ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

2024年01月

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 今日は、昭和時代前期の1935年(昭和10)に、小説家・ノーベル文学賞作家大江健三郎が生まれた日です。
 大江健三郎(おおえ けんざぶろう)は、愛媛県喜多郡大瀬村(現在の内子町)において、父・大江好太郎、母・小石の三男として生まれましたが、1944年(昭和19)に父が亡くなりました。1950年(昭和25)に愛媛県立内子高校に入学、1951年(昭和26)の二年への進級時、愛媛県立松山東高校へ転校し、文芸部で雑誌「掌上」を編集、伊丹十三と知り合います。
 1953年(昭和28)に卒業後、1年浪人して、1954年(昭和29)に東京大学文科二類に入学、東大学生演劇の脚本「天(そら)の嘆き」を執筆し、1956年(昭和31)には、フランス文学科に進み、渡辺一夫博士に師事しました。1957年(昭和32)に東京大学新聞に掲載された「奇妙な仕事」が毎日新聞の文芸時評で評価され、学生作家としてデビュー、1958年(昭和33)には、『死者の奢り』を刊行、「飼育」により第39回芥川龍之介賞を受賞します。
 1959年(昭和34)に卒論「サルトルの小説におけるイメージについて」を書いて、東京大学を卒業、書き下ろし長編『われらの時代』を刊行、1960年(昭和35)には、安保批判の会、若い日本の会に参加、『大江健三郎集』を刊行しました。1961年(昭和36)に東欧、西欧、ソビエトを旅行、翌年に紀行集『ヨーロッパの声・僕自身の声』を刊行、1964年(昭和39)には、『個人的な体験』により、第11回新潮社文学賞を受賞します。
 1965年(昭和40)にルポルタージュ『ヒロシマ・ノート』を刊行、夏から初冬まで米国旅行をし、1966年(昭和41)には、『大江健三郎全集』全6巻を刊行しました。1967年(昭和42)に『万延元年のフットボール』で、第3回谷崎潤一郎賞を受賞、1968年(昭和43)には、オーストラリア旅行をし、エッセイ集『持続する志』を刊行します。
 1970年(昭和45)に『沖縄ノート』を刊行、1971年(昭和46)には、広島原爆病院長重藤博士との対話『原爆後の人間』を刊行、大田昌秀琉球大学教授(後に沖縄知事)との共同編集で季刊「沖縄経験」を創刊しました。1973年(昭和48)に書き下ろし長編『洪水はわが魂に及び』で、第26回野間文芸賞を受賞、1975年(昭和50)には、韓国の詩人金芝河(キムジハ)の釈放を訴えて、小田実、井出孫六らと数寄屋橋公園で48時間坐り込みをしています。
 1976年(昭和51)に芥川賞選考委員(~1984年)となり、1977年(昭和52)に、『大江健三郎全作品』第二期・全6巻を刊行、1978年(昭和53)には、朝日新聞の文芸時評担当(~1979年)しました。1982年(昭和57)に連作短編集『「雨の木」を聴く女たち』で第34回読売文学賞、1983年(昭和58)には、カリフォルニア大学バークレー校に研究員として滞在、『新しい人よ眼ざめよ』で第10回大佛次郎賞を受賞しています。
 1989年(平成元)にEC文学賞、ユーロパリア文学賞(ベルギー)を受賞、1990年(平成2)には、芥川賞選考委員に復帰、『人生の親戚』で第1回伊藤整文学賞を受賞しました。1993年(平成5)に『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』でモンデッロ賞(イタリア)を受賞、1994年(平成6)には、ノーベル文学賞を受賞、文化勲章と愛媛県の賞を辞退しています。
 1996年(平成8)に米プリンストン大学の客員講師となり、翌年には、米国芸術アカデミーの外国人名誉会員となり、日本へ帰国しました。2002年(平成14)に仏レジオン・ド・ヌール勲章コマンドールを受賞、2003年(平成15)に仏リベラシオン紙にてイラクへの自衛隊派遣計画を批判、2004年(平成16)には、加藤周一氏の呼びかけにより結成された「九条の会」に参加します。
 2005年(平成17)に「大江健三郎賞」創設を発表、2007年(平成19)に『さようなら、私の本よ!』が中国で魯迅文学賞の全国優秀文学翻訳賞、2009年(平成21)には、『臈たしアナベル・リイ』が、中国の「21世紀年度最優秀外国小説・2008微山湖賞」 を受賞しましたが、2023年〈令和5〉3月3日に、老衰のため88歳で亡くなりました。

〇大江健三郎の主要な著作

・『奇妙な仕事』(1957年)五月祭の懸賞小説入賞
・『死者の奢り』(1957年)
・『他人の足』(1957年)
・『飼育』(1958年)第39回芥川龍之介賞受賞
・『性的人間』(1963年)
・『個人的な体験』(1964年)第11回新潮社文学賞受賞
・ルポルタージュ『ヒロシマ・ノート』(1964~65年)
・随筆集『厳粛な綱渡り』(1965年)
・『万延元年のフットボール』(1967年)第3回谷崎潤一郎賞受賞
・『沖縄ノート』(1970年)
・『洪水はわが魂に及び』(1973年)第26回野間文芸賞受賞
・『ピンチランナー調書』(1976年)
・『同時代ゲーム』(1978年)
・短編連作『雨の木(レイン・ツリー)を聴く女たち』(1982年)第34回読売文学賞受賞
・『新しい人よ眼ざめよ』(1983年)第10回大佛次郎賞受賞
・『懐かしい年への手紙』(1987年)
・『人生の親戚』(1990年)第1回伊藤整文学賞受賞
・三部作『燃えあがる緑の樹』(1993~95年)

☆大江健三郎関係略年表

・1935年(昭和10)1月31日 愛媛県喜多郡大瀬村(現在の内子町)において、父・大江好太郎、母・小石の三男として生まれる
・1944年(昭和19) 父・好太郎が亡くなる
・1947年(昭和22) 大瀬中学に入学する
・1950年(昭和25) 愛媛県立内子高校に入学する
・1951年(昭和26) 二年への進級時、愛媛県立松山東高校へ転校し、文芸部で雑誌「掌上」を編集、伊丹十三と知り合う。
・1953年(昭和28) 松山東高校を卒業、東京大学を受験するが、試験を途中で放棄し帰郷、神奈川県の藤沢に下宿し、浪人生活を送る
・1954年(昭和29) 東京大学文科二類に入学、東大学生演劇の脚本「天(そら)の嘆き」を執筆する
・1955年(昭和30) 「火山」を<学園>九月号に発表、脚本「夏の休暇」執筆する
・1956年(昭和31) フランス文学科に進み、渡辺一夫博士に師事、脚本「死人に口なし」、「獣たちの声」執筆する
・1957年(昭和32) 東京大学新聞に掲載された「奇妙な仕事」(「獣たちの声」を小説化したもの)が毎日新聞の文芸時評で評価され、学生作家としてデビュー、「死者の奢り」、「他人の足」、「石膏のマスク」、「偽証の時」、戯曲「動物倉庫」を発表する
・1958年(昭和33) 「飼育」、「人間の羊」、「運搬」を発表。『死者の奢り』を刊行、「飼育」により第39回芥川龍之介賞を受賞する
・1959年(昭和34) 卒論「サルトルの小説におけるイメージについて」を書いて、東京大学を卒業、書き下ろし長編『われらの時代』を刊行する
・1960年(昭和35) 安保批判の会、若い日本の会に参加、短編集『孤独な青年の休暇』、長編『青年の汚名』、『大江健三郎集』を刊行する
・1961年(昭和36) 東欧、西欧、ソビエト旅行をする
・1962年(昭和37) 長編『遅れてきた青年』、紀行集『ヨーロッパの声・僕自身の声』を刊行する
・1963年(昭和38) 長編『叫び声』を刊行する
・1964年(昭和39) 長編『日常生活の冒険』、書き下ろし長編『個人的な体験』を刊行、『個人的な体験』により第11回新潮社文学賞を受賞する
・1965年(昭和40) エッセイ集『厳粛な綱渡り』、『ヒロシマ・ノート』を刊行、夏から初冬まで米国旅行をする
・1966年(昭和41) 『大江健三郎全集』全6巻を刊行する
・1967年(昭和42) 『万延元年のフットボール』を刊行、第3回谷崎潤一郎賞を受賞する
・1968年(昭和43) オーストラリア旅行をし、エッセイ集『持続する志』を刊行する
・1969年(昭和44) 『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』を刊行する
・1970年(昭和45) 評論『壊れものとしての人間-活字のむこうの暗闇』、講演集『核時代の想像力』、『沖縄ノート』を刊行する
・1971年(昭和46) 広島原爆病院長重藤博士との対話『原爆後の人間』を刊行、大田昌秀琉球大学教授(後に沖縄知事)との共同編集で季刊「沖縄経験」を創刊する
・1972年(昭和47) 全エッセイ集『鯨の死滅する日』を刊行する
・1973年(昭和48) 書き下ろし長編『洪水はわが魂に及び』を刊行、第26回野間文芸賞を受賞する
・1974年(昭和49) 評論集『状況へ』、『文学ノート 付=15篇』を刊行する
・1975年(昭和50) 韓国の詩人金芝河(キムジハ)の釈放を訴えて、小田実、井出孫六らと数寄屋橋公園で48時間坐り込みをする
・1976年(昭和51) 評論集『言葉によって 状況・文学*』、長編『ピンチランナー調書』を刊行、芥川賞選考委員となる
・1977年(昭和52) 『大江健三郎全作品』第二期・全6巻を刊行する
・1978年(昭和53) 朝日新聞の文芸時評担当(~1979年)、評論『小説の方法』、評論集『表現する者 状況・文学**』を刊行する
・1979年(昭和54) 書き下ろし『同時代ゲーム』を刊行する
・1980年(昭和55) 評論集『方法を読む=大江健三郎文芸時評』、中短編集『現代伝奇集』、『大江健三郎同時代論集』全十巻を刊行する
・1982年(昭和57) 講演集『核の大火と「人間」の声』、連作短編集『「雨の木」を聴く女たち』を刊行、第34回読売文学賞を受賞する
・1983年(昭和58) カリフォルニア大学バークレー校に研究員として滞在、『新しい人よ眼ざめよ』で第10回大佛次郎賞を受賞する
・1984年(昭和59) 芥川賞選考委員を辞任する
・1985年(昭和60) 『河馬に噛まれる』を刊行する
・1987年(昭和62) 書き下ろし長編『懐かしい年への手紙』を刊行する
・1988年(昭和63) 新潮5月号にて江藤淳、開高健、石原慎太郎の四人で座談会を開く
・1989年(平成元) EC文学賞、ユーロパリア文学賞(ベルギー)を受賞する
・1990年(平成2) 芥川賞選考委員に復帰、『人生の親戚』にて第1回伊藤整文学賞を受賞する
・1991年(平成3) 政府の湾岸戦争貢献策批判の声明を出す
・1992年(平成4) 『僕が本当に若かった頃』、『人生の習慣』を刊行する
・1993年(平成5) 『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』でモンデッロ賞(イタリア)を受賞する
・1994年(平成6) 長男光の作曲家としての成功を期に小説執筆の終止を宣言、ノーベル文学賞を受賞、文化勲章と愛媛県の賞を辞退する
・1995年(平成7) 朝日賞を受賞、ノーベル賞記念講演『あいまいな日本の私』を刊行する
・1996年(平成8) 作曲家武満徹の告別式で作家復帰を宣言、エッセイ集『ゆるやかな絆』を刊行、米プリンストン大学の客員講師となる
・1997年(平成9) 米国芸術アカデミーの外国人名誉会員となり、日本へ帰国する
・1998年(平成10) 『私という小説家の作り方』を刊行する
・1999年(平成11) ベルリン自由大学で客員教授として「日本作家の現実」というテーマで講義する
・2000年(平成12) 有楽町朝日ホールにて朝日賞記念講演「『知』をめぐる私の意見」を行う
・2001年(平成13) 「新しい歴史教科書をつくる会」の検定不合格を求める声明を三木睦子氏らと発表する
・2002年(平成14) 仏レジオン・ド・ヌール勲章コマンドールを受賞する
・2003年(平成15) 仏リベラシオン紙にてイラクへの自衛隊派遣計画を批判する
・2004年(平成16) 加藤周一氏の呼びかけにより結成された「九条の会」に参加する
・2005年(平成17) 「大江健三郎賞」創設を発表する
・2007年(平成19) 『さようなら、私の本よ!』が中国で魯迅文学賞の全国優秀文学翻訳賞受賞する
・2009年(平成21) 『臈たしアナベル・リイ』が、中国の「21世紀年度最優秀外国小説・2008微山湖賞」 を受賞する
・2023年〈令和5〉3月3日 老衰のため88歳で亡くなる

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1883年(明治16)病理学者緒方知三郎の誕生日詳細
1892年(明治25)詩人・随筆家・翻訳家尾崎喜八の誕生日詳細
1893年(明治26)北村透谷・島崎藤村らが文藝雑誌「文学界」を創刊する詳細
1897年(明治30)哲学者・啓蒙思想家・教育者西周の命日詳細
1947年(昭和22)マッカーサーが、翌日から予定されていた「2.1ゼネスト」の中止を命令する詳細
1985年(昭和60)小説家石川達三の命日詳細
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 今日は、明治時代前期の1877年(明治10)に、西郷隆盛が鹿児島県で主宰していた私学校の生徒が新政府に反発し、政府の武器を奪取して、西南戦争の発端となった日です。
 西南戦争(せいなんせんそう)は、明治時代前期の1877年(明治10)に、鹿児島士族が西郷隆盛を擁立して蜂起した反政府暴動で、明治新政府に対する不平士族の反乱では、最大で最後のもので、西南の役とも呼ばれてきました。1873年(明治6)の征韓論で敗れ、下野した西郷らは鹿児島へ戻り、士族組織として私学校を結成します。
 明治新政府との対立が深まり、鹿児島にあった兵器、弾薬を大阪に移転しようと考えたのを契機に、1877年(明治10)1月30日に、私学校生が集団決起、陸軍火薬庫などを奪い、西郷を盟主として決起し、2月15日に薩摩軍の1万5千人が熊本城・九州鎮台攻撃に向かって進撃を開始しました。これに対し、2月19日に薩摩征討の詔が発せられ、有栖川宮を総督とする3個旅団の陸軍と13隻の艦船からなる海軍を指揮して、官軍として征討に当らせます。
 戦場は熊本や宮崎にまで広がり、2月22日に薩摩軍は熊本鎮台(熊本城)を包囲しましたが、鎮台兵は司令長官谷干城を中心に50日間籠城、徐々に官軍に押されていき、4月15日に官軍は熊本城を包囲していた薩摩軍を破って熊本に入城しました。守勢に回った薩摩軍は、日向地方に転じて再起を図りましたが、6月1日人吉、7月24日都城、同31日宮崎、佐土原を失い、鹿児島に戻った西郷は同年9月、城山に立てこもり、政府軍の総攻撃を受ける中、同月24日に西郷以下桐野利秋、村田新八らは戦死または自刃して、終結します。
 戦いでの戦死者は、官軍側は6,403人、薩摩軍側は6,765人に及び、戦後に斬罪22人を含んで2,760余人が処罰されました。

〇西郷 隆盛】(さいごう たかもり)とは?

 幕末明治維新期に活躍した薩摩藩士・軍人・政治家です。江戸時代後期の1828年(文政10年12月7日)に、薩摩国鹿児島城下加治屋町(現在の鹿児島県鹿児島市)で、御勘定方小頭の西郷九郎隆盛の第1子として生まれましたが、幼名は小吉、通称は吉之介と言いました。
 1844年(弘化元)に18歳で郡奉行・迫田利済配下となり、郡方書役助をつとめ、1854年(安政元)に農政改革を求める意見書で藩主島津斉彬に見出され、庭方役に抜擢され藩政に参画します。しかし、1858年(安政5年)に斉彬が急死すると、同志僧月照と投身自殺を試みたものの、一命を取り留め、翌年には奄美大島に流されました。
 1862年(文久2)に島津久光が公武合体運動の着手にあたり召還されたものの、久光の怒りに触れ、今度は罪人として徳之島・沖永良部島へ遠島となります。1864年(元治元)に赦免され鹿児島に帰ると、軍賦役、小納戸頭取となり上京し、蛤御門の変(禁門の変)で薩摩軍を指揮して快勝しました。
 第一次長州征伐では、征長軍の参謀に任じられ、長州藩の無血降伏を実現します。1866年(慶応2)に土佐藩浪士坂本竜馬らの仲介で、木戸孝允との間で薩長同盟を密約し、翌年の王政復古のクーデターに重要な役割を演じ、新政府参与となりました。戊辰戦争では大総督参謀となり、勝海舟との会談で江戸城無血開城に成功します。
 その後、薩摩へ帰郷していましたが、1871年(明治4)には、呼び戻されて参議筆頭となり、廃藩置県に尽力したものの、1873年(明治6)の征韓論に関わる政変で辞職しました。鹿児島へ帰郷して私学校を経営し、士族授産に尽力しましたが、中央政府との疎隔が甚だしくなり、佐賀の乱(1874年)、神風連の乱、秋月の乱、萩の乱(いずれも1876年)など士族の反乱が続発します。
 その中で、1877年(明治10)に部下に擁立されて 、西南戦争を起しましたが、同年9月24日に戦いに敗れ、数え年51歳で、鹿児島城山において自刃しました。

☆西南戦争関係略年表

<1873年(明治6)>

・10月23日 西郷隆盛が征韓論に敗れ、辞表を提出(桐野、篠原ら西郷派士官辞職)
・11月10日 西郷、桐野と共に鹿児島へ帰る

<1874年(明治7)>

・2月1日 江藤新平が故郷の佐賀県で擁立されて佐賀の乱が起こる

<1876年(明治9)>

・10月24日 熊本県で神風連の乱が起こる
・10月27日 福岡県で秋月藩士宮崎車之助を中心とする秋月の乱が起こる
・10月28日 山口県で前原一誠らによる萩の乱が起こる

<1877年(明治10)>

・1月 明治新政府は鹿児島にあった兵器、弾薬を大阪に移転しようと考える
・1月30日 鹿児島で私学校生が集団決起、陸軍火薬庫など襲う
・2月3日 私学校党は中原一味60余人を一網打尽に捕らえてしまう
・2月4日 鹿児島暴発の報が明治天皇の行在所に達する
・2月14日 黒田清隆が旧庄内士族のリーダーに手紙で、西郷らに同調しないよう要請する
・2月15日 薩摩軍の1万5千人が熊本城・九州鎮台攻撃に向かって進撃を開始する
・2月18日 官軍は乃木希典(陸軍少佐)連隊の一部を率いて熊本に向かう
・2月19日 薩摩征討の詔が発せられ、有栖川宮を総督とする3個旅団の陸軍と13隻の艦船からなる海軍を指揮して征討に当らせる
・2月20日 薩摩軍の先鋒、別府晋介の二大隊川尻に入る
・2月21日 軍議で薩摩軍の全軍が熊本城を強襲すること決まる
・2月22日 植木で乃木少佐、連隊旗を奪われる、薩摩軍は熊本城の包囲を完了する
・2月23日 官軍の第十四連隊が木葉にて敗れる
・2月24日 官軍の山県参軍博多に到着、薩摩軍は熊本城強攻を中止し、主力は山鹿、田原、木留に進出する
・2月25日 明治新政府は西郷の官位を取り消す、官軍の第一、二旅団南関に入る
・2月27日 薩摩軍は三方より高瀬を強襲、西郷小兵衛戦死、乃木少佐が負傷する
・3月3日 官軍は木葉・吉次に攻撃を開始する 
・3月4日 熊本の田原坂での戦闘が始まる
・3月13日 黒田清隆が京都の行在所宛て電報で、衝背軍による背面攻撃を建言する
・3月19日 官軍は高島鞆之助の別働第二旅団が日奈久に上陸し、八代まで進撃する
・3月20日 官軍は田原坂の戦いで薩摩軍を破る
・3月21日 黒田清隆が歩兵・警視隊500人を率いて日奈久に上陸する
・3月24~25日 山田顕義以下の別働第二旅団、川路利良以下の別働第三旅団が、八代に上陸する
・3月26日 薩摩軍は、石塘口をせきとめ、熊本城を水攻めにする
・3月30~31日 官軍により松橋が陥落する
・4月1日 官軍は吉次・木留を占領する
・4月4日 薩摩軍別働隊(辺見十郎太・別府晋介指揮)が人吉から八代に来襲、善戦するが、政府増援部隊に阻まれて撤退する
・4月12日 官軍は御船を占領、永山弥一郎(薩軍三番大隊大隊長)が戦死する
・4月15日 官軍は熊本城を包囲していた薩摩軍を破って熊本に入城、薩摩軍は植木・荻迫・鐙田・三の岳より退去する
・4月20日 官軍は御船で大勝、薩摩軍は矢部に退去、西郷らは人吉へ退去する
・4月27日 薩摩軍は人吉盆地での攻防戦を始める(~6月21日)
・5月28日 西郷は宮崎へ入る
・6月1日 官軍は人吉を占領する
・7月24日 官軍は都城を占領する
・7月31日 薩摩軍は宮崎、佐土原を失い、長井村に追い詰められて解散する
・8月2日 官軍は高鍋を占領する
・8月5日 開戦半年を経て西郷は全軍に告諭を出して奮起を促す
・8月中旬 延岡の北方約6KMの長井村に追い詰められる
・8月14日 薩摩軍は延岡を失い、可愛岳のふもと熊田周辺に後退する
・8月15日 薩摩軍は延岡への攻勢を開始、官軍もまたこれに応戦して延北の山野は両軍の士で溢れる
・8月16日 西郷は解隊布告する
・9月1日 官軍は同地警備の新撰旅団を破って鹿児島市内に進出する
・9月6日頃 官軍主力は鹿児島に集結、薩軍を城山に包囲する
・9月22日 城山で西郷の名による決死の檄を飛ばす
・9月23日 西郷は諸将を集め決別の宴を開く
・9月24日 払暁とともに城山総攻撃の火蓋がきって落とされ、桐野、村田ら戦死、西郷が自刃、薩摩軍は城山において全滅し、西南戦争が終結する

☆明治新政府に対する不平士族の反乱一覧

・1874年(明治7)2月 江藤新平が故郷の佐賀県で擁立されて佐賀の乱が起こる
・1876年(明治9)10月 熊本県で神風連の乱が起こる
・1876年(明治9)10月 福岡県で秋月藩士宮崎車之助を中心とする秋月の乱が起こる
・1876年(明治9)10月 山口県で前原一誠らによる萩の乱が起こる
・1877年(明治10) 旧薩摩藩の士族が中心になり西郷隆盛を大将に擁立して西南戦争がおこる
・1877年(明治10)3月 西郷隆盛に呼応する形で、福岡県で武部小四郎ら旧福岡藩士族により福岡の変が起こる

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1788年(天明8)京都最大の3万軒以上を焼失した「天明の大火」が起きる(新暦3月7日)詳細
1823年(文政6)幕臣・政治家勝海舟の誕生日(新暦3月12日)詳細
1902年(明治35) 「第一回日英同盟協約」が調印される詳細
1945年(昭和20)藷類増産対策要綱」が閣議決定される詳細
1949年(昭和24)永井隆著の随筆『長崎の鐘』(日比谷出版社)が刊行される詳細
2010年(平成22)児童文学作家川村たかしの命日詳細
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 今日は、明治時代前期の1879年(明治12)に、日本が国際電信連合(現在の国際電気通信連合)に加盟した日です。
 国際電気通信連合(こくさいでんきつうしんれんごう)は、「国際電気通信条約」に基づき、電気通信の改善と合理的利用、および国際協力を図ることを目的とする国際組織で、国際連合の専門機関の一つで、略称はITUとされてきました。起源は、1865年(元治元)に、ヨーロッパの20ヶ国が設立した国際電信連合で、その後、国際無線電信連合を合体して、マドリード「国際電気通信条約」(1932年作成、1934年発効)により今日の形となります。
 第二次世界大戦後、「アトランティック・シティ条約」(1947年作成)および国連との協定で国連の専門機関となりました。その中で、国際的な周波数の分配、電気通信の標準化、開発途上国に対する技術協力などにより、通信資源の合理的、公平、効果的かつ経済的な使用のための活動を行っています。
 日本は1879年(明治12)に、国際電信連合の時に加盟、第2次世界大戦後の一時期に離れましたが、1949年(昭和24)に再加入し、1959年(昭和34)以降、理事会のメンバーとなり、技術の標準化、分担金の提供、役員などで寄与してきました。現在は、主として、①放送や衛星通信等無線通信で使用される電波の国際的な分配及び混信防止のための国際的な調整、②電話やファクシミリ、移動体通信、ハイビジョン等電気通信の世界的な標準化の促進、③開発途上国に対する技術援助の促進を行っていて、2012年(平成24)現在の加盟国は、193ヶ国となっています。
 以下に、現行の「国際電気通信連合憲章」の日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「国際電気通信連合憲章」(平成7年1月18日条約第2号)

第一章 基本規定

第一条 連合の目的
1 連合の目的は、次のとおりとする。
(a) すべての種類の電気通信の改善及び合理的利用のため、すべての構成国の間における国際協力を維持し及び増進すること。
(aの2) 連合の目的として掲げられたすべての目的を達成するため、団体及び機関の連合の活動への参加を促進し及び拡大させ、並びに当該団体及び機関と構成国との間の実りある協力及び連携を促進すること。
(b) 電気通信の分野において開発途上国に対する技術援助を促進し及び提供すること、その実施に必要な物的資源、人的資源及び資金の移動を促進すること並びに情報の取得を促進すること。
(c) 電気通信業務の能率を増進し、その有用性を増大し、及び公衆によるその利用をできる限り普及するため、技術的手段の発達及びその最も能率的な運用を促進すること。
(d) 新たな電気通信技術の便益を全人類に供与するよう努めること。
(e) 平和的関係を円滑にするため、電気通信業務の利用を促進すること。
(f) これらの目的を達成するため、構成国の努力を調和させ、並びに構成国と部門構成員との間の実りあるかつ建設的な協力及び連携を促進すること。
(g) 経済社会の情報化が世界的に進展していることにかんがみ、地域的及び世界的な他の政府間機関並びに電気通信に関係がある非政府機関と協力して、電気通信の問題に対する一層広範な取組方法の採用を国際的に促進すること。
2 このため、連合は、特に次のことを行う。
(a) 各国の無線通信の局の間の有害な混信を避けるため、無線周波数スペクトル帯の分配、無線周波数の割り振り及び周波数割当ての登録(宇宙業務のため、対地静止衛星軌道上の関連する軌道位置又は他の軌道上の衛星の関連する特性を登録することを含む。)を行うこと。
(b) 各国の無線通信の局の間の有害な混信を除去するため並びに無線通信業務に係る無線周波数スペクトルの使用及び対地静止衛星軌道その他の衛星軌道の使用を改善するための努力を調整すること。
(c) 満足すべき業務の質を保ちつつ、電気通信の世界的な標準化を促進すること。
(d) 連合が有するすべての手段(必要な場合には、連合が国際連合の適当な計画に参加すること及び自己の資源を使用することを含む。)により、開発途上国に対する技術援助を確保するための国際協力及び連帯を促進し、並びに開発途上国における電気通信設備及び電気通信網の創設、拡充及び整備を促進すること。
(e) 電気通信手段、特に宇宙技術を使用する電気通信手段が有する可能性を十分に利用することができるように、これらの手段の発達を調和させるための努力を調整すること。
(f) 電気通信の良好な業務及び健全なかつ独立の経理と両立する範囲内で、できる限り低い基準の料金を設定するため、構成国及び部門構成員の間の協力を促進すること。
(g) 電気通信業務の協力によって人命の安全を確保する措置の採用を促進すること。
(h) 電気通信に関し、研究を行い、規則を定め、決議を採択し、勧告及び希望を作成し、並びに情報の収集及び公表を行うこと。
(i) 国際的な金融機関及び開発機関と共に、社会的な事業計画、特に、電気通信業務を各国において最も孤立した地域にまで提供することを目的とするものを進展させるための優先的かつ有利な信用枠の形成を促進することに従事すること。
(j) 連合の目的を達成するため、関係団体の連合の活動への参加及び地域的機関その他の機関との協力を奨励すること。

第二条 連合の構成
国際電気通信連合は、政府間機関であり、当該機関においては、構成国及び部門構成員は、明確な権利及び義務を有し、連合の目的の達成のために協力する。連合は、普遍性の原則を考慮し、かつ、連合への普遍的な参加が望ましいことを考慮して、次の国で構成する。
(a) この憲章及び条約の効力発生前にいずれかの国際電気通信条約の締約国として国際電気通信連合の構成国である国
(b) 国際連合加盟国であるその他の国で、第五十三条の規定に従ってこの憲章及び条約に加入したもの
(c) 国際連合加盟国でないその他の国で、構成国となることを申請し、かつ、その申請が構成国の三分の二によって承認された後、第五十三条の規定に従ってこの憲章及び条約に加入したもの。構成国としての加盟の申請が全権委員会議から全権委員会議までの間において提出されたときは、事務総局長は、構成国と協議する。構成国は、協議を受けた日から起算して四箇月の期間内に回答しないときは、棄権したものとみなす。

第三条 構成国及び部門構成員の権利及び義務
1 構成国及び部門構成員は、この憲章及び条約に定める権利を有し、義務を負う。
2 連合の会議、会合及び協議への参加に関し、
(a) 構成国は、会議に参加する権利を有し、理事会に対する被選挙資格を有し、及び連合の役員又は無線通信規則委員会の委員の選挙に対する候補者を指名する権利を有する。
(b) 構成国は、また、第一六九号及び第二一〇号の規定が適用される場合を除くほか、すべての全権委員会議、すべての世界会議、すべての部門の総会、すべての研究委員会の会合及び当該構成国が理事会の構成員であるときは理事会のすべての会期において、一の票を投ずる権利を有する。地域会議においては、関係地域の構成国のみが投票の権利を有する。
(c) 構成国は、また、第一六九号及び第二一〇号の規定が適用される場合を除くほか、通信によって行う協議において、一の票を投ずる権利を有する。
地域会議に関する協議については、関係地域の構成国のみが投票の権利を有する。
3 部門構成員は、連合の活動への参加に関し、この憲章及び条約の関連規定に従うことを条件として、自己が構成員となっている部門の活動に完全に参加する資格を有する。
(a) 部門構成員は、部門の総会及び会合の議長及び副議長並びに世界電気通信開発会議の議長及び副議長を出すことができる。
(b) 部門構成員は、条約の関連規定及び全権委員会議が採択した関連決定に従うことを条件として、関係部門における勧告及び問題の採択並びに当該部門の運営方法及び手続に関する決定に参加する資格を有する。

第四条 連合の文書
1 連合の文書は、国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約及び業務規則とする。
2 この憲章は、連合の基本的文書とし、条約によって補足される。
3 この憲章及び条約は、電気通信の利用を規律し、及びすべての構成国を拘束する次に掲げる業務規則によって、更に補足される。
 国際電気通信規則
 無線通信規則
4 この憲章の規定と条約又は業務規則の規定との間に矛盾がある場合には、この憲章の規定が優先する。条約の規定と業務規則の規定との間に矛盾がある場合には、条約の規定が優先する。

第五条 定義
文脈に矛盾を生じない限り、
(a) この憲章において使用し、かつ、この憲章の不可分の一部を成す附属書で定義する用語は、当該附属書において与えられる意味を有する。
(b) この憲章の附属書で定義する用語以外の用語であって、条約において使用し、かつ、条約の不可分の一部を成す附属書で定義するものは、当該附属書において与えられる意味を有する。
(c) 業務規則で定義するその他の用語は、当該業務規則において与えられる意味を有する。

第六条 連合の文書の実施
1 構成国は、自国が設置し又は運用するすべての電気通信の局で、国際業務を行うもの又は他国の無線通信業務に有害な混信を生じさせるおそれのあるものについて、この憲章、条約及び業務規則に従う義務を負う。ただし、第四十八条の規定によってこれらの義務を免除される業務に関する場合は、この限りでない。
2 構成国は、また、自国が電気通信に関する設置及び運用を許可した事業体で、国際業務を行うもの又は他国の無線通信業務に有害な混信を生じさせるおそれのある局を運用するものにこの憲章、条約及び業務規則を遵守させるため、必要な措置をとる義務を負う。

第七条 連合の組織
連合は、次のものから成る。
(a) 全権委員会議(連合の最高機関)
(b) 理事会(全権委員会議の代理者として行動する。)
(c) 世界国際電気通信会議
(d) 無線通信部門(世界無線通信会議、地域無線通信会議、無線通信総会及び無線通信規則委員会を含む。)
(e) 電気通信標準化部門(世界電気通信標準化総会を含む。)
(f) 電気通信開発部門(世界電気通信開発会議及び地域電気通信開発会議を含む。)
(g) 事務総局

第八条 全権委員会議
1 全権委員会議は、構成国を代表する代表団で構成する。同会議は、四年ごとに招集する。
2 構成国の提案に基づき、かつ、理事会の報告を考慮して、全権委員会議は、次のことを行う。
(a) 第一条に定める連合の目的を達成するための一般方針を決定すること。
(b) 前回の全権委員会議の後の連合の活動並びに連合の戦略的な政策及び計画に関する理事会の報告を審議すること。
(c) 第五〇号に規定する報告に基づいて行われた決定を考慮して、連合の戦略計画及び予算の基準を定め、並びに次回の全権委員会議までの期間における連合の活動に関連するすべての事項を検討の上、当該期間について、連合の会計上の限度額を定めること。
(d) 第一六一 D 号から第一六一 G 号までに定める手続を使用し、構成国が通知する分担等級に基づいて、次回の全権委員会議までの期間における分担単位数の総数を定めること。
(d) 連合の職員編成に関するすべての一般的指示を作成し、また、必要な場合には、連合のすべての職員の基準俸給、俸給表並びに手当及び年金の制度を定めること。
(e) 連合の会計計算書を審査し、必要な場合には、最終的に承認すること。
(f) 理事会を構成する構成国を選出すること。
(g) 連合の役員として、事務総局長、事務総局次長及び各部門の局長を選出すること。
(h) 無線通信規則委員会の委員を選出すること。
(i) 必要な場合には、第五十五条の規定及び条約の関連規定にそれぞれ従って、構成国が提出したこの憲章及び条約の改正案を検討し及び採択すること。
(j) 連合と他の国際機関との間の協定を必要に応じて締結し又は改正し、並びに理事会が連合を代表してこれらの国際機関と締結した暫定的協定を審査し、及びこれに関して適当と認める措置をとること。
(jの2) 連合の会議、総会及び会合の一般規則を採択し及び改正すること。
(k) その他必要と認めるすべての電気通信の問題を処理すること。
3 例外として、次のいずれかの場合には、通常の全権委員会議から通常の全権委員会議までの間に、特定の問題を処理するために限定された議事日程により、臨時の全権委員会議を招集することができる。
(a) 先立って開催された通常の全権委員会議が決定する場合
(b) 構成国の三分の二以上が事務総局長に対して個別に請求する場合
(c) 構成国の少なくとも三分の二の同意を得て理事会が提案する場合

第九条 選挙及び関係事項に関する原則
1 全権委員会議は、第五四号から第五六号までに規定する選挙を行うに当たり、次のことを確保する。
(a) 理事会の議席が世界のすべての地域に衡平に配分されることの必要性に妥当な考慮を払い、理事会の構成員を選出すること。
(b) 事務総局長、事務総局次長及び各局長は、それぞれ、構成国が指名する自国民である候補者のうちから選出され、かつ、異なる構成国の国民とするものとし、これらの者の選挙に当たっては、世界の諸地域の間における衡平な地理的配分について妥当な考慮を払うこと。全権委員会議は、さらに、第一五四号に定める原則についても妥当な考慮を払うべきである。
(c) 無線通信規則委員会の委員を構成国が指名する自国民である候補者のうちから個人の資格で選出すること。各構成国は、候補者を一人に限り指名することができる。無線通信規則委員会の委員は、無線通信局長と同一の構成国の国民であってはならず、これらの者の選挙に当たっては、世界の諸地域の間における衡平な地理的配分及び第九三号に定める原則について妥当な考慮を払うべきである。
2 就任、空席及び再選資格に関する規定については、条約で定める。

第十条 理事会
1 
(1) 理事会は、第六一号の規定に従って全権委員会議が選出した構成国で構成する。
(2) 理事会の各構成員は、理事会に参加する一人の者を任命する。この者は、一人又は二人以上の者によって補佐されることができる。
2 削除
3 全権委員会議から全権委員会議までの間においては、理事会は、連合の指導的機関として、全権委員会議が委任した権限の範囲内で、同会議の代理者として行動する。
4 
(1) 理事会は、構成国がこの憲章、条約、業務規則、全権委員会議の決定並びに必要な場合には連合の他の会議及び会合の決定を実施することを容易にするための適当なすべての措置をとるものとし、また、全権委員会議が課するその他のすべての任務を行う。
(2) 理事会は、連合の政策の方向及び戦略が電気通信を取り巻く環境の変化に完全に適合するようにするため、全権委員会議の一般的指示に従って電気通信政策の広範な問題を検討する。
(2の2) 理事会は、連合のために勧告された戦略的な政策及び計画に関し、その会計上の影響を含めた報告を作成するものとし、このために、第七四 A号の規定に基づいて事務総局長が作成する具体的な資料を使用する。
(3) 理事会は、連合の活動の効果的な調整を確保し、並びに事務総局及び三部門に対する効果的な会計上の監督を行う。
(4) 理事会は、連合の目的に従い、連合が有するすべての手段(連合による国際連合の適当な計画への参加を含む。)により、開発途上国における電気通信の発展に貢献する。

第十一条 事務総局
(1) 事務総局は、事務総局長が統括する。事務総局長は、一人の事務総局次長によって補佐される。
 事務総局長は、連合の法律上の代表者として行動する。
(2) 事務総局長の任務は、条約で定める。さらに、事務総局長は、次のことを行う。
(a) 調整委員会の援助の下に、連合の活動を調整すること。
(b) 調整委員会の援助の下に連合の戦略的な政策及び計画に関する報告の作成に必要な具体的な資料を作成し、その資料を構成国及び部門構成員に提供し、並びに当該計画の実施を調整すること。構成国及び部門構成員が検討を行うために全権委員会議の前に開催される理事会の直近二回の通常会期中に、この報告を送付すること。
(c) 連合の資源の経済的な活用のために必要なすべての措置をとり、連合の活動の事務上及び会計上の事項の全体につき理事会に対して責任を負うこと。
(3) 事務総局長は、第四十二条の規定に基づき作成された特別取極の寄託者として行動することができる。
2 事務総局次長は、事務総局長に対して責任を負う。事務総局次長は、事務総局長の職務の遂行を補佐し、事務総局長から委任される特定の任務を行う。
事務総局長が不在のときは、事務総局次長が事務総局長の職務を行う。

第二章 無線通信部門

第十二条 任務及び組織
1 
(1) 無線通信部門は、開発途上国の特別な関心事に留意し、次に定めるところにより、第一条に定める無線通信に関する連合の目的を達成することを任務とする。
第四十四条の規定に従うことを条件として、対地静止衛星軌道その他の衛星軌道を使用する無線通信業務を含むすべての無線通信業務が無線周波数スペクトルを合理的、公平、効果的かつ経済的に使用することを確保すること。
周波数の範囲を問わず研究を行い、無線通信に関する勧告を採択すること。
(2) 無線通信部門及び電気通信標準化部門の双方に関係がある問題に関しては、両部門の正確な権限について、条約の関連規定に従い、緊密な協力により、常に再検討しなければならない。無線通信部門、電気通信標準化部門及び電気通信開発部門の間においては、緊密な調整を確保しなければならない。
2 無線通信部門の運営は、次のものによって行う。
(a) 世界無線通信会議及び地域無線通信会議
(b) 無線通信規則委員会
(c) 無線通信総会
(d) 研究委員会
(dの2) 無線通信諮問委員会
(e) 無線通信局(選出された局長が統括する。)
3 無線通信部門の構成員は、次のとおりとする。
(a) すべての構成国の主管庁(権利として構成員となる。)
(b) 条約の関連規定により部門構成員となる団体又は機関

第十三条 無線通信会議及び無線通信総会
1 世界無線通信会議は、無線通信規則の一部改正又は、例外として、全部改正を行い、及びその他世界的性質を有する問題(同会議の権限内のものであり、かつ、その議事日程に関するものに限る。)を取り扱うことができる。同会議のその他の任務は、条約で定める。
2 世界無線通信会議は、通常三年から四年までの間のいずれかの期間ごとに招集する。ただし、条約の関連規定に従い、同会議を招集しないこと又は追加的に招集することができる。
3 無線通信総会は、同様に、通常三年から四年までの間のいずれかの期間ごとに招集するものとし、無線通信部門の能率を向上させるため、場所及び期日について世界無線通信会議と連携することができる。無線通信総会は、世界無線通信会議の討議に必要な技術的基礎を確立し、及び同会議のすべての要請に応ずる。同総会の任務は、条約で定める。
4 世界無線通信会議、無線通信総会及び地域無線通信会議の決定は、いかなる場合にも、この憲章及び条約の規定に適合するものでなければならない。また、無線通信総会及び地域無線通信会議の決定は、いかなる場合にも、無線通信規則の規定に適合するものでなければならない。世界無線通信会議、無線通信総会及び地域無線通信会議は、決議及び決定を採択する場合には、予見可能な会計上の影響を考慮しなければならず、また、全権委員会議の定めた会計上の限度額を超える支出をもたらすおそれのある決議及び決定の採択を避けるべきである。

第十四条 無線通信規則委員会
1 無線通信規則委員会は、無線通信の分野において十分な能力を有し、かつ、周波数の割当て及び使用について実務上の経験を有する選出された委員で構成する。各委員は、世界の特定の地域の地理的、経済的及び人口的事情に精通していなければならない。委員は、独立して、また、非常勤で、連合のために自己の職務を行う。
2 無線通信規則委員会は、構成国の総数の六パーセントに相当する数又は十二のいずれか多い方を超えない数の委員で構成する。
2 無線通信規則委員会の任務は、次のとおりとする。
(a) 無線通信規則及び権限のある無線通信会議の決定に適合した手続規則(技術基準を含む。)を承認すること。この手続規則は、無線通信局長及び無線通信局が構成国の行う周波数割当てを登録するために無線通信規則を適用するに当たって使用する。この手続規則は、透明性のある方法で作成する。主管庁は、この手続規則に対して意見を付することができ、意見の相違が継続する場合には、その問題は、次回の世界無線通信会議に提出する。
(b) 第九五号の手続規則の適用によって解決することができないその他の問題を検討すること。
(c) 第七八号に規定する周波数の割当て及び使用に関して、無線通信規則に定める手続に従い、権限のある会議が定め、又はこの会議の準備若しくはその決定の実施のために構成国の過半数の同意を得て理事会が定めるすべての追加の任務を行うこと。
3 
(1) 無線通信規則委員会の委員は、その所属国又は一地域を代表する者としてではなく、国際的な公的責任を有する者として、同委員会における職務を行う。同委員会の各委員は、特に、自国の主管庁に直接関係する決定に参加することを差し控えなければならない。
(2) 無線通信規則委員会の委員は、連合のために自己の職務を行うことに関し、いかなる政府若しくはその職員又はいかなる公私の機関若しくは人からも指示を求め又は受けてはならない。同委員会の委員は、第九八号に定める委員としての地位と両立しないおそれのあるいかなる措置をとることも、また、そのようなおそれのあるいかなる決定に関与することも差し控えなければならない。
(3) 構成国及び部門構成員は、無線通信規則委員会の委員の職務の専ら国際的な性質を尊重しなければならず、また、これらの委員に対し、同委員会における職務の遂行について影響を及ぼそうとすることを差し控えなければならない。
4 無線通信規則委員会の運営方法は、条約で定める。

第十五条 無線通信研究委員会及び無線通信諮問委員会
無線通信研究委員会及び無線通信諮問委員会のそれぞれの任務は、条約で定める。

第十六条 無線通信局
無線通信局長の任務は、条約で定める。

第三章 電気通信標準化部門

第十七条 任務及び組織
1 
(1) 電気通信標準化部門は、開発途上国の特別な関心事に留意し、電気通信を世界的規模で標準化するため、技術、運用及び料金の問題についての研究を行うこと並びにこれらの問題に関する勧告を採択することにより、第一条に定める電気通信の標準化に関する連合の目的を十分に達成することを任務とする。
(2) 電気通信標準化部門及び無線通信部門の双方に関係がある問題に関しては、両部門の正確な権限について、条約の関連規定に従い、緊密な協力により、常に再検討しなければならない。無線通信部門、電気通信標準化部門及び電気通信開発部門の間においては、緊密な調整を確保しなければならない。
2 電気通信標準化部門の運営は、次のものによって行う。
(a) 世界電気通信標準化総会
(b) 電気通信標準化研究委員会
(bの2) 電気通信標準化諮問委員会
(c) 電気通信標準化局(選出された局長が統括する。)
3 電気通信標準化部門の構成員は、次のとおりとする。
(a) すべての構成国の主管庁(権利として構成員となる。)
(b) 条約の関連規定により部門構成員となる団体又は機関

第十八条 世界電気通信標準化総会
1 世界電気通信標準化総会の任務は、条約で定める。
2 世界電気通信標準化総会は、四年ごとに招集する。ただし、条約の関連規定に従い、同総会を追加的に開催することができる。
3 世界電気通信標準化総会の決定は、いかなる場合にも、この憲章、条約及び業務規則の規定に適合するものでなければならない。同総会は、決議及び決定を採択する場合には、予見可能な会計上の影響を考慮しなければならず、また、全権委員会議の定めた会計上の限度額を超える支出をもたらすおそれのある決議及び決定の採択を避けるべきである。

第十九条 電気通信標準化研究委員会及び電気通信標準化諮問委員会
電気通信標準化研究委員会及び電気通信標準化諮問委員会のそれぞれの任務は、条約で定める。

第二十条 電気通信標準化局
電気通信標準化局長の任務は、条約で定める。

第四章 電気通信開発部門

第二十一条 任務及び組織
1 
(1) 電気通信開発部門は、第一条に定める連合の目的を達成することを任務とする。同部門は、また、技術協力及び技術援助のための活動を行い、組織し及び調整することにより電気通信の開発を促進し及び向上させるため、国際連合の専門機関としての及び国際連合の開発のための体制その他の資金供与のための制度の下で事業を実施するための執行機関としての連合の二重の責任を、特定の権限の範囲内で、遂行することを任務とする。
(2) 無線通信部門、電気通信標準化部門及び電気通信開発部門の活動で、開発に係る事項に関するものについては、この憲章の関連規定に従い、緊密な協力の対象とする。
2 第一一八号及び第一一九号の規定の範囲内において、電気通信開発部門の具体的な任務は、次のとおりとする。
(a) 経済的及び社会的発展のための国内計画における電気通信の重要な役割について決定権者の関心を高めること並びに政策及び体制に関する可能な選択肢について情報及び助言を提供すること。
(b) 他の関係機関の活動を考慮して、人的資源の開発、計画の立案、経営管理、資源の移動及び研究開発の能力を強化することにより、特に協力関係を通じて電気通信網及び電気通信業務(特に開発途上国におけるもの)の開発、拡充及び運用を奨励すること。
(c) 地域的な電気通信機関並びに世界的及び地域的な開発金融機関との協力により、電気通信開発部門の開発計画に含まれている事業の良好な実施を確保するため当該事業の進捗状況を注視しつつ、電気通信の発展を促進すること。
(d) 電気通信の分野において開発途上国に対して援助を与えるため、優先的かつ有利な信用枠の形成を奨励すること並びに国際的及び地域的な金融機関及び開発機関と協力することによって、資源の移動を促進すること。
(e) 先進国における電気通信網の発展及び変用を考慮して、開発途上国への適当な技術の移転を促進する計画を推進し及び調整すること。
(f) 開発途上国における電気通信の開発への産業の参加を奨励し、並びに適当な技術の選択及び移転に関する助言を与えること。
(g) 技術、経済、財政、経営管理、規制及び政策に関する事項について、必要に応じ、助言を与え又は研究を行い若しくは支援すること。その研究は、電気通信の分野における特定の事業に関するものを含む。
(h) 電気通信業務の提供を目的として国際的及び地域的な電気通信網を開発することについての調整を円滑にするため、そのような電気通信網に関する総合的な計画の立案に当たり、その他の部門、事務総局その他の関係機関と協力すること。
(i) 第一二一号から第一二八号までに定める任務の遂行に当たり、後発開発途上国のニーズに特別の注意を払うこと。
3 電気通信開発部門の運営は、次のものによって行う。
(a) 世界電気通信開発会議及び地域電気通信開発会議
(b) 電気通信開発研究委員会
(bの2) 電気通信開発諮問委員会
(c) 電気通信開発局(選出された局長が統括する。)
4 電気通信開発部門の構成員は、次のとおりとする。
(a) すべての構成国の主管庁(権利として構成員となる。)
(b) 条約の関連規定により部門構成員となる団体又は機関

第二十二条 電気通信開発会議
1 電気通信開発会議は、電気通信の開発に関係がある問題、事業及び計画を検討するため並びに電気通信開発局に対して指針を与えるための討議の場とする。
2 電気通信開発会議は、次のものから成る。
(a) 世界電気通信開発会議
(b) 地域電気通信開発会議
3 全権委員会議から全権委員会議までの間において、世界電気通信開発会議並びに、資力及び優先度に応じて、地域電気通信開発会議を開催する。
4 電気通信開発会議は、最終文書を作成しないものとする。同会議の結論は、決議、決定、勧告又は報告の形式によるものとし、いかなる場合にも、この憲章、条約及び業務規則の規定に適合するものでなければならない。同会議は、決議及び決定を採択する場合には、予見可能な会計上の影響を考慮しなければならず、また、全権委員会議の定めた会計上の限度額を超える支出をもたらすおそれのある決議及び決定の採択を避けるべきである。
5 電気通信開発会議の任務は、条約で定める。

第二十三条 電気通信開発研究委員会及び電気通信開発諮問委員会
電気通信開発研究委員会及び電気通信開発諮問委員会のそれぞれの任務は、条約で定める。

第二十四条 電気通信開発局
電気通信開発局長の任務は、条約で定める。

第四章のA 各部門の作業の方法
無線通信総会、世界電気通信標準化総会及び世界電気通信開発会議は、それぞれの部門の活動を管理するための作業の方法及び手続を定め及び採択することができる。これらの作業の方法及び手続は、この憲章、条約及び業務規則、特に条約第二四六 D 号から第二四六 H 号までの規定に適合するものでなければならない。

第五章 連合の運営に関するその他の規定

第二十五条 世界国際電気通信会議
1 世界国際電気通信会議は、国際電気通信規則の一部改正又は、例外として、全部改正を行い、及びその他世界的性質を有する問題(同会議の権限内のもの又はその議事日程に関するものに限る。)を取り扱うことができる。
2 世界国際電気通信会議の決定は、いかなる場合にも、この憲章及び条約の規定に適合するものでなければならない。同会議は、決議及び決定を採択する場合には、予見可能な会計上の影響を考慮しなければならず、また、全権委員会議の定めた会計上の限度額を超える支出をもたらすおそれのある決議及び決定の採択を避けるべきである。

第二十六条 調整委員会
1 調整委員会は、事務総局長、事務総局次長及び三部門の局長で構成する。同委員会は、事務総局長が議長となり、事務総局長が不在のときは、事務総局次長が議長となる。
2 調整委員会は、事務総局長に助言を与え、並びに事務、会計、情報システム及び技術協力に関する事項で特定の部門又は事務総局の専属的な権限内にはないすべてのもの並びに対外関係及び広報の分野のすべての事項について事務総局長に実務上の援助を与える内部の運営組織としての任務を行う。同委員会がこれらの事項を検討する場合には、この憲章及び条約の規定、理事会の決定並びに連合全体の利益を十分に考慮する。

第二十七条 連合の役員及び職員
1 
(1) 連合の役員及び職員は、その職務の遂行に当たり、いかなる政府又は連合外のいかなる当局からも指示を求め又は受けてはならない。連合の役員及び職員は、国際公務員としての地位と両立しないいかなる行動も差し控えなければならない。
(2) 構成国及び部門構成員は、連合の役員及び職員の職務の専ら国際的な性質を尊重しなければならず、また、これらの者に対し、その職務の遂行について影響を及ぼそうとすることを差し控えなければならない。
(3) 連合の役員及び職員は、その職務外において、方法のいかんを問わず、電気通信に関係があるいかなる企業にも参加してはならず、また、これと金銭的関係を有してはならない。もっとも、「金銭的関係」という語は、従前の雇用又は勤務に基づく退職年金の支払の継続を妨げるものと解してはならない。
(4) 構成国は、連合の能率的な運営を確保するため、自国民が事務総局長、事務総局次長又は局長に選出された場合には、全権委員会議から全権委員会議までの間にその者を召還することをできる限り差し控えなければならない。
2 職員の採用及び勤務条件の決定に当たっては、最高水準の能率、能力及び誠実性を有する職員の勤務を連合のために確保することの必要性に最大の考慮を払わなければならず、また、できる限り広範な地理的基礎に基づいて職員を採用することの重要性についても妥当な考慮を払わなければならない。

第二十八条 連合の会計
1 連合の経費は、次のものに関する費用から成る。
(a) 理事会
(b) 事務総局及び連合の各部門
(c) 全権委員会議及び世界国際電気通信会議
2 連合の経費は、次のものをもって充てる。
(a) 構成国及び部門構成員の分担金
(b) 条約又は財政規則に定めるその他の収入
2の二 各構成国及び各部門構成員は、第一六〇号から第一六一 I 号までの規定に従って選定した分担等級の単位数に相当する金額を支払う。
2の三 第四三号の地域無線通信会議の経費の負担は、次のように行う。
(a) 関係地域のすべての構成国がその分担等級に従って負担する。
(b) 当該会議に参加したその他の地域の構成国がその分担等級に従って負担する。
(c) 許可された部門構成員及び他の機関であって、条約に従って当該会議に参加したものが負担する。
3 
(1) 構成国及び部門構成員は、連合の経費を負担するための分担等級を任意に選定する。
(2) 構成国による分担等級の選定は、条約に定める分担等級表及び条件並びに次に定める手続に従って、全権委員会議において行う。
(2の2) 部門構成員による分担等級の選定は、条約に定める分担等級表及び条件並びに次に定める手続に従って行う。
3の二 
(1) 理事会は、全権委員会議の直前の会期において、会計に関し当該全権委員会議が取り扱う期間の財政計画案及び分担単位の総数に基づき、分担単位の暫定的な額を定める。
(2) 事務総局長は、構成国及び部門構成員に対し第一六一B号の規定に基づき定められた分担単位の暫定的な額を通知するものとし、また、構成国に対し自国が暫定的に選定した分担等級を全権委員会議の開始の日の遅くとも四週間前に通知するよう要請する。
(3) 全権委員会議は、その最初の週に、構成国が事務総局長に通知した分担等級の変更及び変更されない分担等級を考慮して、第一六一 B 号及び第一六一 C 号の規定に基づき事務総局長がとる手続に従って、分担単位の暫定的な限度額を定める。
(4) 全権委員会議は、修正された財政計画案を考慮して、できる限り速やかに分担単位の額の最終的な限度額を定め、及び構成国が、事務総局長の要請により、最終的に選定した分担等級を通知する期日を、遅くとも全権委員会議が終了する日の属する週の月曜日までのいずれかの日に定める。
(5) 全権委員会議が定める日までに事務総局長に自国の決定を通知しない構成国は、従前に選定した分担等級を維持する。
(6) 全権委員会議は、さらに、構成国が選定した最終的な分担等級及び財政計画の承認の日における部門構成員の分担等級に応じた分担単位の総数に基づき、最終的な財政計画を承認する。
3の三 
(1) 事務総局長は、部門構成員に対し、分担単位の額の最終的な限度額を通知するものとし、また、全権委員会議の閉会の日から三箇月以内に、当該部門構成員が選定した分担等級を通知するよう要請する。
(2) この三箇月の期間内に事務総局長に自己の決定を通知しない部門構成員は、従前に選定した分担等級を維持する。
(3) 全権委員会議が採択した分担等級表の改正は、次回の全権委員会議中における分担等級の選定について適用する。
(4) 構成国及び部門構成員が選定した分担等級は、全権委員会議の後の最初の二年予算から適用する。
4 削除
5 構成国は、分担等級を選定するに当たって、分担等級を二段階を超えて減少させてはならず、また、理事会は、全権委員会議から全権委員会議までの間においてその減少を漸進的に実施する方法について構成国に通知する。ただし、国際的な救援計画の発動を必要とする自然災害のような例外的状況の下において、構成国がその分担単位数を減少させることを要求し、かつ、当初に選定した分担等級における分担金を維持することができなくなったことを立証した場合には、全権委員会議は、分担単位数の二段階を超える減少を承認することができる。
5の二 国際的な救援計画の発動を必要とする自然災害のような例外的状況の下において、構成国がその分担単位数を減少させることを要求し、かつ、当初に選定した分担等級における分担金を維持することができなくなったことを立証した場合には、理事会は、これを承認することができる。
5の三 構成国及び部門構成員は、既に選定した等級よりも高い分担等級をいつでも選定することができる。
6 削除
7 削除
8 構成国及び部門構成員は、理事会が決定した二年予算に基づいて、かつ、理事会が採択することができる調整額を考慮に入れて計算した毎年の分担金額を前払する。
9 連合に対する支払が延滞している構成国は、その延滞している額が直前の二年度について当該構成国の支払うべき分担金の額以上であるときは、第二七号及び第二八号に定める投票の権利を失う。
10 部門構成員及び他の国際機関の分担金に関する具体的な規定は、条約で定める。

第二十九条 言語
1 
(1) 連合の公用語は、英語、アラビア語、中国語、スペイン語、フランス語及びロシア語とする。
(2) 第一七一号に定める言語は、全権委員会議の関連決定に従い、連合における文書の作成及び公表(その作成及び公表は、各言語による文書が形式及び内容において同様となるように行う。)のため、並びに連合の会議中及び会合中における相互間の通訳のために、使用する。
(3) 矛盾又は紛議がある場合には、フランス文による。
2 会議又は会合のすべての参加者が同意するときは、討議は、第一七一号に定める言語よりも少ない数の言語により行うことができる。

第三十条 連合の所在地
連合の所在地は、ジュネーブとする。

第三十一条 連合の法律上の能力
連合は、その任務の遂行及びその目的の達成のために必要な法律上の能力を各構成国の領域において享有する。

第三十二条 連合の会議、総会及び会合の一般規則
1 全権委員会議が採択する連合の会議、総会及び会合の一般規則は、連合の会議及び総会の準備、連合の会議、総会及び会合の業務の組織及び討論の方法並びに理事会の構成員、事務総局長、事務総局次長、各部門の局長及び無線通信規則委員会委員の選挙について適用する。
2 会議、総会及び理事会は、連合の会議、総会及び会合の一般規則の第二章を補足するために不可欠と認める規則を採択することができる。もっとも、このような補足的規則は、この憲章、条約及び当該一般規則の第二章に抵触するものであってはならない。会議又は総会が採択した補足的規則は、会議又は総会の文書として公表する。

第六章 電気通信に関する一般規定

第三十三条 国際電気通信業務を利用する公衆の権利
構成国は、公衆に対し、国際公衆通信業務によって通信する権利を承認する。各種類の通信において、業務、料金及び保障は、すべての利用者に対し、いかなる優先権又は特恵も与えることなく同一とする。

第三十四条 電気通信の停止
1 構成国は、国内法令に従って、国の安全を害すると認められる私報又はその法令、公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる私報の伝送を停止する権利を留保する。この場合には、私報の全部又は一部の停止を直ちに発信局に通知する。ただし、その通知が国の安全を害すると認められる場合は、この限りでない。
2 構成国は、また、国内法令に従って、他の私用の電気通信であって国の安全を害すると認められるもの又はその法令、公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められるものを切断する権利を留保する。

第三十五条 業務の停止
構成国は、国際電気通信業務を全般的に、又は一定の関係若しくは通信の一定の種類(発信、着信又は中継)に限って、停止する権利を留保する。この場合には、停止する旨を事務総局長を経由して直ちに他の構成国に通知する。

第三十六条 責任
構成国は、国際電気通信業務の利用者に対し、特に損害賠償の請求に関しては、いかなる責任も負わない。

第三十七条 電気通信の秘密
1 構成国は、国際通信の秘密を確保するため、使用される電気通信のシステムに適合するすべての可能な措置をとることを約束する。
2 もっとも、構成国は、国内法令の適用又は自国が締約国である国際条約の実施を確保するため、国際通信に関し、権限のある当局に通報する権利を留保する。

第三十八条 電気通信路及び電気通信設備の設置、運用及び保護
1 構成国は、国際電気通信の迅速なかつ不断の交換を確保するために必要な通信路及び設備を最良の技術的条件で設置するため、有用な措置をとる。
2 第一八六号の通信路及び設備は、できる限り、実際の運用上の経験から最良と認められた方法及び手続によって運用し、良好に使用することができる状態に維持し、並びに科学及び技術の進歩に合わせて進歩していくようにしなければならない。
3 構成国は、その管轄の範囲内において、第一八六号の通信路及び設備を保護する。
4 すべての構成国は、特別の取極による別段の定めがある場合を除くほか、その管理の範囲内にある国際電気通信回線の部分の維持を確保するために有用な措置をとる。
構成国は、すべての種類の電気機器及び電気設備の運用が他の構成国の管轄内にある電気通信設備の運用を混乱させることを防ぐため、実行可能な措置をとることの必要性を認める。

第三十九条 違反の通報
構成国は、第六条の規定の適用を容易にするため、この憲章、条約及び業務規則に対する違反に関し、相互に通報し、必要な場合には、援助することを約束する。

第四十条 人命の安全に関する電気通信の優先順位
国際電気通信業務は、海上、陸上、空中及び宇宙空間における人命の安全に関するすべての電気通信並びに世界保健機関の伝染病に関する特別に緊急な電気通信に対し、絶対的優先順位を与えなければならない。

第四十一条 官用電気通信の優先順位
前条及び第四十六条の規定に従うことを条件として、官用電気通信(附属書第一〇一四号参照)は、当事者が特に請求したときは、可能な範囲で、他の電気通信に対して優先順位を有する。

第四十二条 特別取極
構成国は、構成国全体には関係しない電気通信の問題について特別取極を締結する権能を、自国のため並びに認められた事業体及び正当に許可されたその他の事業体のために留保する。ただし、特別取極は、その実施によって、他の構成国の無線通信業務に生じさせ得る有害な混信に関して及び、一般に、他の構成国のその他の電気通信業務の運用に生じさせ得る技術的な支障に関しては、この憲章、条約及び業務規則に抵触してはならない。

第四十三条 地域的会議、地域的取極及び地域的機関
構成国は、地域的に取り扱うことができる電気通信の問題を解決するため、地域的会議を開催し、地域的取極を締結し、及び地域的機関を設置する権利を留保する。地域的取極は、この憲章又は条約に抵触してはならない。

第七章 無線通信に関する特別規定

第四十四条 無線周波数スペクトルの使用及び対地静止衛星軌道その他の衛星軌道の使用
1 構成国は、使用する周波数の数及びスペクトル幅を、必要な業務の運用を十分に確保するために欠くことができない最小限度にとどめるよう努める。このため、構成国は、改良された最新の技術をできる限り速やかに適用するよう努める。
2 構成国は、無線通信のための周波数帯の使用に当たっては、無線周波数及び関連する軌道(対地静止衛星軌道を含む。)が有限な天然資源であることに留意するものとし、また、これらを各国又はその集団が公平に使用することができるように、開発途上国の特別な必要性及び特定の国の地理的事情を考慮して、無線通信規則に従って合理的、効果的かつ経済的に使用しなければならないことに留意する。

第四十五条 有害な混信
1 すべての局は、その目的のいかんを問わず、他の構成国、認められた事業体その他正当に許可を得て、かつ、無線通信規則に従って無線通信業務を行う事業体の無線通信又は無線業務に有害な混信を生じさせないように設置し及び運用しなければならない。
2 各構成国は、認められた事業体その他正当に許可を得て無線通信業務を行う事業体に第一九七号の規定を遵守させることを約束する。
3 構成国は、また、すべての種類の電気機器及び電気設備の運用が第一九七号の無線通信又は無線業務に有害な混信を生じさせることを防ぐため、実行可能な措置をとることの必要性を認める。

第四十六条 遭難の呼出し及び通報
無線通信の局は、遭難の呼出し及び通報を、いずれから発せられたかを問わず、絶対的優位順位において受信し、同様にこの通報に応答し、及び直ちに必要な措置をとる義務を負う。

第四十七条 虚偽の遭難信号、緊急信号、安全信号又は識別信号
構成国は、虚偽の遭難信号、緊急信号、安全信号又は識別信号の伝送又は流布を防ぐために有用な措置をとること並びにこれらの信号を発射する自国の管轄の下にある局を探知し及び識別するために協力することを約束する。

第四十八条 国防機関の設備
1 構成国は、軍用無線設備について、完全な自由を保有する。
2 もっとも、第二〇二号の設備は、遭難の場合において行う救助に関する規定、有害な混信を防ぐためにとる措置に関する規定並びに使用する発射の型式及び周波数に関する業務規則の規定を、当該設備が行う業務の性質に従って、できる限り遵守しなければならない。
3 第二〇二号の設備は、また、公衆通信業務その他業務規則によって規律される業務に参加するときは、原則として、これらの業務に適用される規定に従わなければならない。

第八章 国際連合その他の国際機関及び非構成国との関係

第四十九条 国際連合との関係
国際連合と国際電気通信連合との関係は、これらの機関の間で締結された協定で定める。

第五十条 その他の国際機関との関係
連合は、電気通信の分野における完全な国際的調整の実現に資するため、利害関係を有し又は関連する活動を行う国際機関と協力すべきである。

第五十一条 非構成国との関係
すべての構成国は、構成国でない国と電気通信を交換することを認める条件を定める権能を、自国のため及び認められた事業体のために留保する。構成国でない国から発する電気通信が構成国によって受信されたときは、その通信は、伝送されなければならず、また、当該通信が構成国の通信路を経由する限り、この憲章、条約及び業務規則の義務的規定並びに通常の料金の適用を受ける。

第九章 最終規定

第五十二条 批准、受諾又は承認
1 この憲章及び条約は、署名構成国により、自国の憲法上の規定に従って、単一の文書の形式で、同時に批准され、受諾され又は承認されなければならない。この文書は、できる限り速やかに事務総局長に寄託するものとし、事務総局長は、各文書の寄託を構成国に通報する。
2 
(1) この憲章及び条約の効力発生の日から起算して二年の期間中、署名構成国は、第二〇八号の規定に従って批准書、受諾書又は承認書を寄託していない 場合にも、第二五号から第二八号までの規定により構成国に与えられる権利を有する。
(2) この憲章及び条約の効力発生の日から起算して二年の期間の満了後は、第二〇八号の規定に従って批准書、受諾書又は承認書を寄託していない署名構成国は、これらの文書のうちいずれかのものを寄託しない限り、連合のいかなる会議、理事会のいかなる会期、連合の各部門のいかなる会合又はこの憲章及び条約に従い通信によって行われるいかなる協議においても、投票する資格を有しない。もっとも、この構成国の投票権以外の権利は、影響を受けない。
3 第五十八条の規定に従ってこの憲章及び条約が効力を生じた後は、批准書、受諾書又は承認書は、事務総局長に寄託した日に効力を生ずる。

第五十三条 加入
1 この憲章及び条約に署名しなかった構成国又は第二条の(b)若しくは(c)の適用を受けるその他の国は、当該その他の国については同条の規定に従うことを条件として、いつでもこの憲章及び条約に加入することができる。加入は、この憲章及び条約の双方を対象とする単一の文書の形式で同時に行う。
2 加入書は、事務総局長に寄託する。事務総局長は、加入書を受領したときは直ちにこれを構成国に通報し、その認証謄本を構成国に送付する。
3 第五十八条の規定に従ってこの憲章及び条約が効力を生じた後は、加入書は、別段の表示がない限り、事務総局長に寄託した日に効力を生ずる。

第五十四条 業務規則
1 第四条に規定する業務規則は、拘束力を有する国際的な文書であり、また、この憲章及び条約の規定に適合するものでなければならない。
2 前二条の規定に従って行うこの憲章及び条約の批准、受諾若しくは承認又はこれらの文書への加入は、権限のある世界会議がこの憲章及び条約の署名の日前に採択した業務規則に拘束されることについての同意をも含む。この同意は、業務規則又はその改正の署名の際に付した留保が批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の時に維持されている限度において、当該留保を害するものではない。
 第二一六号に規定する業務規則は、第八九号及び第一四六号の規定を適用して採択され、効力を生ずることがある改正に従うことを条件として、効力を有する。業務規則の一部改正又は全部改正は、その改正の効力発生前にその改正に拘束されることについて同意する旨を事務総局長に通告した構成国についてのみ、その改正に定める日に効力を生ずる。
 構成国は、業務規則の一部改正又は全部改正に拘束されることについての同意を、その改正の批准書、受諾書、承認書若しくは加入書を事務総局長に寄託することにより、又はその改正に拘束されることについての同意を事務総局長に通告することによって表明する。
 構成国は、また、次条又は条約第四十二条の規定に従って行うこの憲章又は条約の改正の批准、受諾若しくは承認又はこれらへの加入が、この憲章又は条約の改正の署名前に権限のある会議が採択した業務規則の一部改正又は全部改正に自国が拘束されることについての同意をも含む旨通告することができる。第二一七 B 号に規定する通告は、構成国によるこの憲章又は条約の改正の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の時に行う。
 業務規則の改正は、その改正に署名した構成国であって、第二一七 A 号及び第二一七 B 号の規定に従いその改正に拘束されることについての同意を事務総局長に通告しなかったものについては、その改正の効力発生の日から暫定的に適用する。ただし、当該構成国がその改正の署名の際に反対する場合は、この限りでない。
4 第二一七 D 号に規定する暫定的な適用は、構成国が業務規則の改正に拘束されることについての同意に関する決定を事務総局長に通告するときまで継続する。
削除
 構成国が、業務規則の改正の効力発生の日から起算して三十六箇月の期間内に、その改正に拘束されることについての同意に関する決定を第二一八号の規定に基づいて事務総局長に通告しない場合には、当該構成国は、当該改正に拘束されることについて同意したものとみなす。
 第二一七 D 号に規定する暫定的な適用又は拘束されることについての第二二一 A 号に規定する同意は、業務規則の改正の署名の際に関係構成国が付した留保を害するものではない。関係構成国が、拘束されることについて第二一六 A号、第二一七 A 号、第二一七 B 号及び第二一八号に規定する同意を事務総局長に通告する場合において、業務規則又はその改正の署名の際に付した留保を維持するときは、当該同意は、当該留保を害するものではない。
7 事務総局長は、この条の規定により受領した通告を速やかに構成国に通報する。

第五十五条 この憲章の改正に関する規定
1 構成国は、この憲章の改正を提案することができる。その提案は、すべての構成国への送付及びすべての構成国による検討が十分な余裕をもって行われ得るように、全権委員会議の開会の日の遅くとも八箇月前に、事務総局長に到着しなければならない。事務総局長は、できる限り速やかに、かつ、全権委員会議の開会の日の遅くとも六箇月前に、当該提案をすべての構成国の情報のために公表する。
2 もっとも、第二二四号の規定に従って提出された改正案に対する修正案については、構成国又は全権委員会議におけるその代表団は、これをいつでも提出することができる。
3 全権委員会議の本会議においてこの憲章の改正案又はこれに対する修正案を審議する場合には、全権委員会議に派遣された代表団の二分の一を超える代表団が出席していなければならない。
4 この憲章の改正案に対する修正案及び改正案全体(修正されたものであるかないかを問わない。)は、採択されるためには、本会議において、全権委員会議に派遣されかつ投票権を有する代表団の少なくとも三分の二によって承認されなければならない。
5 第二二四号から第二二七号までに特に規定する場合を除くほか、連合の会議、総会及び会合の一般規則を適用する。
6 全権委員会議が採択したこの憲章のすべての改正は、全体として、かつ、単一の改正文書の形式で、当該全権委員会議が定めた日に、この憲章及び当該改正文書の批准書、受諾書、承認書又は加入書をその日前に寄託した構成国の間において効力を生ずる。当該改正文書の一部のみの批准、受諾若しくは承認又はこれへの加入は、認めない。
7 事務総局長は、改正文書の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託をすべての構成国に通報する。
8 改正文書の効力発生の後に行われる第五十二条及び第五十三条の規定による批准、受諾、承認又は加入は、改正された憲章に対して行われるものとする。
9 事務総局長は、改正文書の効力発生の後、国際連合憲章第百二条の規定により、当該改正文書を国際連合事務局に登録する。第二四一号の規定は、改正文書について準用する。

第五十六条 紛争の解決
1 構成国は、この憲章、条約又は業務規則の解釈又は適用に関する問題の紛争を、交渉によって、外交上の経路によって、国際紛争の解決のために締結する二国間若しくは多数国間の条約で定める手続によって又は合意により定めることのできるその他の方法によって解決することができる。
2 第二三三号に定めるいずれの解決方法も採用されなかったときは、紛争当事者である構成国は、条約で定める手続に従って、紛争を仲裁に付することができる。
3 この憲章、条約及び業務規則に係る紛争の義務的解決に関する選択議定書は、当該選択議定書の締約国である構成国の間において適用する。

第五十七条 この憲章及び条約の廃棄
1 この憲章及び条約を批准し、受諾し、承認し又はこれらに加入した構成国は、これらを廃棄する権利を有する。この憲章及び条約を廃棄する場合には、事務総局長にあてた通告により、単一の文書の形式で、同時に廃棄する。事務総局長は、その通告を受領したときは、これを他の構成国に通報する。
2 廃棄は、事務総局長が通告を受領した日から一年の期間が満了した時に効力を生ずる。

第五十八条 効力発生及び関係事項
1 追加全権委員会議(千九百九十二年ジュネーブ)によって採択されたこの憲章及び条約は、千九百九十四年七月一日に、批准書、受諾書、承認書又は加入書を同日前に寄託した構成国の間において効力を生ずる。
2 この憲章及び条約は、第二三八号に定める効力発生の日に、この憲章及び条約の締約国の間においては、ナイロビ国際電気通信条約(千九百八十二年)を廃止し、これに代わる。
3 連合の事務総局長は、国際連合憲章第百二条の規定により、この憲章及び条約を国際連合事務局に登録する。
4 英語、アラビア語、中国語、スペイン語、フランス語及びロシア語で作成されたこの憲章及び条約の原本は、連合に寄託保存する。事務総局長は、各署名構成国に対し、要請された言語により、認証謄本一通を送付する。
5 この憲章及び条約の各言語による条約文の間に矛盾がある場合には、フランス文による。
以上の証拠として、下名の全権委員は、この国際電気通信連合憲章の原本及び国際電気通信連合条約の原本に署名した。
千九百九十二年十二月二十二日にジュネーブで作成した。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

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 今日は、大正時代の1924年(大正13)に、上野公園・上野動物園が宮内省から東京市に下賜された日です。
 上野公園(うえのこうえん)は、東京都台東区にあるある都立公園で、正式名称は上野恩賜公園とされました。上野動物園、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館、東京都美術館、東京文化会館、東京芸術大学など多くの文化施設があり、都内随一のサクラの名所としても知られ、面積53.2万㎡あります。
 江戸時代は寛永寺の境内でしたが、1868年(慶応4)の彰義隊の戦いで寛永寺の建物が焼失し、その跡地が1873年(明治6)1月15日の公園開設の「明治6年太政官布達第16号」により、同年3月25日には、芝、飛鳥山、深川、浅草と共に最初の5公園の一つとして正式指定されて東京府公園となりました。1875年(明治8)に不忍池(しのばずのいけ)周辺も編入され、翌年1月には、東京府から内務省博物局に移管、博物館所属の公園地となります。
 その後、造営が進められ完成に伴って、同年5月9日に明治天皇行幸で開園式が行われました。1877年(明治10)に第1回内国勧業博覧会がこの公園で開催され、以後第3回まで続きます。1882年(明治15)に上野動物園、寛永寺本堂跡に現在の東京国立博物館、1887年(明治20)に美術学校・音楽学校(現在の東京芸術大学)などが開設、移築されました。1924年(大正13)1月28日には、昭和天皇御成婚記念として不忍池とともに東京市に下賜され、一般に開放されて上野恩賜公園と命名されています。
 上野動物園(うえのどうぶつえん)は、明治時代前期の1882年(明治15)3月20日に、その前身が農商務省博物局付属の動物園として、東京府下谷区(現在の東京都台東区)に開園した日本最初の動物園です。その後宮内省の管轄を経て、1924年(大正13)1月28日には、東京市に下賜され、現在は、東京都立の動物園となりました。
 総面積は14万2898平方mで、東園と西園に分かれ、こども動物園、動物園ホールなどもあり、約500種、3000点余の動物が飼育展示されています。現在、日本一の入園者数を記録する動物園となっていて、愛らしいパンダの姿が人気となっています。
 以下に、公園開設時の「明治6年太政官布達第16号」を掲載しておきますから、ご参照下さい。

〇「明治6年太政官布達第16号」1873年(明治6)1月15日

三府ヲ始、人民輻輳ノ地ニシテ、古来ノ勝区名人ノ旧跡地等是迄群集遊観ノ場所 {東京ニ於テハ金龍山浅草寺、東叡山寛永寺境内ノ類、京都ニ於テハ八坂社、清水ノ境内、嵐山ノ類、総テ社寺境内除地或ハ公有地ノ類} 従前高外除地ニ属セル分ハ永ク万人偕楽ノ地トシ、公園ト可被相定ニ付、府県ニ於テ右地所ヲ択ヒ、其景況巨細取調、図面相添ヘ大蔵省ヘ伺出ヘシ

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712年(和銅5)太安万侶が編纂した『古事記』が完成し、元明天皇に献上される(新暦3月9日)詳細
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1912年(明治45)放射線医学者高橋信次の誕生日詳細
1946年(昭和21)GHQが「映画検閲に関する覚書」(SCAPIN-658)を出す詳細
1948年(昭和23)関西汽船「女王丸」が瀬戸内海で触雷して沈没、死者・行方不明者188名を出す(女王丸沈没事故)詳細

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uchyuukuukan01
 今日は、昭和時代後期の1967年(昭和42)に、「宇宙条約」が署名開放され、日本が署名した日です。
 「宇宙条約」(うちゅうじょうやく)は、正式名称を「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」と言い、宇宙の平和利用、領有の否定、軍事利用禁止、国際協力などを内容とする国際条約でした。1966年(昭和41)12月19日に採択された第21会期国連総会決議2222号で、1967年(昭和42)1月27日に署名開放されて日本も署名し、同年10月10日に発効しています。
 六つの基本原則(平和利用原則、宇宙利用原則、宇宙活動自由の原則、領有禁止原則、国際協力原則、他国利益尊重)を組み込んでいて、天体は完全に非軍事化されましたが、宇宙空間の軍事衛星などは禁止されませんでした。2012年(平成24)12月12日現在で、署名26ヶ国、批准101ヶ国となっています。
 以下に、「宇宙条約」の英語版原文と日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「宇宙条約」1966年(昭和41)12月19日採択、1967年(昭和42)1月27日署名、10月10日発効

<英語版原文>

Treaty on Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space, including the Moon and Other Celestial Bodies

 The States Parties to this Treaty,
 Inspired by the great prospects opening up before mankind as a result of man's entry into outer space, Recognizing the common interest of all mankind in the progress of the exploration and use of outer space for peaceful purposes,
 Believing that the exploration and use of outer space should be carried on for the benefit of all peoples irrespective of the degree of their economic or scientific development,
 Desiring to contribute to broad international co-operation in the scientific as well as the legal aspects of the exploration and use of outer space for peaceful purposes,
 Believing that such co-operation will contribute to the development of mutual understanding and to the strengthening of friendly relations between States and peoples,
 Recalling resolution 1962 (XVIII), entitled "Declaration of Legal Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space",which was adopted unanimously by the United Nations General Assembly on 13 December 1963,
 Recalling resolution 1884 (XVIII), calling upon States to refrain from placing in orbit around the earth any objects carrying nuclear weapons or any other kinds of weapons of mass destruction or from installing such weapons on celestial 
bodies, which was adopted unanimously by the United Nations General Assembly on 17 October 1963,
 Taking account of United Nations General Assembly resolution 110 (II) of 3 November 1947, which condemned propaganda designed or likely to provoke or encourage any threat to the peace, breach of the peace or act of aggression, and considering that the aforementioned resolution is applicable to outer space,
 Convinced that a Treaty on Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space, including the Moon and Other Celestial Bodies, will further the purposes and principles of the Charter of the United 
Nations,
 Have agreed on the following:

 Article I
 The exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, shall be carried out for the benefit and in the interests of all countries, irrespective of their degree of economic or scientific development, and 
shall be the province of all mankind.
 Outer space, including the moon and other celestial bodies, shall be free for exploration and use by all States without discrimination of any kind, on a basis of equality and in accordance with international law, and there shall be free access to all areas of celestial bodies.
 There shall be freedom of scientific investigation in outer space, including the moon and other celestial bodies, and States shall facilitate and encourage international co-operation in such investigation.

 Article II
 Outer space, including the moon and other celestial bodies, is not subject to national appropriation by claim of sovereignty, by means of use or occupation, or by any other means.

 Article III
 States Parties to the Treaty shall carry on activities in the exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, in accordance with international law, including the Charter of the United Nations, in the interest of maintaining international peace and security and promoting international cooperation and understanding.

 Article IV
 States Parties to the Treaty undertake not to place in orbit around the earth any objects carrying nuclear weapons or any other kinds of weapons of mass destruction, install such weapons on celestial bodies, or station such weapons in 
outer space in any other manner.
 The moon and other celestial bodies shall be used by all States Parties to the Treaty exclusively for peaceful purposes. The establishment of military bases, installations and fortifications, the testing of any type of weapons and the 
conduct of military manoeuvres on celestial bodies shall be forbidden. The use of military personnel for scientific research or for any other peaceful purposes shall not be prohibited. The use of any equipment or facility necessary for peaceful exploration of the moon and other celestial bodies shall also not be prohibited.Article V
 States Parties to the Treaty shall regard astronauts as envoys of mankind in outer space and shall render to them all possible assistance in the event of accident, distress, or emergency landing on the territory of another State Party 
or on the high seas. When astronauts make such a landing, they shall be safely and promptly returned to the State of registry of their space vehicle.
 In carrying on activities in outer space and on celestial bodies, the astronauts of one State Party shall render all possible assistance to the astronauts of other States Parties.
 States Parties to the Treaty shall immediately inform the other States Parties to the Treaty or the Secretary-General of the United Nations of any phenomena they discover in outer space, including the moon and other celestial bodies, 
which could constitute a danger to the life or health of astronauts.

 Article VI
 States Parties to the Treaty shall bear international responsibility for national activities in outer space, including the moon and other celestial bodies, whether such activities are carried on by governmental agencies or by non-governmental entities, and for assuring that national activities are carried out in conformity with the provisions set forth in the present Treaty. The activities of nongovernmental entities in outer space, including the moon and other celestial bodies, shall require authorization and continuing supervision by the appropriate State Party to the Treaty. When activities are carried on in outer space, including the moon and other celestial bodies, by an international organization, responsibility for compliance with this Treaty shall be borne both by the international organization and by the States Parties to the Treaty participating in such organization.

 Article VII
 Each State Party to the Treaty that launches or procures the launching of an object into outer space, including the moon and other celestial bodies, and each State Party from whose territory or facility an object is launched, is internationally liable for damage to another State Party to the Treaty or to its natural or juridical persons by such object or its component parts on the Earth, in air or in outer space, including the moon and other celestial bodies.

 Article VIII
 A State Party to the Treaty on whose registry an object launched into outer space is carried shall retain jurisdiction and control over such object, and over any personnel thereof, while in outer space or on a celestial body. Ownership of objects launched into outer space, including objects landed or constructed on a celestial body, and of their component parts, is not affected by their presence in outer space or on a celestial body or by their return to the Earth. Such objects or component parts found beyond the limits of the State Party to the Treaty on whose registry they are carried shall be returned to that State Party, which shall, upon request, furnish identifying data prior to their return.

 Article IX
 In the exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, States Parties to the Treaty shall be guided by the principle of co-operation and mutual assistance and shall conduct all their activities in outer space, including the moon and other celestial bodies, with due regard to the corresponding interests of all other States Parties to the Treaty. States Parties to the Treaty shall pursue studies of outer space, including the moon and other celestial bodies, and conduct exploration of them so as to avoid their harmful contamination and also adverse changes in the environment of the Earth resulting from the introduction of extraterrestrial matter and, where necessary, shall adopt appropriate measures for this purpose. If a State Party to the Treaty has reason to believe that an activity or experiment planned by it or its nationals in outer space, including the moon and other celestial bodies, would cause potentially harmful interference with activities of other States Parties in the peaceful exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, it shall undertake appropriate international consultations before proceeding with any such activity or experiment. A State Party to the Treaty which has reason to believe that an activity or experiment planned by another State Party in outer space, including the moon and other celestial bodies, would cause potentially harmful interference with activities in the peaceful exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, may request consultation concerning the activity or experiment.

 Article X
 In order to promote international co-operation in the exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, in conformity with the purposes of this Treaty, the States Parties to the Treaty shall consider on a basis of equality any requests by other States Parties to the Treaty to be afforded an opportunity to observe the flight of space objects launched by those States. The nature of such an opportunity for observation and the conditions 
under which it could be afforded shall be determined by agreement between the 
States concerned.

 Article XI
 In order to promote international co-operation in the peaceful exploration and use of outer space, States Parties to the Treaty conducting activities in outer space, including the moon and other celestial bodies, agree to inform the 
Secretary-General of the United Nations as well as the public and the international scientific community, to the greatest extent feasible and practicable, of the nature, conduct, locations and results of such activities. On receiving the 
said information, the Secretary-General of the United Nations should be prepared to disseminate it immediately and effectively.

 Article XII
 All stations, installations, equipment and space vehicles on the moon and other celestial bodies shall be open to representatives of other States Parties to the Treaty on a basis of reciprocity. Such representatives shall give easonable 
advance notice of a projected visit, in order that appropriate consultations may be held and that maximum precautions may betaken to assure safety and to avoid interference with normal operations in the facility to be visited.

 Article XIII
 The provisions of this Treaty shall apply to the activities of States Parties to the Treaty in the exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, whether such activities are carried on by a single State Party to the Treaty or jointly with other States, including cases where they are carried on within the framework of international intergovernmental organizations.
 Any practical questions arising in connection with activities carried on by international intergovernmental organizations in the exploration and use of outer space, including the moon and other celestial bodies, shall be resolved by the 
States Parties to the Treaty either with the appropriate international organization or with one or more States members of that international organization, which are Parties to this Treaty.

 Article XIV
1. This Treaty shall be open to all States for signature. Any State which does not sign this Treaty before its entry into force in accordance with paragraph 3 of this article may accede to it at anytime.
2. This Treaty shall be subject to ratification by signatory States. Instruments of ratification and instruments of accession shall be deposited with the Governments of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland, the Union of Soviet Socialist Republics and the United States of America, which are hereby designated the Depositary Governments.
3. This Treaty shall enter into force upon the deposit of instruments of ratification by five Governments including the Governments designated as Depositary Governments under this Treaty.
4. For States whose instruments of ratification or accession are deposited subsequent to the entry into force of this Treaty, it shall enter into force on the date of the deposit of their instruments of ratification or accession.
5. The Depositary Governments shall promptly inform all signatory and acceding States of the date of each signature, the date of deposit of each instrument of ratification of and accession to this Treaty, the date of its entry into force and other notices.
6. This Treaty shall be registered by the Depositary Governments pursuant to Article 102 of the Charter of the United Nations.

 Article XV
 Any State Party to the Treaty may propose amendments to this Treaty. Amendments shall enter into force for each State Party to the Treaty accepting the amendments upon their acceptance by a majority of the States Parties to the 
Treaty and thereafter for each remaining State Party to the Treaty on the date of acceptance by it.

 Article XVI
 Any State Party to the Treaty may give notice of its withdrawal from the Treaty one year after its entry into force by written notification to the Depositary Governments. Such withdrawal shall take effect one year from the date of 
receipt of this notification.

 Article XVII
 This Treaty, of which the English, Russian, French, Spanish and Chinese texts are equally authentic, shall be deposited in the archives of the Depositary Governments. Duly certified copies of this Treaty shall be transmitted by the 
Depositary Governments to the Governments of the signatory and acceding States.

 IN WITNESS WHEREOF the undersigned, duly authorized, have signed this Treaty.
DONE in triplicate, at the cities of London, Moscow and Washington, the twentyseventh day of January, one thousand nine hundred and sixty-seven

<日本語訳>

月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約

 この条約の当事国は、
 人間の宇宙空間への進入の結果、人類の前に展開する広大な将来性に鼓舞され、
 平和目的のための宇宙空間の探査及び利用の進歩が全人類の共同の利益であることを認識し、
 宇宙空間の探査及び利用がすべての人民のために、その経済的又は科学的発展の程度にかかわりなく、行われなければならないことを信じ、
 平和目的のための宇宙空間の探査及び利用の科学面及び法律面における広範な国際協力に貢献することを希望し、
 この国際協力が、諸国間及び諸人民間の相互理解の増進及び友好関係の強化に貢献することを信じ、
 1963年12月13日に国際連合総会が全会一致で採択した決議1962号(第18会期)「宇宙空間の探査
及び利用における国家活動を律する法原則に関する宣言」を想起し、
 核兵器若しくは他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せること又はこれらの兵器を天体に設置することを慎むように諸国に要請する1963年10月17日の国際連合総会の全会一致の採択による決議1884号(第18会期)を想起し、
 平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為を誘発し若しくは助長することを意図し、又はこれらを誘発し若しくは助長する恐れのある宣伝を非難する1947年11月3日の国際連合決議110号(第2会期)を考慮し、かつ、この決議が宇宙空間に適用されることを考慮し、
 月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約が、国際連合憲章の目的及び原則を助長するものであることを確信して、
 次のとおり協定した。

第1条 月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用は、すべての国の利益のために、その経済的又は科学的発展の程度にかかわりなく行われるものであり、全人類に認められる活動分野である。
月その他の天体を含む宇宙空間は、すべての国がいかなる種類の差別もなく、平等の基礎に立ち、かつ、国際法に従って、自由に探査し及び利用できるものとし、また天体のすべての地域への立入は、自由である。
月その他の天体を含む宇宙空間における科学的調査は、自由であり、また、諸国はこの調査における国際協力を容易にし、かつ、奨励するものとする。

第2条 月その他の天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない。

第3条 条約の当事国は、国際連合憲章を含む国際法に従って、国際の平和及び安全の維持並びに国際間の協力及び理解の促進のために、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における活動を行わなけばならない。

第4条 条約の当事国は、核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、これらの兵器を天体に設置しないこと並びに他のいかなる方法によってもこれらの兵器を宇宙空間に配置しないことを約束する。
月その他の天体は、もっぱら平和目的のために、条約のすべての当事国によって利用されるものとする。天体上においては、軍事基地、軍事施設及び防備施設の設置、あらゆる型の兵器の実験並びに軍事演習の実施は、禁止する。科学的研究その他の平和的目的のために軍の要員を使用することは、禁止しない。月その他の天体の平和的探査のために必要なすべての装備又は施設を使用することも、また、禁止しない。

第5条 条約の当事国は、宇宙飛行士を宇宙空間への人類の使節とみなし、事故、遭難又は他の当事国の領域若しくは公海における緊急着陸の場合には、その宇宙飛行士にすべての可能な援助を与えるものとする。宇宙飛行士は、そのような着陸を行ったときは、その宇宙飛行士の登録国へ安全かつ迅速に送還されるものとする。
いずれかの当事国の宇宙飛行士は、宇宙空間及び天体上において活動を行うときは、他の当事国の宇宙飛行士にすべての可能な援助を与えるものとする。
条約の当事国は、宇宙飛行士の生命又は健康に危険となるおそれのある現象を、月その他の天体を含む宇宙空間において発見したときは、直ちに、これを条約の他の当事国又は国際連合事務総長に通報するものとする。

第6条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間における自国の活動について、それが政府機関によって行われるか非政府団体によって行われるかを問わず、国際責任を有し、自国の活動がこの条約の規定に従って行われることを確保する国際的責任を有する。月その他の天体を含む宇宙空間における非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督を必要とするものとする。国際機関が、月その他の天体を含む宇宙空間において活動を行う場合には、当該国際機関及びこれに参加する条約当事国の双方がこの条約を遵守する責任を有する。

第7条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間に物体を発射し若しくは発射させる場合又は自国の領域若しくは施設から物体が発射される場合には、その物体又はその構成部分が地球上、大気空間又は月その他の天体を含む宇宙空間において条約の他の当事国又はその自然人若しくは法人に与える損害について国際責任を有する。

第8条 宇宙空間に発射された物体が登録されている条約の当事国は、その物体及びその乗員に対し、それらが宇宙空間又は天体上にある間、管轄権及び管理権を保持する。宇宙空間に発射された物体(天体上に着陸させられ又は建造された物体を含む。)及びその構成部分の所有権は、それらが宇宙空間若しくは天体上にあること又は地球に帰還することによって影響を受けない。これらの物体又は構成部分は、物体が登録されている条約の当事国の領域外で発見されたときは、その当事国に、返還されるものとする。その当事国は、要請されたときは、それらの物体又は構成部分の返還に先立ち、識別のための資料を提供するものとする。

第9条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用において、協力及び相互援助の原則に従うものとし、かつ、条約の他のすべての当事国の対応する利益に妥当な考慮を払って、月その他の天体を含む宇宙空間におけるすべての活動を行うものとする。条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間の有害な汚染、及び地球外物質の導入から生ずる地球環境の悪化を避けるように月その他の天体を含む宇宙空間の研究及び探査を実施、かつ、必要な場合には、このための適当な措置を執るものとする。条約の当事国は、自国又は自国民によって計画された月その他の天体を含む宇宙空間における活動又は実験が月その他の天体を含む宇宙空間の平和的探査及び利用における他の当事国の活動に潜在的に有害な干渉を及ぼすおそれがあると信ずる理由があるときは、その活動又は実験が行われる前に、適当な国際的協議を行うものとする。条約の当事国は、他の当事国が計画した月その他の天体を含む宇宙空間における活動又は実験が月その他の天体を含む宇宙空間の平和的な探査及び利用における活動に潜在的に有害な干渉を及ぼすおそれがあると信ずる理由があるときは、その活動又は実験に関する協議を要請することができる。

第10条 条約の当事国は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国際協力をこの条約の目的に従って促進するために、条約の他の当事国が打ち上げる宇宙物体の飛行を観測する機会を与えられることについての当該他の当事国の要請に対し、平等の原則に基づいて考慮を払うものとする。
その観測の機会の性質及びその機会が与えられる条件は、関係国間の合意により決定されるものとする。

第11条 月その他の天体を含む宇宙空間における活動を行う条約の当事国は、宇宙空間の平和的な探査及び利用における国際協力を促進するために、その活動の性質、実施状況、場所及び結果について、国際連合事務総長並びに公衆及び国際科学界に対し、実行可能な最大限度まで情報を提供することに合意する。
国際連合事務総長は、この情報を受けたときは、それが迅速かつ効果的に公表されるようにするものとする。

第12条 月その他の天体上のすべての基地、施設、装備及び宇宙機は、相互主義に基づいて、条約の他の当事国の代表者に開放される。これらの代表者は、適当な協議が行われるため及び訪問する施設等における安全を確保し、かつ、そこでの正常な作業に対する干渉を避けるように最大限の予防措置が執られるために、計画された訪問につき合理的な予告を行うものとする。

第13条 この条約の規定は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における条約の当事国の活動に適用するものとし、それらの活動が条約の一の当事国により行われる場合であるか他の国家と共同で行われる場合(政府間国際機関の枠内で行われる場合を含む。)であるかを問わない。
月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における政府間国際機関が行う活動に関連して生ずる実際的問題は、条約の当事国が、当該国際機関又はその加盟国でこの条約の当事国である一若しくは二以上の国と共同して解決するものとする。

第14条
 1.この条約は、署名のためすべての国に開放される。この条約が3の規定に従って効力を生ずる前にこの条約に署名しない国は、いつでもこの条約に加入することができる。
 2.この条約は、署名国により批准されなければならない。批准書及び加入書は、寄託国政府として指定されたアメリカ合衆国、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国並びにソヴィエト社会主義共和国連邦の政府に寄託するものとする。
 3.この条約は、この条約により寄託国政府として指定された政府を含む5の政府が批准書を寄託したときに効力を生ずる。
 4.この条約の効力発生後に批准書又は加入書を寄託する国については、この条約はその批准書又は加入書の寄託の日に効力を生じる。
 5.寄託国政府は、すべての署名国及び加入国に対し、署名の日、この条約の批准書及び加入書の寄託の日、この条約の効力発生の日その他についてすみやかに通報するものとする。
 6.この条約は、寄託国政府が国際連合憲章第102条の規定に従って登録するものとする。

第15条 条約のいずれの当事国も、この条約の改正を提案することができる。改正は、条約の当事国の過半数がこれを受諾した時に、その改正を受諾した条約の当事国について効力を生じ、その後は、条約の他の各当事国については、その国による受諾の日に効力を生ずる。

第16条 条約のいずれの当事国も、この条約の効力発生の後1年を経過したときは、寄託国政府にあてた通告書により、条約からの脱退を通告することができる。その脱退は、通告書の受領の日から1年で効力を生ずる。

第17条 この条約は、英語、ロシア語、フランス語、スペイン語及び中国語による本文をひとしく正文とし、寄託国政府に寄託するものとする。この条約の認証謄本は、寄託国政府が署名国及び加入国の政府に寄託するものとする。
 以上の証拠として、下名は正当に委任を受け、この条約に署名した。
 1967年1月27日にワシントン市、ロンドン市及びモスクワ市で本書3通を作成した。

  「国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)ホームページ」より

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