ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

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タグ:国連環境開発会議

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 今日は、平成時代の1994年(平成6)に、「国連砂漠化対処条約」がフランスのパリで、採択された日で、これを記念して「砂漠化および干ばつと闘う国際デー」ともなっています。
 「国連砂漠化対処条約」(こくさいれんごうさばくかたいしょじょうやく)は、正式には「深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)における砂漠化に対処するための国際連合条約」といい、フランスのパリにおいて採択されました。砂漠化の問題に国際的に取り組んで行くため、1992年(平成4)6月に、国連環境開発会議(UNCED)において、1994年(平成6)6月までに砂漠化対処条約を作成するための「政府間交渉委員会」の設置につき基本的に合意し、1993年(平成5)5月には、国連の下で、第1回条約交渉委員会(於:ナイロビ)が開催されます。
 その後、条約交渉委員会が重ねられ、1994年(平成6)6月17日には、第5回交渉委員会(於:パリ)において本条約が採択されました。その内容は、深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)や地域が砂漠化に対処するために行動計画を作成し及び実施すること、また、そのような取組みを先進締約国が支援すること、条約の下に補助機関として、科学技術と助言のため科学技術委員会を設置すること等について規定しています。
 同年10月に、署名式典(於:パリ)が行われ、日本を含む86か国(ECを含む)が署名、1996年(平成8)12月26日に、条約が発効しました。2007年(平成19)9月の第8回締約国会議において条約実施の再活性化のための十年戦略計画(2008-2018)が採択されましたが、2019年(平成31)12月現在 の締約国は196か国・地域+EUとなっています。
 尚、1995年(平成7)の国連総会において、この条約が採択された6月17日が「砂漠化および干ばつと闘う国際デー」(World Day to Combat Desertification and Drought)とされました。
 以下に、「国連砂漠化対処条約」の日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「国連砂漠化対処条約」 1994年(平成6)6月17日採択、1996年(平成8)12月26日発効
 
深刻な干ばつ又は砂漠化に直面している国(特にアフリカの国)における砂漠化の防止のための国際連合条約(その 1) 

この条約の締約国は、
砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するに当たっての最大の関心事が砂漠化及び干ばつの影響を受け又は受けるおそれのある地域の人間であることを確認し、
国及び国際機関を含む国際社会が砂漠化及び干ばつの悪影響について差し迫つた懸念を有していることを考慮し、
乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿潤地域が、総体として地球の陸地の大きな割合を占め、かつ、その多くの住民にとって居住地であり及び生計の基盤となっていることを認識し、
砂漠化及び干ばつは、世界のすべての地域がその影響を受けること及び砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和するために国際社会の共同行動が必要であることにおいて、地球的規摸の間題であることを確認し、
深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国が開発途上国(特に後発開発途上国)に多く集中していること及びアフリカにおいてこれらの現象が特に悲惨な結果をもたらしていることに留意し、
また、砂漠化が物理的、生物学的、政治的、社会的、文化的及び経済的要素の間の複雑な相互作用によってもたらされることに留意し、
貿易及び国際経済関係の関連の側面は、影響を受ける国が適切に砂漠化に対処する能力に影響を与えることを考慮し、
持続可能な経済成長、社会開発及び貧困の撲滅が、影響を受ける国である開発途上国(特にアフリカの開発途上国)の優先事項であり及び持続可能性という目的のために不可欠であることを認識し、
砂漠化及び干ばつが、これらと貧困、健康及び栄養の不十分な状態、食糧の安全保障の欠如等の重要な社会問題並びに移住、人の避難又は人口の変動に起因する重要な社会問題との相互関係を通じて、持続可能な開発に影響を及ぼすことに留意し、
砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することにおける国及び国際機関の過去の努力及び経験(特に千九百七十七年の国際連合砂漠化会議において採択された砂漠化に対処するための行動計画の実施におけるもの)の意義を評価し、
砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することにおける進展への期待が過去の努力にかかわらず満たされていないこと並びに持続可能な開発の枠組みにおいて新たなかつ一層効果的な取組方法がすべての段階で必要とされていることを認識し、
国際連合環境開発会議において採択された決定、特に砂漠化に対処するための基礎となるアジェンダ二十一及びその第十二章が有効かつ適切であることを認め、
この見地からアジェンダ二十一第三十三章第十三項における先進国の約束を再確認し、
国際連合総会決議第百八十八号(第四十七回会期)(特に同決議に示されているアフリカの優先)、砂漠化及び干ばつに関する他のすべての関連の国際連合の決議、決定及び計画並びにアフリカその他の地域の国による関連の宣言を想起し、
環境及び開発に関するリオ宣言がその原則 2 において、諸国が、国際連合憲章及び国際法の諸原則に基づき、その資源を自国の環境政策及び開発政策に従って開発する主権的権利を有し並びに自国の管轄又は管理の下における活動が他国の環境又はいずれの国の管轄にも属さない区域の環境を害さないことを確保する責任を有すると規定していることを再確認し、
砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するに当たって国の政府が決定的な役割を果たすこと並びにその対処及び緩和における進展が影響を受ける地域の現地における行動計画の実施に依存することを認め、
また、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための国際協力及び連携の重要性及び必要性を認め、
更に、影響を受ける国である開発途上国(特にアフリカの開発途上国)に対し効果的な手段(特に、技術の取得の機会及び新規のかつ追加的な供与を含む相当の資金)を提供することが重要であり、かつ、そのような手段なしにはこれらの国がこの条約に基づく約束を十分に履行することが困難であることを認め、
中央アジア及びトランスコーカサスにおける影響を受ける国に対する砂漠化及び干ばつの影響についての懸念を表明し、
砂漠化又は干ばつの影響を受ける地域(特に開発途上国の農村地域)において女子の果たす重要な役割並びに砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための計画のすべての段階に男女双方が十分に参加することを確保することの重要性を強調し、
砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための計画における非政府機関その他の主要な集団の特別の役割を強調し、
砂漠化と国際社会及び国内の社会が直面する他の地球的規摸の環境問題との関係に留意し、
また、砂漠化に対処することにより、気候変動に関する国際連合枠組条約、生物の多様性に関する条約その他の関連する環境に関する条約の目的の達成に寄与することができることに留意し、
砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための戦略は、適正な組織的観測及び正確な科学的知識に基づくものであり、かつ、継続的に再評価が行われるときに最も効果的であると信じ、
国の計画及び優先事項の実施を容易にするための国際協力についてその効果を高め及びその調整を図ることが緊急に必要であることを認め、
砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための適切な措置を現在及び将来の世代のためにとることを決意して、
次のとおり協定した。

第一部 序

第一条 用語
この条約の適用上、
(a) 「砂漠化」とは、乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿澗地域における種々の要因(気候の変動及び人間活動を含む。)による土地の劣化をいう。
(b) 「砂漠化に対処する」とは、次の事項を目的とする活動であって、乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿澗地域における持続可能な開発のための土地の総合的な開発の一部を成すものを行うことをいう。
 (i) 土地の劣化の防止又は軽減
 (ⅱ) 部分的に劣化した土地の回復
 (ⅲ) 砂漠化した土地の再生
(c) 「干ばつ」とは、降水量が通常の記録の水準を著しく下回るときに生ずる自然発生的な現象であって、土地資源の生産体系に悪影響を及ぼす深刻な水文学的不均衡を引き起こすものをいう。
(d) 「干ばつの影響を緩和する」とは、干ばつの予測に関連しかつ干ばつに対する社会及び自然の系のぜい弱性を減少させるための活動であって、砂漠化に対処することに関連するものを行うことをいう。
(e) 「土地」とは、陸上の生物生産の系であって、土壌、植生、他の生物相並びに当該系の中で作用する生態学的及び水文学的過程から成るものをいう。
(f) 「土地の劣化」とは、乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿潤地域において、土地の利用によって又は次のような過程(人間活動又は居住形態に起因するものを含む。)若しくはその組合せによって天水農地、かんがい農地、放牧地、牧草地及び森林の生物学的又は経済的な生産性及び複雑性が減少し又は失われることをいう。
 (i) 風又は水により土壌が侵食されること。
 (ⅱ) 土壌の物理的、化学的若しくは生物学的又は経済的特質が損なわれること。
 (ⅲ) 自然の植生が長期的に失われること。
(g) 「乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿潤地域」とは、年平均降水量の可能蒸発散量に対する割合が〇・〇五から〇・六五までの範囲内である地域(北極及び南極並びにこれらの周辺の地域を除く。)をいう。
(h) 「影響を受ける地域」とは、砂漠化の影響を受け又は受けるおそれのある乾燥地域、半乾燥地域及び乾燥半湿澗地域をいう。
(i) 「影響を受ける国」とは、影響を受ける地域がその国土の全部又は一部を成す国をいう。
(j) 「地域的な経済続合のための機関」とは、特定の地域の主権国家によって構成され、この条約が規律する事項に関して権限を有し、かつ、その内部手続に従ってこの条約の署名、批准、受諾若しくは承認又はこの条約への加入が正当に委任されている機関をいう。
(k) 「先進締約国」とは、先進締約国及び先進国により構成される地域的な経済続合のための機関をいう。

第二条 目的
1 この条約は、影響を受ける地域における持続可能な開発の達成に寄与するため、アジェンダ二十一に適合する総合的な取組方法の枠組みの中で、国際協力及び連携によって支援されるすべての段階の効果的な行動により深刻な干ばつ又は砂漠化に直面する国(特にアフリカの国)において砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することを目的とする。
2 1 の目的の達成には、影響を受ける地域において土地の生産性の向上並びに土地及び水資源の回復、保全及び持続可能な管理に同時に焦点を合わせた長期的かつ総合的な戦略であって、特に地域社会の段階において生活条件の改善をもたらすものを必要とする。

第三条 原則
締約国は、この条約の目的を達成し及びこの条約を実施するため、特に次に掲げるところを指針とする。
(a) 締約国は、砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和するための計画の立案及び実施についての決定が住民及び地域社会の参加を得て行われることを確保し並びに国及び地方の段階における行動を促進するような環境が上層で形成されることを確保すべきである。
(b) 締約国は、国際的な連帯及び連携の精神をもって、小地域の、地域の及び国際的な段階における協力及び調整を促進し並びに必要とされる分野に資金、人的資源、組織の能力及び技術を重点的に投入すべきである。
(c) 締約国は、影響を受ける地域における土地及び希少な水資源の性質及び価値に関するより良い理解を確立し並びにこれらの持続可能な利用に向けて努力するため、すべての段階の政府、地域社会、非政府機関及び土地所有者の間の協力を連携の精神をもって発展させるべきである。
(d) 締約国は、影響を受ける国である開発途上締約国(特に後発開発途上締約国)の特別のニーズ及び事情に十分な考慮を払うべきである。 

第二部 一般規定

第四条 一般的義務
1 締約国は、すべての段階において努力を調整し及び一貫した長期的な戦略を策定する必要性に重点を置きつつ、個別に又は共同して、既存の若しくは予想される二国間若しくは多数国間の取決め又は適当な場合にはこれらの組合せによって、この条約に基づく自国の義務を履行する。
2 締約国は、この条約の目的を達成するために次のことを行う。
(a) 砂漠化及び干ばつの過程の物理的、生物学的及び社会経済的側面に対する総合的な取組方法を採用すること。
(b) 持続可能な開発の促進を可能にする国際経済の環境を確立するため、影響を受ける国である開発途上締約国の国際貿易、市場取引及び債務に係る状況に対し関連の国際的及び地域的な団体において妥当な注意を払うこと。
(c) 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための努力に貧困の撲滅のための戦略を組み入れること。
(d) 影響を受ける国である締約国の間で、環境保護並びに土地及び水資源の保全の分野で砂漠化及び干ばつに関連するものにおける協力を促進すること。
(e) 小地域的、地域的及び国際的な協力を強化すること。
(f) 関連の政府間機関において協力すること。
(g) 適当な場合には、重複を避ける必要性に留意して制度上の仕組みを決定すること。
(h) 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するに当たり、既存の二国間及び多数国間の資金供与の仕組み及び取決めであって、影響を受ける国である開発途上締約国のために相当の資金を調達し及び供給するものが利用されることを促進すること。
3 影響を受ける国である開発途上締約国は、この条約の実施について援助を受ける資格を有する。

第五条 影響を受ける国である締約国の義務
影響を受ける国である締約国は、前条に規定する義務に加えて次のことを約束する。
(a) 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに妥当な優先順位を与え並びに自国の事情及び能力に応じて十分な資源を配分すること。
(b) 持続可能な開発のための計画又は政策の枠組みの中で、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための戦略及び優先順位を確立すること。
(c) 砂漠化の根底にある原因に取り組み、砂漠化をもたらす社会経済的要因に特別の注意を払うこと。
(d) 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための努力において、非政府機関の支援を得て、住民(特に女子及び青少年)の意識を向上させ及びこれらの者の参加を促進すること。
(e) 既存の関連の法令を適当な場合には強化し又は関連の法令が存在しないときは新たな法律を制定することによって、並びに長期的な政策及び行動計画を確立することによって、環境を整備すること。

第六条 先進締約国の義務
先進締約国は、第四条に規定する一般的義務に加えて次のことを約束する。
(a) 影響を受ける国である開発途よ締約国(特に後発開発途上国及びアフリカの開発途上国)による砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための努力を、合意により、個別に又は共同して積極的に支援すること。
(b) 影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)が砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するために自国の長期的な計画及び戦略を効果的に策定し及び実施することを援助するため、相当の資金及び他の形態の支援を提供すること。
(c) 第二十条 2(b)の規定により新規のかつ追加的な資金の調達を促進すること。
(d) 民間部門その他の非政府の資金源からの資金の調達を奨励すること。
(e) 影響を受ける国である締約国(特に開発途上締約国)による適当な技術、知識及びノウ八ウの取得を促進し及び容易にすること。

第七条 アフリカの優先
締約国は、この条約を実施するに当たり、影響を受ける国であるアフリカ以外の地域の開発途上締約国を軽視することなく、アフリカ地域に存在する特別の状況に照らして、影響を受ける国であるアフリカの締約国を優先させる。

第八条 他の条約との関係
1 締約国は、この条約及び自国が他の関連の国際協定(特に気候変動に関する国際連合枠組条約及び生物の多様性に関する条約)の締約国である場合には当該他の関連の国際協定に基づいて行われる活動につき、努力の重複を避けつつ各協定に基づく活動から最大の利益が得られるよう、調整を奨励する。締約国は、関連の協定の目的の達成に寄与する場合には、特に研究、訓練、組織的観測並びに情報の収集及び交換の分野において、共同計画の実施を奨励する。
2 この条約の規定は、いずれかの締約国についてこの条約が効力を生ずる前に当該締約国について効力を生じた二国間の、地域的な又は国際的な協定に基づく当該締約国の権利及び義務に影響を及ぼすものではない。

第三部 行動計画、科学上及び技術上の協力並びに支援措置

第一節 行動計画

第九条 基本的な取組方法
1 影響を受ける国である開発途上締約国、自国に係る地域実施附属書の枠組みの中の影響を受ける国である締約国その他国家行動計画を作成する意思を常設事務局に書面により通報した影響を受ける国である締約国は、第五条の規定に基づく義務を履行するに当たり、適当な場合には、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための戦略の中心的要素として、既存の成功した関連の計画を可能な限り利用し及び基礎として国家行動計画を作成し、公表し及び実施し、並びに小地域行動計画及び地域行動計画を作成し、公表し及び実施する。行動計画については、現地における行動から得られた教訓及び研究の結果に基づいて、継続的な参加型の手続により更新する。国家行動計画の作成については、持続可能な開発のための国の政策を策定するために他の努力と密接に関係付ける。
2 先進締約国は、第六条の規定に基づく種々の形態による援助を提供するに当たり、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)の国家行動計画、小地域行動計画及び地域行動計画を、合意により、直接に若しくは関連の多数国間機関を通じて又はこれら双方により、支援することを優先させる。 
3 締約国は、国際連合及びその関連機関の内部機関、基金及び計画、その他の関連の政府間機関、学術機関、学界並びに非政府機関であってその権限及び能力により協力する立場にあるものが行動計画の作成、実施及び事後措置を支援することを奨励する。

第十条 国家行動計画
1 国家行動計画は、砂漠化の要因並びに砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するために必要な実際的な措置を特定することを目的とする。
2 国家行動計画においては、政府、地域社会及び土地利用者のそれぞれの役割並びに利用可能な資源及び必要な資源を特定するものとし、特に次のことを行う。
(a) 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための長期的な戦略を含めること、実施に重点を置くこと並びに当該国家行動計画を持続可能な開発のための国の政策に組み入れること。
(b) 変化する事情に応じて当該国家行動計画を修正することができるようにし並びに地方の段階において種々の社会経済的、生物学的及び地球物理学的状況に対処することができるよう当該国家行動計画を十分に弾力的なものにすること。
(c) まだ劣化しておらず又は軽徴な劣化が生じているにすきない土地のための防止措置の実施に特別の注意を払うこと。
(d) 気候学上、気象学上及び水文学上の国の能力並びに干ばつの早期警戒のための手段を向上させること。
(e) 拠出者、すべての段階の政府、住民及び地域社会の間の協力及び調整を連携の精神をもって進展させるための政策を促進し並びにその進展のための制度上の枠組みを強化し並びに適当な情報及び技術の住民による取得を容易にすること。
(f) 非政府機関及び男女双方の住民、特に資源の利用者(農民及び牧畜民並びにこれらの者を代表する団体を含む。)が地方、国及び地域の段階において政策の策定、意思決定並びに当該国家行動計画の実施及び検討に効果的に参加することについて定めること。
(g) 当該国家行動計画の実施についての定期的な検討及び進捗状況の報告を求めること。
3 国家行動計画には、干ばつの影響に備え及びこれを緩和するため、特に次の措置の一部又は全部を含めることができる。
(a) 早期警戒体制(地方及び国の段階における施設並びに小地域及び地域の段階における共同の体制を含む。)及び環境上の要因による避難民を援助するための仕組みの確立又は適当な場合には強化
(b) 季節ごとの気候予測から多年にわたる気候予測までを考慮に入れた干ばつに対する準備及び干ばつの管理(地方、国、小地域及び地域の段階における干ばつに対する緊急時計画を含む。)の強化
(c) 食糧の安全保障のための体制(貯蔵及び流通のための手段を含む。)、特に農村地域におけるものの確立又は適当な場合には強化
(d) 干ばつが起こりやすい地域において収入を提供し得る代替的な生計のための事業の確立
(e) 作物及び家畜のための持続可能なかんがい計画の作成
4 国家行動計画には、影響を受ける国である締約国それぞれに特有の事情及び必要を考慮の上、適当な場合には、特に、次の優先分野であって、影響を受ける地域において砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに関連し並びに影響を受ける地域の住民に関連するものの一部又は全部における措置を含める。貧困の撲滅及び食糧の安全保障の確保を目的とする計画を強化するための代替的な生計手段の促進及び国の経済環境の改善
人口の変動
天然資源の持続可能な管理
持続可能な農業上の方式
多様なエネルギー源の開発及び効率的利用
制度上の枠組み及び法的な枠組み
評価及び組織的観測の能力(水文学上及び気象学上の業務を含む。)の強化並びに能力形成、
教育及び啓発

第十一条 小地域行動計画及び地域行動計画
影響を受ける国である締約国は、適当な場合には、関連の地域実施附属書に従い、国家計画を調和させ及び補完し並びにその効率性を高めるために小地域行動計画又は地域行動計画を作成することを目的として協議し及び協力する。前条の規定は、小地域及び地域の計画について準用する。これらの計画には、国境を越える天然資源の持続可能な管理、科学上及び技術上の協力並びに関連の機関の強化のための合意された共同計画を含めることができる。

第十二条 国際協力
影響を受ける国である締約国は、他の締約国及び国際社会と協力して、この条約の実施を可能にする国際的な環境を確保するために協力すべきである。その協力は、技術移転、科学的な研究及び開発、情報の収集及び普及並びに資金の分野も対象とすべきである。

第十三条 行動計画の作成及び実施に対する支援
1 第九条の規定に従って行動計画を支援する措置には、特に次のことを含める。
(a) 行動計画に予測可能性を与え、必要な長期的な計画作成を可能にするような資金協力を行うこと。
(b) 試験計画において成功した活動がある場合には、そのような活動の実施を促進するため、地方の段階における一層の支援(非政府機関を通するものを含む。)を可能にするような協力の仕組みを設け及び利用すること。
(c) 地域社会の段階における参加型の行動に示される実験的かつ反復的な取組方法に適するよう、事業の立案、事業への資金供与及び事業の実施における弾力性を増大させること。
(d) 適当な場合には、協力及び支援計画の効率を高めるような行政上及び予算上の手続をとること。
2 影響を受ける国である開発途上締約国に対して 1 に規定する支援を行うに当たっては、アフリカの締約国及び後発開発途上締約国を優先させる。

第十四条 行動計画の作成及び実施における調整
1 締約国は、行動計画の作成及び実施において、直接に又は関連の政府間機関を通じて緊密に協力する。
2 締約国は、重複を避け、参加及び取組方法を調和させ並びに援助の効果を最大にするため、先進締約国、開発途上締約国並びに関連の政府間機関及び非政府機関の間における可能な最大限度の調整を確保するための運用上の仕組み(特に国及び現地の段階におけるもの)を設ける。影響を受ける国である開発途上締約国においては、資源の効率的利用を最大にし、適切な援助を確保し並びにこの条約に基づく国家行動計画及び優先事項の実施を容易にするため、国際協力を調整する活動が優先される。

第十五条 地域実施附属書
行動計画に組み入れる要素については、影響を受ける国である締約国又はその存在する地域の社会経済的、地理的及び気候的要因並びに開発の段階に応じて選択し及び調整する。行動計画の作成並びに正確な焦点及び内容に関する指針であつて、特定の小地域及び地域のためのものは、地域実施附属書に規定する。

第二節 科学上及び技術上の協力

第十六条 情報の収集、分析及び交換

締約国は、影響を受ける地域の土地の劣化の組織的観測を確保し並びに干ばつ及び砂漠化の過程及び影響をより良く理解し及び評価するため、関連の短期的及び長期的な資料及び情報の収集、分析及び交換を統合し及び調整することをそれぞれの能力に応じて合意する。その統合及び調整は、特に、望ましくない気候の変動の期間についての早期警戒体訓及び事前の計画作成がすべての段階における利用者(特に住民を含む。)の実際の利用に適する形態で達成されることに寄与することとなる。このため、締約国は、適当な場合には、次のことを行う。
(a) 情報の収集、分析及び交換並びにすべての段階における組織的観測のための機関並びに施設の間の地球的規摸の協力網の機能を円滑にし及び強化すること。この協力網については、特に次のことを行う。
 (i) 共通性のある基準及び体系の利用を目標とすること。
 (ⅱ) 関連の資料及び施設(遠隔地におけるものを含む。)を含めること。
 (ⅲ) 土地の劣化に関する資料を収集し、伝達し及び評価するための近代技術を利用し及び普及させること。
 (Ⅳ) 資料及び情報に係る国内、小地域及び地域のセンターと地球的規摸の情報源とを一層緊密に結び付けること。
(b) 情報の収集、分析及び交換が具体的な間題の解決に資するよう地域社会及び意思決定を行う者の必要に応じて行われ並びにそのような活動に地域社会が関与することを確保すること。
(c) 資料及び情報(特に物理的、生物学的、社会的及び経済的指標が統合されたものを含む。)の収集、分析及び交換について企画し、実施し、評価し及び資金を供与するための二国間及び多数国間の計画及び事業を支援し及び一層進展させること。
(d) 特に関連の情報及び経験を種々の地域の対象となる集団に普及させるため、適当な政府間機関及び非政府機関の専門知識を十分に利用すること。
(e) 社会経済的資料の収集、分析及び交換並びにそのような資料と物理的及び生物学的資料との統合を十分に考慮すること。
(f) 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに関連する公に利用可能なすべての情報源から得られた情報を交換すること並びにそのような情報を十分な、自由な、かつ、速やかな利用に供すること。
(g) 自国の法令又は政策に従うことを条件として、地方の伝統的な知識に関する情報を交換すること。その交換に当たつては、当該情報の適切な保護を確保し及び関係住民に対し、衡平の原則に基づいて、かつ、相互に合意される条件で当該情報から得られる利益の適切な還元を行う。

第十七条 研究及び開発
1 締約国は、自国の能力に応じ、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに係る分野における技術上及び科学上の協力を適当な国内の、小地域の、地域の及び国際的な機関を通じて促進することを約束する。このため、締約国は、次の研究活動を支援する。
(a) 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和すること並びに生産性の向上並びに資源の持続可能な利用及び管理を達成することを目的として、砂漠化及び干ばつをもたらす過程、これらの要因(自然的なもの及び人為的なもの)の影響並びにこれらの要因の間の区別に関する知識の増進に貢献する研究活動
(b) 十分に明確な目的にかない、住民の具体的な必要に応じ並びに影響を受ける地域の人々の生活水準を向上させる解決策の特定及び実施をもたらす研究活動
(c) 地方の伝統的な知識、ノウ八ウ及び方式を保護し、統合し、向上させ及び確認する研究活動。この研究活動の支援に当たつては、自国の法令又は政策に従うことを条件として、当該知識を有する者が衡平の原則に基づいて、かつ、相互に合意される条件で、当該知識の商業的な利用又は当該知識から得られる技術開発から直接利益を得ることを確保する。
(d) 学際的なかつ参加型の社会経済的研究に特別の注意を払って、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)における国、小地域及び地域の研究能力を開発し及び強化する研究活動。その開発及び強化には、特に研究の基盤が弱い国において地方における技能を向上させ及び適切な能力を強化することを含む。
(e) 適当な場合には貧困、環境上の要因による移住及び砂漠化の間の関係を考慮する研究活動
(f) 住民及び地域社会の効果的な参加により持続可能な開発のための向上した、入手可能な、かつ、利用しやすい技術を開発することを目的として、公私の部門における国内の、小地域の、地域の及び国際的な研究機関の間の共同の研究計画を実施することを促進する研究活動
(g) 影響を受ける地域において人工降雨等の方法により水資源の入手の可能性を増大させる研究活動
2 行動計画には、特定の地域及び小地域の研究の優先順位であって種々の地方の条件を反映するものを含めるべきである。締約国会議は、科学技術委員会の助言に基づいて研究の優先順位を定期的に検討する。

第十八条 技術の移転、取得、適応及び開発
1 締約国は、影響を受ける地域における持続可能な開発の達成に寄与するため、相互の合意により、かつ、自国の法令又は政策に従い、環境上適正な、経済的に実行可能な、かつ、社会的に受入れ可能な技術であって砂漠化に対処し又は干ばつの影響を緩和することに関連するものの移転、取得、適応及び開発についてこれらを促進し又はこれらに資金を供与し若しくはその惧与を円滑にすることを約束する。そのような協力については、政府間機関及び非政府機関の専門知識を十分に利用しつつ、場合に応じて二国間又は多数国間で行う。締約国は、特に次のことを行う。
(a) 利用可能な技術に関する情報を当該技術の出所、環境上の危険性及び一般的な取得条件に関する情報と共に普及させるため、関連の既存の国内の、小地域の、地域の及び国際的な情報体系及び情報交換センターを十分に利用すること。
(b) 特に影響を受ける国である開発途上国が住民の具体的な必要に応じた実際の利用に最も適する技術を知的所有権を保護する必要性を考慮した相互の合意による有利な条件(緩和されたかつ特恵的な条件を含む。)で取得することを、当該技術の社会上、文化上、経済上及び環境上の影響に特別の注意を払って、容易にすること。
(c) 影響を受ける国である締約国の間の技術協力を資金援助又は他の適当な方法により容易にすること。
(d) 影響を受ける国である開発途上締約国との技術協力(適当な場合には合弁事業を含む。)、特に代替的な生計を助長する部門におけるものを拡充すること。
(e) 適切な技術、知識、ノウハウ及び方式の開発、移転、取得及び適応に資する国内市場の条件及び奨励措置(財政上のものであるか否かを間わない。)を整えるために適当な措置(知的所有権の適切かつ効果的な保護を確保するための措置を含む。)をとること。
2 締約国は、特に、自国の能力に応じ、かつ、自国の法令又は政策に従うことを条件として、関連の地方の伝統的な技術、知識、ノウハウ及び方式を保護し、促進し及び利用するものとし、このため、次のことを約束する。
(a) 住民の参加を得て当該技術、知識、ノウハウ及び方式並びにこれらの利用の可能性についての目録を作成し並びに、適当な場合には、関連の政府間機関及び非政府機関と協力してそのような情報を普及させること。
(b) 当該技術、知識、ノウハウ及び方式が適切に保護され並びに衡平の原則に基づいて、かつ、相互の合意により住民がこれらの商業的な利用又はこれらから得られる技術開発から直接利益を得ることを確保すること。
(c) 当該技術、知識、ノウハウ及び方式の改善及び普及又はこれらを基礎とする新たな技術の開発を奨励し及び積極的に支援すること。
(d) 適当な場合には、当該技術、知識、ノウハウ及び方式を広範な利用のために適応させることを容易にし並びに、適当な場合には、これらを近代技術と統合すること。

第三節 支援措置

第十九条能力形成、教育及び啓発
1 締約国は、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための努力において能力形成、すなわち、制度の確立、訓練並びに地方及び国の関連の能力の開発が有する重要性を認めるものとし、適当な場合には、次のことによって能力形成を促進する。
(a) 非政府機関及び地方の機関の協力を得て、すべての段階、特に地方の段階において地方の人々(特に女子及び青少年)を十分に参加させること。
(b) 国の段階において砂漠化及び干ばつの分野における訓練及び研究の能力を強化すること。
(c) 関連の技術及び方法を一層効果的に普及させるために支援業務及び普及業務を確立し又は強化すること並びに天然資源の保全及び持続可能な利用のための参加型の取組方法について現地の職員及び農村の組織の構成員を訓練すること。
(d) 可能な場合には、技術協力の計画において地方の人々の知識、ノウハウ及び方式の利用及び普及を助長すること。
(e) 必要な場合には、関連の環境上適正な技術並びに農業及び牧畜業の伝統的な方法を近代的な社会経済状況に適応させること。
(f) 特に燃料としての木材への依存を軽減するため、代替エネルギー源(特に再生可能なエネルギー源)の利用について適当な訓練及び技術を提供すること。
(g) 第十六条に規定するところにより、相互の合意により、影響を受ける国である開発途上締約国が情報の収集、分析及び交換の分野において計画を作成し及び実施する能力を強化するために協力すること。
(h) 代替的な生計手段を促進する革新的な方法(新たな技能の訓練を含む。)
(i) 意思決定を行う者及び管理者を訓練すること並びに干ばつの状況に関する早期警戒の情報の普及及び利用並びに食糧の生産のために資料を収集し及び分析する責任を有する要員を訓練すること。
(j) 既存の国の機関及び法的枠組みを一層効果的に運用し、必要な場合には新たな機関及び法的枠組みを設け並びに戦略的な計画作成及び管理を強化すること。
(k) 影響を受ける国である開発途上締約国における能力形成を学習及び研究の長期的な相互作用の過程を通じて促進するための人的交流計画
2 影響を受ける国である開発途上締約国は、適当な場合には他の締約国並びに適当な政府間機関及び非政府機関と協力して、地方及び国の段階における利用可能な能力及び制度並びにこれらを強化する可能性について学際的な検討を行う。
3 締約国は、砂漠化及び干ばつの原因及び影響並びにこの条約の目的を達成することの重要性について理解を促進するため、影響を受ける国である締約国及び適当な場合にはそのような締約国以外の締約国において啓発及び教育のための計画を実施し及び支援するに当たり、相互に並びに適当な政府間機関及び非政府機関を通じて協力する。このため、締約国は、次のことを行う。
(a) 一般公衆に対する啓発運動を組織すること。
(b) 公衆による関連情報の取得並びに教育及び啓発活動への広範な参加を恒常的に促進すること。
(c) 啓発に貢献する団体の設立を奨励すること。
(d) 教材及び啓発用資料(可能な場合には現地の言語によるもの)を作成し及び交換し、関連の教育及び啓発の計画を実施するに当たり影響を受ける国である開発途よ締約国の要員を訓練するために専門家を交流させ及び派遣し並びに適当な国際機関において入手することのできる関連の教材を十分に利用すること。
(e) 影響を受ける地域における教育上の必要を評価し、適切な学校教育課程を編成し並びに、必要に応じ、影響を受ける地域の天然資源の確認、保全、持続可能な利用及び管理に係る教育計画及び成人向けの識字計画を拡大し並びにこれらの計画に参加する機会をすべての人(特に女子)のために拡大すること。
(f) 砂漠化及び干ばつについての啓発を教育制度に組み入れ並びに教育計画であって正規でないもの、成人向けのもの、遠隔地向けのもの及び実用的なものに組み入れるための学際的な参加型の計画を作成すること。
4 締約国会議は、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するため、教育及び訓練のための地域のセンターの間の協力網を確立し又は強化する。この協力網の調整のために設けられ又は指定される機関は、計画を調和させ及び当該計画の間の経験の交換を組織化する目的をもって、科学、技術及び管理の分野における人材を訓練し並びに、適当な場合には、影響を受ける国である締約国において教育及び訓練に責任を有する既存の機関を強化するため、この協力網を調整する。この協力網は、努力の重複を避けるため、関連の政府間機関及び非政府機関と緊密に協力する。

第二十条 資金
1 締約国は、この条約の目的の達成における資金供与の中心的な重要性にかんがみ、自国の能力を考慮の上、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための計画に対して十分な資金が利用可能となるようあらゆる努力を払う。
2 1 の規定との関連において、先進締約国は、第七条の規定に従い影響を受ける国であるアフリカ以外の地域の開発途上締約国を軽視することなく影響を受ける国であるアフリカの締約国を優先させて、次のことを約束する。
(a) 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための計画の実施を支援するために相当の資金(贈与及び緩和された条件による貸付けを含む。)を調達すること。
(b) 十分な、適時の、かつ、予測可能な資金の調達(地球環境基金の設立文書の関連規定に従い、同基金の四の中心分野に関連する活動で砂漠化に関するものに係る合意された増加費用に対して同基金から新規のかつ追加的な資金を供与することを含む。)を促進すること。 
(c) 国際協力によって技術、知識及びノウハウの移転を促進すること。
(d) 影響を受ける国である開発途上締約国と協力して、資金(基金、非政府機関及び他の民間部門の団体の資金を含む。)が調達され及び供給されるための革新的な方法及び奨励措置(特に債務についてのスワップその他の影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)の対外債務の負担を軽減することによって資金の調達を促進する革新的な方法)を探求すること。
3 影響を受ける国である開発途上締約国は、自国の能力を考慮の上、十分な資金を自国の国家行動計画の実施のために調達することを約束する。
4 締約国は、資金の調達に当たり、借款団、共同計画及び並行融資を利用して、国内、二国間及び多数国間のすべての資金源及び資金供与の仕組みの十分な利用及び継続的な質的改善に努め、並びに民間部門の資金源及び資金供与の仕組み(非政府機関のものを含む。)を関与させるよう努める。このため、締約国は、第十四条の規定に従って設けられた運用上の仕組みを十分に利用する。
5 締約国は、影響を受ける国である開発途上締約国が砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するための必要な資金を調達するために次のことを行う。
(a) 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和するために既に配分された資金の管理を合理化し及び強化すること。その合理化及び強化については、当該資金を一層効果的かつ効率的に利用し、当該資金の配分における成功及び欠点を評価し、当該資金の効果的な利用に対する障害を除去し並びに、必要な場合には、この条約に従って採用した総合的かつ長期的な取組方法に照らして計画を変更することによって行う。
(b) 多数国間の資金供与の機関、制度及び基金(地域的な開発銀行及び開発基金を含む。)の管理機関において、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)をこの条約の実施が促進される活動(特に地域実施附属書の枠組みにおいて実施される行動計画)において支援することに対して、妥当な優先順位を与え及び妥当な注意を払うこと。
(c) 国の段階における努力を支援するために地域的及び小地域的な協力を強化することができる方法を検討すること。
6 他の締約国は、砂漠化に関する知識、ノウハウ、技術又は資金を影響を受ける国である開発途上締約国に任意に提供することを奨励される。
7 先進締約国がこの条約に基づく自国の義務(特に資金及び技術移転に係るもの)を履行することは、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)がこの条約に基づく義務を十分に履行することを大いに援助することとなる。先進締約国は、自国の義務の履行に当たり、経済的及び社会的開発並びに貧困の撲滅が影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)の最優先の事項であることを十分に考慮すべきである。

第二十一条 資金供与の仕組み
1 締約国会議は、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)がこの条約を実施することができるよう、資金供与の仕組みが利用されることを促進し、及び当該仕組みの下で利用することのできる資金が最大となるよう奨励する。このため、締約国会議は、特に次のことを行う取組方法及び政策を採択することを検討する。
(a) この条約の関連規定に基づく活動のために国、小地域、地域及び地球的規模の段階における必要な資金供与を促進すること。
(b) 前条の規定に反することなく、二以上の資金源から資金を供与するための取組方法、仕組み及び取決め並びにこれらについての評価を促進すること。
(c) 関心を有する締約国並びに関連の政府間機関及び非政府機関の間の調整を容易にするため、これらの締約国及び機関に対し、利用可能な資金源及び資金供与の形態に関する情報を定期的に提供すること。
(d) 影響を受ける国である開発途上締約国の地方の段階に資金を迅速かつ効率的に供給するため砂漠化に関する国の基金等の仕組み(非政府機関の参加を伴うものを含む。)が適当な場合に確立されることを容易にすること。
(e) この条約の実施を一層効果的に支援するため、小地域及び地域の段階の既存の基金及び資金供与の仕組み、特にアフリカにおけるものを強化すること。
2 締約国会議は、また、開発途上締約国がこの条約に基づく義務を履行することを可能にする活動に対し、国、小地域及び地域の段階における支援が国際連合及びその関連機関における種々の仕組み並びに多数国間の資金供与機関を通じて提供されることを奨励する。
3 影響を受ける国である開発途上締約国は、すべての利用可能な資金の効率的利用を確保するための調整を行う国の仕組みであって国の開発計画に組み入れられるものを利用し及び、必要な場合には、確立し又は強化する。影響を受ける国である開発途上締約国は、資金を調達し、計画を作成し及び実施し並びに地方の段階における集団のための資金供与の機会を確保するに当たり、非政府機関、地方の集団及び民間部門が関与する参加型の手続も利用する。そのような行動については、援助を提供する側における改善された調整及び弾力的な計画作成によって促進することができる。
4 既存の資金供与の仕組みの効果及び効率性を高めることを目的として、贈与又は緩和された条件若しくは他の条件による相当の資金(技術移転のためのものを含む。)が影響を受ける国である開発途上締約国のために調達され及び供給されることをもたらす行動を促進するための地球機構を、この条約により設立する。地球機構は、締約国会議の管理及び指導の下に活動し、並びに締約国会議に対して責任を負う。
5 締約国会議は、第一回通常会合において地球機構を受け入れる機関を特定する。締約国会議及びその特定した機関は、地球機構が特に次のことを確保するための方法について合意する。
(a) この条約を実施するために利用可能な関連の二国間及び多数国間の協力計画を確認し及びその目録を作成すること。
(b) 締約国に対し、その要請に応じて、資金調達の革新的な方法及び資金援助の資金源について助言を与え並びに協力活動の国の段階における調整の促進について助言を与えること。
(c) 関心を有する締約国並びに関連の政府間機関及び非政府機関の間の調整を容易にするため、これらの締約国及び機関に対し、利用可能な資金源及び資金供与の形態に関する情報を提供すること。
(d) 締約国会議の第二回通常会合以降地球機構の活動について報告すること。
6 締約国会議は、第一回会合において、地球機構を受け入れる機関として締約国会議が特定したものとの間で地球機構の事務的な運用のための適当な措置(可能な限り既存の予算及び人的資源を利用するもの)をとる。
7 締約国会議は、第三回通常会合において、第七条の規定を考慮の上、4 の規定に従い締約国会議に対して責任を負う地球機構の政策、運用方法及び活動について検討する。締約国会議は、その検討に基づいて、適当な措置について審議し及びその措置をとる。

第四部 機関

第二十二条 締約国会議
1 この条約により締約国会議を設置する。
2 締約国会議は、この条約の最高機関である。締約国会議は、その権限の範囲内で、この条約の効果的な実施を促進するために必要な決定を行う。締約国会議は、特に次のことを行う。
(a) 国の、小地域の、地域の及び国際的な段階において得られた経験に照らし、科学上及び技術上の知識の進展を基礎として、この条約の実施及びその制度的な措置の機能について定期的に検討すること。
(b) 締約国が採用する措置に関する情報の交換を促進し及び円滑にし、第二十六条の規定に従って提出される情報を送付するための形式及び期限を決定し並びに報告書を検討し及びこれについて勧告すること。
(c) この条約の実施に必要と認められる補助機関を設置すること。
(d) 補助機関により提出される報告書を検討し、及び補助機関を指導すること。
(e) 締約国会議及び補助機関の手続規則及び財政規則をコンセンサス方式により合意し及び採択すること。
(f) 第三十条及び第三十一条の規定に従ってこの条約の改正を採択すること。
(g) 締約国会議の活動(その補助機関のものを含む。)のための計画及び予算を承認し並びにその活動のための資金の調達に必要な措置をとること。
(h) 適当な場合には、適当な団体又は機関(国内若しくは国際の又は政府間若しくは民間のもののいずれであるかを問わない。)の協力を求め並びにこれらの団体又は機関の役務及びこれらの団体又は機関が提供する情報を利用すること。
(i) 努力の重複を避けつつ他の関連の条約との関係を促進し及び強化すること。
(j) その他この条約の目的の達成のために必要な任務を遂行すること。
3 締約国会議は、第一回会合において、締約国会議の手続規則をコンセンサス方式により採択する。この手続規則には、この条約において意思決定手続が定められていない事項に関する意思決定手続を含む。この手続規則には、特定の決定の採択に必要な特定の多数を含むことができる。
4 締約国会議の第一回会合は、第三十五条に規定する暫定的な事務局が招集するものとし、この条約の効力発生の日の後一年以内に開催する。第二回から第四回までの通常会合は、締約国会議が別段の決定を行わない限り、毎年開催するものとし、その後は、通常会合は、二年ごとに開催する。
5 締約国会議の特別会合は、締約国会議が通常会合において決定するとき又はいずれかの締約国から書面による要請のある場合において常設事務局がその要請を締約国に通報した後三箇月以内に締約国の少なくとも三分の一がその要請を支持するときに開催する。
6 締約国会議は、通常会合ごとに、議長団を選出する。議長団の構成及び任務は、手続規則に定める。議長団の任命に当たっては、衡平な地理的配分を確保する必要性及び影響を受ける国である締約国(特にアフリカの締約国)が十分に代表されることを確保する必要性に妥当な考慮を払う。
7 国際連合、その専門機関及びこれらの国際機関の加盟国又けオブザーバーであってこの条約の締約国でないものは、締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することができる。この条約の対象とされている事項について能力を有する団体又は機関(国内若しくは国際の又は政府若しくは民間のもののいずれであるかを問わない。)であって、締約国会議の会合にオブザーバーとして出席することを希望する旨常設事務局に通報したものは、当該会合に出席する締約国の三分の一以上が反対しない限り、オブザーバーとして出席することを認められる。オブザーバーの出席については、締約国会議が採択する手続規則に従う。
8 締約国会議は、関連の専門知識を有する適当な国の機関及び国際機関に対し第十六条(g)、第十七条 1(c)及び第十八条 2(b)の規定に関連する情報を提供するよう要請することができる。

第二十三条 常設事務局
1 この条約により常設事務局を設置する。
2 常設事務局は、次の任務を遂行する。
(a) 締約国会議の会合及びこの条約により設置される補助機関の会合を準備すること並びに必要に応じてこれらの会合に役務を提供すること。
(b) 常設事務局に提出される報告書を取りまとめ及び送付すること。
(c) 要請に応じ、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)がこの条約に従って情報を取りまとめ及び送付するに当たり、当該影響を受ける国である開発途上締約国に対する支援を円滑にすること。
(d) 常設事務局の活動を他の関連の国際団体及び国際条約の事務局との間で調整すること。
(e) 締約国会議の指導の下に、常設事務局の任務の効果的な遂行のために必要な管理上及び契約上の措置をとること。
(f) この条約に基づく常設事務局の任務の遂行に関する報告書を作成し、これを締約国伝議に提出すること。
(g) その他締約国会議が決定する事務局の任務を遂行すること。
3 締約国会議は、第一回会合において、常設事務局を指定し、及びその任務の遂行のための措置をとる。

第二十四条 科学技術委員会
1 砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに関連する科学的及び技術的事項に関する情報及び助言を締約国会議に提供する締約国会議の補助機関として、科学技術委員会をこの条約により設置する。同委員会は、締約国会議の通常会合の際に開催され、学際的な性格を有し、及びすべての締約国による参加のために開放される。同委員会は、政府の代表者で関連の専門分野における能力を有するものにより構成する。締約国会議は、第一回会合において、同委員会の権限を決定する。
2 締約国会議は、関連の分野における専門知識及び経験を有する独立の専門家の名簿を作成し及び維持する。この名簿は、締約国から受領した書面による指名に基づき、学際的な取組方法及び広範な地理的代表の必要性を考慮して作成する。
3 締約国会議は、必要に応じ、砂漠化に対処し及び干ばつの影響を緩和することに関連する科学及び技術の水準に関する特定の問題についての情報及び助言を科学技術委員会を通じて締約国会議に提供する特別の小委員会を設置することができる。特別の小委員会は、学際的な取組方法及び広範な地理的代表の必要性を考慮して、2 の名簿から選ばれた専門家により構成する。当該専門家は、科学上の経歴及び現地における経験を有するものとし、科学技術委員会の勧告に基づいて締約国会議が指名する。締約国会議は、特別の小委員会の付託事項及び活動の方法を決定する。

第二十五条 機関及び団体から成る協力網の形成
1 科学技術委員会は、締約国会議の監督の下に、一の協力網を構成する単位となる意思を有する既存の関連の協力網、機関及び団体を調査し及び評価するために必要な措置をとる。当該一の協力網は、この条約の実施を支援する。
2 科学技術委員会は、第十六条から第十九条までに規定する主題における必要への対処を確保するため、1 に規定する調査及び評価の結果に基づき、地方、国及び他の段階における1 に規定する単位から成る協力網の形成を円滑にし及び強化する方法及び手段について締約国会議に勧告する。
3 締約国会議は、2 に規定する勧告を考慮して次のことを行う。
(a) 協力網の形成に最も適当な国内の、小地域の、地域の及び国際的な単位を特定し並びにこれらの単位のために運用上の手続及びその時間的枠組みを勧告すること。
(b) すべての段階において協力網の形成を円滑にし及び強化するために最も適する単位を特定すること。

第五部 手続

第二十六条 情報の送付
1 締約国は、締約国会議に対し、その通常会合における審議のために、自国がこの条約の実施のためにとった措置に関する報告書を常設事務局を通じて送付する。締約国会議は、当該報告書の提出期限及び形式を決定する。
2 影響を受ける国である締約国は、第五条の規定に従って確立した戦略及びその実施に関する情報について記述する。
3 影響を受ける国である締約国であって第九条から第十五条までの規定に従って行動計画を実施するものは、当該行動計画及びその実施について詳細に記述する。
4 影響を受ける国である二以上の締約国は、小地域又は地域の段階において行動計画の枠組みの中でとった措置につき共同して情報の送付を行うことができる。
5 先進締約国は、行動計画の作成及び実施を援助するためにとった措置(自国がこの条約に基づいて供与した資金又は供与している資金に関する情報を含む。)を報告する。
6 常設事務局は、1 から 4 までの規定に従って送付された情報を締約国会議及び関連の補助機関に対してできる限り速やかに送付する。
7 締約国会議は、要請に応じ、影響を受ける国である開発途上締約国(特にアフリカの開発途上締約国)に対し、行動計画に関連する技術上及び資金上の必要の特定のためのみならず、この条の規定による情報の取りまとめ及び送付のためにも、技術上及び資金上の支援が提供されることを円滑にする。

第二十七条 実施に関する問題の解決のための措置
締約国会議は、この条約の実施に関して生ずる問題の解決のための手続及び制度上の仕組みについて審議し及びこれらを採択する。

第二十八条 紛争の解決
1 締約国は、この条約の解釈又は適用に関する締約国間の紛争を交渉又は紛争当事国が選択するその他の平和的手段により解決する。
2 地域的な経済統合のための機関でない締約国は、この条約の解釈又は適用に関する紛争について、同一の義務を受諾する締約国との関係において次の紛争解決手段の一方又は双方を義務的なものとして認めることをこの条約の批准、受諾若しくは承認若しくはこれへの加入の際に又はその後いつでも、寄託者に対し書面により宣言することができる。
(a) 締約国会議ができる限り速やかに採択する附属書に定める手続による仲裁
(b) 国際司法裁判所への紛争の付託
3 地域的な経済統合のための機関である締約国は、2(a)に規定する手続による仲裁に関して同様の効果を有する宣言を行うことができる。
4 2 の規定に基づいて行われる宣言は、当該宣言に付した期間が満了するまで又は書面による当該宣言の撤回の通告が寄託者に寄託された後三箇月が経過するまでの間、効力を有する。
5 宣言の期間の満了、宣言の撤回の通告又は新たな宣言は、紛争当事国が別段の合意をしない限り、仲裁裁判所又は国際司法裁判所において進行中の手続に何ら影響を及ぼすものではない。
6 紛争当事国が 2 の規定に従って同一の解決手段を受け入れている場合を除くほか、いずれかの紛争当事国が他の紛争当事国に対して紛争が存在する旨の通告を行った後十二箇月以内にこれらの紛争当事国が当該紛争を解決することができなかった場合には、当該紛争は、いずれかの紛争当事国の要請により、締約国会議ができる限り速やかに採択する附属書に定める手続により調停に付される。

第二十九条 附属書の地位
1 附属書は、この条約の不可分の一部を成すものとし、「この条約」というときは、別段の明示の定めがない限り、附属書を含めていうものとする。
2 締約国は、附属書の規定をこの条約に基づく自国の権利及び義務に適合するように解釈する。

第三十条 この条約の改正
1 締約国は、この条約の改正を提案することができる。
2 この条約の改正は、締約国会議の通常会合において採択する。この条約の改正案は、その採択が提案される会合の少なくとも六箇月前に常設事務局が締約国に通報する。常設事務局は、また、改正案をこの条約の署名国に通報する。
3 締約国は、この条約の改正案につき、コンセンサス方式により合意に達するようあらゆる努力を払う。コンセンサスのためのあらゆる努力にもかかわらず含意に達しない場合には、改正案は、最後の解決手段として、当該会合に出席しかつ投票する締約国の三分の二以上の多数による議決で採択する。採択された改正は、常設事務局が寄託者に通報するものとし、寄託者がすべての締約国に対し批准、受諾、承認又は加入のために送付する。
4 改正の批准書、受諾書、承認書又は加入書は、寄託者に寄託する。3 の規定に従って採択された改正は、当該改正の採択の時にこの条約の締約国であった締約国の少なくとも三分の二の批准書。受諾書、承認書又は加入書を寄託者が受領した日の後九十日目の日に、当該改正を受け入れた締約国について効力を生ずる。
5 改正は、他の締約国については、当該他の締約国が当該改正の批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託者に寄託した日の後九十日目の日に効力を生ずる。
6 この条及び次条の規定の適用上、「出席しかつ投票する締約国」とは、出席しかつ賛成票又は反対票を投ずる締約国をいう。

第三十一条 附属書の採択及び改正
1 この条約の追加の附属書及び附属書の改正は、前条に定める条約の改正のための手続に従って提案され及び採択される。ただし、追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正の採択に当たっては、同条に定める三分の二以上の多数による議決については関係の地域の出席しかつ投票する締約国の三分の二以上の多数票を含むことを条件とする。附属書の採択又は改正については、寄託者がすべての締約国に通報する。
2 1 の規定に従って採択された附属書(追加の地域実施附属書を除く。)又は附属書の改正(地域実施附属書の改正を除く。)は、寄託者がその採択を締約国に通報した日の後六箇月で、その期間内に当該採択された附属書又は附属書の改正を受け入れない旨の書面による通告を寄託者に対して行った締約国を除くほか、この条約のすべての締約国について効力を生ずる。当該採択された附属書又は附属書の改正は、当該通告を撤回する締約国については、その撤回の通告を寄託者が受領した日の後九十日目の日に効力を生ずる。
3 1 の規定に従って採択された追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正は、寄託者がその採択を締約国に通報した日の後六箇月で、次の締約国を除くほか、この条約のすべての締約国について効力を生ずる。
(a) 当該六箇月の期間内に当該採択された追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正を受け入れない旨の書面による通告を寄託者に対して行った締約国。当該採択された追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正は、当該通告を撤回する締約国については、その撤回の通告を寄託者が受領した日の後九十日目の日に効力を生ずる。
(b) 第三十四条 4 の規定に従って追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正に関する宣言を行った締約国。当該採択された追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正は、その批准書、受諾書、承認書又は加入書をこの締約国が寄託者に寄託した日の後九十日目の日に、この締約国について効力を生ずる。 
4 附属書又は附属書の改正の採択がこの条約の改正を伴うものである場合には、採択された附属書又は附属書の改正は、この条約の改正が効力を生ずる時まで効力を生じない。

第三十二条 投票権
1 この条約の各締約国は、2 に規定する場合を除くほか、一の票を有する。
2 地域的な経済統合のための機関は、その権限の範囲内の事項について、この条約の締約国であるその構成国の数と同数の票を投ずる権利を行使する。当該機関は、その構成国が自国の投票権を行使する場合には、投票権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。

第六部 最終規定

第三十三条 署名
この条約は、千九百九十四年十月十四日及び十五日にパリにおいて、国際連合又はその専門機関の加盟国、国際司法裁判所規程の当事国及び地域的な経済統合のための機関による署名のために開放される。その後は、この条約は、千九百九十五年十月十三日まで、二ュー・ヨークにある国際連合本部において署名のために開放しておく。

第三十四条 批准、受諾、承認及び加入
1 この条約は、国及び地域的な経済統合のための機関により批准され、受諾され、承認され又は加入されなければならない。この条約は、この条約の署名のための期間の終了の日の後は、加入のために開放しておく。批准書、受諾書、承認書又は加入書は、寄託者に寄託する。
2 この条約の締約国となる地域的な経済統合のための機関で当該機関のいずれの構成国もこの条約の締約国となっていないものは、この条約に基づくすべての義務を負う。当該機関の一又は二以上の構成国がこの条約の締約国でもある場合には、当該機関及びその構成国は、この条約に基づく義務の履行につきそれぞれの責任を決定する。この場合において、当該機関及びその構成国は、この条約に基づく権利を同時に行使することができない。
3 地域的な経済統合のための機関は、この条約の規律する事項に関する当該機関の権限の範囲をこの条約の批准書、受諾書、承認書又は加入書において宣言する。当該機関は、また、その権限の範囲の実質的な変更を寄託者に速やかに通報するものとし、寄託者は、これを締約国に通報する。
4 締約国は、自国の批准書、受諾書、承認書又は加入書において、追加の地域実施附属書又は地域実施附属書の改正がその批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する場合にのみ自国について効力を生ずる旨の宣言を行うことができる。

第三十五条 暫定的措置
第二十三条に規定する事務局の任務は、締約国会議の第一回会合が終了するまでの間、国際連合総会が千九百九十二年十二月二十二日の決議第百八十八号(第四十七回会期)によって設置した事務局が暫定的に遂行する。

第三十六条 効力発生
1 この条約は、五十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後九十日目の日に効力を生ずる。
2 この条約は、五十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の後にこれを批准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入する国又は地域的な経済統合のための機関については、当該国又は機関による批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の日の後九十日目の日に効力を生ずる。
3 地域的な経済統合のための機関によって寄託される文書は、1 及び 2 の規定の適用上、当該機関の構成国によって寄託されたものに追加して数えてはならない。

第三十七条 留保
この条約には、いかなる留保も付することができない。

第三十八条 脱退
1 締約国は、自国についてこの条約が効力を生じた日から三年を経過した後いつでも、寄託者に対して書面による脱退の通告を行うことにより、この条約から脱退することができる。
2 1 の脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した日から一年を経過した日又はそれよりも遅い日であって脱退の通告において指定される日に効力を生ずる。

第三十九条 寄託者
国際連合事務総長は、この条約の寄託者とする。

第四十条 正文
アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際連合事務総長に寄託する。

以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの条約に署名した。

千九百九十四年六月十七日にパリで作成した。

    「鳥取大学 乾燥地研究センターホームページ」より

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chikyuusamitto01

 今日は、平成時代の1992年(平成4)に、「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット・UNCED)」が「環境と開発に関するリオ宣言(リオ宣言)」などを採択して閉幕した日です。
 「環境と開発に関するリオ宣言(かんきょうとかいはつにかんするりおせんげん)」(Rio Declaration on Environment and Development)は、1992年(平成4)6月3日~14日まで、ブラジルのリオデジャネイロで開催された「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット・UNCED)」において合意された27原則から成る宣言でした。1972年(昭和47)の「国連人間環境会議」で採択された「人間環境宣言(ストックホルム宣言)」を再確認すると共に、新しい公平な地球的規模のパートナーシップを構築することを目標として、地球環境保全のため各国の主要セクターおよび国民の間に新たな協力関係を確立するために宣言されたものです。
 今まで、先進国と開発途上国の対立の原因ともなっていた環境と開発とについて、相互に依存するものであり、環境を保全してこそ将来にわたる開発が可能となるという「持続可能な開発」の概念を打ち出すものでした。特徴は、その実現に向けてすべての主体の参加と情報公開がうたわれ(第10原則)、女性・青年・先住民・抑圧下の人間等、各主体の関与、役割を明らかにしている点(第20~23原則)、及び「共通だが差異のある原則」(第7原則)という点です。
 その具体的な行動計画として「アジェンダ21」と「森林原則声明」を採択したほか、「地球温暖化防止条約(気候変動枠組条約)」、「生物多様性条約」の調印がこの会議でなされました。
 以下に、「環境と開発に関するリオ宣言(リオ宣言)」に英語版原文と環境省による日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「環境と開発に関するリオ宣言」国連環境開発会議(地球サミット:1992年、リオ・デ・ジャネイロ)で採択

<英語版>

Rio Declaration on Environment and Development

The United Nations Conference on Environment and Development,

Having met at Rio de Janeiro from 3 to 14 June 1992,
Reaffirming the Declaration of the United Nations Conference on the Human Environment, adopted at Stockholm on 16 June 1972, a/ and seeking to build upon it,
With the goal of establishing a new and equitable global partnership through the creation of new levels of cooperation among States, key sectors of societies and people,
Working towards international agreements which respect the interests of all and protect the integrity of the global environmental and developmental system,
Recognizing the integral and interdependent nature of the Earth, our home,

Proclaims that:

Principle 1
Human beings are at the centre of concerns for sustainable development. They are entitled to a healthy and productive life in harmony with nature.

Principle 2
States have, in accordance with the Charter of the United Nations and the principles of international law, the sovereign right to exploit their own resources pursuant to their own environmental and developmental policies, and the responsibility to ensure that activities within their jurisdiction or control do not cause damage to the environment of other States or of areas beyond the limits of national jurisdiction.

Principle 3
The right to development must be fulfilled so as to equitably meet developmental and environmental needs of present and future generations.

Principle 4
In order to achieve sustainable development, environmental protection shall constitute an integral part of the development process and cannot be considered in isolation from it.

Principle 5
All States and all people shall cooperate in the essential task of eradicating poverty as an indispensable requirement for sustainable development, in order to decrease the disparities in standards of living and better meet the needs of the majority of the people of the world.

Principle 6
The special situation and needs of developing countries, particularly the least developed and those most environmentally vulnerable, shall be given special priority. International actions in the field of environment and development should also address the interests and needs of all countries.

Principle 7

States shall cooperate in a spirit of global partnership to conserve, protect and restore the health and integrity of the Earth's ecosystem. In view of the different contributions to global environmental degradation, States have common but differentiated responsibilities. The developed countries acknowledge the responsibility that they bear in the international pursuit of sustainable development in view of the pressures their societies place on the global environment and of the technologies and financial resources they command.

Principle 8
To achieve sustainable development and a higher quality of life for all people, States should reduce and eliminate unsustainable patterns of production and consumption and promote appropriate demographic policies.

Principle 9
States should cooperate to strengthen endogenous capacity-building for sustainable development by improving scientific understanding through exchanges of scientific and technological knowledge, and by enhancing the development, adaptation, diffusion and transfer of technologies, including new and innovative technologies.

Principle 10
Environmental issues are best handled with the participation of all concerned citizens, at the relevant level. At the national level, each individual shall have appropriate access to information concerning the environment that is held by public authorities, including information on hazardous materials and activities in their communities, and the opportunity to participate in decision-making processes. States shall facilitate and encourage public awareness and participation by making information widely available. Effective access to judicial and administrative proceedings, including redress and remedy, shall be provided.

Principle 11
States shall enact effective environmental legislation. Environmental standards, management objectives and priorities should reflect the environmental and developmental context to which they apply. Standards applied by some countries may be inappropriate and of unwarranted economic and social cost to other countries, in particular developing countries.

Principle 12
States should cooperate to promote a supportive and open international economic system that would lead to economic growth and sustainable development in all countries, to better address the problems of environmental degradation. Trade policy measures for environmental purposes should not constitute a means of arbitrary or unjustifiable discrimination or a disguised restriction on international trade. Unilateral actions to deal with environmental challenges outside the jurisdiction of the importing country should be avoided. Environmental measures addressing transboundary or global environmental problems should, as far as possible, be based on an international consensus.

Principle 13
States shall develop national law regarding liability and compensation for the victims of pollution and other environmental damage. States shall also cooperate in an expeditious and more determined manner to develop further international law regarding liability and compensation for adverse effects of environmental damage caused by activities within their jurisdiction or control to areas beyond their jurisdiction.

Principle 14
States should effectively cooperate to discourage or prevent the relocation and transfer to other States of any activities and substances that cause severe environmental degradation or are found to be harmful to human health.

Principle 15
In order to protect the environment, the precautionary approach shall be widely applied by States according to their capabilities. Where there are threats of serious or irreversible damage, lack of full scientific certainty shall not be used as a reason for postponing cost-effective measures to prevent environmental degradation.

Principle 16
National authorities should endeavour to promote the internalization of environmental costs and the use of economic instruments, taking into account the approach that the polluter should, in principle, bear the cost of pollution, with due regard to the public interest and without distorting international trade and investment.

Principle 17
Environmental impact assessment, as a national instrument, shall be undertaken for proposed activities that are likely to have a significant adverse impact on the environment and are subject to a decision of a competent national authority.

Principle 18
States shall immediately notify other States of any natural disasters or other emergencies that are likely to produce sudden harmful effects on the environment of those States. Every effort shall be made by the international community to help States so afflicted.

Principle 19
States shall provide prior and timely notification and relevant information to potentially affected States on activities that may have a significant adverse transboundary environmental effect and shall consult with those States at an early stage and in good faith.

Principle 20
Women have a vital role in environmental management and development. Their full participation is therefore essential to achieve sustainable development.

Principle 21
The creativity, ideals and courage of the youth of the world should be mobilized to forge a global partnership in order to achieve sustainable development and ensure a better future for all.

Principle 22
Indigenous people and their communities and other local communities have a vital role in environmental management and development because of their knowledge and traditional practices. States should recognize and duly support their identity, culture and interests and enable their effective participation in the achievement of sustainable development.

Principle 23
The environment and natural resources of people under oppression, domination and occupation shall be protected.

Principle 24
Warfare is inherently destructive of sustainable development. States shall therefore respect international law providing protection for the environment in times of armed conflict and cooperate in its further development, as necessary.

Principle 25
Peace, development and environmental protection are interdependent and indivisible.

Principle 26
States shall resolve all their environmental disputes peacefully and by appropriate means in accordance with the Charter of the United Nations.

Principle 27
States and people shall cooperate in good faith and in a spirit of partnership in the fulfilment of the principles embodied in this Declaration and in the further development of international law in the field of sustainable development.

<日本語訳>

前 文

 環境と開発に関する国連会議は、1992年6月3日から14日までリオ・デ・ジャネイロで開催され、ストックホルム宣言を再確認するとともにこれを発展させることを求め、各国、社会の重要部門及び国民間の新たな水準の協力を作り出すことによって新しい公平な地球的規模のパートナーシップを構築するという目標を持ち、全ての者のための利益を尊重し、かつ地球的規模の環境及び開発のシステムの一体性を保持する国際的合意に向けて作業し、我々の家庭である地球の不可分性、相互依存性を認識し、以下のとおり宣言する。

第1原則

 人類は、持続可能な開発への関心の中心にある。人類は、自然と調和しつつ健康で生産的な生活を送る資格を有する。

第 2 原則

 各国は、国連憲章及び国際法の原則に則り、自国の環境及び開発政策に従って、自国の資源を開発する主権的権利及びその管轄又は支配下における活動が他の国、又は自国の管轄権の限界を超えた地域の環境に損害を与えないようにする責任を有する。

第 3 原則

 開発の権利は、現在及び将来の世代の開発及び環境上の必要性を公平に充たすことができるよう行使されなければならない。

第 4 原則

 持続可能な開発を達成するため、環境保護は、開発過程の不可分の部分とならなければならず、それから分離しては考えられないものである。

第 5 原則
 すべての国及びすべての国民は、生活水準の格差を減少し、世界の大部分の人々の必要性をより良く充たすため、持続可能な開発に必要不可欠なものとして、貧困の撲滅という重要な課題において協力しなければならない。

第 6 原則

 開発途上国、特に最貧国及び環境の影響を最も受け易い国の特別な状況及び必要性に対して、特別の優先度が与えられなければならない。環境と開発における国際的行動は、全ての国の利益と必要性にも取り組むべきである。

第 7 原則

 各国は、地球の生態系の健全性及び完全性を、保全、保護及び修復するグローバル・パートナーシップの精神に則り、協力しなければならない。地球環境の悪化への異なった寄与という観点から、各国は共通のしかし差異のある責任を有する。先進諸国は、彼等の社会が地球環境へかけている圧力及び彼等の支配している技術及び財源の観点から、持続可能な開発の国際的な追及において有している義務を認識する。

第 8 原則

 各国は、すべての人々のために持続可能な開発及び質の高い生活を達成するために、持続可能でない生産及び消費の様式を減らし、取り除き、そして適切な人口政策を推進すべきである。

第 9 原則

 各国は、科学的、技術的な知見の交換を通じた科学的な理解を改善させ、そして、新しくかつ革新的なものを含む技術の開発、適用、普及及び移転を強化することにより、持続可能な開発のための各国内の対応能力の強化のために協力すべきである。

第 10 原則

 環境問題は、それぞれのレベルで、関心のある全ての市民が参加することにより最も適切に扱われる。国内レベルでは、各個人が、有害物質や地域社会における活動の情報を含め、公共機関が有している環境関連情報を適切に入手し、そして、意志決定過程に参加する機会を有しなくてはならない。各国は、情報を広く行き渡らせることにより、国民の啓発と参加を促進しかつ奨励しなくてはならない。賠償、救済を含む司法及び行政手続きへの効果的なアクセスが与えられなければならない。

第 11 原則

 各国は、効果的な環境法を制定しなくてはならない。環境基準、管理目的及び優先度は、適用される環境と開発の状況を反映するものとすべきである。一部の国が適用した基準は、他の国、特に発展途上国にとっては不適切であり、不当な経済的及び社会的な費用をもたらすかもしれない。

第 12 原則

 各国は、環境の悪化の問題により適切に対処するため、すべての国における経済成長と持続可能な開発をもたらすような協力的で開かれた国際経済システムを促進するため、協力すべきである。環境の目的のための貿易政策上の措置は、恣意的な、あるいは不当な差別又は国際貿易に対する偽装された規制手段とされるべきではない。輸入国の管轄外の環境問題に対処する一方的な行動は避けるべきである。国境を越える、あるいは地球規模の環境問題に対処する環境対策は、可能な限り、国際的な合意に基づくべきである。

第 13 原則

 各国は、汚染及びその他の環境悪化の被害者への責任及び賠償に関する国内法を策定しなくてはならない。更に、各国は、迅速かつより確固とした方法で、自国の管轄あるいは支配下における活動により、管轄外の地域に及ぼされた環境悪化の影響に対する責任及び賠償に関する国際法を、更に発展させるべく協力しなくてはならない。

第 14 原則

 各国は、深刻な環境悪化を引き起こす、あるいは人間の健康に有害であるとされているいかなる活動及び物質も、他の国への移動及び移転を控えるべく、あるいは防止すべく効果的に協力すべきである。

第 15 原則

 環境を保護するため、予防的方策は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない。

第 16 原則

 国の機関は、汚染者が原則として汚染による費用を負担するとの方策を考慮しつつ、また、公益に適切に配慮し、国際的な貿易及び投資を歪めることなく、環境費用の内部化と経済的手段の使用の促進に努めるべきである。

第 17 原則

 環境影響評価は、国の手段として環境に重大な悪影響を及ぼすかもしれず、かつ権限ある国家機関の決定に服す活動に対して実施されなければならない。

第 18 原則

 各国は、突発の有害な効果を他国にもたらすかも知れない自然災害、あるいはその他の緊急事態を、それらの国に直ちに報告しなければならない。被災した国を支援するため国際社会によるあらゆる努力がなされなければならない。

第 19 原則

 各国は、国境をこえる環境への重大な影響をもたらしうる活動について、潜在的に影響を被るかも知れない国に対し、事前の時宜にかなった通告と関連情報の提供を行わなければならず、また早期の段階で誠意を持ってこれらの国と協議を行わなければならない。

第 20 原則

 女性は、環境管理と開発において重要な役割を有する。そのため、彼女らの十分な参加は、持続可能な開発の達成のために必須である。

第 21 原則

 持続可能な開発を達成し、すべての者のためのより良い将来を確保するため、世界の若者の創造力、理想及び勇気が、地球的規模のパートナーシップを構築するよう結集されるべきである。

第 22 原則

 先住民とその社会及びその他の地域社会は、その知識及び伝統に鑑み、環境管理と開発において重要な役割を有する。各国は彼らの同一性、文化及び利益を認め、十分に支持し、持続可能な開発の達成への効果的参加を可能とさせるべきである。

第 23 原則

 抑圧、支配及び占領の下にある人々の環境及び天然資源は、保護されなければならない。

第 24 原則

 戦争は、元来、持続可能な開発を破壊する性格を有する。そのため、各国は、武力紛争時における環境保護に関する国際法を尊重し、必要に応じ、その一層の発展のため協力しなければならない。

第 25 原則

 平和、開発及び環境保全は、相互依存的であり、切り離すことはできない。

第 26 原則

 各国は、すべての環境に関する紛争を平和的に、かつ、国連憲章に従って適切な手段により解決しなければならない。

第 27 原則

 各国及び国民は、この宣言に表明された原則の実施及び持続可能な開発の分野における国際法の一層の発展のため、誠実に、かつ、パートナーシップの精神で協力しなければならない。

       「環境省ホームページ」より

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