藤ノ木古墳は、大型円墳(直径約50m、高さ約8m)で、古墳時代後期の6世紀後半に造られたと考えられています。
1985年(昭和60)の第1次調査によって、盗掘を免れてきた横穴式石室内から、60個体余の土師器・須恵器と金銅製の豪華な馬具などが出土したことで注目されました。
1987年(昭和62)に橿原考古学研究所が第2次調査を行ない、国内の発掘調査史上初めてファイバースコープによる石棺内の確認調査がされます。
そして、1988年(昭和63)の第3次調査において開棺調査され、金銅製の冠、沓、筒型製品、帯、6振の大刀、5面の鏡、金の耳飾りなどで装飾された成人男性2体の骨が発見されました。これらの調度品の高度な技術と華麗な意匠は、古墳時代後期の工芸技術の粋を集めたものとして高く評価されたのです。
1988年(昭和63)に石棺外出土品が国の重要文化財に指定され、1991年(平成3)に石棺内出土品が追加指定を受け、古墳自体も国の史跡に指定されました。さらに、2004年(平成16)に副葬品が一括して国宝に指定されたのです。
また、古墳から南へ200mのところにガイダンス施設(斑鳩文化財センター)があり、主な出土品のレプリカが展示されていますし、「奈良県立橿原考古学研究所」(奈良県橿原市)では出土品が常設展示されるようになりました。
〇藤ノ木古墳出土品(国宝指定)
<石棺外出土>
・金銅鞍金具 1背
・鉄地金銅張鞍金具 残欠共 2背分
・金属製品 一括(馬具類、挂甲小札、刀身、鉄鏃、鉄製模造品など)
・土師器・須恵器(蓋3箇共)46箇(須恵器37箇(蓋3箇共)、土師器9箇)
<石棺内出土>
・銅鏡 4面(獣帯鏡1、画文帯神獣鏡2、神獣鏡1)
・金属製品 一括(金銅冠、金銅履、金銅製・銀製装飾品類、刀剣類など)
・ガラス製品 一括(ガラス玉類)
・附 繊維類 一括