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 今日は、平安時代前期の803年(延暦22)に、征夷大将軍・坂上田村麻呂に志波城の築城が命令された日ですが、新暦では4月1日となります。
 この城は、現在の岩手県盛岡市の西の郊外の交通の要衝に、征夷大将軍の坂上田村麻呂が造営した古代城柵で、『日本紀略』延暦22(803)年には、越後国から米と塩とを志波城に送ったことが書かれていました。
 蝦夷の首長アテルイ(阿弖流爲、阿弖利爲)を滅ぼした後、朝廷が蝦夷を統治するために設置したものです。陸奥国の最北に位置し、国府の多賀城に劣らない規模を持ち、政治・軍事上の拠点でしたが、雫石川の洪水被害をたびたび受けたため、10年後に主要な機能を南にある徳丹城へ移転しました。
 長らく所在地がはっきりしませんでしたが、東北自動車道建設にともなう、1976年~1977年の発掘調査で、築地塀や大溝、竪穴式住居跡が発見され、1984年(昭和59)に、『日本紀略』に記載のある「志波城」の遺跡として、国の史跡に指定されました。
 発掘の結果、城の外郭は、840m四方の築地塀で囲まれ、その外側に928m四方の堀を設けて2重に区画し、その中に官衙の建物が配され、外郭の外側には兵舎と思われる多数の竪穴住居跡があったことがわかっています。
 現在は、「志波城古代公園」として整備され、外郭南門、築地塀、政庁の南・西・東それぞれの門、官衙建物などが復元されました。復元された官衙建物は、コンピューターグラフィックで当時の姿を鑑賞できる展示室として整備されています。
 また、2015年(平成27)より、ガイダンス施設である「志波城古代公園案内所」と復元竪穴建物が公開開始となりました。

〇東北地方等に造営された主要な城柵一覧

・渟足柵(沼垂郡)647年(大化3)設置
・磐舟柵(岩船郡)648年(大化4)設置
・都岐沙羅柵(不明)設置年不明
・出羽柵(出羽郡) 760年(天平宝字4)頃設置 出羽国府
・秋田城(秋田郡) 760年(天平宝字4)頃設置
・河辺府(河辺郡) 759年(天平宝字3)設置
・雄勝城(雄勝郡) 759年(天平宝字3)設置
・由利柵( 由利郡) 設置年不明
・払田柵(不明) 9世紀初頭設置
・城輪柵(出羽郡?) 9世紀設置。
・多賀城(宮城郡) 724年(神亀元)設置 陸奥国府
・玉造柵(玉造郡) 737年(天平9)頃設置
・色麻柵(色麻郡) 737年(天平9)頃設置
・新田柵(新田郡) 737年(天平9)頃設置
・牡鹿柵(牡鹿郡) 737年(天平9)頃設置
・桃生城(桃生郡) 759年(天平宝字3)設置
・伊治城(伊治郡) 767年(神護景雲元)設置
・覚鱉城(不明) 780年(宝亀11)設置
・胆沢城(胆沢郡) 802年(延暦21)設置
・中山柵(不明) 804年(延暦23)以前設置
・志波城(志波郡) 803年(延暦22)設置
・徳丹城(志波郡) 811年(弘仁2)設置