ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

カテゴリ: 平成時代

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 今日は、平成時代の2001年(平成13)に、「ハンセン病補償法」(平成13年法律第63号)が公布・施行された日で、「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」とされています。
 「ハンセン病補償法」(はんせんびょうほしょうほう)は、平成時代の2001年(平成13)6月22日公布・施行された、ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等を行う法律(平成13年法律第63号)で、正式名称を「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」と言います。「らい予防法」に基づく隔離政策により療養施設への入所を余儀なくされたハンセン病患者に対し、国が補償金を支払うことを定めたものでした。
 ハンセン病患者に対する国の賠償責任を認めた、2001年(平成13)5月の熊本地裁判決を受けて議員立法として成立、施行されます。尚、2009年(平成21)より、厚生労働省が、この法律の公布・施行を記念し、この日を「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」と定め、厚生労働省主催による追悼の行事が行われています。

〇「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」(平成13年法律第63号) 2001年(平成13)6月22日公布・施行

 ハンセン病の患者は、これまで、偏見と差別の中で多大の苦痛と苦難を強いられてきた。我が国においては、昭和二十八年制定の「らい予防法」においても引き続きハンセン病の患者に対する隔離政策がとられ、加えて、昭和三十年代に至ってハンセン病に対するそれまでの認識の誤りが明白となったにもかかわらず、なお、依然としてハンセン病に対する誤った認識が改められることなく、隔離政策の変更も行われることなく、ハンセン病の患者であった者等にいたずらに耐え難い苦痛と苦難を継続せしめるままに経過し、ようやく「らい予防法の廃止に関する法律」が施行されたのは平成八年であった。
 我らは、これらの悲惨な事実を悔悟と反省の念を込めて深刻に受け止め、深くおわびするとともに、ハンセン病の患者であった者等に対するいわれのない偏見を根絶する決意を新たにするものである。
 ここに、ハンセン病の患者であった者等のいやし難い心身の傷跡の回復と今後の生活の平穏に資することを希求して、ハンセン病療養所入所者等がこれまでに被った精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復及び福祉の増進を図り、あわせて、死没者に対する追悼の意を表するため、この法律を制定する。

(趣旨)
第一条 この法律は、ハンセン病療養所入所者等の被った精神的苦痛を慰謝するための補償金
 (以下「補償金」という。)の支給に関し必要な事項を定めるとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復等について定めるものとする。

(定義)
第二条 この法律において、「ハンセン病療養所入所者等」とは、らい予防法の廃止に関する法律(平成八年法律第二十八号。以下「廃止法」という。)によりらい予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)が廃止されるまでの間に、国立ハンセン病療養所(廃止法第一条の規定による廃止前のらい予防法第十一条の規定により国が設置したらい療養所をいう。)その他の厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所(以下「国立ハンセン病療養所等」という。)に入所していた者であって、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)において生存しているものをいう。

(補償金の支給)
第三条 国は、ハンセン病療養所入所者等に対し、その者の請求により、補償金を支給する。

(請求の期限)
第四条 補償金の支給の請求は、施行日から起算して五年以内に行わなければならない。
2 前項の期間内に補償金の支給の請求をしなかった者には、補償金を支給しない。

(補償金の額)
第五条 補償金の額は、次の各号に掲げるハンセン病療養所入所者等の区分に従い、当該各号に掲げる額とする。
一 昭和三十五年十二月三十一日までに、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者千四百万円
二 昭和三十六年一月一日から昭和三十九年十二月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 千二百万円
三 昭和四十年一月一日から昭和四十七年十二月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 千万円
四 昭和四十八年一月一日から平成八年三月三十一日までの間に、初めて国立ハンセン病療養所等に入所した者 八百万円
2 前項の規定にかかわらず、同項第一号から第三号までに掲げる者であって、昭和三十五年一月一日から昭和四十九年十二月三十一日までの間に国立ハンセン病療養所等から退所していたことがあるものに支給する補償金の額は、次の表の上欄に掲げるハンセン病療養所入所者等の区分及び同表の中欄に掲げる退所期間(昭和三十五年一月一日から昭和四十九年十二月三十一日までの間に国立ハンセン病療養所等から退所していた期間を合計した期間をいう。以下同じ。)に応じ、それぞれ、同表の下欄に掲げる額を同項第一号から第三号までに掲げる額から控除した額とする。
ハンセン病療養所入所者等の区分退所期間
前項第一号に掲げる者
二十四月以上百二十月未満
百二十月以上二百十六月未満
二百十六月以上
二百万円
四百万円
六百万円
前項第二号に掲げる者
二十四月以上百二十月未満
百二十月以上
二百万円
四百万円
前項第三号に掲げる者二十四月以上二百万円
3 退所期間の計算は、退所した日の属する月の翌月から改めて入所した日の属する月の前月までの月数による。
4 昭和三十五年一月一日から昭和三十九年十二月三十一日までの間の退所期間の月数については、前項の規定により計算した退所期間の月数に二を乗じて得た月数とする。

(支払未済の補償金)
第六条 ハンセン病療養所入所者等が補償金の支給の請求をした後に死亡した場合において、その者が支給を受けるべき補償金でその支払を受けなかったものがあるときは、これをその者の配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(以下「遺族」という。)に支給し、支給すべき遺族がないときは、当該死亡した者の相続人に支給する。
2 前項の規定による補償金を受けるべき遺族の順位は、同項に規定する順序による。
3 第一項の規定による補償金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その全額をその一人に支給することができるものとし、この場合において、その一人にした支給は、全員に対してしたものとみなす。

(損害賠償等がされた場合の調整)
第七条 補償金の支給を受けるべき者が同一の事由について国から国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)による損害賠償その他の損害のてん補を受けたときは、国は、その価額の限度で、補償金を支給する義務を免れる。
2 国は、補償金を支給したときは、同一の事由については、その価額の限度で、国家賠償法による損害賠償の責めを免れる。

(譲渡等の禁止)
第八条 補償金の支給を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。

(非課税)
第九条 租税その他の公課は、補償金を標準として課することができない。

(不正利得の徴収)
第十条 偽りその他不正の手段により補償金の支給を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、国税徴収の例により、その者から、当該補償金の価額の全部又は一部を徴収することができる。

2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

(名誉の回復等)
第十一条 国は、ハンセン病の患者であった者等について、名誉の回復及び福祉の増進を図るとともに、死没者に対する追悼の意を表するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 前項の措置を講ずるに当たっては、ハンセン病の患者であった者等の意見を尊重するものとする。

(厚生労働省令への委任)
第十二条 この法律に定めるもののほか、補償金の支給の手続その他の必要な事項は、厚生労働省令で定める。

附則

 この法律は、公布の日から施行する。

理由
 ハンセン病の患者であった者等の置かれていた状況にかんがみ、ハンセン病療養所入所者等の精神的苦痛を慰謝するとともに、ハンセン病の患者であった者等の名誉の回復及び福祉の増進を図り、あわせて、死没者に対する追悼の意を表する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

本案施行に要する経費
 本案施行に要する経費としては、約七百億円の見込みである。

  「厚生労働省ホームページ」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1853年(嘉永6)江戸幕府第12代将軍徳川家慶の命日(新暦7月27日)詳細
1867年(慶応3)薩摩藩と土佐藩の間で、「薩土盟約」が結ばれる(新暦7月23日)詳細
1945年(昭和20)「戦時緊急措置法」が公布される(本土決戦に備えて政府に委任立法権を規定)詳細
1946年(昭和21)GHQが「日本の漁業及び捕鯨業に認可された区域に関する覚書」(SCAPIN-1033)を出す詳細
食糧メーデーでの天皇鵜風刺のプラカードを掲げた人が不敬罪で起訴される(プラカード事件)詳細
1965年(昭和40)日本と大韓民国との間で、「日韓基本条約」が調印される詳細
1972年(昭和47)「自然環境保全法」(昭和47年法律第85号)が制定・公布される詳細
2013年(平成25)「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」が世界遺産(文化遺産)に登録される詳細
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 今日は、平成時代の2009年(平成21)に、静岡県の牧之原市と島田市に跨る静岡空港が開港した日です。
 静岡空港(しずおかくうこう)は、静岡県の牧之原市と島田市に跨る、地方公共団体(静岡県)が設置・管理する第3種空港です。1987年(昭和62)に、島田市、旧榛原郡榛原町(牧之原市)への空港建設が決定され、1996年(平成8)に、運輸大臣が、静岡県に対して静岡空港の設置を許可し、用地買収を開始しました。
 1998年(平成10)11月20日に、静岡県が起工式を行い、本体工事に着手、2004年(平成16)に、静岡県が、国土交通省中部地方整備局長に対して「土地収用法」に基づく事業認定を申請、翌年には、これに基づく事業認定が告示されます。2006年(平成18)に、愛称が「富士山静岡空港」に決定、翌年には、明渡期限到来により、「土地収用法」に基づく申請を行ったうち空港周辺部について静岡県が権利を取得しました。
 2009年(平成21)6月4日に、暫定滑走路2,200mで開港、8月27日には、2,500mに延伸されます。開港時には、国内6路線(札幌・小松・福岡・熊本・鹿児島・沖縄)、国外2路線(ソウル・上海)の定期便が就航しました。
 しかし、2025年現在では、国内線(札幌(新千歳)、出雲、福岡、熊本、鹿児島、那覇、丘珠)8路線、国際線では、ソウル、上海をはじめとした中国各地への定期便とチャーター便が運航しています。

〇静岡空港関係略年表

・1987年(昭和62) 静岡県の新総合計画に空港整備の推進が盛り込まれる
・1987年(昭和62)12月17日 静岡県が、空港建設予定地を島田市・榛原町(当時)に決定する
・1993年(平成5)8月 静岡空港が第6次空港整備五箇年計画の新規事業となる
・1996年(平成8)7月26日 運輸大臣が、静岡県に対して静岡空港の設置を許可する
・1996年(平成8)11月 静岡県が、静岡空港の用地買収を開始する
・1998年(平成10)11月20日 静岡県が、起工式を行い静岡空港の本体工事に着手する
・2004年(平成16)11月26日 静岡県が、国土交通省中部地方整備局長に対して土地収用法に基づく事業認定を申請する
・2005年(平成17)7月 国土交通省中部地方整備局長、静岡空港について土地収用法に基づく事業認定を告示する
・2006年(平成18)1月 日本語の愛称が「富士山静岡空港」(ふじさんしずおかくうこう)に決定する
・2007年(平成19)3月 明渡期限到来により、土地収用法に基づく申請を行ったうち空港周辺部について静岡県が権利を取得、土地収用法に基づき県が申請した全ての権利を取得する
・2008年(平成20)10月22日 静岡県は滑走路近くの航空法に反する立ち木問題(滑走路西の約40本の立ち木が、制限表面以上の高さとなることが建設着手してから判明した)を受け、滑走路を短くすることを正式に決定する
・2009年(平成21)6月4日 静岡空港が開港(暫定滑走路2,200m)する
・2009年(平成21)8月27日 滑走路が2,500mに延伸、ILS運用を開始する
・2010年(平成22)4月1日 日本航空グループが静岡空港から完全撤退し、フジドリームエアラインズが札幌・福岡線の運航を開始する
・2012年(平成24)3月25日 チャイナエアラインの台北/桃園線(週3便)が就航する
・2014年(平成26)3月28日 大韓航空が旅客低迷を理由にソウル/仁川線を廃止、静岡空港から撤退する

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

822年(弘仁13)平安初期の僧・日本天台宗の開祖最澄の命日(新暦6月26日)詳細
1804年(文化元)象潟地震が起こり、大きな被害が出て、景勝地象潟湖の湖底が隆起し、湖が陸地化する(新暦7月10日)詳細
1898年(明治31)直江津(現在の上越市)明治31年の大火「八幡火事」で、1,595戸が焼失する詳細
1943年(昭和18)「戦時衣生活簡素化実施要綱」が閣議決定される詳細
「食糧増産応急対策要綱」が閣議決定される詳細
1951年(昭和26)「公営住宅法」(昭和26年法律第193号)が公布(施行は同年7月1日)される詳細
1954年(昭和29)近江絹糸争議でストライキが始まる詳細
1981年(昭和56)「放送大学学園法」が国会で成立(公布・施行は同月11日)する詳細

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 今日は、平成時代の1994年(平成6)に、日本国内において「児童の権利に関する条約」の効力が発生した日です。
 「児童の権利に関する条約」(じどうのけんりにかんするじょうやく)は、1959年(昭和34)11月20日に国連(国際連合)で採択された「児童の権利に関する宣言」の30周年にあたる、1989年(平成元)11月20日に国連総会で全会一致で採択され、1990年(平成2)9月2日に、国際条約として発効した18歳未満の子供の権利について定めた国際条約で「子どもの権利条約」とも呼ばれてきました。日本国内では、1994年(平成6)3月29日に国会承認され、同年5月22日から効力が発生しましたが、「批准国は子の最善の利益のために行動しなければならない」(第3条)と定められています。
 この条約は、前文と 3部(54条)からなり、18歳未満のすべての人の保護と基本的人権の尊重を促進することを目的とし、①生命・生存への権利、②親・家族にかかわる子供の権利、③意見表明権、市民的権利、④特別な状況下にある子供の保護、⑤教育への権利、文化への権利などが示されました。2016年(平成28)現在、署名国・地域数は140、締約国・地域数は196ですが、アメリカ合衆国は条約に署名はしたものの、批准していません。
 以下に、「児童の権利に関する条約」の日本語訳を全文掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇児童の権利に関する宣言(じどうのけんりにかんするせんげん)とは?

 昭和時代中期の1959年(昭和34)11月20日に、国連総会において採択された子どもの権利を促進するための国際文書です。前段として、1924年(昭和19)に、5ヶ条からなる「ジュネーブ児童権利宣言」が、国際連盟で採択され、太平洋戦争後に拡張されたものでした。「国連憲章」と「世界人権宣言」に基づくもので、前文6項と本文10ヶ条からなり、心身ともに未成熟な子供が,健全な成育と幸福と社会的諸権利を保障されるべきことを確認したものでした。
 これを実現するために、両親、個人、民間団体、地方行政機関および政府が、この宣言に従って立法およびその他の措置を講じることを求めています。日本は、1959年(昭和34)12月に参議院本会議で支持を決議しました。

☆「児童の権利に関する条約」1989年(平成元)11月20日採択、1990年(平成2)9月2日発効

前文

 この条約の締約国は、
 国際連合憲章において宣明された原則によれば、人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等のかつ奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎を成すものであることを考慮し、
 国際連合加盟国の国民が、国際連合憲章において、基本的人権並びに人間の尊厳及び価値に関する信念を改めて確認し、かつ、一層大きな自由の中で社会的進歩及び生活水準の向上を促進することを決意したことに留意し、
 国際連合が、世界人権宣言及び人権に関する国際規約において、すべての人は人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位等によるいかなる差別もなしに同宣言及び同規約に掲げるすべての権利及び自由を享有することができることを宣明し及び合意したことを認め、
 国際連合が、世界人権宣言において、児童は特別な保護及び援助についての権利を享有することができることを宣明したことを想起し、
 家族が、社会の基礎的な集団として、並びに家族のすべての構成員、特に、児童の成長及び福祉のための自然な環境として、社会においてその責任を十分に引き受けることができるよう必要な保護及び援助を与えられるべきであることを確信し、
 児童が、その人格の完全なかつ調和のとれた発達のため、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認め、
 児童が、社会において個人として生活するため十分な準備が整えられるべきであり、かつ、国際連合憲章において宣明された理想の精神並びに特に平和、尊厳、寛容、自由、平等及び連帯の精神に従って育てられるべきであることを考慮し、
 児童に対して特別な保護を与えることの必要性が、1924年の児童の権利に関するジュネーヴ宣言及び1959年11月20日に国際連合総会で採択された児童の権利に関する宣言において述べられており、また、世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際規約(特に第23条及び第24条)、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(特に第10条)並びに児童の福祉に関係する専門機関及び国際機関の規程及び関係文書において認められていることに留意し、
 児童の権利に関する宣言において示されているとおり「児童は、身体的及び精神的に未熟であるため、その出生の前後において、適当な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とする。」ことに留意し、
 国内の又は国際的な里親委託及び養子縁組を特に考慮した児童の保護及び福祉についての社会的及び法的な原則に関する宣言、少年司法の運用のための国際連合最低基準規則(北京規則)及び緊急事態及び武力紛争における女子及び児童の保護に関する宣言の規定を想起し、
 極めて困難な条件の下で生活している児童が世界のすべての国に存在すること、また、このような児童が特別の配慮を必要としていることを認め、
 児童の保護及び調和のとれた発達のために各人民の伝統及び文化的価値が有する重要性を十分に考慮し、
 あらゆる国特に開発途上国における児童の生活条件を改善するために国際協力が重要であることを認めて、
 次のとおり協定した。

第一部

第一条 [定義]
この条約の適用上、児童とは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、当該児童で、その者に適用される法律によりより早く成年に達したものを除く。
第二条 [差別の禁止]
締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
締約国は、児童がその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明した意見又は信念によるあらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。
第三条 [児童の利益の最優先]
児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
締約国は、児童の父母、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者の権利及び義務を考慮に入れて、児童の福祉に必要な保護及び養護を確保することを約束し、このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。
締約国は、児童の養護又は保護のための施設、役務の提供及び設備が、特に安全及び健康の分野に関し並びにこれらの職員の数及び適格性並びに適正な監督に関し権限のある当局の設定した基準に適合することを確保する。
第四条 [条約義務の実施]
締約国は、この条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずる。締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、自国における利用可能な手段の最大限の範囲内で、また、必要な場合には国際協力の枠内で、これらの措置を講ずる。
第五条 [保護者の指導の尊重]
締約国は、児童がこの条約において認められる権利を行使するに当たり、父母若しくは場合により地方の慣習により定められている大家族若しくは共同体の構成員、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者がその児童の発達しつつある能力に適合する方法で適当な指示及び指導を与える責任、権利及び義務を尊重する。
第六条 [生命に対する権利]
締約国は、すべての児童が生命に対する固有の権利を有することを認める。
締約国は、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。
第七条 [氏名及び国籍に対する権利]
児童は、出生の後直ちに登録される。児童は、出生の時から氏名を有する権利及び国籍を取得する権利を有するものとし、また、できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する。
締約国は、特に児童が無国籍となる場合を含めて、国内法及びこの分野における関連する国際文書に基づく自国の義務に従い、1の権利の実現を確保する。
第八条 [身元関係事項の保持]
締約国は、児童が法律によって認められた国籍、氏名及び家族関係を含むその身元関係事項について不法に干渉されることなく保持する権利を尊重することを約束する。
締約国は、児童がその身元関係事項の一部又は全部を不法に奪われた場合には、その身元関係事項を速やかに回復するため、適当な援助及び保護を与える。
第九条 [父母からの分離の防止]
締約国は、児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。ただし、権限のある当局が司法の審査に従うことを条件として適用のある法律及び手続に従いその分離が児童の最善の利益のために必要であると決定する場合は、この限りでない。このような決定は、父母が児童を虐待し若しくは放置する場合又は父母が別居しており児童の居住地を決定しなければならない場合のような特定の場合において必要となることがある。
すべての関係当事者は、1の規定に基づくいかなる手続においても、その手続に参加しかつ自己の意見を述べる機会を有する。
締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する。
3の分離が、締約国がとった父母の一方若しくは双方又は児童の抑留、拘禁、追放、退去強制、死亡(その者が当該締約国により身体を拘束されている間に何らかの理由により生じた死亡を含む。)等のいずれかの措置に基づく場合には、当該締約国は、要請に応じ、父母、児童又は適当な場合には家族の他の構成員に対し、家族のうち不在となっている者の所在に関する重要な情報を提供する。ただし、その情報の提供が児童の福祉を害する場合は、この限りでない。締約国は、更に、その要請の提出自体が関係者に悪影響を及ぼさないことを確保する。
第一〇条 [家族の再統合の支援]
前条1の規定に基づく締約国の義務に従い、家族の再統合を目的とする児童又はその父母による締約国への入国又は締約国からの出国の申請については、締約国が積極的、人道的かつ迅速な方法で取り扱う。締約国は、更に、その申請の提出が申請者及びその家族の構成員に悪影響を及ぼさないことを確保する。
父母と異なる国に居住する児童は、例外的な事情がある場合を除くほか定期的に父母との人的な関係及び直接の接触を維持する権利を有する。このため、前条1の規定に基づく締約国の義務に従い、締約国は、児童及びその父母がいずれの国(自国を含む。)からも出国し、かつ、自国に入国する権利を尊重する。出国する権利は、法律で定められ、国の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の権利及び自由を保護するために必要であり、かつ、この条約において認められる他の権利と両立する制限にのみ従う。
第一一条 [不法な国外移送等の防止]
締約国は、児童が不法に国外へ移送されることを防止し及び国外から帰還することができない事態を除去するための措置を講ずる。
このため、締約国は、二国間若しくは多数国間の協定の締結又は現行の協定への加入を促進する。
第一二条 [意思表明の権利]
締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。
第一三条 [表現の自由]
児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
1の権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
第一四条 [思想、良心及び宗教の自由]
締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。
締約国は、児童が1の権利を行使するに当たり、父母及び場合により法定保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及び義務を尊重する。
宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。
第一五条 [結社及び集会の自由]
締約国は、結社の自由及び平和的な集会の自由についての児童の権利を認める。
1の権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。
第一六条 [私生活、名誉及び信頼の保護]
いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。
児童は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。
第一七条 [マス・メディアの活用]
締約国は、大衆媒体(マス・メディア)の果たす重要な機能を認め、児童が国の内外の多様な情報源からの情報及び資料、特に児童の社会面、精神面及び道徳面の福祉並びに心身の健康の促進を目的とした情報及び資料を利用することができることを確保する。このため、締約国は、
(a) 児童にとって社会面及び文化面において有益であり、かつ、第29条の精神に沿う情報及び資料を大衆媒体(マス・メディア)が普及させるよう奨励する。
(b) 国の内外の多様な情報源(文化的にも多様な情報源を含む。)からの情報及び資料の作成、交換及び普及における国際協力を奨励する。
(c) 児童用書籍の作成及び普及を奨励する。
(d) 少数集団に属し又は原住民である児童の言語上の必要性について大衆媒体(マス・メディア)が特に考慮するよう奨励する。
(e)第13条及び次条の規定に留意して、児童の福祉に有害な情報及び資料から児童を保護するための適当な指針を発展させることを奨励する。
第一八条 [父母の責任と父母への支援]
締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。
締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとし、また、児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保する。
締約国は、父母が働いている児童が利用する資格を有する児童の養護のための役務の提供及び設備からその児童が便益を受ける権利を有することを確保するためのすべての適当な措置をとる。
第一九条 [虐待等からの保護]
締約国は、児童が父母、法定保護者又は児童を監護する他の者による監護を受けている間において、あらゆる形態の身体的若しくは精神的な暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な取扱い、不当な取扱い又は搾取(性的虐待を含む。)からその児童を保護するためすべての適当な立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。
1の保護措置には、適当な場合には、児童及び児童を監護する者のために必要な援助を与える社会的計画の作成その他の形態による防止のための効果的な手続並びに1に定める児童の不当な取扱いの事件の発見、報告、付託、調査、処置及び事後措置並びに適当な場合には司法の関与に関する効果的な手続を含むものとする。
第二〇条 [家庭環境を奪われた児童の保護]
一時的若しくは恒久的にその家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する。
締約国は、自国の国内法に従い、1の児童のための代替的な監護を確保する。
2の監護には、特に、里親委託、イスラム法の力ファーラ、養子縁組又は必要な場合には児童の監護のための適当な施設への収容を含むことができる。解決策の検討に当たっては、児童の養育において継続性が望ましいこと並びに児童の種族的、宗教的、文化的及び言語的な背景について、十分な考慮を払うものとする。
第二一条 [養子縁組]
養子縁組の制度を認め又は許容している締約国は、児童の最善の利益について最大の考慮が払われることを確保するものとし、また、
(a) 児童の養子縁組が権限のある当局によってのみ認められることを確保する。この場合において、当該権限のある当局は、適用のある法律及び手続に従い、かつ、信頼し得るすべての関連情報に基づき、養子縁組が父母、親族及び法定保護者に関する児童の状況にかんがみ許容されること並びに必要な場合には、関係者が所要のカウンセリングに基づき養子縁組について事情を知らされた上での同意を与えていることを認定する。
(b) 児童がその出身国内において里親若しくは養家に託され又は適切な方法で監護を受けることができない場合には、これに代わる児童の監護の手段として国際的な養子縁組を考慮することができることを認める。
(c) 国際的な養子縁組が行われる児童が国内における養子縁組の場合における保護及び基準と同等のものを享受することを確保する。
(d) 国際的な養子縁組において当該養子縁組が関係者に不当な金銭上の利得をもたらすことがないことを確保するためのすべての適当な措置をとる。
(e) 適当な場合には、二国間又は多数国間の取極又は協定を締結することによりこの条の目的を促進し、及びこの枠組みの範囲内で他国における児童の養子縁組が権限のある当局又は機関によって行われることを確保するよう努める。
第二二条 [難民児童の保護]
締約国は、難民の地位を求めている児童又は適用のある国際法及び国際的な手続若しくは国内法及び国内的な手続に基づき難民と認められている児童が、父母又は他の者に付き添われているかいないかを間わず、この条約及び自国が締約国となっている人権又は人道に関する他の国際文書に定める権利であって適用のあるものの享受に当たり、適当な保護及び人道的援助を受けることを確保するための適当な措置をとる。
このため、締約国は、適当と認める場合には、1の児童を保護し及び援助するため、並びに難民の児童の家族との再統合に必要な情報を得ることを目的としてその難民の児童の父母又は家族の他の構成員を捜すため、国際連合及びこれと協力する他の権限のある政府間機関又は関係非政府機関による努力に協力する。その難民の児童は、父母又は家族の他の構成員が発見されない場合には、何らかの理由により恒久的又は一時的にその家庭環境を奪われた他の児童と同様にこの条約に定める保護が与えられる。
第二三条 [障害児童の権利]
締約国は、精神的又は身体的な障害を有する児童が、その尊厳を確保し、自立を促進し及び社会への積極的な参加を容易にする条件の下で十分かつ相応な生活を享受すべきであることを認める。
締約国は、障害を有する児童が特別の養護についての権利を有することを認めるものとし、利用可能な手段の下で、申込みに応じた、かつ、当該児童の状況及び父母又は当該児童を養護している他の者の事情に適した援助を、これを受ける資格を有する児童及びこのような児童の養護について責任を有する者に与えることを奨励し、かつ、確保する。
障害を有する児童の特別な必要を認めて、2の規定に従って与えられる援助は、父母又は当該児童を養護している他の者の資力を考慮して可能な限り無償で与えられるものとし、かつ、障害を有する児童が可能な限り社会への統合及び個人の発達(文化的及び精神的な発達を含む。)を達成することに資する方法で当該児童が教育、訓練、保健サービス、リハビリテーション・サービス、雇用のための準備及びレクリエーションの機会を実質的に利用し及び享受することができるように行われるものとする。
締約国は、国際協力の精神により、予防的な保健並びに障害を有する児童の医学的、心理学的及び機能的治療の分野における適当な情報の交換(リハビリテーション、教育及び職業サービスの方法に関する情報の普及及び利用を含む。)であってこれらの分野における自国の能力及び技術を向上させ並びに自国の経験を広げることができるようにすることを目的とするものを促進する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。
第二四条 [健康を享受する権利]
締約国は、到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての児童の権利を認める。締約国は、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する。
締約国は、1の権利の完全な実現を追求するものとし、特に、次のことのための適当な措置をとる。
(a) 幼児及び児童の死亡率を低下させること。
(b) 基礎的な保健の発展に重点を置いて必要な医療及び保健をすべての児童に提供することを確保すること。
(c) 環境汚染の危険を考慮に入れて、基礎的な保健の枠組みの範囲内で行われることを含めて、特に容易に利用可能な技術の適用により並びに十分に栄養のある食物及び清潔な飲料水の供給を通じて、疾病及び栄養不良と闘うこと。
(d) 母親のための産前産後の適当な保健を確保すること。
(e) 社会のすべての構成員特に父母及び児童が、児童の健康及び栄養、母乳による育児の利点、衛生(環境衛生を含む。)並びに事故の防止についての基礎的な知識に関して、情報を提供され、教育を受ける機会を有し及びその知識の使用について支援されることを確保すること。
(f) 予防的な保健、父母のための指導並びに家族計画に関する教育及びサービスを発展させること。
締約国は、児童の健康を害するような伝統的な慣行を廃止するため、効果的かつ適当なすべての措置をとる。
締約国は、この条において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、国際協力を促進し及び奨励することを約束する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。
第二五条 [児童収容措置に対する審査]
締約国は、児童の身体又は精神の養護、保護又は治療を目的として権限のある当局によって収容された児童に対する処遇及びその収容に関連する他のすべての状況に関する定期的な審査が行われることについての児童の権利を認める。
第二六条 [社会保障に対する権利]
締約国は、すべての児童が社会保険その他の社会保障からの給付を受ける権利を認めるものとし、自国の国内法に従い、この権利の完全な実現を達成するための必要な措置をとる。
1の給付は、適当な場合には、児童及びその扶養について責任を有する者の資力及び事情並びに児童によって又は児童に代わって行われる給付の申請に関する他のすべての事項を考慮して、与えられるものとする。
第二七条 [生活水準に関する権利]
締約国は、児童の身体的、精神的、道徳的及び社会的な発達のための相当な生活水準についてのすべての児童の権利を認める。
父母又は児童について責任を有する他の者は、自己の能力及び資力の範囲内で、児童の発達に必要な生活条件を確保することについての第一義的な責任を有する。
締約国は、国内事情に従い、かつ、その能力の範囲内で、1の権利の実現のため、父母及び児童について責任を有する他の者を援助するための適当な措置をとるものとし、また、必要な場合には、特に栄養、衣類及び住居に関して、物的援助及び支援計画を提供する。
締約国は、父母又は児童について金銭上の責任を有する他の者から、児童の扶養料を自国内で及び外国から、回収することを確保するためのすべての適当な措置をとる。特に、児童について金銭上の責任を有する者が児童と異なる国に居住している場合には、締約国は、国際協定への加入又は国際協定の締結及び他の適当な取決めの作成を促進する。
第二八条 [教育に関する権利]
締約国は、教育についての児童の権利を認めるものとし、この権利を漸進的にかつ機会の平等を基礎として達成するため、特に、
(a) 初等教育を義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとする。
(b) 種々の形態の中等教育(一般教育及び職業教育を含む。)の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとし、例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。
(c) すべての適当な方法により、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする。
(d) すべての児童に対し、教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとする。
(e) 定期的な登校及び中途退学率の減少を奨励するための措置をとる。
締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。
締約国は、特に全世界における無知及び非識字の廃絶に寄与し並びに科学上及び技術上の知識並びに最新の教育方法の利用を容易にするため、教育に関する事項についての国際協力を促進し、及び奨励する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。
第二九条 [教育の目的]
締約国は、児童の教育が次のことを指向すべきことに同意する。
(a) 児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。
(b) 人権及び基本的自由並びに国際連合憲章にうたう原則の尊重を育成すること。
(c) 児童の父母、児童の文化的同一性、言語及び価値観、児童の居住国及び出身国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文明に対する尊重を育成すること。
(d) すべての人民の間の、種族的、国民的及び宗教的集団の間の並びに原住民である者の理解、平和、寛容、両性の平等及び友好の精神に従い、自由な社会における責任ある生活のために児童に準備させること。
(e) 自然環境の尊重を育成すること。
この条又は前条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行われる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。
第三〇条 [少数民族又は原住民児童の権利]
種族的、宗教的若しくは言語的少数民族又は先住民である者が存在する国において、当該少数民族に属し又は先住民である児童は、その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない。
第三一条 [文化的生活等への参加]
締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。
締約国は、児童が文化的及び芸術的な生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進するものとし、文化的及び芸術的な活動並びにレクリエーション及び余暇の活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。
第三二条 [経済的搾取及び有害労働からの保護]
締約国は、児童が経済的な搾取から保護され及び危険となり若しくは児童の教育の妨げとなり又は児童の健康若しくは身体的、精神的、道徳的若しくは社会的な発達に有害となるおそれのある労働への従事から保護される権利を認める。
締約国は、この条の規定の実施を確保するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。このため、締約国は、他の国際文書の関連規定を考慮して、特に、
(a) 雇用が認められるための1又は2以上の最低年齢を定める。
(b) 労働時間及び労働条件についての適当な規則を定める。
(c) この条の規定の効果的な実施を確保するための適当な罰則その他の制裁を定める。
第三三条 [麻薬及び向精神薬からの保護]
締約国は、関連する国際条約に定義された麻薬及び向精神薬の不正な使用から児童を保護し並びにこれらの物質の不正な生産及び取引における児童の使用を防止するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置を含むすべての適当な措置をとる。
第三四条 [性的搾取及び性的虐待からの保護]
締約国は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することを約束する。このため、締約国は、特に、次のことを防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。
(a) 不法な性的な行為を行うことを児童に対して勧誘し又は強制すること。
(b) 売春又は他の不法な性的な業務において児童を搾取的に使用すること。
(c) わいせつな演技及び物において児童を搾取的に使用すること。
第三五条 [誘拐、売買又は取引の防止]
締約国は、あらゆる目的のための又はあらゆる形態の児童の誘拐、売買又は取引を防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。
第三六条 [他の全ての形態の搾取からの保護]
締約国は、いずれかの面において児童の福祉を害する他のすべての形態の搾取から児童を保護する。
第三七条 [拷問及び死刑等の禁止・自由を奪われた児童の取り扱い]
締約国は、次のことを確保する。
(a) いかなる児童も、拷問又は他の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けないこと。死刑又は釈放の可能性がない終身刑は、十八歳未満の者が行った犯罪について科さないこと。
(b) いかなる児童も、不法に又は恣意的にその自由を奪われないこと。児童の逮捕、抑留又は拘禁は、法律に従って行うものとし、最後の解決手段として最も短い適当な期間のみ用いること。
(c) 自由を奪われたすべての児童は、人道的に、人間の固有の尊厳を尊重して、かつ、その年齢の者の必要を考慮した方法で取り扱われること。特に、自由を奪われたすべての児童は、成人とは分離されないことがその最善の利益であると認められない限り成人とは分離されるものとし、例外的な事情がある場合を除くほか、通信及び訪問を通じてその家族との接触を維持する権利を有すること。
(d) 自由を奪われたすべての児童は、弁護人その他適当な援助を行う者と速やかに接触する権利を有し、裁判所その他の権限のある、独立の、かつ、公平な当局においてその自由の剥奪の合法性を争い並びにこれについての決定を速やかに受ける権利を有すること。
第三八条 [武力紛争における保護]
締約国は、武力紛争において自国に適用される国際人道法の規定で児童に関係を有するものを尊重し及びこれらの規定の尊重を確保することを約束する。
締約国は、15歳未満の者が敵対行為に直接参加しないことを確保するためのすべての実行可能な措置をとる。
締約国は、15歳未満の者を自国の軍隊に採用することを差し控えるものとし、また、15歳以上18歳未満の者の中から採用するに当たっては、最年長者を優先させるよう努める。
締約国は、武力紛争において文民を保護するための国際人道法に基づく自国の義務に従い、武力紛争の影響を受ける児童の保護及び養護を確保するためのすべての実行可能な措置をとる。
第三九条 [被害児童の回復及び社会復帰]
締約国は、あらゆる形態の放置、搾取若しくは虐待、拷間若しくは他のあらゆる形態の残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰又は武力紛争による被害者である児童の身体的及び心理的な回復及び社会復帰を促進するためのすべての適当な措置をとる。このような回復及び復帰は、児童の健康、自尊心及び尊厳を育成する環境において行われる。
第四〇条 [刑事法上の保護責任]
締約国は、刑法を犯したと申し立てられ、訴追され又は認定されたすべての児童が尊厳及び価値についての当該児童の意識を促進させるような方法であって、当該児童が他の者の人権及び基本的自由を尊重することを強化し、かつ、当該児童の年齢を考慮し、更に、当該児童が社会に復帰し及び社会において建設的な役割を担うことがなるべく促進されることを配慮した方法により取り扱われる権利を認める。
このため、締約国は、国際文書の関連する規定を考慮して、特に次のことを確保する。
(a) いかなる児童も、実行の時に国内法又は国際法により禁じられていなかった作為又は不作為を理由として刑法を犯したと申し立てられ、訴追され又は認定されないこと。
(b) 刑法を犯したと申し立てられ又は訴追されたすべての児童は、少なくとも次の保障を受けること。
(i) 法律に基づいて有罪とされるまでは無罪と推定されること。
(ii) 速やかにかつ直接に、また、適当な場合には当該児童の父母又は法定保護 者を通じてその罪を告げられること並びに防御の準備及び申立てにおいて弁 護人その他適当な援助を行う者を持つこと。
(iii) 事案が権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関により法律に基づく公正な審理において、弁護人その他適当な援助を行う者の立会い及び、特に当該児童の年齢又は境遇を考慮して児童の最善の利益にならないと認められる場合を除くほか、当該児童の父母又は法定保護者の立会いの下に遅滞なく決定されること。
(iv) 供述又は有罪の自白を強要されないこと。不利な証人を尋間し又はこれに対し尋問させること並びに対等の条件で自己のための証人の出席及びこれに対する尋問を求めること。
(v) 刑法を犯したと認められた場合には、その認定及びその結果科せられた措置について、法律に基づき、上級の、権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関によって再審理されること。
(vi) 使用される言語を理解すること又は話すことができない場合には、無料で通訳の援助を受けること。
(vii) 手続のすべての段階において当該児童の私生活が十分に尊重されること。
締約国は、刑法を犯したと申し立てられ、訴追され又は認定された児童に特別に適用される法律及び手続の制定並びに当局及び施設の設置を促進するよう努めるものとし、特に、次のことを行う。
(a) その年齢未満の児童は刑法を犯す能力を有しないと推定される最低年齢を設定すること。
(b) 適当なかつ望ましい場合には、人権及び法的保護が十分に尊重されていることを条件として、司法上の手続に訴えることなく当該児童を取り扱う措置をとること。
児童がその福祉に適合し、かつ、その事情及び犯罪の双方に応じた方法で取り扱われることを確保するため、保護、指導及び監督命令、力ウンセリング、保護観察、里親委託、教育及び職業訓練計画、施設における養護に代わる他の措置等の種々の処置が利用し得るものとする。
第四一条 [他の法規との関係]
この条約のいかなる規定も、次のものに含まれる規定であって児童の権利の実現に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。
(a) 締約国の法律
(b) 締約国について効力を有する国際法

第二部

第四二条 [締約国の広報義務]
締約国は、適当かつ積極的な方法でこの条約の原則及び規定を成人及び児童のいずれにも広く知らせることを約束する。
第四三条 [児童の権利に関する委員会]
この条約において負う義務の履行の達成に関する締約国による進捗の状況を審査するため、児童の権利に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、この部に定める任務を行う。
委員会は、徳望が高く、かつ、この条約が対象とする分野において能力を認められた10人の専門家で構成する。委員会の委員は、締約国の国民の中から締約国により選出されるものとし、個人の資格で職務を遂行する。その選出に当たっては、衡平な地理的配分及び主要な法体系を考慮に入れる。
委員会の委員は、締約国により指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。各締約国は、自国民の中から一人を指名することができる。
委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後6箇月以内に行うものとし、その後の選挙は、2年ごとに行う。国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも4箇月前までに、締約国に対し、自国が指名する者の氏名を2箇月以内に提出するよう書簡で要請する。その後、同事務総長は、指名された者のアルファべット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、この条約の締約国に送付する。
委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により国際連合本部に招集される締約国の会合において行う。これらの会合は、締約国の3分の2をもって定足数とする。これらの会合においては、出席しかつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得た者をもって委員会に選出された委員とする。
委員会の委員は、4年の任期で選出される。委員は、再指名された場合には、再選される資格を有する。最初の選挙において選出された委員のうち5人の委員の任期は、2年で終了するものとし、これらの5人の委員は、最初の選挙の後直ちに、最初の選挙が行われた締約国の会合の議長によりくじ引で選ばれる。
委員会の委員が死亡し、辞任し又は他の理由のため委員会の職務を遂行することができなくなったことを宣言した場合には、当該委員を指名した締約国は、委員会の承認を条件として自国民の中から残余の期間職務を遂行する他の専門家を任命する。
委員会は、手続規則を定める。
委員会は、役員を2年の任期で選出する。
委員会の会合は、原則として、国際連合本部又は委員会が決定する他の適当な場所において開催する。委員会は、原則として毎年1回会合する。委員会の会合の期間は、国際連合総会の承認を条件としてこの条約の締約国の会合において決定し、必要な場合には、再検討する。
国際連合事務総長は、委員会がこの条約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供する。
この条約に基づいて設置する委員会の委員は、国際連合総会が決定する条件に従い、同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。
第四四条 [締約国の報告義務]
締約国は、(a)当該締約国についてこの条約が効力を生ずる時から2年以内に、(b)その後は5年ごとに、この条約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告を国際連合事務総長を通じて委員会に提出することを約束する。
この条の規定により行われる報告には、この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び障害が存在する場合には、これらの要因及び障害を記載する。当該報告には、また、委員会が当該国における条約の実施について包括的に理解するために十分な情報を含める。
委員会に対して包括的な最初の報告を提出した締約国は、1(b)の規定に従って提出するその後の報告においては、既に提供した基本的な情報を繰り返す必要はない。
委員会は、この条約の実施に関連する追加の情報を締約国に要請することができる。
委員会は、その活動に関する報告を経済社会理事会を通じて2年ごとに国際連合総会に提出する。
締約国は、1の報告を自国において公衆が広く利用できるようにする。
第四五条 [国際協力のための委員会の機能]
この条約の効果的な実施を促進し及びこの条約が対象とする分野における国際協力を奨励するため、
(a) 専門機関及び国際連合児童基金その他の国際連合の機関は、その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の規定の実施についての検討に際し、代表を出す権利を有する。委員会は、適当と認める場合には、専門機関及び国際連合児童基金その他の権限のある機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について専門家の助言を提供するよう要請することができる。委員会は、専門機関及び国際連合児童基金その他の国際連合の機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について報告を提出するよう要請することができる。
(b) 委員会は、適当と認める場合には、技術的な助言若しくは援助の要請を含んでおり又はこれらの必要性を記載している締約国からのすべての報告を、これらの要請又は必要性の記載に関する委員会の見解及び提案がある場合は当該見解及び提案とともに、専門機関及び国際連合児童基金その他の権限のある機関に送付する。
(c) 委員会は、国際連合総会に対し、国際連合事務総長が委員会のために児童の権利に関連する特定の事項に関する研究を行うよう同事務総長に要請することを勧告することができる。
(d) 委員会は、前条及びこの条の規定により得た情報に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。これらの提案及び一般的な性格を有する勧告は、関係締約国に送付し、締約国から意見がある場合にはその意見とともに国際連合総会に報告する。

第三部

第四六条 [署名]
この条約は、すべての国による署名のために開放しておく。
第四七条 [批准]
この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。
第四八条 [加入]
この条約は、すべての国による加入のために開放しておく。加入書は、国際連合事務総長に寄託する。
第四九条 [効力発生]
この条約は、20番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。
この条約は、20番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後30日目に効力を生ずる。
第五〇条 [改正の手続き]
いずれの締約国も、改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。同事務総長は、直ちに、締約国に対し、その改正案を送付するものとし、締約国による改正案の審議及び投票のための締約国の会議の開催についての賛否を示すよう要請する。その送付の日から4箇月以内に締約国の3分の1以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。会議において出席しかつ投票する締約国の過半数によって採択された改正案は、承認のため、国際連合総会に提出する。
1の規定により採択された改正は、国際連合総会が承認し、かつ、締約国の3分の2以上の多数が受諾した時に、効力を生ずる。
改正は、効力を生じたときは、改正を受諾した締約国を拘束するものとし、他の締約国は、改正前のこの条約の規定(受諾した従前の改正を含む。)により引き続き拘束される。
第五一条 [留保]
国際連合事務総長は、批准又は加入の際に行われた留保の書面を受領し、かつ、すべての国に送付する。
この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。
留保は、国際連合事務総長にあてた通告によりいつでも撤回することができるものとし、同事務総長は、その撤回をすべての国に通報する。このようにして通報された通告は、同事務総長により受領された日に効力を生ずる。
第五二条 [廃棄]
締約国は、国際連合事務総長に対して書面による通告を行うことにより、この条約を廃棄することができる。廃棄は、同事務総長がその通告を受領した日の後1年で効力を生ずる。
第五三条 [寄託]
国際連合事務総長は、この条約の寄託者として指名される。
第五四条 [正文]
アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際連合事務総長に寄託する。
以上の証拠として、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。

   「ウィキソース」より

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1859年(安政6)小説家・演劇評論家・劇作家・英文学者坪内逍遥の誕生日(新暦6月22日)詳細
1917年(大正6)大正6年米沢大火で、死者11名、負傷者80余名、焼失2,294戸を出す詳細
1924年(大正13)金属工学者荒田吉明の誕生日詳細
1939年(昭和14)全国学校教職員及び学生生徒御親閲式で、「青少年学徒ニ賜ハリタル勅語」が発布される詳細
1945年(昭和20)「戦時教育令」を公布し、各学校、職場に学徒隊を結成させる詳細
1989年(平成元)考古学者相沢忠洋の命日詳細
1992年(平成4)「生物の多様性に関する条約」が採択される(国際生物多様性の日)詳細
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 今日は、平成時代の2000年(平成12)に、「犯罪被害者保護法」が公布(施行は同年11月1日)された日です。
 「犯罪被害者保護法」(はんざいひがいしゃほごほう)は、平成時代の2000年(平成12)5月19日に公布(施行は同年11月1日)された、犯罪被害者の刑事手続における負担の軽減を主目的とする法律(平成12年法律第75号)で、正式名称を「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」と言います。刑事裁判の手続きにおいて、犯罪の被害を被った人やその家族の心情を尊重し、またその被害の回復に資する措置を定めるなど、被害者などの権利利益の保護を図ることを目的としたもので、「刑事訴訟法」と「検察審査会法」も併せて改正されました。
 被害者の公判傍聴に対する配慮(第2条)、刑事裁判終了前の公判記録の閲覧・謄写などを規定(第3条)、「刑事訴訟法」改正では、証人尋問の際の証人への付き添い、証人を被告や傍聴人から遮蔽する措置、別室からのテレビモニターを介した証言などを認め、また親告罪である性犯罪の告訴期限を撤廃、被害者が死亡した場合に検察の不起訴処分に親族らが不服申立てをしたときには,検察審査会はその審査を行わなければならないことなどを規定しています。その後、犯罪被害者等(その家族や遺族を含む)の権利利益を保護するために、2004年(平成16)12月8日には、「犯罪被害者等基本法」が公布(施行は2005年4月1日)されました。
 以下に、「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」(平成12年法律第75号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」(平成12年法律第75号) 2000年(平成12)5月19日公布、同年11月1日施行

 (目的)

第一条 この法律は、犯罪により害を被った者(以下「被害者」という。)及びその遺族がその被害に係る刑事事件の審理の状況及び内容について深い関心を有するとともに、これらの者の受けた身体的、財産的被害その他の被害の回復には困難を伴う場合があることにかんがみ、刑事手続に付随するものとして、被害者及びその遺族の心情を尊重し、かつその被害の回復に資するための措置を定め、もってその保護を図ることを目的とする。

 (公判手続の傍聴)

第二条 刑事被告事件の係属する裁判所の裁判長は、当該被告事件の被害者等(被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ)又は当該被害者の法定代理人から、当該被告事件の公判手続の傍聴の申出があるときは、傍聴席及び傍聴を希望する者の数その他の事情を考慮しつつ、申出をした者が傍聴できるよう配慮しなければならない。

 (公判記録の閲覧及び謄写)

第三条 刑事被告事件の係属する裁判所は、第一回の公判期日後当該被告事件の終結までの間において、当該被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、当該被告事件の訴訟記録の閲覧又は謄写の申出があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、当該被害者等の損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合その他正当な理由がある場合であって、犯罪の性質、審理の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせることができる。
2 裁判所は、前項の規定により謄写をさせる場合において、謄写した訴訟記録の使用目的を制限し、その他適当と認める条件を付することができる。
3 第一項の規定により訴訟記録を閲覧し又は謄写した者は、閲覧又は謄写により知り得た事項を用いるに当たり、不当に関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は捜査若しくは公判に支障を生じさせることのないよう注意しなければならない。

 (民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解)

第四条 刑事被告事件の被告人と被害者等は、両者の間における民事上の争い(当該被告事件に係る被害についての争いを含む場合に限る。)について合意が成立した場合には、当該被告事件の係属する第一審裁判所又は控訴裁判所に対し、共同して当該合意の公判調書への記載を求める申立てをすることができる。
2 前項の合意が被告人の被害者等に対する金銭の支払を内容とする場合において、被告人以外の者が被害者等に対し当該債務について保証する旨又は連帯して責任を負う旨を約したときは、その者も、同項の申立てとともに、被告人及び被害者等と共同してその旨の公判調書への記載を求める申立てをすることができる。
3 第二項の規定による申立ては、弁論の終結までに、公判期日に出頭し、当該申立てに係る合意及びその合意がされた民事上の争いの目的である権利を特定するに足りる事実を記載した書面を提出してしなければならない。
4 第一項又は第二項の規定による申立てに係る合意を公判調書に記載したときは、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有する。

 (和解記録)

第五条 前条第一項若しくは第二項の規定による申立てに基づき公判調書に記載された合意をした者又は利害関係を疎明した第三者は、第三条及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四十九条の規定にかかわらず、裁判所書記官に対し、当該公判調書(当該合意及びその合意がされた民事上の争いの目的である権利を特定するに足りる事実が記載された部分に限る。)、当該申立てに係る前条第三項の書面その他の当該合意に関する記録(以下「和解記録」という。)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は和解に関する事項の証明書の交付を請求することができる。ただし、和解記録の閲覧及び謄写の請求は、和解記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。
2 前項に規定する和解記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は和解に関する事項の証明書の交付の請求に関する裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百二十一条の例により、和解記録についての秘密保護のための閲覧等の制限の手続については同法第九十二条の例による。
3 和解記録は、刑事被告事件の終結後は、当該被告事件の第一審裁判所において保管するものとする。

 (民事訴訟法の準用)

第六条 前二条に規定する民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解に関する手続については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第一編第三章第一節(選定当事者及び特別代理人に関する規定を除く。)及び第四節(第六十条を除く。)の規定を準用する。

 (執行文付与の訴え等の管轄の特則)

第七条 第四条に規定する民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解に係る執行文付与の訴え、執行文付与に対する異議の訴え及び請求異議の訴えは、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十三条第二項(同法第三十四条第三項及び第三十五条第三項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、当該被告事件の第一審裁判所(第一審裁判所が簡易裁判所である場合において、その和解に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)の管轄に専属する。

 (手数料)

第八条 第三条第一項の規定による訴訟記録の閲覧又は謄写の手数料及び第五条第一項の規定による和解記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は和解に関する事項の証明書の交付の手数料については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)第七条から第十条まで及び別表第二の一から三までの項の規定(別表第二の一の項上欄中「(事件の係属中に当事者等が請求するものを除く。)」とある部分を除く。)を準用する。
2 第四条及び第五条に規定する民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解に関する手続の手数料については、民事訴訟法第二百七十五条の規定による訴え提起前の和解の例による。

 (最高裁判所規則)

第九条 この法律に定めるもののほか、公判記録の閲覧及び謄写並びに民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解について必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

 (刑事確定訴訟記録法の一部改正)

2 刑事確定訴訟記録法(昭和六十二年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。

  第二条第一項中「記録」の下に「(犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成十二年法律第七十五号)第五条第一項に規定する和解記録については、その謄本)」を加える。

(法務・内閣総理大臣署名) 

    「衆議院ホームページ」より

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1919年(大正8)大正8年米沢大火で、死者1名、焼失1,071戸(棟数にして1385棟)を出す詳細
1946年(昭和21)東京の皇居前広場で食糧メーデー(飯米獲得人民大会)が開催される詳細
1995年(平成7)「地方分権推進法」(平成7年法律第96号)が公布(同年7月3日施行)される詳細
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 今日は、平成時代の1997年(平成9)に、「アイヌ文化振興法」が公布(施行は同年7月1日)された日です。
 「アイヌ文化振興法」(あいぬぶんかしんこうほう)は、1997年(平成9)5月14日に公布(施行は同年7月1日)された、アイヌの伝統や文化を尊重し、アイヌの人々が民族としての誇りをもって生活できる社会、またすべての国民が共生する社会の実現を図ることを目的とする法律(平成9年第52号)ですが、正式名称は、「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」と言います。これは、アイヌを日本の法律の上で初めて民族として認めたもので、アイヌの伝統的な文化を国と地方公共団体が保証し,振興していくものでした。
 しかし、土地や資源に対する先住民族の権利は明記されず、生活・教育の支援策も含まれていないなど、課題も指摘されています。この法律の施行に伴って、1899年(明治32)に制定された「北海道旧土人保護法」(明治32年法律第27号)および、1934年(昭和9)に制定された「旭川市旧土人保護地処分法」(昭和9年法律第9号)は廃止されました。
 その後、この法律は「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(平成31年法律第16号)により、2019年(令和元年)5月24日に廃止されています。
 以下に、「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(アイヌ文化振興法)」を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」(平成9年第52号)

(目的)
第一条
この法律は、アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化(以下「アイヌの伝統等」という。)が置かれている状況にかんがみ、アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する国民に対する知識の普及及び啓発(以下「アイヌ文化の振興等」という。)を図るための施策を推進することにより、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を図り、あわせて我が国の多様な文化の発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条
この法律において「アイヌ文化」とは、アイヌ語並びにアイヌにおいて継承されてきた音楽、舞踊、工芸その他の文化的所産及びこれらから発展した文化的所産をいう。

(国及び地方公共団体の責務)
第三条
国は、アイヌ文化を継承する者の育成、アイヌの伝統等に関する広報活動の充実、アイヌ文化の振興等に資する調査研究の推進その他アイヌ文化の振興等を図るための施策を推進するよう努めるとともに、地方公共団体が実施するアイヌ文化の振興等を図るための施策を推進するために必要な助言その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
2 地方公共団体は、当該区域の社会的条件に応じ、アイヌ文化の振興等を図るための施策の実施に努めなければならない。

(施策における配慮)
第四条
国及び地方公共団体は、アイヌ文化の振興等を図るための施策を実施するに当たっては、アイヌの人々の自発的意思及び民族としての誇りを尊重するよう配慮するものとする。

(基本方針)
第五条
国土交通大臣及び文部科学大臣は、アイヌ文化の振興等を図るための施策に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次の事項について定めるものとする。
 一 アイヌ文化の振興等に関する基本的な事項
 二 アイヌ文化の振興を図るための施策に関する事項
 三 アイヌの伝統等に関する国民に対する知識の普及及び啓発を図るための施策に関する事項
 四 アイヌ文化の振興等に資する調査研究に関する事項
 五 アイヌ文化の振興等を図るための施策の実施に際し配慮すべき重要事項
3 国土交通大臣及び文部科学大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、次条第一項に規定する関係都道府県の意見を聴かなければならない。
4 国土交通大臣及び文部科学大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するとともに、次条第一項に規定する関係都道府県に送付しなければならない。

(基本計画)
第六条
その区域内の社会的条件に照らしてアイヌ文化の振興等を図るための施策を総合的に実施することが相当であると認められる政令で定める都道府県(以下「関係都道府県」という。)は、基本方針に即して、関係都道府県におけるアイヌ文化の振興等を図るための施策に関する基本計画(以下「基本計画」という。)を定めるものとする。
2 基本計画においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 アイヌ文化の振興等に関する基本的な方針
 二 アイヌ文化の振興を図るための施策の実施内容に関する事項
 三 アイヌの伝統等に関する住民に対する知識の普及及び啓発を図るための施策の実施内容に関する事項
 四 その他アイヌ文化の振興等を図るための施策の実施に際し配慮すべき重要事項
3 関係都道府県は、基本計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを国土交通大臣及び文部科学大臣に提出するとともに、公表しなければならない。
4 国土交通大臣及び文部科学大臣は、基本計画の作成及び円滑な実施の促進のため、関係都道府県に対し必要な助言、勧告及び情報の提供を行うよう努めなければならない。

(指定等)
第七条
国土交通大臣及び文部科学大臣は、アイヌ文化の振興等を目的とする一般社団法人又は一般財団法人であって、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一に限り、同条に規定する業務を行う者として指定することができる。
2 国土交通大臣及び文部科学大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該指定を受けた者(以下「指定法人」という。)の名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 指定法人は、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を国土交通大臣及び文部科学大臣に届け出なければならない。
4 国土交通大臣及び文部科学大臣は、前項の規定による届出があったときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。

(業務)
第八条
指定法人は、次に掲げる業務を行うものとする。
 一 アイヌ文化を継承する者の育成その他のアイヌ文化の振興に関する業務を行うこと。
 二 アイヌの伝統等に関する広報活動その他の普及啓発を行うこと。
 三 アイヌ文化の振興等に資する調査研究を行うこと。
 四 アイヌ文化の振興、アイヌの伝統等に関する普及啓発又はアイヌ文化の振興等に資する調査研究を行う者に対して、助言、助成その他の援助を行うこと。
 五 前各号に掲げるもののほか、アイヌ文化の振興等を図るために必要な業務を行うこと。

(事業計画等)
第九条
指定法人は、毎事業年度、国土交通省令・文部科学省令で定めるところにより、事業計画書及び収支予算書を作成し、国土交通大臣及び文部科学大臣に提出しなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の事業計画書は、基本方針の内容に即して定めなければならない。
3 指定法人は、国土交通省令・文部科学省令で定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書及び収支決算書を作成し、国土交通大臣及び文部科学大臣に提出しなければならない。

(報告の徴収及び立入検査)
第十条
国土交通大臣及び文部科学大臣は、この法律の施行に必要な限度において、指定法人に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、指定法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(改善命令)
第十一条
国土交通大臣及び文部科学大臣は、指定法人の第八条に規定する業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、指定法人に対し、その改善に必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

(指定の取消し等)
第十二条
国土交通大臣及び文部科学大臣は、指定法人が前条の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができる。
2 国土交通大臣及び文部科学大臣は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

(罰則)
第十三条
第十条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者は、二十万円以下の罰金に処する。
2 法人の代表者又は代理人、使用人その他の従業者が、その法人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して同項の刑を科する。

附則抄

(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(北海道旧土人保護法等の廃止)
第二条
次に掲げる法律は、廃止する。
 一 北海道旧土人保護法(明治三十二年法律第二十七号)
 二 旭川市旧土人保護地処分法(昭和九年法律第九号)

(北海道旧土人保護法の廃止に伴う経過措置)
第三条
北海道知事は、この法律の施行の際現に前条の規定による廃止前の北海道旧土人保護法(次項において「旧保護法」という。)第十条第一項の規定により管理する北海道旧土人共有財産(以下「共有財産」という。)が、次項から第四項までの規定の定めるところにより共有者に返還され、又は第五項の規定により指定法人若しくは北海道に帰属するまでの間、これを管理するものとする。
2 北海道知事は、共有財産を共有者に返還するため、旧保護法第十条第三項の規定により指定された共有財産ごとに、厚生労働省令で定める事項を官報で公告しなければならない。
3 共有財産の共有者は、前項の規定による公告の日から起算して一年以内に、北海道知事に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該共有財産の返還を請求することができる。
4 北海道知事は、前項に規定する期間の満了後でなければ、共有財産をその共有者に対し、返還してはならない。ただし、当該期間の満了前であっても、当該共有財産の共有者のすべてが同項の規定による請求をした場合には、この限りでない。
5 第三項に規定する期間内に共有財産の共有者が同項の規定による請求をしなかったときは、当該共有財産は、指定法人(同項に規定する期間が満了した時に、第七条第一項の規定による指定がされていない場合にあっては、北海道)に帰属する。
6 前項の規定により共有財産が指定法人に帰属したときは、その法人は、当該帰属した財産をアイヌ文化の振興等のための業務に要する費用に充てるものとする。

附則(平成一一年一二月二二日法律第一六〇号)抄

(施行期日)
第一条
この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

附則(平成一八年六月二日法律第五〇号)
この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。

附則(平成二三年六月二四日法律第七四号)抄

(施行期日)
第一条
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。

   「ウィキソース」より

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