
その中で、同年12月31に、GHQより「修身科・国史科・地理科の中止指令」 (SCAPIN-519)が出され、国民学校国史の教授が停止されました。その復活のため、文部省が新たにそれに対応する国史の国定教科書の編纂を始めます。
家永三郎(原始~平安)、森末義彰(鎌倉~室町)、岡田章雄(江戸)、大久保利謙(明治以降)の4人の学者の手で編纂が進められ、翌年9月5日に国史教科書『くにのあゆみ』が発行されました。そして、同年10月12日には、「日本史授業再開に関する覚書」(SCAPIN-1266)が指令され、この国定教科書を使用した日本史の授業が再開されることとなります。
この教科書の特徴は、肇国神話が姿を消し、また軍国的な記述は削除され、歴代天皇の事蹟等は、歴史上不可欠な最小限度にとどめられたことで、客観的・科学的な歴史叙述を目指すと共に、支配者の視点だけでなく、庶民の歴史にも言及するなど、民主的な内容も志向していたことでした。しかし、1947年(昭和22)に国民学校初等科は小学校になり、9月の社会科の授業開始とともに、初等教育段階における通史の学習は行われなくなっています。
以下に、GHQの「修身科・国史科・地理科の中止指令」 (SCAPIN-519) と「日本史授業再開に関する覚書」(SCAPIN-1266)、及び宮本百合子著「『くにのあゆみ』について」を掲載しておきますので、ご参照下さい。