ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

カテゴリ: 経済

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 今日は、明治時代前期の1885年(明治18)に、「専売特許条例」が施行(公布は同年4月18日)された日です。
 「専売特許条例(せんばいとっきょじょうれい)」は、日本初の特許制度を実施した太政官布告(明治18年太政官布告第7号)でした。幕末の1867年(慶応3)に、福沢諭吉著『海外事情外編』で欧米の特許制度が日本に初めて紹介され、1883年(明治16)には、特許権などの国際的保護に関する「パリ条約」が締結されます。
 そこで、最初の特許法として「専売略規則」(明治4年太政官布告第175号)が公布されましたが、運用上の問題が生じたため、施行されることなく翌年には停止されました。その後、当時の不平等条約改正問題を解決し、国際的地位を向上させるためにも特許に関する法律制定の機運が高まり、農商務省は専売特許について調査を行い、1884年(明治17)2月、太政官に「発明専売特許条例按」を上申します。
 この農商務省案は、元老院等で審議され、1885年(明治18)4月18日に「専売特許条例」として公布され、同年7月1日に施行されました。この内容は、専売特許を受けるための要件や専売特許の存続期限を認可の日から5、10、15年のいずれか特許取得者が選択した期間とすること、発明者が特許後2年以内に不実施の場合や発明品を輸入した場合は特許を無効とすること、手数料などとなり、外国人の特許取得は認められないこととなります。
 これに基づいて、専売特許の申請が受け付けられ、審査の結果、同年8月14日に、日本初の専売特許7件がが交付されましたが、特許第1号は、京都府の堀田瑞松による「堀田式さび止め塗料とその塗法」、第2号~第4号は高林謙三による「生茶葉蒸器械」、「焙茶機械」、「製茶摩擦器械」、第5号は宮本孝之助の「稲麦扱機械」、第6号は松井兵治郎他による「工夫かんざし」でした。
 以下に、「専売特許条例」全28条(明治18年太政官布告第7号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「専売特許条例」全28条(明治18年4月18日太政官布告第7号)明治18年7月1日施行版

第一条 有益ノ事物ヲ発明シテ之ヲ専売セント欲スル者ハ農商務卿ニ願出其特許ヲ受クヘシ
2 農商務卿ハ其専売ヲ特許スヘキモノト認ムルトキハ専売特許証ヲ下付スヘシ

第二条 専売特許ヲ願出ルニハ其願書ニ発明ノ明細書并必要ノ図面ヲ添フヘシ但時宜ニ依リ其現品又ハ雛形ヲ差出サシムルコトアルヘシ

第三条 専売特許ノ年限ハ専売特許証ノ日附ヨリ起算シ十五年ヲ超ユルコトヲ得ス

第四条 左ノ諸項ニ触ルヽモノハ専売特許ヲ願出ルコトヲ得ス
一 他人ノ既ニ発明シタルモノ但他人ヨリ譲受ケタルモノハ此限ニアラス 二 専売特許願出以前公ニ用ヒラレ又ハ公ニ知ラレタルモノ 三 治安、風俗、健康ヲ害スヘキモノ 四 医薬

第五条 軍用ニ必要ナリト認メ又ハ広ク用ヒシムルコトヲ必要ナリト認ムル発明ニハ農商務卿ニ於テ専売特許ヲ与ヘス又ハ既ニ与ヘタルモノト雖モ之ヲ取消スコトアルヘシ
2 前項ノ場合ニ於テハ農商務卿ニ於テ相当ト認ムル報酬金ヲ其発明者ニ下付スヘシ

第六条 専売特許ヲ願出ルノ権及専売ノ権ハ相続者ニ伝ハルヘキモノトス
2 相続者ニ於テ専売ノ権ヲ相続シタルトキハ三ケ月以内ニ農商務省ニ届出ヘシ

第七条 専売ノ権ヲ他人ニ譲与又ハ分与セントスルトキハ農商務卿ニ願出ヘシ

第八条 専売人其発明ヲ改良シタルトキハ追加専売特許ヲ願出ルコトヲ得但追加特許ハ原専売特許ノ年限ヲ超ユルコトヲ得ス

第九条 専売人ノ発明ヲ改良シテ専売特許ヲ得ント欲スル者ハ専売人ノ承諾ヲ経ヘシ
2 専売人其承諾ヲ拒ミ農商務卿ニ於テ改良ニ妨アリト認ムルトキハ其発明ヲ改良ノ部分ト合セテ使用スルノ特許ヲ改良者ニ与フルコトアルヘシ
3 前項ノ場合ニ於テハ農商務卿ニ於テ相当ト認ムル報酬金ヲ改良者ヨリ専売人ニ与ヘシムヘシ

第十条 専売人ハ其発明品ニ専売特許証ノ年月日及年限ヲ標記スヘシ品柄ニ由リ標記スルコトヲ得サルモノハ其上包等ニ標記スヘシ

第十一条 専売人ノ名簿及発明ノ明細書図面等ハ農商務省ニ於テ衆庶ノ観覧ニ供スヘシ

第十二条 専売人転籍転居又ハ氏名ヲ変換シタルトキハ三ケ月以内ニ農商務省ニ届出ヘシ

第十三条 専売特許証ヲ毀損遺失シタルトキハ其再渡ヲ農商務卿ニ願出ヘシ

第十四条 左ノ場合ニ於テハ専売特許無効ニ帰シ其特許証ヲ返納セシムヘシ
一 第四条ノ諸項ニ触レタルコトヲ発見シタルトキ 二 願書并明細書図面等ニ相違ノ事実アルコトヲ発見シタルトキ

第十五条 左ノ場合ニ於テハ専売ノ権ヲ失フ
一 専売特許証ノ日附ヨリ二年ヲ経テ其発明ヲ実施公行セス又ハ事故ヲ届出スシテ二年間之ヲ中止シタルトキ 二 専売特許ノ発明品ヲ外国ヨリ輸入シテ之ヲ販売シタルトキ

第十六条 専売特許証ヲ下付シタルトキ及専売特許無効ニ帰シタルトキ又ハ専売ノ権ヲ失ヒタル者アルトキハ農商務省ヨリ之ヲ広告スヘシ

第十七条 専売特許ヲ願出ル者ハ左ノ免許料ヲ納ムヘシ但願書ヲ却下スルトキハ之ヲ返付スヘシ
一 五年ノ専売特許ヲ願出ル者 金拾円
二 十年ノ専売特許ヲ願出ル者 金拾五円
三 十五年ノ専売特許ヲ願出ル者 金弐拾円
四 譲与分与ヲ願出ル者 金五円
五 追加特許ヲ願出ル者 金五円
六 専売特許証ノ再渡ヲ願出ル者 金壱円

第十八条 専売特許ノ事務ニ関スル官吏ハ専売特許ヲ願出ルコトヲ得ス

第十九条 専売人其専売権ヲ侵サレタルトキハ之ヲ告訴シ并要償ノ訴ヲ為スコトヲ得但第十条ノ標記ヲ為サヽルトキハ要償ノ訴ヲ為スコトヲ得ス

第二十条 専売特許ノ発明品ヲ偽造シ若クハ外国ヨリ輸入シ又ハ専売特許ノ方法ヲ窃用シタル者ハ一月以上一年以下ノ重禁錮ニ処シ四円以上四十円以下ノ罰金ヲ附加ス

第二十一条 専売特許ノ機械又ハ方法ヲ以テ製造シタル物品ト同一種類ノ物品ニ専売人ノ記号ニ紛ラハシキ記号ヲ用ヒタル者ハ十五日以上六月以下ノ重禁錮ニ処シ二円以上二十円以下ノ罰金ヲ附加ス

第二十二条 第二十条第二十一条ノ犯罪ニ係ル物品ヲ情ヲ知テ販売シタル者ハ四円以上四十円以下ノ罰金ニ処ス

第二十三条 第二十条第二十一条第二十二条ノ場合ニ於テハ其物品及犯罪ノ用ニ供シタル物件ヲ没収シテ専売人ニ給付シ其既ニ売捌キタルモノハ代価ヲ追徴シテ之ヲ給付ス

第二十四条 詐偽ノ所為ヲ以テ専売特許ヲ受ケ又ハ専売特許ヲ偽称シタル者ハ十五日以上六月以下ノ重禁錮ニ処シ二円以上二十円以下ノ罰金ヲ附加ス

第二十五条 第六条第二項第十二条ノ届出ヲ其期限内ニ為サヽル者ハ一円以上一円九十五銭以下ノ科料ニ処ス

第二十六条 此条例ヲ犯シタル者ニハ刑法ノ数罪倶発ノ例ヲ用ヒス

第二十七条 第二十条第二十一条第二十二条ノ犯罪ハ専売人ノ告訴ヲ待テ其罪ヲ論ス

第二十八条 専売人告訴ヲ為シタルトキハ裁判官ニ於テ仮ニ其告訴ニ係ル物品ノ販売ヲ停止スルコトヲ得

附 則

1 明治四年四月七日専売略規則布告以後本条例布告以前ニ発明シ明治五年三月第百五号布告但書ニ依リ届出タル事物ニシテ之ヲ専売セント欲スル者ハ公ニ用ヒラレ公ニ知ラレタルモノト雖モ本条例施行ノ日ヨリ六ケ月間ニ其専売特許ヲ農商務卿ニ願出ルコトヲ得
2 本条例布告以前既ニ前項ノ発明ヲ使用シタル者ハ本条例施行ノ日ヨリ一ケ年間ニ其使用特許ヲ農商務卿ニ願出ルコトヲ得此場合ニ於テハ本条例第十七条専売特許ノ免許料ト同一ノ金額ヲ納ムヘシ

   「官報」より

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1995年(平成7)「製造物責任法」(平成6年法律第85五号)が公布・施行される詳細
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 今日は、平成時代の1990年(平成2)に、「スパイクタイヤ粉塵防止法」(平成2年法律第55号)が公布・施行された日です。
 「スパイクタイヤ粉塵防止法」(すぱいくたいやふんじんぼうしほう)は、平成時代の1990年(平成2)6月27日に公布・施行された、スパイクタイヤの使用を規制すること等により、スパイクタイヤ粉塵の発生を防止し、もつて国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全するために制定された法律(平成2年法律第55号)ですが、正式名称は、「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」と言います。当時は、積雪寒冷地域においてスパイクタイヤを装着した自動車が道路を損傷することにより発生する粉塵による大気汚染が深刻な社会問題となっていました。この粉塵は、生活環境の悪化をもたらすだけでなく、人体への健康影響についても、調査結果によって指摘されていて、その防止が緊急の課題となります。
 そこで、本法は、「スパイクタイヤの使用を規制し、及びスパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する対策を実施すること等により、スパイクタイヤ粉じんの発生を防止し、もって国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的」(第1条)として、制定されました。このような中で、スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する国民並びに国及び地方公共団体の責務、指定地域におけるスパイクタイヤの使用規制等の措置等を定めました。
 本法は、即日施行されたものの、第7条の禁止条項は、1991年(平成3年)4月1日から、第8条の罰則規定は1992年(平成4年)4月1日から施行されています。
 以下に、「スパイクタイヤ粉塵防止法」(平成2年法律第55号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」(平成2年法律第55号)1990年(平成2)6月27日公布・施行

(目的)
第一条 この法律は、スパイクタイヤの使用を規制し、及びスパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する対策を実施すること等により、スパイクタイヤ粉じんの発生を防止し、もって国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律において「スパイクタイヤ」とは、積雪又は凍結の状態にある路面において滑ることを防止するために金属鋲びようその他これに類する物をその接地部に固定したタイヤをいう。
2 この法律において「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車をいう。
3 この法律において「スパイクタイヤ粉じん」とは、スパイクタイヤを装着した自動車を移動させることに伴い、当該スパイクタイヤに固定された金属鋲その他これに類する物が舗装された路面を損傷することにより発生する物質をいう。
4 この法律において「スパイクタイヤの使用」とは、スパイクタイヤを装着した自動車をその本来の用い方に従い移動させることをいう。
5 この法律において「道路」とは、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路及び道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する自動車道をいう。

(国民の責務)
第三条 何人も、スパイクタイヤ粉じんを発生させないように努めるとともに、国又は地方公共団体が実施するスパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する施策に協力しなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 国は、スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する啓発及び知識の普及、冬期における道路の環境の整備、スパイクタイヤに代替するタイヤ等の開発の支援、冬期における自動車の安全な運転のための教育等スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する基本的かつ総合的な施策を推進するように努めるとともに、地方公共団体が実施するスパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する施策を推進するために必要な助言その他の措置を講ずるように努めなければならない。
2 地方公共団体は、当該地域の自然的、社会的条件に応じたスパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する施策の実施に努めなければならない。

(地域の指定)
第五条 環境大臣は、住居が集合している地域その他の地域であって、スパイクタイヤ粉じんの発生を防止することにより住民の健康を保護するとともに生活環境を保全することが特に必要であるものを、指定地域として指定しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の指定地域(以下「指定地域」という。)の要件に該当すると認められる一定の地域があるときは、同項の指定について、環境大臣に対し、その旨の申出をすることができる。
3 環境大臣は、指定地域を指定しようとするときは、国家公安委員会その他関係行政機関の長に協議するとともに、関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。
4 都道府県知事は、第二項の申出をし、又は前項の意見を述べようとするときは、関係市町村長の意見を聴かなければならない。
5 環境大臣は、指定地域を指定するときは、その旨及びその区域を官報で公示するとともに、当該指定地域を管轄する都道府県知事に通知しなければならない。
6 都道府県知事は、前項の通知を受けたときは、当該指定地域をその地域に含む市町村の長その他の関係市町村長にその旨を通知しなければならない。
7 第二項から前項までの規定は、指定地域の指定の変更又は解除について準用する。

(対策の実施)
第六条 指定地域に係る都道府県は、当該指定地域のスパイクタイヤ粉じんの発生を防止するための対策として、当該指定地域の特性を考慮しつつ、知識の普及、住民の意識の高揚及び調査の実施に努めなければならない。
(スパイクタイヤの使用の禁止)
第七条 何人も、指定地域内の路面にセメント・コンクリート舗装又はアスファルト・コンクリート舗装が施されている道路の積雪又は凍結の状態にない部分(トンネル内の道路その他の政令で定める道路の部分を除く。)において、スパイクタイヤの使用をしてはならない。ただし、消防用自動車、救急用自動車その他の政令で定める自動車に係るスパイクタイヤの使用については、この限りでない。

(罰則)
第八条 前条の規定に違反した者は、十万円以下の罰金に処する。

附 則

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第七条の規定は平成三年四月一日から、第八条の規定は平成四年四月一日から施行する。

(経過措置)
第二条 この法律の施行の日から貨物自動車運送事業法(平成元年法律第八十三号)の施行の日までの間においては、第二条第五項中「第二条第九項」とあるのは、「第二条第八項」とする。
第三条 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第三条の大型自動車その他の政令で定める自動車については、第七条本文及び第八条の規定は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日までの間は、適用しない。

  「法令全集」より

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 今日は、昭和時代中期の1946年(昭和21)に、アメリカにおいて、国際復興開発銀行(世界銀行)が設立された日です。
 国際復興開発銀行(こくさいふっこうかいはつぎんこう)は、中所得国や信用力のある貧困国の経済復興と開発支援のための貸し付けを目的とする国際連合の専門機関の1つで、英語では、International Bank for Reconstruction and Development(略称:IBRD)と言いました。1944年(昭和19)7月に調印され、翌年12月に発効した「ブレトン・ウッズ協定」によって「国際通貨基金(IMF)」とともに設立された国際的長期融資機関で、1946年(昭和21)に業務を開始し、1947年(昭和22)からは国連の専門機関となります。
 世界銀行グループのうち最も歴史が長いもので、加盟国の戦災復興と開発、発展途上国の開発援助を通じて国際経済を発展させようとする目的を持ち、その資金は、加盟国からの出資に加え世界の主要市場において調達され、本部をアメリカのワシントンに置いてきました。IMF加盟国のみが加盟を認められ、総務会、理事会、総裁および事務局によって構成され、総務会は増資や新加盟国の承認などを除き諸権限を理事会に委任しています。
 2018年(平成30)現在の加盟国は189で、日本は、1952年(昭和27)8月13日に、国際通貨基金(IMF)と共に、加盟しましたが、当初は選任理事国、1971年(昭和46)からは任命理事国となりました。尚、日本で発売される世銀債の大半は、この国際復興開発銀行(IBRD)が発行したもので、格付は最高格付であるAAAやAaaです。

〇国際連合の専門機関一覧​

・国際連合食糧農業機関(FAO) - 1945年(前身は1905年)設立
・国際民間航空機関(ICAO) - 1947年設立
・国際農業開発基金(IFAD) - 1977年設立、同年専門機関となる
・国際労働機関(ILO) - 1919年設立、1946年専門機関となる
・国際通貨基金(IMF) - 1946年設立、1947年専門機関となる
・国際海事機関(IMO) - 1958年設立
・国際電気通信連合(ITU) - 1932年(前身は1865年)設立、1947年専門機関となる
・国際連合教育科学文化機関(UNESCO) - 1946年設立、1986年専門機関となる
・国際連合工業開発機関(UNIDO) - 1967年設立、同年専門機関となる
・世界観光機関(UNWTO) - 1975年(前身は1925年)設立、2003年専門機関となる
・万国郵便連合(UPU) - 1874年設立、1948年専門機関となる
・世界銀行(WB)グループ - 1946年設立
 国際復興開発銀行(IBRD)
 投資紛争解決国際センター(ICSID)
 国際開発協会(IDA)
 国際金融公社(IFC)
 多国間投資保証機関(MIGA)
・世界保健機関(WHO) - 1948年設立、同年専門機関となる
・世界知的所有権機関(WIPO) - 1970年(前身のBIRPIは1893年)設立、1974年専門機関となる
・世界気象機関(WMO) - 1950年(前身は1873年)設立、1951年専門機関となる

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1734年(享保19)読本作者・歌人・国学者上田秋成の誕生日(新暦7月25日)詳細
1884年(明治17)岡倉天心とフェノロサが法隆寺夢殿の救世観音を調査詳細
1894年(明治27)「(第1次)高等学校令」が公布(施行は同年9月11日)される詳細
1941年(昭和16)第33回大本営政府連絡会議で、「南方施策促進に関する件」が決定され、同日に上奏裁可される詳細
1943年(昭和18)「学徒戦時動員体制確立要綱」が閣議決定される詳細
1956年(昭和31)作曲家・箏曲家宮城道雄の命日詳細
1993年(平成5)「ウィーン宣言及び行動計画」が世界人権会議により採択される詳細
2011年(平成23)「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」の世界遺産(文化遺産)への登録が決まる詳細
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 今日は、大正時代の1915年(大正4)に、「無線電信法」(大正4年法律第26号)が公布(施行は同年11月1日)された日です。
 「無線電信法」(むせんでんしんほう)は、大正時代の1915年(大正4)6月21日に公布(施行は同年11月1日)された無線通信の利用に関する法律(大正4年法律第26号)です。1914年(大正3)に、ロンドンで締結された「海上における人命の安全のための国際条約」に対応するため、私設無線を認めることとなり、制定されました。
 しかし、「無線電信及ビ無線電話ハ政府之ヲ管掌ス」(第1条)の原則の下で、「放送用私設無線電話規則」(逓信省令)によって、逓信大臣の強力な監督下に置かれています。免許人を法人に限定することはなく、個人でも許可されたものの、法人・個人を問わず、許可を受けずに無線施設を開設した場合の罰則規定は「電信法」よりも強化されていました。
 1950年(昭和25年)6月1日の「電波法」、「放送法」、「電波監理委員会設置法」(電波三法)の施行により、本法は廃止されています。
 以下に、制定当初の「無線電信法」(大正4年法律第26号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「無線電信法」(大正4年法律第26号) 1915年(大正4)6月21日公布、同年11月1日施行

第一条 無線電信及無線電話ハ政府之ヲ管掌ス

第二条 左ニ掲クル無線電信又ハ無線電話ハ命令ノ定ムル所ニ依リ主務大臣ノ許可ヲ受ケ之ヲ私設スルコトヲ得
 一 航行ノ安全ニ備フル目的ヲ以テ船舶ニ施設スルモノ
 二 同一人ノ特定事業ニ用ウル船舶相互間ニ於テ其ノ事業ノ用ニ供スル目的ヲ以テ船舶ニ施設スルモノ
 三 電報送受ノ爲電信官署トノ間ニ施設者ノ專用ニ供スル目的ヲ以テ電信、電話、無線電信又ハ無線電話ニ依ル公衆通信ノ連絡ナキ陸地又ハ船舶ニ施設スルモノ
 四 電信、電話、無線電信又ハ無線電話ニ依ル公衆通信ノ連絡ナク前号ノ規定ニ依ルヲ不適当トスル陸地相互間又ハ陸地船舶間ニ於テ同一人ノ特定事業ニ用ウル目的ヲ以テ陸地又ハ船舶ニ施設スルモノ
 五 無線電信又ハ無線電話ニ関スル実験ニ専用スル目的ヲ以テ施設スルモノ
 六 前各号ノ外主務大臣ニ於テ特ニ施設ノ必要アリト認メタルモノ

第三条 私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ機器、其ノ裝置及運用ニ関スル制限並私設ノ無線電信ノ通信ニ従事スル者ノ資格ハ命令ノ定ムル所ニ依ル

第四条 私設ノ無線電信及無線電話ハ其ノ施設ノ目的以外ニ使用スルコトヲ得ス但シ命令ノ定ムル所ニ依リ船舶遭難通信、気象通信、報時通信其ノ他主務大臣ニ於テ公益上必要ト認ムル通信ニ限リ之ヲ使用スルコトヲ妨ケス

第五条 外国船舶ニ裝置シタル無線電信又ハ無線電話ハ第二条ノ規定ニ依リ施設シタルモノヲ除クノ外之ヲ使用スルコトヲ得ス但シ船舶遭難通信及航行中電信官署又ハ電話官署トノ通信ニ使用スルコトヲ妨ケス

第六条 主務大臣ハ命令ノ定ムル所ニ依リ私設ノ無線電信又ハ無線電話ヲ公衆通信又ハ軍事上必要ナル通信ノ用ニ供セシムルコトヲ得
 前項ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ主務大臣ハ吏員ヲ派遣シテ其ノ取扱ヲ為サシムルコトヲ得

第七条 主務大臣ハ公衆通信上又ハ軍事上必要ト認ムルトキハ私設ノ無線電信、無線電話ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ設備ノ変更ヲ命スルコトヲ得

第八条 主務大臣ハ公安ノ為必要ト認ムルトキハ私設ノ無線電信、無線電話又ハ外国船舶ニ裝置シタル無線電信、無線電話ノ使用ノ制限、停止又ハ其ノ機器附属具ノ除却ヲ命スルコトヲ得
 前項ノ場合ニ於テ必要ト認ムルトキハ主務大臣ハ当該官吏ヲシテ機器附属具ニ封印ヲ施シ又ハ之ヲ除却セシムルコトヲ得

第九条 私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ施設者本法、本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ主務大臣ハ其ノ無線電信、無線電話ノ許可ヲ取消シ又ハ其ノ使用ノ停止ヲ命スルコトヲ得

第十条 私設ノ無線電信又ハ無線電話ノ施設者其ノ無線電信又ハ無線電話ノ許可ヲ取消サレタルトキハ主務大臣ノ命スル所ニ依リ其ノ機器工作物ヲ撤去スルコトヲ要ス私設ノ無線電信又ハ無線電話ヲ廃止シタルトキ亦同シ

第十一条 私設ノ無線電信、無線電話又ハ外国船舶ニ施設シタル無線電信、無線電話ハ船舶遭難通信ノ取扱ノ依頼ヲ受ケタルトキハ之ヲ拒ムコトヲ得ス

第十二条 無線電信又ハ無線電話ハ船舶遭難通信アリタル場合ニ於テハ直ニ応答シ救助上最便宜ノ位置ニ在ル無線電信又ハ無線電話ニ通報スヘシ
 前項ノ場合ニ於テ特定ノ事項ノ通報ヲ求メラレタルトキハ前項ノ規定ニ依ラス直ニ其ノ通報ヲ為スコトヲ要ス

第十三条 主務大臣ハ不法ニ無線電信又ハ無線電話ヲ施設スル者アリト認メタルトキハ当該官吏ヲシテ其ノ施設ノ場所ニ立入リ機器工作物ノ検査、機器附属具ノ除却其ノ他相当ノ措置ヲ為サシムルコトヲ得

第十四条 政府ハ公衆通信ノ用ニ供スル無線電信又ハ無線電話ノ施設ノ為船舶ノ一部ヲ使用シ必要アルトキハ特殊ノ供給又ハ設備ヲ命スルコトヲ得
 前項ノ場合ニ於テ相当ノ使用料及特殊ノ供給、設備ノ実費ハ請求ニ因リ政府之ヲ支給ス

第十五条 公衆通信ノ用ニ供スル無線電信又ハ無線電話ニ依ル通信ニシテ無線電信、無線電話、電信、電話、郵便、郵便為替、郵便貯金ノ事務又ハ船舶遭難、報時、気象報吿ニ関スルモノハ命令ノ定ムル所ニ依リ無料ト為スコトヲ得

第十六条 許可ナクシテ無線電信、無線電話ヲ施設シ若ハ許可ナクシテ施設シタル無線電信、無線電話ヲ使用シタル者又ハ許可ヲ取消サレタル後私設ノ無線電信、無線電話ヲ使用シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
 前項ノ場合ニ於テ無線電信又ハ無線電話ヲ他人ノ用ニ供シ因テ金錢物品ヲ收得シタルトキハ之ヲ没収ス既ニ消費又ハ讓渡シタルトキハ其ノ金額又ハ代價ヲ追徴ス

第十七条 私設ノ無線電信又ハ無線電話ヲ其ノ施設ノ目的以外ニ使用シタル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
 前項ノ場合ニ於テ無線電信又ハ無線電話ヲ他人ノ用ニ供シ因テ金錢物品ヲ收得シタルトキハ之ヲ没収ス既ニ消費又ハ讓渡シタルトキハ其ノ金額又ハ代價ヲ追徴ス
 私設ノ無線電信又ハ無線電話ニ依頼シ通信ヲ為サシメタル者ハ百円以下ノ罰金ニ処ス

第十八条 第五条ノ規定ニ違反シタル者又ハ本法ニ依ル無線電信、無線電話ノ使用ノ制限停止、設備変更若ハ除却撤去ノ命令ニ從ハサル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス無線電信、無線電話ノ事務ニ従事スル者使用ノ制限又ハ停止ニ違反シテ使用シタルトキハ其ノ従事者ニ付亦同シ

第十九条 第六条ノ場合ニ於テ正当ノ事由ナクシテ無線電信、無線電話ノ供用ヲ拒ミ又ハ第十四条ノ場合ニ於テ正当ノ事由ナクシテ船舶ノ使用ヲ拒ミ若ハ特殊ノ供給設備ヲ為
ササル者ハ千円以下ノ罰金ニ処ス

第二十条 電信官署又ハ電話官署ノ取扱中ニ係ル無線電信又ハ無線電話ノ通信ノ秘密ヲ侵シタル者ハ一年以下ノ懲役又ハ二百円以下ノ罰金ニ処ス
 無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ従事スル者前項ノ通信ノ秘密ヲ漏泄シタルトキハ二年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
 本条ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ス

第二十一条 不法ニ無線電信、無線電話ニ関スル料金ヲ免レ又ハ他人ヲシテ之ヲ免レシメタル者ハ二百円以下ノ罰金ニ処ス
 無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ従事スル者前項ノ行為ヲ為シタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス

第二十二条 他人ニ損害ヲ加フル目的ヲ以テ無線電信又ハ無線電話ニ依リ虚偽ノ通信ヲ発シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス
 公益ヲ害スル目的ヲ以テ無線電信又ハ無線電話ニ依リ虚偽ノ通信ヲ発シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス
 船舶遭難ノ事実ナキニ拘ラス無線電信又ハ無線電話ニ依リ船舶遭難通信ヲ発シタル者ハ三月以上十年以下ノ懲役ニ処ス
 無線電信又ハ無線電話ノ事務ニ従事スル者第一項ノ行為ヲ為シタルトキハ五年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金、第二項ノ行為ヲ為シタルトキハ十年以下ノ懲役、第三項ノ行為ヲ為シタルトキハ一年以上ノ有期懲役ニ処ス

第二十三条 無線電信ノ事務ニ従事スル者電信官署ノ取扱中ニ係ル無線電信ニ依ル電報ヲ正当ノ事由ナクシテ開披、毀損、隱匿若ハ放棄シタルトキ又ハ受取人ニ非サル者ニ交付シタルトキハ三年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス但シ刑法第二百五十八条又ハ第二百五十九条ニ該当スル場合ハ刑法ノ例ニ依ル

第二十四条 無線電信、無線電話ノ事務ニ従事スル者正当ノ事由ナクシテ公衆通信若ハ軍事上必要ナル通信ノ取扱ヲ為ササルトキ又ハ之ヲ遲延セシメタルトキハ一年以下ノ懲役又ハ二百円以下ノ罰金ニ処ス
 無線電信、無線電話ノ事務ニ従事スル者正当ノ事由ナクシテ第十一条若ハ第十二条ノ規定ニ依ル船舶遭難通信ノ取扱ヲ為ササルトキ又ハ之ヲ遲延セシメタルトキハ一年以上ノ有期懲役ニ処ス
 船舶遭難通信ノ取扱ヲ妨害シタル者ハ罰前項ニ同シ

第二十五条 無線電信、無線電話ニ依ル公衆通信若ハ軍事上必要ナル通信ヲ障害シ又ハ之ヲ障害スヘキ行為ヲ為シタル者ハ七年以下ノ懲役又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス

第二十六条 前十条ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

第二十七条 本法ニ基キテ為ス当該吏員ノ職務ノ執行ヲ拒ミ、之ヲ妨ケ若ハ忌避シ又ハ第十三条ノ規定ニ依ル検査ノ際当該官吏ノ尋問ニ対シ答弁ヲ為サス若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シタル者ハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス

第二十八条 電信法第四条、第五条、第十一条乃至第二十一条、第二十三条、第二十四条及第四十五条ノ規定ハ公衆通信又ハ軍事上必要ナル通信ノ用ニ供スル無線電信又ハ無線電話ニ之ヲ準用ス

附 則

 本法施行ノ期日ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム

 ※旧字を新字に直してあります。

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 今日は、昭和時代前期の1943年(昭和18)に、大日本労務報国会が設立された日です。
 大日本労務報国会(だいにほんろうむほうこくかい)は、産業報国運動の一環として、1943年(昭和18)6月2日に結成された、日雇労働者を対象として設立された道府県労務報国会の中央組織です。土木建築業・運輸交通業・鉱業における日雇労働者と、これと不可分の関係にある「労務供給業者」、「作業請負業者」をふくむ組織で、個々に結成されていた旧労務報国会(仮称)および労務供給業聯合会は、新労務報国会に統合されました。
 中央に大日本労務報国会、道府県ごとに道府県労務報国会が設けられ、主な事業は、産業報国精神の高揚、国民動員への協力、会員の教育訓練などとされます。労務供給業者、日雇労働者及びこれを使用する請負業者の、勤労能力の発揮と労務の適正配置がねらいでした。
 これによって、主として常用労働者の働く事業所に組織された産業報国会と日雇労働者を対象として設立された労務報国会とが両立するようになり、「常傭労務者」と「日傭労務者」の双方に戦時勤労組織が作りあげられることになります。

〇「社会運動の状況」内務省警保局編 1942年(昭和17)より

昭和十三年〔一九三八年〕産業報国運動が展開され、昭和十五年十一月八日勤労新体制確立要綱が閣議に於て決定されて以来、産業報国精神を基本とする勤労新体制の組織は着々として樹立され昭和十六年末に於ては従業員百人以上を有する民営事業場に在りては
土木事業を除き九九%の組織を確立し、組織に於ては略所期の目的を達成せり。併し乍ら従業員百人以下の事業場に於ける産業報国会の組織運動は今尚進行中であり、又土木建築、港湾荷役其の他日傭労務者を使用する事業に於ては組織上種々困難なる事情があり、
斯る方面に於ては既に産業報国会の結成を見たるものありと雖も概して永続的性質を有する事業場に限られ、一般的には未組織の状況なりき。蓋しこれは日傭労務の特殊性に因り産業報国会の組織竝に運営が必ずしも適当ならずと思惟せられたる結果に外ならず、元来日傭労務者は産業界の盛衰と極めて密接なる関係を有し、昭和四、五年頃より財界不況の影響を受け其の数漸次増加し昭和十年には最高記録を示したり。自由主義的産業組織に在りては、不況時には失業者が日傭労務に移行し、之に反し一般産業界の活況を示す場合は斯の方面より他に転出する傾向があり、日傭労務者は昭和十一年以来毎年漸減の状況を示せり。併し乍ら日傭労務者と一言に謂ふも之を産業上より見れば其の従事する産業は農林業、土木建築業、交通業が最大多数を占むるのであるが、広く各種産業に亘り其の就労状態も日々転々として職場を異にするもの極めて多く更に職能上より之を見れば特殊の高級技能を有するものより何等技能を有しないもの迄包含するのであって、極めて複雑な様相を示しつつあり、又之等日傭労務者の就業様式も大体職業指導所の登録制度により或は供給業者により配置さるるもの、作業請負業者に属し就業するもの、事業主との直接契約により就業するもの等に大別し得、又日傭労務者に対する報酬も定額制あり、請負制あり、而も継続的事業に規則的に従事せざるものに在りては報酬の高低著しく賃金規則亦極めて困難なる実情にあり。而して此の不規則なる勤労状況や賃金状態は日傭労務者の私生活に影響する所大にして斯る観点からするも適切なる対策を講ずる必要があったのであるが、従来斯の方面に対する各種の施策乃至指導は遺憾ながら徹底せざる傾向ありたり。然るに戦時体制確立の急務、特に近時の顕著なる労力不足に直面するや、国民挙っての確固たる報国精神を基調とする勤労能力の充実発揚を必要とせらるるに至れり。
翻って日傭労務者の実情を観るに之等労務者は一般的には労働予備軍として考へられつつありたるも我が国産業界の現状に於ては極めて重要なる役割を担当し来り、而も近年此の方面に於ても労働力の不足が現実の問題として顕はれ殊に戦時体制の確立に当っては軍需産業の拡張、産業転換が行はれ、これが基礎的な事業として土木建築事業の活況を見、従来の日傭労務者のみを以てしては不足を来し、半島人の集団移入を為す等、土木建築業労働者の増加は著しきものあり、又大東亜戦争の勃発を機として交通業就中海運状況が従来と一変し、港湾荷役等に於ても其の業務が繁閑極めて複雑なる状況を呈する日傭労務者の不足せる現状に於ては其の補充十分ならず、従って他面に於ては労務者獲得の為の闇賃金の横行を見るに至り、工場労務者の日傭稼等を続出して労働市場を混乱せしむるが如き傾向を惹起すると共に政府竝に関係方面の戦時諸施策の遂行に尠からず支障を生ぜしめつつありたり。
以上の如き実情下に於て日傭労務者の組織化要望は予てより陸海軍・鉄道・逓信各省の現業官庁を関係方面より熾烈に要望されつつあり、厚生省に於ても従来これが組織化の準備を進めつつありたるが、漸く成案を得て、報国精神の昂揚竝に労務の適正配置を目途とせる労務報国会の結成を計画し、〔一九四二年〕九月三十日別記(略)の通「労務報国会設立に関する件依命通牒」竝に「道府県労務報国会の組織竝に事業に関する件」が通牒せられ、茲に於て産業報国運動の一環として、組織上最も困難視されたる日傭労務者の勤労新体制確立を企図したるが、本年中は専ら組織整備等に終始したる為具体的運動なく注意すべき動向等も認められざる状況なり。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

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