
今日は、昭和時代前期の1942年(昭和17)に、「新聞事業令」に基づき、内閣情報局が地方紙を1県1紙に統合するよう指示した日です。
「新聞事業令」(しんぶんじぎょうれい)は、昭和時代前期の太平洋戦下、1941年(昭和16)12月13日に、「国家総動員法」16条の3〈事業統制に関する命令権〉、18条〈統制団体の設立〉、18条ノ3〈関連租税の減免〉の規定に基づいて公布・施行された、新聞企業の整備統制に関する勅令(昭和16年勅令1107号)です。同年1月11日に公布・施行された「新聞紙等掲載制限令」などとならぶ言論統制法規とされてきました。
「国家総動員法」公布後、新聞界でも統制が一段と強化されていたものの、1941年(昭和16)5月に設立された新聞業界団体「日本新聞聯盟」は,政府の1県1紙の提案などに必ずしも協力的でなく、本令によって、それを推進することとなります。これによって、新聞事業の開始、譲渡、合併、解散等は主務大臣(内閣総理大臣)の許認可事項とされ(第3条)、新聞事業の企業整備上必要があると認めるときは,主務大臣が新聞事業の譲渡、合併を命令することができ、その命令に違反したり、当該新聞事業の運営が国策遂行に重大な支障を及ぼすような場合、主務大臣はその新聞事業の廃止・休止を命令することもできる(第4条・第5条)ようになりました。
その後、翌年2月5日に統制団体日本新聞会が設立(第6条)され、前年に自主統制団体として設立された「日本新聞連盟」は解散します。政府は新聞事業に対する統廃合(新聞統制)に関する強制権を掌握し、同年12月20日に施行細則、翌年1月10日には、内閣告示により全国の日刊新聞104紙を日本新聞会(本勅令にもとづく統制団体)の会員に指定した上で、同年2月5日に日本新聞会の創立総会をおこないました。
さらに、内閣情報局が、1942年(昭和17)7月24日に、①東京は全国紙の3社、ブロック紙は1社、業界紙は1社とする。②大阪は全国紙の2社、ブロック紙は1社、業界紙は1社とする。③名古屋はブロック紙の2社をなるべく1社に統合する(朝日、毎日は発行を停止する)。④福岡はブロック紙の1社(朝日、毎日は北九州の発行を可とする)。⑤その他の県は一県一紙とする。⑥新聞は個人企業を廃し、すべて法人とし、株主は役員又は従業員とし、社外株主は排除する(所有と経営の分離)。と指示を出します。それがほぼ完了した同年11月には、日刊新聞社数は全国でわずか54社(1936年12月末には1,226紙あった)に減少しました。
この勅令は、大平洋戦争敗戦後の1945年(昭和20)10月6日に、「新聞事業令等廃止ノ件」(昭和20年勅令第562号)により廃止されています。
以下に、「新聞事業令」(昭和16年勅令第1107号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。
「国家総動員法」公布後、新聞界でも統制が一段と強化されていたものの、1941年(昭和16)5月に設立された新聞業界団体「日本新聞聯盟」は,政府の1県1紙の提案などに必ずしも協力的でなく、本令によって、それを推進することとなります。これによって、新聞事業の開始、譲渡、合併、解散等は主務大臣(内閣総理大臣)の許認可事項とされ(第3条)、新聞事業の企業整備上必要があると認めるときは,主務大臣が新聞事業の譲渡、合併を命令することができ、その命令に違反したり、当該新聞事業の運営が国策遂行に重大な支障を及ぼすような場合、主務大臣はその新聞事業の廃止・休止を命令することもできる(第4条・第5条)ようになりました。
その後、翌年2月5日に統制団体日本新聞会が設立(第6条)され、前年に自主統制団体として設立された「日本新聞連盟」は解散します。政府は新聞事業に対する統廃合(新聞統制)に関する強制権を掌握し、同年12月20日に施行細則、翌年1月10日には、内閣告示により全国の日刊新聞104紙を日本新聞会(本勅令にもとづく統制団体)の会員に指定した上で、同年2月5日に日本新聞会の創立総会をおこないました。
さらに、内閣情報局が、1942年(昭和17)7月24日に、①東京は全国紙の3社、ブロック紙は1社、業界紙は1社とする。②大阪は全国紙の2社、ブロック紙は1社、業界紙は1社とする。③名古屋はブロック紙の2社をなるべく1社に統合する(朝日、毎日は発行を停止する)。④福岡はブロック紙の1社(朝日、毎日は北九州の発行を可とする)。⑤その他の県は一県一紙とする。⑥新聞は個人企業を廃し、すべて法人とし、株主は役員又は従業員とし、社外株主は排除する(所有と経営の分離)。と指示を出します。それがほぼ完了した同年11月には、日刊新聞社数は全国でわずか54社(1936年12月末には1,226紙あった)に減少しました。
この勅令は、大平洋戦争敗戦後の1945年(昭和20)10月6日に、「新聞事業令等廃止ノ件」(昭和20年勅令第562号)により廃止されています。
以下に、「新聞事業令」(昭和16年勅令第1107号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。
〇「新聞事業令」(昭和16年勅令第1107号)1941年(昭和16)12月13日公布・施行
第一条 国家総動員法(昭和十三年勅令第三百十七号ニ於テ依ル場合ヲ含ム)第十六条ノ三ノ規定ニ基ク新聞事業ノ開始、委託、共同経営、譲渡、廃止又ハ休止ニ関スル命令及新聞事業ヲ行フ法人ノ目的変更、合併又ハ解散ニ関スル命令、同法第十八条ノ規定ニ基ク新聞事業ノ統制ヲ目的トスル団体ノ設立等ニ関スル命令及当該団体ニ関シ必要ナル事項並ニ同法第十八条ノ三ノ規定ニ基ク新聞事業ノ譲渡又ハ新聞事業ヲ営ム会社ノ合併ニ付テノ租税ノ軽減ニ付テハ本令ノ定ムル所ニ依ル
第二条 本令ニ於テ新聞事業ト称スルハ時事ニ関スル事項ヲ掲載スル新聞紙ノ発行ヲ目的トスル事業ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ謂フ
第三条 新聞事業ヲ開始セントスル者ハ主務大臣ノ許可ヲ受クベシ新聞事業主其ノ事業ノ委託、共同経営、譲渡、廃止又ハ休止ヲ為サントスルトキ亦同ジ
2 新聞事業ヲ行フ法人ノ目的変更、合併又ハ解散ノ決議ハ主務大臣ノ許可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生セズ
3 第一項ノ許可及前項ノ許可ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条 主務大臣新聞事業ノ整備ノ為必要アリト認ムルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ新聞事業主ニ対シ事業ノ譲渡若ハ譲受又ハ会社ノ合併ヲ命ズルコトヲ得
2 前項ノ場合ニ於ケル譲渡又ハ合併ノ条件ハ当事者間ノ協議ニ依ル其ノ協議調ハズ又ハ協議ヲ為スコト能ハザルトキハ主務大臣之ヲ裁定ス
3 前項ノ協議ハ主務大臣ノ認可ヲ受クルニ非ザレバ其ノ効力ヲ生ゼズ
第五条 左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ主務大臣ハ当該新聞事業主ニ対シ其ノ事業ノ廃止又ハ休止ヲ命ズルコトヲ得
一 前条第一項ノ規定ニ依ル命令又ハ同条第二項ノ規定ニ依ル裁定ニ従ハザルトキ
二 第六条ノ規定ニ依ル団体ノ定款又ハ統制規程ニ違反シタルトキ
三 当該新聞事業ノ運営ガ国策ノ遂行ニ重大ナル支障ヲ及ボシ又ハ及ボスノ虞アルトキ
2 前項ノ処分ハ予メ警告ヲ為シタル後之ヲ行フ
第六条 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ第八条ノ規定ニ該当スル者ニ対シ新聞事業ノ綜合的統制運営ヲ図リ且新聞事業ニ関スル国策ノ立案及遂行ニ協力スルコトヲ目的トスル団体ノ設立ヲ命ズルコトヲ得
第七条 前条ノ規定ニ依ル団体ハ其ノ目的ヲ達スル為左ニ掲グル事業ヲ行フ
一 新聞紙ノ編輯其ノ他新聞事業ノ運営ニ関スル統制指導
二 新聞事業ノ整備ニ関スル指導助成
三 新聞共同販売其ノ他新聞事業ニ関スル共同経営機関ノ指導助成
四 新聞記者ノ登録並ニ新聞従業者ノ厚生施設及養成訓練ノ実施
五 新聞用紙其ノ他ノ資材ノ配給ノ調整
六 新聞事業ノ向上ニ関シ必要ナル調査研究
七 其ノ他本団体ノ目的ヲ達スルニ必要ナル事業
第八条 第六条ノ規定ニ依ル団体ノ会員タル資格ヲ有スル者ハ左ニ掲グル者ニシテ主務大臣ノ指定スルモノトス
一 新聞事業主
二 新聞事業主ニ対シ報道事項ノ供給ヲ為スヲ目的トスル事業其ノ他新聞事業ニ関係アル事業ノ事業主
第九条 重要産業団体令第八条第二項及第九条乃至第三十六条ノ規定ハ統制会ノ会員タル団体ヲ組織スル者ニ関スル部分ヲ除キ第六条ノ規定ニ依ル団体ニ之ヲ準用ス但シ閣令トアルハ命令トス
2 本令ニ規定スルモノヲ除クノ外第六条ノ規定ニ依ル団体ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第十条 第四条第一項ノ規定ニ依ル命令ニ基キ左ノ事項ニ付登記ヲ受クル場合ニ於テハ其ノ登録税ノ額ハ左ノ額トス但シ登録税法ニ依リ算出シタル登録税ノ額ガ左ノ額ヨリ少キトキハ其ノ額ニ依ル
一 合併ニ因ル会社ノ設立
金銭出資ニ依ル払込株金額及金銭ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ価格ノ千分ノ五ト金銭以外ノ財産ノ出資ニ依ル払込株金額及金銭以外ノ財産ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ価格ノ千分ノ一トノ合計額
二 合併ニ因ル会社資本ノ増加
金銭出資ニ依ル増資払込株金額及金銭ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ価格ノ千分ノ五ト金銭以外ノ財産ノ出資ニ依ル増資払込株金額及金銭以外ノ財産ヲ目的トスル株金以外ノ出資ノ価格ノ千分ノ一トノ合計額
三 新聞事業ノ譲受ノ場合ニ於ケル不動産ニ関スル権利ノ取得
不動産ノ価格ノ千分ノ三
第十一条 本令中主務大臣トアルハ内地ニ在リテハ内閣総理大臣及内務大臣トシ、朝鮮、台湾、樺太又ハ南洋群島ニ在リテハ各朝鮮総督、台湾総督、樺太庁長官又ハ南洋庁長官トス
第十二条 朝鮮及南洋群島ニ在リテハ第五条第一項第二号及第六条乃至第十条ノ規定ヲ、台湾及樺太ニ在リテハ第五条第一項第二号及第六条乃至第九条ノ規定ヲ適用セズ
附 則
本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス但シ朝鮮、台湾、樺太及南洋群島ニ在リテハ昭和十六年十二月二十五日ヨリ之ヲ施行ス
「官報」より
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
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