ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

2024年06月

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 今日は、昭和時代中期の1951年(昭和26)に、「覚せい剤取締法」(昭和26年法律252号)が公布(施行は同年7月30日)された日です。
 「覚せい剤取締法」(かくせいざいとりしまりほう)は、覚醒剤の用途を医療・学術研究に限定し、濫用を防止するために定められた法律(昭和26年法律252号)でした。太平洋戦争敗戦後の日本では、戦時中に工場の能率を高めるなどに用いられていたアンフェタミン類が大量に市場に放出され、店頭でも買えるようになったため、注射剤を含めたメタンフェタミンの乱用が流行します。これを規制するため、覚醒剤の乱用による保健衛生上の危害の防止を目的とし、施用を医療と学術研究に制限するために、1951年(昭和26)6月30日に公布(施行は同年7月30日)されました。
 本法によって、覚醒剤を取り扱うことができる者を限定し、それ以外の者による輸入・製造・譲渡・譲受・所持・使用などを禁止し、違反行為に対する罰則を定めました。薬物四法の一つで、近年、本法による取締りが強化されてきています。

〇「覚せい剤取締法」(昭和26年法律252号) 1951年(昭和26)6月30日公布、同年7月30日施行

   第一章 総則

 (この法律の目的)

第一条 この法律は、覚せい剤の濫用による保健衛生上の危害を防止するため、その輸入、所持、製造、譲渡、譲受及び使用に関して必要な取締を行うことを目的とする。

 (用語の意義)

第二条 この法律において使用する用語の意義は、左の各号に定めるところによる。
 一 「覚せい剤」とは、フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類並びにこれらのいずれかを含有する製剤をいう。
 二 「覚せい剤製造業者」とは、覚せい剤を製造し、且つ、その製造した覚せい剤を覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者に譲り渡すことを業とすることができるものとして、この法律の規定により指定を受けた者をいう。
 三 「覚せい剤施用機関」とは、覚せい剤の施用を行うことができるものとして、この法律の規定により指定を受けた病院又は診療所をいう。
 四 「覚せい剤研究者」とは、学術研究のため覚せい剤を使用することができるものとして、この法律の規定により指定を受けた者をいう。

   第二章 指定及び届出

 (指定の要件)

第三条 覚せい剤製造業者の指定は製造所ごとに厚生大臣が、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者の指定は病院若しくは診療所又は研究所ごとにその所在地の都道府県知事が、左の各号に掲げる資格を有するもののうち適当と認めるものについて行う。
 一 覚せい剤製造業者については、薬事法(昭和二十三年法律第百九十七号)第二十六条第一項(医薬品製造業の登録)の規定により医薬品製造業の登録を受けている者
 二 覚せい剤施用機関については、精神病院その他診療上覚せい剤の施用を必要とする病院又は診療所
 三 覚せい剤研究者については、覚せい剤に関し相当の知識を持ち、且つ、研究上覚せい剤の使用を必要とする者
2 覚せい剤施用機関及び覚せい剤研究者の指定に関する基準は、厚生省令で定める。

 (指定の申請手続)

第四条 覚せい剤製造業者の指定を受けようとする者は、製造所ごとに、その製造所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に申請書を出さなければならない。
2 覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者の指定を受けようとする者は、病院若しくは診療所又は研究所ごとに、その所在地の都道府県知事に申請書を出さなければならない。

 (指定証)

第五条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者の指定をしたときは、厚生大臣は当該製造業者に対して、都道府県知事は当該施用機関の開設者又は当該研究者に対して、それぞれ指定証を交付しなければならない。
2 覚せい剤製造業者に対する指定証の交付は、その製造所の所在地の都道府県知事を経て行うものとする。
3 指定証は、譲り渡し、又は貸与してはならない。

 (指定の有効期間)

第六条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者の指定の有効期間は、指定の日からその翌年の十二月三十一日までとする。

 (指定の失効)

第七条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者について、指定の有効期間が満了したとき及び指定の取消があつたときの外、第九条(業務の廃止等の届出)に規定する事由が生じたときは、指定はその効力を失う。

 (指定の取消)

第八条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者、覚せい剤施用機関の管理者(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)の規定による当該病院又は診療所の管理者をいう。以下同じ。)、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師若しくは覚せい剤研究者がこの法律の規定若しくはこの法律の規定に基く処分に違反したとき、又は覚せい剤研究者について第三条第一項(指定の要件)第三号に掲げる資格がなくなつたときは、厚生大臣は覚せい剤製造業者について、都道府県知事は覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者について、それぞれその指定を取り消すことができる。
2 厚生大臣又は都道府県知事は、前項に規定する処分をしようとするときは、その期日の二週間前までに、処分の理由並びに聴問の期日及び場所を当該処分を受ける覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者又は覚せい剤研究者に通知し、且つ、その者又はその代理人の出頭を求めて聴問を行わなければならない。
3 聴問においては、当該処分を受ける者又はその代理人は、自己又は本人のために釈明をし、且つ、有利な証拠を提出することができる。
4 厚生大臣又は都道府県知事は、当該処分を受ける者又はその代理人が正当な理由がなくて聴問に応じなかつたときは、聴問を行わないで第一項に規定する処分をすることができる。

 (業務の廃止等の届出)

第九条 覚せい剤製造業者は、左の各号の一に該当する場合にはその事由の生じた日から十五日以内に、その製造所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に指定証を添えてその旨を届け出なければならない。
 一 その製造所における覚せい剤製造の業務を廃止したとき。
 二 薬事法第二十六条第二項(登録の有効期間)の規定により医薬品製造業の登録の有効期間が満了してその更新を受けなかつたとき。
 三 薬事法第四十六条第三項(登録の取消及び業務の停止)の規定により医薬品製造業の登録を取り消されたとき。
2 覚せい剤施用機関の開設者は、左の各号の一に該当する場合にはその事由の生じた日から十五日以内に、その病院又は診療所の所在地の都道府県知事に指定証を添えてその旨を届け出なければならない。
 一 覚せい剤施用機関である病院又は診療所を廃止したとき。
 二 覚せい剤施用機関である病院又は診療所において第三条第二項(指定の基準)の規定による指定基準に定める診療科名の診療を廃止したとき。
 三 医療法第二十九条(開設許可の取消及び閉鎖命令)の規定により、覚せい剤施用機関たる病院又は診療所の開設の許可を取り消されたとき。
3 覚せい剤研究者は、当該研究所における覚せい剤の使用を必要とする研究を廃止したときは廃止の日から十五日以内に、その研究所の所在地の都道府県知事に指定証を添えてその旨を届け出なければならない。
4 前三項の規定による届出は、覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者又は覚せい剤研究者が、死亡した場合にはその相続人が、解散した場合にはその清算人又は合併後存続し若しくは合併により設立された法人がしなければならない。

 (指定証の返納及び提出)

第十条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者の指定が効力を失つたときは、前条に規定する場合を除いて、指定が効力を失つた日から十五日以内に、覚せい剤製造業者であつた者はその製造所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に、覚せい剤施用機関の開設者であつた者又は覚せい剤研究者であつた者はその病院若しくは診療所又は研究所の所在地の都道府県知事にそれぞれ指定証を返納しなければならない。
2 覚せい剤製造業者が薬事法第四十六条第三項(登録の取消及び業務の停止)の規定による業務停止の処分を受けたとき、又は覚せい剤施用機関の開設者が医療法第二十九条(開設許可の取消及び閉鎖命令)の規定による閉鎖命令の処分を受けたときは、その処分を受けた日から十五日以内に、覚せい剤製造業者はその製造所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に、覚せい剤施用機関の開設者はその病院又は診療所の所在地の都道府県知事にそれぞれ指定証を提出しなければならない。
3 前項の場合においては、厚生大臣又は都道府県知事は、指定証に処分の要旨を記載し、業務停止期間又は閉鎖期間の満了後すみやかに、覚せい剤製造業者又は覚せい剤施用機関の開設者に指定証を返還しなければならない。

 (指定証の再交付)

第十一条 指定証をき損し、又は亡失したときは、覚せい剤製造業者はその製造所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に、覚せい剤施用機関の開設者又は覚せい剤研究者はその病院若しくは診療所又は研究所の所在地の都道府県知事に指定証の再交付を申請することができる。
2 再交付を申請した後亡失した指定証を発見したときは十五日以内に、覚せい剤製造業者はその製造所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に、覚せい剤施用機関の開設者又は覚せい剤研究者はその病院若しくは診療所又は研究所の所在地の都道府県知事にそれぞれ旧指定証を返納しなければならない。

 (氏名又は住所等の変更届)

第十二条 覚せい剤製造業者は、その氏名(法人にあつてはその名称)若しくは住所又は製造所の名称を変更したときは十五日以内に、その製造所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に指定証を添えてその旨を届け出なければならない。
2 覚せい剤施用機関の開設者は、その覚せい剤施用機関の名称を変更したときは十五日以内に、その病院又は診療所の所在地の都道府県知事に指定証を添えてその旨を届け出なければならない。
3 覚せい剤研究者は、その氏名若しくは住所を変更し、又は研究所の名称の変更があつたときは十五日以内に、その研究所の所在地の都道府県知事に指定証を添えてその旨を届け出なければならない。
4 前三項の場合においては、厚生大臣又は都道府県知事は、すみやかに指定証を訂正して返還しなければならない。

   第三章 禁止及び制限

 (輸入の禁止)

第十三条 何人も、覚せい剤を輸入してはならない。

 (所持の禁止)

第十四条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者及び管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師、覚せい剤研究者並びに覚せい剤施用機関において診療に従事する医師から施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚せい剤を所持してはならない。
2 左の各号の一に該当する場合には、前項の規定は適用しない。
 一 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者の業務上の補助者がその業務のために覚せい剤を所持する場合
 二 覚せい剤製造業者が覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者に覚せい剤を譲り渡す場合において、郵便又は物の運送の業務に従事する者がその業務を行う必要上覚せい剤を所持する場合
 三 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師から施用のため交付を受ける者の看護に当る者がその者のために覚せい剤を所持する場合
 四 法令に基いてする行為につき覚せい剤を所持する場合

 (製造の禁止及び制限)

第十五条 覚せい剤製造業者がその業務の目的のために製造する場合の外は、何人も、覚せい剤を製造してはならない。
2 厚生大臣は、毎年一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの期間ごとに、各覚せい剤製造業者の製造数量を定めることができる。
3 覚せい剤製造業者は、前項の規定により厚生大臣が定めた数量をこえて、覚せい剤を製造してはならない。

 (覚せい剤施用機関の管理者)

第十六条 覚せい剤施用機関において施用する覚せい剤の譲受に関する事務及び覚せい剤施用機関において譲り受けた覚せい剤の管理は、当該施用機関の管理者がしなければならない。
2 覚せい剤施用機関の開設者は、当該施用機関の管理者に覚せい剤の譲受に関する事務及び譲り受けた覚せい剤の管理をさせなければならない。

 (譲渡及び譲受の制限及び禁止)

第十七条 覚せい剤製造業者は、その製造した覚せい剤を覚せい剤施用機関及び覚せい剤研究者以外の者に譲り渡してはならない。
2 覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者は、覚せい剤製造業者以外の者から覚せい剤を譲り受けてはならない。
3 前二項の場合及び覚せい剤施用機関において診療に従事する医師が覚せい剤を施用のため交付する場合の外は、何人も、覚せい剤を譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
4 法令による職務の執行につき覚せい剤を譲り渡し、又は譲り受ける場合には、前項の規定は適用しない。

 (譲渡証及び譲受証)

第十八条 覚せい剤を譲り渡し、又は譲り受ける場合(覚せい剤施用機関において診療に従事する医師が覚せい剤を施用のため交付する場合を除く。)には、譲渡人は都道府県の発行する譲渡証の用紙に譲受人は都道府県の発行する譲受証の用紙に、それぞれ必要な事項を記載し、且つ、印をおして相手方に交付しなければならない。
2 前項の規定により譲渡証又は譲受証の交付を受けた者は、譲受又は譲渡の日から二年間、これを保存しなければならない。
3 譲渡証及び譲受証は、第一項の規定による場合の外は、他人に譲り渡してはならない。

 (使用の禁止)

第十九条 左の各号に掲げる場合の外は、何人も、覚せい剤を使用してはならない。
 一 覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合
 二 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師が施用する場合
 三 覚せい剤研究者が研究のため使用する場合
 四 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師から施用のため交付を受けた者が施用する場合
 五 法令に基いてする行為につき使用する場合

 (施用の制限)

第二十条 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師は、その診療に従事している覚せい剤施用機関の管理者の管理する覚せい剤でなければ、施用し、又は施用のため交付してはならない。
2 前項の医師は、他人の診療以外の目的に覚せい剤を施用し、又は施用のため交付してはならない。
3 第一項の医師は、覚せい剤の中毒者に対し、その中毒を緩和し又は治療するために覚せい剤を施用し、又は施用のため交付してはならない。
4 第一項の医師が覚せい剤を施用のため交付する場合においては、交付を受ける者の住所、氏名、年齢、施用方法及び施用期間を記載した書面に当該医師の署名をして、これを同時に交付しなければならない。
5 覚せい剤研究者は、研究のため他人に対して覚せい剤を施用してはならない。

   第四章 取扱

 (証紙による封入)

第二十一条 覚せい剤製造業者は、その製造した覚せい剤を厚生省令の定めるところにより、容器に納め、且つ、政府発行の証紙で封を施さなければならない。
2 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関及び覚せい剤研究者は、前項の規定により封を施した覚せい剤でなければ、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
3 法令による職務の執行につき覚せい剤を譲り渡し、又は譲り受ける場合には、前項の規定は適用しない。

 (保管方法)

第二十二条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の管理者又は覚せい剤研究者は、その所有し又は管理する覚せい剤をその製造所、病院若しくは診療所又は研究所内の鍵をかけた堅固な場所に保管しなければならない。

 (事故の届出)

第二十三条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の管理者又は覚せい剤研究者は、その所有し又は管理する覚せい剤を喪失し、盗み取られ、又はその所在が不明となつたときは、すみやかにその覚せい剤の品名及び数量その他事故の状況を明らかにするため必要な事項を、覚せい剤製造業者にあつてはその所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に、覚せい剤施用機関の管理者又は覚せい剤研究者にあつてはその病院若しくは診療所又は研究所の所在地の都道府県知事にそれぞれ届け出なければならない。

 (指定の失効の場合の措置義務)

第二十四条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者の指定が効力を失つたときは(次条に規定する指定の申請をした場合にはその申請に対する拒否の処分があつたときとする。)指定が効力を失つた日(次条に規定する指定の申請をした場合にはその申請に対する拒否の処分があつた日とする。以下本条において同じ。)から十五日以内に、覚せい剤製造業者であつた者はその製造所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に、覚せい剤施用機関の開設者であつた者又は覚せい剤研究者であつた者はその病院若しくは診療所又は研究所の所在地の都道府県知事にそれぞれ指定が効力を失つた際その者が所有していた覚せい剤の品名及び数量を報告しなければならない。
2 前項の場合において、覚せい剤製造業者であつた者、覚せい剤施用機関の開設者であつた者又は覚せい剤研究者であつた者は、指定が効力を失つた日から三十日以内に、その所有する覚せい剤を覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者であるものに譲り渡し、且つ、譲り渡した覚せい剤の品名及び数量並びに譲受人の氏名(法人にあつてはその名称)及び住所を覚せい剤製造業者についてはその製造所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者についてはその病院若しくは診療所又は研究所の所在地の都道府県知事にそれぞれ報告しなければならない。
3 前項の期限内に当該覚せい剤を譲り渡すことができなかつた場合には、覚せい剤製造業者であつた者、覚せい剤施用機関の開設者であつた者又は覚せい剤研究者であつた者は、すみやかに当該職員の立会を求めその指示を受けて当該覚せい剤を処分しなければならない。
4 第一項の規定による報告、第二項の規定による譲渡及び報告並びに前項の規定による処分は、覚せい剤製造業者であつた者、覚せい剤施用機関の開設者であつた者又は覚せい剤研究者であつた者が、死亡した場合にはその相続人が、解散した場合にはその清算人又は合併後存続し若しくは合併により設立された法人がしなければならない。
5 前三項の場合においては、覚せい剤製造業者であつた者、覚せい剤施用機関の開設者であつた者、覚せい剤研究者であつた者及びこれらの者の相続人、清算人又は合併後存続し若しくは合併により設立された法人については、指定が効力を失つた日から同項の規定による譲渡又は処分をするまでの間は、第十四条第一項(所持の禁止)の規定は適用せず、又、これらの者の業務上の補助者については同条第二項(所持禁止の例外)第一号の規定を、郵便又は物の運送の業務に従事する者については同項第二号の規定を準用する。
6 第二項及び第四項の場合には、第十七条(譲渡及び譲受の制限及び禁止)及び第二十一条第二項(証紙による封を施さない覚せい剤の譲渡及び譲受の禁止)の規定は適用しない。

 (再指定の場合の特例)

第二十五条 覚せい剤製造業者であつた者、覚せい剤施用機関の開設者であつた者又は覚せい剤研究者であつた者が第六条(指定の有効期間)に規定する指定の有効期間の満了前に、又は指定の有効期間の満了後三十日以内に、更に覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者であることの指定の申請をした場合には、その申請に対する厚生大臣又は都道府県知事の許否の処分があるまでは、それらの者及び当該覚せい剤施用機関の管理者であつた者については第十四条第一項(所持の禁止)及び前条の規定は適用しない。

 (違法の覚せい剤の処分)

第二十六条 厚生大臣又は都道府県知事は、この法律の規定に違反して輸入され、所持され、製造され、譲り渡され、譲り受けられ、又は施用のため交付された覚せい剤について、この法律の目的を達成するため必要な処分をすることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する処分をしたときは、厚生大臣にその処分の結果を報告しなければならない。

 (国庫に帰属した覚せい剤の処分)

第二十七条 厚生大臣は、法令の規定により国庫に帰属した覚せい剤について、大蔵大臣と協議の上、この法律の目的を達成するため必要な処分をすることができる。

   第五章 業務に関する記録及び報告

 (帳簿)

第二十八条 覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の管理者及び覚せい剤研究者は、それぞれその製造所、病院若しくは診療所又は研究所ごとに帳簿を備え、左に掲げる事項を記入しなければならない。
 一 製造し、譲り渡し、譲り受け、施用し、施用のため交付し、又は研究のため使用した覚せい剤の品名及び数量並びにその年月日
 二 譲渡又は譲受の相手方の氏名(法人にあつてはその名称)及び住所並びに製造所、覚せい剤施用機関又は研究所の名称及び所在場所
 三 第二十三条(事故の届出)の規定により届出をした覚せい剤の品名及び数量
2 前項に規定する者は、同項の帳簿を最終の記入をした日から二年間保存しなければならない。

 (覚せい剤製造業者の報告)

第二十九条 覚せい剤製造業者は、左に掲げる事項を翌月十日までに、その製造所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に報告しなければならない。
 一 月初に所有した覚せい剤の品名及び数量
 二 その月中に製造した覚せい剤の品名及び数量
 三 その月中に譲り渡した覚せい剤の品名及び数量
 四 月末に所有した覚せい剤の品名及び数量

 (覚せい剤施用機関の管理者及び覚せい剤研究者の報告)

第三十条 覚せい剤施用機関の管理者又は覚せい剤研究者は、毎年十二月十五日までに、その指定を受けた日(指定を受けた年の翌年にあつては前年の十二月一日)からその年の十一月三十日までに譲り受け、施用し、施用のため交付し、又は研究のため使用した覚せい剤の品名及び数量をその病院若しくは診療所又は研究所の所在地の都道府県知事に報告しなければならない。

   第六章 監督

 (報告の徴収)

第三十一条 厚生大臣又は都道府県知事は、覚せい剤の取締上必要があるときは、覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者若しくは管理者又は覚せい剤研究者について必要な報告を徴することができる。

 (立入検査、収去及び質問)

第三十二条 厚生大臣又は都道府県知事は、覚せい剤の取締上必要があるときは、当該職員をして覚せい剤製造業者の製造所、覚せい剤施用機関である病院若しくは診療所又は覚せい剤研究者の研究所に立ち入らせ、帳簿その他の物件を検査させ、覚せい剤若しくは覚せい剤であることの疑のある物を試験のため必要な最小分量に限り収去し、又は覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者若しくは管理者、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師、覚せい剤研究者その他の関係者について質問をさせることができる。
2 前項の規定は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 (薬事監視員の権限)

第三十三条 第二十四条第三項(指定失効の際に所有していた覚せい剤の処分)及び前条第一項に規定する当該職員の職権は、薬事法第五十条(薬事監視員の設置)に規定する薬事監視員が行う。
2 薬事監視員は、第二十四条第三項の規定による覚せい剤の処分に立ち会う場合又は前条第一項の規定により立ち入り、検査し、収去し、若しくは質問する場合には、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。

 (都道府県知事の意見具申)

第三十四条 都道府県知事は、覚せい剤製造業者について第八条第一項(指定の取消)に規定する処分を必要と認めるときは、その旨を厚生大臣に具申しなければならない。

   第七章 雑則

 (国又は都道府県の開設する覚せい剤施用機関の指定手続)

第三十五条 厚生大臣は、国の開設する病院又は診療所について、第三条第一項(指定の要件)中指定権者に関する部分の規定及び第四条第二項(指定の申請手続)の規定にかかわらず、主務大臣と協議の上覚せい剤施用機関の指定を行うことができる。
2 都道府県知事は、都道府県の開設する病院又は診療所について、第四条第二項の規定にかかわらず、覚せい剤施用機関の指定を行うことができる。

 (国又は地方公共団体の開設する覚せい剤施用機関における届出等の義務者の変更)

第三十六条 国又は地方公共団体の開設する覚せい剤施用機関については左の各号に掲げる届出、指定証の返納及び報告は、当該施用機関の管理者(管理者がない場合には開設者の指定する職員)が、国の開設する覚せい剤施用機関にあつてはその病院又は診療所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に、地方公共団体の開設する覚せい剤施用機関にあつてはその病院又は診療所の所在地の都道府県知事に対してしなければならない。
 一 第九条第二項(診療廃止等の届出)の規定による届出
 二 第十条第一項(指定失効の場合における指定証の返納)の規定による指定証の返納
 三 第十一条第二項(再交付申請後発見した旧指定証の返納)の規定による旧指定証の返納
 四 第十二条第二項(名称変更の届出)の規定による届出
 五 第二十四条第一項(指定失効の際に所有していた覚せい剤の品名及び数量の報告)及び第二項(指定失効の際に所有していた覚せい剤の譲渡及びその報告)の規定による報告
2 国又は地方公共団体の開設する覚せい剤施用機関については、第二十四条第二項(指定失効の際に所有していた覚せい剤の譲渡及びその報告)又は第三項(指定失効の際に所有していた覚せい剤の処分)の規定による覚せい剤の譲渡又は処分は、当該施用機関の管理者(管理者がない場合には開設者の指定する職員)がしなければならない。
3 前項の場合には、第二十四条第五項(所持禁止の例外)及び第六項(譲渡及び譲受の制限及び禁止の例外)の規定を準用する。

 (国の開設する覚せい剤施用機関の特例の委任)

第三十七条 この法律に定めるものの外、国の開設する覚せい剤施用機関にこの法律の規定を適用するについて必要な特例は、厚生省令で定める。

 (手数料)

第三十八条 左の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める額の手数料を納めなければならない。
 一 覚せい剤製造業者の指定の申請をする者   千円
 二 覚せい剤施用機関の指定の申請をする者  五百円
 三 覚せい剤研究者の指定の申請をする者   三百円
 四 指定証の再交付の申請をする者       百円
2 前項第一号の手数料及び第四号中覚せい剤製造業者の指定証の再交付を申請する者の手数料については、その半額を国庫の収入とし、その残額を都道府県の収入とし、その他の手数料については、全額を都道府県の収入とする。

 (譲渡証、譲受証及び証紙の代価)

第三十九条 第十八条(譲渡証及び譲受証)に規定する譲渡証又は譲受証の用紙を必要とする者は、代価として一枚につき二円を都道府県に、第二十一条第一項(製造した覚せい剤の証紙による封入)に規定する証紙を必要とする者は、代価として一枚につき二十銭を国庫にそれぞれ支払わなければならない。

 (経由庁がある場合の期限の特例)

第四十条 この法律の規定により都道府県知事を経て厚生大臣に対してする届出、指定証の返納若しくは提出又は報告については、当該規定に定める期限内に都道府県知事に対して届出書、指定証又は報告書が提出されたときは、それらの行為は所定の期限内になされたものとする。

   第八章 罰則

 (刑罰)

第四十一条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
 一 第十三条(輸入の禁止)の規定に違反した者
 二 第十四条第一項(所持の禁止)の規定に違反した者
 三 第十五条第一項(製造の禁止)又は第三項(製造の制限)の規定に違反した者
 四 第十七条第一項から第三項まで(譲渡及び譲受の制限及び禁止)の規定に違反した者
 五 第十九条(使用の禁止)の規定に違反した者
 六 第二十条第一項から第三項まで(覚せい剤施用機関において診療に従事する医師についての施用の制限)又は第五項(覚せい剤研究者についての施用の制限)の規定に違反した者
2 第一項の刑は、情状により併科することができる。
3 第一項第一号及び第三号から第六号までの未遂罪は、これを罰する。

第四十二条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
 一 第五条第三項(指定証の譲渡及び貸与の禁止)の規定に違反した者
 二 第十六条(覚せい剤施用機関の管理者)の規定に違反した者
 三 第十八条第一項(譲渡証及び譲受証の交付)の規定に違反して譲渡証又は譲受証を交付せず、又はそれに虚偽の記載をした者
 四 第十八条第三項(譲渡証及び譲受証の譲渡の禁止)の規定に違反した者
 五 第二十一条第一項(証紙による封入)又は第二項(証紙による封を施さない覚せい剤の譲渡及び譲受の禁止)の規定に違反した者
 六 第二十二条(保管方法)の規定に違反した者
 七 第二十三条(事故の届出)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 八 第二十四条第一項(指定失効の際に所有していた覚せい剤の品名及び数量の報告)、第二項(指定失効の際に所有していた覚せい剤の譲渡及びその報告)若しくは第四項(死亡又は解散の場合における報告義務の転移)の規定又は同条第一項及び第二項に関する第三十六条第一項(国又は地方公共団体の開設する覚せい剤施用機関における届出等の義務者の変更)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
 九 第二十四条第三項(指定失効の際に所有していた覚せい剤の処分)の規定に違反して覚せい剤を処分した者
 十 第二十八条第一項(帳簿の備付及び記入)の規定による帳簿の備付をせず、又は帳簿の記入をせず、若しくは虚偽の記入をした者
 十一 第二十九条(覚せい剤製造業者の報告)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
 十二 第三十条(覚せい剤施用機関の管理者及び覚せい剤研究者の報告)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
2 前項の刑は、情状により併科することができる。

 (行政罰)

第四十三条 左の各号の一に該当する者(法人であるときはその代表者)は、一万円以下の過料に処する。
 一 第九条(業務の停止等の届出)又は同条第二項に関する第三十六条第一項(国又は地方公共団体の開設する覚せい剤施用機関における届出等の義務者の変更)の規定に違反した者
 二 第十条第一項(指定証の返納)若しくは第二項(指定証の提出)又は同条第一項に関する第三十六条第一項の規定に違反した者
 三 第十一条第二項(旧指定証の返納)又は同条同項に関する第三十六条第一項の規定に違反した者
 四 第十二条(氏名又は住所等の変更届)又は同条第二項に関する第三十六条第一項の規定に違反した者
 五 第十八条第二項(譲渡証及び譲受証の保存)の規定に違反した者
 六 第二十条第四項(施用のための交付の手続)の規定に違反した者
 七 第二十八条第二項(帳簿の保存)の規定に違反した者
 八 第三十一条(報告の徴取)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
 九 第三十二条第一項(立入検査、収去及び質問)の規定による立入検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

 (管理者の処罰)

第四十四条 覚せい剤施用機関(開設者が国又は地方公共団体であるものを徐く。)について、第十七条第二項(覚せい剤製造業者以外の者からの譲受の禁止)の規定に違反する行為(未遂の場合を含む。)、第十八条第一項(譲渡証及び譲受証の交付)若しくは第三項(譲渡証及び譲受証の譲渡の禁止)の規定に違反する行為又は第二十一条第二項(証紙による封を施さない覚せい剤の譲渡及び譲受の禁止)の規定に違反する行為があつたときは、当該施用機関の開設者を罰するの外、その管理者に対しても第四十一条又は第四十二条の刑を科する。但し、当該管理者がその違反行為を知らなかつたときは、この限りでない。
2 国又は地方公共団体の開設する覚せい剤施用機関について第五条第三項(指定証の譲渡及び貸与の禁止)、第十八条(譲渡証及び譲受証の交付、保存及び譲渡禁止)又は第二十一条第二項(証紙による封を施さない覚せい剤の譲渡及び譲受の禁止)の規定に違反する行為があつたときは、当該施用機関の管理者に対して第四十二条の刑又は前条の過料を科する。

 (両罰規定)

第四十五条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して第四十一条及び第四十二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため、その業務について相当の注意及び監督が尽されたことの証明があつたときは、その法人又は人については、この限りでない。

   附 則

 (施行期日)

1 この法律は、公布の日から起算して三十日を経過した日から、施行する。

 (覚せい剤所有の届出)

2 この法律施行の際現に覚せい剤を所有している者は、この法律施行後十五日以内に、その氏名(法人にあつてはその名称)、住所及び職業並びに所有している覚せい剤の品名及び数量を住所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に届け出なければならない。

 (経過的譲渡措置)

3 前項の届出をした者(この法律の規定により指定を受けた覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関の開設者及び覚せい剤研究者を除く。)は、この法律施行の日から三十日間は、その所有する覚せい剤をこの法律の規定により指定を受けた覚せい剤製造業者、覚せい剤施用機関又は覚せい剤研究者に譲り渡すことができる。

4 前項の規定により覚せい剤の譲渡及び譲受がなされた場合には、譲渡人及び譲受人の氏名(法人にあつてはその名称)、住所並びにその覚せい剤の品名及び数量を譲渡人及び譲受人連署の上、譲受人の製造所、病院若しくは診療所又は研究所の所在地の都道府県知事を経て厚生大臣に報告しなければならない。

5 第二項に規定する者については、この法律施行の日から同項の規定による届出をするまでの間は、第十四条第一項(所特の禁止)の規定は適用しない。

6 第二項の規定による届出をした者については、第三項の規定による譲渡をするまでの間は、第十四条第一項(所持の禁止)の規定は適用しない。

7 前二項の場合には、前二項に規定する者の業務上の補助者については第十四条第二項(所持禁止の例外)第一号の規定を、郵便又は物の運送の業務に従事する者については同項第二号の規定を準用する。

8 第三項の規定による譲渡については、第十七条(譲渡又は譲受の制限及び禁止)、第十八条(譲渡証及び譲受証)及び第二十一条第二項(証紙による封を施さない覚せい剤の譲渡及び譲受の禁止)の規定は適用しない。

9 覚せい剤製造業者の指定を受けた者がこの法律施行後初めて指定を受けた時に所有していた覚せい剤又は第三項の規定により譲り受けた覚せい剤は、この法律の規定によりその製造業者が製造したものとみなす。

 (薬事法の一部改正)

10 薬事法の一部を次のように改正する。
  第四十六条第三項を次のように改める。
 3 厚生大臣は医薬品、用具又は化粧品の製造業者又は輸入販売業者について、都道府県知事は薬局開設者又は医薬品の販売業者について、この法律その他薬事に関する法律又はこれらの法律に基く省令若しくは処分に違反する行為があつたときは、その登録を取り消し、又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 (厚生省設置法の一部改正)

11 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。
  第五条第四十八号の次に次の一号を加える。
  四十八の二 覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)の規定に基き覚せい剤製造業者及び国の開設する覚せい剤施用機関の指定を行い、並びにその指定を取り消すこと。
  第十一条中第七号を第八号とし、以下順次一号ずつ操り下げ、第六号の次に次の一号を加える。
  七 覚せい剤の取締及び処分を行うこと。

(厚生・内閣総理大臣署名) 

   「衆議院ホームページ」より

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年中行事「夏越祓(なごしのはらえ)」の日です詳細
1892年(明治25)作曲家弘田龍太郎の誕生日詳細
1909年(明治42)京成電気軌道(現在の京成電鉄)が創立される詳細
1944年(昭和19)東条英機内閣が「学童疎開促進要綱」を閣議決定する(集団疎開の日)詳細
1975年(昭和50)詩人金子光晴の命日詳細
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 今日は、江戸時代後期の1801年(享和元)に、折衷学派の儒者細井平洲が亡くなった日ですが、新暦では8月8日となります。
 細井平洲(ほそい へいしゅう)は、江戸時代中期の1728年(享保13年6月28日)に、尾張国知多郡平島村(現在の愛知県東海市)の豪農の次男として生まれましたが、本姓は紀。名は徳民と言いました。幼年時代から学問に励み、1735年(享保20)に加家村観音寺の義観和尚に学び、1737年(元文2)に名古屋に出て学び、1743年(寛保3)には、京都に遊学しています。
 1744年(延享元)に名古屋へ帰り、折衷学派の中西淡淵に入門し、1745年(延享2)には、長崎へ遊学し、中国語を学びましたが、母の病死にあって帰郷しました。1751年(宝暦元)に江戸へ出て、私塾を開き、1753年(宝暦3)には、伊予西条藩主の師となり、私塾の名を嚶鳴館とします。
 1764年(明和元)に米沢藩の次期藩主・上杉治憲(1767年に第9代藩主)の師となり、1770年(明和7)に高山彦九郎が、平洲に入門、1771年(明和8)には、米沢へ行って講義をし、藩政改革や文教に与り、1776年(安永5)の米沢藩校興譲館の創設に尽力しました。1781年(天明元)に尾張藩主・徳川宗睦に講義をし、1783年(天明3)には、尾張藩校・明倫堂の初代督学(今の校長)となり、藩内の地域を回って講話をし、庶民教化にも努めています。
 1786年(天明6)に人吉藩の藩校が、平洲の指導で設立されましたが、1792年(寛政4)には、明倫堂の督学を辞任しました。1796年(寛政8)には、米沢に行き、上杉治憲と普門院で久し振りの歓談をしたものの、1801年(享和元年6月29日)に、江戸の尾張藩藩邸において、74歳で亡くなり、浅草・天嶽院に埋葬されています。

〇細井平洲の主要な著作

・『詩経古伝』10巻(1759年)
・『嚶鳴館詩集』(1764年)
・『つらつらふみ』(1802年)
・『嚶鳴館遺稿』(1809年)
・『嚶鳴館遺草』(1835年)

☆細井平洲関係略年表(日付は旧暦です)

・1728年(享保13年6月28日) 尾張国知多郡平島村(現在の愛知県東海市)の豪農の次男として生まれる
・1735年(享保20年) 加家村観音寺の義観和尚に学ぶ
・1737年(元文2年) 名古屋に出て学ぶ
・1743年(寛保3年) 京都に遊学する
・1744年(延享元年) 名古屋へ帰り、中西淡淵に入門する
・1745年(延享2年) 長崎へ遊学し、中国語を学ぶ
・1751年(宝暦元年) 江戸へ出て、私塾を開く
・1753年(宝暦3年) 伊予西条藩主の師となり、私塾を嚶鳴館とする
・1764年(明和元年) 米沢藩の次期藩主・上杉治憲の師となる
・1767年(明和4年) 上杉治憲が第9代藩主となる
・1770年(明和7年) 高山彦九郎、平洲に入門する
・1771年(明和8年) 米沢へ行き、講義をする
・1776年(安永5年) 米沢藩校興譲館の創設に尽力する
・1781年(天明元年) 尾張藩主・徳川宗睦に講義をし、八柱神社(東海市荒尾町・市指定文化財)に、灯籠を寄進する
・1783年(天明3年) 尾張藩校・明倫堂の初代督学(今の校長)となり、藩内の地域を回って講話をする
・1786年(天明6年) 人吉藩の藩校が、平洲の指導で設立される
・1792年(寛政4年) 明倫堂の督学を辞任する
・1796年(寛政8年) 米沢に行き、上杉治憲が米沢郊外の関根まで出迎え、普門院で久し振りの歓談をする
・1801年(享和元年6月29日) 江戸の尾張藩藩邸において、74歳で亡くなり、浅草・天嶽院に埋葬される
・1807年(文化4年) 神明社境内に、「平洲先生旧里碑」を建立する
・1809年(文化6年) 上杉治憲が「嚶鳴館遺稿」を刊行する
・1835年(天保6年) 「嚶鳴館遺草」が刊行される
・1913年(大正2年) 従四位を追贈される

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1903年(明治36)作曲家瀧廉太郎の命日(廉太郎忌)詳細
1928年(昭和3)「治安維持法」改正で、緊急勅令「治安維持法中改正ノ件」が公布・施行され、最高刑を死刑とする詳細
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1945年(昭和20)岡山空襲で岡山城が焼失する(家屋12,693棟被災、死者が1,737人)詳細
1946年(昭和21)GHQから「地理授業再開に関する覚書」(SCAPIN-1046)が指令される詳細
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 今日は、大正時代の1914年(大正3)に、オーストリア領のサラエボ(現在のボスニア・ヘルツェゴビナの首都)で、オーストリア皇太子夫妻がセルビア人の青年に暗殺され(サラエボ事件)、第一次世界大戦の契機となった日です。
 第一次世界大戦(だいいちじせかいたいせん)は、三国同盟(ドイツ・オーストリア・イタリア)と三国協商(イギリス・フランス・ロシア)との帝国主義的対立や民族的対立などを背景として、ヨーロッパを中心に起こった最初の世界的規模の戦争です。1914年(大正3)6月28日、オーストリア領のサラエボ(現在のボスニア・ヘルツェゴビナの首都)で、オーストリア皇太子フランツ・フェルディナント大公夫妻がセルビア人の青年に暗殺されたサラエボ事件を発端として開戦しました。
 同盟側にはトルコ・ブルガリアなど、協商側には同盟を脱退したイタリアのほかベルギー・日本・アメリカ・中国など30を超える国や地域が連鎖的に参戦します。1918年(大正7)11月にドイツ降伏で同盟国側が敗北するまで、4年余りにわたってヨーロッパ戦場を中心に激戦が続きました。
 国家総力戦となり戦車や飛行機、毒ガスなど多くの近代兵器が使用され、犠牲者は兵士だけで約900万人にも及んだと言われています。日本は、1914年(大正3)に、「日英同盟」を理由にドイツに宣戦布告し、同年10月3日から14日にかけて、日本は南洋に艦隊を派遣し、ドイツ領南洋諸島(マリアナ諸島、カロリン諸島、マーシャル諸島)を占領しました。
 また、10月31日から日本とイギリスの連合軍は、ドイツ東洋艦隊の根拠地だった中華民国山東省の租借地である青島と膠州湾の要塞を攻撃(青島の戦い)します。11月7日には青島を占領し、ここに東アジアでの戦闘は終了したものの、日本は戦死者415人、戦傷者907人を出しました。
 その後、1919年(大正9)のパリ講和会議で「ベルサイユ条約」が成立しましたが、日本は、ドイツの山東省権益と赤道以北の南洋諸島を委任統治領を得ることとなります。

〇第一次世界大戦関係略年表

<1914年(大正3年)> 
・6月28日 オーストリアの皇位継承者フランツ・フェルディナント夫妻、セルビアで組織された暗殺団に属するプリンチップによってサライエボで暗殺される(サライエボ事件)
・7月28日 オーストリア・ハンガリー帝国(以下オーストリアと略記)、セルビアに宣戦布告する
・7月30日 ロシア、総動員令を発令する
・8月1日 ドイツ、ロシアに宣戦布告する
・8月2日 ドイツ、ベルギーに対し領土通過を要求、ベルギーが拒否。ドイツ・オスマン帝国間に秘密同盟条約調印する
・8月3日 ドイツ軍、シュリーフェン・プランに従ってベルギーに進攻。ドイツ、フランスに宣戦布告する
・8月4日 イギリス、ドイツのベルギー中立侵犯を理由としてドイツに宣戦布告する
・8月5日 オーストリア、ロシアに宣戦布告。ドイツ軍、ベルギーのリエージュ要塞を攻撃する
・8月6日 セルビア、ドイツに宣戦布告する
・8月7日 日本の参戦を決定する閣議で外相加藤高明の主戦論大勢を制する(~8月8日)
・8月10日 フランス、オーストリアに宣戦布告する
・8月11日 イギリス、オーストリアに宣戦布告する
・8月15日 日本、ドイツに、ドイツ軍艦の東アジア撤退と膠州湾のドイツ租借地の引き渡しを求める最後通牒を交付する
・8月23日 日本、ドイツに宣戦布告する
・8月26日~8月31日 ドイツ軍、タンネンベルクの戦いでロシア軍を敗走させる
・9月3日 フランス政府、パリからボルドーに移る
・9月5日 イギリス・フランス・ロシア3国、ロンドン宣言を発表する
・9月6日 マルヌ川付近でフランス軍が反撃を開始し、マルヌの戦い始まる(~9月12日)
・9月11日 ドイツのフランス進攻軍右翼、エーヌ川の線まで後退を開始し、西部戦線の膠着化決定的となる
・9月14日 ファルケンハイン、小モルトケにかわってドイツ陸軍参謀総長に就任する
・9月19日 イギリス軍、ドイツ領南西アフリカに上陸する
・10月14日 日本海軍、赤道以北のドイツ領南洋諸島を占領する
・10月29日 ドイツ巡洋戦艦に率いられたオスマン帝国海軍、ロシアのオデッサ(現、ウクライナのオデーサ)、セバストポリを砲撃する
・11月1日 ロシア、オスマン帝国に宣戦布告する
・11月3日 イギリスおよびフランス、オスマン帝国に宣戦布告する
・11月7日 日本軍、膠州湾岸の青島を占領する
・11月22日 イギリス軍、ペルシア湾岸のバスラを攻略する
・12月8日 イギリス・ドイツ海軍、アルゼンチン沖のフォークランド諸島付近で戦い、ドイツが大敗する

<1915年(大正4年)>
・1月18日 日本政府、中国政府(大総統袁世凱政権)に「対華二十一か条要求」を提出する
・3月18日 イギリス・フランス艦隊、ダーダネルス海峡を猛砲撃する
・4月22日 イーペル(ベルギー)の戦い(~5月25日)でドイツ軍史上初めて毒ガスを使用する
・4月25日 イギリス軍、ダーダネルス海峡のゲリボル半島に上陸する
・4月26日 ロンドン密約調印され、協商国(三国協商)側がイタリアに参戦の代償として南チロールなどを提供することを約束する
・5月3日 イタリア、三国同盟条約を破棄する
・5月7日 イギリス商船ルシタニア号、ドイツ潜水艦に撃沈され、128名のアメリカ人乗客死亡(ルシタニア号事件)。日本政府、「対華二十一か条要求」のうち「希望条項」としての7か条を削除した残りの要求の受諾を迫って、中国政府に最後通牒を交付する
・5月9日 中国政府、日本の最後通牒を受諾する
・5月23日 イタリア、オーストリアに宣戦布告する
・8月10日 外相加藤高明、元老山県有朋の圧力によって辞職、後任は駐仏大使石井菊次郎となる
・8月17日 イギリス商船アラビック号、ドイツ潜水艦に撃沈され、2名のアメリカ人乗客が死亡する
・9月5日 スイスのツィンメルワルトで国際社会主義者会議(~9月8日)が行われる
・9月18日 ドイツ政府、アメリカ政府の抗議を受けて潜水艦作戦の自制を決定(アラビック誓約)する
・10月12日 ブルガリア、同盟国側で参戦する
・10月19日 日本政府、イギリス・フランス・ロシア3国のロンドン宣言に加入する
・10月24日 イギリスのエジプト駐在高等弁務官マクマホン、アラブ王国の独立を約束した「マクマホン書簡」をメッカの知事フサインに渡す(フサイン‐マクマホン協定)
・1月1日 ドイツでスパルタクス団結成。袁世凱、皇帝に即位する
・1月6日 イギリス議会で義務徴兵法成立する
・2月21日 ベルダンの戦い始まる(~7月12日)
・3月24日 フランス船サセックス号、英仏海峡でドイツ潜水艦に撃沈され、アメリカ人乗客負傷し、アメリカ・ドイツ両国の関係悪化する(サセックス号事件)
・4月24日 スイスのキーンタールで国際社会主義者会議インターナショナル開催(~4月30日)する

<1916年(大正5年)>
・5月4日 ドイツ政府、ふたたび潜水艦作戦の自制を約束し、アメリカ・ドイツ間の関係一時修復に向かう
・5月16日 サイクス‐ピコ協定、最終的に成立する
・5月31日~6月1日 ユトランド沖海戦。イギリス海軍は14隻11万トンを、ドイツ海軍は11隻6万トンを失うが、イギリスの制海権は不動
・6月24日 ソンムの戦い始まる(~11月18日)
・7月3日 第4回日露協約成立する
・8月27日 ルーマニア、オーストリアに宣戦布告する
・8月28日 イタリア、ドイツに宣戦布告する
・8月29日 ヒンデンブルクがファルケンハインにかわってドイツ陸軍参謀総長に就任する
・9月15日 イギリス軍、ソンムの戦いに史上初めて戦車を投入する
・10月9日 寺内正毅内閣成立する
・10月21日 オーストリア首相シュトルク、社会主義者フリードリヒ・アドラーに暗殺される
・11月7日 ウィルソン、アメリカ大統領に再選する
・11月21日 オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世死去し、カール1世が即位する
・12月5日 ロイド・ジョージ、アスキスにかわってイギリス首相に就任する
・12月12日 ドイツ首相ベートマン・ホルウェーク、同盟国側の講話提案を発表する

<1917年(大正6年)>
・1月22日 ウィルソン、「勝利なき平和」を提案する
・2月1日 ドイツ海軍、無制限潜水艦戦開始する
・2月3日 アメリカ、ドイツとの国交断絶する
・2月26日 アメリカ商船ラコニア号、ドイツ潜水艦に撃沈される
・3月12日 ペトログラードで労働者兵士ソビエト結成される
・3月15日 リボフを首相とするロシア臨時政府成立。ロシア皇帝ニコライ2世退位し、ロマノフ王朝滅亡(三月革命。ロシア暦では二月革命)する
・4月6日 アメリカ下院、対独宣戦を可決。アメリカ、ドイツに宣戦布告する
・4月16日 レーニン、「封印列車」で亡命先のチューリヒから帰国する
・4月17日 レーニン、「四月テーゼ」を発表する
・4月26日 ロイド・ジョージ、イギリス海軍に商船の護送(コンボイ)実施を命令する
・5月10日 ジブラルタルからイギリス本土向けの初めての護送船団出発する
・6月27日 ギリシア、同盟国側に宣戦布告する
・7月19日 ドイツ国会、平和決議案を可決する
・8月14日 中国、ドイツとオーストリアに宣戦布告する
・9月5日 スイスのツィンメルワルトで国際社会主義者会議ふたたび開催される(~9月12日)
・11月2日 バルフォア宣言。石井‐ランシング協定成立する
・11月7日 ロシアのペトログラードでボリシェビキの軍事蜂起成功(十一月革命。ロシア暦では十月革命)する
・11月8日 レーニン、「平和に関する布告」を発表する
・11月16日 クレマンソー、フランス首相に就任。親ドイツ派への弾圧を開始する
・11月26日 ソビエト政権、全ロシア軍に停戦を命令する
・12月22日 ブレスト・リトフスクで、ロシアと同盟国側との講和交渉開始する

<1918年(大正7年)>
・1月8日 ウィルソン、「十四か条」を発表する
・1月28日 フィンランドにロシアからの分離を求める内乱起こる
・2月10日 ブレスト・リトフスクでの講和交渉中断され、ソビエト代表トロツキーは戦争状態終結のみを宣言して引き揚げる
・2月18日 ドイツ軍、ロシアへの攻撃を再開する
・2月23日 ボリシェビキ党中央委員会、ドイツの新しい講和条件の受諾を正式に決定
・3月3日 ソビエト政府、ドイツ側とブレスト・リトフスクで講和条約(ブレスト・リトフスク条約)に調印する
・3月21日 ドイツ軍、「ミヒャエル作戦」によってイギリス軍に対し大攻勢を開始。第二回目のソンムの戦い始まる(~4月5日)
・4月14日 フォッシュ、連合軍最高司令官に就任する
・5月7日 ルーマニア、同盟国側に降伏し、ブカレスト講和条約に調印する
・5月26日 ロシア軍の捕虜になっていたチェコ軍団、チェリャビンスクでソビエト政府に反乱を起こす
・7月15日 マルヌ川方面でドイツ軍大攻勢(第二回目のマルヌの戦い)をかける
・7月18日 英仏の連合軍、フォッシュの作戦に従って反撃開始する
・8月2日 日本政府、シベリア出兵を宣言。英仏軍、アルハンゲリスクに上陸し、対ソ干渉戦争本格化する
・8月3日 イギリス軍、ウラジオストクに上陸する
・8月19日 アメリカ軍、ウラジオストクに上陸する
・9月12日 パーシングの率いるアメリカ第一軍、ベルダン付近で初めて単独で戦い、ドイツ軍に大勝する
・9月15日 バルカン半島での連合軍の大攻勢始まる
・9月29日 ブルガリア降伏し、サロニカで休戦条約に調印する
・10月3日 ヘアトリングにかわり、マックス・フォン・バーデンがドイツ首相に就任し、「十四か条」に基づく休戦を求める覚書をウィルソンに送る
・10月8日 ウィルソンのドイツ政府への回答、ドイツ軍の連合国領土からの撤退を求める
・10月12日 ドイツ政府、ウィルソンの要求を受諾する
・10月26日 参謀次長ルーデンドルフ罷免する
・10月30日 オスマン帝国、レムノス島沖のイギリス巡洋艦上で休戦条約に調印する
・11月3日 ドイツのキール軍港で水兵の反乱起こる。オーストリア、休戦条約に調印する
・11月9日 マックス・フォン・バーデンがドイツ皇帝ウィルヘルム2世の退位を宣言、エーベルトに政権を委譲する
・11月10日 ウィルヘルム2世、オランダへ亡命する
・11月12日 ドイツ代表エルツベルガー、コンピエーニュの森で休戦条約に調印し、第一次世界大戦終わる。オーストリア皇帝カール1世が退位する

<1919年(大正8年)>
・1月18日 パリ講和会議始まる
・6月28日 ドイツ、ベルサイユ条約に調印する
・9月10日 オーストリア、サン・ジェルマン条約に調印する
・11月27日 ブルガリア、ヌイイ条約に調印する

<1920年(大正9年)>
・1月10日 国際連盟が発足する
・6月4日 ハンガリー、トリアノン条約に調印する
・8月10日 オスマン帝国、セーブル条約に調印(1923年のローザンヌ条約で、セーブル条約は廃棄)する

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1570年(元亀元)姉川の戦いで織田信長・徳川家康連合軍が浅井・朝倉連合軍を破る(新暦7月30日)詳細
1837年(天保8)日本人漂流民を乗せた米国商船を「異国船打払令」にて砲撃したモリソン号事件が起きる(新暦7月30日)詳細
1875年(明治8)「新聞紙条例」と「讒謗律」が発布される詳細
1919年(大正8)ドイツが連合国と第一次世界大戦の講和条約「ヴェルサイユ条約」に調印する詳細
1945年(昭和20)B29・141機による佐世保大空襲が始まり、翌日にかけて、罹災戸数12,037戸、死者1,242人を出す詳細
1948年(昭和23)福井地震(M7.1)が起こり、死者3,769人、負傷者22,203人を出す詳細
1951年(昭和26)小説家林芙美子の命日(芙美子忌)詳細
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 今日は、室町時代の1377年(永和3)に、第100代の天皇(北朝第6代)とされる後小松天皇の生まれた日ですが、新暦では8月1日となります。
 後小松天皇(ごこまつてんのう)は、京都の押小路殿において、北朝第5代の後円融天皇の第一皇子(母は内大臣三条公忠の女の三条厳子)として生まれましたが、名は幹仁(もとひと)と言いました。1382年(永徳2年)に、乳父日野資教邸で著袴し、父・後円融天皇より譲位を受けて践祚、北朝第6代天皇として即位しましたが、父・後円融上皇による院政が行われます。
 1387年(嘉慶元年)に元服し、1392年(明徳3年閏10月5日)には、南北両朝合体の議によって、南朝の後亀山天皇から神器を受け継ぎ、第100代とされる天皇となり、南北朝合一を果たしました。1393年(明徳4年)に父・後円融上皇が亡くなり、親政を開始、1406年(応永13年)には、生母通陽門院(三条厳子)が亡くなっています。
 和歌・連歌を能くし、1407年(応永14年)には、内裏九十番歌合に出詠、琵琶・立花なども愛好しました。1409年(応永15年)に足利義満の北山第に行幸しましたが、その2ヶ月後に義満が亡くなっています。
 1412年(応永19年8月29日)に、第一皇子の實仁親王(称光天皇)に譲位し、東洞院殿(一条正親町)を御所として院政を執りました。1428年(正長元年)に称光天皇の死後は、伏見宮貞成親王の子の彦仁を猶子とし、後花園天皇として即位させ、引き続き院政を継続します。
 1431年(永享3年)に出家し、法名を素行智としましたが、1433年(永享5年10月20日)に、京都の東洞院御所において、数え年57歳で亡くなり、陵墓はの深草北陵(現在の京都市伏見区深草坊町)とされました。尚、『後小松院御百首』が残され、勅撰入集は『新続古今和歌集』のみ27首となっています。

<後小松天皇の代表的な和歌>

・「あはれなり小田もる庵(いほ)におくかびの煙や民の思なるらむ」(新続古今和歌集)
・「志賀の浦やよせてかへらぬ浪のまに氷うちとけ春は来にけり」(新続古今和歌集)
・「しぐれつつくれてきのふの秋篠やと山の雲のうつりやすさよ」(御百首)
・「又むすぶ契りもしらで消えかへる野上の露のしののめの空」(新続古今和歌集)
・「蘆の芽と見えしかたちをはじめにて国つ社の神のかしこさ」(内裏九十番歌合)

〇後小松天皇関係略年表(日付は旧暦です)

・1377年(永和3年6月27日) 京都の押小路殿において、北朝第5代の後円融天皇の第一皇子(母は内大臣三条公忠の女の三条厳子)として生まれる
・1382年(永徳2年4月7日) 乳父日野資教邸で著袴する
・1382年(永徳2年4月11日) 父・後円融天皇より譲位を受け、践祚する
・1382年(永徳2年12月28日) 北朝第6代天皇として即位するが、父・後円融上皇による院政が行われる
・1387年(嘉慶元年1月3日) 元服する
・1392年(明徳3年閏10月5日) 南北両朝合体の議によって、南朝の後亀山天皇から神器を受け継ぐ(南北朝合一)
・1393年(明徳4年) 父・後円融上皇が亡くなり、親政を開始する
・1406年(応永13年12月) 生母通陽門院(三条厳子)が亡くなる
・1407年(応永14年) 内裏九十番歌合に出詠する
・1409年(応永15年3月) 足利義満の北山第に行幸する
・1409年(応永15年5月) 足利義満が亡くなる
・1412年(応永19年8月29日) 實仁親王(称光天皇)に譲位し、東洞院殿(一条正親町)を御所として院政をとる
・1428年(正長元年) 称光天皇の死後に貞成の子の彦仁を猶子とし、後花園天皇として即位させる
・1431年(永享3年3月24日) 出家し、法名を素行智とする
・1433年(永享5年10月20日) 京都の東洞院御所において、数え年57歳で亡くなる

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1439年(永享11)飛鳥井雅世が『新続古今和歌集』(二十一代集最後)を撰上する(新暦8月6日)詳細
1582年(天正10)織田信長の後継を決めるための清洲会議が開催される(新暦7月16日)詳細
1850年(嘉永3)新聞記者・小説家小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の誕生日詳細
1900年(明治33)高岡明治33年の大火で、死者7名、負傷者46名、全焼3,589戸、半焼25戸の被害を出す詳細
1909年(明治42)「朝日新聞」で夏目漱石著の小説『それから』が連載開始される詳細
1927年(昭和2)満蒙への積極的介入方針と対中国基本政策決定のため、「東方会議」が開始(~7月7日)される詳細
1936年(昭和11)小説家・児童文学者鈴木三重吉の命日詳細
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 今日は、平成時代の1990年(平成2)に、ILO総会で「夜業に関する条約」が採択され、女性の深夜労働が認められた日です。
 「夜業に関する条約」(やぎょうにかんするじょうやく)は、1990年(平成2)6月26日に、国際労働機関(ILO)総会で、採択された夜業に関する条約(ILO第171号条約)です。この条約以前は、夜業に関するILO基準の中心は、工業に使用される女性の夜業に関する条約(1948年改正、第89号)でした。
 第89号条約では、夜間における女性の使用が禁止されていましたが、1980年代以降、夜間労働に従事する労働者が増加すると共に、男女の均等待遇との関係で女性の夜間労働を制限することの当否を巡って関心が高まってきたことなどを背景に、男女労働者共に適用される夜業に関する一般的条約として当条約が採択されます。この条約は、男女の別なく、農業、牧畜、漁業、海上運輸、及び内水航行の被用者を除くすべての被用者に適用され、新条約では、第89号条約のような工業における女性夜業の原則的禁止規定はありません。
 また、「夜業」の定義も、89号条約の「夜業」規定を変更して、「午前零時~午前5時までの時間を含む最低7時間以上の継続期間に行われるすべての労働」とされました。
 以下に、「夜業に関する条約」(ILO第171号条約)の英語版原文と日本語訳を掲載しておきましたので、ご参照下さい。

〇「夜業に関する条約」(ILO第171号条約) 1990年(平成2)6月26日採択

<英語版原文>

C171 - Night Work Convention, 1990 (No. 171)

The General Conference of the International Labour Organisation,
Having been convened at Geneva by the Governing Body of the International Labour Office, and having met in its 77th Session on 6 June 1990, and
Noting the provisions of international labour Conventions and Recommendations on the night work of children and young persons, and specifically the provisions in the Night Work of Young Persons (Non-Industrial Occupations) Convention and Recommendation, 1946, the Night Work of Young Persons (Industry) Convention (Revised), 1948, and the Night Work of Children and Young Persons (Agriculture) Recommendation, 1921, and
Noting the provisions of international labour Conventions and Recommendations on night work of women, and specifically the provisions in the Night Work (Women) Convention (Revised), 1948, and the Protocol of 1990 thereto, the Night Work of Women (Agriculture) Recommendation, 1921, and Paragraph 5 of the Maternity Protection Recommendation, 1952, and
Noting the provisions of the Discrimination (Employment and Occupation) Convention, 1958, and
Noting the provisions of the Maternity Protection Convention (Revised), 1952, and
Having decided upon the adoption of certain proposals with regard to night work, which is the fourth item on the agenda of the session, and
Having determined that these proposals shall take the form of an international Convention,
adopts this twenty-sixth day of June of the year one thousand nine hundred and ninety the following Convention, which may be cited as the Night Work Convention, 1990:

Article 1
For the purposes of this Convention:
(a) the term night work means all work which is performed during a period of not less than seven consecutive hours, including the interval from midnight to 5 a.m., to be determined by the competent authority after consulting the most representative organisations of employers and workers or by collective agreements;
(b) the term night worker means an employed person whose work requires performance of a substantial number of hours of night work which exceeds a specified limit. This limit shall be fixed by the competent authority after consulting the most representative organisations of employers and workers or by collective agreements.

Article 2
1. This Convention applies to all employed persons except those employed in agriculture, stock raising, fishing, maritime transport and inland navigation.
2. A Member which ratifies this Convention may, after consulting the representative organisations of employers and workers concerned, exclude wholly or partly from its scope limited categories of workers when the application of the Convention to them would raise special problems of a substantial nature.
3. Each Member which avails itself of the possibility afforded in paragraph 2 of this Article shall, in its reports on the application of the Convention under article 22 of the Constitution of the International Labour Organisation, indicate the particular categories of workers thus excluded and the reasons for their exclusion. It shall also describe all measures taken with a view to progressively extending the provisions of the Convention to the workers concerned.

Article 3
1. Specific measures required by the nature of night work, which shall include, as a minimum, those referred to in Articles 4 to 10, shall be taken for night workers in order to protect their health, assist them to meet their family and social responsibilities, provide opportunities for occupational advancement, and compensate them appropriately. Such measures shall also be taken in the fields of safety and maternity protection for all workers performing night work.
2. The measures referred to in paragraph 1 above may be applied progressively.

Article 4
1. At their request, workers shall have the right to undergo a health assessment without charge and to receive advice on how to reduce or avoid health problems associated with their work:
(a) before taking up an assignment as a night worker;
(b) at regular intervals during such an assignment;
(c) if they experience health problems during such an assignment which are not caused by factors other than the performance of night work.
2. With the exception of a finding of unfitness for night work, the findings of such assessments shall not be transmitted to others without the workers' consent and shall not be used to their detriment.

Article 5
Suitable first-aid facilities shall be made available for workers performing night work, including arrangements whereby such workers, where necessary, can be taken quickly to a place where appropriate treatment can be provided.

Article 6
1. Night workers certified, for reasons of health, as unfit for night work shall be transferred, whenever practicable, to a similar job for which they are fit.
2. If transfer to such a job is not practicable, these workers shall be granted the same benefits as other workers who are unable to work or to secure employment.
3. A night worker certified as temporarily unfit for night work shall be given the same protection against dismissal or notice of dismissal as other workers who are prevented from working for reasons of health.

Article 7
1. Measures shall be taken to ensure that an alternative to night work is available to women workers who would otherwise be called upon to perform such work:
(a) before and after childbirth, for a period of at least sixteen weeks of which at least eight weeks shall be before the expected date of childbirth;
(b) for additional periods in respect of which a medical certificate is produced stating that it is necessary for the health of the mother or child:
(i) during pregnancy;
(ii) during a specified time beyond the period after childbirth fixed pursuant to subparagraph (a) above, the length of which shall be determined by the competent authority after consulting the most representative organisations of employers and workers.
2. The measures referred to in paragraph 1 of this Article may include transfer to day work where this is possible, the provision of social security benefits or an extension of maternity leave.
3. During the periods referred to in paragraph 1 of this Article:
(a) a woman worker shall not be dismissed or given notice of dismissal, except for justifiable reasons not connected with pregnancy or childbirth;
(b) the income of the woman worker shall be maintained at a level sufficient for the upkeep of herself and her child in accordance with a suitable standard of living. This income maintenance may be ensured by any of the measures listed in paragraph 2 of this Article, by other appropriate measures or by a combination of these measures;
(c) a woman worker shall not lose the benefits regarding status, seniority and access to promotion which may attach to her regular night work position.
4. The provisions of this Article shall not have the effect of reducing the protection and benefits connected with maternity leave.

Article 8
Compensation for night workers in the form of working time, pay or similar benefits shall recognise the nature of night work.

Article 9
Appropriate social services shall be provided for night workers and, where necessary, for workers performing night work.

Article 10
1. Before introducing work schedules requiring the services of night workers, the employer shall consult the workers' representatives concerned on the details of such schedules and the forms of organisation of night work that are best adapted to the establishment and its personnel as well as on the occupational health measures and social services which are required. In establishments employing night workers this consultation shall take place regularly.
2. For the purposes of this Article the workers' representatives means persons who are recognised as such by national law or practice, in accordance with the Workers' Representatives Convention, 1971.

Article 11
1. The provisions of this Convention may be implemented by laws or regulations, collective agreements, arbitration awards or court decisions, a combination of these means or in any other manner appropriate to national conditions and practice. In so far as they have not been given effect by other means, they shall be implemented by laws or regulations.
2. Where the provisions of this Convention are implemented by laws or regulations, there shall be prior consultation with the most representative organisations of employers and workers.

Article 12
The formal ratifications of this Convention shall be communicated to the Director-General of the International Labour Office for registration.

Article 13
1. This Convention shall be binding only upon those Members of the International Labour Organisation whose ratifications have been registered with the Director-General.
2. It shall come into force twelve months after the date on which the ratifications of two Members have been registered with the Director-General.
3. Thereafter, this Convention shall come into force for any Member twelve months after the date on which its ratification has been registered.

Article 14
1. A Member which has ratified this Convention may denounce it after the expiration of ten years from the date on which the Convention first comes into force, by an act communicated to the Director-General of the International Labour Office for registration. Such denunciation shall not take effect until one year after the date on which it is registered.
2. Each Member which has ratified this Convention and which does not, within the year following the expiration of the period of ten years mentioned in the preceding paragraph, exercise the right of denunciation provided for in this Article, will be bound for another period of ten years and, thereafter, may denounce this Convention at the expiration of each period of ten years under the terms provided for in this Article.

Article 15
1. The Director-General of the International Labour Office shall notify all Members of the International Labour Organisation of the registration of all ratifications and denunciations communicated to him by the Members of the Organisation.
2. When notifying the Members of the Organisation of the registration of the second ratification communicated to him, the Director-General shall draw the attention of the Members of the Organisation to the date upon which the Convention will come into force.

Article 16
The Director-General of the International Labour Office shall communicate to the Secretary-General of the United Nations for registration in accordance with Article 102 of the Charter of the United Nations full particulars of all ratifications and acts of denunciation registered by him in accordance with the provisions of the preceding Articles.

Article 17
At such times as it may consider necessary, the Governing Body of the International Labour Office shall present to the General Conference a report on the working of this Convention and shall examine the desirability of placing on the agenda of the Conference the question of its revision in whole or in part.

Article 18
1. Should the Conference adopt a new Convention revising this Convention in whole or in part, then, unless the new Convention otherwise provides:
(a) the ratification by a Member of the new revising Convention shall ipso jure involve the immediate denunciation of this Convention, notwithstanding the provisions of Article 14 above, if and when the new revising Convention shall have come into force;
(b) as from the date when the new revising Convention comes into force this Convention shall cease to be open to ratification by the Members.
2. This Convention shall in any case remain in force in its actual form and content for those Members which have ratified it but have not ratified the revising Convention.

Article 19
The English and French versions of the text of this Convention are equally authoritative.

<日本語訳>

「夜業に関する条約」(第171号)(日本は未批准)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百九十年六月六日にその第七十七回会期として会合し、
 児童及び年少者の夜業に関する国際労働条約及び国際労働勧告の規定、特に、千九百四十六年の年少者夜業(非工業的業務)条約及び千九百四十六年の年少者夜業(非工業的業務)勧告、千九百四十八年の年少者夜業(工業)条約(改正)、並びに千九百二十一年の児童及び年少者夜業(農業)勧告の規定に留意し、
 女子の夜業に関する国際労働条約及び国際労働勧告の規定、特に、千九百四十八年の夜業(女子)条約(改正)及び千九百九十年の同条約の議定書、千九百二十一年の女子夜業(農業)勧告並びに千九百五十二年の母性保護勧告の5の規定に留意し、
 千九百五十八年の差別(雇用及び職業)条約の規定に留意し、
 千九百五十二年の母性保護条約(改正)の規定に留意し、
 前記の会期の議事日程の第四議題である夜業に関する提案の採択を決定し、
 その提案が国際条約の形式をとるべきであることを決定して、
 次の条約(引用に際しては、千九百九十年の夜業条約と称することができる。)を千九百九十年六月二十六日に採択する。

第一条

 この条約の適用上、
 (a) 「夜業」とは、最も代表的な使用者団体及び労働者団体と協議した上、権限のある機関によって又は労働協約によって決定される七時間以上の継続する間(午前零時から午前五時までの間を含む。)に行われるすべての労働をいう。
 (b) 「夜業労働者」とは、自己の職務のために、一定の限度を超える相当多くの時間の夜業に従事しなければならない被用者をいう。この限度は、最も代表的な使用者団体及び労働者団体と協議した上、権限のある機関によって又は労働協約によって定められる。

第二条

1 この条約は、農業、牧畜業、漁業、海上運送業及び内水航行の事業のために雇用される者を除くすべての被用者に適用する。
2 この条約を批准する加盟国は、この条約を限定された種類の労働者に適用することにより重要性を有する特別の問題を引き起こす場合には、関係のある代表的な使用者団体及び労働者団体と協議した上、これらの労働者を条約の適用範囲から全面的に又は部分的に除外することができる。
3 2に基づき認められる措置をとる各加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条に基づくこの条約の適用に関する報告の中で、適用を除外された特定の労働者の種類及び適用の除外の理由を明示し、また、この条約の規定をかかる労働者に漸進的に拡大するためにとったすべての措置を記述する。

第三条

1 夜業の性質から必要とされる夜業労働者のための特別の措置(少なくとも第四条から第十条までに定める措置を含む。)は、夜業労働者の健康を保護し、夜業労働者が家族的責任及び社会的責任を果たすことを援助し、職業上の昇進のための機会を提供し及び夜業労働者に対し適切に補償するためにとられる。この措置は、安全及び母性保護の分野においても夜業に従事するすべての労働者のためにとられる。
2 1の措置は、漸進的に適用することができる。

第四条

1 労働者は、次の場合には、自己の請求により、健康状態についての評価を無料で受ける権利及び自己の職務に関係する健康上の問題を減少させ又は回避する方法についての助言を受ける権利を有する。
 (a) 夜業労働者として職務に就く前
 (b) その職務に就いている間において一定の間隔をおいている場合
 (c) その職務に就いている間に、夜業に従事していることによって生じた健康上の問題を経験した場合
2 健康状態についての評価の結果は、夜業に不適応であると判明した場合を除くほか労働者の同意なくして本人以外の者に伝達され及びその労働者が不利となるように使用されてはならない。

第五条

 適当な応急手当の便宜(労働者が、必要な場合には適当な手当を受けられる場所に速やかに移されることが可能となる措置を含む。)は、夜業に従事する労働者のための利用に供される。

第六条

1 健康上の理由により夜業に不適応であると認められた夜業労働者は、実行可能なときにはいつでも、自己が適応する類似の業務に配置転換される。
2 これらの労働者は、1の業務への配置転換が実行可能でない場合には、労働すること又は雇用を確保することができない他の労働者と同一の給付を与えられる。
3 一時的に夜業に不適応であると認められた夜業労働者は、解雇又は解雇の予告について、健康上の理由により労働することができない他の労働者と同一の保護を受ける。

第七条

1 夜業に代わるものを利用できない場合には夜業に従事することが要求されるであろう女子労働者に対しては、次の期間について夜業に代わるものを利用できることを確保するための措置をとる。
 (a) 出産予定日前の少なくとも八週間を含む産前産後の少なくとも十六週の期間
 (b) 母親又は子の健康のために必要であることを明示する健康証明書が提出されている次の追加的な期間
  (i) 妊娠中
  (ii) (a)に基づいて定める産後の期間を超える特定の期間。その長さについては、権限のある機関が最も代表的な使用者団体及び労働者団体と協議した上決定する。
2 1の措置には、可能な場合の昼間の労働への配置転換、社会保障給付の支給又は母性休暇の延長を含むことができる。
3 1の期間においては、
 (a) 女子労働者は、妊娠又は出産に関連しない正当な理由に基づく場合を除き、解雇され又は解雇の予告を受けない。
 (b) 女子労働者の所得は、適当な生活水準に従って本人及びその子の生活の維持に十分な水準に維持される。この所得の維持は、2に掲げる措置、他の適当な措置又はこれらの措置の組合せによって確保することができる。
 (c) 女子労働者は、通常の夜業の職務に付随する地位、先任権及び昇進の機会に関する利益を失わない。
4 この条の規定は、母性休暇に関連する保護及び利益を減少させる効果をもたない。

第八条

 労働時間、給与又は類似の給付の形態の夜業労働者に対する補償については、夜業の性質を認識したものでなければならない。

第九条

 夜業労働者及び必要がある場合には夜業に従事する労働者には、適当な社会的な便益が提供される。

第十条

1 使用者は、夜業労働者の業務を必要とする勤務計画を導入するに当たっては、必要とされる職業上の健康のための措置及び社会的な便益について並びにその勤務計画の詳細及び事業場とその従業員とに最も適する夜業の編成の形態の詳細について、関係のある労働者の代表者と協議する。夜業労働者を雇用する事業場においては、この協議を定期的に行う。
2 この条の適用上、「労働者の代表者」とは、千九百七十一年の労働者代表条約に従って、国内法又は国内慣行により認められる労働者の代表者をいう。

第十一条

1 この条約の規定は、法令、労働協約、仲裁裁定、判決若しくはこれらの手段の組合せによって又は国内事情及び国内慣行に適する他の方法によって実施することができる。他の手段により実施しない場合には、この条約の規定は法令によって実施する。
2 この条約の規定を法令によって実施する場合には、最も代表的な使用者団体及び労働者団体と事前に協議する。

第十二条

 この条約の正式な批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。

第十三条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が国際労働事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第十四条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によってこの条約を廃棄することができる。廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1の十年の期間が満了した後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、その後更に十年間拘束を受けるものとし、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従ってこの条約を廃棄することができる。

第十五条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。

第十六条

 国際労働事務局は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従って登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。

第十七条

 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。

第十八条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第十四条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第十九条

 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

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1945年(昭和20)「国際連合憲章」に52ヶ国が署名する詳細
鈴木貫太郎内閣によって「重要物資等の緊急疎開に関する件」が閣議決定される詳細
1962年(昭和37)国際労働機関(ILO)総会で「労働時間の短縮に関する勧告」(ILO第116号勧告)が採択される詳細
1968年(昭和43)「小笠原返還協定」が発効し、小笠原諸島がアメリカから日本に返還される詳細
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