今日は、昭和時代前期の1940年(昭和15)に、適性語に関わって、大蔵省専売局がタバコの名称の日本名への改名(ゴールデンバット⇒金鵄、チェリー⇒桜、カメリア⇒椿)を発表した日です。
敵性語(てきせいご)は、敵国の言葉のことですが、日中戦争~太平洋戦争中の日本では、英語が敵性語とみなされました。英語は、「軽佻浮薄」(気分が浮ついていて、行動が軽々しいという意味)であるとして、排斥が進みます。
特に法的に規制された事実はありませんが、1940年(昭和15)3月28日に内務省が16人の芸人に芸名の改名を命令したり、9月頃から鉄道省によって駅構内の英語表記が撤廃され始めたり、10月31日に大蔵省専売局がタバコの改名を発表するなどして、英語名を使わない風潮が醸成されていきました。1941年(昭和16)12月の太平洋戦争突入後はその運動はより顕著なものとなり、「マスゴミ」や「大政翼賛会」などにより、自主的な規制運動も進みます。
1943年(昭和18)2月には、英語の雑誌名が禁止されて改名されたり、同年に大日本体育会により英名スポーツの名称を和名に改称、3月2日に職業野球の理事会で英米語をやめ、野球用語も全面日本語化することを決定して拍車がかかりました。しかし、太平洋戦争後は、英語名が復活したものも多数あります。
特に法的に規制された事実はありませんが、1940年(昭和15)3月28日に内務省が16人の芸人に芸名の改名を命令したり、9月頃から鉄道省によって駅構内の英語表記が撤廃され始めたり、10月31日に大蔵省専売局がタバコの改名を発表するなどして、英語名を使わない風潮が醸成されていきました。1941年(昭和16)12月の太平洋戦争突入後はその運動はより顕著なものとなり、「マスゴミ」や「大政翼賛会」などにより、自主的な規制運動も進みます。
1943年(昭和18)2月には、英語の雑誌名が禁止されて改名されたり、同年に大日本体育会により英名スポーツの名称を和名に改称、3月2日に職業野球の理事会で英米語をやめ、野球用語も全面日本語化することを決定して拍車がかかりました。しかし、太平洋戦争後は、英語名が復活したものも多数あります。
〇戦時下の敵性語一覧(日中戦争~太平洋戦争)
<地名>
・日本アルプス⇒中部山岳(ちゅうぶさんがく)
・パールハーバー⇒真珠湾(しんじゅわん)
・シンガポール⇒昭南島(しょうなんとう)
<芸名(1940年3月28日に内務省が16人に芸名の改名を命令)>
・ディック・ミネ (歌手)⇒三根 耕一
・ミス・コロンビア (歌手)⇒松原操
・リーガル千太・万吉 (漫才師)⇒柳家千太・万吉
・秋スケ (漫才師)⇒徳山英助・美助
・ミスワカナ (漫才師)⇒玉松ワカナ
・あきれたぼういず⇒新興快速舞隊
・朝吹英一とカルア (ハワイアン)⇒南海楽友
・ビクター合唱団⇒勝鬨
・コロンビア合唱団⇒日畜合唱団
・シンフォニック・コーラス⇒交響合唱団
・モアナ・グリークラブ (ハワイアン)⇒灰田兄弟と岡の楽団
<音楽関係(1940年6月に文部省が絶対音感教育採用ドレミ階名唱法をハニホ音名唱法に改正、翌年4月実施)>
・クラリネット⇒堅笛(たてぶえ)
・サクソフォーン⇒金属性先曲がり音響出し機(きんぞくせいさきまがりおんきょうだしき)
・トロンボーン⇒抜き差し曲がり金真鍮喇叭(ぬきさしまがりがねしんちゅうらっぱ)
・ヴァイオリン⇒提琴(ていきん)
・コントラバス⇒妖怪的四弦(ようかいてきよんげん)、大提琴(だいていきん)
・ピアノ⇒洋琴(ようきん)、鋼琴(こうきん)
・ビオラ⇒中提琴(ちゅうていきん)
・オルガン⇒風琴(ふうきん)
・アコーディオン⇒手風琴(てふうきん)
・フルート⇒洋笛(ようぶえ)
・トランペット⇒喇叭(らっぱ)
・ホルン⇒角笛(つのぶえ)
・ティンパニ⇒半円鍋型ぎゅう縛り高低自在太鼓(はんえんなべがたぎゅうしばりこうていじざいだいこ)
・トライアングル⇒三角鉄(さんかくてつ)
・タンバリン⇒鈴鼓
・ギター⇒六絃琴 (ろくげんきん)
・エレクトーン⇒電子琴(でんしごと)
・ハープ⇒竪琴(たてごと)
・ハーモニカ⇒口風琴(くちふうきん)
・オカリナ⇒鳩琴(きゅうきん)
・チャイム⇒鐘琴(しょうきん)
・オルゴール⇒自鳴琴(じめいきん)
・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド⇒ハ・ニ・ホ・ヘ・ト・イ・ロ・ハ
<放送関係>
・アナウンサー⇒放送員(ほうそういん)
・マイクロホン⇒送話器(そうわき)
・アンテナ⇒空中線
・レコード⇒音盤(おんばん)
・ニュース⇒報道(ほうどう)
・臨時ニュース⇒臨時報道(りんじほうどう)
<飲食物関係>
・サイダー⇒噴出水(ふんしゅっすい)
・ビール⇒麦酒(ばくしゅ)
・フライ⇒洋天(ようてん)
・キャラメル⇒軍粮精(ぐんろうせい)
・コロッケ⇒油揚げ肉饅頭(あぶらあげにくまんじゅう)
・カレーライス⇒辛味入汁掛飯(からみいりしるかけめし)
・パン⇒麪包(めんぽう)
<タバコ関係(1940年10月31日にタバコの改名が発表される)
・ゴールデンバット⇒金鵄(きんし)
・チェリー⇒桜(さくら)
・カメリア⇒椿(つばき)
<野球関係(1943年3月2日に職業野球の理事会で英米語をやめ、野球用語も全面日本語化することを決定)>
・ベースボール⇒野球(やきゅう)
・ヒット⇒よし
・ホ-ムイン⇒生還(せいかん)
・ストライク⇒よし1本、正球
・ストライク ツー⇒よし2本
・ストライク スリー、ユー アー アウト⇒よし3本、それまで
・ボール⇒(だめ)1つ、悪球
・ファウル⇒だめ、圏外、もとえ
・アウト⇒ひけ、無為
・セーフ⇒よし、安全
・バッテリー⇒対打機関
・タイム⇒停止(ていし)
・バント⇒軽打(けいだ)
・スクイズ⇒疑投打生還
・スチールスクイズ⇒盗塁・奪走塁
・ボーク⇒疑投
・ホームラン⇒本塁打(ほんるいだ)
・ファウルグラウンド⇒圏外区域(けんがいくいき)
・フェアグラウンド⇒正打区域
・ホームチーム⇒迎戦組(げいせんぐみ)
・ビジターチーム⇒往戦組(おうせんぐみ)
・リーグ戦⇒連盟戦(れんめいせん)
・コーチ⇒助令(じょれい)
・マネージャー⇒秘書(ひしょ)
<ゴルフ関係>
・ゴルフ⇒打球(だきゅう)、芝球(しきゅう)
・ホ-ルインワン⇒鳳(おおとり)
・パー⇒基準数(きじゅんすう)
・キャディ⇒球童(きゅうどう)
・ブービー賞⇒幸運賞(こううんしょう)
・バンカー⇒砂窪
・バーディ⇒隼
・パター⇒短杖
・OB⇒免れ球
・ハンディキャップ⇒均率
・マッチプレー⇒区数競技
・エチケット⇒打球作法(だきゅうさほう)
・グリーン⇒球孔区域
・コース⇒打球場(だきゅうじょう)
・フェアウェイ⇒芝地(しばち)
・ティグラウンド⇒打出区域
・ラフ⇒野地
・ウッド⇒木
・アイアン⇒金
・アドレス⇒照準(しょうじゅん)
<その他スポーツ関係(1943年に大日本体育会は英名スポーツの名称を和風に改称した)>
・スポーツ⇒運動競技(うんどうきょうぎ)
・ラグビー⇒闘球(とうきゅう)
・バレーボール⇒排球(はいきゅう)
・ハンドボール⇒送球(そうきゅう)
・バスケットボール⇒籠球(ろうきゅう)
・バトミントン⇒羽球(うきゅう)
・テニス⇒庭球(ていきゅう)
・ピンポン⇒卓球(たっきゅう)
・アメリカンフットボール⇒鎧球(がいきゅう)
・サッカー⇒蹴球(しゅうきゅう)
・ホッケー⇒杖球(じょうきゅう)
・アイスホッケー ⇒氷球(ひょうきゅう)
・ウォーターポロ⇒水球(すいきゅう)
・ドッジボール⇒避球(ひきゅう)
・スキー⇒雪滑(ゆきすべり)
・スケート⇒氷滑(こおりすべり)
・レスリング⇒重技(じゅうぎ)
・ボクシング⇒拳闘(けんとう)
・クロール⇒速泳(そくえい)
・ビリヤード⇒撞球(どうきゅう)
・ボウリング⇒投球(とうきゅう)、十柱戯(じゅっちゅうぎ)
・テント⇒天幕(てんまく)
・キャンプ⇒露営(ろえい)
<鉄道関係>
・プラットホーム⇒乗車廊(じょうしゃろう)
・オーライ⇒発車(はっしゃ)
・ストップ⇒停車(ていしゃ)
・ゴンドラ⇒搬器(はんき)
・ロープウェイ⇒策道(さくどう)
・ケーブルカー⇒鋼索鉄道(こうさくてつどう)
<自動車関係>
・ロータリー⇒円交路
・バック⇒背背(はいはい)
・バス⇒乗合自動車(のりあいじどうしゃ)
・トラック⇒自動貨車(じどうかもつ)
・ハンドル⇒走行転把(そうこうてんば)
・アクセル⇒噴射践板(ふんしゃせんばん)
・アクセルペダル⇒加速践板(かそくせんばん)
・エンジン⇒発動機(はつどうき)
・チェンジレバー⇒変速槓棹(へんそくこうかん)
・クラッチ⇒剪断器(せんだんき)、連軸器(れんじくき)
・シリンダー⇒気筒(きとう)
・ピストン⇒吸鍔(すいつば・きゅうがく)
・ガソリン⇒揮発油(きはつゆ)
・オイル⇒潤滑油(じゅんかつゆ)
・キャブレター⇒気化器(きかき)
・ヘッドライト⇒前照灯(ぜんしようとう)
・キャタピラ⇒無限軌道(むげんきどう)
・スプリング⇒発条(はつじょう)
・ワイパー⇒前面硝子掃除機(ぜんめんがらすそうじき)
・コンデンサ⇒蓄電器(ちくでんき)
・バッテリー⇒蓄電池(ちくでんち)
<植物関係>
・カスタービン⇒支那油桐(しなあぶらぎり)
・コスモス⇒秋桜(あきざくら)
・シクラメン⇒篝火草(かがりびそう)
・チューリップ⇒鬱金香(うこんこう)
・ヒヤシンス⇒風信子(ひやしんす / ふうしんす)
・プラタナス⇒鈴懸樹(すずかけのき)
・カーネーション⇒和蘭石竹(おらんだせきちく)
・サルビア⇒緋衣草(ひごろもそう)
・ダリア⇒天竺牡丹(てんじくぼたん)
・デイジー⇒雛菊(ひなぎく)
<動物関係>
・カンガルー⇒袋鼠(ふくろねずみ)
・ライオン⇒獅子(しし)
<衣料品関係>
・ズボン⇒袴(こ)
・トランクス⇒猿股(さるまた)
<雑誌関係(1943年2月英語の雑誌名が禁止される)>
・『キング』⇒『富士』(ふじ)
・『サンデー毎日』⇒『週刊毎日』(しゅうかん まいにち)
・『エコノミスト』⇒『経済毎日』(けいざい まいにち)
・『ユーモアクラブ』⇒『明朗』(めいろう)
・『経済マガジン』⇒『経済ニツポン』(けいざい にっぽん)
・『オール讀物』⇒『文藝讀物』(ぶんげい よみもの)
・『キンダーブック』⇒『ミクニノコドモ』
<鉛筆関係(1943年頃からトンボ鉛筆は、鉛筆の濃さの表記を以下のように変えると告知した)>
・2B⇒二軟
・B⇒一軟
・HB⇒中庸
・H⇒一硬
・2H⇒二硬
<日用品関係>
・ハンカチ⇒手巾(てきん)
・スリッパ⇒上靴(じょうか)
・ライター⇒点火器(てんかき)
・マッチ⇒燐寸(りんすん)
・ファスナー⇒チャック
・ハンドバッグ⇒皆入袋
・フォーク⇒肉刺(にくさし)
・スコップ⇒円匙(えんぴ)
・ドライバー⇒柄付き螺回し(えつきらまわし)
・テーブル⇒卓子(たくし)
・スクラップブック⇒オサイク
・コンパス⇒文回し(ぶんまわし)
<軍事関係>
・レーダー⇒電波探信儀(でんぱたんしんぎ)
・酸素マスク⇒与圧面(よあつめん)
・ミサイル⇒噴進弾(ふんしんだん)
・サーチライト⇒探照灯(たんしょうとう)
・ソナー⇒音波探知機(おんぱたんちき)
<その他>
・パーマ⇒電髪(でんぱつ)
・キス⇒接吻(せっぷん)、口づけ
・スイッチ⇒開閉器(かいへいき)
・ステンレス⇒不錆(せい)鋼・耐錆鋼・不銹(しゅう)鋼
・デート⇒逢い引き(あいびき)
・ブラウン管⇒陰極線管(いんきょくせんかん)
・アクリルガラス⇒有機硝子(ゆうきがらす)
・チェーンストア⇒連鎖店(れんさてん)