ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

タグ:中央本線

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 今日は、明治時代後期の1903年(明治36)に、当時日本一の長さの鉄道トンネルだった、中央本線笹子トンネル(単線)が開通した日です。
 笹子トンネル(ささごとんねる)は、山梨県中央部の笹子峠の東側、中央本線笹子駅~甲斐大和駅間にある、開通当時は日本一の長さを誇った鉄道トンネルでした。中央線の敷設計画において、笹子峠は大きな難関で、1896年(明治29)に、現地測量が開始されます。
 同年12月9日にトンネル工事が着工されたものの、地質堅硬のため削岩に苦労し、自家発電設備を設け、カンテラ照明にかえて電灯照明が行われ、ダンプカー、電気機関車が使用されました。1902年(明治35)7月6日についに導坑が貫通し、付帯工事を行って、1903年(明治36)2月1日に開通(当初は単線)しましたが、当時日本一の長さ(延長4,656m)の山岳鉄道トンネルとなります。
 これは、1931年(昭和6)に上越線清水トンネル(延長9,702m)が開通するまで、29年間その座を保ちました。また、中央本線複線工事にあたり、笹子トンネルの北側に25m離れて、もう1本の新笹子トンネルが1963年(昭和38)に着工、1965年(昭和40)に開通(延長4,670m)し、上り線専用として使用されるようになり、それまでのトンネルは下り線専用となりました。
 尚、笹子峠には、甲州街道(国道20号線)の山梨県大月市と大和村の間に、1958年(昭和33)に開通した道路トンネル(延長2,953m)と中央自動車道の大月インターチェンジと勝沼インターチェンジとの間に、1977年(昭和52)に開通した道路トンネル(延長4,784m)もあります。

〇鉄道トンネルとは?

 鉄道を通すために、山腹や地下などを掘り貫いた通路のことで、隧道(ずいどう)とも呼ばれています。日本の鉄道トンネルの第1号は、東海道本線の大阪~神戸間に、明治時代前期の1871年(明治4)に完成した石屋川トンネル(延長61m)で、イギリスからのお雇い外国人の設計によるものでした。
 1880年(明治13)には、東海道本線の大津市内にあった逢坂山トンネル(延長665m)を日本人の独力により建設します。その後、1884年(明治17)には、北陸本線の滋賀県と福井県の県境に柳ヶ瀬トンネル(延長1,320m)を完成させました。
 地形が急峻で、火山の多い国土で、軟弱地盤のある中で、トンネル技術の改良研究が発達していき、1903年(明治36)には、笹子トンネル(延長4,656m)、1931年(昭和6)には、清水トンネル(延長9,702m)、1934年(昭和9)には、丹那トンネル(延長7,804m)、1944年(昭和19)には、関門トンネル(延長3,614m)などが続々と掘削されました。
 また、太平洋戦争後になると、1962年(昭和37)に、北陸本線の北陸トンネル(延長13,870m)、1972年(昭和47)に、山陽新幹線の六甲トンネル(延長16,250m)、1980年(昭和55)に、上越新幹線の大清水トンネル(延長22,221m)などの長大トンネルが次々と建設されていきます。その頂点に立つのが1988年(昭和63)に開通した青函トンネル(延長53,850m)で、このトンネルは、鉄道トンネルとして世界第2位の長さ、海底トンネルとしては、世界一の長さと深さを保ってきました。

☆日本の鉄道トンネルの長さの推移

・1871年(明治4) 東海道本線石屋川トンネル(延長61m) 日本初の鉄道トンネル イギリスからのお雇い外国人の設計
・1880年(明治13) 東海道本線逢坂山トンネル(延長665m) 日本人の独力により建設
・1884年(明治17) 北陸本線柳ヶ瀬トンネル(延長1,320m) 滋賀県と福井県の県境
・1903年(明治36) 中央本線笹子トンネル(延長4,656m)
・1931年(昭和6) 上越線清水トンネル(延長9,702m)
・1934年(昭和9) 東海道本線丹那トンネル(延長7,804m)
・1944年(昭和19) 山陽本線関門トンネル(延長3,614m) 海底トンネル
・1962年(昭和37) 北陸本線北陸トンネル(延長13,870m)
・1967年(昭和38) 上越線新清水トンネル(延長13,490m)
・1972年(昭和47) 山陽新幹線六甲トンネル(延長16,250m)
・1975年(昭和50) 山陽新幹線新関門トンネル(延長18,713m) 海底トンネル
・1980年(昭和55) 上越新幹線の大清水トンネル(延長22,221m)
・1988年(昭和63) 北海道新幹線青函トンネル(延長53,850m) 鉄道トンネル世界第2位、海底トンネル世界一
・2010年(平成22) 東北新幹線八甲田トンネル(延長26,455m) 山岳鉄道トンネル日本一

☆日本の鉄道トンネルの長さベスト35(地下鉄線・未成線・実験線は除く)

1.青函トンネル(青森県・北海道)JR北海道新幹線[奥津軽いまべつ駅~湯の里知内(信)] 延長53,850m 1988年開通
2.八甲田トンネル(青森県)JR東北新幹線[七戸十和田駅~新青森駅] 延長26,455m 2010年開通
3.岩手一戸トンネル(岩手県)JR東北新幹線[いわて沼宮内駅~ 二戸駅] 延長25,808m 2002年開通
4.飯山トンネル(長野県・新潟県)JR北陸新幹線[飯山駅~上越妙高駅] 延長22,225m 2014年開通
5.大清水トンネル(群馬県・新潟県)JR上越新幹線[上毛高原駅~越後湯沢駅] 延長22,221m 1982年開通
6.新関門トンネル(山口県・福岡県)JR山陽新幹線[新下関駅~小倉駅] 延長18,713m 1975年開通
7.六甲トンネル(兵庫県)JR山陽新幹線[新大阪駅~新神戸駅] 延長16,250m 1972年開通
8.榛名トンネル(群馬県)JR上越新幹線[高崎駅~上毛高原駅] 延長15,350m 1982年開通
9.五里ヶ峯トンネル(長野県)JR北陸新幹線[上田駅~長野駅] 延長15,175m 1997年開通
10.中山トンネル(群馬県)JR上越新幹線[高崎駅~上毛高原駅] 延長14,857m 1982年開通
11.北陸トンネル(福井県)JR北陸本線[敦賀駅~南今庄駅] 延長13,870m 1962年開通
12.新清水トンネル(新潟県)JR上越線(下り線)[水上駅~土樽駅] 延長13,490m 1967年開通
13.安芸トンネル(広島県)JR山陽新幹線[東広島駅~広島駅] 延長13,030m 1975年開通
14.筑紫トンネル(福岡県・佐賀県)JR九州新幹線[博多駅~新鳥栖駅] 延長11,935m 2011年開通
15.北九州トンネル(福岡県)JR山陽新幹線[小倉駅~博多駅] 延長11,717m 1975年開通
16.福島トンネル(福島県)JR東北新幹線[郡山駅~福島駅] 延長11,705m 1982年開通
17.頸城トンネル(新潟県)えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン[能生駅~名立駅] 延長11,353m 1969年開通
18.塩沢トンネル(新潟県)JR上越新幹線[越後湯沢駅~浦佐駅] 延長11,2175m 1982年開通
19.蔵王トンネル(福島県・宮城県)JR東北新幹線[福島駅~白石蔵王駅] 延長11,215m 1982年開通
20.赤倉トンネル(新潟県)北越急行ほくほく線[しんざ駅~魚沼丘陵駅] 延長10,472m 1997年開通
21.生田トンネル(神奈川県・東京都)JR武蔵野線[梶ヶ谷貨物ターミナル~府中本町] 延長10,359m 1973年開通
22.第3紫尾山トンネル(鹿児島県)JR九州新幹線 (鹿児島ルート)[出水~川内] 延長9,987m 2004年開通
23.一ノ関トンネル(岩手県)JR東北新幹線[一ノ関~北上] 延長9,730m 1982年開通
24.清水トンネル(群馬県・新潟県)上越線[土合~土樽] 延長9,702m 1963年開通
25.鍋立山トンネル(新潟県)北越急行ほくほく線[まつだい~ほくほく大島] 延長9,117m 1997年開通
26.備後トンネル(広島県)JR山陽新幹線[新尾道~三原] 延長8,900m 1975年
27.金田一トンネル(岩手県・青森県)JR東北新幹線[二戸~八戸] 延長8,725m 2002年開通
28.魚沼トンネル(新潟県)JR上越新幹線[浦佐~長岡] 延長8,625m 1982年開通
29.福岡トンネル(福岡県)JR山陽新幹線[小倉~博多] 延長8,488m 1975年開通
30.秋間トンネル(群馬県)JR北陸新幹線[安中榛名~軽井沢] 延長8,295m 1997年開通
31.三戸トンネル(青森県)JR東北新幹線[二戸~八戸] 延長8,250m 2002年開通
32.渡島当別トンネル(北海道)JR北海道新幹線[木古内~新函館北斗] 延長8,060m 2016年開通
33.神戸トンネル(兵庫県)JR山陽新幹線[新神戸~西明石] 延長7,970m 1972年開通
34.新丹那トンネル(静岡県)JR東海道新幹線[熱海~三島] 延長7,959m 1964年開通
35.丹那トンネル(静岡県)JR東海道本線[熱海~函南] 延長7,804m 1934年開通

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1874年(明治7)江藤新平・島義勇らが佐賀の乱を起こす詳細
1895年(明治28)京都市(塩小路東洞院通~伏見町下油掛間)で日本初の路面電車が営業開始する詳細
1922年(大正10)軍人・政治家で元老の筆頭格山県有朋の命日詳細
1938年(昭和13)有沢広巳、大内兵衛、美濃部亮吉ら教授陣や佐々木更三を含む38人が検挙される(第二次人民戦線事件)詳細
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 今日は、明治時代後期の1911年(明治44)に、 宮ノ越駅~木曽福島駅間が開業し、中央本線(昌平橋駅~塩尻駅~名古屋駅間)が全通した日です。
 中央本線(ちゅうおうほんせん)は、東京駅を起点とし、塩尻駅を経由して名古屋駅へ至る386.6km、および岡谷~辰野~塩尻間の支線27.7kmを含む、全営業キロ414.3kmの鉄道の営業線(現在はJRが運行)です。1889年(明治22)4月11日に、甲武鉄道の新宿駅~立川駅間(27.24km)が開業したのが最初で、徐々に延伸していき、1904年(明治37)には、甲武鉄道として御茶ノ水駅~八王子駅間が開業しましたが、1906年(明治39)10月1日に「鉄道国有法」に基づき買収・国有化されました。
 一方で、1900年(明治33)7月25日に、官設鉄道の中央西線として名古屋駅~多治見駅間(36.25km)が開業、翌年8月1日には東側の八王子駅~上野原駅間(22.53km)も開業しました。その後徐々に東西それぞれに延伸していき、1911年(明治44)5月1日に宮ノ越駅~木曽福島駅間の延伸開業に伴い、西側と東側からの路線が繋がり、昌平橋駅~塩尻駅~名古屋駅間が中央本線となります。
 それからも1912年(明治45)4月1日に万世橋駅~昌平橋駅間(0.32 km)、翌年には東京駅~万世橋駅間(1.93 km)が延伸開業して、東京駅~塩尻駅~名古屋駅間の路線となりました。太平洋戦争後の1973年(昭和49)に全線の電化が完成、1983年(昭和58)には、岡谷駅~みどり湖駅~塩尻駅間 (11.7 km) の新線が開業、経路を新線経由に改め、従来の辰野駅経由の路線は支線となります。
 尚、1987年(昭和62)4月1日の国鉄分割民営化により、塩尻駅~名古屋駅間を東海旅客鉄道(JR東海)、塩尻駅~東京駅間を東日本旅客鉄道(JR東日本)、および日本貨物鉄道(JR貨物)に経営が承継されました。全線直流電化され、本州中央部の山岳地帯を縦断する幹線鉄道で25‰(パーミル)の急勾配区間が至る所に連続していますが、東京駅~高尾駅間は東京の通勤電車区間となり通勤、通学のための利用者が多くなっています。

〇中央本線関係略年表年表

・1889年(明治22)4月11日 甲武鉄道の新宿駅~立川駅間(27.24km)が開業する
・1889年(明治22)8月11日 甲武鉄道の立川駅~八王子駅間(9.72km)が延伸開業する
・1894年(明治27)10月9日 甲武鉄道の牛込駅~新宿駅間(5.63km)が延伸開業する
・1895年(明治28)4月3日 甲武鉄道の飯田町駅~牛込駅間(0.80km)が延伸開業する
・1900年(明治33)7月25日 官設鉄道の名古屋駅~多治見駅間(36.25km)が開業する
・1901年(明治34)8月1日 官設鉄道の八王子駅~上野原駅間(22.53km)が開業する
・1902年(明治35)6月1日 官設鉄道の上野原駅~鳥沢駅間(11.27km)が延伸開業する
・1902年(明治35)10月1日 官設鉄道の鳥沢駅~大月駅間(6.72km)が延伸開業する
・1902年(明治35)12月21日 官設鉄道の多治見駅~中津駅間(43.77km)が延伸開業する
・1903年(明治36)2月1日 官設鉄道の大月駅~初鹿野駅間(18.19km)が延伸開業する
・1903年(明治36)6月11日 官設鉄道の初鹿野駅~甲府駅間(27.04km)が延伸開業する
・1903年(明治36)12月15日 官設鉄道の甲府駅~韮崎駅間(13.04km)が延伸開業する
・1904年(明治37)8月21日 甲武鉄道の飯田町駅~中野駅間が電化する
・1904年(明治37)12月21日 官設鉄道の韮崎駅~富士見駅間(34.60km)が延伸開業する
・1904年(明治37)12月31日 甲武鉄道の御茶ノ水駅~飯田町駅間(1.29km)の電車線が延伸開業する
・1905年(明治38)11月25日 官設鉄道の富士見駅~岡谷駅間(27.52km)が延伸開業する
・1906年(明治39)6月11日 官設鉄道の岡谷駅~塩尻駅間(16.9M≒27.20km)が延伸開業する
・1906年(明治39)10月1日 甲武鉄道御茶ノ水駅~八王子駅間が「鉄道国有法」に基づき買収・国有化される
・1908年(明治41)4月19日 昌平橋駅~御茶ノ水駅間(0.48 km)の電車線が延伸開業する
・1908年(明治41)8月1日 中津駅~坂下駅間(9.82km)が延伸開業する
・1909年(明治42)7月15日 坂下駅~三留野駅間(9.17km)が延伸開業する
・1909年(明治42)9月1日 三留野駅~野尻駅間 (5.7M) が延伸開業する
・1909年(明治42)12月1日 野尻駅~須原駅間(6.28km)が延伸開業する
・1909年(明治42)10月12日 国有鉄道線路名称制定により、昌平橋駅~塩尻駅~篠ノ井駅間が中央東線となる
・1909年(明治42)12月1日 塩尻駅~奈良井駅間の延伸開業に伴い、塩尻駅 - 篠ノ井駅間が支線となる
・1910年(明治43)10月5日 奈良井駅~藪原駅間(6.60km)、須原駅~上松駅間(11.43km)が延伸開業する
・1910年(明治43)11月25日 藪原駅~宮ノ越駅間(5.63km)、上松駅~木曽福島駅間(7.40km)が延伸開業する
・1911年(明治44)5月1日 宮ノ越駅~木曽福島駅間の延伸開業に伴い、塩尻駅~篠ノ井駅間を篠ノ井線として分離、中央西線を編入して昌平橋駅~塩尻駅~名古屋駅間が中央本線となる
・1912年(明治45)4月1日 万世橋駅~昌平橋駅間(0.32 km)の電車線が延伸開業する
・1919年(大正8)3月1日 東京駅~万世橋駅間(1.93 km)が延伸開業する
・1973年(昭和49)5月27日 全線の電化が完成する
・1983年(昭和58)7月5日 岡谷駅~みどり湖駅~塩尻駅間 (11.7 km) の新線が開業、経路を新線経由に改める
・1987年(昭和62)4月1日 国鉄分割民営化により、塩尻駅~名古屋駅間を東海旅客鉄道、塩尻駅~東京駅間を東日本旅客鉄道が承継する

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1275年(建治元)歌人・公卿藤原為家の命日(新暦5月27日)詳細
1988年(昭和63)彫刻家澤田政廣の命日詳細
1999年(平成11)本四連絡橋・尾道今治ルートの新尾道大橋、多々羅大橋、来島海峡大橋が開通する詳細
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