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 今日は、昭和時代前期の1927年(昭和2)に、「東京日日新聞」「大阪毎日新聞」で、大佛次郎著の小説『赤穂浪士』の連載が開始された日です。
 小説『赤穂浪士』(あこうろうし)は、大佛次郎著の長篇小説です。1927年(昭和2)5月14日~1928年11月まで、「東京日日新聞」「大阪毎日新聞」に連載され、1928~29年に改造社より3巻本として刊行されました。
 江戸時代に実際にあった赤穂事件を題材としていて、赤穂義士とされてきた47人を、幕藩体制や時代風潮に抗う「浪士」として描いているのが特徴です。架空の浪人・堀田隼人の視点を通して描いていて、その軌跡には昭和初期の鬱屈した青春が影を落としており、そこに知識人文学としての共感が得られて、ベストセラー作品となりました。
 様々な版本・文庫判で刊行され、これまでに、映画化4回、テレビドラマ化4回(内1回は1964年1月5日~12月27日までNHKで放送された2作目の大河ドラマ)がなされています。

〇大佛次郎(おさらぎ じろう)とは?

 昭和時代に活躍した小説家で、本名は野尻清彦といいます。明治時代後期の1897年(明治30)10月9日に、野尻政助の子として、神奈川県横浜市に生まれました。
 東京府立第一中学校を経て、旧制第一高等学校へ入学しましたが、1916年(大正5)に寮生活をルポルタージュ風にまとめた小説「一高ロマンス」を雑誌『中学世界』連載して、翌年に出版されます。また、校友会雑誌に小説の習作を発表したりしていましたが、父の希望で東京帝国大学法学部政治学科に進みました。
 在学中は、海外文学の翻訳や小説を書いて投稿したり、演劇に関わったりします。1921年(大正10)に卒業後は、鎌倉女学校で1年間教員をしてから、外務省条約局に勤めましたが、1923年(大正12)の関東大震災を機に文筆に専念するようになりました。
 1924年(大正13)から大衆文芸誌『ポケット』に連載した「鞍馬天狗」で認められ、1927年(昭和2)から翌年にかけて『東京日日新聞』に掲載した「赤穂浪士」で大衆文壇の花形となります。その後、時代小説、現代小説、ノンフィクション、児童文学、戯曲、随想なども手掛け、幅広く活躍しました。
 太平洋戦争後は、東久邇宮内閣の内閣参与として一時期政治参加もします。そして、「帰郷」で1949年(昭和24)第6回日本芸術院賞(文芸部門)、1964年(昭和39)に文化勲章、「パリ燃ゆ」で1965年(昭和40)に朝日文化賞、「三姉妹」で1969年(昭和44)に第17回菊池寛賞と数々の栄誉に輝きましたが、1973年(昭和48)4月30日に75歳で亡くなりました。
 代表的作品には、「ごろつき船」「ゆうれい船」「乞食大将」「桜子」などの時代小説、「霧笛」「氷の階段」「宗方姉妹」「旅路」「風船」などの現代小説、「ドレフュース事件」「地霊」などの実録小説、「楊貴妃」「若き日の信長」などの戯曲、「日本人オイン」「花丸小鳥丸」などの少年文学等があります。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1221年(承久3)鎌倉幕府倒幕の為、後鳥羽上皇が近隣諸国の武士を結集、承久の乱が始まる(新暦6月5日)詳細
1227年(安貞元)鎌倉幕府第5代執権北条時頼の誕生日(新暦6月29日)詳細
1839年(天保10)蛮社の獄で、渡辺崋山、高野長英らが処罰される詳細
1871年(明治4)神道を国家の宗祀と定める「神社の世襲神職を廃し精選補任の件」が布告される(新暦7月1日)詳細
1888年(明治21)大和田建樹と奥好義によって、『明治唱歌 第一集』が発行される詳細
1938年(昭和13)東京市が「東京市町会規約準則」を出して、隣組の整備方式を打ち出す 詳細
1945年(昭和20)名古屋空襲で名古屋城が焼失する詳細