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 今日は、昭和時代前期の1928年(昭和3)に、東京の上野恩賜公園で、御大礼記念国産振興博覧会が開幕した日です。
 御大礼記念国産振興博覧会(ごたいれいきねんこくさんしんこうはくらんかい)は、昭和時代前期の1928年(昭和3)3月24日~5月27日まで、昭和天皇の即位の大礼を奉祝する記念として、東京商工会議所が主催して、上野公園竹の台を第1会場にし、不忍池畔の産業館を第2会場として開催した優良国産品の一大博覧会です。第1会場正面には、白亜の八角搭で、壮麗な大礼記念館が場内随一の高搭として聳え、館内では大礼記念展が開かれ、ご即位式の模型や装束類が展示され、その両側に東1・2号館と西1・2・3号館が、両側に東西に分かれて並び、館内には全国各府県市、各団体のほか中央の官公庁も出品をしました。
 娯楽施設として、新天地館、人類館、民謡館、水族館、演芸館などがつくられ、盛り沢山の余興で賑わいます。第2会場の不忍池には、機械館のほか殖民地からの参加で、台湾館や樺太館が建てられ、朝鮮館も渡月橋沿いに特設館を建てました。大礼記念館などの主要施設は、アールデコ様式を採り入れており、建築家岡田信一郎が設計しています。
 会期は、3月24日~5月27日までの65日間で、来場者は、2,233,487人あり、とても盛況でした。尚、上野恩賜公園での大規模な博覧会は、これが最後となります。

〇上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)とは?

 東京都台東区にある都立公園で、面積は53.2万㎡あり、通称は上野公園と言います。恩賜上野動物園、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館、東京都美術館、東京文化会館、東京芸術大学など多くの文化施設があり、都内随一のサクラの名所としても知られてきました。
 江戸時代は寛永寺の境内でしたが、1868年(慶応4)の彰義隊の戦いで寛永寺の建物が焼失し、その跡地が1873年(明治6)1月15日の公園開設の「明治6年太政官布達第16号」により、同年3月25日には、芝、飛鳥山、深川、浅草と共に最初の5公園の一つとして正式指定されて東京府公園となります。1875年(明治8)に不忍池(しのばずのいけ)周辺も編入され、翌年1月には、東京府から内務省博物局に移管、博物館所属の公園地となりました。
 その後、造営が進められ完成に伴って、同年5月9日に明治天皇行幸で開園式が行われています。1877年(明治10)に第1回内国勧業博覧会がこの公園で開催され、以後第3回まで続きました。
 1882年(明治15)に上野動物園、寛永寺本堂跡に現在の東京国立博物館、1887年(明治20)に美術学校・音楽学校(現在の東京芸術大学)などが開設、移築されています。1924年(大正13)には、昭和天皇御成婚記念として不忍池とともに東京市に下賜され、一般に開放されて上野恩賜公園と命名されました。

☆上野恩賜公園関係略年表

・1868年(明治元)7月4日 上野戦争により寛永寺伽藍の大部分を焼失する
・1873年(明治6)3月 太政官布達第16号により東京府公園に指定される
・1875年(明治8) 上野山内に加え不忍池も公園地として併合され、府下一の公園となる
・1876年(明治9)1月 東京府から内務省博物局に移管され、上野公園は博物館所属の公園地となる
・1877年(明治10) 国立科学博物館の前身である教育博物館竣工(のちの東京芸大の地)、寛永寺本坊跡地にて第1回内国勧業博覧会を開催する
・1879年(明治12)8月 島津忠義公が、訪日中のグラント将軍と明治天皇のため、天覧犬追物を開催。タイサンボクとローソンヒノキが植樹される
・1881年(明治14) 第2回内国勧業博覧会を開催、閉会後に博物館が使用する前提で煉瓦造の建物を建設する
・1882年(明治15)3月20日 国立博物館および付属動物園(元寒松院跡の清水谷に)が開館する
・1887年(明治20)12月 図面取調掛は東京美術学校と改称し、現在の地に移転する
・1890年(明治23) 公園地は帝室御料地となり宮内省の管轄に置かれる
・1898年(明治31) 西郷隆盛像除幕式が行われる
・1902年(明治35)3月 帝室博物館開館式が行われる
・1909年(明治42)2月 東京帝室博物館表慶館が開館する
・1914年(大正3) 園内で東京大正博覧会が開催される(3月20日~7月31日)
・1924年(大正13) 宮内省から東京市に下賜され(払い下げられ)、この経緯から「上野恩賜公園」という名称となる
・1926年(大正15)5月 東京府美術館が開館する
・1928年(昭和3) 御大礼記念国産振興博覧会が開催される(3月24日~5月27日)
・1930年(昭和5)3月 上野図書館新館が落成する
・1931年(昭和6)11月 東京科学博物館が開館する
・1946年(昭和21) 戦災者救済会により不忍池(蓮池)の水を落として水田とし、上野田圃と呼ばれる
・1948年(昭和23)3月 上野鐘声会が花咲き匂う上野の山の復興を願って1250本のサクラを植樹する
・1952年(昭和27) 上野動物園拡張整備、東京科学博物館が廃止となり、国立科学博物館が設置される
・1953年(昭和28) 竹の台周辺整備開始され、水上音楽堂が竣工する
・1959年(昭和34)6月 国立西洋美術館が開館する
・1961年(昭和36)4月 東京文化会館が開館する
・1962年(昭和37)5月 竹の台噴水テラス沈床芝生が完成する
・1965年(昭和40) 東照宮が国の重要文化財に指定される
・1968年(昭和43)4月 明治100年記念サクラ植樹が行われる
・1972年(昭和47) 上野の森美術館が開館、上野動物園にジャイアントパンダが到着する
・1973年(昭和48) 公園指定100周年を記念して、アントニウス・ボードウィンの銅像を建立する
・1975年(昭和50)9月 東京都美術館新館が開館する
・1979年(昭和54)11月 国立西洋美術館新館が開館する
・1980年(昭和55)10月 下町風俗資料館が開館する
・1987年(昭和62)3月 東京芸術大学旧奏楽堂が移築復元される
・1988年(昭和63)6月 水上音楽堂改築が竣工する
・1997年(平成9)12月 国立西洋美術館企画展示館が竣工する
・1998年(平成10)3月 東京芸術大学奏楽堂が竣工する
・1999年(平成11) 東京芸術大学美術館、東京国立博物館平成館が開館する
・2000年(平成12)10月 「パンダ橋」が竣工する
・2008年(平成20)9月 水上音楽堂改築竣工、野外ステージに改名される
・2012年(平成24) 「上野恩賜公園再生整備事業」における「竹の台・文化施設エリア」の再整備工事(噴水・オープンカフェ・園路の再整備と樹木伐採)が完了する
・2020年(令和2)3月 JR上野駅公園口周辺の再整備により、公園敷地と公園口改札の歩行者空間が一体化される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1185年(寿永4)壇ノ浦の戦いが行われ、平家一門が滅亡する(新暦4月25日)詳細
1847年(弘化4)信濃国で善光寺地震(推定マグニチュード7.4)が起き、甚大な被害をもたらす(新暦5月8日)詳細
1887年(明治20)砂防工学者・政治家赤木正雄の誕生日詳細
1891年(明治24)「度量衡法」(明治24年3月24日法律第3号)が公布される詳細
1932年(昭和7)小説家梶井基次郎の命日詳細
1974年(昭和49)建築家吉田五十八の命日詳細
1983年(昭和58)千代田IC~鹿野ICの開通によって、中国自動車道(吹田~下関)が全通する詳細