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 今日は、明治時代前期の1879年(明治12)に、日本が国際電信連合(現在の国際電気通信連合)に加盟した日です。
 国際電気通信連合(こくさいでんきつうしんれんごう)は、「国際電気通信条約」に基づき、電気通信の改善と合理的利用、および国際協力を図ることを目的とする国際組織で、国際連合の専門機関の一つで、略称はITUとされてきました。起源は、1865年(元治元)に、ヨーロッパの20ヶ国が設立した国際電信連合で、その後、国際無線電信連合を合体して、マドリード「国際電気通信条約」(1932年作成、1934年発効)により今日の形となります。
 第二次世界大戦後、「アトランティック・シティ条約」(1947年作成)および国連との協定で国連の専門機関となりました。その中で、国際的な周波数の分配、電気通信の標準化、開発途上国に対する技術協力などにより、通信資源の合理的、公平、効果的かつ経済的な使用のための活動を行っています。
 日本は1879年(明治12)に、国際電信連合の時に加盟、第2次世界大戦後の一時期に離れましたが、1949年(昭和24)に再加入し、1959年(昭和34)以降、理事会のメンバーとなり、技術の標準化、分担金の提供、役員などで寄与してきました。現在は、主として、①放送や衛星通信等無線通信で使用される電波の国際的な分配及び混信防止のための国際的な調整、②電話やファクシミリ、移動体通信、ハイビジョン等電気通信の世界的な標準化の促進、③開発途上国に対する技術援助の促進を行っていて、2012年(平成24)現在の加盟国は、193ヶ国となっています。
 以下に、現行の「国際電気通信連合憲章」の日本語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「国際電気通信連合憲章」(平成7年1月18日条約第2号)

第一章 基本規定

第一条 連合の目的
1 連合の目的は、次のとおりとする。
(a) すべての種類の電気通信の改善及び合理的利用のため、すべての構成国の間における国際協力を維持し及び増進すること。
(aの2) 連合の目的として掲げられたすべての目的を達成するため、団体及び機関の連合の活動への参加を促進し及び拡大させ、並びに当該団体及び機関と構成国との間の実りある協力及び連携を促進すること。
(b) 電気通信の分野において開発途上国に対する技術援助を促進し及び提供すること、その実施に必要な物的資源、人的資源及び資金の移動を促進すること並びに情報の取得を促進すること。
(c) 電気通信業務の能率を増進し、その有用性を増大し、及び公衆によるその利用をできる限り普及するため、技術的手段の発達及びその最も能率的な運用を促進すること。
(d) 新たな電気通信技術の便益を全人類に供与するよう努めること。
(e) 平和的関係を円滑にするため、電気通信業務の利用を促進すること。
(f) これらの目的を達成するため、構成国の努力を調和させ、並びに構成国と部門構成員との間の実りあるかつ建設的な協力及び連携を促進すること。
(g) 経済社会の情報化が世界的に進展していることにかんがみ、地域的及び世界的な他の政府間機関並びに電気通信に関係がある非政府機関と協力して、電気通信の問題に対する一層広範な取組方法の採用を国際的に促進すること。
2 このため、連合は、特に次のことを行う。
(a) 各国の無線通信の局の間の有害な混信を避けるため、無線周波数スペクトル帯の分配、無線周波数の割り振り及び周波数割当ての登録(宇宙業務のため、対地静止衛星軌道上の関連する軌道位置又は他の軌道上の衛星の関連する特性を登録することを含む。)を行うこと。
(b) 各国の無線通信の局の間の有害な混信を除去するため並びに無線通信業務に係る無線周波数スペクトルの使用及び対地静止衛星軌道その他の衛星軌道の使用を改善するための努力を調整すること。
(c) 満足すべき業務の質を保ちつつ、電気通信の世界的な標準化を促進すること。
(d) 連合が有するすべての手段(必要な場合には、連合が国際連合の適当な計画に参加すること及び自己の資源を使用することを含む。)により、開発途上国に対する技術援助を確保するための国際協力及び連帯を促進し、並びに開発途上国における電気通信設備及び電気通信網の創設、拡充及び整備を促進すること。
(e) 電気通信手段、特に宇宙技術を使用する電気通信手段が有する可能性を十分に利用することができるように、これらの手段の発達を調和させるための努力を調整すること。
(f) 電気通信の良好な業務及び健全なかつ独立の経理と両立する範囲内で、できる限り低い基準の料金を設定するため、構成国及び部門構成員の間の協力を促進すること。
(g) 電気通信業務の協力によって人命の安全を確保する措置の採用を促進すること。
(h) 電気通信に関し、研究を行い、規則を定め、決議を採択し、勧告及び希望を作成し、並びに情報の収集及び公表を行うこと。
(i) 国際的な金融機関及び開発機関と共に、社会的な事業計画、特に、電気通信業務を各国において最も孤立した地域にまで提供することを目的とするものを進展させるための優先的かつ有利な信用枠の形成を促進することに従事すること。
(j) 連合の目的を達成するため、関係団体の連合の活動への参加及び地域的機関その他の機関との協力を奨励すること。

第二条 連合の構成
国際電気通信連合は、政府間機関であり、当該機関においては、構成国及び部門構成員は、明確な権利及び義務を有し、連合の目的の達成のために協力する。連合は、普遍性の原則を考慮し、かつ、連合への普遍的な参加が望ましいことを考慮して、次の国で構成する。
(a) この憲章及び条約の効力発生前にいずれかの国際電気通信条約の締約国として国際電気通信連合の構成国である国
(b) 国際連合加盟国であるその他の国で、第五十三条の規定に従ってこの憲章及び条約に加入したもの
(c) 国際連合加盟国でないその他の国で、構成国となることを申請し、かつ、その申請が構成国の三分の二によって承認された後、第五十三条の規定に従ってこの憲章及び条約に加入したもの。構成国としての加盟の申請が全権委員会議から全権委員会議までの間において提出されたときは、事務総局長は、構成国と協議する。構成国は、協議を受けた日から起算して四箇月の期間内に回答しないときは、棄権したものとみなす。

第三条 構成国及び部門構成員の権利及び義務
1 構成国及び部門構成員は、この憲章及び条約に定める権利を有し、義務を負う。
2 連合の会議、会合及び協議への参加に関し、
(a) 構成国は、会議に参加する権利を有し、理事会に対する被選挙資格を有し、及び連合の役員又は無線通信規則委員会の委員の選挙に対する候補者を指名する権利を有する。
(b) 構成国は、また、第一六九号及び第二一〇号の規定が適用される場合を除くほか、すべての全権委員会議、すべての世界会議、すべての部門の総会、すべての研究委員会の会合及び当該構成国が理事会の構成員であるときは理事会のすべての会期において、一の票を投ずる権利を有する。地域会議においては、関係地域の構成国のみが投票の権利を有する。
(c) 構成国は、また、第一六九号及び第二一〇号の規定が適用される場合を除くほか、通信によって行う協議において、一の票を投ずる権利を有する。
地域会議に関する協議については、関係地域の構成国のみが投票の権利を有する。
3 部門構成員は、連合の活動への参加に関し、この憲章及び条約の関連規定に従うことを条件として、自己が構成員となっている部門の活動に完全に参加する資格を有する。
(a) 部門構成員は、部門の総会及び会合の議長及び副議長並びに世界電気通信開発会議の議長及び副議長を出すことができる。
(b) 部門構成員は、条約の関連規定及び全権委員会議が採択した関連決定に従うことを条件として、関係部門における勧告及び問題の採択並びに当該部門の運営方法及び手続に関する決定に参加する資格を有する。

第四条 連合の文書
1 連合の文書は、国際電気通信連合憲章、国際電気通信連合条約及び業務規則とする。
2 この憲章は、連合の基本的文書とし、条約によって補足される。
3 この憲章及び条約は、電気通信の利用を規律し、及びすべての構成国を拘束する次に掲げる業務規則によって、更に補足される。
 国際電気通信規則
 無線通信規則
4 この憲章の規定と条約又は業務規則の規定との間に矛盾がある場合には、この憲章の規定が優先する。条約の規定と業務規則の規定との間に矛盾がある場合には、条約の規定が優先する。

第五条 定義
文脈に矛盾を生じない限り、
(a) この憲章において使用し、かつ、この憲章の不可分の一部を成す附属書で定義する用語は、当該附属書において与えられる意味を有する。
(b) この憲章の附属書で定義する用語以外の用語であって、条約において使用し、かつ、条約の不可分の一部を成す附属書で定義するものは、当該附属書において与えられる意味を有する。
(c) 業務規則で定義するその他の用語は、当該業務規則において与えられる意味を有する。

第六条 連合の文書の実施
1 構成国は、自国が設置し又は運用するすべての電気通信の局で、国際業務を行うもの又は他国の無線通信業務に有害な混信を生じさせるおそれのあるものについて、この憲章、条約及び業務規則に従う義務を負う。ただし、第四十八条の規定によってこれらの義務を免除される業務に関する場合は、この限りでない。
2 構成国は、また、自国が電気通信に関する設置及び運用を許可した事業体で、国際業務を行うもの又は他国の無線通信業務に有害な混信を生じさせるおそれのある局を運用するものにこの憲章、条約及び業務規則を遵守させるため、必要な措置をとる義務を負う。

第七条 連合の組織
連合は、次のものから成る。
(a) 全権委員会議(連合の最高機関)
(b) 理事会(全権委員会議の代理者として行動する。)
(c) 世界国際電気通信会議
(d) 無線通信部門(世界無線通信会議、地域無線通信会議、無線通信総会及び無線通信規則委員会を含む。)
(e) 電気通信標準化部門(世界電気通信標準化総会を含む。)
(f) 電気通信開発部門(世界電気通信開発会議及び地域電気通信開発会議を含む。)
(g) 事務総局

第八条 全権委員会議
1 全権委員会議は、構成国を代表する代表団で構成する。同会議は、四年ごとに招集する。
2 構成国の提案に基づき、かつ、理事会の報告を考慮して、全権委員会議は、次のことを行う。
(a) 第一条に定める連合の目的を達成するための一般方針を決定すること。
(b) 前回の全権委員会議の後の連合の活動並びに連合の戦略的な政策及び計画に関する理事会の報告を審議すること。
(c) 第五〇号に規定する報告に基づいて行われた決定を考慮して、連合の戦略計画及び予算の基準を定め、並びに次回の全権委員会議までの期間における連合の活動に関連するすべての事項を検討の上、当該期間について、連合の会計上の限度額を定めること。
(d) 第一六一 D 号から第一六一 G 号までに定める手続を使用し、構成国が通知する分担等級に基づいて、次回の全権委員会議までの期間における分担単位数の総数を定めること。
(d) 連合の職員編成に関するすべての一般的指示を作成し、また、必要な場合には、連合のすべての職員の基準俸給、俸給表並びに手当及び年金の制度を定めること。
(e) 連合の会計計算書を審査し、必要な場合には、最終的に承認すること。
(f) 理事会を構成する構成国を選出すること。
(g) 連合の役員として、事務総局長、事務総局次長及び各部門の局長を選出すること。
(h) 無線通信規則委員会の委員を選出すること。
(i) 必要な場合には、第五十五条の規定及び条約の関連規定にそれぞれ従って、構成国が提出したこの憲章及び条約の改正案を検討し及び採択すること。
(j) 連合と他の国際機関との間の協定を必要に応じて締結し又は改正し、並びに理事会が連合を代表してこれらの国際機関と締結した暫定的協定を審査し、及びこれに関して適当と認める措置をとること。
(jの2) 連合の会議、総会及び会合の一般規則を採択し及び改正すること。
(k) その他必要と認めるすべての電気通信の問題を処理すること。
3 例外として、次のいずれかの場合には、通常の全権委員会議から通常の全権委員会議までの間に、特定の問題を処理するために限定された議事日程により、臨時の全権委員会議を招集することができる。
(a) 先立って開催された通常の全権委員会議が決定する場合
(b) 構成国の三分の二以上が事務総局長に対して個別に請求する場合
(c) 構成国の少なくとも三分の二の同意を得て理事会が提案する場合

第九条 選挙及び関係事項に関する原則
1 全権委員会議は、第五四号から第五六号までに規定する選挙を行うに当たり、次のことを確保する。
(a) 理事会の議席が世界のすべての地域に衡平に配分されることの必要性に妥当な考慮を払い、理事会の構成員を選出すること。
(b) 事務総局長、事務総局次長及び各局長は、それぞれ、構成国が指名する自国民である候補者のうちから選出され、かつ、異なる構成国の国民とするものとし、これらの者の選挙に当たっては、世界の諸地域の間における衡平な地理的配分について妥当な考慮を払うこと。全権委員会議は、さらに、第一五四号に定める原則についても妥当な考慮を払うべきである。
(c) 無線通信規則委員会の委員を構成国が指名する自国民である候補者のうちから個人の資格で選出すること。各構成国は、候補者を一人に限り指名することができる。無線通信規則委員会の委員は、無線通信局長と同一の構成国の国民であってはならず、これらの者の選挙に当たっては、世界の諸地域の間における衡平な地理的配分及び第九三号に定める原則について妥当な考慮を払うべきである。
2 就任、空席及び再選資格に関する規定については、条約で定める。

第十条 理事会
1 
(1) 理事会は、第六一号の規定に従って全権委員会議が選出した構成国で構成する。
(2) 理事会の各構成員は、理事会に参加する一人の者を任命する。この者は、一人又は二人以上の者によって補佐されることができる。
2 削除
3 全権委員会議から全権委員会議までの間においては、理事会は、連合の指導的機関として、全権委員会議が委任した権限の範囲内で、同会議の代理者として行動する。
4 
(1) 理事会は、構成国がこの憲章、条約、業務規則、全権委員会議の決定並びに必要な場合には連合の他の会議及び会合の決定を実施することを容易にするための適当なすべての措置をとるものとし、また、全権委員会議が課するその他のすべての任務を行う。
(2) 理事会は、連合の政策の方向及び戦略が電気通信を取り巻く環境の変化に完全に適合するようにするため、全権委員会議の一般的指示に従って電気通信政策の広範な問題を検討する。
(2の2) 理事会は、連合のために勧告された戦略的な政策及び計画に関し、その会計上の影響を含めた報告を作成するものとし、このために、第七四 A号の規定に基づいて事務総局長が作成する具体的な資料を使用する。
(3) 理事会は、連合の活動の効果的な調整を確保し、並びに事務総局及び三部門に対する効果的な会計上の監督を行う。
(4) 理事会は、連合の目的に従い、連合が有するすべての手段(連合による国際連合の適当な計画への参加を含む。)により、開発途上国における電気通信の発展に貢献する。

第十一条 事務総局
(1) 事務総局は、事務総局長が統括する。事務総局長は、一人の事務総局次長によって補佐される。
 事務総局長は、連合の法律上の代表者として行動する。
(2) 事務総局長の任務は、条約で定める。さらに、事務総局長は、次のことを行う。
(a) 調整委員会の援助の下に、連合の活動を調整すること。
(b) 調整委員会の援助の下に連合の戦略的な政策及び計画に関する報告の作成に必要な具体的な資料を作成し、その資料を構成国及び部門構成員に提供し、並びに当該計画の実施を調整すること。構成国及び部門構成員が検討を行うために全権委員会議の前に開催される理事会の直近二回の通常会期中に、この報告を送付すること。
(c) 連合の資源の経済的な活用のために必要なすべての措置をとり、連合の活動の事務上及び会計上の事項の全体につき理事会に対して責任を負うこと。
(3) 事務総局長は、第四十二条の規定に基づき作成された特別取極の寄託者として行動することができる。
2 事務総局次長は、事務総局長に対して責任を負う。事務総局次長は、事務総局長の職務の遂行を補佐し、事務総局長から委任される特定の任務を行う。
事務総局長が不在のときは、事務総局次長が事務総局長の職務を行う。

第二章 無線通信部門

第十二条 任務及び組織
1 
(1) 無線通信部門は、開発途上国の特別な関心事に留意し、次に定めるところにより、第一条に定める無線通信に関する連合の目的を達成することを任務とする。
第四十四条の規定に従うことを条件として、対地静止衛星軌道その他の衛星軌道を使用する無線通信業務を含むすべての無線通信業務が無線周波数スペクトルを合理的、公平、効果的かつ経済的に使用することを確保すること。
周波数の範囲を問わず研究を行い、無線通信に関する勧告を採択すること。
(2) 無線通信部門及び電気通信標準化部門の双方に関係がある問題に関しては、両部門の正確な権限について、条約の関連規定に従い、緊密な協力により、常に再検討しなければならない。無線通信部門、電気通信標準化部門及び電気通信開発部門の間においては、緊密な調整を確保しなければならない。
2 無線通信部門の運営は、次のものによって行う。
(a) 世界無線通信会議及び地域無線通信会議
(b) 無線通信規則委員会
(c) 無線通信総会
(d) 研究委員会
(dの2) 無線通信諮問委員会
(e) 無線通信局(選出された局長が統括する。)
3 無線通信部門の構成員は、次のとおりとする。
(a) すべての構成国の主管庁(権利として構成員となる。)
(b) 条約の関連規定により部門構成員となる団体又は機関

第十三条 無線通信会議及び無線通信総会
1 世界無線通信会議は、無線通信規則の一部改正又は、例外として、全部改正を行い、及びその他世界的性質を有する問題(同会議の権限内のものであり、かつ、その議事日程に関するものに限る。)を取り扱うことができる。同会議のその他の任務は、条約で定める。
2 世界無線通信会議は、通常三年から四年までの間のいずれかの期間ごとに招集する。ただし、条約の関連規定に従い、同会議を招集しないこと又は追加的に招集することができる。
3 無線通信総会は、同様に、通常三年から四年までの間のいずれかの期間ごとに招集するものとし、無線通信部門の能率を向上させるため、場所及び期日について世界無線通信会議と連携することができる。無線通信総会は、世界無線通信会議の討議に必要な技術的基礎を確立し、及び同会議のすべての要請に応ずる。同総会の任務は、条約で定める。
4 世界無線通信会議、無線通信総会及び地域無線通信会議の決定は、いかなる場合にも、この憲章及び条約の規定に適合するものでなければならない。また、無線通信総会及び地域無線通信会議の決定は、いかなる場合にも、無線通信規則の規定に適合するものでなければならない。世界無線通信会議、無線通信総会及び地域無線通信会議は、決議及び決定を採択する場合には、予見可能な会計上の影響を考慮しなければならず、また、全権委員会議の定めた会計上の限度額を超える支出をもたらすおそれのある決議及び決定の採択を避けるべきである。

第十四条 無線通信規則委員会
1 無線通信規則委員会は、無線通信の分野において十分な能力を有し、かつ、周波数の割当て及び使用について実務上の経験を有する選出された委員で構成する。各委員は、世界の特定の地域の地理的、経済的及び人口的事情に精通していなければならない。委員は、独立して、また、非常勤で、連合のために自己の職務を行う。
2 無線通信規則委員会は、構成国の総数の六パーセントに相当する数又は十二のいずれか多い方を超えない数の委員で構成する。
2 無線通信規則委員会の任務は、次のとおりとする。
(a) 無線通信規則及び権限のある無線通信会議の決定に適合した手続規則(技術基準を含む。)を承認すること。この手続規則は、無線通信局長及び無線通信局が構成国の行う周波数割当てを登録するために無線通信規則を適用するに当たって使用する。この手続規則は、透明性のある方法で作成する。主管庁は、この手続規則に対して意見を付することができ、意見の相違が継続する場合には、その問題は、次回の世界無線通信会議に提出する。
(b) 第九五号の手続規則の適用によって解決することができないその他の問題を検討すること。
(c) 第七八号に規定する周波数の割当て及び使用に関して、無線通信規則に定める手続に従い、権限のある会議が定め、又はこの会議の準備若しくはその決定の実施のために構成国の過半数の同意を得て理事会が定めるすべての追加の任務を行うこと。
3 
(1) 無線通信規則委員会の委員は、その所属国又は一地域を代表する者としてではなく、国際的な公的責任を有する者として、同委員会における職務を行う。同委員会の各委員は、特に、自国の主管庁に直接関係する決定に参加することを差し控えなければならない。
(2) 無線通信規則委員会の委員は、連合のために自己の職務を行うことに関し、いかなる政府若しくはその職員又はいかなる公私の機関若しくは人からも指示を求め又は受けてはならない。同委員会の委員は、第九八号に定める委員としての地位と両立しないおそれのあるいかなる措置をとることも、また、そのようなおそれのあるいかなる決定に関与することも差し控えなければならない。
(3) 構成国及び部門構成員は、無線通信規則委員会の委員の職務の専ら国際的な性質を尊重しなければならず、また、これらの委員に対し、同委員会における職務の遂行について影響を及ぼそうとすることを差し控えなければならない。
4 無線通信規則委員会の運営方法は、条約で定める。

第十五条 無線通信研究委員会及び無線通信諮問委員会
無線通信研究委員会及び無線通信諮問委員会のそれぞれの任務は、条約で定める。

第十六条 無線通信局
無線通信局長の任務は、条約で定める。

第三章 電気通信標準化部門

第十七条 任務及び組織
1 
(1) 電気通信標準化部門は、開発途上国の特別な関心事に留意し、電気通信を世界的規模で標準化するため、技術、運用及び料金の問題についての研究を行うこと並びにこれらの問題に関する勧告を採択することにより、第一条に定める電気通信の標準化に関する連合の目的を十分に達成することを任務とする。
(2) 電気通信標準化部門及び無線通信部門の双方に関係がある問題に関しては、両部門の正確な権限について、条約の関連規定に従い、緊密な協力により、常に再検討しなければならない。無線通信部門、電気通信標準化部門及び電気通信開発部門の間においては、緊密な調整を確保しなければならない。
2 電気通信標準化部門の運営は、次のものによって行う。
(a) 世界電気通信標準化総会
(b) 電気通信標準化研究委員会
(bの2) 電気通信標準化諮問委員会
(c) 電気通信標準化局(選出された局長が統括する。)
3 電気通信標準化部門の構成員は、次のとおりとする。
(a) すべての構成国の主管庁(権利として構成員となる。)
(b) 条約の関連規定により部門構成員となる団体又は機関

第十八条 世界電気通信標準化総会
1 世界電気通信標準化総会の任務は、条約で定める。
2 世界電気通信標準化総会は、四年ごとに招集する。ただし、条約の関連規定に従い、同総会を追加的に開催することができる。
3 世界電気通信標準化総会の決定は、いかなる場合にも、この憲章、条約及び業務規則の規定に適合するものでなければならない。同総会は、決議及び決定を採択する場合には、予見可能な会計上の影響を考慮しなければならず、また、全権委員会議の定めた会計上の限度額を超える支出をもたらすおそれのある決議及び決定の採択を避けるべきである。

第十九条 電気通信標準化研究委員会及び電気通信標準化諮問委員会
電気通信標準化研究委員会及び電気通信標準化諮問委員会のそれぞれの任務は、条約で定める。

第二十条 電気通信標準化局
電気通信標準化局長の任務は、条約で定める。

第四章 電気通信開発部門

第二十一条 任務及び組織
1 
(1) 電気通信開発部門は、第一条に定める連合の目的を達成することを任務とする。同部門は、また、技術協力及び技術援助のための活動を行い、組織し及び調整することにより電気通信の開発を促進し及び向上させるため、国際連合の専門機関としての及び国際連合の開発のための体制その他の資金供与のための制度の下で事業を実施するための執行機関としての連合の二重の責任を、特定の権限の範囲内で、遂行することを任務とする。
(2) 無線通信部門、電気通信標準化部門及び電気通信開発部門の活動で、開発に係る事項に関するものについては、この憲章の関連規定に従い、緊密な協力の対象とする。
2 第一一八号及び第一一九号の規定の範囲内において、電気通信開発部門の具体的な任務は、次のとおりとする。
(a) 経済的及び社会的発展のための国内計画における電気通信の重要な役割について決定権者の関心を高めること並びに政策及び体制に関する可能な選択肢について情報及び助言を提供すること。
(b) 他の関係機関の活動を考慮して、人的資源の開発、計画の立案、経営管理、資源の移動及び研究開発の能力を強化することにより、特に協力関係を通じて電気通信網及び電気通信業務(特に開発途上国におけるもの)の開発、拡充及び運用を奨励すること。
(c) 地域的な電気通信機関並びに世界的及び地域的な開発金融機関との協力により、電気通信開発部門の開発計画に含まれている事業の良好な実施を確保するため当該事業の進捗状況を注視しつつ、電気通信の発展を促進すること。
(d) 電気通信の分野において開発途上国に対して援助を与えるため、優先的かつ有利な信用枠の形成を奨励すること並びに国際的及び地域的な金融機関及び開発機関と協力することによって、資源の移動を促進すること。
(e) 先進国における電気通信網の発展及び変用を考慮して、開発途上国への適当な技術の移転を促進する計画を推進し及び調整すること。
(f) 開発途上国における電気通信の開発への産業の参加を奨励し、並びに適当な技術の選択及び移転に関する助言を与えること。
(g) 技術、経済、財政、経営管理、規制及び政策に関する事項について、必要に応じ、助言を与え又は研究を行い若しくは支援すること。その研究は、電気通信の分野における特定の事業に関するものを含む。
(h) 電気通信業務の提供を目的として国際的及び地域的な電気通信網を開発することについての調整を円滑にするため、そのような電気通信網に関する総合的な計画の立案に当たり、その他の部門、事務総局その他の関係機関と協力すること。
(i) 第一二一号から第一二八号までに定める任務の遂行に当たり、後発開発途上国のニーズに特別の注意を払うこと。
3 電気通信開発部門の運営は、次のものによって行う。
(a) 世界電気通信開発会議及び地域電気通信開発会議
(b) 電気通信開発研究委員会
(bの2) 電気通信開発諮問委員会
(c) 電気通信開発局(選出された局長が統括する。)
4 電気通信開発部門の構成員は、次のとおりとする。
(a) すべての構成国の主管庁(権利として構成員となる。)
(b) 条約の関連規定により部門構成員となる団体又は機関

第二十二条 電気通信開発会議
1 電気通信開発会議は、電気通信の開発に関係がある問題、事業及び計画を検討するため並びに電気通信開発局に対して指針を与えるための討議の場とする。
2 電気通信開発会議は、次のものから成る。
(a) 世界電気通信開発会議
(b) 地域電気通信開発会議
3 全権委員会議から全権委員会議までの間において、世界電気通信開発会議並びに、資力及び優先度に応じて、地域電気通信開発会議を開催する。
4 電気通信開発会議は、最終文書を作成しないものとする。同会議の結論は、決議、決定、勧告又は報告の形式によるものとし、いかなる場合にも、この憲章、条約及び業務規則の規定に適合するものでなければならない。同会議は、決議及び決定を採択する場合には、予見可能な会計上の影響を考慮しなければならず、また、全権委員会議の定めた会計上の限度額を超える支出をもたらすおそれのある決議及び決定の採択を避けるべきである。
5 電気通信開発会議の任務は、条約で定める。

第二十三条 電気通信開発研究委員会及び電気通信開発諮問委員会
電気通信開発研究委員会及び電気通信開発諮問委員会のそれぞれの任務は、条約で定める。

第二十四条 電気通信開発局
電気通信開発局長の任務は、条約で定める。

第四章のA 各部門の作業の方法
無線通信総会、世界電気通信標準化総会及び世界電気通信開発会議は、それぞれの部門の活動を管理するための作業の方法及び手続を定め及び採択することができる。これらの作業の方法及び手続は、この憲章、条約及び業務規則、特に条約第二四六 D 号から第二四六 H 号までの規定に適合するものでなければならない。

第五章 連合の運営に関するその他の規定

第二十五条 世界国際電気通信会議
1 世界国際電気通信会議は、国際電気通信規則の一部改正又は、例外として、全部改正を行い、及びその他世界的性質を有する問題(同会議の権限内のもの又はその議事日程に関するものに限る。)を取り扱うことができる。
2 世界国際電気通信会議の決定は、いかなる場合にも、この憲章及び条約の規定に適合するものでなければならない。同会議は、決議及び決定を採択する場合には、予見可能な会計上の影響を考慮しなければならず、また、全権委員会議の定めた会計上の限度額を超える支出をもたらすおそれのある決議及び決定の採択を避けるべきである。

第二十六条 調整委員会
1 調整委員会は、事務総局長、事務総局次長及び三部門の局長で構成する。同委員会は、事務総局長が議長となり、事務総局長が不在のときは、事務総局次長が議長となる。
2 調整委員会は、事務総局長に助言を与え、並びに事務、会計、情報システム及び技術協力に関する事項で特定の部門又は事務総局の専属的な権限内にはないすべてのもの並びに対外関係及び広報の分野のすべての事項について事務総局長に実務上の援助を与える内部の運営組織としての任務を行う。同委員会がこれらの事項を検討する場合には、この憲章及び条約の規定、理事会の決定並びに連合全体の利益を十分に考慮する。

第二十七条 連合の役員及び職員
1 
(1) 連合の役員及び職員は、その職務の遂行に当たり、いかなる政府又は連合外のいかなる当局からも指示を求め又は受けてはならない。連合の役員及び職員は、国際公務員としての地位と両立しないいかなる行動も差し控えなければならない。
(2) 構成国及び部門構成員は、連合の役員及び職員の職務の専ら国際的な性質を尊重しなければならず、また、これらの者に対し、その職務の遂行について影響を及ぼそうとすることを差し控えなければならない。
(3) 連合の役員及び職員は、その職務外において、方法のいかんを問わず、電気通信に関係があるいかなる企業にも参加してはならず、また、これと金銭的関係を有してはならない。もっとも、「金銭的関係」という語は、従前の雇用又は勤務に基づく退職年金の支払の継続を妨げるものと解してはならない。
(4) 構成国は、連合の能率的な運営を確保するため、自国民が事務総局長、事務総局次長又は局長に選出された場合には、全権委員会議から全権委員会議までの間にその者を召還することをできる限り差し控えなければならない。
2 職員の採用及び勤務条件の決定に当たっては、最高水準の能率、能力及び誠実性を有する職員の勤務を連合のために確保することの必要性に最大の考慮を払わなければならず、また、できる限り広範な地理的基礎に基づいて職員を採用することの重要性についても妥当な考慮を払わなければならない。

第二十八条 連合の会計
1 連合の経費は、次のものに関する費用から成る。
(a) 理事会
(b) 事務総局及び連合の各部門
(c) 全権委員会議及び世界国際電気通信会議
2 連合の経費は、次のものをもって充てる。
(a) 構成国及び部門構成員の分担金
(b) 条約又は財政規則に定めるその他の収入
2の二 各構成国及び各部門構成員は、第一六〇号から第一六一 I 号までの規定に従って選定した分担等級の単位数に相当する金額を支払う。
2の三 第四三号の地域無線通信会議の経費の負担は、次のように行う。
(a) 関係地域のすべての構成国がその分担等級に従って負担する。
(b) 当該会議に参加したその他の地域の構成国がその分担等級に従って負担する。
(c) 許可された部門構成員及び他の機関であって、条約に従って当該会議に参加したものが負担する。
3 
(1) 構成国及び部門構成員は、連合の経費を負担するための分担等級を任意に選定する。
(2) 構成国による分担等級の選定は、条約に定める分担等級表及び条件並びに次に定める手続に従って、全権委員会議において行う。
(2の2) 部門構成員による分担等級の選定は、条約に定める分担等級表及び条件並びに次に定める手続に従って行う。
3の二 
(1) 理事会は、全権委員会議の直前の会期において、会計に関し当該全権委員会議が取り扱う期間の財政計画案及び分担単位の総数に基づき、分担単位の暫定的な額を定める。
(2) 事務総局長は、構成国及び部門構成員に対し第一六一B号の規定に基づき定められた分担単位の暫定的な額を通知するものとし、また、構成国に対し自国が暫定的に選定した分担等級を全権委員会議の開始の日の遅くとも四週間前に通知するよう要請する。
(3) 全権委員会議は、その最初の週に、構成国が事務総局長に通知した分担等級の変更及び変更されない分担等級を考慮して、第一六一 B 号及び第一六一 C 号の規定に基づき事務総局長がとる手続に従って、分担単位の暫定的な限度額を定める。
(4) 全権委員会議は、修正された財政計画案を考慮して、できる限り速やかに分担単位の額の最終的な限度額を定め、及び構成国が、事務総局長の要請により、最終的に選定した分担等級を通知する期日を、遅くとも全権委員会議が終了する日の属する週の月曜日までのいずれかの日に定める。
(5) 全権委員会議が定める日までに事務総局長に自国の決定を通知しない構成国は、従前に選定した分担等級を維持する。
(6) 全権委員会議は、さらに、構成国が選定した最終的な分担等級及び財政計画の承認の日における部門構成員の分担等級に応じた分担単位の総数に基づき、最終的な財政計画を承認する。
3の三 
(1) 事務総局長は、部門構成員に対し、分担単位の額の最終的な限度額を通知するものとし、また、全権委員会議の閉会の日から三箇月以内に、当該部門構成員が選定した分担等級を通知するよう要請する。
(2) この三箇月の期間内に事務総局長に自己の決定を通知しない部門構成員は、従前に選定した分担等級を維持する。
(3) 全権委員会議が採択した分担等級表の改正は、次回の全権委員会議中における分担等級の選定について適用する。
(4) 構成国及び部門構成員が選定した分担等級は、全権委員会議の後の最初の二年予算から適用する。
4 削除
5 構成国は、分担等級を選定するに当たって、分担等級を二段階を超えて減少させてはならず、また、理事会は、全権委員会議から全権委員会議までの間においてその減少を漸進的に実施する方法について構成国に通知する。ただし、国際的な救援計画の発動を必要とする自然災害のような例外的状況の下において、構成国がその分担単位数を減少させることを要求し、かつ、当初に選定した分担等級における分担金を維持することができなくなったことを立証した場合には、全権委員会議は、分担単位数の二段階を超える減少を承認することができる。
5の二 国際的な救援計画の発動を必要とする自然災害のような例外的状況の下において、構成国がその分担単位数を減少させることを要求し、かつ、当初に選定した分担等級における分担金を維持することができなくなったことを立証した場合には、理事会は、これを承認することができる。
5の三 構成国及び部門構成員は、既に選定した等級よりも高い分担等級をいつでも選定することができる。
6 削除
7 削除
8 構成国及び部門構成員は、理事会が決定した二年予算に基づいて、かつ、理事会が採択することができる調整額を考慮に入れて計算した毎年の分担金額を前払する。
9 連合に対する支払が延滞している構成国は、その延滞している額が直前の二年度について当該構成国の支払うべき分担金の額以上であるときは、第二七号及び第二八号に定める投票の権利を失う。
10 部門構成員及び他の国際機関の分担金に関する具体的な規定は、条約で定める。

第二十九条 言語
1 
(1) 連合の公用語は、英語、アラビア語、中国語、スペイン語、フランス語及びロシア語とする。
(2) 第一七一号に定める言語は、全権委員会議の関連決定に従い、連合における文書の作成及び公表(その作成及び公表は、各言語による文書が形式及び内容において同様となるように行う。)のため、並びに連合の会議中及び会合中における相互間の通訳のために、使用する。
(3) 矛盾又は紛議がある場合には、フランス文による。
2 会議又は会合のすべての参加者が同意するときは、討議は、第一七一号に定める言語よりも少ない数の言語により行うことができる。

第三十条 連合の所在地
連合の所在地は、ジュネーブとする。

第三十一条 連合の法律上の能力
連合は、その任務の遂行及びその目的の達成のために必要な法律上の能力を各構成国の領域において享有する。

第三十二条 連合の会議、総会及び会合の一般規則
1 全権委員会議が採択する連合の会議、総会及び会合の一般規則は、連合の会議及び総会の準備、連合の会議、総会及び会合の業務の組織及び討論の方法並びに理事会の構成員、事務総局長、事務総局次長、各部門の局長及び無線通信規則委員会委員の選挙について適用する。
2 会議、総会及び理事会は、連合の会議、総会及び会合の一般規則の第二章を補足するために不可欠と認める規則を採択することができる。もっとも、このような補足的規則は、この憲章、条約及び当該一般規則の第二章に抵触するものであってはならない。会議又は総会が採択した補足的規則は、会議又は総会の文書として公表する。

第六章 電気通信に関する一般規定

第三十三条 国際電気通信業務を利用する公衆の権利
構成国は、公衆に対し、国際公衆通信業務によって通信する権利を承認する。各種類の通信において、業務、料金及び保障は、すべての利用者に対し、いかなる優先権又は特恵も与えることなく同一とする。

第三十四条 電気通信の停止
1 構成国は、国内法令に従って、国の安全を害すると認められる私報又はその法令、公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる私報の伝送を停止する権利を留保する。この場合には、私報の全部又は一部の停止を直ちに発信局に通知する。ただし、その通知が国の安全を害すると認められる場合は、この限りでない。
2 構成国は、また、国内法令に従って、他の私用の電気通信であって国の安全を害すると認められるもの又はその法令、公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められるものを切断する権利を留保する。

第三十五条 業務の停止
構成国は、国際電気通信業務を全般的に、又は一定の関係若しくは通信の一定の種類(発信、着信又は中継)に限って、停止する権利を留保する。この場合には、停止する旨を事務総局長を経由して直ちに他の構成国に通知する。

第三十六条 責任
構成国は、国際電気通信業務の利用者に対し、特に損害賠償の請求に関しては、いかなる責任も負わない。

第三十七条 電気通信の秘密
1 構成国は、国際通信の秘密を確保するため、使用される電気通信のシステムに適合するすべての可能な措置をとることを約束する。
2 もっとも、構成国は、国内法令の適用又は自国が締約国である国際条約の実施を確保するため、国際通信に関し、権限のある当局に通報する権利を留保する。

第三十八条 電気通信路及び電気通信設備の設置、運用及び保護
1 構成国は、国際電気通信の迅速なかつ不断の交換を確保するために必要な通信路及び設備を最良の技術的条件で設置するため、有用な措置をとる。
2 第一八六号の通信路及び設備は、できる限り、実際の運用上の経験から最良と認められた方法及び手続によって運用し、良好に使用することができる状態に維持し、並びに科学及び技術の進歩に合わせて進歩していくようにしなければならない。
3 構成国は、その管轄の範囲内において、第一八六号の通信路及び設備を保護する。
4 すべての構成国は、特別の取極による別段の定めがある場合を除くほか、その管理の範囲内にある国際電気通信回線の部分の維持を確保するために有用な措置をとる。
構成国は、すべての種類の電気機器及び電気設備の運用が他の構成国の管轄内にある電気通信設備の運用を混乱させることを防ぐため、実行可能な措置をとることの必要性を認める。

第三十九条 違反の通報
構成国は、第六条の規定の適用を容易にするため、この憲章、条約及び業務規則に対する違反に関し、相互に通報し、必要な場合には、援助することを約束する。

第四十条 人命の安全に関する電気通信の優先順位
国際電気通信業務は、海上、陸上、空中及び宇宙空間における人命の安全に関するすべての電気通信並びに世界保健機関の伝染病に関する特別に緊急な電気通信に対し、絶対的優先順位を与えなければならない。

第四十一条 官用電気通信の優先順位
前条及び第四十六条の規定に従うことを条件として、官用電気通信(附属書第一〇一四号参照)は、当事者が特に請求したときは、可能な範囲で、他の電気通信に対して優先順位を有する。

第四十二条 特別取極
構成国は、構成国全体には関係しない電気通信の問題について特別取極を締結する権能を、自国のため並びに認められた事業体及び正当に許可されたその他の事業体のために留保する。ただし、特別取極は、その実施によって、他の構成国の無線通信業務に生じさせ得る有害な混信に関して及び、一般に、他の構成国のその他の電気通信業務の運用に生じさせ得る技術的な支障に関しては、この憲章、条約及び業務規則に抵触してはならない。

第四十三条 地域的会議、地域的取極及び地域的機関
構成国は、地域的に取り扱うことができる電気通信の問題を解決するため、地域的会議を開催し、地域的取極を締結し、及び地域的機関を設置する権利を留保する。地域的取極は、この憲章又は条約に抵触してはならない。

第七章 無線通信に関する特別規定

第四十四条 無線周波数スペクトルの使用及び対地静止衛星軌道その他の衛星軌道の使用
1 構成国は、使用する周波数の数及びスペクトル幅を、必要な業務の運用を十分に確保するために欠くことができない最小限度にとどめるよう努める。このため、構成国は、改良された最新の技術をできる限り速やかに適用するよう努める。
2 構成国は、無線通信のための周波数帯の使用に当たっては、無線周波数及び関連する軌道(対地静止衛星軌道を含む。)が有限な天然資源であることに留意するものとし、また、これらを各国又はその集団が公平に使用することができるように、開発途上国の特別な必要性及び特定の国の地理的事情を考慮して、無線通信規則に従って合理的、効果的かつ経済的に使用しなければならないことに留意する。

第四十五条 有害な混信
1 すべての局は、その目的のいかんを問わず、他の構成国、認められた事業体その他正当に許可を得て、かつ、無線通信規則に従って無線通信業務を行う事業体の無線通信又は無線業務に有害な混信を生じさせないように設置し及び運用しなければならない。
2 各構成国は、認められた事業体その他正当に許可を得て無線通信業務を行う事業体に第一九七号の規定を遵守させることを約束する。
3 構成国は、また、すべての種類の電気機器及び電気設備の運用が第一九七号の無線通信又は無線業務に有害な混信を生じさせることを防ぐため、実行可能な措置をとることの必要性を認める。

第四十六条 遭難の呼出し及び通報
無線通信の局は、遭難の呼出し及び通報を、いずれから発せられたかを問わず、絶対的優位順位において受信し、同様にこの通報に応答し、及び直ちに必要な措置をとる義務を負う。

第四十七条 虚偽の遭難信号、緊急信号、安全信号又は識別信号
構成国は、虚偽の遭難信号、緊急信号、安全信号又は識別信号の伝送又は流布を防ぐために有用な措置をとること並びにこれらの信号を発射する自国の管轄の下にある局を探知し及び識別するために協力することを約束する。

第四十八条 国防機関の設備
1 構成国は、軍用無線設備について、完全な自由を保有する。
2 もっとも、第二〇二号の設備は、遭難の場合において行う救助に関する規定、有害な混信を防ぐためにとる措置に関する規定並びに使用する発射の型式及び周波数に関する業務規則の規定を、当該設備が行う業務の性質に従って、できる限り遵守しなければならない。
3 第二〇二号の設備は、また、公衆通信業務その他業務規則によって規律される業務に参加するときは、原則として、これらの業務に適用される規定に従わなければならない。

第八章 国際連合その他の国際機関及び非構成国との関係

第四十九条 国際連合との関係
国際連合と国際電気通信連合との関係は、これらの機関の間で締結された協定で定める。

第五十条 その他の国際機関との関係
連合は、電気通信の分野における完全な国際的調整の実現に資するため、利害関係を有し又は関連する活動を行う国際機関と協力すべきである。

第五十一条 非構成国との関係
すべての構成国は、構成国でない国と電気通信を交換することを認める条件を定める権能を、自国のため及び認められた事業体のために留保する。構成国でない国から発する電気通信が構成国によって受信されたときは、その通信は、伝送されなければならず、また、当該通信が構成国の通信路を経由する限り、この憲章、条約及び業務規則の義務的規定並びに通常の料金の適用を受ける。

第九章 最終規定

第五十二条 批准、受諾又は承認
1 この憲章及び条約は、署名構成国により、自国の憲法上の規定に従って、単一の文書の形式で、同時に批准され、受諾され又は承認されなければならない。この文書は、できる限り速やかに事務総局長に寄託するものとし、事務総局長は、各文書の寄託を構成国に通報する。
2 
(1) この憲章及び条約の効力発生の日から起算して二年の期間中、署名構成国は、第二〇八号の規定に従って批准書、受諾書又は承認書を寄託していない 場合にも、第二五号から第二八号までの規定により構成国に与えられる権利を有する。
(2) この憲章及び条約の効力発生の日から起算して二年の期間の満了後は、第二〇八号の規定に従って批准書、受諾書又は承認書を寄託していない署名構成国は、これらの文書のうちいずれかのものを寄託しない限り、連合のいかなる会議、理事会のいかなる会期、連合の各部門のいかなる会合又はこの憲章及び条約に従い通信によって行われるいかなる協議においても、投票する資格を有しない。もっとも、この構成国の投票権以外の権利は、影響を受けない。
3 第五十八条の規定に従ってこの憲章及び条約が効力を生じた後は、批准書、受諾書又は承認書は、事務総局長に寄託した日に効力を生ずる。

第五十三条 加入
1 この憲章及び条約に署名しなかった構成国又は第二条の(b)若しくは(c)の適用を受けるその他の国は、当該その他の国については同条の規定に従うことを条件として、いつでもこの憲章及び条約に加入することができる。加入は、この憲章及び条約の双方を対象とする単一の文書の形式で同時に行う。
2 加入書は、事務総局長に寄託する。事務総局長は、加入書を受領したときは直ちにこれを構成国に通報し、その認証謄本を構成国に送付する。
3 第五十八条の規定に従ってこの憲章及び条約が効力を生じた後は、加入書は、別段の表示がない限り、事務総局長に寄託した日に効力を生ずる。

第五十四条 業務規則
1 第四条に規定する業務規則は、拘束力を有する国際的な文書であり、また、この憲章及び条約の規定に適合するものでなければならない。
2 前二条の規定に従って行うこの憲章及び条約の批准、受諾若しくは承認又はこれらの文書への加入は、権限のある世界会議がこの憲章及び条約の署名の日前に採択した業務規則に拘束されることについての同意をも含む。この同意は、業務規則又はその改正の署名の際に付した留保が批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の時に維持されている限度において、当該留保を害するものではない。
 第二一六号に規定する業務規則は、第八九号及び第一四六号の規定を適用して採択され、効力を生ずることがある改正に従うことを条件として、効力を有する。業務規則の一部改正又は全部改正は、その改正の効力発生前にその改正に拘束されることについて同意する旨を事務総局長に通告した構成国についてのみ、その改正に定める日に効力を生ずる。
 構成国は、業務規則の一部改正又は全部改正に拘束されることについての同意を、その改正の批准書、受諾書、承認書若しくは加入書を事務総局長に寄託することにより、又はその改正に拘束されることについての同意を事務総局長に通告することによって表明する。
 構成国は、また、次条又は条約第四十二条の規定に従って行うこの憲章又は条約の改正の批准、受諾若しくは承認又はこれらへの加入が、この憲章又は条約の改正の署名前に権限のある会議が採択した業務規則の一部改正又は全部改正に自国が拘束されることについての同意をも含む旨通告することができる。第二一七 B 号に規定する通告は、構成国によるこの憲章又は条約の改正の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の時に行う。
 業務規則の改正は、その改正に署名した構成国であって、第二一七 A 号及び第二一七 B 号の規定に従いその改正に拘束されることについての同意を事務総局長に通告しなかったものについては、その改正の効力発生の日から暫定的に適用する。ただし、当該構成国がその改正の署名の際に反対する場合は、この限りでない。
4 第二一七 D 号に規定する暫定的な適用は、構成国が業務規則の改正に拘束されることについての同意に関する決定を事務総局長に通告するときまで継続する。
削除
 構成国が、業務規則の改正の効力発生の日から起算して三十六箇月の期間内に、その改正に拘束されることについての同意に関する決定を第二一八号の規定に基づいて事務総局長に通告しない場合には、当該構成国は、当該改正に拘束されることについて同意したものとみなす。
 第二一七 D 号に規定する暫定的な適用又は拘束されることについての第二二一 A 号に規定する同意は、業務規則の改正の署名の際に関係構成国が付した留保を害するものではない。関係構成国が、拘束されることについて第二一六 A号、第二一七 A 号、第二一七 B 号及び第二一八号に規定する同意を事務総局長に通告する場合において、業務規則又はその改正の署名の際に付した留保を維持するときは、当該同意は、当該留保を害するものではない。
7 事務総局長は、この条の規定により受領した通告を速やかに構成国に通報する。

第五十五条 この憲章の改正に関する規定
1 構成国は、この憲章の改正を提案することができる。その提案は、すべての構成国への送付及びすべての構成国による検討が十分な余裕をもって行われ得るように、全権委員会議の開会の日の遅くとも八箇月前に、事務総局長に到着しなければならない。事務総局長は、できる限り速やかに、かつ、全権委員会議の開会の日の遅くとも六箇月前に、当該提案をすべての構成国の情報のために公表する。
2 もっとも、第二二四号の規定に従って提出された改正案に対する修正案については、構成国又は全権委員会議におけるその代表団は、これをいつでも提出することができる。
3 全権委員会議の本会議においてこの憲章の改正案又はこれに対する修正案を審議する場合には、全権委員会議に派遣された代表団の二分の一を超える代表団が出席していなければならない。
4 この憲章の改正案に対する修正案及び改正案全体(修正されたものであるかないかを問わない。)は、採択されるためには、本会議において、全権委員会議に派遣されかつ投票権を有する代表団の少なくとも三分の二によって承認されなければならない。
5 第二二四号から第二二七号までに特に規定する場合を除くほか、連合の会議、総会及び会合の一般規則を適用する。
6 全権委員会議が採択したこの憲章のすべての改正は、全体として、かつ、単一の改正文書の形式で、当該全権委員会議が定めた日に、この憲章及び当該改正文書の批准書、受諾書、承認書又は加入書をその日前に寄託した構成国の間において効力を生ずる。当該改正文書の一部のみの批准、受諾若しくは承認又はこれへの加入は、認めない。
7 事務総局長は、改正文書の批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託をすべての構成国に通報する。
8 改正文書の効力発生の後に行われる第五十二条及び第五十三条の規定による批准、受諾、承認又は加入は、改正された憲章に対して行われるものとする。
9 事務総局長は、改正文書の効力発生の後、国際連合憲章第百二条の規定により、当該改正文書を国際連合事務局に登録する。第二四一号の規定は、改正文書について準用する。

第五十六条 紛争の解決
1 構成国は、この憲章、条約又は業務規則の解釈又は適用に関する問題の紛争を、交渉によって、外交上の経路によって、国際紛争の解決のために締結する二国間若しくは多数国間の条約で定める手続によって又は合意により定めることのできるその他の方法によって解決することができる。
2 第二三三号に定めるいずれの解決方法も採用されなかったときは、紛争当事者である構成国は、条約で定める手続に従って、紛争を仲裁に付することができる。
3 この憲章、条約及び業務規則に係る紛争の義務的解決に関する選択議定書は、当該選択議定書の締約国である構成国の間において適用する。

第五十七条 この憲章及び条約の廃棄
1 この憲章及び条約を批准し、受諾し、承認し又はこれらに加入した構成国は、これらを廃棄する権利を有する。この憲章及び条約を廃棄する場合には、事務総局長にあてた通告により、単一の文書の形式で、同時に廃棄する。事務総局長は、その通告を受領したときは、これを他の構成国に通報する。
2 廃棄は、事務総局長が通告を受領した日から一年の期間が満了した時に効力を生ずる。

第五十八条 効力発生及び関係事項
1 追加全権委員会議(千九百九十二年ジュネーブ)によって採択されたこの憲章及び条約は、千九百九十四年七月一日に、批准書、受諾書、承認書又は加入書を同日前に寄託した構成国の間において効力を生ずる。
2 この憲章及び条約は、第二三八号に定める効力発生の日に、この憲章及び条約の締約国の間においては、ナイロビ国際電気通信条約(千九百八十二年)を廃止し、これに代わる。
3 連合の事務総局長は、国際連合憲章第百二条の規定により、この憲章及び条約を国際連合事務局に登録する。
4 英語、アラビア語、中国語、スペイン語、フランス語及びロシア語で作成されたこの憲章及び条約の原本は、連合に寄託保存する。事務総局長は、各署名構成国に対し、要請された言語により、認証謄本一通を送付する。
5 この憲章及び条約の各言語による条約文の間に矛盾がある場合には、フランス文による。
以上の証拠として、下名の全権委員は、この国際電気通信連合憲章の原本及び国際電気通信連合条約の原本に署名した。
千九百九十二年十二月二十二日にジュネーブで作成した。

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