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 今日は、昭和時代後期の1968年(昭和43)に、「消費者保護基本法」が公布・施行された日で、1978年(昭和53)には、「消費者の日」ともされています。
 この法律は、消費者の利益の擁護および増進について総合的推進を図り、国民の消費生活の安定と向上を確立することを目的とし、国、地方公共団体、事業者の責務とともに、消費者の役割をも明らかにするために制定されたもので、同日施行されました。
 この背景には、高度経済成長を経て、工業技術の急速な発達により、多くの新製品が開発、販売されましたが、それらの製品に含まれている有害物質や取扱い上の注意、規格、表示などの面での法整備の遅れが目だってきたことにあります。さらに、欧米諸国のような消費者の権利保護、自衛意識等が社会の中に浸透してきたこともありました。
 その後、何度か改正されましたが、2004年(平成16)6月2日の抜本改正により、「消費者基本法」の名称に改められ、消費者保護から消費者自立支援へと変更されます。
 現行法では、不正競争の防止、計量・規格・表示等の適正化、苦情処理体制の整備、内閣府付属機関として消費者政策会議を設置する等が定められました。
 以下に、旧法である「消費者保護基本法」(全文)を掲載しておきますので、ご参照ください。

〇「消費者保護基本法」(全文) 1968年(昭和43)5月30日 法律第78号

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、消費者の利益の擁護及び増進に関し、国、地方公共団体及び事業者の果たすべき責務並びに消費者の果たすべき役割を明らかにするとともにその施策の基本となる事項を定めることにより、消費者の利益の擁護及び増進に関する対策の総合的推進を図り、もつて国民の消費生活の安定及び向上を確保することを目的とする。

(国の責務)
第二条 国は、経済社会の発展に即応して、消費者の保護に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。

(地方公共団体の責務)
第三条 地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるとともに、当該地域の社会的、経済的状況に応じた消費者の保護に関する施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。

(事業者の責務)
第四条
 1 事業者は、その供給する商品及び役務について、危害の防止、適正な計量及び表示の実施等必要な措置を講ずるとともに、国又は地方公共団体が実施する消費者の保護に関する施策に協力する責務を有する。
 2 事業者は、常に、その供給する商品及び役務について、品質その他の内容の向上及び消費者からの苦情の適切な処理に努めなければならない。

(消費者の役割)
第五条 消費者は、経済社会の発展に即応して、みずからすすんで消費生活に関する必要な知識を修得するとともに、自主的かつ合理的に行動するように努めることによつて、消費生活の安定及び向上に積極的な役割を果たすものとする。

(法制上の措置等)
第六条
 1 国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行なわなければならない。
 2 政府は、この法律の目的を達成するため、必要な財政上の措置を講じなければならない。

第二章 消費者の保護に関する施策等

(危害の防止)
第七条 国は、国民の消費生活において商品及び役務が国民の生命、身体及び財産に対して及ぼす危害を防止するため、商品及び役務について、必要な危害防止の基準を整備し、その確保を図る等必要な施策を講ずるものとする。

(計量の適正化)
第八条 国は、消費者が事業者との間の取引に際し計量につき不利益をこうむることがないようにするため、商品及び役務について適正な計量の実施の確保を図るために必要な施策を講ずるものとする。

(規格の適正化)
第九条
 1 国は、商品の品質の改善及び国民の消費生活の合理化に寄与するため、商品及び役務について、適正な規格を整備し、その普及を図る等必要な施策を講ずるものとする。
 2 前項の規定による規格の整備は、技術の進歩、消費生活の向上等に応じて行なうものとする。

(表示の適正化等)
第十条 国は、消費者が商品の購入若しくは使用又は役務の利用に際しその選択等を誤ることがないようにするため、商品及び役務について、品質その他の内容に関する表示制度を整備し、虚偽又は誇大な表示を規制する等必要な施策を講ずるものとする。

(公正自由な競争の確保等)
第十一条 国は、商品及び役務の価格等について公正かつ自由な競争を不当に制限する行為を規制するために必要な施策を講ずるとともに、国民の消費生活において重要度の高い商品及び役務の価格等であつてその形成につき決定、認可その他の国の措置が必要とされるものについては、これらの措置を講ずるにあたり、消費者に与える影響を十分に考慮するよう努めるものとする。

(啓発活動及び教育の推進)
第十二条 国は、消費者が自主性をもつて健全な消費生活を営むことができるようにするため、商品及び役務に関する知識の普及及び情報の提供、生活設計に関する知識の普及等消費者に対する啓発活動を推進するとともに、消費生活に関する教育を充実する等必要な施策を講ずるものとする。

(意見の反映)
第十三条 国は、消費者の保護に関する適正な施策の策定及び実施に資するため、消費者の意見を国の施策に反映させるための制度を整備する等必要な施策を講ずるものとする。

(試験、検査等の施設の整備等)
第十四条 国は、消費者の保護に関する施策の実効を確保するため、商品の試験、検査等を行なう施設を整備するとともに、必要に応じて試験、検査等の結果を公表する等必要な施策を講ずるものとする。

(苦情処理体制の整備等)
第十五条
 1 事業者は、消費者との間の取引に関して生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等に努めなければならない。
 2 市町村(特別区を含む。)は、事業者と消費者との間の取引に関して生じた苦情の処理のあつせん等に努めなければならない。
 3 国及び都道府県は、事業者と消費者との間の取引に関して生じた苦情が適切かつ迅速に処理されるようにするために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

第三章 行政機関等

(行政組織の整備及び行政運営の改善)
第十六条 国及び地方公共団体は、消費者の保護に関する施策を講ずるにつき、総合的見地に立つた行政組織の整備及び行政運営の改善に努めなければならない。

(消費者の組織化)
第十七条 国は、消費者がその消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な組織活動が促進されるよう必要な施策を講ずるものとする。

第四章 消費者保護会議等

(消費者保護会議)
第十八条
 1 総理府に、消費者保護会議(以下「会議」という。)を置く。
 2 会議は、消費者の保護に関する基本的な施策の企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進する事務をつかさどる。

第十九条
 1 会議は、会長及び委員をもつて組織する。
 2 会長は、内閣総理大臣をもつて充てる。
 3 委員は、関係行政機関の長のうちから、内閣総理大臣が任命する。
 4 会議に、幹事を置く。
 5 幹事は、関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
 6 幹事は、会議の所掌事務について、会長及び委員を助ける。
 7 会議の庶務は、経済企画庁において処理する。
 8 前各項に定めるもののほか、会議の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

(国民生活審議会)
第二十条 消費者の保護に関する基本的事項の調査審議については、この法律によるほか、経済企画庁設置法(昭和二十七年法律第二百六十三号)第八条の定めるところにより、国民生活審議会において行うものとする。

附則 

抄1 この法律は、公布の日から施行する。