ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

タグ:ポツダム政令

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 今日は、昭和時代中期の1952年(昭和27)に、「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」が公布・施行され、憲法よりも連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の命令を優先すると定めた、ポツダム命令(政令)が廃止された日です。
 ポツダム命令(ぽつだむめいれい)は、昭和時代前期の1945年(昭和20)9月20日に公布・施行された、「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件(1945年勅令第542号)によって、発令された連合国最高司令官の命令を実施するための勅令(政令)・閣令・省令でした。太平洋戦争後の日本に対する占領統治の特徴は、沖縄は全面的な軍政下に置かれていたものの、本土では占領軍の命令が日本政府に出され、それを責任をもって施行する間接統治ということとなり、そのために出されたものでした。当初は緊急勅令(ポツダム勅令)の形式をとり、「国防保安法廃止等ニ関スル件」、「治安維持法廃止等ノ件」、「治安警察法廃止等ノ件」、「政治犯人等ノ資格回復ニ関スル件」などが出されていますが、1947年(昭和22)5月3日の「日本国憲法」施行後は、「政令」の形式をとり、「ポツダム政令」と呼ばれるよう変わりました。
 その後は、「公職追放令」、「物価統制令」、「団体等規正令」、「占領目的阻害行為等処罰令」などが出されました。この勅令542号は、1952年(昭和27)3月31日公布の「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」(昭和27年法律第81号)によって、「サンフランシスコ平和条約」発効の同年4月28日に失効し、ポツダム命令は消滅することになります。
 以下に、「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件(1945年勅令第542号)と「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」(昭和27年法律第81号)を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ發スル命令ニ關スル件(1945年勅令第542号) 1945年(昭和20)9月20日公布・施行

朕茲ニ緊急ノ必要アリト認メ樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ帝國憲法第八條第一項ニ依リ「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ發スル命令ニ關スル件ヲ裁可シ之ヲ公布セシム

御名御璽
昭和二十年九月二十日

       內閣總理大臣    稔  彥  王
       國 務 大 臣 公爵 近衞  文麿
       海 軍 大 臣    米內  光政
       運 輸 大 臣    小日山直登
       大 藏 大 臣    津島  壽一
       司 法 大 臣    岩田  宙造
       農 林 大 臣    千石興太郞
       國 務 大 臣    緖方  竹虎
       內 務 大 臣    山崎    巖
       商 工 大 臣    中島知久平
       厚 生 大 臣    松村  謙三
       文 部 大 臣    前田  多門
       國 務 大 臣    小畑敏四郞
       陸 軍 大 臣    下村    定
       外 務 大 臣    吉田    茂

勅令第五百四十二號

政府ハ「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ聯合國最高司令官ノ爲ス要求ニ係ル事項ヲ實施スル爲特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ爲シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得

附則

本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

     「ウィキソース」より

〇「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」(昭和27年法律第81号)1952年(昭和27)4月11日公布・施行

法律第八十一号

1 ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号。以下「勅令第五百四十二号」という。)は、廃止する。
2 勅令第五百四十二号に基く命令は、別に法律で廃止又は存続に関する措置がなされない場合においては、この法律施行の日から起算して百八十日間に限り、法律としての効力を有するものとする。
3 この法律は、勅令第五百四十二号に基く命令により法律若しくは命令を廃止し、又はこれらの一部を改正した効果に影響を及ぼすものではない。

附 則
1 この法律は、日本国との平和条約の最初の効力発生の日から施行する。
2 この法律施行のための経過的規定その他この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。

     「ウィキソース」より

☆ポツダム命令(政令)一覧

<1945年(昭和20)>

・568 國防保安法廢止等ニ關スル件
・575 治安維持法廢止等ノ件
・576 要塞地帶法廢止等ノ件
・577 金、銀又ハ白金ノ取引等取締ニ關スル件
・578 金、銀又ハ白金ノ地金又ハ合金ノ輸入ノ制限又ハ禁止等ニ關スル件
・604 軍事特別措置法廢止等ニ關スル件
・605 臨時郵便取締令廢止ノ件
・615 外國爲替管理法ノ罰則ノ特例ニ關スル件
・634 兵役法廢止等ニ關スル件
・635 要求物資使用収用令
・636 土地工作物使用令
・638 治安警察法廢止等ノ件
・641 住宅緊急措置令
・643 軍馬資源保護法廢止等ニ関スル件
・653 昭和十三年法律第三十號廢止等ニ關スル件
・655 昭和二十年勅令第五百七十八號中改正ノ件
・656 外國爲替資產等ノ分離保管ノ件
・657 會社ノ解散ノ制限等ノ件
・658 第一復員裁判所及第二復員裁判所令
・718 宗敎團體法等廢止ノ件
・719 宗敎法人令
・730 政治犯人等ノ資格囘復ニ關スル件
・731 衆議院議員選擧人名簿ノ特例ニ關スル件

<1946年(昭和21)>

・33 国際的協定又ハ国際的契約ノ禁止等ニ關スル件
・43 厚生年金保険法等中改正ノ件
・52 有毒飲食物等取締令
・53 工業所有権法戦時特例中改正ノ件
・68 恩給法ノ特例ニ關スル件
・70 宗教法人令中改正ノ件
・71 官国幣社経費ニ関スル法律等廃止ノ件
・81 地方団体ノ吏員等連合国最高司令官ノ命令ニ基キ退職シタルトキノ退隠料等ヲ受クルノ資格又ハ権利ノ喪失等ニ関スル件
・82 永楽土地建物株式会社ノ財産ノ取引ノ制限等ノ件
・96 衆議院議員選挙法第百一条ノ三及第百四条ノ規定ノ適用ニ関スル件
・101 政党、協会其ノ他ノ団体ノ結成ノ禁止等ニ関スル件
・105 戦争終結後復員シタル陸海軍ノ軍人等ニ対シ支給シタル退職賞与金ノ国庫返納ニ関スル件
・109 就職禁止、退官、退職等ニ関スル件
・110 臨時軍事費特別会計ノ終結ニ關スル件
・112 軍人及軍属ニ交付セラレタル賜金国庫債券ヲ無効トスルコトニ関スル件
・116 退職手当金、年金其ノ他此等ニ準ズベキ利益ノ給付ノ制限ニ関スル件
・118 物価統制令
・126 都会地転入抑制緊急措置令
・139 臨時船舶管理法中改正等ニ関スル件
・142 国有財産法中改正等ノ件
・143 昭和二十年勅令第六百五十七号会社ノ解散ノ制限等ノ件中改正ノ件
・144 臨時肥料配給統制法中改正等ニ関スル件
・146 昭和十三年法律第八十四號大東亞戰爭ニ際シ召集中ノ者ノ選擧權及被選擧權等ニ關スル法律中改正等ノ件
・148 会計法戦時特例中改正等ノ件
・161 昭和十八年法律第八十八號陪審法ノ停止ニ關スル法律中改正ノ件
・188 昭和二十一年勅令第三十三号国際的協定又ハ国際的契約ノ禁止等ニ關スル件中改正ノ件
・233 持株会社整理委員会令
・243 会社配当等禁止制限令
・262 日本通運株式会社法中改正等ノ件
・263 教職員ノ除去、就職禁止及復職等ノ件
・266 昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く傷兵院法を廃止する勅令
・273 民事裁判権の特例に関する勅令
・274 刑事裁判権等の特例に関する勅令
・275 臨時貴金属数量等報告令
・277 関税法の罰則等の特例に関する勅令
・278 陸軍軍法會議法、海軍軍法會議法及第一復員裁判所及第二復員裁判所令廢止ニ關スル件
・282 昭和二十年勅令第五百四十二号「ポツダム」宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く都会地転入抑制緊急措置令の一部を改正する勅令
・283 軍需金融等特別措置法等の一部を改正する勅令
・284 同年勅令第六百三十四号兵役法廢止等ニ關スル件中改正ノ件
・285 復員官署ニ於テ運航スル船舶ニシテ復員又ハ掃海ニ使用スルモノノ乗員ニ付船員法等ノ一部準用ノ件
・286 特定財産管理令
・288 臨時建築制限令
・294 聯合国財産の返還等の件
・298 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く住宅緊急措置令の一部を改正する勅令
・300 銃砲等所持禁止令
・304 昭和二十一年勅令第六十八号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く恩給法の特例に関する勅令)の一部を改正する勅令
・306 昭和二十一年勅令第百九号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く就職禁止、退官、退職等に関する件)の一部を改正する勅令
・307 昭和二十一年勅令第百九号(昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く就職禁止、退官、退職等に関する件)の一部を改正する勅令
・311 聯合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令
・312 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く昭和二十一年勅令第百一号(政党、協会その他の団体の結成の禁止等に関する勅令)の一部を改正する勅令
・325 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く有毒飲食物等取締令の一部を改正する勅令
・328 貿易等臨時措置令
・329 閉鎖機関に関する債権の時効等の特例に関する勅令
・330 交易営団解散令
・382 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く物価統制令の一部を改正する勅令
・384 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き銃砲等所持禁止令の一部を改正する勅令
・418 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き昭和二十一年勅令第八十二号永楽土地建物株式会社の財産の取引の制限等に関する勅令を廃止する勅令
・421 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き戸籍法の一部を改正する勅令
・434 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き銃砲等所持禁止令の一部を改正する勅令
・442 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き、都会地転入抑制緊急措置令の一部を改正する勅令
・443 地代家賃統制令
・446 重要産業団体令を廃止する等の勅令
・452 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く昭和二十年法律第四十四号国家総動員法及び戦時緊急措置法廃止法律の一部を改正する勅令
・456 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き、臨時貴金属数量等報告令の一部を改正する等の勅令
・475 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き昭和二十一年勅令第二百七十三号民事裁判権の特例に関する勅令の一部を改正する勅令
・516 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き臨時貴金属数量等報告令の一部を改正する勅令
・529 漁業法の罰則の特例に関する勅令
・540 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き、昭和二十一年勅令第九十六号衆議院議員選挙法第百一条ノ三及び第百四条の規定の適用に関する件の一部を改正する勅令
・562 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く船舶保護法の廃止等に関する勅令
・563 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基く東亜海運株式会社の解散に関する勅令
・564 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く軍用電気通信法等を廃止する勅令
・567 会社の証券保有制限等に関する勅令
・570 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基き昭和二十一年勅令第三百十二号(同年勅令第百一号政党、協会その他の団体の結成に関する件の一部を改正する勅令)の一部を改正する勅令
・571 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基き都会地転入抑制緊急措置令の一部を改正する勅令
・576 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴ひ発する命令に関する件に基き昭和二十一年勅令第二百七十七号関税法の罰則等の特例に関する勅令の一部を改正する勅令
・592 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基き持株会社整理委員会令の一部を改正する勅令
・634 日本銀行に対する外国通貨等の引渡に関する勅令

<1947年(昭和22)>

・1 公職に関する就職禁止、退官、退職等に関する勅令を改正する勅令
・3 市町村長の立候補禁止等に関する勅令
・4 町内会部落会又はその連合会の長の選挙に関する勅令
・9 婦女に賣淫をさせた者等の処罰に関する勅令
・21 会社の証券保有制限等に関する件の一部を改正する勅令
・27 地代家賃統制令の一部を改正する勅令
・36 連合国人の特許発明等の実施状況調査に関する勅令
・45 臨時建築制限令を廃止する勅令
・46 連合国財産の返還等に関する件の一部を改正する勅令
・48 会社の証券保有制限等に関する件の一部を改正する勅令
・61 昭和二十二年勅令第一号(公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令) の特例に関する勅令
・65 昭和二十二年勅令第一号の規定による覚書該当者の指定の解除の訴願に関する勅令
・67 町内会部落会又はその連合会の長の選挙に関する勅令の廃止に関する勅令
・74 閉鎖機関令
・75 閉鎖機関整理委員会令
・77 公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令の一部を改正する勅令
・82 都会地転入抑制緊急措置令の一部を改正する勅令
・84 政党、協会その他の団体の結成の禁止等に関する勅令の一部を改正する勅令
・109 国家総動員法及び戦時緊急措置法を廃止する法律の一部を改正する勅令
・133 物価統制令の一部を改正する勅令
・171 肥料配給公団令
・207 外國人登錄令

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 今日は、昭和時代中期の1950年(昭和25)に、GHQのいわゆるポツダム政令として、「警察予備隊令」(昭和25年政令第260号)が公布・施行された日です。
 「警察予備隊令(けいさつよびたいれい)」は、連合国軍最高司令官マッカーサー元帥が発した日本警察力増強に関する書簡に基づき、いわゆるポツダム政令として、「旧警察法」に基づいて制定され、警察予備隊を設置するものでした。1950年(昭和25)6月25日に勃発した朝鮮戦争において、アメリカ軍は日本駐留部隊を朝鮮半島に出動させることとなり、それをどう補うかが課題となり、日本政府に対し、日本警察力増強に関する書簡を送ることとなります。
 それに基づいて制定されましたが、その目的は、「わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うため」(第1条)とされたものの、総理府に属して内閣総理大臣に直属し、装備・訓練は米軍に依存し、定員7万5,000名で実質的には小型陸軍の建設を目ざしたもので、再軍備の第一歩とされています。その後、1952年(昭和27)に、「保安庁法」により保安隊に改編され、1954年(昭和29)には、「自衛隊法」により自衛隊となりました。
 以下に、「警察予備隊令」(昭和25年政令第260号)を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「警察予備隊令」(昭和25年政令第260号) 1950年(昭和25)8月10日公布・施行

警察予備隊令をここに公布する。
御名御璽

昭和二十五年八月十日
             内閣総理大臣 吉田  茂

政令第二百六十号
警察予備隊令内閣は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号)に基き、この政令を制定する。

(目的)
第一條 この政令は、わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うため警察予備隊を設け、その組織等に関し規定することを目的とする。

(設置)
第二條 総理府の機関として警察予備隊を置く。

(任務)
第三條 警察予備隊は、治安維持のため特別の必要がある場合において、内閣総理大臣の命を受け行動するものとする。
2 警察予備隊の活動は、警察の任務の範囲に限られるべきものであつて、いやしくも日本国憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉にわたる等その権能を濫用することとなつてはならない。
3 警察予備隊の警察官の任務に関し必要な事項は、政令で定める。

(定員)
第四條 警察予備隊の職員の定員は、七万五千百人とし、うち七万五千人を警察予備隊の警察官とする。

(組織)
第五條 警察予備隊に、本部及び部隊その他所要の機関を置く。

(本部の組織)
第六條 本部に、長官官房[1]の外、警務局、人事局、裝備局、経理局及び医務局を置く。

(長官及び次長)
第七條 本部に、長官及び次長各一人を置く。
2 長官は、内閣総理大臣が任命する。
3 長官の任免は、天皇が認証する。
4 長官は、内閣総理大臣の指揮監督を受け、警察予備隊の長として隊務を統轄する。
5 次長は、長官の職務を助ける。

(職員の人事管理)
第八條 警察予備隊の職員の職は、特別職とする。
2 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三章第六節(第三款を除く。)及び第七節の規定並びにこれらの規定に関する罰則の規定は、前項の職員に準用する。この場合において、これらの規定中「人事院」とあるのは「内閣総理大臣」と、「人事院規則」とあるのは「総理府令」と読み替えるものとする。
3 警察予備隊の職員に対する恩給法(大正十二年法律第四十八号)、国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)及び国家公務員等に対する退職手当の臨時措置に関する法律(昭和二十五年法律第百四十二号)の適用については、政令で特別の定をすることができる。
4 前三項に定めるものを除くの外、警察予備隊の職員の階級、任免、昇任、給與、服制その他人事に関する事項については、政令で定める。

(内閣総理大臣の権限の代行)
第九條 内閣総理大臣は、特に必要があると認める場合においては、この政令に基きその権限に属する事務を、他の国務大臣に行わせることができる。

(組織編成等の細目)
第十條 この政令に定めるものを除くの外、警察予備隊の組織編成その他必要な事項については、総理府令で定める。

附 則
1 この政令は、公布の日から施行する。
2 昭和二十五年度に限り、内閣は、一般会計予算における国債費の金額のうち二百億円を、警察予備隊に必要な経費に移用する。
3 昭和二十五年度内における契約等に因り支出の義務を生じ、当該年度内に支出を終らなかつた経費の金額は、翌年度に繰り越して使用することができる。
4 内閣総理大臣は、当分の間、国家地方警察の機関をして、警察予備隊の事務の一部を取り扱わせることができる。
5 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。
第十六條の二の次に、次の一條を加える。第十六條の三 総理府の機関として警察予備隊を置く。2 警察予備隊は、わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するため、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補うものとして設置される機関とする。3 警察予備隊の組織及び所掌事務については、警察予備隊令(昭和二十五年政令第二百六十号)の定めるところによる。
6 労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)及び労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)並びにこれらの法律に基いて発せられる命令は、警察予備隊の職員には適用しない。

              内閣総理大臣 吉田  茂
              法務総裁   大橋 武夫
              大蔵大臣   池田 勇人

    「ウイキソース」より

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 今日は、昭和時代中期の1949年(昭和24)に、公共の安全の確保に寄与するためとして、「団体等規正令」(昭和24年政令第64号)が公布・施行された日です。
 「団体等規正令(だんたいとうきせいれい)」は、占領軍の指示で超憲法的に制定された、いわゆるポツダム政令の一つで、民主主義・平和主義の健全な育成のため、軍国主義的、極端な国家主義的、暴力主義的、反民主主義的な団体の結成および指導行為の禁止を目的としたとされるものでした。そうであるとされた、団体の結成および指導を禁止し、その解散を指定し、それに特に寄与した関係者職員などを公職から除去するもので、政治活動をするにあたっては、政治団体の役員・構成員等の届出、機関誌紙類の提出等を義務付けられ、本令の遵守について法務総裁の調査権限が付与されています。
 右翼団体、暴力団等にも適用されましたが、実際には朝鮮戦争勃発前後、共産党およびその影響下にある団体に多く適用され、その政治活動を著しく規制するもので、いわゆるレッド・パージに活用されました。1952年(昭和27)4月28日の「サンフランシスコ平和条約」発効後の7月21日に廃止され、その内容は同時に公布・施行された「破壊活動防止法」(昭和27年法律240号)に引き継がれたとされています。
 以下に、「団体等規正令」(昭和24年政令第64号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「団体等規正令」(昭和24年政令第64号) 1949年(昭和24)4月4日公布・施行

 内閣は、ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件(昭和二十年勅令第五百四十二号)に基き、同令に基く政党、協会その他の団体の結成の禁止等に関する件(昭和二十一年勅令第百一号)を改正するこの政令を制定する。

 (この政令の目的)
第一条 この政令は、平和主義及び民主主義の健全な育成発達を期するため、政治団体の内容を一般に公開し、秘密的、軍国主義的、極端な国家主義的、暴力主義的及び反民主主義的な団体の結成及び指導並びに団体及び個人のそのような行為を禁止することを目的とする。
2 この政令は、この政令に定められた目的及び行為に関する場合を除き、集会、言論又は信教の自由を阻害するように解釈し、又は適用してはならない。

 (団体の結成及び指導の禁止)
第二条 その目的又は行為が左の各号の一に該当する政党、協会その他の団体は、結成し、又は指導してはならない。
 一 占領軍に対して反抗し、若しくは反対し、又は日本国政府が連合国最高司令官の要求に基いて発した命令に対して反抗し、若しくは反対すること。
 二 日本国の侵略的対外軍事行動を支持し、又は正当化すること。
 三 日本国が他のアジア、インドネシア又はマレー人種の指導者であることをせん称すること。
 四 日本国内において外国人を貿易、商業又は職業従事から排除すること。
 五 日本国と諸外国との間の自由な文化及び学術の交流に対して反対すること。
 六 日本国内において、軍事若しくは準軍事的訓練を実施し、陸海軍軍人であつた者に対して民間人に与えられる以上の恩典を供与し、若しくは特殊の発言権を附与し、又は軍国主義若しくは軍人的精神を存続すること。
 七 暗殺その他の暴力主義的企画によつて政策を変更し、又は暴力主義的方法を是認するような傾向を助長し、若しくは正当化すること。

 (禁止行為)
第三条 前条各号の一に該当する行為は、してはならない。

 (団体の解散)
第四条 左の各号の一に該当する団体で法務総裁の指定するものは、その指定によつて解散する。
 一 第二条に該当する団体(第五条の規定により第二条の団体とみなされたものを含む。)
 二 第二条各号の一に該当する行為をした団体
 三 第六条の届出をしない団体
2 法務総裁は、前項各号の一に該当する団体で同項の指定によらないですでに解散したもの(この政令施行前に解散したものを含む。)に対しても、同項の指定をすることができる。この場合において、その団体は、その指定によつて解散したものとみなす。
3 前二項の法務総裁の指定は、官報に公示して行う。

 (第二条の団体とみなされる団体)
第五条 左の各号の一に該当する団体は、法務総裁の特に指定するものを除くほか、第二条の団体とみなす。
 一 その主要役員のいずれかが左の一に該当するもの
  イ 前条の規定により解散した団体の構成員であつた者
  ロ 昭和五年一月一日以後現役にあつた正規の陸海軍将校又は特別志願予備将校であつた者
  ハ 憲兵隊、特務機関、海軍特務部又はその他の陸海軍警察機関の特殊若しくは秘密諜報機関に勤務した者又はこれに協力した者
  二 その構成員の四分の一を越える者が前条の規定により解散した団体の構成員であつたもの

 (団体の届出)
第六条 その目的又は行為が左の各号の一に該当する政党、協会その他の団体については、当該団体の代表者又は主幹者は、第七条の規定によつて届出をしなければならない。
 一 公職の候補者を推薦し、又は支持すること。
 二 政府又は地方公共団体の政策に影響を与える行為をすること。
 三 日本国と諸外国との関係に関し論議すること。

第七条 前条の届出は、新たに同条の団体を結成し、又は既存の団体を同条の団体に変更したときは、その日から三日以内にその団体について左の各号に掲げる事項を、その届出事項に変更があつたとき、又はその団体が解散したときは、その日から二十日以内にその旨を、その主たる事務所の所在地の市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)に対して行うものとする。
 一 名称
 二 目的
 三 主たる事務所の所在地
 四 役員の住所、氏名、現に所属し、及び従来所属したことのある一切の団体の名称並びに軍隊又は警察に勤務したことのある者については、その旨
 五 有力な財政的援助者の住所、氏名及びその援助の金額
 六 構成員の住所、氏名及び従来所属したことのある一切の政治的又は思想的団体の名称
2 前項第六号の規定は、労働組合及びこれに準ずべき労働者又は被傭者の団体には適用しない。
3 前二項に定めるものを除くほか、前条の届出に関し必要な事項は、法務庁令で定める。

 (届出の通達及び公開)
第八条 第六条の届出を受理した市町村長は、法務庁令の定めるところにより、これを都道府県知事及び法務総裁に通達しなければならない。
2 市町村長、都道府県知事及び法務総裁は、法務庁令の定めるところにより、それぞれ前項の届出を一般に公開しなければならない。

 (機関紙の提出)
第九条 第六条の団体が、機関誌紙を刊行したときは、その代表者又は主幹者は、刊行の日から二十日以内にその一部を主たる事務所の所在地の都道府県知事に、その二部を都道府県知事を経て法務総裁に提出しなければならない。

 (法務総裁の調査)
第十条 法務総裁は、この政令の条項が遵守されているかどうかを確かめるために、必要な調査を行うものとする。
2 法務総裁は、前項の規定による事務の一部を都道府県知事をして行わせることができる。
3 法務総裁又は都道府県知事は、第一項の調査をするについて必要があるときは、関係者の出頭を求め、又は当該官吏若しくは吏員をしてその説明を聴取し、若しくは資料その他の物件の提出を求めさせることができる。
4 前項に規定する当該官吏又は吏員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを呈示しなければならない。

 (団体解散に伴う公職からの除去)
第十一条 昭和二十三年五月十一日以後第四条の規定により解散した団体の本部又は支部その他の下部組織のいずれかに対し、時期の如何を問わず、左の各号の一に該当する関係にあつた者で、法務総裁の指定するものは、公職に関する就職禁止、退職等に関する勅令(昭和二十二年勅令第一号、以下勅令第一号という。)の規定による覚書該当者に準じて、公職からこれを除去する。
 一 創立者、役員又は理事であつた者
 二 要職を占めた者
 三 一切の刊行物又は機関誌紙の編集者
 四 自発的に多額の寄附をした者
2 前項の法務総裁の指定は、官報に公示して行う。

第十二条 前条第一項の規定に該当する者は、同項の指定によつて、勅令第一号による覚書該当者としての指定を受けたものとみなし、その者が現に同令にいう公職にあるときは、同令第三条の規定に従い退職しなければならない。その他その者に関しては、同令が適用されるものとする。但し、同令第三条第二項但書の権限は、法務総裁が行うものとする。

 (罰則)
第十三条 左に掲げる者は、十年以下の懲役又は禁錮に処する。但し、情状により、七万五千以下の罰金に処することができる。
 一 第二条又は第三条の規定に違反した者
 二 第六条の届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 三 第十条第三項の規定により出頭、説明又は資料その他の物件の提出を求められて、これに応じない者
 四 第十一条第一項の規定に該当する者で前条の規定により辞職の措置をとらず、又はその該当の事実を秘して勅令第一号にいう公職に就いたもの。

第十四条 第四条の規定により解散した団体の主要役員若しくは有力な財政的援助者であつた者又は勅令第一号にいう覚書該当者であつてこれらの団体の顧問、参与(これらと同種及び同等の権限を有する類似の職を含む。以下同じ。)若しくは構成員であつた者が新たに第二条の団体を結成し、若しくはその結成を援助し、又は指導し、若しくはその指導を援助したときは、前条に規定する刑の二倍を越えない刑に処する。
2 前項に掲げる者が同項に掲げる新たな団体の主要役員、顧問、参与、構成員又は有力な財政的援助者となつたときは、その者は、同項に掲げる新たな団体を結成し、若しくはその結成を援助し、又は指導し、若しくはその指導を援助したものと推定する。

第十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し第十三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対し同条の罰金刑を科する。

  附 則 (抄)

1 この政令は、公布の日から施行する。
2 昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く政党、協会その他の団体の結成の禁止等に関する件(昭和二十一年勅令第百一号。以下旧令という。)第二条及び第四条第一号(イ)の規定による従前の指定は、この政令第四条の規定による指定とみなす。
3 旧令第五条の規定に基く届出は、この政令第六条の規定に基く届出とみなす。
4 旧令第五条ノ三の規定による指定は、この政令第十一条の規定による指定とみなす。
5 この政令施行前になした違反行為の処罰については、なお旧令による。

 「官報」より

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