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 今日は、平安時代前期の905年(延喜5)に、『古今和歌集』が醍醐天皇に奏上された日ですが、新暦では5月21日となります。
 これは、醍醐天皇の勅命で、紀貫之、紀友則、凡河内躬恒、壬生忠岑の4人が撰者となって編集し、905年(延喜5年4月15日)に奏上(注:仮名序では4月18日)された最初の勅撰和歌集で、『古今集』とも呼ばれていました。
 全二十巻からなり、仮名序と真名序の二つの序文があって、約1,100首を収め、春・夏・秋・冬など13に分類されています。ほとんどが短歌ですが、旋頭歌4首と長歌5首もあり、技巧的・観念的で、繊細・優美な歌が多く、「万葉集」の率直な写生の歌とは異なっていました。
 入集歌数が多いのは、紀貫之(102首)、凡河内躬恒(60首)、紀友則(46首)、壬生忠岑(36首)、素性(36首)、在原業平(30首)の順となっています。
 この歌集以後、勅撰和歌集が編集され、1439年(永享11)成立の『新続古今和歌集』までの534年間で21があり、総称して「二十一代集」と呼ばれました。尚、1205年(元久2)成立の『新古今集』までの初めの8つを「八代集」とも呼んでいます。

<収載されている代表的な歌>
・「久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ」(紀友則)
・「秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」(藤原敏行)
・「冬がれの 野辺とわが身を 思ひせば 燃えても春を 待たましものを」(伊勢)
・「有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり 憂きものはなし」(壬生忠岑)
・「桜花 散りぬる風の なごりには 水なき空に 波ぞ立ちける」(紀貫之)
・「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」(小野小町)

〇勅撰和歌集(二十一代集)一覧

1 『古今和歌集』20巻・1,100首(醍醐天皇下命)905年成立[選者:紀友則、紀貫之、凡河内躬恒、壬生忠岑]
2 『後撰和歌集』20巻・1,425首(村上天皇下命)957-959年成立[選者:大中臣能宣、清原元輔、源順、紀時文、坂上望城]
3 『拾遺和歌集』20巻・1,351首(花山院下命)1005-07年成立[選者:花山院] 藤原公任『拾遺抄』の増補
4 『後拾遺和歌集』20巻・1,218首(白河天皇下命)1086年成立[選者:藤原通俊]
5 『金葉和歌集』10巻・650首(白河院下命)1126年成立(三奏本)[選者:源俊頼](三奏本) 世上に流布したのは10巻665首の二度本
6 『詞花和歌集』10巻・415首(崇徳院下命)1151年頃成立[選者:藤原顕輔]
7 『千載和歌集』20巻・1,288首(後白河院下命)1188年成立[選者:藤原俊成]
8 『新古今和歌集』20巻・1,978首(後鳥羽院下命)1205年成立[選者:源通具、藤原有家、藤原定家、飛鳥井雅経、寂蓮(実際は後鳥羽院親撰)]
9 『新勅撰和歌集』20巻・1,374首(後堀河天皇下命)1235年成立[選者:藤原定家]
10 『続後撰和歌集』20巻・1,371首(後嵯峨院下命)1251年成立[選者:藤原為家]
11 『続古今和歌集』20巻・1,915首(後嵯峨院下命)1265年成立[選者:藤原為家、藤原基家、藤原行家、藤原光俊、藤原家良]
12 『続拾遺和歌集』20巻・1,459首(亀山院下命)1278年成立[選者:二条為氏]
13 『新後撰和歌集』20巻・1,607首(後宇多院下命)1303年成立[選者:二条為世]
14 『玉葉和歌集』20巻・2,800首(伏見院下命)1312年成立[選者:京極為兼]
15 『続千載和歌集』20巻・2,143首(後宇多院下命)1320年成立[選者:二条為世]
16 『続後拾遺和歌集』20巻・1,353首(後醍醐天皇下命)1326年成立[選者:二条為藤、二条為定]
17 『風雅和歌集』20巻・2,211首(花園院監修、光厳院下命)1349年成立[選者:光厳院(親撰)]
18 『新千載和歌集』20巻・2,365首(後光厳天皇下命)1359年成立[選者:二条為定]
19 『新拾遺和歌集』20巻・1,920首(後光厳天皇下命)1364年成立[選者:二条為明、頓阿]
20 『新後拾遺和歌集』20巻・1,554首(後円融天皇下命)1384年成立[選者:二条為遠、二条為重]
21 『新続古今和歌集』20巻・2,144首(後花園天皇下命)1439年成立[選者:飛鳥井雅世]