
条約本文は、①日本海、オホーツク海、ベーリング海のソビエト属地沿岸における魚類、水産物の捕獲・採取および加工する権利の規定(第1条)、②捕獲、採取、加工のための漁区の貸付は競売により、日本国民とソ連邦人民に何等の差別を設けないこと(第2条)、③漁区を租借した日本国民は、漁区内の陸地を自由に使用する(漁船・漁網の修繕、漁獲物の陸揚げ、加工、貯蔵、これらに必要な建物の建設)権利をもつこと(第3条)、④税金、課金、手数料徴収の平等(第4条)、⑤漁業権取得者の魚類、水産物の日本への輸出の自由(第9条)、⑥漁業権を取得したソビエト漁民と同一待遇を受ける権利(第14条)など全16条からなっていました。また、議定書甲乙丙、最終議定書、交換公文、会議録など6つの付属文書があって、北洋漁業権を広範に日本に認めたものとなっています。
有効期間は8年とされましたが、それが経過した1936年(昭和11)以後は、1年ごとに条約延長の暫定協定を結び、1944年(昭和19)には効力5年の条約を締結したものの、翌年の日本敗戦で無効になりました。
以下に、「日ソ漁業条約」本文を掲載しておきますので、ご参照下さい。