drivers of this year’s momentous events – in making democracy a working reality. This Day belongs to them. Let us honour their commitment to a lifelong journey in democracy.

<日本語訳>

国際民主主義デーの事務総長メッセージ
2011年(平成23)9月15日新聞発表

今年は民主主義の歴史上、画期的な年となりました。中東や北アフリカをはじめとする地域では、数百万の人々が劇的な動きに参加し、それを超すさらに多くの世界中の人々が、大きな関心をもってその動きを見守りました。民主主義はすべての人々が望む普遍的なモデルであり、どの文化にも縁遠い存在ではないことが、こうした人々の関与で確認されたのです。今年はまた、民主主義を輸出することもできなければ、外部から押し付けることもできないことを改めて認識する年にもなりました。それは国民の意志で生み出され、力強く活発な市民社会によって育まれねばならないからです。国は民主主義にふさわしい国に成長していくのではなく、民主主義によって健全な国になるのだという真実を、世界は痛感させられました。このメッセージを先頭に立って送ったのが、若者たちでした。民主主義の理想を掲げて立ち上がった若者たちは今、自分たちの力でスタートさせた変革を、最後までなし遂げるという課題に直面しています。

同様の真実が、東欧で起きた大変革から20年という、もう一つの大きな節目によっても裏づけられました。この地域では、多くの国々がまだ、民主化の初期の段階にあります。こうした国々の人々は、法の支配の確立、透明性とアカウンタビリティの育成、そして政治・経済システムの根本的な見直しが、どれだけ骨の折れる作業であるか、身をもって体験しています。期待を裏切りかねないような挫折を経験し、前進を続けるためにどれだけの情熱が必要かも知っています。こうした経験は大事な教訓を与えてくれました。

国連は、こうした動きを支援しています。世界中で、民主的な制度と実践の育成、強化にこれほど努めている機関は他にありません。国連は自由で公正な選挙を支援し、市民社会による国民参加を促しているほか、投票結果をめぐって当事者間でこう着状態が生じたときには、対話を育む役割も担っています。また、政情不安の際には調停役として紛争の予防にあたり、紛争終結の際には責任ある治安制度の育成を図っています。さらに、法の支配の強化を助け、多党制を育て上げ、効果的で責任ある行政やオンブズマン制度、腐敗防止機関、ジェンダーの平等を推進する団体を育成するため、専門家の派遣も行っています。

どのような取り組みを行う場合でも、国連は各国や地域に特定の民主主義モデルを取り入れたり、促進したりしようとはしていません。その活動の基本となっている考え方は、民主主義の理想は世界各地の哲学や伝統に根ざしているということ、有効な民主的ガバナンスはあらゆる場所で、男女の生活の質を向上させるということ、そして、民主主義は恒久的な平和、安全、そして開発の礎を提供するということです。

今年の「国際民主主義デー」にあたり、今年の記念すべき出来事の主役となった若者をはじめ、民主主義を現実に機能させようとしている人々を支援する取り組みを、さらに強化していこうではありませんか。今日の国際デーはこのような人々のためにあります。民主主義の中で一生を送る決意を固めた人々を称えようではありませんか。

   「国際連合広報センターホームページ」より

〇国際デー(こくさいデー)とは?

 国際機関によって定められた記念日で、毎年定められた日に、特定の事項に対して特に重点的問題解決を国連をはじめ全世界の団体・個人に呼びかけるための日とされています。国連総会、国連経済社会理事会、国際連合教育科学文化機関、世界保健機関、国際電気通信連合、国際連合食糧農業機関、世界知的所有権機関、国際連合環境計画、国際海事機関、国際民間航空機関などの国際機関が定めたものでした。国際デーには、世界各地で記念行事が行われています。

☆「国際デー」一覧

・1月4日 世界点字デー
・1月24日 教育の国際デー
・1月27日 ホロコースト犠牲者を想起する国際デー
・2月2日 世界湿地の日
・2月4日 国際友愛デー
・2月6日 女性器切除の根絶のための国際デー
・2月10日 世界豆デー
・2月11日 科学における女性と女児の国際デー
・2月13日 世界ラジオ・デー [UNESCO]
・2月20日 世界社会正義の日
・2月21日 国際母語デー [UNESCO]
・3月1日 エイズ差別ゼロの日 [UNAIDS]
・3月3日 世界野生生物の日
・3月8日 国際女性デー
・3月10日 女性裁判官の国際デー
・3月15日 イスラム恐怖症と闘う国際デー
・3月20日 国際幸福デー
・3月20日 フランス語デー
・3月21日 国際人種差別撤廃デー
・3月21日 世界詩デー [UNESCO]
・3月21日 国際ノウルーズ・デー
・3月21日 世界ダウン症の日
・3月21日 国際森林デー
・3月22日 世界水の日
・3月23日 世界気象の日 [WMO]
・3月24日 世界結核デー [WHO]
・3月24日 著しい人権侵害に関する真実に対する権利と犠牲者の尊厳のための国際人権デー
・3月25日 奴隷及び大西洋間奴隷貿易犠牲者追悼国際デー
・3月25日 拘留中または行方不明のスタッフと連帯する国際デー
・4月2日 世界自閉症啓発デー
・4月4日 地雷に関する啓発および地雷除去支援のための国際デー
・4月5日 良心の国際デー
・4月6日 開発と平和のためのスポーツの国際デー
・4月7日 (1994年の)ルワンダにおけるジェノサイドを考える国際デー
・4月7日 世界保健デー [WHO]
・4月12日 国際有人宇宙飛行デー
・4月14日 シャーガス病の世界デー
・4月20日 中国語デー
・4月21日 創造性とイノベーションの世界デー
・4月22日 国際マザーアース・デー
・4月23日 世界図書・著作権デー
・4月23日 英語デー
・4月23日 スペイン語デー
・4月24日 マルチラテラリズムと平和のための外交の国際デー
・4月25日 国際外交使節デー
・4月25日 世界マラリア・デー [WHO]
・4月26日 国際チョルノービリ災害想起デー
・4月26日 世界知的財産の日 [WIPO]
・4月28日 女児とICTの国際デー[ITU]
・4月28日 職場での安全と健康のための世界デー
・4月30日 国際ジャズ・デー
・5月2日 世界まぐろデー
・5月3日 世界報道自由デー
・5月5日 ポルトガル語デー[UNESCO]
・5月8日 第2次世界大戦で命を失った人たちのための追悼と和解のためのとき
・5月10日 アルガンノキの国際デー
・5月12日 植物の健康の国際デー
・5月14日 世界渡り鳥デー
・5月15日 国際家族デー
・5月16日 平和に共存する国際デー
・5月16日 光の国際デー [UNESCO]
・5月16日 ヴェサク、満月の日
・5月17日 世界電気通信情報社会デー [ITU]
・5月20日 世界ミツバチの日
・5月21日 国際お茶の日
・5月21日 対話と発展のための世界文化多様性デー
・5月22日 国際生物多様性の日
・5月23日 産科瘻孔をなくすための国際デー
・5月29日 国連平和維持要員の国際デー
・5月31日 世界禁煙デー [WHO]
・6月1日 国際親の日
・6月3日 世界自転車デー
・6月4日 侵略による罪のない幼児犠牲者の国際デー
・6月5日 世界環境デー
・6月5日 違法・無報告・無規制に行われる漁業との闘いのための国際デー
・6月6日 ロシア語デー
・6月7日 世界食の安全デー
・6月8日 世界海洋デー
・6月12日 児童労働に反対する世界デー
・6月13日 国際アルビニズム(白皮症)啓発デー
・6月14日 世界献血デー [WHO]
・6月15日 世界高齢者虐待啓発デー
・6月16日 家族送金の国際デー
・6月17日 砂漠化および干ばつと闘う国際デー
・6月18日 ヘイトスピーチと闘う国際デー
・6月18日 持続可能な食文化の日
・6月19日 紛争下の性的暴力根絶のための国際デー
・6月20日 世界難民の日
・6月21日 ヨガの国際デー
・6月21日 夏至月冬至の国際デー
・6月23日 国連パブリック・サービス・デー
・6月23日 国際寡婦の日
・6月25日 船員デー [IMO]
・6月26日 国際薬物乱用・不法取引防止デー
・6月26日 拷問の犠牲者を支援する国際デー
・6月27日 零細・中小企業デー
・6月29日 熱帯地域の国際デー
・6月30日 国際小惑星デー
・6月30日 議会制度の国際デー
・7月3日 協同組合の国際デー
・7月11日 世界人口デー
・7月15日 世界ユース技能デー
・7月18日 ネルソン・マンデラ国際デー
・7月20日 月の国際デー
・7月20日 世界チェス・デー
・7月25日 世界溺水防止デー
・7月28日 世界肝炎デー [WHO]
・7月30日 国際フレンドシップ・デー
・7月30日 人身取引反対世界デー
・8月9日 世界の先住民の国際デー
・8月12日 国際青少年デー
・8月19日 世界人道デー
・8月21日 テロ被害者想起と追悼の国際デー
・8月22日 宗教および信条に基づく暴力行為の犠牲者を記念する国際デー
・8月23日 奴隷貿易とその廃止を記念する国際デー [UNESCO]
・8月29日 核実験に反対する国際デー
・8月30日 強制失踪の被害者のための国際デー
・8月31日 アフリカ系の人々の国際デー
・9月5日 国際チャリティー・デー
・9月7日 青空のためのきれいな空気の国際デー
・9月8日 国際識字デー [UNESCO]
・9月9日 教育を攻撃から守るための国際デー
・9月12日 国連南南協力デー
・9月15日 国際民主主義デー
・9月16日 オゾン層保護のための国際デー
・9月17日 患者の安全のための世界デー [WHO]
・9月18日 平等な賃金の国際デー
・9月21日 国際平和デー
・9月23日 手話言語の国際デー
・9月26日 核兵器の全面的廃絶のための国際デー
・9月27日 世界観光デー
・9月28日 情報へのユニバーサル・アクセスのための国際デー
・9月29日 食料のロスと廃棄に関する啓発の国際デー
・9月30日 世界海事デー [IMO]
・9月30日 国際翻訳デー
・10月1日 国際高齢者デー
・10月2日 世界統計デー
・10月2日 国際非暴力デー
・10月4日 世界ハビタット・デー
・10月5日 世界教師デー [UNESCO]
・10月7日 世界コットンの日
・10月8日 世界渡り鳥デー
・10月9日 世界郵便の日
・10月10日 世界メンタルヘルス・デー [WHO]
・10月11日 国際ガールズ・デー
・10月13日 国際防災の日
・10月15日 農山漁村女性のための国際デー
・10月16日 世界食料デー [FAO]
・10月17日 貧困撲滅のための国際デー
・10月24日 国連デー
・10月24日 世界開発情報の日
・10月27日 世界視聴覚遺産デー [UNESCO]
・10月31日 世界都市デー
・11月2日 ジャーナリストへの犯罪不処罰をなくす国際デー
・11月5日 世界津波の日
・11月6日 戦争と武力紛争による環境搾取防止のための国際デー
・11月10日 平和と開発のための世界科学デー
・11月14日 世界糖尿病デー
・11月16日 国際寛容デー [UNESCO]
・11月18日 世界哲学デー [UNESCO]
・11月19日 世界トイレ・デー
・11月20日 アフリカ工業化の日
・11月20日 世界子どもの日
・11月21日 交通事故の犠牲者を追悼する世界デー
・11月21日 世界テレビ・デー
・11月25日 女性に対する暴力撤廃の国際デー
・11月29日 パレスチナ人民連帯国際デー
・11月30日 化学兵器による全ての犠牲者を追悼する日
・12月1日 世界エイズ・デー
・12月2日 奴隷制度廃止国際デー
・12月3日 国際障害者デー
・12月4日 銀行の国際デー
・12月5日 経済・社会開発のための国際ボランティア・デー
・12月5日 世界土壌デー
・12月7日 国際民間航空デー
・12月9日 ジェノサイド犠牲者の尊厳を想起しその犯罪防止を考える国際デー
・12月9日 国際腐敗防止デー
・12月10日 人権デー
・12月11日 国際山岳デー
・12月12日 国際中立デー
・12月12日 ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ国際デー
・12月18日 国際移住者デー
・12月18日 アラビア語デー
・12月20日 人間の連帯国際デー
・12月27日 国際疫病対策の日

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1305年(嘉元3)第90代の天皇とされる亀山天皇の命日(新暦では10月4日)詳細
1600年(慶長5)関ヶ原の戦いが起き、東軍が勝利する(新暦10月21日)詳細
1932年(昭和7)「日満議定書」が調印される詳細
1945年(昭和20)文部省が「新日本建設ノ教育方針」を公表する詳細
1964年(昭和39)八郎潟干拓の干拓式が行われる詳細
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shinetsushiki01
 今日は、昭和時代前期の1939年(昭和14)に、宮城前広場での「陸軍現役将校学校配属令」の施行15年を記念する全国学校教職員及び学生生徒御親閲式(32,500人参加)において、「青少年学徒ニ賜ハリタル勅語」が発布された日です。
 「青少年学徒ニ賜ハリタル勅語」(せいしょうねんがくとにたまわりたるちょくご)は、東京の宮城前広場(現在の皇居外苑)で、「陸軍現役将校学校配属令」の施行15年を記念する全国学校教職員及び学生生徒御親閲式(32,500人参加)の際に、荒木貞夫文部大臣が訓示した後に、昭和天皇が勅語を与え、同日付で荒木貞夫文部大臣訓示と共に、全国に告知(昭和14年文部省訓令第15号)されたものでした。日中戦争が続く中で、青少年学徒が国家のために奮励努力するよう指示したものです。
 この後、すべての学校ではこの日を記念して、毎年5月22日に、この勅語を奉読し、併せて部隊行進・神社参拝・武道訓練などの行事が催されるようになりました。しかし、太平洋戦争敗戦後の1948年(昭和23)6月19日に、衆議院における「教育勅語等排除に関する決議」および参議院における「教育勅語等の失効確認に関する決議」がなされ、「教育ニ関スル勅語」(教育勅語)などと共に失効されています。
 以下に、「青少年学徒ニ賜ハリタル勅語」を現代語訳付で、全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「青少年学徒ニ賜ハリタル勅語」 1939年(昭和14)5月22日発布

国本ニ培ヒ国カヲ養ヒ以テ国家隆昌ノ気運ヲ永世ニ維持セムトスル任タル極メテ重ク道タル甚ダ遠シ、而シテ其任実ニ繋リテ汝等青少年学徒ノ雙肩ニ在リ、汝等其レ気節ヲ尚ビ廉恥ヲ重ンジ古今ノ史実ニ稽ヘ中外ノ事勢ニ鑒ミ其ノ思索ヲ精ニシ其ノ職見ヲ長ジ執ル所中ヲ失ハズ嚮フ所正ヲ謬ラズ各其ノ本分ヲ恪守シ文ヲ修メ武ヲ練リ質実剛健ノ気風ヲ振励シ、以テ負荷ノ大任ヲ全クセムコトヲ期セヨ

<現代語訳>

国家の基礎を構築し、国力を伸張し、国家が益々栄えてゆく気運を、永遠に維持しようという任務は極めて重大で、とても長い月日のかかる困難なことである。そして、その任務は君等青少年学徒の双肩にかかっている。君等は、気概があって、節操が固く、心が潔白・正直で、恥を知る心が強く、昔から今に至るまでの史実をよく考え、国内外の事態を見極め、その物の道理をたどって考えていく能力を高め、物事を正しく見分ける力に長け、中庸を守ることを忘れず、正しい道を誤らず、各自がその本分を謹んで守り、また、学問を納め、武道を鍛錬し、質実剛健の気風を奮い起こし、そうして各自にかかっている大きな任務を完全に達成する決心をせよ。
 
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1737年(元文2)江戸幕府第10代将軍徳川家治の誕生日(新暦6月20日)詳細
1859年(安政6)小説家・演劇評論家・劇作家・英文学者坪内逍遥の誕生日(新暦6月22日)詳細
1945年(昭和20)「戦時教育令」を公布し、各学校、職場に学徒隊を結成させる詳細
1989年(平成元)考古学者相沢忠洋の命日詳細
1992年(平成4)「生物の多様性に関する条約」が採択される(国際生物多様性の日)詳細
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sekaishyakaiseiginohi01
 今日は、国連が定める国際デー「世界社会正義の日(World Day of Social Justice)」です。
 世界社会正義の日(せかいしゃかいせいぎのひ)は、国連が定める国際デーの一つで、貧困の撲滅と公平な社会の実現のため、啓発活動が行われてきました。2008年(平成20)の国連総会で制定、翌年から実施されていますが、「社会正義」は、騎士道にも登場するなど古くからある発想であるものの、近代になって具体的な概念として明確化され、人権や平等主義、累進課税などを通した収入や財産の富の再分配などが挙げられています。
 この日を中心として、貧困の撲滅と公平な社会の実現のための啓発活動が行われてきました。
 以下に、2019年(平成31)2月20日の「世界社会正義の日のILO事務局長声明」の英語版原文と日本語訳を掲載しておきましたので、ご参照下さい。

〇「世界社会正義の日のILO事務局長声明」 2019年(平成31)2月20日

<英語版原文>

World Day of Social Justice

In a statement marking World Day of Social Justice, ILO Director-General Guy Ryder says decent work is key to achieving sustainable development and social justice, itself a foundation of lasting peace.

Today the UN’s message is: “if you want peace and development, work for social justice”. The ILO is built on this precept: carved into the foundation of its first headquarters are the words “si vis pacem, cole justitiam” - “If you desire peace, cultivate justice”. For one hundred years the ILO has pursued its mandate to promote social justice through the world of work.

Undoubtedly, there has been much economic and social progress. Yet the fruits are often unevenly distributed. Many people have been lifted out of poverty but many are in danger of falling back. Technology has generated jobs, opened up opportunities and alleviated drudgery, yet billions are still barely surviving in the informal economy. Many societies are scarred by deep social and economic divides; populations are torn apart by war and conflict. And in a changing world of work, established relationships, norms and standards are being called into question and fundamental rights at work are still to be fully realized.

It is no less certain today than in 1919 that lasting peace and stability must be built on a foundation of sustainable development and social justice. Freely chosen work, done in conditions of equity, security and dignity – decent work – will be key. We can choose the path of opportunity towards a brighter future for women and men, for their families, communities and societies.

The ILO will continue to be an advocate for the rights and standards that underpin decent work, for the policies that foster decent work, for the conditions under which enterprises can generate decent work. It will promote social dialogue that can build a common vision of a shared future, including a just transition to environmental sustainability.

We will continue to work for social justice, and for decent work as an instrument of lasting peace.

<日本語訳>

世界社会正義の日 

 世界社会正義の日を記念する声明の中で、ILOのガイ・ライダー事務局長は、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が持続可能な開発と社会正義を達成するための鍵であり、それ自体が永続的な平和の基盤であると述べています。

 今日の国連のメッセージは、「平和と発展を望むなら、社会正義のために働く」です。 ILOはこの原則に基づいて構築されています。最初の本部の基盤には、「汝平和を求めるなら、正義を育む」という言葉が刻まれています。 100年間、ILOは、仕事の世界を通じて社会正義を促進するという使命を追求してきました。 

 間違いなく、多くの経済的および社会的進歩がありました。しかし、果実はしばしば不均一に分配されています。 多くの人々が貧困から解放されましたが、多くの人々は後退する危険にさらされています。テクノロジーは雇用を生み出し、機会を開拓し、苦痛を軽減しましたが、それでも数十億人が非公式(インフォーマル)経済でかろうじて生き残っています。 多くの社会は、深い社会的および経済的格差によって傷つけられています。 人々は戦争と紛争によって引き裂かれます。そして、変化する仕事の世界では、確立された関係、規範、基準が疑問視されており、仕事における基本的権利はまだ完全に実現されていません。

 持続可能な開発と社会正義の基盤の上に永続的な平和と安定を構築しなければならないことは、今日でも1919年と同じくらい確実です。公平性、安全性、尊厳の条件下で行われる自由に選択された仕事、つまりディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が鍵となります。 私たちは、女性と男性、その家族、地域社会、社会にとって、より明るい未来に向けた機会の道を選ぶことができます。 

 ILOは、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を支える権利と基準、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進する政策、企業がディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を生み出すことができる条件を支持し続けます。それは、環境の持続可能性への公正な移行を含む、共有された未来の共通のビジョンを構築することができる社会的対話を促進します。

 私たちは社会正義のために、そして永続的な平和の手段として、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)のために働き続けます。 

 注:筆者が英語版原文から日本語訳としました。 

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1886年(明治19)歌人石川啄木の誕生日詳細
1928年(昭和3)改正「衆議院議員選挙法」(普通選挙法)により第16回衆議院議員総選挙の投票が行われる詳細
1949年(昭和24)秋田県で第一次能代大火が起き、2,237棟が焼失する詳細
2018年(平成30)俳人金子兜太の命日詳細

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 今日は、平成時代の1992年(平成4)のケニアのナイロビで開催された合意テキスト採択会議において、「生物の多様性に関する条約」が採択された日(国際生物多様性の日)です。
 「生物の多様性に関する条約(せいぶつのたようせいにかんするじょうやく)」は、地球上の多様な生物を生息環境とともに保全し、生物資源を持続可能であるように利用して、遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分することを目的とする国際条約でした。1992年(平成4)5月22日にケニアのナイロビで開催された合意テキスト採択会議において採択され、同年6月にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された国連環境開発会議(UNCED、地球サミット)で調印式を行い、翌年12月29日に発効しています。
 その目的は、①生物多様性の保全、②生物多様性の構成要素の持続可能な利用、③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分で、締約国が国家戦略を作ることを定め、バイオテクノロジーの安全性確保なども規定しました。「ワシントン条約」や「ラムサール条約」のように、特定の行為や特定の生息地のみを対象とするのではなく、野生生物保護の枠組みを広げ、地球上の生物の多様性を包括的に保全していることが特徴とされています。
 この生物多様性の保全のために、保護地域の指定と管理、保護種の指定とモニタリング、生息地の回復、環境アセスメントの実施、などが求められました。その後、2000年(平成12)にはバイオセーフティに関する「カルタヘナ議定書」が採択(2004年発効)され、2002年(平成14)のCOP6(ハーグ)では「2010年目標」が採択され、2010年(平成22)10月には、「責任と救済に関する名古屋クアラルンプール補足議定書」が採択(2014年発効)されています。
 また、それにあわせて、2011年(平成23)から2020年(令和2)までは「国連生物多様性の10年」と定められました。日本は、1993年(平成5)5月に条約を締結、2017年(平成29)現在、アメリカ合衆国を除く全国際連合加盟国およびクック諸島、ニウエ、欧州連合が加盟(計196団体)しました。
 尚、1994年(平成6)の「生物の多様性に関する条約」締約国会議で「国際生物多様性の日」が制定され、国際デーの一つとなりましたが、当初は12月29日だったものの、2000年(平成12)の第5回条約締約国会議で5月22日に変更されています。
 以下に、「生物の多様性に関する条約」の日本語訳を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「生物の多様性に関する条約」1992年(平成4)5月22日採択、同年6月調印式、翌年12月29日発効

    前文
 締約国は、
 生物の多様性が有する内在的な価値並びに生物の多様性及びその構成要素が有する生態学上、遺伝上、社会上、経済上、科学上、教育上、文化上、レクリエーション上及び芸術上の価値を意識し、
 生物の多様性が進化及び生物圏における生命保持の機構の維持のため重要であることを意識し、
 生物の多様性の保全が人類の共通の関心事であることを確認し、
 諸国が自国の生物資源について主権的権利を有することを再確認し、
 諸国が、自国の生物の多様性の保全及び自国の生物資源の持続可能な利用について責任を有することを再確認し、
 生物の多様性がある種の人間活動によって著しく減少していることを懸念し、
 生物の多様性に関する情報及び知見が一般的に不足していること並びに適当な措置を計画し及び実施するための基本的な知識を与える科学的、技術的及び制度的能力を緊急に開発する必要があることを認識し、
 生物の多様性の著しい減少又は喪失の根本原因を予想し、防止し及び取り除くことが不可欠であることに留意し、
 生物の多様性の著しい減少又は喪失のおそれがある場合には、科学的な確実性が十分にないことをもって、そのようなおそれを回避し又は最小にするための措置をとることを延期する理由とすべきではないことに留意し、
 更に、生物の多様性の保全のための基本的な要件は、生態系及び自然の生息地の生息域内保全並びに存続可能な種の個体群の自然の生息環境における維持及び回復であることに留意し、
 更に、生息域外における措置も重要な役割を果たすこと及びこの措置は原産国においてとることが望ましいことに留意し、
 伝統的な生活様式を有する多くの原住民の社会及び地域社会が生物資源に緊密にかつ伝統的に依存していること並びに生物の多様性の保全及びその構成要素の持続可能な利用に関して伝統的な知識、工夫及び慣行の利用がもたらす利益を衡平に配分することが望ましいことを認識し、
 生物の多様性の保全及び持続可能な利用において女子が不可欠の役割を果たすことを認識し、また、生物の多様性の保全のための政策の決定及び実施のすべての段階における女子の完全な参加が必要であることを確認し、
 生物の多様性の保全及びその構成要素の持続可能な利用のため、国家、政府間機関及び民間部門の間の国際的、地域的及び世界的な協力が重要であること並びにそのような協力の促進が必要であることを強調し、
 新規のかつ追加的な資金の供与及び関連のある技術の取得の適当な機会の提供が生物の多様性の喪失に取り組むための世界の能力を実質的に高めることが期待できることを確認し、
 更に、開発途上国のニーズに対応するため、新規のかつ追加的な資金の供与及び関連のある技術の取得の適当な機会の提供を含む特別な措置が必要であることを確認し、
 この点に関して後発開発途上国及び島嶼(しょ)国の特別な事情に留意し、
 生物の多様性を保全するため多額の投資が必要であること並びに当該投資から広範な環境上、経済上及び社会上の利益が期待されることを確認し、
 経済及び社会の開発並びに貧困の撲滅が開発途上国にとって最優先の事項であることを認識し、
 生物の多様性の保全及び持続可能な利用が食糧、保健その他増加する世界の人口の必要を満たすために決定的に重要であること、並びにこの目的のために遺伝資源及び技術の取得の機会の提供及びそれらの配分が不可欠であることを認識し、
 生物の多様性の保全及び持続可能な利用が、究極的に、諸国間の友好関係を強化し、人類の平和に貢献することに留意し、
 生物の多様性の保全及びその構成要素の持続可能な利用のための既存の国際的な制度を強化し及び補完することを希望し、
 現在及び将来の世代のため生物の多様性を保全し及び持続可能であるように利用することを決意して、
 次のとおり協定した。

   第一条 目的
 この条約は、生物の多様性の保全、その構成要素の持続可能な利用及び遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分をこの条約の関係規定に従って実現することを目的とする。この目的は、特に、遺伝資源の取得の適当な機会の提供及び関連のある技術の適当な移転(これらの提供及び移転は、当該遺伝資源及び当該関連のある技術についてのすべての権利を考慮して行う。)並びに適当な資金供与の方法により達成する。

   第二条 用語
 この条約の適用上、
 「生物の多様性」とは、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含む。
 「生物資源」には、現に利用され若しくは将来利用されることがある又は人類にとって現実の若しくは潜在的な価値を有する遺伝資源、生物又はその部分、個体群その他生態系の生物的な構成要素を含む。
 「バイオテクノロジー」とは、物又は方法を特定の用途のために作り出し又は改変するため、生物システム、生物又はその派生物を利用する応用技術をいう。
 「遺伝資源の原産国」とは、生息域内状況において遺伝資源を有する国をいう。
 「遺伝資源の提供国」とは、生息域内の供給源(野生種の個体群であるか飼育種又は栽培種の個体群であるかを問わない。)から採取された遺伝資源又は生息域外の供給源から取り出された遺伝資源(自国が原産国であるかないかを問わない。)を提供する国をいう。
 「飼育種又は栽培種」とは、人がその必要を満たすため進化の過程に影響を与えた種をいう。
 「生態系」とは、植物、動物及び微生物の群集とこれらを取り巻く非生物的な環境とが相互に作用して一の機能的な単位を成す動的な複合体をいう。
 「生息域外保全」とは、生物の多様性の構成要素を自然の生息地の外において保全することをいう。
 「遺伝素材」とは、遺伝の機能的な単位を有する植物、動物、微生物その他に由来する素材をいう。
 「遺伝資源」とは、現実の又は潜在的な価値を有する遺伝素材をいう。
 「生息地」とは、生物の個体若しくは個体群が自然に生息し若しくは生育している場所又はその類型をいう。
 「生息域内状況」とは、遺伝資源が生態系及び自然の生息地において存在している状況をいい、飼育種又は栽培種については、当該飼育種又は栽培種が特有の性質を得た環境において存在している状況をいう。
 「生息域内保全」とは、生態系及び自然の生息地を保全し、並びに存続可能な種の個体群を自然の生息環境において維持し及び回復することをいい、飼育種又は栽培種については、存続可能な種の個体群を当該飼育種又は栽培種が特有の性質を得た環境において維持し及び回復することをいう。
 「保護地域」とは、保全のための特定の目的を達成するために指定され又は規制され及び管理されている地理的に特定された地域をいう。
 「地域的な経済統合のための機関」とは、特定の地域の主権国家によって構成される機関であって、この条約が規律する事項に関しその加盟国から権限の委譲を受け、かつ、その内部手続に従ってこの条約の署名、批准、受諾若しくは承認又はこれへの加入の正当な委任を受けたものをいう。
 「持続可能な利用」とは、生物の多様性の長期的な減少をもたらさない方法及び速度で生物の多様性の構成要素を利用し、もって、現在及び将来の世代の必要及び願望を満たすように生物の多様性の可能性を維持することをいう。
 「技術」には、バイオテクノロジーを含む。

   第三条 原則
 諸国は、国際連合憲章及び国際法の諸原則に基づき、自国の資源をその環境政策に従って開発する主権的権利を有し、また、自国の管轄又は管理の下における活動が他国の環境又はいずれの国の管轄にも属さない区域の環境を害さないことを確保する責任を有する。

   第四条 適用範囲
 この条約が適用される区域は、この条約に別段の明文の規定がある場合を除くほか、他国の権利を害さないことを条件として、各締約国との関係において、次のとおりとする。
 (a) 生物の多様性の構成要素については、自国の管轄の下にある区域
 (b) 自国の管轄又は管理の下で行われる作用及び活動(それらの影響が生ずる場所のいかんを問わない。)については、自国の管轄の下にある区域及びいずれの国の管轄にも属さない区域

   第五条 協力
 締約国は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用のため、可能な限り、かつ、適当な場合には、直接に又は適当なときは能力を有する国際機関を通じ、いずれの国の管轄にも属さない区域その他相互に関心を有する事項について他の締約国と協力する。

   第六条 保全及び持続可能な利用のための一般的な措置
 締約国は、その個々の状況及び能力に応じ、次のことを行う。
 (a) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用を目的とする国家的な戦略若しくは計画を作成し、又は当該目的のため、既存の戦略若しくは計画を調整し、特にこの条約に規定する措置で当該締約国に関連するものを考慮したものとなるようにすること。
 (b) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用について、可能な限り、かつ、適当な場合には、関連のある部門別の又は部門にまたがる計画及び政策にこれを組み入れること。

   第七条 特定及び監視
 締約国は、可能な限り、かつ、適当な場合には、特に次条から第十条までの規定を実施するため、次のことを行う。
 (a) 附属書Ⅰに列記する区分を考慮して、生物の多様性の構成要素であって、生物の多様性の保全及び持続可能な利用のために重要なものを特定すること。
 (b) 生物の多様性の構成要素であって、緊急な保全措置を必要とするもの及び持続可能な利用に最大の可能性を有するものに特別の考慮を払いつつ、標本抽出その他の方法により、(a)の規定に従って特定される生物の多様性の構成要素を監視すること。
 (c) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に著しい悪影響を及ぼし又は及ぼすおそれのある作用及び活動の種類を特定し並びに標本抽出その他の方法によりそれらの影響を監視すること。
 (d) (a)から(c)までの規定による特定及び監視の活動から得られる情報を何らかの仕組みによって維持し及び整理すること。

   第八条 生息域内保全
 締約国は、可能な限り、かつ、適当な場合には、次のことを行う。
 (a) 保護地域又は生物の多様性を保全するために特別の措置をとる必要がある地域に関する制度を確立すること。
 (b) 必要な場合には、保護地域又は生物の多様性を保全するために特別の措置をとる必要がある地域の選定、設定及び管理のための指針を作成すること。
 (c) 生物の多様性の保全のために重要な生物資源の保全及び持続可能な利用を確保するため、保護地域の内外を問わず、当該生物資源について規制を行い又は管理すること。
 (d) 生態系及び自然の生息地の保護並びに存続可能な種の個体群の自然の生息環境における維持を促進すること。
 (e) 保護地域における保護を補強するため、保護地域に隣接する地域における開発が環境上適正かつ持続可能なものとなることを促進すること。
 (f) 特に、計画その他管理のための戦略の作成及び実施を通じ、劣化した生態系を修復し及び復元し並びに脅威にさらされている種の回復を促進すること。
 (g) バイオテクノロジーにより改変された生物であって環境上の悪影響(生物の多様性の保全及び持続可能な利用に対して及び得るもの)を与えるおそれのあるものの利用及び放出に係る危険について、人の健康に対する危険も考慮して、これを規制し、管理し又は制御するための手段を設定し又は維持すること。
 (h) 生態系、生息地若しくは種を脅かす外来種の導入を防止し又はそのような外来種を制御し若しくは撲滅すること。
 (i) 現在の利用が生物の多様性の保全及びその構成要素の持続可能な利用と両立するために必要な条件を整えるよう努力すること。
 (j) 自国の国内法令に従い、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連する伝統的な生活様式を有する原住民の社会及び地域社会の知識、工夫及び慣行を尊重し、保存し及び維持すること、そのような知識、工夫及び慣行を有する者の承認及び参加を得てそれらの一層広い適用を促進すること並びにそれらの利用がもたらす利益の衡平な配分を奨励すること。
 (k) 脅威にさらされている種及び個体群を保護するために必要な法令その他の規制措置を定め又は維持すること。
 (l) 前条の規定により生物の多様性に対し著しい悪影響があると認められる場合には、関係する作用及び活動の種類を規制し又は管理すること。
 (m) (a)から(l)までに規定する生息域内保全のための財政的な支援その他の支援(特に開発途上国に対するもの)を行うことについて協力すること。

   第九条 生息域外保全
 締約国は、可能な限り、かつ、適当な場合には、主として生息域内における措置を補完するため、次のことを行う。
 (a) 生物の多様性の構成要素の生息域外保全のための措置をとること。この措置は、生物の多様性の構成要素の原産国においてとることが望ましい。
 (b) 植物、動物及び微生物の生息域外保全及び研究のための施設を設置し及び維持すること。その設置及び維持は、遺伝資源の原産国において行うことが望ましい。
 (c) 脅威にさらされている種を回復し及びその機能を修復するため並びに当該種を適当な条件の下で自然の生息地に再導入するための措置をとること。
 (d) (c)の規定により生息域外における特別な暫定的措置が必要とされる場合を除くほか、生態系及び生息域内における種の個体群を脅かさないようにするため、生息域外保全を目的とする自然の生息地からの生物資源の採取を規制し及び管理すること。
 (e) (a)から(d)までに規定する生息域外保全のための財政的な支援その他の支援を行うことについて並びに開発途上国における生息域外保全のための施設の設置及び維持について協力すること。

   第一〇条 生物の多様性の構成要素の持続可能な利用
 締約国は、可能な限り、かつ、適当な場合には、次のことを行う。
 (a) 生物資源の保全及び持続可能な利用についての考慮を自国の意思決定に組み入れること。
 (b) 生物の多様性への悪影響を回避し又は最小にするため、生物資源の利用に関連する措置をとること。
 (c) 保全又は持続可能な利用の要請と両立する伝統的な文化的慣行に沿った生物資源の利用慣行を保護し及び奨励すること。
 (d) 生物の多様性が減少した地域の住民による修復のための作業の準備及び実施を支援すること。
 (e) 生物資源の持続可能な利用のための方法の開発について、自国の政府機関と民間部門との間の協力を促進すること。

   第一一条 奨励措置
 締約国は、可能な限り、かつ、適当な場合には、生物の多様性の構成要素の保全及び持続可能な利用を奨励することとなるような経済的及び社会的に健全な措置をとる。

   第一二条 研究及び訓練
 締約国は、開発途上国の特別のニーズを考慮して、次のことを行う。
 (a) 生物の多様性及びその構成要素の特定、保全及び持続可能な利用のための措置に関する科学的及び技術的な教育訓練事業のための計画を作成し及び維持すること並びに開発途上国の特定のニーズに対応するためこのような教育及び訓練を支援すること。
 (b) 特に科学上及び技術上の助言に関する補助機関の勧告により締約国会議が行う決定に従い、特に開発途上国における生物の多様性の保全及び持続可能な利用に貢献する研究を促進し及び奨励すること。
 (c) 第十六条、第十八条及び第二十条の規定の趣旨に沿い、生物資源の保全及び持続可能な利用のための方法の開発について、生物の多様性の研究における科学の進歩の利用を促進し及びそのような利用について協力すること。

   第一三条 公衆のための教育及び啓発
 締約国は、次のことを行う。
 (a) 生物の多様性の保全の重要性及びその保全に必要な措置についての理解、各種の情報伝達手段によるそのような理解の普及並びにこのような題材の教育事業の計画への導入を促進し及び奨励すること。
 (b) 適当な場合には、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する教育啓発事業の計画の作成に当たり、他国及び国際機関と協力すること。

   第一四条 影響の評価及び悪影響の最小化
1 締約国は、可能な限り、かつ、適当な場合には、次のことを行う。
 (a) 生物の多様性への著しい悪影響を回避し又は最小にするため、そのような影響を及ぼすおそれのある当該締約国の事業計画案に対する環境影響評価を定める適当な手続を導入し、かつ、適当な場合には、当該手続への公衆の参加を認めること。
 (b) 生物の多様性に著しい悪影響を及ぼすおそれのある計画及び政策の環境への影響について十分な考慮が払われることを確保するため、適当な措置を導入すること。
 (c) 適宜、二国間の、地域的な又は多数国間の取極を締結することについて、これを促進することにより、自国の管轄又は管理の下における活動であって、他国における又はいずれの国の管轄にも属さない区域における生物の多様性に著しい悪影響を及ぼすおそれのあるものに関し、相互主義の原則に基づき、通報、情報の交換及び協議を行うことを促進すること。
 (d) 自国の管轄又は管理の下で生ずる急迫した又は重大な危険又は損害が他国の管轄の下にある区域又はいずれの国の管轄にも属さない区域における生物の多様性に及ぶ場合には、このような危険又は損害を受ける可能性のある国に直ちに通報すること及びこのような危険又は損害を防止し又は最小にするための行動を開始すること。
 (e) 生物の多様性に重大なかつ急迫した危険を及ぼす活動又は事象(自然に発生したものであるかないかを問わない。)に対し緊急に対応するための国内的な措置を促進し及びそのような国内的な努力を補うための国際協力(適当であり、かつ、関連する国又は地域的な経済統合のための機関の同意が得られる場合には、共同の緊急時計画を作成するための国際協力を含む。)を促進すること。
2 締約国会議は、今後実施される研究を基礎として、生物の多様性の損害に対する責任及び救済(原状回復及び補償を含む。)についての問題を検討する。ただし、当該責任が純粋に国内問題である場合を除く。

   第一五条 遺伝資源の取得の機会
1 各国は、自国の天然資源に対して主権的権利を有するものと認められ、遺伝資源の取得の機会につき定める権限は、当該遺伝資源が存する国の政府に属し、その国の国内法令に従う。
2 締約国は、他の締約国が遺伝資源を環境上適正に利用するために取得することを容易にするような条件を整えるよう努力し、また、この条約の目的に反するような制限を課さないよう努力する。
3 この条約の適用上、締約国が提供する遺伝資源でこの条、次条及び第十九条に規定するものは、当該遺伝資源の原産国である締約国又はこの条約の規定に従って当該遺伝資源を獲得した締約国が提供するものに限る。
4 取得の機会を提供する場合には、相互に合意する条件で、かつ、この条の規定に従ってこれを提供する。
5 遺伝資源の取得の機会が与えられるためには、当該遺伝資源の提供国である締約国が別段の決定を行う場合を除くほか、事前の情報に基づく当該締約国の同意を必要とする。
6 締約国は、他の締約国が提供する遺伝資源を基礎とする科学的研究について、当該他の締約国の十分な参加を得て及び可能な場合には当該他の締約国において、これを準備し及び実施するよう努力する。
7 締約国は、遺伝資源の研究及び開発の成果並びに商業的利用その他の利用から生ずる利益を当該遺伝資源の提供国である締約国と公正かつ衡平に配分するため、次条及び第十九条の規定に従い、必要な場合には第二十条及び第二十一条の規定に基づいて設ける資金供与の制度を通じ、適宜、立法上、行政上又は政策上の措置をとる。その配分は、相互に合意する条件で行う。

   第一六条 技術の取得の機会及び移転
1 締約国は、技術にはバイオテクノロジーを含むこと並びに締約国間の技術の取得の機会の提供及び移転がこの条約の目的を達成するための不可欠の要素であることを認識し、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連のある技術又は環境に著しい損害を与えることなく遺伝資源を利用する技術について、他の締約国に対する取得の機会の提供及び移転をこの条の規定に従って行い又はより円滑なものにすることを約束する。
2 開発途上国に対する1の技術の取得の機会の提供及び移転については、公正で最も有利な条件(相互に合意する場合には、緩和されたかつ特恵的な条件を含む。)の下に、必要な場合には第二十条及び第二十一条の規定に基づいて設ける資金供与の制度に従って、これらを行い又はより円滑なものにする。特許権その他の知的所有権によって保護される技術の取得の機会の提供及び移転については、当該知的所有権の十分かつ有効な保護を承認し及びそのような保護と両立する条件で行う。この2の規定は、3から5までの規定と両立するように適用する。
3 締約国は、遺伝資源を利用する技術(特許権その他の知的所有権によって保護される技術を含む。)について、当該遺伝資源を提供する締約国(特に開発途上国)が、相互に合意する条件で、その取得の機会を与えられ及び移転を受けられるようにするため、必要な場合には第二十条及び第二十一条の規定の適用により、国際法に従い並びに4及び5の規定と両立するような形で、適宜、立法上、行政上又は政策上の措置をとる。
4 締約国は、開発途上国の政府機関及び民間部門の双方の利益のために自国の民間部門が1の技術の取得の機会の提供、共同開発及び移転をより円滑なものにするよう、適宜、立法上、行政上又は政策上の措置をとり、これに関し、1から3までに規定する義務を遵守する。
5 締約国は、特許権その他の知的所有権がこの条約の実施に影響を及ぼす可能性があることを認識し、そのような知的所有権がこの条約の目的を助長しかつこれに反しないことを確保するため、国内法令及び国際法に従って協力する。

   第一七条 情報の交換
1 締約国は、開発途上国の特別のニーズを考慮して、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連する公に入手可能なすべての情報源からの情報の交換を円滑にする。
2 1に規定する情報の交換には、技術的、科学的及び社会経済的な研究の成果の交換を含むものとし、また、訓練計画、調査計画、専門知識、原住民が有する知識及び伝統的な知識に関する情報並びに前条1の技術と結び付いたこれらの情報の交換を含む。また、実行可能な場合には、情報の還元も含む。

   第一八条 技術上及び科学上の協力
1 締約国は、必要な場合には適当な国際機関及び国内の機関を通じ、生物の多様性の保全及び持続可能な利用の分野における国際的な技術上及び科学上の協力を促進する。
2 締約国は、この条約の実施に当たり、特に自国の政策の立案及び実施を通じ、他の締約国(特に開発途上国)との技術上及び科学上の協力を促進する。この協力の促進に当たっては、人的資源の開発及び組織の整備という手段によって、各国の能力を開発し及び強化することに特別の考慮を払うべきである。
3 締約国会議は、その第一回会合において、技術上及び科学上の協力を促進し及び円滑にするために情報の交換の仕組みを確立する方法について決定する。
4 締約国は、この条約の目的を達成するため、自国の法令及び政策に従い、技術(原住民が有する技術及び伝統的な技術を含む。)の開発及び利用についての協力の方法を開発し並びにそのような協力を奨励する。このため、締約国は、また、人材の養成及び専門家の交流についての協力を促進する。
5 締約国は、相互の合意を条件として、この条約の目的に関連のある技術の開発のための共同研究計画の作成及び合弁事業の設立を促進する。

   第一九条 バイオテクノロジーの取扱い及び利益の配分
1 締約国は、バイオテクノロジーの研究のために遺伝資源を提供する締約国(特に開発途上国)の当該研究の活動への効果的な参加(実行可能な場合には当該遺伝資源を提供する締約国における参加)を促進するため、適宜、立法上、行政上又は政策上の措置をとる。
2 締約国は、他の締約国(特に開発途上国)が提供する遺伝資源を基礎とするバイオテクノロジーから生ずる成果及び利益について、当該他の締約国が公正かつ衡平な条件で優先的に取得する機会を与えられることを促進し及び推進するため、あらゆる実行可能な措置をとる。その取得の機会は、相互に合意する条件で与えられる。
3 締約国は、バイオテクノロジーにより改変された生物であって、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるものについて、その安全な移送、取扱い及び利用の分野における適当な手続(特に事前の情報に基づく合意についての規定を含むもの)を定める議定書の必要性及び態様について検討する。
4 締約国は、3に規定する生物の取扱いについての自国の規則(利用及び安全に係るもの)並びに当該生物が及ぼす可能性のある悪影響に関する入手可能な情報を当該生物が導入される締約国に提供する。その提供は、直接に又は自国の管轄の下にある自然人若しくは法人で当該生物を提供するものに要求することにより、行う。

   第二〇条 資金
1 締約国は、その能力に応じ、自国の計画及び優先度に従い、この条約の目的を達成するための各国の活動に関して財政的に支援し及び奨励することを約束する。
2 先進締約国は、開発途上締約国が、この条約に基づく義務を履行するための措置の実施に要するすべての合意された増加費用を負担すること及びこの条約の適用から利益を得ることを可能にするため、新規のかつ追加的な資金を供与する。その増加費用は、締約国会議が立案する政策、戦略、計画の優先度、適格性の基準及び増加費用の一覧表に従い、開発途上締約国と次条に規定する制度的組織との間で合意される。先進締約国以外の締約国(市場経済への移行の過程にある国を含む。)は、先進締約国の義務を任意に負うことができる。この条の規定の適用のため、締約国会議は、その第一回会合において、先進締約国及び先進締約国の義務を任意に負うその他の締約国の一覧表を作成する。締約国会議は、定期的に当該一覧表を検討し、必要に応じて改正する。その他の国及び資金源からの任意の拠出も勧奨される。これらの約束は、資金の妥当性、予測可能性及び即応性が必要であること並びに当該一覧表に掲げる拠出締約国の間の責任分担が重要であることを考慮して履行する。
3 先進締約国は、また、二国間の及び地域的その他の多数国間の経路を通じて、この条約の実施に関連する資金を供与することができるものとし、開発途上締約国は、これを利用することができる。
4 開発途上締約国によるこの条約に基づく約束の効果的な履行の程度は、先進締約国によるこの条約に基づく資金及び技術の移転に関する約束の効果的な履行に依存しており、経済及び社会の開発並びに貧困の撲滅が開発途上締約国にとって最優先の事項であるという事実が十分に考慮される。
5 締約国は、資金供与及び技術の移転に関する行動をとるに当たり、後発開発途上国の特定のニーズ及び特別な状況を十分に考慮に入れる。
6 締約国は、開発途上締約国(特に島嶼(しょ)国)における生物の多様性への依存並びに生物の多様性の分布及び所在から生ずる特別な事情も考慮に入れる。
7 開発途上国(特に、環境上最も害を受けやすいもの、例えば、乾燥地帯、半乾燥地帯、沿岸地域及び山岳地域を有するもの)の特別な状況も考慮に入れる。

   第二一条 資金供与の制度
1 この条約の目的のため、贈与又は緩和された条件により開発途上締約国に資金を供与するための制度を設けるものとし、その制度の基本的な事項は、この条に定める。この条約の目的のため、当該制度は、締約国会議の管理及び指導の下に機能し、締約国会議に対して責任を負う。当該制度は、締約国会議がその第一回会合において決定する制度的組織によって運営する。この条約の目的のため、締約国会議は、第一文の資金の利用(その機会の提供を含む。)についての政策、戦略、計画の優先度及び適格性の基準を決定する。拠出については、締約国会議が定期的に決定する必要な資金の額に基づき、前条に規定する資金の予測可能性、妥当性及び即応性が必要であること並びに同条2に規定する一覧表に掲げる拠出締約国の間の責任分担が重要であることを考慮に入れる。先進締約国その他の国及び資金源から任意の拠出を行うこともできる。当該制度は、民主的で透明な管理の仕組みの下で運営する。
2 締約国会議は、この条約の目的を達成するため、その第一回会合において、資金の利用(その機会の提供を含む。)についての政策、戦略及び計画の優先度並びに適格性の詳細な基準及び指針に関する決定(資金の利用を定期的に監視し及び評価することについてのものを含む。)を行う。締約国会議は、資金供与の制度の運営を委託された制度的組織との協議の後、1の規定を実施するための取決めを決定する。
3 締約国会議は、この条約の効力発生の日から少なくとも二年を経過した日及びその後は定期的に、この条の規定に基づいて設けられる制度の有効性(2の基準及び指針の有効性を含む。)について検討するものとし、その検討に基づき、必要に応じ、当該制度の有効性を高めるために適当な措置をとる。
4 締約国は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用のための資金を供与するため、既存の資金供与の制度を強化することについて検討する。

   第二二条 他の国際条約との関係
1 この条約の規定は、現行の国際協定に基づく締約国の権利及び義務に影響を及ぼすものではない。ただし、当該締約国の権利の行使及び義務の履行が生物の多様性に重大な損害又は脅威を与える場合は、この限りでない。
2 締約国は、海洋環境に関しては、海洋法に基づく国家の権利及び義務に適合するようこの条約を実施する。

   第二三条 締約国会議
1 この条約により締約国会議を設置する。締約国会議の第一回会合は、国際連合環境計画事務局長がこの条約の効力発生の後一年以内に招集する。その後は、締約国会議の通常会合は、第一回会合において決定する一定の間隔で開催する。
2 締約国会議の特別会合は、締約国会議が必要と認めるとき又はいずれかの締約国から書面による要請のある場合において事務局がその要請を締約国に通報した後六箇月以内に締約国の少なくとも三分の一がその要請を支持するときに開催する。
3 締約国会議は、締約国会議及び締約国会議が設置する補助機関の手続規則並びに事務局の予算を規律する財政規則をコンセンサス方式により合意し及び採択する。締約国会議は、通常会合において、次の通常会合までの会計期間の予算を採択する。
4 締約国会議は、この条約の実施状況を常時検討し、このため、次のことを行う。
 (a) 第二十六条の規定に従って提出される情報の送付のための形式及び間隔を決定すること並びにそのような情報及び補助機関により提出される報告を検討すること。
 (b) 第二十五条の規定に従って提供される生物の多様性に関する科学上及び技術上の助言を検討すること。
 (c) 必要に応じ、第二十八条の規定に基づいて議定書を検討し及び採択すること。
 (d) 必要に応じ、第二十九条及び第三十条の規定に基づいてこの条約及びその附属書の改正を検討し及び採択すること。
 (e) 議定書及びその附属書の改正を検討すること並びに改正が決定された場合には、当該議定書の締約国に対し当該改正を採択するよう勧告すること。
 (f) 必要に応じ、第三十条の規定に基づいてこの条約の追加附属書を検討し及び採択すること。
 (g) 特に科学上及び技術上の助言を行うため、この条約の実施に必要と認められる補助機関を設置すること。
 (h) この条約が対象とする事項を扱っている他の条約の執行機関との間の協力の適切な形態を設定するため、事務局を通じ、当該執行機関と連絡をとること。
 (i) この条約の実施から得られる経験に照らして、この条約の目的の達成のために必要な追加的行動を検討し及びとること。
5 国際連合、その専門機関及び国際原子力機関並びにこの条約の締約国でない国は、締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することができる。生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連のある分野において認められた団体又は機関(政府又は民間のもののいずれであるかを問わない。)であって、締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することを希望する旨事務局に通報したものは、当該会合に出席する締約国の三分の一以上が反対しない限り、オブザーバーとして出席することを認められる。オブザーバーの出席については、締約国会議が採択する手続規則に従う。

   第二四条 事務局
1 この条約により事務局を設置する。事務局は、次の任務を遂行する。
 (a) 前条に規定する締約国会議の会合を準備し及びその会合のための役務を提供すること。
 (b) 議定書により課された任務を遂行すること。
 (c) この条約に基づく任務の遂行に関する報告書を作成し及びその報告書を締約国会議に提出すること。
 (d) 他の関係国際機関との調整を行うこと。特に、その任務の効果的な遂行のために必要な事務的な及び契約上の取決めを行うこと。
 (e) その他締約国会議が決定する任務を遂行すること。
2 締約国会議は、その第一回通常会合において、この条約に基づく事務局の任務を遂行する意思を表明した能力を有する既存の国際機関の中から事務局を指定する。

   第二五条 科学上及び技術上の助言に関する補助機関
1 この条約により科学上及び技術上の助言に関する補助機関を設置する。補助機関は、締約国会議及び適当な場合には他の補助機関に対し、この条約の実施に関連する時宜を得た助言を提供する。補助機関は、すべての締約国による参加のために開放するものとし、学際的な性格を有する。補助機関は、関連する専門分野に関する知識を十分に有している政府の代表者により構成する。補助機関は、その活動のすべての側面に関して、締約国会議に対し定期的に報告を行う。
2 1の補助機関は、締約国会議の管理の下に、その指針に従い及びその要請により、次のことを行う。
 (a) 生物の多様性の状況に関する科学的及び技術的な評価を行うこと。
 (b) この条約の規定に従ってとられる各種の措置の影響に関する科学的及び技術的な評価のための準備を行うこと。
 (c) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連のある革新的な、効率的な及び最新の技術及びノウハウを特定すること並びにこれらの技術の開発又は移転を促進する方法及び手段に関する助言を行うこと。
 (d) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用についての科学的な計画並びに研究及び開発における国際協力に関する助言を行うこと。
 (e) 締約国会議及びその補助機関からの科学、技術及び方法論に関する質問に回答すること。
3 1の補助機関の任務、権限、組織及び運営については、締約国会議が更に定めることができる。

   第二六条 報告
 締約国は、締約国会議が決定する一定の間隔で、この条約を実施するためにとった措置及びこの条約の目的を達成する上での当該措置の効果に関する報告書を締約国会議に提出する。

   第二七条 紛争の解決
1 この条約の解釈又は適用に関して締約国間で紛争が生じた場合には、紛争当事国は、交渉により紛争の解決に努める。
2 紛争当事国は、交渉により合意に達することができなかった場合には、第三者によるあっせん又は仲介を共同して求めることができる。
3 いずれの国又は地域的な経済統合のための機関も、1又は2の規定により解決することができなかった紛争について、次の紛争解決手段の一方又は双方を義務的なものとして受け入れることをこの条約の批准、受諾若しくは承認若しくはこれへの加入の際に又はその後いつでも、寄託者に対し書面により宣言することができる。
 (a) 附属書Ⅱ第一部に規定する手続による仲裁
 (b) 国際司法裁判所への紛争の付託
4 紛争は、紛争当事国が3の規定に従って同一の紛争解決手段を受け入れている場合を除くほか、当該紛争当事国が別段の合意をしない限り、附属書Ⅱ第二部の規定により調停に付する。
5 この条の規定は、別段の定めがある議定書を除くほか、すべての議定書について準用する。

   第二八条 議定書の採択
1 締約国は、この条約の議定書の作成及び採択について協力する。
2 議定書は、締約国会議の会合において採択する。
3 議定書案は、2の会合の少なくとも六箇月前に事務局が締約国に通報する。

   第二九条 この条約及び議定書の改正
1 締約国は、この条約の改正を提案することができる。議定書の締約国は、当該議定書の改正を提案することができる。
2 この条約の改正は、締約国会議の会合において採択する。議定書の改正は、当該議定書の締約国の会合において採択する。この条約又は議定書の改正案は、当該議定書に別段の定めがある場合を除くほか、その採択が提案される会合の少なくとも六箇月前に事務局がそれぞれこの条約又は当該議定書の締約国に通報する。事務局は、改正案をこの条約の署名国にも参考のために通報する。
3 締約国は、この条約及び議定書の改正案につき、コンセンサス方式により合意に達するようあらゆる努力を払う。コンセンサスのためのあらゆる努力にもかかわらず合意に達しない場合には、改正案は、最後の解決手段として、当該会合に出席しかつ投票する締約国の三分の二以上の多数による議決で採択するものとし、寄託者は、これをすべての締約国に対し批准、受諾又は承認のために送付する。
4 改正の批准、受諾又は承認は、寄託者に対して書面により通告する。3の規定に従って採択された改正は、3の議定書に別段の定めがある場合を除くほか、この条約の締約国又は当該議定書の締約国の少なくとも三分の二が批准書、受諾書又は承認書を寄託した後九十日目の日に、当該改正を批准し、受諾し又は承認した締約国の間で効力を生ずる。その後は、改正は、他の締約国が当該改正の批准書、受諾書又は承認書を寄託した後九十日目の日に当該他の締約国について効力を生ずる。
5 この条の規定の適用上、「出席しかつ投票する締約国」とは、出席しかつ賛成票又は反対票を投ずる締約国をいう。

   第三〇条 附属書の採択及び改正
1 この条約の附属書又は議定書の附属書は、それぞれ、この条約又は当該議定書の不可分の一部を成すものとし、「この条約」又は「議定書」というときは、別段の明示の定めがない限り、附属書を含めていうものとする。附属書は、手続的、科学的、技術的及び事務的な事項に限定される。
2 この条約の追加附属書又は議定書の附属書の提案、採択及び効力発生については、次の手続を適用する。ただし、議定書に当該議定書の附属書に関して別段の定めがある場合を除く。
 (a) この条約の追加附属書又は議定書の附属書は、前条に定める手続を準用して提案され及び採択される。
 (b) 締約国は、この条約の追加附属書又は自国が締約国である議定書の附属書を承認することができない場合には、その旨を、寄託者が採択を通報した日から一年以内に、寄託者に対して書面により通告する。寄託者は、受領した通告をすべての締約国に遅滞なく通報する。締約国は、いつでも、先に行った異議の宣言を撤回することができるものとし、この場合において、附属書は、(c)の規定に従うことを条件として、当該締約国について効力を生ずる。
 (c) 附属書は、寄託者による採択の通報の日から一年を経過した時に、(b)の規定に基づく通告を行わなかったこの条約又は関連議定書のすべての締約国について効力を生ずる。
3 この条約の附属書及び議定書の附属書の改正の提案、採択及び効力発生は、この条約の附属書及び議定書の附属書の提案、採択及び効力発生と同一の手続に従う。
4 附属書の追加又は改正がこの条約又は議定書の改正に関連している場合には、追加され又は改正された附属書は、この条約又は当該議定書の改正が効力を生ずる時まで効力を生じない。

   第三一条 投票権
1 この条約又は議定書の各締約国は、2に規定する場合を除くほか、一の票を有する。
2 地域的な経済統合のための機関は、その権限の範囲内の事項について、この条約又は関連議定書の締約国であるその構成国の数と同数の票を投ずる権利を行使する。当該機関は、その構成国が自国の投票権を行使する場合には、投票権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。

   第三二条 この条約と議定書との関係
1 いずれの国又は地域的な経済統合のための機関も、この条約の締約国である場合又は同時にこの条約の締約国となる場合を除くほか、議定書の締約国となることができない。
2 議定書に基づく決定は、当該議定書の締約国のみが行う。当該議定書の批准、受諾又は承認を行わなかったこの条約の締約国は、当該議定書の締約国の会合にオブザーバーとして参加することができる。

   第三三条 署名
 この条約は、千九百九十二年六月五日から同年六月十四日まではリオ・デ・ジャネイロにおいて、同年六月十五日から千九百九十三年六月四日まではニュー・ヨークにある国際連合本部において、すべての国及び地域的な経済統合のための機関による署名のために開放しておく。

   第三四条 批准、受諾又は承認
1 この条約及び議定書は、国家及び地域的な経済統合のための機関により批准され、受諾され又は承認されなければならない。批准書、受諾書又は承認書は、寄託者に寄託する。
2 この条約又は議定書の締約国となる1の機関で当該機関のいずれの構成国も締約国となっていないものは、この条約又は当該議定書に基づくすべての義務を負う。当該機関及びその一又は二以上の構成国がこの条約又は同一の議定書の締約国である場合には、当該機関及びその構成国は、この条約又は当該議定書に基づく義務の履行につきそれぞれの責任を決定する。この場合において、当該機関及びその構成国は、この条約又は当該議定書に基づく権利を同時に行使することができない。
3 1の機関は、この条約又は議定書の規律する事項に関する当該機関の権限の範囲をこの条約又は当該議定書の批准書、受諾書又は承認書において宣言する。当該機関は、また、その権限の範囲の変更で関連するものを寄託者に通報する。

   第三五条 加入
1 この条約及び議定書は、この条約及び当該議定書の署名のための期間の終了後は、国家及び地域的な経済統合のための機関による加入のために開放しておく。加入書は、寄託者に寄託する。
2 1の機関は、この条約又は議定書の規律する事項に関する当該機関の権限の範囲をこの条約又は当該議定書への加入書において宣言する。当該機関は、また、その権限の範囲の変更で関連するものを寄託者に通報する。
3 前条2の規定は、この条約又は議定書に加入する地域的な経済統合のための機関についても適用する。

   第三六条 効力発生
1 この条約は、三十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後九十日目の日に効力を生ずる。
2 議定書は、当該議定書に規定する数の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後九十日目の日に効力を生ずる。
3 この条約は、三十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の後にこれを批准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入する締約国については、当該締約国による批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後九十日目の日に効力を生ずる。
4 議定書は、当該議定書に別段の定めがある場合を除くほか、2の規定に基づいて効力が生じた後にこれを批准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入する締約国については、当該締約国が批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託した日の後九十日目の日又はこの条約が当該締約国について効力を生ずる日のいずれか遅い日に効力を生ずる。
5 地域的な経済統合のための機関によって寄託される文書は、1及び2の規定の適用上、当該機関の構成国によって寄託されたものに追加して数えてはならない。

   第三七条 留保
 この条約には、いかなる留保も付することができない。

   第三八条 脱退
1 締約国は、自国についてこの条約が効力を生じた日から二年を経過した後いつでも、寄託者に対して書面による脱退の通告を行うことにより、この条約から脱退することができる。
2 1の脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した日の後一年を経過した日又はそれよりも遅い日であって脱退の通告において指定されている日に効力を生ずる。
3 この条約から脱退する締約国は、自国が締約国である議定書からも脱退したものとみなす。

   第三九条 資金供与に関する暫定的措置
 国際連合開発計画、国際連合環境計画及び国際復興開発銀行の地球環境基金は、第二十一条の要件に従って十分に再編成されることを条件として、この条約の効力発生から締約国会議の第一回会合までの間又は締約国会議が同条の規定によりいずれの制度的な組織を指定するかを決定するまでの間暫定的に、同条に規定する制度的組織となる。

   第四〇条 事務局に関する暫定的措置
 第二十四条2に規定する事務局の役務は、この条約の効力発生から締約国会議の第一回会合までの間暫定的に、国際連合環境計画事務局長が提供する。

   第四一条 寄託者
 国際連合事務総長は、この条約及び議定書の寄託者の任務を行う。

   第四二条 正文
 アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際連合事務総長に寄託する。
 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。
 千九百九十二年六月五日にリオ・デ・ジャネイロで作成した。

  附属書Ⅰ 特定及び監視

1 生態系及び生息地
   高い多様性を有するもの、固有の若しくは脅威にさらされた種を多く有するもの又は原生地域を有するもの
   移動性の種が必要とするもの
   社会的、経済的、文化的又は科学的に重要であるもの
   代表的であるもの、特異なもの又は重要な進化上その他生物学上の過程に関係しているもの
2 種及び群集
   脅威にさらされているもの
   飼育種又は栽培種と近縁の野生のもの
   医学上、農業上その他経済上の価値を有するもの
   社会的、科学的又は文化的に重要であるもの
   指標種のように生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する研究のために重要であるもの
3 社会的、科学的又は経済的に重要であり、かつ、記載がされたゲノム及び遺伝子

  附属書Ⅱ

   第一部 仲裁

   第一条
 申立国である締約国は、紛争当事国が、この条約第二十七条の規定に従って紛争を仲裁に付する旨を事務局に通告する。通告には、仲裁の対象である事項を明示するものとし、特に、その解釈又は適用が問題となっているこの条約又は議定書の条文を含む。仲裁の対象である事項について、仲裁裁判所の裁判長が指名される前に紛争当事国が合意しない場合には、仲裁裁判所がこれを決定する。事務局は、受領した情報をこの条約又は当該議定書のすべての締約国に送付する。

   第二条
1 二の当事国間の紛争の場合については、仲裁裁判所は、三人の仲裁人で構成する。各紛争当事国は、各一人の仲裁人を任命し、このようにして任命された二人の仲裁人は、合意により第三の仲裁人を指名し、第三の仲裁人は、当該仲裁裁判所において裁判長となる。裁判長は、いずれかの紛争当事国の国民であってはならず、いずれかの紛争当事国の領域に日常の住居を有してはならず、いずれの紛争当事国によっても雇用されてはならず、及び仲裁に付された紛争を仲裁人以外のいかなる資格においても取り扱ったことがあってはならない。
2 二を超える当事国間の紛争については、同一の利害関係を有する紛争当事国が合意により共同で一人の仲裁人を任命する。
3 仲裁人が欠けたときは、当該仲裁人の任命の場合と同様の方法によって空席を補充する。

   第三条
1 第二の仲裁人が任命された日から二箇月以内に仲裁裁判所の裁判長が指名されなかった場合には、国際連合事務総長は、いずれかの紛争当事国の要請に応じ、引き続く二箇月の期間内に裁判長を指名する。
2 いずれかの紛争当事国が要請を受けた後二箇月以内に仲裁人を任命しない場合には、他方の紛争当事国は、国際連合事務総長にその旨を通報し、同事務総長は、引き続く二箇月の期間内に仲裁人を指名する。

   第四条
 仲裁裁判所は、この条約、関連議定書及び国際法の規定に従い、その決定を行う。

   第五条
 紛争当事国が別段の合意をしない限り、仲裁裁判所は、その手続規則を定める。

   第六条
 仲裁裁判所は、いずれかの紛争当事国の要請に応じ、不可欠の暫定的保全措置を勧告することができる。

   第七条
 紛争当事国は、仲裁裁判所の運営に便宜を与えるものとし、すべての可能な手段を利用して、特に、次のことを行う。
 (a) すべての関係のある文書、情報及び便益を仲裁裁判所に提供すること。
 (b) 必要に応じ、仲裁裁判所が証人又は専門家を招致し及びこれらの者から証拠を入手することができるようにすること。

   第八条
 紛争当事国及び仲裁人は、仲裁手続期間中に秘密のものとして入手した情報の秘密性を保護する義務を負う。

   第九条
 仲裁に付された紛争の特別の事情により仲裁裁判所が別段の決定を行う場合を除くほか、仲裁裁判所の費用は、紛争当事国が均等に負担する。仲裁裁判所は、すべての費用に関する記録を保持するものとし、紛争当事国に対して最終的な費用の明細書を提出する。

   第一〇条
 いずれの締約国も、紛争の対象である事項につき仲裁の決定により影響を受けるおそれのある法律上の利害関係を有する場合には、仲裁裁判所の同意を得て仲裁手続に参加することができる。

   第一一条
 仲裁裁判所は、紛争の対象である事項から直接に生ずる反対請求について聴取し及び決定することができる。

   第一二条
 手続及び実体に関する仲裁裁判所の決定は、いずれもその仲裁人の過半数による議決で行う。

   第一三条
 いずれかの紛争当事国が仲裁裁判所に出廷せず又は自国の立場を弁護しない場合には、他の紛争当事国は、仲裁裁判所に対し、仲裁手続を継続し及び仲裁判断を行うよう要請することができる。いずれかの紛争当事国が欠席し又は弁護を行わないことは、仲裁手続を妨げるものではない。仲裁裁判所は、最終決定を行うに先立ち、申立てが事実及び法において十分な根拠を有することを確認しなければならない。

   第一四条
 仲裁裁判所は、完全に設置された日から五箇月以内にその最終決定を行う。ただし、必要と認める場合には、五箇月を超えない期間その期限を延長することができる。

   第一五条
 仲裁裁判所の最終決定は、紛争の対象である事項に限定されるものとし、その理由を述べる。最終決定には、参加した仲裁人の氏名及び当該最終決定の日付を付する。仲裁人は、別個の意見又は反対意見を最終決定に付することができる。

   第一六条
 仲裁判断は、紛争当事国を拘束する。紛争当事国が上訴の手続について事前に合意する場合を除くほか、上訴を許さない。

   第一七条
 最終決定の解釈又は履行の方法に関し紛争当事国間で生ずる紛争については、いずれの紛争当事国も、当該最終決定を行った仲裁裁判所に対し、その決定を求めるため付託することができる。

  第二部 調停

   第一条
 いずれかの紛争当事国の要請があったときは、調停委員会が設置される。同委員会は、紛争当事国が別段の合意をしない限り、五人の委員で構成する。各紛争当事国は、それぞれ二人の委員を任命し、これらの委員は、共同で委員長を選任する。

   第二条
 二を超える当事国間の紛争については、同一の利害関係を有する紛争当事国が合意により共同で調停委員会の委員を任命する。二以上の紛争当事国が別個の利害関係を有し又は同一の利害関係を有するか有しないかについて意見の相違がある場合には、これらの紛争当事国は、別個に委員を任命する。

   第三条
 調停委員会の設置の要請が行われた日の後二箇月以内に紛争当事国によるいずれかの任命が行われなかった場合において、当該要請を行った紛争当事国の求めがあるときは、国際連合事務総長は、引き続く二箇月の期間内に当該任命を行う。

   第四条
 調停委員会の最後の委員が任命された後二箇月以内に同委員会の委員長が選任されない場合において、いずれかの紛争当事国の求めがあるときは、国際連合事務総長は、引き続く二箇月の期間内に委員長を指名する。

   第五条
 調停委員会は、委員の過半数による議決で決定を行う。同委員会は、紛争当事国が別段の合意をしない限り、その手続を定める。同委員会は、紛争の解決のための提案を行い、紛争当事国は、この提案を誠実に検討する。

   第六条
 調停委員会が権限を有するか有しないかに関する意見の相違については、同委員会が裁定する。

   「環境省ホームページ」より

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