ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

2025年01月

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 今日は、平成時代の2007年(平成19)に、小説家高橋揆一郎が亡くなった日です。
 高橋揆一郎(たかはし きいちろう)は、昭和時代前期の1928年(昭和3)4月10日に、北海道歌志内市上唄の炭鉱長屋で生まれましたが、本名は良雄(よしお)と言いました。歌志内小学校卒業後、北海道庁の給仕をしながら、庁職員養成を目標とした札幌市の私立昭和中学校(夜間中学)を1946年(昭和21)に卒業し、歌志内国民学校の代用教員となります。
 1948年(昭和23)に、代用教員を辞して、北海道第一師範学校(現在の北海道教育大学札幌校)入学したものの、中退して住友石炭鉱業上歌志内砿に入社しました。社内報の編集等の仕事に携わりながら、1950年(昭和25)に上歌砿の文学サークル「上歌文学会セナクール」を結成したほか、さまざまな同人誌を発刊、執筆し、『仮寓の半生』で炭労文学小説部門で入選しています。
 1958年(昭和33)に赤平と上歌両地区の文学愛好者15人が集い「住友赤平文学会」を結成、雑誌『赤い崖』を創刊しましたが、1965年(昭和40)に札幌の住友石炭北海道支店に転勤、同人誌活動を中断される状況となりました。1970年(昭和45)に住友石炭鉱業を退職し、フリーのイラストレーターとなり、「財界さっぽろ」に時事漫画を連載、1971年(昭和46)には、「くりまの会」同人となり、文学活動を本格化します。
 1973年(昭和48)に『ぽぷらと軍神』で第37回文學界新人賞を受賞、1975年(昭和50)に『清吉の暦』で第73回芥川賞候補となりました。1977年(昭和52)に『観音力疾走』で第11回北海道新聞文学賞を受賞、第77回芥川賞候補となり、『日蔭の椅子』で第78回芥川賞候補となりましたが、1978年(昭和53)には、『伸予』で第79回芥川賞、札幌市民芸術賞を受賞しています。
 1987年(昭和62)に札幌歌志内会が設立され、会長を務め(~2001年度まで)、1991年(平成3)に北海道文化賞、1992年(平成4)には、『友子』で第11回新田次郎文学賞を受賞しました。1993年(平成5)に歌志内市内に「高橋揆一郎文学碑」が建立され、1997年(平成9)には、歌志内市名誉市民となり、歌志内市郷土館「ゆめつむぎ」の名誉館長となったものの、2007年(平成19)1月31日に、北海道札幌市内の病院において、肺炎のため78歳で亡くなっています。

〇高橋揆一郎の主要な著作

・『ぽぷらと軍神』(1973年)第37回文學界新人賞受賞
・『観音力疾走 木偶おがみ』(1977年) 第11回北海道新聞文学賞受賞、第77回芥川賞候補
・『伸予』(1978年)第79回芥川賞受賞
・『狐沢夢幻』(1979年)
・『友子』(1992年)第11回新田次郎文学賞受賞

〇高橋揆一郎関係略年表

・1928年(昭和3)4月10日 北海道歌志内市上唄の炭鉱長屋で生まれる 
・1946年(昭和21) 札幌の夜間中学(旧制)を卒業後、歌志内国民学校の助教諭となり、国民学校の教師たちによって同人雑誌「白楊」が発刊される
・1948年(昭和23) 北海道第一師範学校入学のため退職したものの、わずかな期間で中退し、再び歌志内へ戻り、住友鉱業所上歌志内砿に入社、社内報の編集等の仕事に携わる
・1950年(昭和25) 上歌砿の文学サークル「上歌文学会セナクール」を結成したほか、さまざまな同人誌を発刊、執筆し、『仮寓の半生』で炭労文学小説部門で入選する
・1958年(昭和33) 赤平と上歌両地区の文学愛好者15人が集い「住友赤平文学会」を結成、雑誌『赤い崖』を創刊する
・1965年(昭和40) 札幌の住友石炭北海道支店に転勤、同人誌活動を中断される状況となる
・1970年(昭和45) 住友石炭鉱業を退職し、フリーのイラストレーターとなり、「財界さっぽろ」に時事漫画を連載する
・1971年(昭和46) 渡辺淳一を輩出した「くりまの会」同人となり、文学活動を本格化する
・1973年(昭和48) 『ぽぷらと軍神』で第37回文學界新人賞を受賞する
・1975年(昭和50) 『清吉の暦』で第73回芥川賞候補となる
・1977年(昭和52) 『観音力疾走』で第11回北海道新聞文学賞を受賞、第77回芥川賞候補となり、『日蔭の椅子』で第78回芥川賞候補となる
・1978年(昭和53) 『伸予』で第79回芥川賞、札幌市民芸術賞を受賞する
・1987年(昭和62) 札幌歌志内会が設立され、会長を務める(~2001年度まで)
・1991年(平成3) 北海道文化賞を受賞する
・1992年(平成4) 『友子』で第11回新田次郎文学賞を受賞する
・1993年(平成5) 歌志内市内3つ目の文学碑として「高橋揆一郎文学碑」が建立される
・1997年(平成9) 歌志内市名誉市民となり、歌志内市郷土館「ゆめつむぎ」の名誉館長となる
・2007年(平成19)1月31日 北海道札幌市内の病院において、肺炎のため78歳で亡くなる
・2008年(平成20) 常設展示コーナーが新設される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1883年(明治16)病理学者緒方知三郎の誕生日詳細
1892年(明治25)詩人・随筆家・翻訳家尾崎喜八の誕生日詳細
1893年(明治26)北村透谷・島崎藤村らが文藝雑誌「文学界」を創刊する詳細
1897年(明治30)哲学者・啓蒙思想家・教育者西周の命日詳細
1935年(昭和10)小説家・ノーベル文学賞作家大江健三郎の誕生日詳細
1947年(昭和22)マッカーサーが、翌日から予定されていた「2.1ゼネスト」の中止を命令する詳細
1985年(昭和60)小説家石川達三の命日詳細
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 今日は、昭和時代後期の1974年(昭和49)に、「日韓大陸棚協定」が締結(発効は1978年6月22日)された日です。
 「日韓大陸棚協定」(にっかんたいりくだなきょうてい)は、日本と韓国との間に存在する大陸棚の石油・天然ガス資源の開発や境界について定めた国際協定で、正式名称は、「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定」と言います。
 二つの協定と付属文書より成り、一つは、「北部境界画定協定」(日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定)で、対馬海峡西水道の日韓間の大陸棚の境界線を35の座標で示しており、この線は、日本側の壱岐、対馬を考慮に入れた日韓の中間線となっていました。もう一つは、「南部共同開発協定」(日本国と大韓民県との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定)で、東シナ海における石油資源(天然ガスを含む)の日韓の共同開発区域を20の座標で示し、開発の方法、開発に関する協力などを規定しています。
 日本の国会では、承認が難航して、政府は、1977年(昭和52)春の通常国会で自然承認に持込んだものの、関連国内法の成立が遅れ、翌年5月に、ようやく成立するに至りました。しかし、南部大陸棚に関しては、今後に、その大陸棚部分を中国大陸からの自然の延長と主張する中国との間で紛争が生ずる可能性が指摘されています。
 以下に、「北部境界画定協定」、「南部共同開発協定」と付属文書を掲載しておきますので、ご参照ください。

〇「北部境界画定協定」(日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定)1974年(昭和49)1月30日締結、1978年(昭和53)6月22日発効

<日本語訳>

 日本国と大韓民国は,
 両国の間に存在する友好関係を助長することを希望し,
 鉱物資源の探査及び採掘のために日本国と大韓民国がそれぞれ主権的権利を行使する両国に隣接する大陸棚{前1文字だなとルビ}の北部の境界を画定することを希望して,
 次のとおり協定した。

    第一条

1 両国に隣接する大陸棚の北部において,日本国に属する大陸棚{前1文字だなとルビ}と大韓民国に属する大陸棚{前1文字だなとルビ}の境界線は,次の座標の各点を順次に結ぶ直線とする。
  座標一 北緯三十二度五十七・〇分東経百二十七度四十一・一分
  座標二 北緯三十二度五十七・五分東経百二十七度四十一・九分
  座標三 北緯三十三度一・三分東経百二十七度四十四・〇分
  座標四 北緯三十三度八・七分東経百二十七度四十八・三分
  座標五 北緯三十三度十三・七分東経百二十七度五十一・六分
  座標六 北緯三十三度十六・二分東経百二十七度五十二・三分
  座標七 北緯三十三度四十五・一分東経百二十八度二十一・七分
  座標八 北緯三十三度四十七・四分東経百二十八度二十五・五分
  座標九 北緯三十三度五十・四分東経百二十八度二十六・一分
  座標十 北緯三十四度八・二分東経百二十八度四十一・三分
  座標十一 北緯三十四度十三・〇分東経百二十八度四十七・六分
  座標十二 北緯三十四度十八・〇分東経百二十八度五十二・八分
  座標十三 北緯三十四度十八・五分東経百二十八度五十三・三分
  座標十四 北緯三十四度二十四・五分東経百二十八度五十七・三分
  座標十五 北緯三十四度二十七・六分東経百二十八度五十九・四分
  座標十六 北緯三十四度二十九・二分東経百二十九度〇・二分
  座標十七 北緯三十四度三十二・一分東経百二十九度〇・八分
  座標十八 北緯三十四度三十二・六分東経百二十九度〇・八分
  座標十九 北緯三十四度四十・三分東経百二十九度三・一分
  座標二十 北緯三十四度四十九・七分東経百二十九度十二・一分
  座標二十一 北緯三十四度五十・六分東経百二十九度十三・〇分
  座標二十二 北緯三十四度五十二・四分東経百二十九度十五・八分
  座標二十三 北緯三十四度五十四・三分東経百二十九度十八・四分
  座標二十四 北緯三十四度五十七・〇分東経百二十九度二十一・七分
  座標二十五 北緯三十四度五十七・六分東経百二十九度二十二・六分
  座標二十六 北緯三十四度五十八・六分東経百二十九度二十五・三分
  座標二十七 北緯三十五度一・二分東経百二十九度三十二・九分
  座標二十八 北緯三十五度四・一分東経百二十九度四十・七分
  座標二十九 北緯三十五度六・八分東経百三十度七・五分
  座標三十 北緯三十五度七・〇分東経百三十度十六・四分
  座標三十一 北緯三十五度十八・二分東経百三十度二十三・三分
  座標三十二 北緯三十五度三十三・七分東経百三十度三十四・一分
  座標三十三 北緯三十五度四十二・三分東経百三十度四十二・七分
  座標三十四 北緯三十六度三・八分東経百三十一度八・三分
  座標三十五 北緯三十六度十・〇分東経百三十一度十五・九分
2 境界線をこの協定に附属する地図に表示する。

    第二条

 海底下の鉱物の単一の地質構造が境界線にまたがつて存在し,かつ,当該地質構造のうち境界線の一方の側に存在する部分の全体又は一部を境界線の他方の側から採掘することができる場合には,両締約国は,当該地質構造を最も効果的に採掘するための方法について合意に達するよう努力する。当該地質構造を最も効果的に採掘するための方法に関連して両締約国間で合意することができないすべての問題は,いずれか一方の締約国の要請があつたときは,第三者による仲裁に付託する。この仲裁の決定は,両締約国を拘束する。

    第三条

 この協定は,上部水域又はその上空の法的地位に影響を及ぼすものではない。

    第四条

 この協定は,批准されなければならない。批准書は,できる限り速やかに東京で交換されるものとする。この協定は,批准書の交換の日から効力を生ずる。

 以上の証拠として,下名は,各自の政府から正当に委任を受けて,この協定を署名した。

 千九百七十四年一月三十日にソウルで,英語により本書二通を作成した。

 日本国のために
   後宮虎郎

 大韓民国のために
    金東祚

(附属の地図省略)

   外務省条約局編「主要条約集(昭和五十五年版)」より

〇「南部共同開発協定」(日本国と大韓民県との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定)1974年(昭和49)1月30日締結、1978年(昭和53)6月22日発効

<日本語訳>

 日本国と大韓民国は,
 両国の間に存在する友好関係を助長することを希望し,
 両国に隣接する大陸棚{前1文字だなとルビ}の南部において共同して石油資源を探査し及び採掘することが両国に共通の利益であることを考慮し,
 その石油資源の開発の問題について最終的な実際的解決に到達することを決意して,
 次のとおり協定した。

    第一条

 この協定の適用上,
 (1) 「天然資源」とは,石油資源(天然ガス資源を含む。)及びこれに付随して産出されるその他の地下の鉱物をいう。
 (2) 「開発権者」とは,いずれか一方の締約国により,当該一方の締約国の法令に基づき,共同開発区域において天然資源を探査し又は採掘することを認可された者をいう。
 (3) 「両締約国の開発権者」とは,共同開発区域内の同一の小区域についてそれぞれ認可された一方の締約国の開発権者及び他方の締約国の開発権者をいう。
 (4) 「事業契約」とは,共同開発区域において天然資源を探査し及び採掘するために両締約郡の開発権者の間で締結される契約をいう。
 (5) 「操業管理者」とは,共同開発区域内の一の小区域につき,事業契約の下で,操業管理者として指定され及び行動する開発権者をいう。

    第二条

1 共同開発区域は,次の座標の各点を順次に結ぶ直線によつて囲まれる大陸棚{前1文字だなとルビ}の区域とする。
  座標一 北緯三十二度五十七・〇分東経百二十七度四十一・一度
  座標二 北緯三十二度五十三・四分東経百二十七度三十六・三分
  座標三 北緯三十二度四十六・二分東経百二十七度二十七・八分
  座標四 北緯三十二度三十三・六分東経百二十七度十三・一分
  座標五 北緯三十二度十・五分東経百二十六度五十一・五分
  座標六 北緯三十度四十六・二分東経百二十五度五十五・五分
  座標七 北緯三十度三十三・三分東経百二十六度〇・八分
  座標八 北緯三十度十八・二分東経百二十六度五・五分
  座標九 北緯二十八度三十六・〇分東経百二十七度三十八・〇分
  座標十 北緯二十九度十九・〇分東経百二十八度〇・〇分
  座標十一 北緯二十九度四十三・〇分東経百二十八度三十八・〇分
  座標十二 北緯三〇度十九・〇分東経百二十九度九・〇分
  座標十三 北緯三十度五十四・〇分東経百二十九度四・〇分
  座標十四 北緯三十一度十三・○分東経百二十八度五十・〇分
  座標十五 北緯三十一度四十七・〇分東経百二十八度五十・〇分
  座標十六 北緯三十一度四十七・〇分東経百二十八度十四・〇分
  座標十七 北緯三十二度十二・〇分東経百二十七度五十・〇分
  座標十八 北緯三十二度二十七・〇分東経百二十七度五十六・〇分
  座標十九 北緯三十二度二十七・〇分東経百二十八度十八・〇分
  座標二十 北緯三十二度五十七・〇分東経百二十八度十八・〇分
2 共同開発区域を囲む直線をこの協定に附属する地図に表示する。

    第三条

l 共同開発区域は,小区域に分割することができる。各小区域においては,両締約国の開発権者が探査及び採掘を行うものとする。
2 各小区域に番号を付し,この協定の付表において地理上の座標によつてその範囲を定める。付表は,両締約国の間の合意により,この協定を改正することなく,修正することができる。

    第四条

1 各締約国は,この協定の効力発生の日の後三箇月以内に,各小区域について一又は二以上の開発権者を認可する。締約国が一の小区域について二以上の開発権者を認可した場合には,それらの開発権者は,分割することができない利益を有するものとし,この協定の適用上,一の開発権者によつて代表される。開発権者又は小区域の変更に際しては,関係締約国は,できる限り速やかに,一又は二以上の新たな開発権者を認可する。
2 各締約国は,他方の締約国に対し,自国の開発権者を遅滞なく通知する。

    第五条

1 両締約国の開発権者は,共同開発区域において天然資源を共同して探査し及び採掘するために,事業契約を締結する。事業契約においては,特に,次の事項について定める。
 (a) 第九条の規定に基づく天然資源の分配及び費用の分担に関する詳細
 (b) 操業管理者の指定
 (c) 単独危険負担操業の取扱い
 (d) 漁業上の利益との調整
 (e) 紛争の解決
2 事業契約及びその修正は,両締約国の承認を得たときに効力を生ずる。両締約国の承認は,事業契約又はその修正が承認を得るため両締約国に提出された後二箇月以内にいずれか一方の締約国が事業契約又はその修正を明示的に否認しない限り,与えられたものとされる。
3 両締約国は,前条1の規定により両締約国の開発権者が認可された後六箇月以内に事業契約が効力を生ずることを確保するよう努力する。

    第六条

1 操業管理者は,両締約国の開発権者の間の合意によつて指定される。両締約国の開発権者がその認可の後三箇月以内に操業管理者の指定について合意に達することができなかつた場合には,両締約国は,操業管理者の指定について協議する。その協議が開始された後二箇月以内に操業管理者が指定されなかつた場合には,両締約国の開発権者は,くじ引によつて操業管理者を決定する。
2 操業管理者は,事業契約に基づくすべての操業の唯一の管理者であり,操業に必要なすべての人員を雇用し,操業に関連して要するすべての費用を支払い及び操業に必要なすべての資産(装置,資材及び需品を含む。)を調達する。

    第七条

 一方の締約国の開発権者は,他方の締約国の法令に従い,共同開発区域における天然資源の探査又は採掘に必要な建物,プラットフォーム,貯蔵庫,パイプライン,終点施設その他の施設を,当該他方の締約国の領域内で取得し,建設し,維持し,使用し又は処分することができる。

    第八条

 一方の締約国の開発権者は,他方の締約国の開発権者が当該他方の締約国の法令に基づく義務を履行する場合において,その義務がこの協定に適合するものである限り,その履行を妨げてはならない。

    第九条

1 両締約国の開発権者は,それぞれ,共同開発区域において採取される天然資源につき等分の分配を受ける権利を有する。
2 1の天然資源の探査及び採掘のために要すると合理的に認められる費用は,両締約国の開発権者の間で等しい割合で分担される。

    第十条

1 この協定に基づく開発権者の権利は,探査権及び採掘権とする。
2 探査権の存続期間は,4(3)の規定が適用される場合を除くほか,事業契約の効力発生の日から八年とする。
3 採掘権の存続期間は,採掘権の設定の日から三十年とする.両締約国の開発権者は,それぞれ自国に対し,更に五年間の期間の延長を申請することができる。この延長の申請は,必要に応じ,何回でも行うことができる。両締約国は,その申請があつたときは,その申請を承認するかどうかを決定するため相互に協議する。
4(1) 探査権の存続期間中に天然資源の商業的発見があつたときは,両締約国の開発権者は,それぞれ自国に対し,採掘権の設定を申請することができる。両締約国は,その申請があつたときは,速やかに協議し,その申請を遅滞なく承認する。
 (2) 両締約国が商業的発見があつたと認めるときは,各締約国は,自国の関係開発権者に対し,採掘権の設定の申請を行うよう要請することができる。当該開発権者は,その要請を受けた後三箇月以内に採掘権の設定の申請を行わなければならない。
 (3) 探査権の存続期間中に採掘権が設定されたときは,探査権の存続期間は,採掘権の設定の日に満了する。
5 一方の締約国の開発権者に変更があつたときは,新たな開発権者の探査権又は採掘権の存続期間は,当初の開発権者の探査権又は採掘権の存続期間の満了の日に満了する。
6 開発権者の探査権又は採掘権は,その開発権者を認可した締約国の承認及び同一の小区域について認可された他方の開発権者の同意を得て,当該小区域の全体について移転することができる。ただし,この協定及び事業契約に基づくその開発権者の権利及び義務が,全体として移転されることを条件とする。

    第十一条

1 両締約国の開発権者は,両締約国の間で行われる別個の取極に従い,探査権の存続期間中に一定の数の坑井を掘さくすることを要する。この場合において,各小区域において掘さくすべきものとされる坑井の最低数は,事業契約の効力発生の日から最初の三年の期間,次の三年の期間及び残余の二年の期間について,それぞれ二を超えないものとする。両締約国は,各小区域において掘さくすべきものとされる坑井の最低数を合意するに当たつては,当該小区域の水深及び大きさを考慮に入れるものとする。
2 両締約国の開発権者がlに規定する期間のいずれかにおいて所定の数を超えて坑井を掘さくした場合には,超過して掘さくされた坑井は,当該期間に続く一又は二の期間において掘さくされたものとみなす。

    第十二条

 両締約国の開発権者は,探査権又は採掘権の設定の日から六箇月以内に操業に着手しなければならず,かつ,引き続き六箇月以上操業を停止してはならない。

    第十三条

1 2の規定に従うことを条件として,両締約国の開発権者は,事業契約の効力発生の日から起算して,三年以内に当初の当該小区域の二十五パーセント,六年以内に当初の当該小区域の五十パーセント,八年以内に当初の当該小区域の七十五パーセントを放棄しなければならない。
2 放棄される区域の大きさ,形状及び位置並びに放棄の時期は,両締約国の開発権者の間の合意によつて決定される。ただし,3の規定が適用される場合を除くほか,七十五平方キロメートルよりも小さい区域に分割して放棄してはならない。
3(1) 両締約国の開発権者が1の規定に従つて放棄すべき区域について合意することができない場合には,両締約国の開発権者は,当該放棄期間の満了の日に,共通して放棄が提案されている区域に加えて,それぞれ放棄が提案されている区域の五十パーセントずつを,放棄される区域が全体として可能な限り単一の区域となるように,放棄する。
 (2) 共通して放棄が提案されている区域がないときは,両締約国の開発権者は,それぞれ放棄が提案されている区域の五十パーセントずつを放棄する。
4 両締約国の開発権者は,2の規定に従うことを条件として,いかなる区域をも任意に放棄することができる。
5 2の規定にかかわらず,一の開発権者は,事業契約の効力発生の日から二年が経過した後は,単独で当該小区域を全体として放棄することができる。

    第十四条

1 いずれの一方の締約国も,自国の開発権者がこの協定又は事業契約に基づく義務を履行しない場合には,他方の締約国と協議した後,自国の法令に定める開発権者の保護に関する手続により,その開発権者の探査権又は採掘権を取り消すことができる。
2 いずれか一方の締約国が自国の法令に従つて自国の開発権者の探査権又は採掘権を取り消そうとする場合には,当該一方の締約国は,lの規定が適用される場合を除くほか,遅くとも取消しの十五日前までに他方の締約国にその意図を通知する。
3 一方の締約国による探査権又は採掘権の取消しは,遅滞なく他方の締約国に通知されるものとする。

    第十五条

1 一方の締約国の開発権者が第十三条5の規定に基づいて小区域を単独で放棄した場合,一方の締約国の開発権者の探査権若しくは採掘権が前条の規定に基づいて取り消された場合又は一方の締約国の開発権者が存在しなくなつた場合(これらの開発権者を以下「前の開発権者」という。)には,残存する開発権者は,当該小区域において,前の開発権者を認可した締約国が新たな開発権者を認可するまての間,その残存する開発権者と前の開発権者とが当事者であつた事業契約の単独危険負担条項の規定及び他の関連する諸規定に従つて,天然資源の探査又は採掘を行うことができる。ただし,前の開発権者を認可した締約国の承認を得ることを条件とする。
2 lの規定の適用上,残存する開発権者は,自己の開発権者としての地位を保持しつつ,開発権者の権利及ぴ義務に関し,前の開発権者を認可した締約国の開発権者とみなされる。ただし,1の規定に基づく天然資源の探査又は採掘から生ずる所得につき残存する開発権者に対して行われる課税については,この限りでない。
3 新たな開発権者が一方の締約国によつて認可されたときは,その新たな開発権者と残存する開発権者は,新たな事業契約が効力を生ずるまでの間,その残存する開発権者と前の開発権者とが当事者であつた事業契約に拘束される。もつとも,1の規定に基づき天然資源の探査又は採掘を開始した残存する開発権者は,その残存する開発権者と前の開発権者とが当事者であつた事業契約の単独危険負担条項の規定に従つて,新たな事業契約が効力を生ずるまての間,その探査又は採掘を継続することができる。

    第十六条

 共同開発区域において採取される天然資源に対する各締約国の法令の適用上,その天然資源のうち第九条の規定に基づき一方の締約国の開発権者が権利を有する部分は,当該一方の締約国が主権的権利を有する大陸棚{前1文字だなとルビ}において採取された天然資源とみなす。

    第十七条

1 いずれの一方の締約国(地方公共団体を含む。)も,他方の締約国の開発権者に対し,
 (a) 共同開発区域における探査活動若しくは採掘活動
 (b) (a)に規定する活動から生ずる所得
 (c) (a)に規定する活動を行うために必要な固定資産の共同開発区域における所有又は
 (d) その者が認可を受けた小区域
 について,租税その他の課徴金を課してはならない。
2 各締約国(地方公共団体を含む。)は,自国の開発権者に対し,
 (a) 共同開発区域における探査活動又は採掘活動
 (b) (a)に規定する活動を行うために必要な固定資産の共同開発区域における所有及び
 (c) その者が認可を受けた小区域
 について,租税その他の課徴金を課することができる。

    第十八条

 各締約国の関税,輸入及び輸出に関する法令の適用上,
(1) 共同開発区域において天然資源を探査し若しくは採掘するために必要な装置,資材その他の物品(以下「装置」という。)の共同開発区域への搬入,装置の共同開発区域におけるその後の使用又は装置の共同開発区域からの搬出は,輸入又は輸出とみなされない。
(2) 一方の締約国の管轄の下にある区域から共同開発区域への装置の搬出は,当該一方の締約国において輸入又は輸出とみなされない。
(3) いずれの一方の締約国も,その管轄の下にある区域から共同開発区域に搬入された装置を共同開発区域内で使用する者に対し,その装置の使用についての報告を提出するよう要求することができる。
(4) (1)の規定にかかわらず,(3)に規定する装置の共同開発区域から当該一方の締約国の管轄の下にある区域以外の区域への搬出は,当該一方の締約国において輸出とみなされる。

    第十九条

 この協定に別段の定めがある場合を除くほか,一方の締約国の法令は,当該一方の締約国が認可した開発権者が操業管理者として指定され及び行動する小区域において,天然資源の探査又は採掘に関連する事項について適用される。

    第二十条

 両締約国は,共同開発区域における天然資源の探査又は採掘に関連する活動から生ずる海洋における衝突の防止並びにそれらの活動から生ずる海洋の汚染の防止及び除去のためにとるべき措置について合意する。

    第二十一条

1 いずれか一方の締約国の国民又はいずれか一方の締約国の領域内に居住する他の者が共同開発区域における天然資源の探査又は採掘によつて生ずる損害を受けた場合には,当該国民又は当該他の者は,その損害の賠償請求の訴えを,(a)その損害が発生した領域が属する一方の締約国の裁判所,(b)当該国民若しくは当該他の者が居住している一方の締約国の裁判所又は(c)その損害の原因となつた事故が発生した小区域において操業管理者として指定され及び行動している開発権者を認可した一方の締約国の裁判所のいずれかに提起することができる。
2 1の規定に基づき1に規定する損害の賠償請求の訴えの提起を受けた一方の締約国の裁判所は,当該一方の締約国の法令を適用する。
3(1) 1に規定する損害が海底及びその下の掘さく又は坑水若しくは廃水の放流によつて生じた場合には,次に掲げる者は,2の規定に基づいて適用される法令に従い,連帯してその損害の賠償の責任を負う。
  (a) その損害の発生の時に当該小区域について探査権又は採掘権を有していた両締約国の開発権者
  (b) その損害の発生の時に当該小区域について探査権又は採掘権を有する開発権者がいなかつたときは,当該小区域について最も近い時期に探査権又は採掘権を有していた双方の開発権者
  (c) その損害の発生の時に当該小区域について一の開発権者のみが探査権又は採掘権を有していたときは,その一の開発権者及び第十五条lに定義する前の開発権者
 (2) (1)の規定の適用上,(1)に規定する損害の発生の後に探査権又は採掘権の譲渡があつた場合には,探査権又は採掘権を譲渡した開発権者及び探査権又は採掘権を譲り受けた開発権者は,連帯して賠償の責任を負う。

    第二十二条

1 各締約国は,共同開発区域における天然資源の探査又は採掘のための固定施設上の無線局に周波数を割り当てるときは,その割当ての前に,できる限り速やかに,周波数,電波発射の型式,空中線電力,無線局の位置その他必要な事項を他方の締約国に通報する。各締約国は,これらの事項のその後の変更についても,同様に他方の締約国に通報する。
2 両締約国は,いずれか一方の締約国の要請があつたときは,これらの事項に関して必要な調整を行うために協議する。

    第二十三条

1 天然資源の単一の地質構造が第二条1に規定する線にまたがつて存在し,かつ,当該地質構造のうちその線の一方の側に存在する部分の全体又は一部をその線の他方の側から採掘することができる場合には,締約国により当該地質構造を採掘することを認可された開発権者及び他の者(以下「開発権者及び他の者」という。)は,協議により,当該地質構造の最も効果的な採掘方法について合意に達するよう努力する。
2(1) 開発権者及び他の者が1に規定する方法について協議を開始した後六箇月以内に合意に達することができなかった場合には,両締約国は,協議により,合理的な期間内にその方法に関する共同提案を開発権者及び他の者に対して行うよう努力する。
 (2) すべての又は一部の開発権者及び他の者の間でlに規定する方法について合意に達した場合には,その合意(その修正を含む。)は,両締約国の承認を得たときに効力を生ずる。その合意においては,3の規定に基づく天然資源の分配及び費用の分担に関する詳細について定める。
3 2(2)に規定する合意に基づく採掘の場合には,当該地質構造から採取される天然資源及びその天然資源の採掘のために要すると合理的に認められる費用は,当該地質構造のうち開発権者及び他の者が締約国から認可を受けたそれぞれの区域に存在する部分の生産可能な埋蔵量に比例して,開発権者及び他の者の間で配分される。
4 1から3までの規定は,共同開発区域内の小区域を囲む線にまたがつて存在する天然資源の単一の地質構造の採掘について準用する。
5(l) 第十六条の規定の適用上,共同開発区域において採取される天然資源のうち,一方の締約国によって認可された者(開発権者を除く。)が3の規定及び2(2)に規定する合意に基づいて権利を有する部分は,当該一方の締約国の開発権者が権利を有する天然資源の部分とみなす。
 (2) 第十七条の規定の適用上,一方の締約国によつて認可された者(開発権者を除く。)であつて2(2)に規定する合意の当事者であるものは,当該一方の締約国の開発権者とみなす。
 (3)いずれの一方の締約国(地方公共団体を含む。)も,他方の締約国の開発権者に対し,
  (a) 2(2)に規定する合意に従つて共同開発区域の外で行う採掘活動
  (b) (a)に規定する活動から生ずる所得又は
  (c) (a)に規定する活動を行うために必要な固定資産の所有について,租税その他の課徴金を課してはならない。

    第二十四条

l 両締約国は,この協定の実施に関する事項について協議するための機関として,日韓共同委員会(以下「委員会」という。)を設置し及び維持する。
2 委員会は,二の国別委員部で構成し,各国別委員部は,それぞれの締約国が任命する二人の委員で構成する。
3 委員会のすべての決議,勧告その他の決定は,国別委員部の間の合意によつてのみ行うものとする。
4 委員会は,その会議の手続規則を採択し,必要があるときは,これを修正することができる。
5 委員会は,毎年少なくとも一回会合し,また,いずれか一方の国別委員部の要請によつて会合する。
6 委員会は,その第一回会議において,議長及び副議長を異なる国別委員部から選定する。議長及ぴ副議長の任期は,一年とする。国別委員部からの議長及び副議長の選定は,それぞれの締約国がそれらの地位に順番に代表されるように行う。
7 委員会の下に,その事務を遂行するため常設の事務局を設置することができる。
8 委員会の公用語は,日本語,韓国語及ぴ英語とする。提案及び資料は,いずれの公用語によつても提出することができる。
9 委員会が共同の経費が必要であると決定したときは,その共同の経費は,委員会が勧告し,かつ,両締約国が承認するところに従つて両締約国が負担する分担金により,委員会が支払う。

    第二十五条

1 委員会は,次の任務を遂行する。
 (a) この協定の運用について検討し並びに,必要と認めるときは,この協定の運用を改善するためにとるべき措置について討議し及び両締約国に勧告すること。
 (b) 開発権者の技術上及び財務上の報告を受領すること。この報告は,両締約国が毎年提出するものとする。
 (c) 開発権者によつては解決することができない紛争を解決するためにとるべき措置について両締約国に勧告すること。
 (d) 操業管理者の操業及び共同開発区域における天然資源の探査又は採掘のための設備その他の施設を視察すること。
 (e) この協定の効力発生の時に予想されなかつた問題(両締約国の法令の適用に関連する問題を含む。)について研究し及び,必要と認めるときは,それらの問題を解決するための適当な措置について締約国に勧告すること。
 (f) 両締約国により公布された法令で共同開発区域における天然資源の探査又は採掘に関連するものに関し,両締約国からの通報を受領すること。
 (g) この協定の実施に関連するその他の事項について討議すること。
2 両締約国は,1の規定に基づいて委員会が行う勧告をできる限り尊重する。

    第二十六条

l この協定の解釈及び実施に関する両締約国間の紛争は,まず,外交上の経路を通じて解決するものとする。
2 1の規定によつて解決することができなかつた紛争は,いずれか一方の締約国が他方の締約国から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国が任命する各一人の仲裁委員と,このようにして選定された二人の仲裁委員がその後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又はその二人の仲裁委員が当該期間内に合意する第三国の政府が任命する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員から成る仲裁委員会に決定のため付託する。ただし,第三の仲裁委員は,いずれの締約国の国民でもない者とする。
3 各締約国が任命した仲裁委員が2に規定するその後の三十日の期間内に第三の仲裁委員又は第三国について合意しなかつた場合には,両締約国は,国際司法裁判所長に対し,いずれの締約国の国民でもない第三の仲裁委員を任命するよう要請する。
4 いずれか一方の締約国の要請があつたときは,仲裁委員会は,緊急の場合には,裁定を行う前に暫定的な命令を発することができる。両締約国は,その命令を尊重する。
5 両締約国は,この条の規定に基づく仲裁委員会の裁定に服するものとする。

    第二十七条

 共同開発区域における天然資源の探査及び採掘は,共同開発区域及びその上部水域における航行,漁業等の他の正当な活動が不当に影響されることのないように行うものとする。

    第二十八条

 この協定のいかなる規定も,共同開発区域の全部若しくは一部に対する主権的権利の問題を決定し又は大陸棚の境界画定に関する各締約国の立場を害するものとみなしてはならない。

    第二十九条

 両締約国は,いずれか一方の締約国の要請があつたときは,この協定の実施について協議を行う。

    第三十条

 両締約国は,この協定を実施するため,すべての必要な国内的措置をとる。

    第三十一条

l この協定は,批准されなければならない。批准書は,できる限り速やかに東京で交換されるものとする。この協定は,批准書の交換の日から効力を生ずる。
2 この協定は,五十年間効力を有するものとし,その後は,3の規定に従つて終了する時まで効力を存続する。
3 いずれの一方の締約国も,三年前に他方の締約国に対して書面による予告を与えることにより,最初の五十年の期間の終わりに又はその後いつでもこの協定を終了させることができる。
4 2の規定にかかわらず,いずれか一方の締約国が,共同開発区域において天然資源を採掘することが経済上の見地からもはや不可能であると認める場合には,両締約国は,この協定を改正するか又は終了させるかどうかについて協議する。この協定の改正又は終了について合意に達しないときは,この協定は,2に定める期間中効力を存続する。

 以上の証拠として,下名は,各自の政府から正当に委任を受けて,この協定に署名した。

 千九百七十四年一月三十日にソウルで,英語により本書二通を作成した。

 日本国のために
   後宮虎郎

 大韓民国のために
   金東祚

(附属の地図省略)

   外務省条約局編「主要条約集(昭和五十五年版)」より

〇「日韓大陸棚協定」交換公文(韓国との大陸棚南部共同開発協定 交換公文)1974年(昭和49)1月30日交換

<日本語訳>

(掘さく義務に関する交換公文)

(韓国側書簡)

(訳文)

書簡をもつて啓上いたします。本長官は、本日署名された大韓民国と日本国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定(以下「協定」という。)第十一条に言及するとともに、大韓民国政府に代わつて、開発権者が探査権の存続期間中に履行すべき掘さく義務に関する次の取極を確認する光栄を有します。
1(1)協定の付表に定める各小区域について認可された両締約国の開発権者は、最初の三年の期間、次の三年の期間及び残余の二年の期間中に、それぞれ、一の坑井を掘さくする。
 (2)(1)の規定の適用上、単独危険負担操業は、両締約国の開発権者によつて行われたものとみなす。
 (3)(1)の規定の適用上、第一小区域及び第九小区域は、単一の小区域を構成するものとみなす。
 (4)(1)の規定にかかわらず、第八小区域について認可された開発楮者は、最初の三年の期間中は(1)の規定に基づく義務を免除されるものとし、第二小区域、第三小区域、第四小区域又は第六小区域について認可された開発権者は、(1)の規定に基づく義務を免除される。
2 この取極は、協定の効力発生の日から適用される。
本長官は、更に、この書簡及び日本国政府に代わって前記の取極を確認する閣下の返簡が両政府間の合意を構成するものとみなすことを提案する光栄を有します。
本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百七十四年一月三十日にソウルで
外務部長官 金東祚閣下

大韓民国駐在日本国
特命全権大使 後宮虎郎閣下

(日本側書簡)

(訳文)

書簡をもつて啓上いたします。本使は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。

(韓国側書簡)

本使は、更に、日本国政府に代わつて閣下の書簡に盛られた取極を確認するとともに、閣下の書簡及びこの書簡が両政府間の合意を構成するものとみなすことに同意する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百七十四年一月三十日にソウルで

大韓民国駐在日本国
特命全権大使 後宮虎郎
大韓民国外務部長官 金東祚閣下

(海洋における衝突の防止に関する交換公文)

(韓国側書簡)

(訳文)

書簡をもつて啓上いたします。本長官は、本日署名された大韓民国と日本国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定(以下「協定」という。)第二十条に言及するとともに、大韓民国政府に代わつて、海洋における衝突の防止に関する次の取極を確認する光栄を有します。

1 いずれの締約国の政府も、自国が認可した開発権者が操業管理者として指定され及び行動する共同開発区域内の小区域において次の措置をとる。
(1)(a)協定に基づく探査が水上航行船舶によりそれらの小区域において行われる場合には、当該政府は、速やかに、その探査活動が行われる海域及び期間を他方の政府及び航海者に通報する。
   (b)航行の危険となるおそれのある固定施設(以下「固定施設」という。)が設置される場合には、当該政府は、速やかに、その固定施設の正確な位置その他航行の安全のために必要な事項(例えば、固定施設の設置中にこれに備え付けられる標識)を他方の政府及び航海者に通報する。当該政府は、固定施設が撤去され又は移転される場合にも、同様の措置をとる。
(2)固定施設であつてその上端が水面より上にあるものが設置された場合には、当該政府は次の措置がとられることを確保する。
   (a)当該固定施設には、夜間は一個以上の白燈を掲げ、そのうち少なくとも一個は周囲から視認することができるようにする。これらの燈火は、平均高潮面上十五メートル以上の高さに掲げられるものとし、モールス符号のUの信号(- - ―)に相当するせん光を最大周期十五秒で発する。これらの燈火の光度は、六千カンデラ以上とする。
   (b)当該固定施設の翼端及び上端には、夜間は三百カンデラ以上の光度を有する紅燈を掲げる。
   (c)当該固定施設には、一個以上の音響信号器を備え、その音響信号が周囲から聴取することができるようにする。これらの音響信号器は、二海里以上の通常音達距離を有するものとし、モールス符号のUの信号(- - ―)に相当する音響信号を三十秒の周期で発する。音響信号器は、気象学的視程が二海里に達しないときに用いる。
   (d)レーダー・レフレクターは、当該固定施設に近づく船舶が、その接近方向のいかんを問わず、少なくとも十海里の距離から、レーダーにより当該固定施設の存在を明確に探知することができるように設置する。
   (e)当該固定施設には、航空機との衝突を防止するため適当な標識を掲げる。
(3)水中抗井、パイプライン等の水中固定施設が設置された場合には、当該政府は、その水中固定施設に適当な標示が掲げられることを確保する。
(4)(a)二以上の固定施設の位置が相互に近接しており、(2)(a)、(b)、(c)及び(d)に規定する信号装置を固定施設のそれぞれに設置しなくとも航行の安全が確保される場合には、それらの固定施設は(2)(a)、(b)、(c)及び(d)の規定の適用上、単一の固定施設を構成するものとみなすことができる。
   (b)固定施設自体が(2)(d)に規定する条件を満たすレーダー反射効果を有する場合には、レーダー・レフレクターの設置を省略することができる。
2 この取極は、協定の效力発生の日から適用される。
3 この取極は、いずれか一方の政府が他方の政府に対し一年前に書面による予告を与えることによつて、終了させることができる。
4 両政府は、この取極が3の規定に従つて終了する前に、将来の取極を決定するために会合する。
本長官は、更に、この書簡及び日本国政府に代わつて前記の取極を確認する閣下の返簡が両政府間の合意を構成するものとみなすことを提案する光栄を有します。
本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百七十四年一月三十日にソウルで

外務部長官 金東祚
大韓民国駐在日本国
特命全権大使 後宮虎郎閣下

(日本側書簡)

(訳文)

書簡をもつて啓上いたします。本使は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。

(韓国側書簡)

本使は、更に、日本国政府に代わつて閣下の書簡に盛られた取極を確認するとともに、閣下の書簡及びこの書簡が両政府間の合意を構成するものとみなすことに同意する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。
千九百七十四年一月三十日にソウルで

大韓民国駐在日本国
特命全権大使 後宮虎郎
大韓民国外務部長官 金東祚

(海洋の汚染の防止及び除去に関する交換公文)

(日本側書簡)

(訳文)

書簡をもつて啓上いたします。本使は、本日署名された日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定(以下「協定」という。)第二十条に言及するとともに、日本国政府に代わつて、共同開発区域における天然資源の探査又は採掘に関連する活動から生ずる海洋の汚染の防止及び除去に関する次の取極を確認する光栄を有します。

I

いずれの締約国の政府も、(a)自国が認可した開発権者が操業管理者として指定され及び行動する共同開発区域内の小区域における天然資源の探査又は採掘に関連する坑井及び海洋施設並びに(b)自国の国旗を掲げる船舶で共同開発区域における天然資源の探査又は採掘に関連する活動に従事しているもの(以下「船舶」という。)に関して、次の措置がとられることを確保する。

1 噴出防止装置等
(1)(a)堀さく井には、油又は天然ガスの噴出のおそれがある場合には、噴出防止装置を備える。
   (b)(a)の規定は、試油作業又は改修作業を行う場合であつて自噴採収装置を備えたときは、適用しない。
(2)(1)にいう噴出防止装置については、次の要件が満たされなければならない。
   (a)坑口に備える噴出防止装置は、開閉式のものであり、速やかに作動することができる遠隔操作式のものであつて、かつ、専用の動力源を有すること。
   (b)坑口に備える噴出防止装置の非常用の作動装置又は警報装置をドローウォークスを操縦する者の付近に備えること。
   (c)坑口に備える噴出防止装置の払線から流出する油又は天然ガスの量を調節するため、フロービーンその他の装置を備えること。
   (d)掘管、チュービングパイプ又はケーシングパイプの内部からの油又は天然ガスの噴出を防止することができる装置を備えること。
(3)(a)坑井の掘さく作業又は試油作業を行うときは、非常用の泥水又はその材料及び重泥水の作成又は泥水の性質の調整のため必要な材料を掘さく作業現場に準備する。
   (b)(a)の規定は、自噴採収装置を備えたときは、適用しない。
(4)噴出防止装置、自噴採収装置その他の坑口装置は、少なくともこの書簡の付表に定める圧力に耐えることができるものでなければならない。
(5)掘さく作業を行うときは、次の要件が満たされなければならない。
   (a)適当な深度まで坑井の掘さくを行つたときは、速やかにケーシングパイプの挿入及びセメンチングを行うこと。
   (b)セメンチングを行つたときは、加圧その他の方法によりその有効性を確認すること。
   (c)循環泥水タンク内の泥水量の異常な増減を直ちに知ることができる装置を備えておくこと。
(6)噴出防止装置につき、一箇月に少なくとも一回適当な圧力を加えた耐圧試験を行う。
(7)気象状況により掘さく施設の位置を保持することが困難になつたため、又は事故が発生し若しくは発生するおそれがあるため堀さく作業を停止する場合には、噴出防止装置を閉鎖する。
2 油の排出
(1)(a)原油、重油、重ディーゼル油、潤滑油又はこれらの油を含有する混合物(以下「油」という。)を船舶又は海洋施設から排出してはならない。
   (b)(a)の規定は、次の排出については、適用しない。
     (ⅰ)タンカー以外の船舶からの油の排出又はタンカーからのビルジの排出で、次の条件がすべて満たされるもの
      ⅰ)当該船舶又は当該タンカーが航行中であること。
      ⅱ)油分の瞬間排出率が一海里当たり六十リットル以下であること。
      ⅲ)排出する油の油分がその排出量の百万分の百未満であること。
     (ⅱ)タンカーからの油の排出で、次の条件がすべて満たされるもの
      ⅰ)当該タンカーが航行中であること。
      ⅱ)油分の瞬間排出率が一海里当たり六十リットル以下であること。
      ⅲ)一回のバラスト航海において排出される油の総量が総貨物艙積載容積の一万五千分の一以下であること。
      ⅳ)最も近い陸地から当該タンカーまでの距離が五十海里を超えていること。
     (ⅲ)洗浄された貨物油タンクからの水バラストの排出。ただし、その貨物油タンクは、そこからの排水が晴天の日に停止中のタンカーから清浄かつ平穏な海中に排出された場合に視認することができる油膜を海面に生じないほど、十分に洗浄されていることを条件とする。
(2)(1)の規定は、次のものには適用しない。
   (a)船舶若しくは海洋施設の安全を確保し、船舶、海洋施設若しくは船舶の積荷の損傷を防止し又は海上において人命を救助するための油の排出
   (b)船舶若しくは海洋施設の損傷又はやむを得ない漏出に起因する油の流出。ただし、その損傷の発生又は漏出の発見の後に、流出を防止し又は減少させるためすべての適当な措置がとられていることを条件とする。
   (c)海洋施設からの油の排出。ただし、排出する油の油分がその排出量の百万分の十未満であることを条件とする。
   (d)総トン数百五十トン未満のタンカー又はタンカー以外の総トン数五百トン未満の船舶からの油の排出
3 廃棄物の排出
(1)船舶又は海洋施設からの廃棄物を排出してはならない。
(2)(1)の規定は、次の排出については適用しない。
   (a)船舶又は海洋施設内にある者の日常生活に伴い生ずるごみ、ふん尿若しくは汚水又はこれらに類する廃棄物の排出
   (b)海洋の汚染が生ずるおそれがない方法による掘くず又は汚水の排出
   (c)海洋の汚染が生ずるおそれがない方法により、かつ、廃棄物の排出によつて海洋環境の保全が妨げられるおそれがない海域においてする船舶からの廃棄物(掘くず及び汚水を除く。)の排出
   (d)船舶若しくは海洋施設の安全を確保し、船舶、海洋施設若しくは船舶の積荷の損傷を防止し又は海上において人命を救助するための廃棄物の排出
   (e)船舶若しくは海洋施設の損傷に起因する廃棄物の排出又はやむを得ない排出。ただし、その損傷の発生又は排出の発見の後に、排出を防止し又は減少させるためすべての適当な措置がとられていることを条件とする。
4 汚染の防止及び除去
船舶又は海洋施設から大量の油が排出されたときは、汚染のひろがり及び引き続く油の排出を防止し並びに排出された油を除去するため、速やかに、措置をとらなければならない。
5 坑井の廃止
坑井を廃止するときは、坑井からの坑水その他の物質の漏出を防止するため、坑井の密閉その他の措置をとらなければならない。

1 一方の政府は、次のいずれかの事態が発生した場合には、他方の政府に対し、入手することができるすべての情報を速やかに提供しなければならない。
(a)船舶又は海洋施設からの大量の油の排出
(b)海洋施設と船舶又は他の物体との衝突
(c)危険な気象状況その他の緊急事態による海洋施設からの人員の退去
2 1(a)の事態に関する情報を提供するときは、当該政府は、他方の政府に対し、Ⅰ4の規定に従つてとられた措置をも通報する。

1 各政府は、特別な事情があるときは、Ⅰ1(2)(a)、(b)、(c)又は(d)の規定の適用について例外を認めることができる。
2 各政府は、深さ千五百メートルを超える坑井については、Ⅰ1(4)の規定の適用について例外を認めることができる。

いずれの政府も、Ⅰ4の規定に従つて措置がとられなかつた場合又はとられた措置のみによつては海洋の汚染を防止し若しくは除去するために十分ではないと認める場合には、海洋の汚染を防止し又は除去するため、必要な措置をとることができる。

両政府は、この取極の効果的な実施のため緊密に協力する。

1 この取極は、協定の效力発生の日の後六箇月を経過したとき又は両政府間で合意するこれよりも早い日から、適用される。
2 この取極は、いずれか一方の政府が他方の政府に対し一年前に書面による予告を与えることによつて、終了させることができる。
3 両政府は、この取極が2の規定に従つて終了する前に、将来の取極を決定するために会合する。

本使は、更に、この書簡及び大韓民国政府に代わつて前記の取極を確認する閣下の返簡が両政府間の合意を構成するものとみなすことを提案する光栄を有します。
本使は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

千九百七十四年一月三十日にソウルで

大韓民国駐在日本国
特命全権大使 後宮虎郎
大韓民国外務部長官 金東祚閣下

 付表
  圧力
堀さくする油層又は天然ガス層の性質 噴出防止装置 噴出防止装置以外の装置
油層又は遊離形天然ガス層であつて、その圧力が判明しているもの 密閉抗底圧力の一・五倍に相当する圧力 密閉抗口圧力の二倍に相当する圧力 
油層又は遊離形天然ガス層であつて、その圧力が判明していないもの 毎平方センチメートルにつき目的層の深度のメートル数を十で除した数の一・五倍に相当する数値の重量キログラム 密閉抗口圧力の二倍に相当する圧力 
水溶形天然ガス層 毎平方センチメートルにつき目的層の深度のメートル数を十で除した数の〇・五倍に相当する数値の重量キログラム 密閉抗口圧力の二倍に相当する圧力
     
(韓国側書簡)

(訳文)

書簡をもつて啓上いたします。本長官は、本日付けの閣下の次の書簡を受領したことを確認する光栄を有します。

(日本側書簡)

本長官は、更に、大韓民国政府に代わつて閣下の書簡に盛られた取極を確認するとともに、閣下の書簡及びこの書簡が両政府間の合意を構成するものとみなすことに同意する光栄を有します。
本長官は、以上を申し進めるに際し、ここに重ねて閣下に向かつて敬意を表します。

千九百七十四年一月三十日にソウルで

外務部長官 金東祚
大韓民国駐在日本国
特命全権大使 後宮虎郎閣下

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1788年(天明8)京都最大の3万軒以上を焼失した「天明の大火」が起きる(新暦3月7日)詳細
1823年(文政6)幕臣・政治家勝海舟の誕生日(新暦3月12日)詳細
1877年(明治10)西郷隆盛が主宰する私学校の生徒が新政府に反発、政府の武器を奪取して、西南戦争の発端となる詳細
1902年(明治35) 「第一回日英同盟協約」が調印される詳細
1945年(昭和20)藷類増産対策要綱」が閣議決定される詳細
1949年(昭和24)永井隆著の随筆『長崎の鐘』(日比谷出版社)が刊行される詳細
2010年(平成22)児童文学作家川村たかしの命日詳細
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 今日は、平成時代の2019年(平成31)に、小説家・評論家・随筆家橋本治の亡くなった日です。
 橋本治(はしもと おさむ)は、昭和時代中期の1948年(昭和23)3月25日に、東京都杉並区和泉の菓子店に生まれましたが、1951年(昭和26)の3歳の時に世田谷区に転居しました。杉並区立和泉中学校、都立豊多摩高校を経て、1967年(昭和42)に、東京大学文科Ⅲ類へ入学します。
 在学中の1968年(昭和43)に、東京大学駒場祭のポスターで「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」というコピーを打って注目され、イラストレーターとしての活動をスタートました。1970年(昭和45)に「週刊新潮」で「ぽるの日本史」の挿絵を1年間担当、1973年(昭和48)には、卒論『四世鶴屋南北の劇世界』を書いて、東京大学文学部国文学科を卒業し、イラストレーターとなります。
 1977年(昭和52)に、女子高生の風俗を超口語体で描いた『桃尻娘』で第29回小説現代新人賞佳作となり、文筆業に転じ、1987年(昭和62)には、『桃尻語訳 枕草子』がベストセラーとなりました。1990年(平成2)に『江戸にフランス革命を!』で第17回大佛次郎賞候補に選出されるも落選、1991年(平成3)には、米国で出版された現代日本文学のアンソロジー『Monkey brain sushi』に「愛の牡丹雪」の英訳が収録されています。
 1992年(平成4)に小学館ヤングサンデーの主催するサマーセミナーで講師を務め、1993年(平成5)には、雑誌「芸術新潮」で連載「ひらがな日本美術史」を開始(~2005年)しました。1996年(平成8)にオウム真理教事件を題材にした『宗教なんかこわくない!』で第9回新潮学芸賞、2002年(平成14)には、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で第1回小林秀雄賞を受賞しています。
 2004年(平成16)に文化論『上司は思いつきでものを言う』がベストセラーになり、2005年(平成17)に短編集『蝶のゆくえ』で第18回柴田錬三郎賞、2008年(平成20)には、『双調 平家物語』で第62回毎日出版文化賞を受賞しました。2018年(平成30)に『草薙の剣』で第71回野間文芸賞を受賞しましたが、2019年(平成31)1月29日に、東京都新宿区の病院において、肺炎のために70歳で亡くなっています。

〇橋本治の主要な著作

・戯曲『義経伝説』(1991年)
・『桃尻娘』(1977年)第29回小説現代新人賞佳作
・『蓮(はす)と刀』(1982年)
・『その後の仁義なき桃尻娘』(1983年)
・『帰って来た桃尻娘』(1984年)
・『革命的半ズボン主義宣言』(1984年)
・『無花果少年(いちぢくボーイ)と瓜売小僧(うりうりぼうや)』(1985年)
・『完本チャンバラ時代劇講座』(1986年)
・『無花果少年と桃尻娘』(1988年)
・『雨の温州蜜柑姫(おみかんひめ)』(1990年)
・『'89』(1990年)
・『古事記』(1993年)
・シリーズ『貧乏は正しい!』(1994~1996年)
・『桃尻語訳枕草子』上中下(1987、1988、1995年)
・『宗教なんかこわくない!』(1996年)第9回新潮学芸賞受賞
・『絵本徒然草(つれづれぐさ)』上下(1990、1993年)
・『窯変(ようへん)源氏物語』全14巻(1991~1993年)
・『双調平家物語』全15巻(1998~2007年)
・『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(2002年)第1回小林秀雄賞受賞
・短編集『蝶のゆくえ』(2005年)第18回柴田錬三郎賞受賞
・『双調 平家物語』(2008年)第62回毎日出版文化賞受賞
・『草薙の剣』(2018年)第71回野間文芸賞受賞

☆橋本治関係略年表

・1948年(昭和23)3月25日 東京都杉並区の菓子店に生まれる
・1951年(昭和26) 3歳の時に世田谷区に転居する
・1954年(昭和29) 杉並区立新泉小学校へ入学する
・1960年(昭和35) 杉並区立新泉小学校を卒業し、杉並区立和泉中学校へ入学する
・1963年(昭和38) 杉並区立和泉中学校を卒業し、都立豊多摩高校に入学する
・1966年(昭和41) 都立豊多摩高校卒業後、予備校に通う
・1967年(昭和42) 東京大学文科Ⅲ類へ入学する
・1968年(昭和43) 大学2年次に、「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」というコピーを打った東京大学駒場祭のポスターで注目される
・1970年(昭和45) 「週刊新潮」で「ぽるの日本史」の挿絵を1年間担当する
・1973年(昭和48) 卒論『四世鶴屋南北の劇世界』を書いて、東京大学文学部国文学科を卒業し、イラストレーターとして活動する
・1977年(昭和52) 女子高生の風俗を超口語体で描いた『桃尻娘』で第29回小説現代新人賞佳作となり、文筆業に転じる
・1987年(昭和62) 『桃尻語訳 枕草子』がベストセラーとなる
・1990年(平成2) 『江戸にフランス革命を!』で第17回大佛次郎賞候補に選出されるも落選する
・1991年(平成3) 米国で出版された現代日本文学のアンソロジー『Monkey brain sushi』に「愛の牡丹雪」の英訳が収録される
・1992年(平成4) 小学館ヤングサンデーの主催するサマーセミナーで講師を務める
・1993年(平成5) 雑誌「芸術新潮」で連載「ひらがな日本美術史」を開始(~2005年)する
・1995年(平成7) 雑誌「WIRED」の創刊2号(1995年3月号)で大友良英とトークセッションする
・1996年(平成8) オウム真理教事件を題材にした『宗教なんかこわくない!』で第9回新潮学芸賞を受賞する
・1999年(平成11) 東京・三軒茶屋シアタートラムで篠井英介の一人芝居『女賊』の作・演出を務める
・2002年(平成14) 『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』で第1回小林秀雄賞を受賞する
・2004年(平成16) 文化論『上司は思いつきでものを言う』がベストセラーになる
・2005年(平成17) 短編集『蝶のゆくえ』で第18回柴田錬三郎賞を受賞する
・2007年(平成19) 小林秀雄賞の選考委員となる(~2018年)
・2008年(平成20) 『双調 平家物語』で第62回毎日出版文化賞を受賞する
・2009年(平成21) 「週刊新潮」2009年2月号に「巡礼」が一挙掲載される
・2013年(平成25) 東京都立西高等学校で「役に立たないことの大切さ」と題して講演会を行なう
・2018年(平成30) 『草薙の剣』で第71回野間文芸賞を受賞する
・2019年(平成31)1月29日 東京都新宿区の病院において、肺炎のために70歳で亡くなる

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1293年(正応6)南北朝時代の公卿・武将・学者北畠親房の誕生日(新暦3月8日)詳細
1634年(寛永11)江戸幕府が、各藩邸から出動して江戸市内の消火にあたる大名火消を設置する(新暦2月26日)詳細
1879年(明治12)日本が国際電信連合(現在の国際電気通信連合)に加盟する詳細
1905年(明治38)週刊「平民新聞」第64号が赤字で発行され、「終刊の辞」が掲載されて廃刊となる詳細
1944年(昭和19)「中央公論」、「改造」の編集者が検挙され、横浜事件の一つ「中央公論・改造事件」の発端となる詳細
1946年(昭和21)GHQが「日本の行政権の行使に関する範囲の指令」(SCAPIN-677)を出す詳細
1991年(平成3)小説家井上靖の命日詳細
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 今日は、昭和時代中期の1956年(昭和31)に、日本が「万国著作権条約」を批准(効力発生は同年4月28日)した日です。
 「万国著作権条約」(ばんこくちょさくけんじょうやく)は、昭和時代中期の1952年(昭和27)9月6日に、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が中心になって、スイス・ジュネーブで成立(発効は1955年9月16日)した著作権保護に関する国際条約です。西欧諸国を主要加盟国とし、1886年(明治19)に成立した「ベルヌ条約」の制度と1910年(明治43)に成立した米国および中南米諸国を加盟国とする「ブエノスアイレス条約」の制度との調整を目的に作成されました。
 加盟国は相互に内国民待遇を与えること、著作物の保護については国籍主義をとることを骨子とし、著作権者名、著作物の発行年月日のほか、©記号(著作権マーク)を付すことを原則としています。1971年(昭和46)には、同条約を改正する「パリ改正条約」 が作成されました。
 日本は、1953年(昭和28)1月3日に、本条約に署名、1956年(昭和31)1月28日に批准し、本条約は同年4月28日に日本について効力を発生、1977年(昭和52)には「パリ改正条約」にも加盟しています。
 以下に、当時の「万国著作権条約」の英語版原文と日本語訳を掲載しておきますから、ご参照下さい。

〇「万国著作権条約」1952年(昭和27)9月6日成立、1955年(昭和30)9月16日発効

<英語版原文>

SIGNED AT GENEVA, ON 6 SEPTEMBER 1952

The Contracting States,
Moved by the desire to assure in all countries copyright protection of literary, scientific and artistic works,
Convinced that a system of copyright protection appropriate to all nations of the world and expressed in a universal convention, additional to, and without impairing international systems already in force, will ensure respect for the rights of the individual and encourage the development of literature, the sciences and the arts,
Persuaded that such a universal copyright system will facilitate a wider dissemination of works of the human mind and increase international understanding,
Have agreed as follows :

Article Ⅰ
Each Contracting State undertakes to provide for the adequate and effective protection of the rights of authors and other copyright proprietors in literary, scientific and artistic works, including writings, musical, dramatic and cinemato­graphic works, and paintings, engravings and sculpture.

Article Ⅱ
1. Published works of nationals of any Contracting State and works first published in that State shall enjoy in each other Contracting State the same protection as that other State accords to works of its nationals first published in its own territory.
2. Unpublished works of nationals of each Contracting State shall enjoy in each other Contracting State the same protection as that other State accords to unpublished works of its own nationals.
3. For the purpose of this Convention any Contracting State may, by domestic legislation, assimilate to its own nationals any person domiciled in that State.

Article Ⅲ
1. Any Contracting State which, under its domestic law, requires as a condition of copyright, compliance with formalities such as deposit, registration, notice, notarial certificates, payment of fees or manufacture or publication in that Contracting State, shall regard these requirements as satisfied with respect to all works protected in accordance with this Convention and first published outside its territory and the author of which is not one of its nationals, if from the time of the first publication all the copies of the work published with the authority of the author or other copyright proprietor bear the symbol©accompanied by the name of the copyright proprietor and the year of first publication placed in such manner and location as to give reasonable notice of claim of copyright.
2. The provisions of paragraph l of this article shall not preclude any Contracting State from requiring formalities or other conditions for the acquisi­tion and enjoyment of copyright in respect of works first published in its territory or works of its nationals wherever published.
3. The provisions of paragraph 1 of this article shall not preclude any Contracting State from providing that a person seeking judicial relief must, in bringing the action, comply with procedural requirements, such as that the complainant must appear through domestic counsel or that the complainant must deposit with the court or an administrative office, or both, a copy of the work involved in the litigation; provided that failure to comply with such requir­ements shall not affect the validity of the copyright, nor shall any such requirement be imposed upon a national of another Contracting State if such requirement is not imposed on nationals of the State in which protection is claimed.
4. In each Contracting State there shall be legal means of protecting without formalities the unpublished works of nationals of other Contracting States.
5. If a Contracting State grants protection for more than one term of copyright and the first term is for a period longer than one of the minimum periods prescribed in article IV, such State shall not be required to comply with the provisions of pararaph{sic} 1 of this article III in respect of the second or any subsequent term of copyright.

Article Ⅳ
l. The duration of protection of a work shall be governed, in accordance with the provisions of article II and this article, by the law of the Contracting State in which protection is claimed.
2. The term of protection for works protected under this Convention shall not be less than the life of the author and 25 years after his death.
However, any Contracting State which, on the effective date of this Con­vention in that State, has limited this term for certain classes of works to a period computed from the first publication of the work, shall be entitled to maintain these exceptions and to extend them to other classes of works. For all these classes the term of protection shall not be less than 25 years from the date of first publication.
Any Contracting State which, upon the effective date of this Convention in that State, does not compute the term of protection upon the basis of the life of the author, shall be entitled to compute the term of protection from the date of the first publication of the work or from its registration prior to publication, as the case may be, provided the term of protection shall not be less than 25 years from the date of first publication or from its registration or from its registration prior to publication, as the case may be.
If the legislation of a Contracting State grants two or more successive terms of protection, the duration of the first term shall not be less than one of the mini­mum periods specified above.
3. The provisions of paragraph 2 of this article shall not apply to photo­graphi works or to works of applied art; provided, however, that the term of protection in those Contracting States which protect photographic works, or works of applied art in so far as they are protected as artistic works, shall not be less than ten years for each of said classes of works.
4. No Contracting State shall be obliged to grant protection to a work for a period longer than that fixed for the class of works to which the work in question belongs, in the case of unpublished works by the law of the Contracting State of which the author is a national, and in the case of published works by the law of the Contracting State in which the work has been first published.
For the purposes of the application of the preceding provision, if the law of any Contracting State grants two or more successive terms of protection, the period of protection of that State shall be considered to be the aggregate of those terms. However, if a specified work is not protected by such State during the second or any subsequent term for any reason, the other Contracting States shall not be obliged to protect it during the second or any subsequent term.
5. For the purposes of the application of paragraph 4 of this article, the work of a national of a Contracting State, first published in a non-Contracting State, shall be treated as though first published in the Contracting State of which the author is a national.
6. For the purposes of the application of paragraph 4 of this article, in case of simultaneous publication in two or more Contracting States, the work shall be treated as though first published in the State which affords the shortest term; any work published in two or more Contracting States within thirty days of its first publication shall be considered as having been published simultaneously in said Contracting States.

Article Ⅴ
1. Copyright shall include the exclusive right of the author to make, publish, and authorize the making and publication of translations of works protected under this Convention.
2. However, any Contracting State may, by its domestic legislation, restrict the right of translation of writings, but only subject to the following provisions :
If, after the expiration of a period of seven years from the date of the first publication of a writing, a translation of such writing has not been published in the national language or languages, as the case may be, of the Contracting State, by the owner of the right of translation or with his authorization, any national of such Contracting State may obtain a non-exclusive licence from the competent authority thereof to translate the work and publish the work so translated in any of the national languages in which it has not been published; provided that such national, in accordance with the procedure of the State concerned, establishes either that he has requested, and been denied, authorization by the proprietor of the right to make and publish the translation, Or that, after due diligence on his part, he was unable to find the owner of the right. A licence may also be granted on the same conditions if all previous editions of a trans­lation in such language are out of print.
If the owner of the right of translation cannot be found, then the applicant for a licence shall send copies of his application to the publisher whose name appears on the work and, if the nationality of the owner of the right of translation is known, to the diplomatic or consular representative of the State of which such owner is a national, or to the organization which may have been designated by the government of that State. The licence shall not be granted before the expiration of a period of two months from the date of the dispatch of the copies of the application.
ue provision shall be made by domestic legislation to assure to the owner of the right of translation a compensation which is just and conforms to international standards, to assure payment and transmittal of such compensation, and to assure a correct translation of the work.
The original title and the name of the author of the work shall be printed on all copies of the published translation. The licence shall be valid only for publication of the translation in the territory of the Contracting State where it has been applied for. Copies so published may be imported and sold in another Contracting State if one of the national languages of such other State is the same language as that into which the work has been so translated, and if the domestic law in such other State makes provision of such licences and does not prohibit such importation and sale. Where the foregoing conditions do not exist, the importation and sale of such copies in a Contracting State shall be governed by its domestic law and its agreements. The licence shall not be transferred by the licensee.
The licence shall not be granted when the author has withdrawn from circulation all copies of the work.

Article Ⅵ
"Publication", as used in this Convention, means the reproduction in tangible form and the general distribution to the public of copies of a work from which it can be read or otherwise visually perceived.

Article Ⅶ
This Convention shall not apply to works or rights in works which, at the effective date of the Convention in a Contracting State where protection is claimed, are permanently in the public domain in the said Contracting State.

Article Ⅷ
1. This Convention, which shall bear the date of September 6 1952, shall be deposited with the Director-General of the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization and shall remain open for signature by all States for a period of 120 days after that date. It shall be subject to ratification or acceptance by the signatory States.
2. Any State which has not signed this Convention may accede thereto.
3. Ratification, acceptance or accession shall be effected by the deposit of an instrument to that effect with the Director-General of the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization.

Article Ⅸ
1. This Convention shall come into force three months after the deposit of twelve instruments of ratification, acceptance or accession, among which there shall be those of four States which are not members of the International Union for the Protection of Literary and Artistic Works.
2. Subsequently, this Convention shall come into force in respect of each State three months after that State has deposited its instrument of ratification, acceptance or accession.

Article Ⅹ
1. Each State party to this Convention undertakes to adopt, in accordance with its Constitution, such measures as are necessary to ensure the application of this Convention.
2. It is understood, however, that at the time an instrument of ratification, acceptance or accession is deposited on behalf of any State, such State must be in a position under its domestic law to give effect to the terms of this Convention.

Article ⅩⅠ
1. An Intergovernmental Committee is hereby established with the following duties :
a) to study the problems concerning the application and operation of this Convention;
b) to make preparation for periodic revisions of this Convention;
c) to study any other problems concerning the international protection of copyright, in co-operation with the various interested international organizations, such as the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization, the International Union for the Protection of Literary and Aristic Works and the Organization of American States;
d) to inform the Contracting States as to its activities.
2. The Committee shall consist of the representatives of twelve Contracting States to be selected with due consideration to fair geographical represen­tation and in conformity with the Resolution1 relating to this article, annexed to this Convention.
The Director-General of the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization, the Director of the Bureau of the International Union for the Protection of Literary and Artistic Works and the Secretary-General of the Organization of American States, or their representatives, may attend meetings of the Committee in an advisory capacity.

Article ⅩⅡ
The Intergovernmental Committee shall convene a conference for revision of this Convention whenever it deems necessary, or at the request of at least ten Contracting States, or of a majority of the Contracting States if there are less than twenty Contracting States.

Article ⅩⅢ
Any Contracting State may, at the time of deposit of its instrument of ratification, acceptance or accession, or at any time thereafter, declare by noti­fication addressed to the Director-General of the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization that this Convention shall apply to all or any of the countries or territories for the international relations of which it is responsible and this Convention shall thereupon apply to the countries or terri­tories named in such notification after the expiration of the term of three months provided for in article IX. In the absence of such notification, this Convention shall not apply to any such country or territory.

Article ⅩⅣ
1. Any Contracting State may denounce this Convention in its own name or on behalf of all or any of the countries or territories as to which a notification has been given under article XIII. The denunciation shall be made by notification addressed to the Director-General of the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization.
2. Such denunciation shall operate only in respect of the State or of the country or territory on whose behalf it was made and shall not take effect until twelve months after the date of receipt of the notification.

Article ⅩⅤ
A dispute between two or more Contracting States concerning the inter­pretation or application of this Convention, not settled by negotiation, shall, unless the States concerned agree on some other method of settlement, be brought before the International Court of Justice for determination by it.

Article ⅩⅥ
1. This Convention shall be established in English, French and Spanish. The three texts shall be signed and shall be equally authoritative.
2. Official texts of this Convention shall be established in German, Italian and Portuguese.
Any Contracting State or group of Contracting States shall be entitled to have established by the Director-General of the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization other texts in the language of its choice by arrangement with the Director-General.
All such texts shall be annexed to the signed texts of this Convention.

Article ⅩⅦ
1. This Convention shall not in any way affect the provisions of the Berne Convention for the Protection of Literary and Artistic Works or membership in the Union created by that Convention.
2. In application of the foregoing paragraph, a Declaration has been annexed to the present article. This Declaration is an integral part of this Convention for the States bound by the Berne Convention on January 1, 1951, or which have or may become bound to it at a later date. The signature of this Convention by such States shall also constitute signature of the said Declara­tion, and ratification, acceptance or accession by such States shall include the Declaration as well as the Convention.

Article ⅩⅧ
This Convention shall not abrogate multilateral or bilateral copyright conventions or arrangements that are or may be in effect exclusively between two or more American Republics. In the event of any difference either between the provisions of such existing conventions or arrangements and the provisions of this Convention, or between the provisions of this Convention and those of any new convention or arrangement which may be formulated between two or more American Republics after this Convention comes into force, the convention or arrangement most recently formulated shall prevail between the parties thereto. Rights in works acquired in any Contracting State under existing conventions or arrangements before the date this Convention comes into force in such State shall not be affected.

Article ⅩⅨ
This Convention shall not abrogate multilateral or bilateral conventions or arrangements in effect between two or more Contracting States. In the event of any difference between the provisions of such existing conventions or arrangements and the provisions of this Convention, the provisions of this Convention shall prevail. Rights in works acquired in any Contracting State under existing conventions or arrangements before the date on which this Convention comes into force in such State shall not be affected. Nothing in this article shall affect the provisions of articles XVII and XVIII of this Convention.

Article ⅩⅩ
Reservations to this Convention shall not be permitted.

Article ⅩⅩⅠ
The Director-General of the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization shall send duly certified copies of this Convention to the States interested, to the Swiss Federal Council and to the Secretary-General of the United Nations for registration by him.
He shall also inform all interested States of the ratifications, acceptances and accessions which have been deposited, the date on which this Convention comes into force, the notifications under Article XIII of this Convention, and denunciations under Article XIV.

APPENDIX DECLARATION RELATING TO ARTICLE ⅩⅦ

The States which are members of the International Union for the Protection of Literary and Artistic Works, and which are signatories to the Universal Copyright Convent1on, Desiring to reinforce their mutual relations on the basis of the said Union and to avoid any conflict which might result from the co-existence of the Convention of Berne and the Universal Convention,
Have, by common agreement, accepted the terms of the following declaration :
a) Works which, according to the Berne Convention, have as their country of origin a country which has withdrawn from the International Union created by the said Convention, after January 1, 1951, shall not be protected by the Universal Copyright Convention in the countries of the Berne Union;
b) The Universal Copyright Convention shall not be applicable to the relationships among countries of the Berne Union insofar as it relates to the protection of works having as their country of origin, within the meaning of the Berne Convention, a country of the International Union created by the said Convention.

RESOLUTION CONCERNING ARTICLE ⅩⅠ

The Intergovernmental Copyright Conference
Having considered the problems relating to the Intergovernmental Committee provided for in Article XI of the Universal Copyright Convention
Resolves
I. The first members of the Committee shall be representatives of the following twelve States, each of those States designating one representative and an alternate : Argentine, Brazil, France, Germany, India, Italy, Japan, Mexico, Spain, Switzerland, United Kingdom, and United States of America.
2. The Committee shall be constituted as soon as the Convention comes into force in accordance with article XI of this Convention;
3. The Committee shall elect its Chairman and one Vice-Chairman. It shall establish its rules of procedure having regard to the following principles :
a) the normal duration of the term of office of the representatives shall be six years; with one third retiring every two years;
b) before the expiration of the term of office of any members, the Committee shall decide which States shall cease to be represented on it and which States shall be called upon to designate representatives; the representatives of those States which have not ratified, accepted or acceded shall be the first to retire;
c) the different parts of the world shall be fairly represented;
And expresses the wish
that the United Nations Educational, Scientific, and Cultural Organization provide its Secretariat.
IN FAITH WHEREOF the undersigned, having deposited their respective full powers, have signed this Convention.
DONE at Geneva, this sixth day of September, 1952 in a single copy.

PROTOCOL 1 ANNEXED TO THE UNIVERSAL COPYRIGHT CONVENTION CONCERNING THE APPLICATION OF THAT CONVENTION TO THE WORKS OF STATELESS PERSONS AND REFUGEES. SIGNED AT GENEVA, ON 6 SEPTEMBER 1952

The States parties hereto, being also parties to the Universal Copyright Convention (hereinafter referred to as the "Convention") have accepted the following provisions :
1. Stateless persons and refugees who have their habitual residence in a State party to this Protocol shall, for the purposes of the Convention, be assimil­ated to the nationals of that State.
2. (a) This Protocol shall be signed and shall be subject to ratification or acceptance, or may be acceded to, as if the provisions of article VIII of the Convention applied hereto.
(b) This Protocol shall enter into force in respect of each State, on the date of deposit of the instrument of ratification, acceptance or accession of the State concerned or on the date of entry into force of the Convention with respect to such State, whichever is the later.
IN FAITH WHEREOF the undersigned, being duly authorised thereto, have signed this Protocol.
DONE at Geneva this sixth day of September 1952, in the English, French and Spanish languages, the three texts being equally authoritative, in a single copy which shall be deposited with the Director-General of Unesco. The Director-General shall send certified copies to the signatory States, to the Swiss Federal Council and to the Secretary-General of the United Nations for registration.

PROTOCOL 2 ANNEXED TO THE UNIVERSAL COPYRIGHT CONVENTION CONCERNING THE APPLICATION OF THAT CONVENTION TO THE WORKS OF CERTAIN INTERNATIONAL ORGANIZATIONS. SIGNED AT GE­NEVA, ON 6 SEPTEMBER 1952

The State parties hereto, being also parties to the Universal Copyright Convention (hereinafter referred to as the "Convention"),
Have accepted the following provisions :
I. (a) The protection provided for in article II (1) of the Convention shall apply to works published for the first time by the United Nations, by the Spe­cialized Agencies in relationship therewith, or by the Organisation of American States;
(b) Similarly, article II (2) of the Convention shall apply to the said organi­sation or agencies.
2. (a) This Protocol shall be signed and shall be subject to ratification or acceptance, or may be acceded to, as if the provisions of article VIII of the Convention applied hereto.
(b) This Protocol shall enter into force for each State on the date of deposit of the instrument of ratification, acceptance or accession of the State concerned or on the date of entry into force of the Convention with respect to such State, whichever is the later.
IN FAITH WHEREOF the undersigned, being duly authorised thereto, have signed this Protocol.
DONE at Geneva, this sixth day of September, 1952, in the English, French and Spanish languages, the three texts being equally authoritative, in a single copy which shall be deposited with the Director-General of the Unesco.
The Director-General shall send certificated copies to the signatory States, to the Swiss Federal Council, and to the Secretary-General of the United Nations for registration.

PROTOCOL 3 ANNEXED TO THE UNIVERSAL COPYRIGHT CONVENTION CONCERNING THE EFFECTIVE DATE OF INSTRUMENTS OF RATIFICATION OR ACCEPT­ANCE OF OR ACCESSION TO THAT CONVENTION. SIGNED AT GENEVA, ON 6 SEPTEMBER 1952

States parties hereto,
Recognizing that the application of the Universal Copyright Convention (hereinafter referred to as the "Convention") to States participating in all the international copyright systems already in force will contribute greatly to the value of the Convention :
Have agreed as follows :
1. Any State party hereto may, on depositing its instrument of ratification or acceptance of or accession to the Convention, notify the Director-General of the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization (hereinafter referred to as "Director-General") that that instrument shall not take effect for the purposes of Article IX of the Convention until any other State named in such notification shall have deposited its instrument.
2. The notification referred to in paragraph 1 above shall accompany the instrument to which it relates.
3. The Director-General shall inform all States signatory or which have then acceded to the Convention of any notifications received in accordance with this Protocol.
4. This Protocol shall bear the same date and shall remain open for signa­ture for the same period as the Convention.
5. It shall be subject to ratification or acceptance by the signatory States. Any State which has not signed this Protocol may accede thereto.
6. a) Ratification or acceptance or accession shall be effected by the deposit of an instrument to that effect with the Director-General.
b) This Protocol shall enter into force on the date of deposit of not less than four instruments of ratification or acceptance or accession. The Director­ General shall inform all interested States of this date. Instruments deposited after such date shall take effect on the date of their deposit.
IN FAITH WHEREOF the undersigned, being duly authorised thereto, have signed this Protocol.

DONE at Geneva, the sixth day of September 1952, in the English, French and Spanish languages, the three texts being equally authoritative, in a single copy which shall be annexed to the original copy of the Convention. The Director-General shall send certified copies to the signatory States, to the Swiss Federal Council, and to the Secretary-General of United Nations for registration.

<日本語訳>

万国著作権条約

 締約国は、
 文学的、学術的及び美術的著作物の著作権の保護をすべての国において確保することを希望し、
 世界のすべての国民にとって適当でありかつ万国条約により表現される著作権保護の制度が、現行の国際制度を害することなくこれに追加されて、個人の権利の尊重を確保し、かつ、文学、学術及び美術の発達を助長するものであることを確信し、
 このような万国著作権保護制度が、人間精神の所産の普及を一層容易にし、かつ、国際の理解を増進するものであることを了解して、
 次のとおり協定した。

第1条〔目的〕
 各締約国は、文書、音楽的、演劇的及び映画的著作物、絵画、版画並びに彫刻のような文学的、学術的及び美術的著作物についての著作者及び著作権を有する他の者の権利の十分なかつ有効な保護を確保するため必要なすべての措置を執るものとする。

第2条〔保護の原則〕
1 いずれかの締約国の国民の発行された著作物及びいずれかの締約国で最初に発行された著作物は、他のいずれの締約国においても、その締約国が自国で最初に発行された自国民の著作物に与えている保護と同一の保護を受けるものとする。
2 いずれかの締約国の国民の発行されていない著作物は、他のいずれの締約国においても、その締約国が自国民の発行されていない著作物に与えている保護と同一の保護を受けるものとする。
3 締約国は、この条約の適用上、自国に住所を有するいかなる者についても、自国の国内法令により自国民と同一の取扱をすることができる。

第3条〔保護の条件〕
1 締約国は、自国の国内法令に基き著作権の保護の条件として納入、登録、表示、公証人による証明、手数料の支払又は自国内における製造若しくは発行のような方式に従うことを要求するときは、この条約に基いて保護を受ける著作物で、自国外で最初に発行され、かつ、その著作者が自国民でないものについて、著作者又は著作権を有する他の者の許諾を得て発行された著作物のすべての複製物にその最初の発行の時から©の記号が著作権を有する者の氏名及び最初の発行の年とともに表示されている限り、これらの要求が満たされたものと認めなければならない。ただし、その記号、氏名及び発行の年は、著作権が留保されていることを表示するのに適当な方法で、かつ、適当な場所に掲げなければならない。
2 前項の規定は、締約国が、自国で最初に発行された著作物又は発行の場所のいかんを問わず発行された自国民の著作物について、著作権の取得及び享有を確保するため、一定の方式その他の条件を要求することを妨げるものではない。
3 1の規定は、司法上の救済を求める者が、訴を提起するに当り、国内で開業する弁護士に依頼しなければならないとか、裁判所若しくは行政機関に対し又はその双方に対して訴訟に係る著作物の複製物を一部納入しなければならないというような手続上の要件を満たすべきことを締約国が定めることを妨げるものではない。もっとも、これらの要件の不履行は、著作権の効力に影響を及ぼすものではなく、また、そのいずれの要件も、保護の要求される国の国民に課していないときは、他の締約国の国民に課することができない。
4 いずれの締約国においても、他の締約国の国民の発行されていない著作物を方式を要しないで保護するための法的手段が確保されなければならない。
5 締約国は、著作権について2以上の保護期間を許与する場合において最初の期間が次条に定める最短の期間より長いときは、2番目以後の保護期間に関し1の規定に従うことを要しない。

第4条〔保護期間〕
1 著作物の保護期間は、第2条及びこの条の規定に従い、保護の要求される締約国の法令により定めるものとする。
2 この条約に基いて保護を受ける著作物の保護期間は、著作者の生存間及びその死後25年からなる期間より短くてはならない。もっとも、いずれかの締約国が自国におけるこの条約の効力発生の日にある種類の著作物に関して保護期間を最初の発行から起算する期間に限定しているときは、その締約国は、その例外を維持し、及びこれを他の種類の著作物に及ぼすことができる。これらのすべての種類の著作物に関する保護期間は、その最初の発行の日から起算して25年より短くてはならない。
 いずれかの締約国が自国におけるこの条約の効力発生の日に保護期間を著作者の生存に基いて算定していないときは、その締約国は、保護期間を著作物の最初の発行又は、場合により、発行に先だって著作物の登録から起算することができる。その保護期間は、それぞれ最初の発行の日又は発行に先だつ登録の日から起算して25年より短くてはならない。
 締約国の法令により2以上の相次ぐ保護期間が許与されるときは、最初の期間は、前記の最短の期間より短かくてはならない。
3 前項の規定は、写真的著作物及び応用美術の作品には適用しない。ただし、写真的著作物を保護し、又は応用美術の作品を美術的著作物として保護している締約国においては、これらの種類の著作物に関する保護期間は、いずれも10年より短くてはならない。
4 締約国は、いずれの著作物についても、発行されていないものの場合にはその著作者が国籍を有する締約国の法令により、及び発行されたものの場合にはそれが最初に発行された締約国の法令により当該著作物の種類について定められている期間より長い期間保護を与える義務を負わない。
 いずれかの締約国の法令により2以上の相次ぐ保護期間が許与されているときは、前記の規定の適用上、これらの期間を合算した期間をその締約国が保護を与えている期間とみなす。もっとも、特定の著作物がなんらかの理由により2番目以後のいずれかの期間その締約国の保護を受けないときは、他の締約国は、当該期間その著作物について保護を与える義務を負わない。
5 締約国の国民の著作物で非締約国で最初に発行されたものは、前項の規定の適用上、その著作者が国籍を有する締約国で最初に発行されたものとみなす。
6 2以上の締約国で同時に発行された著作物は、4の規定の適用上、最も短い保護期間を許与する締約国で最初に発行されたものとみなす。最初の発行の日から30日以内に2以上の締約国で発行された著作物は、これらの締約国で同時に発行されたものとみなす。

第5条〔翻訳権〕
1 著作権は、この条約に基いて保護を受けている著作物を翻訳し、その翻訳を発行し、並びにこれらの著作物の翻訳及びその発行を許諾する排他的権利を含む。
2 もっとも、締約国は、次の諸規定に従うことを条件として自国の国内法令により文書に関する翻訳権を制限することができる。
 文書の最初の発行の日から7年の期間が満了した時に翻訳権を有する者により又はその者の許諾を得て締約国の1又は2以上の国語でその文書の翻訳が発行されていないときは、その締約国の国民は、当該著作物が発行されていない自国語にそれを翻訳し、かつ、その翻訳を発行するため、自国の権限のある機関から非排他的の許可を受けることができる。ただし、許可を申請する者は、翻訳権を有する者に対し翻訳し、かつ、その翻訳を発行することの許諾を求めたが拒否された旨又は相当な努力を払ったが翻訳権を有する者と連絡することができなかった旨のいずれかを自国の手続に従って立証しなければならない。この許可は、また、1の国語によりすでに発行された翻訳が絶版になっているときも、同一の条件で与えることができる。
 翻訳権を有する者と連絡することができない場合には、許可を申請する者は、著作物に氏名が掲げられている発行者に対し、及び、翻訳権を有する者の国籍が判明しているときは、その翻訳権を有する者が国籍を有する国の外交代表若しくは領事代表又はその国の政府が指定する機関に対し、申請書の写を送付しなければならない。許可は、申請書の写の発送の日から2箇月の期間が経過するまでは与えることができない。
 翻訳権を有する者に対し公正なかつ国際慣行に合致した補償額並びにその補償金の支払及び移転を保障し、並びに著作物の正確な翻訳を確保するため、国内法令により適当な措置が執られなければならない。
 発行された翻訳のすべての複製物には、原著作物の題名及び著作者の氏名が印刷されていなければならない。許可は、それが申請された締約国における翻訳の発行についてのみ有効とする。こうして発行された複製物は、他のいずれかの締約国の国語の1が著作物の翻訳された言語と同一の言語であり、かつ、その国の国内法令が前記の許可を認めてその輸入及び販売を禁止していないときは、その国に輸入し、及びその国で販売することができる。前記の条件が存しない場合には、これらの複製物の締約国への輸入及びその国における賑売は、その国の国内法令及びその国が締結する取極により規律するものとする。許可を受けた者は、その許可を譲渡してはならない。
 許可は、著作物のすべての頒布中の複製物を回収したときは、与えることができない。

第6条〔発行の定義〕
 この条約において「発行」とは、著作物を読むこと又は視覚によって認めることができるように有形な物に複製し、及びその複製物を公衆に提供することをいう。

第7条〔不遡及〕
 この条約は、保護の要求される締約国におけるこの条約の効力発生の日にその国で最終的に保護を受けなくなっており、又は保護を受けたことのない著作物及び著作物についての権利には適用しない。

第8条〔署名、批准および加入〕
1 この条約は、1952年9月6日の日付を有し、国際連合教育科学文化機関事務局長に寄託するものとし、その日付の日から起算して120日の期間すべての国の署名のため開放しておく。この条約は、署名国による批准又は受諾を要するものとする。
2 この条約に署名しなかったいずれの国も、これに加入することができる。
3 批准、受諾又は加入は、そのための文書を国際連合教育科学文化機関事務局長に寄託することにより行うものとする。

第9条〔効力発生〕
1 この条約は、文学的及び美術的著作物保護国際同盟の加盟国でない4国を含む12国の批准、受諾又は加入のための文書の寄託の後3箇月で効力を生ずる。
2 その後は、この条約は、その他の各国については、それぞれその国の批准、受諾又は加入のための文書の寄託の後3箇月で効力を生ずる。

第10条〔国内措置〕
1 各締約国は、自国の憲法に従い、この条約の適用を確保するため必要な措置を執るものとする。
2 もっとも、各国は、自国の批准、受諾又は加入のための文書が寄託された時に、自国の国内法令に基いてこの条約の規定を実施することができる状態になっていなければならないと了解される。

第11条〔政府間委員会〕
1 次の任務を有する政府間委員会を設置する。
 (a) この条約の適用及び運用に関する問題を研究すること。
 (b) この条約の定期的の改正を準備すること。
 (c) 国際連合教育科学文化機関、文学的及び美術的著作物保護国際同盟、アメリカ州諸国機構等の諸種の関係国際機関と協力して著作権の国際的保護に関するその他の問題を研究すること。
 (d) 締約国に対し自己の活動を通報すること。
2 委員会は、地理的に公平な代表となるように相当の考慮を払い、かつ、この条約に附属しているこの条に関する決議に従って選ばれる12の締約国の代表者からなる。
 国際連合教育科学文化機関事務局長、文学的及び美術的著作物保護国際同盟事務局長及びアメリカ州諸国機構事務局長又はこれらの者の代理者は、顧問の資格で委員会の会合に出席することができる。

第12条〔改正会議〕
 政府間委員会は、必要があると認めたとき、又は10以上の締約国の要請若しくは締約国の数が20未満の場合にはその過半数の締約国の要請があったときは、この条約の改正のための会議を招集しなければならない。

第13条〔領域への適用〕
 締約国は、その批准、受諾若しくは加入のための文書の寄託の時に、又はその後いつでも、
 国際連合教育科学文化機関事務局長にあてた通告により、自国が外交関係について責任を有する国又は領域の全部又は一部にこの条約を適用する旨を宣言することができる。この通告が行われた場合には、この条約は、その通告に掲げる国又は領域について、第9条に定める3箇月の期間の満了後において、即時適用される。この通告が行われない場合には、この条約は、これらの国又は領域には適用されない。

第14条〔廃棄〕
1 締約国は、自国のために、又は前条の規定による通告の対象となった国若しくは領域の全部若しくは一部のためにこの条約を廃棄することができる。廃棄は、国際連合教育科学文化機関事務局長にあてた通告により行うものとする。
2 廃棄は、廃棄の通告が行われた締約国又は国若しくは領域についてのみ適用があるものとし、通告が受領された日の後12箇月間は効力を生じない。

第15条〔紛争解決〕
 この条約の解釈又は適用に関する2以上の締約国間の紛争で交渉により解決することのできないものは、紛争当事国が他の解決方法に同意しない限り、決定のため国際司法裁判所に付託するものとする。

第16条〔本文〕
1 この条約は、英語、フランス語及びスペイン語により作成する。これらの3本文は、署名されるものとし、ひとしく正文とする。
2 ドイツ語、イタリア語及びポルトガル語によりこの条約の公定本文を作成する。
 締約国は、単独又は共同で、国際連合教育科学文化機関事務局長と取極を行い、別に自己が、選択する国語による本文を同事務局長に作成させることができる。
 これらのすべての本文は、この条約の署名された本文に添付するものとする。

第17条〔ベルヌ条約との関係〕
1 この条約は、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約の規定及び同条約により創設された同盟の加盟国の地位になんら影響を及ぼすものではない。
2 前項の規定の適用に関し、この条に宣言が附属している。この宣言は、1951年1月1日にベルヌ条約により拘束されていた国又はその後これに加入する国に関し、この条約の不可分の一部をなす。これらの国によるこの条約への署名は、この宣言への署名としての効力をも有し、これらの国によるこの条約の批准若しくは受諾又はこれへの加入は、それぞれ、この宣言の批准若しくは受諾又はこれへの加入をも含むものとする。

第18条〔米州条約との関係〕
 この条約は、もっぱら2以上のアメリカ州の共和国の間にのみ現在実施されており、又は将来実施される著作権に関する多数国間又は2国間の条約又は取極を無効にするものではない。これらの現在実施されている条約若しくは取極の規定とこの条約の規定とが抵触する場合、又はこの条約の規定とこの条約の効力発生の後に2以上のアメリカ州の共和国の間に新たに作成される条約若しくは取極の規定とが抵触する場合には、最も新しく作成された条約又は取極の規定が当事国間において優先するものとする。いずれかの締約国におけるこの条約の効力発生の日前に有効な条約又は取極に基いてその国で取得された著作物についての権利は、なんら影響を受けるものではない。

第19条〔他の条約との関係〕
 この条約は、2以上の締約国間に実施されている著作権に関する多数国間又は2国間の条約又は取極を無効にするものではない。これらの実施されている条約又は取極の規定とこの条約の規定とが抵触する場合には、この条約の規定が優先するものとする。いずれかの締約国におけるこの条約の効力発生の日前に有効な条約又は取極に基いてその国で取得された著作物についての権利は、なんら影響を受けるものではない。この条の規定は、第17条及び前条の規定になんら影響を及ぼすものではない。

第20条〔留保〕
 この条約には、いかなる留保も認めない。

第21条〔認証謄本の送付等〕
 国際連合教育科学文化機関事務局長は、関係国及びスイス連邦政府に対し、並びに登録のため国際連合事務総長に対しこの条約の認証謄本を送付するものとする。
 国際連合教育科学文化機関事務局長は、また、批准、受諾又は加入のための文書の寄託、この条約の効力発生の日、第13条の規定による通告及び第14条の規定による廃棄についてすべての関係国に通報するものとする。

第17条に関する附属宣言〔ベルヌ同盟との関係〕
 文学的及び美術的著作物保護国際同盟の加盟国であり、かつ万国著作権条約の署名国である国は、
 前記の同盟の基礎の上に相互の関係を密接にし、かつベルヌ条約と万国著作権条約との併存から生ずる紛争を避けることを希望して、
 合意により、次の宣言条項を受諾した。
 (a) ベルヌ条約により創設された国際同盟から1951年1月1日後に脱退した国を同条約
 の規定に基いて本国とする著作物は、ベルヌ同盟国において、万国著作権条約による保護を受けない。
 (b) 万国著作権条約はベルヌ条約により創設された国際同盟の加盟国の1を同条約の規定に基いて本国とする著作物の保護に関する限り、ベルヌ同盟国間の関係については、適用しない。

第11条に関する決議〔政府間委員会〕政府間著作権会議は、
 万国著作権条約第11条に定める政府間委員会に関する問題を審議して、次のことを決議する。
1 委員会の最初の委員は、次の12国の代表者とし、これらの国は、それぞれ代表者1人とその代理者1人を任命するものとする。
 ドイツ、アルゼンティン、ブラジル、スペイン、アメリカ合衆国、フランス、インド、イタリア、日本国、メキシコ、連合王国及びスイス
2 委員会は、この条約が効力を生じた後第11条の規定に従って直ちに構成されるものとする。
3 委員会は、委員長1人と副委員長1人を選出するものとする。委員会は、次の原則の実施を確保する内部規則を定めるものとする。
 (a) 代表者の通常の任期は、6年とし、2年ごとにその3分の1を改めて任命するものとする。
 (b) 委員会は、委員の任期の満了前に、委員会に代表者を送ることを終止する国及び代表者を任命すべき国を決定しなければならない。批准、受諾又は加入をしていない国の代表者は、第1番に退任するものとする。
 (c) 世界の各地域から公平に代表者が送られなければならない。
 政府間著作権会議は、また、次の希望を表明する。国際連合教育科学文化機関が委員会の事務局を提供すること。
 以上の証拠として、下名は、各自の全権委任状を寄託した後、この条約に署名した。1952年9月6日にジュネーブで、本書1通を作成した。

 (署名略)

○無国籍者及び亡命者の著作物に対する万国著作権条約の適用に関する同条約の第一附属議定書

 万国著作権条約(以下「条約」という。)の締約国でありかつこの議定書の締約国となる国は、次の規定を受諾した。
1 この議定書の締約国に常時居住する無国籍者及び亡命者については、条約の適用上、その国の国民と同一の取扱をするものとする。
2 (a)条約第8条の規定の例により、この議定書は、署名され、かつ、批准又は受諾を要するものとし、また、これに加入することができる。
 (b)この議定書は、各国について、それぞれ、その批准、受諾若しくは加入のための文書の寄託の日又はその国における条約の効力発生の日のうちいずれかおそい日に効力を生ずる。以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けて、この議定書に署名した。
 1952年9月6日にジュネーヴで、ひとしく正文である英語、フランス語及びスペイン語により本書1通を作成した。本書は、ユネスコ事務局長に寄託するものとする。同事務局長は署名国及びスイス連邦政府に対し、並びに登録のため国際連合事務総長に対しその認証謄本を送付するものとする。

○ある種の国際機関の著作物に対する万国著作権条約の適用に関する同条約の第二附属議定書

 万国著作権条約(以下「条約」という。)の締約国でありかつこの議定書の締約国となる国は。次の規定を受諾した。
1 (a)条約第2条1に定める保護は、国際連合、国際連合と連携関係をもたされる専門機関又はアメリカ州諸国機構が最初に発行した著作物に適用する。
 (b)同様に、条約第2条2の規定も、前記の機構又は機関に適用する。
2 (a)条約第8条の規定の例により、この議定書は、署名され、かつ、批准又は受諾を要するものとし、また、これに加入することができる。
 (b)この議定書は、各国について、それぞれ、その批准、受託若しくは加入のための文書の寄託の日又はその国における条約の効力発生の日のうちいずれかおそい日に効力を生ずる。
 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けて、この議定書に署名した。
 1952年9月6日にジュネーブで、ひとしく正文である、英語、フランス語及びスペイン語により本書1通を作成した。本書は、ユネスコ事務局長に寄託するものとする。同事務局長は、
 署名国及びスイス連邦政府に対し、並びに登録のため国際連合事務総長に対しその認証謄本を送付するものとする。

○万国著作権条約の条件附の批准、受諾又は加入に関する同条約の第三附属議定書

 この議定書の締約国は、
 現行のいずれかの著作権保護の国際制度に参加している国に対する万国著作権条約(以下「条約」という。)の適用が条約の価値を著しく増大することを認めて、
 次のとおり協定した。
1 この議定書の締約国は、条約の批准若しくは受諾又はこれへの加入のための文書の寄託の時に、国際連合教育科学文化機関事務局長(以下「事務局長」という。)に対して通告を行い、当該文書が、条約第9条の規定の適用上、その通告書に掲げる他のいずれかの国が批准、受諾又は加入のための文書を寄託するまで効力を生じない旨を宣言することができる。
2 前項の規定による通告書は、それが関係する文書に添付するものとする。
3 事務局長は、この議定書の規定に従って受領したすべての通告について、条約に署名し、又は加入したすべての国に通報するものとする。
4 この議定書は、条約と同一の日付を有し、また、条約の場合と同一の期間署名のため開放しておく。
5 この議定書は、署名国による批准又は受諾を要するものとする。この議定書に署名しなかったいずれの国も、これに加入することができる。
6 (a)批准、受諾又は加入は、そのための文書を事務局長に寄託することにより行うものとする。
 (b)この議定書は、4番目の批准、受諾又は加入のための文書が寄託された日に効力を生ずる。事務局長は、その日をすべての関係国に通報するものとする。この日の後に寄託された文書は、その寄託の日に効力を生ずる。
 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けて、この議定書に署名した。

 (署名略)

 1952年9月6日にジュネーブでひとしく正文である英語、フランス語及びスペイン語により本書1通を作成した。本書は、条約の本書に附属するものとする。事務局長は、署名国及びスイス連邦政府に対し、並びに登録のため国際連合事務総長に対しその認証謄本を送付するものとする。

  「ウィキソース」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

712年(和銅5) 太安万侶が編纂した『古事記』が完成し、元明天皇に献上される(新暦3月9日) 詳細
1582年(天正10) 天正遣欧使節がローマに向かって長崎港を出港する(新暦2月20日) 詳細
1886年(明治19) 日本とハワイ王国との間で、「布哇国渡航条約」(明治19年勅令無号)が締結される 詳細
1912年(明治45) 放射線医学者高橋信次の誕生日 詳細
1924年(大正13) 上野公園・上野動物園が宮内省から東京市に下賜される 詳細
1946年(昭和21) GHQが「映画検閲に関する覚書」(SCAPIN-658)を出す 詳細
1948年(昭和23) 関西汽船「女王丸」が瀬戸内海で触雷して沈没、死者・行方不明者188名を出す(女王丸沈没事故) 詳細
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morishitamasaki01
 今日は、大正時代の1913年(大正2)に、生態学者森下正明の生まれた日です。
 森下正明(もりした まさあき)は、大正時代の1913年(大正2)1月27日に、大阪市東区東雲町59番地(現在の大阪市中央区玉造2丁目)において生まれました。土佐中学校(現在の土佐高校)、官立高知高等学校(現在の高知大学)を経て、1932年(昭和7)に、京都帝国大学(現在の京都大学)農学部農林生物学科へ入学します。
 1935年(昭和10)に卒業後、京都帝国大学副手となり、1937年(昭和12)には、立命館商業学校(現在の立命館高校)講師となって、グライダー部顧問(2級滑空士免許取得)となりました。1939年(昭和14)に立命館商業学校講師を退職をして、今西錦司と二人で蒙古馬車探検へ出かけ、1941年(昭和16)にポナペ島(ミクロネシア連邦ポナペ島)、1942年(昭和17)には、大興安嶺(中華人民共和国・黒龍江省)を探検(副隊長・漠河隊長)します。
 1946年(昭和21)に京都府立嵯峨野高等女学校(現在の嵯峨野高等学校)教諭となり、1948年(昭和23)には、京都府立鴨沂高等学校(新制)教諭(学制変更により移動)となりました。1950年(昭和25)に学位論文『ヒメアメンボの棲息密度と移動』で、京都大学から理学博士を得て、1952年(昭和27)には、九州大学理学部生物学科助教授(生態学講座)となります。
 1964年(昭和39)に日本動物学会賞を受賞し、1965年(昭和40)には、京都大学理学部動物学科教授(動物生理・生態学講座)となりました。1967年(昭和42)に京都大学理学部付属瀬戸臨海実験所(のち京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所水族館)所長(兼担)となりましたが、1976年(昭和51)には、定年退官し、京都大学名誉教授となっています。
 1986年(昭和61)に勲三等旭日中綬章を授章、1992年(平成4)に京都府教育委員会から文化財専門委員として表彰を受け、1994年(平成6)には、Distinguished Statistical Ecologist Award 国際生態学会賞を受賞しました。1996年(平成8)には、種多様性指数値に対するサンプルの大きさの影響、最後の論文を発表したものの、1997年(平成9)2月25日に、84歳で亡くなり、正四位を追贈されています。
 尚、アリの生態研究で世界的に知られ、数理生態学の第一人者とされ、生物の分布集中度指数「モリシタ-インデックス」は国際的に使用されてきました。

〇森下正明の主要な著作

・『動物の社会』(1977年)
・『森下正明生態学論集(1〜2)』(1979年)

☆森下正明関係略年表

・1913年(大正2)1月27日 大阪市東区東雲町59番地(現在の大阪市中央区玉造2丁目)において、生まれる
・1929年(昭和4) 土佐中学校(現在の土佐高校)を卒業する
・1929年(昭和4) 官立高知高等学校(現在の高知大学)へ入学する
・1932年(昭和7) 官立高知高等学校(現在の高知大学)を卒業し、京都帝国大学(現在の京都大学)農学部農林生物学科へ入学する
・1935年(昭和10) 京都帝国大学(現在の京都大学)農学部農林生物学科を卒業し、京都帝国大学副手となる
・1937年(昭和12) 立命館商業学校(現在の立命館高校)講師となり、グライダー部顧問(2級滑空士免許取得)となる
・1939年(昭和14) 立命館商業学校講師を退職をして、今西錦司と二人で蒙古馬車探検へ出かける
・1941年(昭和16) ポナペ島(ミクロネシア連邦ポナペ島)を探検する
・1942年(昭和17) 大興安嶺(中華人民共和国・黒龍江省)を探検(副隊長・漠河隊長)する
・1946年(昭和21) 京都府立嵯峨野高等女学校(現在の嵯峨野高等学校)教諭となる
・1948年(昭和23) 京都府立鴨沂高等学校(新制)教諭(学制変更により移動)となる
・1950年(昭和25) 学位論文『ヒメアメンボの棲息密度と移動』で、京都大学から理学博士を得る
・1952年(昭和27) 九州大学理学部生物学科助教授(生態学講座)となる
・1964年(昭和39) 日本動物学会賞を受賞する
・1965年(昭和40) 京都大学理学部動物学科教授(動物生理・生態学講座)となる
・1967年(昭和42) 京都大学理学部付属瀬戸臨海実験所(のち京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所水族館)所長(兼担)となる
・1976年(昭和51) 京都大学を定年退官し、京都大学名誉教授となる
・1984年(昭和59) 京都府教育委員会から文化財保護審議会委員として表彰を受ける
・1986年(昭和61) 勲三等旭日中綬章を授章する
・1992年(平成4) 京都府教育委員会から文化財専門委員として表彰を受ける
・1994年(平成6) Distinguished Statistical Ecologist Award 国際生態学会賞を受賞する
・1996年(平成8) 種多様性指数値に対するサンプルの大きさの影響、最後の論文を発表する
・1997年(平成9)2月25日 84歳で亡くなり、正四位を追贈される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1219年(建保7)鎌倉の鶴岡八幡宮で源実朝が甥の公暁により暗殺される(新暦2月13日)詳細
1713年(正徳3)狩野派の絵師狩野常信の命日(新暦2月21日)詳細
1770年(明和7)商人・随筆家・文人鈴木牧之の誕生日(新暦2月22日)詳細
1870年(明治3)「郵船商船規則」を布告、日本の商船は日章旗を掲揚するとし、日章旗規格を定める(新暦2月27日)詳細
1885年(明治18)日本画家前田青邨の誕生日詳細
1967年(昭和42)「宇宙条約」が署名開放され、日本が署名する詳細
1998年(平成10)小説家・放送作家・エッセイスト景山民夫の命日詳細
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