
「阿片烟ヲ禁シ府藩県高札ニ掲示セシム」(あへんえんをきんじふはんけんこうさつにけいじせしむ)は、幕末明治維新期の1868年(慶応4年閏4月19日)に、 明治新政府が初めてだした、阿片の売買・喫煙を禁止した布告です。長崎、横浜などの条約港では、貿易のために集まった外国商人が居住のため使用人や料理人として中国人を連れて来ており、彼らが密輸により、阿片の煙膏を持ち込んで問題となっていました。
その中で、この布告では、「阿片煙草ハ、人ノ精気ヲ耗シ、命数ヲ縮メ候品ニ付」と初めて人害であることが明記され、「売買之儀ハ勿論、一己ニ呑用ヒ候儀、決而不相成候」と使用や売買を含めて禁止し、「若御制禁相犯シ、他ヨリ顕ルヽニ於テハ、可被処厳科候間」と、厳罰に処すものとしています。その後、新政府は法整備を進め、1870年(明治3年8月9日)には、「販売鴉片烟律」が布告され、使用や売買を含めて罰則規定を設けて、重罪としました。
以下に、この「阿片烟ヲ禁シ府藩県高札ニ掲示セシム」を記した、慶応4年の『太政官日誌』の「阿片煙草禁制ノ事」と「販売鴉片烟律」を掲載しておきますので、ご参照下さい。
その中で、この布告では、「阿片煙草ハ、人ノ精気ヲ耗シ、命数ヲ縮メ候品ニ付」と初めて人害であることが明記され、「売買之儀ハ勿論、一己ニ呑用ヒ候儀、決而不相成候」と使用や売買を含めて禁止し、「若御制禁相犯シ、他ヨリ顕ルヽニ於テハ、可被処厳科候間」と、厳罰に処すものとしています。その後、新政府は法整備を進め、1870年(明治3年8月9日)には、「販売鴉片烟律」が布告され、使用や売買を含めて罰則規定を設けて、重罪としました。
以下に、この「阿片烟ヲ禁シ府藩県高札ニ掲示セシム」を記した、慶応4年の『太政官日誌』の「阿片煙草禁制ノ事」と「販売鴉片烟律」を掲載しておきますので、ご参照下さい。
〇『太政官日誌』慶応4年
【阿片煙草禁制ノ事】
御布告写一通
阿片煙草ハ、人ノ精気ヲ耗シ、命数ヲ縮メ候品ニ付、兼而御条約面ニ有之候通、外国人持渡候事、厳禁之処、近頃窃ニ舶載之聞ヘ有之万一世上ニ流布致シ候テハ、生民之大害ニ候間、売買之儀ハ勿論、一己ニ呑用ヒ候儀、決而不相成候、若御制禁相犯シ、他ヨリ顕ルヽニ於テハ、可被処厳科候間、心得違無之様末々ニ至ル迄、堅ク可相守者也
右御達シ書、府藩県一同高札ニ掲示可致様被仰出候事
閏四月
〇「販売鴉片烟律」 1870年(明治3年8月9日)布告
一、凡ソ鴉片烟ヲ販売シテ利ヲ謀ル者首ハ斬、従ハ三等流、自首スル者ハ一等ヲ減ス
一、人ヲ引誘シ吸食セシムル者ハ絞、従及ヒ情ヲ知リ房屋ヲ給スル者ハ三等流、引誘セラレテ吸食スル者ハ徒一年
一、収買シテ未タ售賈セサル者首ハ三等流、従は徒三年、買食スル者徒二年半、自首スル者は並ニ罪ヲ免シ、鴉片烟ハ官ニ没収ス
一、官吏知テ挙セザル者ハ、併ニ拠同罪、財ヲ受クル者ハ出事
一、薬用関之ニ付、外国ヨリ取寄度節ハ、各地方官ヨリ開港場ヘ申立候ハヽ、別段ノ注文ヲ以テ、取寄候様可致事
<現代語訳>
一、およそ、営利目的で生成アヘンの販売を行う主犯者は斬首である。それに基づき、販売にかかわった者はその度合いにより近流、中流、遠流のいづれかの流刑、自首したものはその状況等により一段階低い罪にする。
一、人を誘いアヘンを吸飲させた主犯者は絞首刑である。客引きなどで主犯者に従った者、事情を知り吸飲の場所を提供した者などは三種の流刑が科せられ、誘われて客となりアヘンを吸飲した者も、1年の徒刑(懲役刑)が科せられる。
一、購入した生成アヘンを販売せず所持をしている主犯者は三種の流刑。それに従っている者は3年の懲役刑。生成アヘンを購入して吸飲するもの2年半の懲役刑。自首する者は無罪。そして所持している生成アヘンは、すべて没収する。
一、役人が知っていて、逮捕しない者は、その罪は同罪とし、財を受け取ってていた者は差し出すこと。
一、薬用に関するものについては、外国より取り寄せるたびごとに、各地方官より開港場ヘ申し立てるならば、各別の注文として、取り寄せるべきこととする。
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
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