
そして、その対象を、①遺伝性精神病、②遺伝性精神薄弱、③強度且悪質ナル遺伝性病的性格、④強度且悪質ナル遺伝性身体疾患、⑤強度ナル遺伝性畸形と定めました。当時の政府は、この法律によって、「悪質な遺伝性疾患の素質をもつ者」に対して不妊手術を促す一方で、「健全な素質をもつ者」に対しては不妊手術や妊娠中絶を厳しく制限し、彼らの子どもを増やそうとしたものです。しかし、この法律による不妊手術総件数は538件で、あまり機能しないまま、太平洋戦争敗戦を迎え、1948年(昭和23)の「優生保護法」(昭和23年法律第156号)制定により、その36条によって、同年9月11日をもって廃止されました。
その後、「優生保護法」の下で、医師の申請にもとづく不妊手術の手続きを定めた強制断種の規定(第4条)により、公式統計によるだけでも、1996年(平成8)までに14,566件の不妊手術が実施されています。尚、2018年(平成30)以降、旧「優生保護法」に基づいて強制不妊を受けさせられたとする原告らが、国に対して国家賠償を求める民事訴訟が全国各地で提起され、各地の地方裁判所では、優生保護法の立法あるいは同法を改正しないまま長らく放置した立法不作為について、憲法に反して違法であるとの判断が相次いだものの、請求棄却の判決が続きました。しかし、2022年(令和4)2月22日、大阪高等裁判所は、全国で初めて国家賠償請求を認容しています。
以下に、「国民優生法」(昭和15年法律第107号)を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
| 1275年(建治元) | 歌人・公卿藤原為家の命日(新暦5月27日) | 詳細 |
| 1911年(明治44) | 宮ノ越駅~木曽福島駅間が開業し、中央本線(昌平橋駅~塩尻駅~名古屋駅)が全通する | 詳細 |
| 1988年(昭和63) | 彫刻家澤田政廣の命日 | 詳細 |
| 1999年(平成11) | 本四連絡橋・尾道今治ルートの新尾道大橋、多々羅大橋、来島海峡大橋が開通する | 詳細 |
