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 今日は、明治時代後期の1901年(明治34)に日本最初の社会主義政党である「社会民主党」(現在の社会民主党とは異なる)が結成された日です。
 「社会民主党」は、日本初の社会主義政党ですが、翌々日(5月20日)に結成を届け出たものの、治安警察法により届出当日に禁止され、宣言書を載せた「万朝報」、「労働世界」、「東京横浜毎日新聞」等も発禁処分とされました。
 この党の創立者は、安部磯雄、片山潜、幸徳秋水、木下尚江、河上清、西川光二郎の6名で、以下の8項目からなる党の理想と、28項目からなる綱領を含んだ「社会民主党宣言書」を発表したのです。
 これらの創立者たちは、直後に綱領を変えて「社会平民党」を結成しましたが、これも禁止されました。その後、社会主義運動は、社会主義協会や平民社に継承されていくことになります。

☆社会民主党宣言書 1901年(明治34)5月18日

 如何にして貧富の懸隔を打破すべきかハ実に二十世紀に於けるの大問題なりとす。彼の十八世紀の末に当り仏国を中心として欧米諸国に伝播したる自由民権の思想ハ、政治上の平等主義を実現するに於て大なる効力ありしと雖も、爾来物質的の進歩著しく、昔時の貴族平民てふ階級制度に代ふるに富者貧者てふ、更に忌むべき恐るべきものを以てするに至れり。抑も経済上の平等ハ本にして政治上の平等ハ末なり。故に立憲の政治を行ひて政権を公平に分配したりとするも、経済上の不公平にして除去せられざる限ハ人民多数の不幸ハ依然として存すべし。是我党が政治問題を解するに当り全力を経済問題に傾注せんとする所以なり。

(中略)
 
 今日の政党なるものは全く富者に使役せらる所のものにして決して多数人民の意志を代表するものにあらず。今や国民の多数を占むる労働者小作人は無学無識にして、殆ど富者の一顧にも価せざるべしと雖も、彼等は実に財富の生産者なるが故に、将来の社会組織に於て重要なる地位を占むるに至るべきは論を待たず。而して彼等をして其得べき地位を得せしむるは、即ち社会全体の利福を増進する所以なりとす。我党は茲に多数人民の休戚を負ふて生れたり。然れども貧民を庇護して富者を敵とするが如き狭量のものにあらず。而して其志す所は我国の富強を謀るにあれども、然も外国の利益を犠牲に供して顧みざるが如き唯我的のものにあらず。若し直□に其抱負を言へば我党は世界の大勢に鑑み、経済の趨勢を察し、純然たる社会主義と民主主義に依り、貧富の懸隔を打破して全世界に平和主義の勝利を得せしめんことを欲するなり。故に我党は左に掲ぐる理想に向かって着々進まんことを期す。

1.人種の差別、政治の異同に係わらず、人類は皆同胞なりとの主義を拡張すること。
2.万国の平和を来すためには先ず軍備を全廃すること。
3.階級制度を全廃すること。
4.生産手段として必要なる土地及び資本を悉く公有とすること。
5.鉄道、船舶、運河、橋梁のごとき交通手段はこれを公有とすること。
6.財産の分配を公平にすること。
7.人民をして平等に政権を得せしむること。
8.人民をして平等に教育を受けしめる為に、国家は全く教育の費用を負担すべきこと。

 別に左の如き綱領を定めて実際の運動を試むべしと云ふにあり。
1、全国の鉄道を公有すること。
2、市街鉄道、電気鉄道、瓦斯事業凡て独占的性質を有するものを私有すること。
3、中央政府、各府県、各市町村の所有せる公有地を払い下げることを禁ずること。
4、都市に於ける土地は挙げて其都市の所有とする方針を採ること、若しこれを速に実行する能はざる場合には、法律を設けて土地兼併を禁ずること。
5、専売権は政府にてこれを買い上げること。即ち発明者に相当の報酬を与へ、而して人民には廉値に其発明を使用せしむること。
6、家賃はその家屋の幾分以上を徴収する能はずとの制限を設くること。
7、政府の事業は凡て政府自らこれに当り、決して一個人若くは私立会社に受 負はしめざること。
8、酒税、醤油税、砂糖税の如き消費税は之を全廃し、之に代ふるに相続税、所得税及び其他の直接税を以てす。
9、高等小学校を終る迄を義務教育年限とし、月謝を全廃し、公費を以て教科 書を支給すること。
10、労働局を設置して、労働に関する一切の事を調査せしむること。
11、学齢児童を労働に従事することを禁ずること。
12、道徳健康に害ある事業に婦人を使役することを禁ずること。
13、少年及び婦女子の夜業を禁ずること。
14、日曜日の労働を廃し、日々の労働時間を八時間に制すること。
15、雇主責任法を設け労働者が服務中負傷した場合には雇主をして相当の手当てを為さしむること。
16、労働組合法を設け労働者が自由に団結することを公認し、且つ適当の保 護を与ふること。
17、小作人保護の法を設くること。
18、保険事業は一切政府事業と成すこと。
19、裁判入費は全く政府の負担とすること。
20、普通選挙法を採用すること。
21、公平選挙法を採用すること。
22、選挙は一切直接且つ無記名とすること。
23、重大なる問題に関しては一般人民をして直接に投票せしむるの方法を設くること。
24、死刑を全廃すること。
25、貴族院を廃止すること。
26、軍備を縮小すること。
27、治安警察法を廃止すること。
28、新聞条令を廃止すること。
我党は此の如く社会主義を経とし民主主義を緯として其の旗幟を明白にせり