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 今日は、昭和時代後期の1980年(昭和55)に、黒澤明監督の映画『影武者』がカンヌ国際映画祭でグランプリを獲得した日ですが、日本時間では翌日となります。
 映画『影武者』(かげむしゃ)は、昭和時代後期の1980年(昭和55)4月26日に封切られた、黒澤明監督の日本映画です。ハリウッドの大手スタジオから世界配給された最初の日本映画で、カラービスタ版で、上映時間180分でした。
 監督・脚本:黒澤明、脚本:井手雅人、音楽:池辺晋一郎、美術:村木与四郎。出演:仲代達矢、山崎努、萩原健一、油井孝太、大滝秀治、室田日出男、隆大介ほかで、戦国時代に武田信玄の影武者となった男の運命を描いたものです。当時の日本映画の歴代映画興行成績(配給収入27億円)1位を記録して、高く評価され、第33回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール、セザール賞最優秀外国映画賞、第35回毎日映画コンクール日本映画大賞、日本映画ファン賞など多数を受賞、第53回アカデミー賞で外国語映画賞と美術賞の2部門にノミネートされました。

〇映画『影武者』の受賞とノミネート

・第33回カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞受賞
・第53回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート
・第53回アカデミー賞美術賞(村木与四郎)ノミネート
・ゴールデングローブ賞外国語映画賞ノミネート
・英国アカデミー賞作品賞ノミネート
・英国アカデミー賞監督賞(黒澤明)受賞
・英国アカデミー賞撮影(賞斎藤孝雄、上田正治)ノミネート
・英国アカデミー賞衣装デザイン賞百沢征一郎受賞
・第23回ブルーリボン賞作品賞受賞
・第23回ブルーリボン賞主演男優賞(仲代達矢)受賞
・第23回ブルーリボン賞新人賞(隆大介)受賞
・第35回毎日映画コンクール日本映画大賞受賞
・第35回毎日映画コンクール監督賞(黒澤明)受賞
・第35回毎日映画コンクール男優演技賞(仲代達矢)受賞
・第35回毎日映画コンクール美術賞(村木与四郎)受賞
・第35回毎日映画コンクール音楽賞(池辺晋一郎)受賞
・日本映画ファン賞受賞
・キネマ旬報ベスト・テン日本映画ベスト・テン2位
・キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞(山﨑努)受賞
・報知映画賞作品賞受賞
・報知映画賞助演男優賞(山﨑努)受賞
・ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞外国語映画トップ5受賞
・セザール賞外国映画賞受賞
・ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞外国監督賞(黒澤明)受賞
・外国プロデューサー賞(ジョージ・ルーカス)
・フランシス・フォード・コッポラ受賞
・ナストロ・ダルジェント賞外国監督賞(黒澤明)受賞
・サン・フェデーレ賞受賞
・ベルギー映画批評家協会賞監督賞(黒澤明)受賞

☆黒澤明(くろさわ あきら)とは?

 昭和時代から平成時代に活躍した日本を代表する映画監督・脚本家です。明治時代後期の1910年(明治43)3月23日に、東京府荏原郡大井町(現在の東京都品川区東大井)で、荏原中学校(現在の日体荏原高等学校)に勤めていた父・黒澤勇と母・シマの4男4女の末っ子として生まれました。
 1927年(昭和2)に京華中学校卒業後、画家になることを志し、川端画学校に通って洋画を勉強、1928年(昭和3)には二科展に「静物」が入選します。同年、造形美術研究所(のちのプロレタリア美術研究所)に入り、1929年(昭和4)には、日本プロレタリア美術家同盟に参加し、同年の第2回プロレタリア美術大展覧会に5つの作品を出品しました。
 1936年(昭和11)、画業に見切りをつけ、P.C.L.映画製作所(後に東宝と合併)に入社、山本嘉次郎に師事し、1938年(昭和13)に助監督となります。1943年(昭和18)に『姿三四郎』で監督デビューし、太平洋戦争中には他に『一番美しく』(1944)など3本を監督しました。
 戦後は、戦中・戦後の青年像を鮮烈に描いた『わが青春に悔なし』(1946年)、『素晴らしき日曜日』(1947年)、『酔いどれ天使』(1948年)、『野良犬』(1949年)などを監督して、日本映画の旗手となります。1950年(昭和25)の『羅生門』では、ベネチア国際映画祭グランプリを獲得、続いて『生きる』(1952年)、『七人の侍』(1954年)、『用心棒』(1961年)などを発表し、ダイナミックな映像表現と一貫したヒューマニズムの追求により、世界から高い評価を得ました。
 1980年(昭和55)の『影武者』でカンヌ国際映画祭のグランプリ、1984年(昭和59)にフランスよりレジオン・ドヌール勲章、翌年映画人として初の文化勲章など数々の栄誉に輝きます。1990年(平成)には、アカデミー賞名誉賞も受賞しましたが、1998年(平成10)9月6日に、東京において、88歳で亡くなりました。没後、映画監督としては初の国民栄誉賞も受賞しています。

<監督映画作品一覧>

・『姿三四郎』(1943年)
・『一番美しく』(1944年)
・『続姿三四郎』(1945年)
・『虎の尾を踏む男達』(1945年)
・『明日を創る人々』(1946年)[山本嘉次郎、関川秀雄との共同監督]
・『わが青春に悔なし』(1946年)
・『素晴らしき日曜日』(1947年)
・『酔いどれ天使』(1948年)
・『静かなる決闘』(1949年)
・『野良犬』(1949年)
・『醜聞(スキャンダル)』(1950年)
・『羅生門』(1950年)
・『白痴』(1951年)
・『生きる』(1952年)
・『七人の侍』(1954年)
・『生きものの記録』(1955年)
・『蜘蛛巣城』(1957年)
・『どん底』(1957年)
・『隠し砦の三悪人』(1958年)
・『悪い奴ほどよく眠る』(1960年)
・『用心棒』(1961年)
・『椿三十郎』(1962年)
・『天国と地獄』(1963年)
・『赤ひげ』(1965年)
・『どですかでん』(1970年)
・『デルス・ウザーラ』(1975年)
・『影武者』(1980年)
・『乱』(1985年)
・『夢』(1990年)
・『八月の狂詩曲(ラプソディー)』(1991年)
・『まあだだよ』(1993年)

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

811年(弘仁2)武将・征夷大将軍坂上田村麻呂の命日(新暦6月17日)詳細
1663年(寛文3)江戸幕府が改訂した「武家諸法度」(寛文令)21ヶ条を発布する(新暦6月28日)詳細
1832年(天保3)蘭学者・政治家・外交官寺島宗則の誕生日(新暦6月21日)詳細
1915年(大正4)東京駅~東京鉄道郵便局間に、郵便物受渡用の地下電車が開通し、日本初の地下鉄となる詳細
1919年(大正8)和辻哲郎著の『古寺巡礼』が発刊される詳細
1948年(昭和23)憲法学者美濃部達吉の命日詳細
1969年(昭和44)ウィーンにおいて、「条約法に関するウィーン条約」が締結され.る(1980年1月27日発効)詳細
1981年(昭和56)編集者・児童文学者・評論家・翻訳家吉野源三郎の命日詳細