この橋は、兵庫県神戸市垂水区と淡路市とを結ぶ吊り橋で、中央径間が1,991mもあり、現在、世界最長の吊り橋となっています。
昭和時代後期の1970年(昭和45)7月に、本州四国連絡橋公団が設立され、1973年(昭和48)10月に、工事実施計画が認可されました。その後、1986年(昭和61)4月26日に起工式が行われ、1988年(昭和63)5月に工事が着工、1996年(平成8年)9月に閉合し、平成時代の1998年(平成10)4月5日に開通しました。
神戸側の橋桁内に舞子海上プロムナードという遊歩道と展望台が設けられています。橋台内のエレベータで、47mの高さまで上がり、そこから海側まで150mほど歩けるのですが、床が透明になっている部分があって、スリリングで、直接海面を望むことができました。
また、神戸側の陸上には、「橋の科学館」が開設されており、明石海峡大橋を中心に橋についての技術的・歴史的展示があって、勉強になります。
〇「吊り橋」とは?
空間に張り渡したケーブルに沿って橋床をつるした橋のことで、ケーブルを空中高く支持するための塔、ケーブルを地盤に定着させるためのアンカー、つりケーブルでつり下げた補剛桁などから構成されます。古くから、原始的な形態のものが存在したと考えられますが、現在でも山間部に見られ、徳島県祖谷の蔓橋などが残されていました。近代の吊橋では、床の部分をプレートガーダーまたはトラスを組み合わせて剛性を高める構造が用いられています。世界の代表的な吊り橋としては、1937年に完成したサンフランシスコのゴールデン・ゲート橋(中央径間1,280m)が著名です。
日本においても、太平洋戦争後に計画されるようになり、その長大吊り橋の嚆矢としては、1961年に完成した徳島県の小鳴門橋(中央径間160m)と1962年(昭和37)に完成した北九州市の若戸大橋(中央径間367m)があげられます。
その後、1973年(昭和48)に関門橋(中央径間712m)、1983年(昭和58)に因島大橋(中央径間770m)、1985年(昭和60)に大鳴門橋(中央径間876m)、1988年(昭和63)に南備讃瀬戸大橋(中央径間1,100m)、1998年(平成10)に明石海峡大橋(中央径間1,991m)と次々に建設されていったのです。
☆日本の長大吊り橋ベスト15(中央径間の長さで比較しています)
1. 明石海峡大橋(兵庫県神戸市垂水区・淡路市)中央径間1,991m…1998年開通
2. 南備讃瀬戸大橋(香川県坂出市)中央径間1,100m…1988年開通
3. 来島海峡第三大橋(愛媛県今治市)中央径間1,030m…1999年開通
4. 来島海峡第二大橋(愛媛県今治市)中央径間1,020m…1999年開通
5. 北備讃瀬戸大橋(香川県坂出市)中央径間990m…1988年開通
6. 下津井瀬戸大橋(岡山県倉敷市・香川県坂出市)中央径間940m…1988年開通
7. 大鳴門橋(徳島県鳴門市・兵庫県南あわじ市)中央径間876m…1985年開通
8. 因島大橋(広島県尾道市)中央径間770m…1983年開通
9. 安芸灘大橋(広島県呉市)中央径間750m…2000年開通
10. 白鳥大橋(北海道室蘭市)中央径間720m…1998年開通
11. 関門橋(福岡県北九州市門司区・山口県下関市)中央径間712m…1973年開通
12. 来島海峡第一大橋(愛媛県今治市)中央径間600m…1999年開通
13. 東京港連絡橋<レインボーブリッジ>(東京都)中央径間570m…1993年開通
14. 大島大橋(広島県尾道市・愛媛県今治市)中央径間560m…1988年開通
15. 豊島大橋(広島県呉市)中央径間540m…2008年開通