jyogasi3

 今日は、明治時代前期の1870年(明治3)に、日本5番目の洋式灯台として城ヶ島灯台が初点灯した日ですが、新暦では9月8日となります。
 城ヶ島灯台(じょうがしまとうだい)は、神奈川県三浦半島の最南端に浮かぶ、城ヶ島の西端にある長津呂崎に立つ、白亜の中型灯台です。幕末の1867年(慶応3)に、江戸幕府は諸外国の求めに応じ、4ヶ所(観音崎、野島崎、品川第二砲台、城ケ島)の西洋式灯台建設を計画、フランス人技師レオンス・ヴェルニーに建設を依頼しました。
 しかし、明治維新期に当たり、紆余曲折を経てフランス人技師たちの設計によって建設され、明治新政府の下で、1870年(明治3年8月13日)に、日本の西洋式灯台としては5番目の初点灯を迎えます。建設当初は、塔形(円形)のレンガ造でしたが、1923年(大正12)9月1日の関東大震災により、灯塔、附属舎共に、倒壊してしまいました。
 そこで、1925年(大正14)8月1日に、白色塔形(円形)コンクリート造で再建されたのが現存のものです。灯塔高(地上から塔頂まで)11.5m、標高(平均海面から灯火まで)30.1mで、第4等フレネル式レンズを使い、光度40万カンデラ、光達距離16海里(約30km) で、内部は一般公開されていませんので、通常は外部のみの見学とされてきました。
 1928年(昭和3)に城ヶ島への電灯敷設に伴って光源がアセチレンガスから電灯となり、光度が20,000cdから120,000cdへ引き上げられます。1958年(昭和33)に周辺に県立城ヶ島公園が設置され、太平洋を望む景勝地として、海岸の磯は観光客でにぎわってきましたが、1991年(平成3)に灯台は無人化されました。
 尚、この島には1648年(慶安元)に、三崎奉行安部次郎兵衛により東端の安房崎に烽火台が設置され、1678年(延宝6)に烽火台は幕府の命によって島西端の西山(現在の位置)に移設され、魚の油を燃やす行灯式の灯明台となり、1721年(享保6)には、三崎代官河原清兵衛によって松薪による篝火に変更されるという灯台の前史があります。

〇城ヶ島灯台関係略年表(明治5年以前の日付は旧暦です)

・1648年(慶安元年) 三崎奉行安部次郎兵衛が島東端の安房崎に烽火台を設置したのが起源とされる
・1678年(延宝6年) 烽火台は幕府の命によって島西端の西山(現在の位置)に移設され、魚の油を燃やす行灯式の灯明台となる
・1721年(享保6年) 三崎代官河原清兵衛によって松薪による篝火に変更される
・1867年(慶応3年) 江戸幕府が諸外国の求めに応じ、観音崎、野島崎、品川第二砲台と共に4ヶ所の灯台建設を計画、フランス人技師レオンス・ヴェルニーに建設を依頼する
・1870年(明治3年8月13日) 日本の西洋式灯台としては5番目の初点灯を迎える
・1923年(大正12年)9月1日 関東大震災が発生し、設置当時の灯台は灯塔、附属舎共に完全に倒壊する
・1925年(大正14年)8月1日 白色塔形(円形)コンクリート造で再建される
・1928年(昭和3年) 城ヶ島への電灯敷設に伴って光源がアセチレンガスから電灯となり、光度が20,000cdから120,000cdへ引き上げられる
・1991年(平成3年) 灯台が無人化される

☆初点灯とは?

 灯台が、その場所ではじめて正式に点灯(本点灯)した日をいいます。日本で最初に点灯した洋式灯台は、1869年2月11日(旧暦:明治2年1月1日)の観音埼灯台で、2番目は、1870年1月19日(旧暦:明治2年12月18日)の野島埼灯台で、共にレンガ造りでしたが、いずれも地震で倒壊し、現在では、鉄筋コンクリート造りとなりました。しかし、F・L・ヴェルニー等によって、1870年4月5日(旧暦:明治3年3月5日)に建設され3番目に初点灯したレンガ造りの品川灯台(旧:東京都品川区)は、愛知県犬山市の「博物館明治村」に移設保存されて、現存しています。以下に、初点灯の古い洋式灯台ベスト20を新暦で本点灯の年月日順に記しました。

<初点灯の古い洋式灯台ベスト20>

①観音埼灯台(神奈川県横須賀市)1869年2月11日(旧暦:明治2年1月1日)
②野島埼灯台(千葉県南房総市)1870年1月19日(旧暦:明治2年12月18日)
③品川灯台(旧:東京都品川区)1870年4月5日(旧暦:明治3年3月5日)
④樫野埼灯台(和歌山県串本町)1870年7月8日(旧暦:明治3年6月10日)
⑤城ヶ島灯台(神奈川県三浦市)1870年9月8日(旧暦:明治3年8月13日)
⑥神子元島灯台(静岡県下田市)1871年1月1日(旧暦:明治3年11月11日)
⑦剱埼灯台(神奈川県三浦市)1871年3月1日(旧暦:明治4年1月11日)
⑧江埼灯台(兵庫県北淡町)1871年6月14日(旧暦:明治4年4月27日)
⑨伊王島灯台(長崎県長崎市)1871年9月14日(旧暦:明治4年7月30日)
⑩石廊埼灯台(静岡県南伊豆町)1871年10月5日(旧暦:明治4年8月21日)
⑪佐多岬灯台(鹿児島県佐多町)1871年11月30日(旧暦:明治4年10月18日)
⑫六連島灯台(山口県下関市)1872年1月1日(旧暦:明治4年11月21日)
⑬部埼灯台(福岡県北九州市)1872年3月1日(旧暦:明治5年1月22日)
⑭友ヶ島灯台(和歌山県和歌山市)1872年8月1日(旧暦:明治5年6月27日)
⑮納沙布岬灯台(北海道根室市)1872年8月15日(旧暦:明治5年7月12日)
⑯和田岬灯台(兵庫県神戸市)1872年10月1日(旧暦:明治5年8月29日)
⑰天保山灯台(大阪府大阪市)1872年10月1日(旧暦:明治5年8月29日)
⑱鍋島灯台(香川県坂出市)1872年12月15日(旧暦:明治5年11月15日)
⑲安乗埼灯台(三重県阿児町)1873年(明治6)4月1日
⑳釣島灯台(愛媛県松山市)1873年(明治6)6月15日

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

842年(承和9)貴族・官僚・書家橘逸勢の命日(新暦9月24日)詳細
1809年(文化6)幕末明治維新期の熊本藩士・思想家・政治家横井小楠の誕生日(新暦9月22日)詳細
1952年(昭和27)日本が国際復興開発銀行(世界銀行)と国際通貨基金(IMF)に加盟する詳細