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 今日は、昭和時代前期の1928年(昭和3)に、全日本無産者芸術連盟(略称:ナップ)が結成された日です。
 この団体は、プロレタリア芸術運動(労働者階級に根差した芸術を確立しようとする運動)の団体で、エスペラント語のNippona Proleta Artista Federacioの頭文字を組み合わせた略称を用い、NAPF(ナップ)とも呼ばれ、機関紙『戦旗』 (1928年5月~1931年12月) を発行しました。
 1928年(昭和3)3月15日に、三・一五事件(社会主義運動への弾圧事件)が起こり、プロレタリア芸術運動も大きな打撃を受けます。しかし、それに対抗して活動を強化するため、それまで、プロレタリア芸術運動の分野で分裂していた「日本プロレタリア芸術連盟」(中野重治ら)と「前衛芸術家連盟」(蔵原惟人ら)が合同して、文学部、演劇部、美術部、音楽部、映画部、出版部の6専門部を設け、それらの領域でプロレタリア芸術運動を確立すべく活動しました。
 同年12月には、それぞれの部を独立させ、「日本プロレタリア作家同盟」(ナルプ)、「日本プロレタリア劇場同盟」(プロット)、「日本プロレタリア映画同盟」(プロキノ)、「日本プロレタリア美術家同盟」(ヤップ)、日本プロレタリア音楽家同盟(PM)などの諸組織の協議体となり、「全日本無産者芸術団体協議会」と改称したものの、略称ナップはそのまま使用しました。さらに、機関誌には新たに『ナップ』 (1930年9月~1931年11月) を創刊します。
 その後、いっそう弾圧が厳しくなる中で、1931年(昭和6)にプロレタリア文化団体の総結集をねらいとして、発展的に解消し、運動は「日本プロレタリア文化連盟」(略称:コップ)に引継がれました。

〇「全日本無産者芸術団体協議会」を構成した芸術団体

・「日本プロレタリア作家同盟」(ナルプ)
・「日本プロレタリア劇場同盟」(プロット)――のち演劇同盟と改称
・「日本プロレタリア映画同盟」(プロキノ)
・「日本プロレタリア美術家同盟」(ヤップ)
・「日本プロレタリア音楽家同盟」(P・M)
・「日本プロレタリア写真同盟」(プロフォト)――のちに参加