nihonkokuyuutetsudoukanban0
 今日は、昭和時代中期の1948年(昭和23)に、「日本国有鉄道法」(昭和23年法律256号)が公布(施行は翌年6月1日)された日です。
 「日本国有鉄道法」(にほんこくゆうてつどうほう)は、日本国有鉄道の組織や運営を定めていた法律(昭和23年法律256号)でした。太平洋戦争敗戦後、政府が運営していた国有鉄道は、経営難や労働運動の高揚に対処しなければならなくなります。
 そこで、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、国による鉄道の直営制度を改め、政府の監督を最小限にとどめた自由な経営主体として事業を行わせる企業体制を実現する観点から、公共企業体として再出発することを勧告する書簡を出しました。それに基づいて、国会に本法が提出され、1948年(昭和23)11月30日に国会を通過し、同年12月20日に公布され、翌年6月1日施行されて、公共企業体としての日本国有鉄道(国鉄)が発足し、鉄道以外にも連絡船や自動車等の事業も行なうようになります。
 しかし、日本国有鉄道の分割・民営化により、1987年(昭和62)4月1日をもって本法は廃止され、JR7社(九州旅客鉄道、四国旅客鉄道、東海旅客鉄道、西日本旅客鉄道、日本貨物鉄道、東日本旅客鉄道、北海道旅客鉄道)が誕生しました。
 以下に、「日本国有鉄道法」(昭和23年法律256号)を掲載しておきましたので、ご参照下さい。

〇日本国有鉄道(にほんこくゆうてつどう)とは?

 国有の鉄道およびそれに関連する連絡船・自動車運送などの事業を行なった公共企業体で、国鉄と略称されています。1872年(明治5)に新橋~横浜間(29km)の鉄道が開業し,日本国有鉄道の歴史が始まりました。
 その後、国有鉄道事業は工部省鉄道掛、鉄道院、鉄道省、運輸省などに経営され、1906年(明治39)の「鉄道国有法」によって多数の幹線私鉄を買い上げ、全国規模の鉄道網を持つこととなり、1907年(明治40)度末に営業キロは7,153kmとなります。経営の主体は逓信省鉄道作業局を経て、1907年(明治40)4月に帝国鉄道庁となり、翌年には鉄道院となりました。
 太平洋戦争後の経営難や労働運動の高揚に対処するため、1949年(昭和24)に日本国有鉄道を公共企業体として発足させ、鉄道以外にも連絡船や自動車等の事業も行ないます。1964年(昭和39年)に東海道新幹線の東京~新大阪間を開業させ、さらに新幹線網を延伸させるなど、輸送力の増強を果たしたものの、高速道路・自動車の普及、航空路線の拡充によって旅客・貨物を奪われて巨額な赤字を生じるようになりました。
 一部の路線の第三セクターへの転換等も行われましたが、ついには、政府の強い主導により、1987年(昭和62)3月31日で日本国有鉄道(国鉄)は115年の歴史に幕を下ろすこととなります。翌日には、分割・民営化され、JR7社(九州旅客鉄道、四国旅客鉄道、東海旅客鉄道、西日本旅客鉄道、日本貨物鉄道、東日本旅客鉄道、北海道旅客鉄道)が誕生しました。

〇日本国有鉄道関係略年表(明治5年以前の日付は旧暦です)

・1869年(明治2年11月10日) 鉄道建設の廟議決定する(東京・京都の幹線と東京・横浜、京都・神戸、琵琶湖畔・敦賀の三支線)
・1870年(明治3年3月19日) 民部大蔵省に鉄道掛を設置する
・1870年(明治3年3月25日) 傭英国人建設技師エドモント・モレルらが、東京汐留から測量を開始する
・1871年(明治4年8月14日) 工部省に鉄道寮を設置する
・1872年(明治5年2月28日) 「鉄道略則」が公布される
・1872年(明治5年5月7日) 品川~横浜間が仮開業する
・1872年(明治5年6月13日) 鉄道による郵便物輸送開始される
・1872年(明治5年5月) 「鉄道犯罪罰則」が公布される 
・1872年(明治5年9月12日) 新橋~横浜間(29㎞)の鉄道開業式(我が国初の鉄道開通)が行われる
・1873年(明治6年)9月15日 新橋~横浜間で貨物輸送を開始する
・1874年(明治7年)5月11日 大阪~神戸間が開業する
・1877年(明治10年)1月11日 工部省に鉄道局が設置(鉄道寮廃止)される
・1877年(明治10年)2月5日 大阪~京都間が全通、京都~神戸間の鉄道開業式が行われる
・1881年(明治14年)12月 日本鉄道会社が設立される(上野・青森間の鉄道敷設を目的とする我が国最初の私鉄鉄道)
・1882年(明治15年)6月25日 東京馬車鉄道:新橋~日本橋間で開業する(軌道業の開始)
・1884年(明治17年)5月1日 上野~高崎の鉄道が全通する
・1885年(明治18年)12月26日 工部省の廃止に伴い、鉄道局は内閣直轄となる
・1887年(明治20年)5月18日 「私設鉄道条例」が公布される(私設鉄道に関する最初の立法)
・1889年(明治22年)7月1日 東海道線が全通(新橋~神戸間)する
・1890年(明治23年)5月4日 内国勧業博覧会で電車が試運転される(東京電灯会社)
・1890年(明治23年)8月23日 「軌道条例」が公布される
・1890年(明治23年)9月6日 鉄道局を鉄道庁と改称、内務大臣直轄となる
・1891年(明治24年)9月1日 日本鉄道会社の東北線が全通する(上野~青森間)
・1892年(明治25年)6月21日 「鉄道敷設法」が公布される(政府による幹線鉄道の建設、将来における私設鉄道の買収を決定)
・1892年(明治25年)7月21日 鉄道庁が内閣府から逓信省に移管する
・1893年(明治26年)4月1日 横川~軽井沢間(アプト式)が開通する
・1893年(明治26年)6月1日 神戸工場で860形タンク機関車を製作する(初めて国産機関車完成)
・1893年(明治26年)11月10日 鉄道庁は鉄道局と改称されて逓信省の内局となる
・1896年(明治29年)9月1日 新橋~神戸間に初めて急行列車が運転される
・1899年(明治32年)5月25日 山陽鉄道で急行列車に食堂車を連結する
・1900年(明治33年)3月16日 「私設鉄道法」と「鉄道営業法」が公布(10/1施行)される
・1901年(明治34年)5月27日 山陽鉄道の神戸~馬関(下関)間が全通する
・1904年(明治37年)8月21日 甲武鉄道の飯田町~中野間に電車運転が開始される
・1905年(明治38年)3月13日 「鉄道抵当法」が公布される(7/1施行)
・1906年(明治39年)3月31日 「鉄道国有法」が公布され、(4/20施行)全国主要17私鉄が買収される
・1907年(明治40年)3月12日 「帝国鉄道庁官制」が公布される(4/1施行)
・1908年(明治41年)12月5日 「鉄道院官制」が公布施行される(鉄道行政を逓信省から内閣に移管)
・1909年(明治42年)4月1日 関西本線港町~柏原間で気動車運転が開始される(気動車運転のはじめ)
・1909年(明治42年)4月13日 「軌道ノ抵当ニ関スル法律」が公布される(7/22施行)
・1909年(明治42年)11月21日 鹿児島本線が全通する
・1909年(明治42年)12月16日 烏森(現新橋)~品川~池袋~上野間及び池袋~赤羽間に電車運転が開始される
・1911年(明治44年)5月1日 中央本線の飯田町~名古屋間が全通する
・1912年(明治45年)3月1日 山陰本線の京都~出雲今市間が開通する
・1914年(大正3年)12月18日 東京駅が落成する
・1919年(大正8年)3月1日 中央本線の東京~中野間に直通電車運転を開始する
・1920年(大正9年)5月15日 鉄道省が設置される
・1921年(大正10年)4月14日 「軌道法」が公布される(大正13/1/1施行)
・1921年(大正10年)9月28日 相模鉄道(現JR相模線)茅ヶ崎~寒川間が開業する
・1922年(大正11年)4月11日 改正「鉄道敷設法」が公布される(5/1施行)
・1922年(大正11年)10月13日 鉄道大臣通達により毎年10月14日を「鉄道記念日」と定められる
・1925年(大正14年)11月1日 神田~上野間が開通し、山手線が環状運転となる
・1926年(大正15年)4月24日 東京駅、上野駅で入場券自動券売機を設置、翌25日から発売を開始する
・1928年(昭和3年)11月5日 陸運監督権限が逓信省から鉄道省に移管する
・1929年(昭和4年)9月15日 東京~下関間特急を「富士」「桜」と命名する(国鉄の列車愛称のはじめ)
・1930年(昭和5年)4月24日 鉄道省に国際観光局が設置される(昭和17年11月廃止)
・1930年(昭和5年)10月1日 東京~神戸間に超特急「燕」の運転が開始される
・1931年(昭和6年)4月1日 「自動車交通事業法」が公布される(1933/10/1施行)
・1931年(昭和6年)9月1日 清水トンネルが開通し上越線が全通する
・1934年(昭和9年)12月1日 丹那トンネルが完成し、国府津~沼津間全通、御殿場線経由の東海道線を熱海経由に変更する
・1938年(昭和13年)4月2日 「陸上交通事業調整法」が公布される(8/1施行)
・1940年(昭和15年)2月1日 「陸運統制令」が公布される(2/25施行、民営鉄道22社1,051㎞が買収される)
・1942年(昭和17年)6月11日 関門鉄道トンネルが竣工する(11/15開通式)
・1943年(昭和18年)2月15日 全国旅客列車運転が大幅削減される
・1943年(昭和18年)11月1日 運輸通信省が設置される
・1945年(昭和20年)5月19日 運輸通信省から通信部門を分離(内閣通信院)、運輸省となる
・1945年(昭和20年)9月 鉄道復興5か年計画が策定される
・1947年(昭和22年)3月31日 「帝国鉄道会計法「が改正され、「国有鉄道事業特別会計法」が公布される(4/1施行)、
・1948年(昭和23年)1月 鉄道が重点産業となる(傾斜生産方式)
・1948年(昭和23年)7月7日 「国有鉄道運賃法」が公布される(7/10施行)
・1948年(昭和23年)12月20日 「日本国有鉄道法」が公布される(24/6/1施行)
・1949年(昭和24年)5月25日 「日本国有鉄道法施行法」が公布される(6/1施行)
・1949年(昭和24年)6月1日 日本国有鉄道(JNR)が設立、運輸省が設置される(日本国有鉄道を分離)
・1949年(昭和24年)9月15日 東京~大阪間に特急復活「へいわ」と命名される(のち「つばめ」と改称)
・1950年(昭和25年)3月1日 東京~沼津間に湘南電車が運行される
・1950年(昭和25年)5月1日 特急「つばめ」「はと」が登場する
・1951年(昭和26年)4月24日 国鉄、桜木町駅で電車火災が起きる
・1951年(昭和26年)5月30日 鉄道建設審議会が設置される
・1954年(昭和29年)9月26日 青函連絡船「洞爺丸」が沈没する
・1955年(昭和30年)5月11日 宇高連絡船「紫雲丸」が沈没する
・1955年(昭和30年)10月1日 小田急電鉄が気動車により国鉄御殿場線へ乗り入れる
・1956年(昭和31年)11月19日 東海道本線の電化が完成する
・1957年(昭和32年)4月1日 国鉄施設整備5か年計画が発足する
・1957年(昭和32年)8月30日 日本国有鉄道幹線調査会が設置される
・1957年(昭和32年)9月5日 仙山線仙台~作並間で交流電気機関車の運転を開始する(交流電化のはじめ)
・1958年(昭和33年)11月1日 東京~神戸間に特急「こだま」の運転が開始される
・1958年(昭和33年)12月12日 東海道新幹線を34年から5か年計画で工事着手することに決定する(交通閣僚懇談会)
・1959年(昭和34年)4月20日 東海道線に修学旅行専用列車運行を開始する
・1959年(昭和34年)4月20日 東海道新幹線の起工式を行う
・1959年(昭和34年)11月5日 汐留~梅田間に特急コンテナ列車「たから」を運転する
・1960年(昭和35年)7月1日 国鉄客車3等を廃止する
・1960年(昭和35年)9月6日 国鉄第2次5か年計画が発表される
・1961年(昭和36年)4月25日 大阪環状線が暫定開業する(環状運転は昭和39/3/23)
・1961年(昭和36年)6月7日 日本国有鉄道新幹線建設補助特別措置法公布施行
・1961年(昭和36年)11月7日 踏切道改良促進法公布施行
・1962年(昭和37年)5月3日 常磐線三河島駅構内で列車衝突事故が発生する
・1962年(昭和37年)6月10日 北陸トンネルが開通する(13,869m)
・1963年(昭和38年)11月9日 東海道線鶴見~横浜駅間で列車衝突事故が起きる(国鉄鶴見事故)
・1964年(昭和39年)2月29日 「日本鉄道建設公団法」が施行される(39/
・1964年(昭和39年)3月23日 日本鉄道建設公団が設立される
・1964年(昭和39年)3月26日 鉄道建設審議会「日本鉄道建設公団発足に当り、さしあたり定むべき基本計画について」答申する
・1964年(昭和39年)6月22日 「東海道新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法」が公布される(10/1施行)
・1964年(昭和39年)10月1日 東海道新幹線の東京~新大阪間が開業する
・1964年(昭和39年)12月25日 国鉄新長期計画(40年度を初年度)を了承する(経済関係閣僚懇談会)
・1965年(昭和40年)9月9日 山陽新幹線(新大阪~岡山間)敷設認可される
・1965年(昭和40年)9月24日 国鉄、コンピュータ完備の「みどりの窓口」を開設する
・1966年(昭和41年)4月20日 国鉄全線に ATS 装置取付け完了する
・1967年(昭和42年)9月2 日 新清水トンネル開通し、上越線の複線化が完成する
・1967年(昭和42年)10月1日 新大阪~博多間に寝台特急電車「月光」の運転を開始する(世界初の寝台特急列車運転)
・1969年(昭和44年)5月9日 国鉄再建10か年計画が発足する
・1969年(昭和44年)5月9日 「日本国有鉄道財政再建促進特別措置法」が公布・施行、「国有鉄道運賃法の一部改正法」が公布される(5/10 施行、等級制度廃止、グリーン車を設定)
・1969年(昭和44年)9月12日 「日本国有鉄道の財政の再建に関する基本方針」が閣議決定される
・1969年(昭和44年)9月12日 山陽新幹線(岡山~博多間)敷設認可される
・1969年(昭和44年)12月8日 新幹線「ひかり」16両編成化する
・1970年(昭和45年)5月18日 「全国新幹線鉄道整備法」が公布される(6/18 施行)
・1972年(昭和47年)3月15日 山陽新幹線の新大阪~岡山間が開業する
・1972年(昭和47年)9月19日 鉄道技術研究所でリニアモーターカーを公開実験する
・1972年(昭和47年)11月6日 北陸トンネルで列車火災事故が起きる
・1973年(昭和48年)2月2日 「日本国有鉄道の財政再建対策について」が閣議了解される
・1973年(昭和48年)2月15日 新幹線鉄道騒音防止対策の基本計画決定する
・1973年(昭和48年)4月27日 春闘史上初の交通ゼネストが行われる
・1973年(昭和48年)7月10日 名古屋・長野間に振り子式特急電車「しなの」運転開始する(国内初の振子式電車運転)
・1974年(昭和49年)3月15日 新関門トンネルが全通する
・1974年(昭和49年)3月29日 「日本国有鉄道の財政の再建に関する基本方針」が閣議決定される
・1975年(昭和50年)3月10日 山陽新幹線の岡山~博多間が開業する
・1975年(昭和50年)7月29日 新幹線騒音環境基準が告示される(環境庁)
・1975年(昭和50年)11月26日 国鉄労組によるスト権ストで国鉄は8日間ストップする
・1975年(昭和50年)12月31日 「日本国有鉄道再建対策要綱」が閣議了解される
・1976年(昭和51年)3月2日 国鉄の蒸気機関車が全廃される
・1976年(昭和51年)3月5日 「新幹線鉄道騒音対策要綱」が閣議了解される
・1976年(昭和51年)11月5日 「国有鉄道運賃及び日本国有鉄道の一部改正法」が公布される(11/6施行、過去債務の棚上げ、名目約 50%の運賃改定、経営改善計画の策定)
・1977年(昭和52年)1月20日 「日本国有鉄道の再建対策について」が閣議了解される
・1977年(昭和52年)7月26日 国鉄宮崎実験線において磁気浮上方式鉄道(リニアモーターカー)の浮上走行実験開始する
・1977年(昭和52年)12月16日 「国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道法の一部改正法」が公布される(53/3/31施行、運賃決定方式の弾力化、投資対象事業の拡大等)
・1977年(昭和52年)12月29日 「日本国有鉄道の再建の基本方針」が閣議了解される
・1979年(昭和54年)1月25日 上越新幹線大清水トンネルが開通する
・1979年(昭和54年)12月21日 リニアモーターカーML-500 が時速 517 ㎞を記録
・1979年(昭和54年)12月29日 「日本国有鉄道の再建について」が閣議了解される
・1980年(昭和55年)5月17日 国鉄経営改善計画の変更を運輸大臣が承認する
・1980年(昭和55年)12月27日 「日本国有鉄道経営再建促進特別措置法」が公布・施行される(地方交通線の廃止を決定)
・1981年(昭和56年)5月21日 国鉄経営改善計画が策定される
・1981年(昭和56年)6月12日 「全国新幹線鉄道整備法の一部改正法」が公布・施行される
・1981年(昭和56年)9月18日 国鉄特定地方交通線第1次線40線が選定される
・1982年(昭和57年)6月23日 東北新幹線の大宮~盛岡間が開業する
・1982年(昭和57年)7月30日 第2次臨調「行政改革に関する第3次答申(基本答申)」において、国鉄の分割・民営化をうちだす
・1982年(昭和57年)9月2日 国鉄リニアモーターカー初の有人走行に成功
・1982年(昭和57年)11月15日 上越新幹線の大宮~新潟間が開業する
・1983年(昭和58年)6月10日 国鉄再建監理委員会が設置される
・1983年(昭和58年)8月5日 国鉄再建監理委員会第1次緊急提言がなされる
・1983年(昭和58年)10月14日 「全国新幹線鉄道整備法の一部改正法」が公布・施行される(地方公共団体の駅新設資金の一部負担への方途)
・1983年(昭和58年)10月23日 国鉄白糠線が廃止される(特定地方交通線転換第一号)
・1984年(昭和59年)2月1日 国鉄貨物ヤード系集結輸送を廃止、拠点間直行輸送システムへ転換する
・1984年(昭和59年)4月20日 国鉄に初めての地域別運賃を導入する
・1984年(昭和59年)8月20日 国鉄再建監理委員会第2次緊急提言がなされる
・1985年(昭和60年)3月10日 青函トンネル本坑が貫通する
・1985年(昭和60年)3月14日 東北・上越新幹線の上野~大宮間が開業する
・1985年(昭和60年)3月25日 磁気プリペイドカード・オレンジカード発売開始する
・1985年(昭和60年)7月11日 運輸政策審議会「東京圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について」答申する
・1985年(昭和60年)7月26日 国鉄再建監理委員会「国鉄改革に関する意見」において、国鉄の7分社化、債務処理方策等をうちだす
・1985年(昭和60年)10月11日 政府「国鉄改革のための基本方針」が閣議決定される
・1985年(昭和60年)11月29日 国鉄同時多発ゲリラ事件が起きる
・1986年(昭和61年)3月31日 「踏切道改良促進法の一部改正法」が公布される(4/1施行)
・1986年(昭和61年)5月30日 「日本国有手鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和61年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律」が公布・施行される
・1986年(昭和61年)12月4日 国鉄改革関連8法(日本国有鉄道改革法、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律、新幹線鉄道保有機構法、日本国有鉄道清算事業団法、日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職の促進に関する特別措置法、鉄道事業法、日本国有鉄道改革法等施行法、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律)が公布される(62/4/1施行)
・1986年(昭和61年)12月28日 国鉄山陰本線餘部橋梁において、回送列車脱線、転落事故(死者6名、負傷6名)
・1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割・民営化され、JR7社が誕生する

☆「日本国有鉄道法」(昭和23年法律256号)1948年(昭和23)12月20公布、1949年(昭和24)6月1日施行

第一章 総則

 (目的)

第一条 国が国有鉄道事業特別会計をもつて経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な運営により、これを発展せしめ、もつて公共の福祉を増進することを目的として、ここに日本国有鉄道を設立する。

 (法人格)

第二条 日本国有鉄道は、公法上の法人とする。日本国有鉄道は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十五条又は商事会社その他の社団に関する商法(明治三十二年法律第四十八号)の規定に定める商事会社ではない。

 (業務)

第三条 日本国有鉄道は、第一条の目的を達成するため、左の業務を行う。
 一 鉄道事業及びその附帯事業の経営
 二 鉄道事業に関連する連絡船事業及びその附帯事業の経営
 三 鉄道事業に関連する自動車運送事業及びその附帯事業の経営
 四 前三号に掲げる業務を行うのに必要な採炭、発送電及び電気通信
 五 前各号に掲げる業務の外第一条の目的を達成するために必要な業務
2 日本国有鉄道は、その業務の円滑な遂行に妨げのない限り、一般の委託により、陸運に関する機械、器具その他の物品の製造、修繕若しくは調達、工事の施行、業務の管理又は技術上の試験研究を行うことができる。

 (事務所)

第四条 日本国有鉄道は、主たる事務所を東京都に置く。
2 日本国有鉄道は、必要な地に従たる事務所を置く。

 (資本金)

第五条 日本国有鉄道の資本金は、別に法律で定めるところにより、昭和二十四年三月三十一日における国有鉄道事業特別会計の資産の価額に相当する額とし、政府が、全額出資するものとする。

 (非課税)

第六条 日本国有鉄道には、所得税及び法人税を課さない。
2 都道府県、市町村その他これらに準ずるものは、日本国有鉄道に対しては、地方税を課することができない。但し、鉱産税、入場税、酒消費税、電気ガス税、木材引取税及び遊興飲食税、これらの附加税並びに遊興飲食税割については、この限りでない。

 (登記)

第七条 日本国有鉄道は、政令の定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により、登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 (民法の準用に関する規定)

第八条 民法第四十四条、第五十条及び第五十四条の規定は、日本国有鉄道に準用する。

第二章 監理委員会

 (監理委員会の設置)

第九条 日本国有鉄道に監理委員会を置く。

 (監理委員会の権限及び責任)

第十条 監理委員会は、第一条に掲げる目的を達成するため、日本国有鉄道の業務運営を指導統制する権限と責任を有する。

 (監理委員会の組織)

第十一条 監理委員会は、五人の委員及び一人の職務上当然就任する特別委員をもつて組織する。
2 監理委員会に委員長を置き、委員の互選により選任する。
3 監理委員会は、予め、委員のうちから、委員長が事故のある場合に委員長の職務を代理する者を定めて置かなければならない。

 (委員の任命)

第十二条 監理委員会の委員は、運輸業、工業、商業又は金融業について、広い経験と知識とを有する年齢三十五年以上の者のうちから、両議院の同意を得て、内閣が任命する。
2 委員の任命において、衆議院が同意して参議院が同意しない場合には、日本国憲法第六十七条第二項の場合の例により、衆議院の同意をもつて両議院の同意とする。
3 左の各号の一に該当する者は、委員であることができない。
 一 禁治産者若しくは準禁治産者又は破産者で復権を得ない者
 二 禁こ又は懲役に処せられた者
 三 国務大臣、国会議員、政府職員又は地方公共団体の議会の議員
 四 政党の役員(任命の日以前一年間においてこれに該当した者を含む。)
 五 日本国有鉄道に対し、物品の売買若しくは工事の請負を業とする者、又はこれらの者が法人であるときはその役員若しくは名称の如何にかかわらず役員と同等以上の職権若しくは支配力を有する者(任命の日以前一年間においてこれらの者であつた者を含む。)
 六 前号に掲げる事業者の団体の役員又は名称の如何にかかわらず役員と同等以上の職権又は支配力を有する者(任命の日以前一年間においてこれらの者であつた者を含む。)

 (委員の任期)

第十三条 委員の任期は、五年とする。但し、補欠の委員は、前任者の残存期間在任する。
2 委員は、再任されることができる。
3 日本国有鉄道創立後最初に任命される委員の任期は、任命の際において内閣総理大臣の定めるところにより、任命の日からそれぞれ一年、二年、三年、四年、五年とする。

 (委員の罷免)

第十四条 内閣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。
2 第十二条第二項の規定は、前項の場合に準用する。

 (委員の報酬)

第十五条 委員は、名誉職とする。但し、旅費その他業務の遂行に伴う実費は、これを受けるものとする。

 (議決方法)

第十六条 監理委員会は、委員長又は第十一条第三項に規定する委員長の職務を代理する者及び二人以上の委員の出席がなければ議事を開き、議決をすることができない。
2 監理委員会の議事は、出席者の過半数をもつて決する。但し、第十一条に規定する職務上当然就任する特別委員は、議決に加わることができない。
3 可否同数のときは、委員長が決する。
4 監理委員会は、日本国有鉄道の役員又は職員をその会議に出席せしめて、必要な説明を求めることができる。
5 総裁の指名する役員は、監理委員会に出席して意見を述べ、又は説明をすることができる。

 (公務員たる性質)

第十七条 委員は、法令により公務に従事する者とみなす。
2 委員には、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)は適用されない。

第三章 役員及び職員

 (役員の範囲)

第十八条 日本国有鉄道の役員は、総裁、副総裁及び理事とする。

 (役員の職務及び権限)

第十九条 総裁は、日本国有鉄道を代表し、その業務を総理する。総裁は、監理委員会に対し責任を負う。総裁は、第十一条に規定する職務上当然就任する監理委員会の特別委員とする。
2 副総裁は、総裁の定めるところにより、日本国有鉄道を代表し、総裁を補佐して日本国有鉄道の業務を掌理し、総裁に事故があるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
3 理事は、総裁の定めるところにより、日本国有鉄道を代表し、総裁及び副総裁を補佐して日本国有鉄道の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故があるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。

 (役員の任命及び任期)

第二十条 総裁は、監理委員会が推薦した者につき、内閣が任命する。
2 前項の推薦は、第十六条の規定にかかわらず、委員四人以上の多数による議決によることを要する。
3 副総裁は、監理委員会の同意を得て、総裁が任命する。
4 理事は、総裁が任命する。
5 総裁及び副総裁の任期は、各々四年とする。
6 総裁及び副総裁は、再任されることができる。

 (役員の欠格条項)

第二十一条 第十二条第三項各号の一に該当する者は、役員であることができない。

 (総裁及び副総裁の罷免)

第二十二条 内閣は、総裁が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合、又は総裁に職務上の義務違反その他総裁たるに適しない非行があると認める場合においては、監理委員会の同意を得て、これを罷免することができる。
2 第二十条第二項の規定は、前項の同意に準用する。
3 総裁は、副総裁が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合、又は副総裁に職務上の義務違反その他副総裁たるに適しない非行があると認める場合においては、監理委員会の同意を得て、これを罷免することができる。

 (役員の兼職禁止)

第二十三条 役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。

 (代表権の制限)

第二十四条 日本国有鉄道と総裁、副総裁又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合においては、監理委員会は、これらの代表権を有しない役員以外の他の役員のうちから日本国有鉄道を代表する者を選任しなければならない。

 (代理人の選任)

第二十五条 総裁、副総裁又は理事は、日本国有鉄道の職員のうちから、その業務の一部に関し一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限をもつ代理人を選任することができる。

 (職員の地位及び資格)

第二十六条 この法律において日本国有鉄道の職員とは、公共企業体労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第二項に規定する者をいう。
2 第十二条第三項第三号に該当する者は、職員であることができない。

 (任免の基準)

第二十七条 職員の任免は、その者の受験成績、勤務成績又はその他の能力の実証に基いて行う。

 (給与)

第二十八条 職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものでなければならない。
2 職員の給与は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業員における給与その他の条件を考慮して定めなければならない。

 (降職及び免職)

第二十九条 職員は、左の各号の一に該当する場合を除き、その意に反して、降職され、又は免職されることがない。
 一 勤務成績がよくない場合
 二 心身の故障のため職務の遂行に支障があり又はこれに堪えない場合
 三 その他その職務に必要な適格性を欠く場合
 四 業務量の減少その他経営上やむを得ない事由が生じた場合

 (休職)

第三十条 職員は左の各号の一に該当する場合を除き、その意に反して、休職にされることがない。
 一 心身の故障のため長期の休養を必要とする場合
 二 刑事事件に関し起訴された場合
2 前項第一号の規定による休職の期間は、満一年とし、休職期間中その故障が消滅したときは、速やかに復職させるものとし、休職のまま満期に至つたときは、当然退職者とする。
3 第一項第二号の規定による休職の期間は、その事件が裁判所に係属する間とする。
4 休職者は、職員としての身分を保有するが、その職務に従事しない。休職者は、休職の期間中俸給の三分の一を受ける。

 (懲戒)

第三十一条 職員が左の各号の一に該当する場合においては、総裁は、これに対し懲戒処分として免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
 一 この法律又は日本国有鉄道の定める業務上の規程に違反した場合
 二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
2 停職の期間は、一月以上一年以下とする。
3 停職者は、職員としての身分を保有するが、その職務に従事しない。停職者は、その停職の期間中俸給の三分の一を受ける。
4 減給は、一月以上一年以下俸給の十分の一以下を減ずる。

 (服務の基準)

第三十二条 職員は、その職務を遂行するについて、誠実に法令及び日本国有鉄道の定める業務上の規程に従わなければならない。
2 職員は、全力をあげて職務の逐行に専念しなければならない。但し、公共企業体労働関係法第七条の規定により、専ら職員の組合の事務に従事する者については、この限りでない。

 (勤務時間の延長、時間外及び休日勤務)

第三十三条 日本国有鉄道は、左の各号の一に該当する場合においては、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十二条、第三十五条又は第四十条の規定にかかわらず、その職員をして、勤務時間をこえ、又は勤務時間外若しくは休日に勤務させることができる。
 一 災害その他により事故が発生したとき。
 二 災害の発生が予想される場合において、警戒を必要とするとき。
 三 列車(自動車、船舶を含む。)が遅延したとき。

 (公務員たる性質)

第三十四条 役員及び職員は、法令により公務に従事する者とみなす。
2 役員及び職員には、国家公務員法は適用されない。

 (公共企業体労働関係法の適用)

第三十五条 日本国有鉄道の職員の労働関係に関しては、公共企業体労働関係法の定めるところによる。

第四章 会計

 (経理原則及び運賃)

第三十六条 日本国有鉄道の会計及び財務(運賃の設定及び変更に関するものを含む。)に関しては、鉄道事業の高能率に役立つような公共企業体の会計を規律する法律が制定施行されるまでは、日本国有鉄道を国の行政機関とみなして、この法律又はこの法律に基く政令若しくは省令に定める場合を除く外、国有鉄道事業特別会計法(昭和二十二年法律第四十号)、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)その他従前の国有鉄道事業の会計に関し適用される法令の規定の例による。
2 前項の規定により日本国有鉄道を国の行政機関とみなす場合においては、日本国有鉄道の総裁を各省各庁の長と、日本国有鉄道を各省各庁とみなす。但し、政令をもつて日本国有鉄道を運輸省の一部局とみなす場合は、この限りでない。

 (事業年度)

第三十七条 日本国有鉄道の事業年度は、毎年四月に始まり、翌年三月に終る。
2 日本国有鉄道は、毎事業年度の決算を、翌年度七月三十一日までに完結しなければならない。

 (予算)

第三十八条 日本国有鉄道は、毎事業年度の予算を作成し、運輸大臣を経て大蔵大臣に提出しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定により予算の提出を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議の決定を経なければならない。
3 内閣は、前項の規定により予算を決定したときは、国の予算とともに、これを国会に提出しなければならない。
4 予算の形式、内容及び添附書類については政令で、予算の作成及び提出の手続については大蔵大臣が運輸大臣と協議して定める。

 (追加予算)

第三十九条 日本国有鉄道は、予算作成後に生じた事由に基き、必要避けることのできない場合に限り、予算作成の手続に準じ追加予算を作成し、これを運輸大臣を経て大蔵大臣に提出することができる。
2 前条第二項から第四項までの規定は、前項の規定による追加予算について準用する。

 (決算)

第四十条 日本国有鉄道は、事業年度ごとに財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、決算完結後一月以内に運輸大臣に提出してその承認を受けなければならない。
2 日本国有鉄道は、前項の規定による運輸大臣の承認を受けたときは、その財産目録、貸借対照表及び損益計算書を公告しなければならない。

第四十一条 日本国有鉄道は、予算の形式に準じ、毎事業年度の決算報告書を作成し、運輸大臣を経て大蔵大臣に提出しなければならない。
2 大蔵大臣は、前項の規定による決算報告書の提出を受けたときは、これを内閣に送付しなければならない。

第四十二条 内閣は、前条第二項の規定により日本国有鉄道の決算報告書の送付を受けたときは、これを会計検査院に送付しなければならない。
2 内閣は、会計検査院の検査を経た日本国有鉄道の決算報告書を、国の歳入歳出の決算とともに国会に提出しなければならない。

 (損益の処理)

第四十三条 政府は、日本国有鉄道に損失を生じた場合において特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付することができる。
2 日本国有鉄道は、経営上利益金を生じたときは、別に予算に定める場合を除き、これを政府の一般会計に納付しなければならない。

 (借入金)

第四十四条 日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けて、政府から長期借入金及び一時借入金をすることができる。日本国有鉄道は、市中銀行その他民間から借入金をすることができない。
2 前項の規定による長期借入金及び一時借入金の限度額については、予算をもつて定めなければならない。
3 第一項の規定による一時借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。但し、資金不足のため償還することができないときは、その償還することのできない金額に限り、運輸大臣の認可をうけて、これを借り換えることができる。
4 前項但書の規定により借り換えた一時借入金は、一年以内に償還しなければならない。

 (政府からの貸付)

第四十五条 政府は、日本国有鉄道に対し、資金の貸付をすることができる。

 (償還計画)

第四十六条 日本国有鉄道は、毎事業年度、第四十四条第一項に掲げる長期借入金の償還計画をたて、大蔵大臣の承認を受けなければならない。

 (業務に係る現金の取扱)

第四十七条 日本国有鉄道の業務に係る現金については、法律又は政令の定めるところにより、国庫金の取扱に関する規程による。
2 日本国有鉄道の出納職員は、法律又は政令の定めるところにより、日本国有鉄道の債務をその保管に係る現金をもつて支払うことができる。

 (会計帳簿)

第四十八条 日本国有鉄道は、業務の性質及び内容並びに事業運営及び経理の状況を適切に示すため必要な帳簿を備えなければならない。

 (財産処分の制限)

第四十九条 日本国有鉄道は、運輸大臣の認可を受けなければ、営業線及びこれに準ずる重要な財産を譲渡し、交換し、又は担保に供することができない。
2 前項の重要な財産の範囲及び種類は、運輸大臣が、大蔵大臣にはかつて定める。

 (大蔵大臣の監督)

第五十条 運輸大臣が、第四十条第一項の財産目録、貸借対照表及び損益計算書の承認を行うとき、及び第四十四条第一項又は第三項の規定による借入金に関する認可を行うときは、大蔵大臣にはからなければならない。

 (会計検査)

第五十一条 日本国有鉄道の会計については、会計検査院が検査する。

第五章 監督

 (監督者)

第五十二条 日本国有鉄道は、運輸大臣が監督する。

 (監督事項)

第五十三条 左に掲げる事項は、運輸大臣の許可又は認可を受けなければならない。
 一 鉄道新線の建設及び他の運輸事業の譲受
 二 日本国有鉄道に関連する連絡船航路又は自動車運送事業の開始
 三 営業線の休止及び廃止

 (監督上の命令及び報告)

第五十四条 運輸大臣は、公共の福祉を増進するため特に必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し監督上必要な命令をすることができる。
2 運輸大臣は、監督上必要があると認めるときは、日本国有鉄道に対し報告をさせることができる。

第六章 罰則

 (罰則)

第五十五条 総裁、副総裁又は総裁の職務を行い若しくは総裁を代理する理事が左の各号の一に該当するときは、その業務に対する責任に応じて、十万円以下の罰金に処する。
 一 この法律により、主務大臣の認可又は許可を受けるべき場合に受けなかつたとき。
 二 第三条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
 三 第七条第一項の規定に基いて発する政令に違反して登記を怠り、又は虚偽の登記をしたとき。
 四 前条第一項の規定に基く命令に違反したとき。
 五 前条第二項の規定に基く報告を怠り、又は虚偽の報告をしたとき。

第七章 雑則

 (恩給)

第五十六条 この法律施行の際、現に恩給法(大正十二年法律第四十八号)第十九条に規定する公務員たる者が、引き続いて日本国有鉄道の役員又は職員となつた場合には、同法第二十条に規定する文官であつて国庫から俸給を受ける者として勤続するものとみなし、当分の間これに恩給法の規定を準用する。
2 前項の規定により恩給法を準用する場合においては、恩給の給与等については、日本国有鉄道を行政庁とみなす。
3 第一項に規定する者又はその遺族の恩給及びこの法律施行前給与事由の生じた恩給であつて従前の国有鉄道事業特別会計(旧帝国鉄道会計を含む。)において俸給又は給料を支弁した者にかかるものの支払に充てるべき金額については、日本国有鉄道が国有鉄道事業特別会計として存続するものとみなし、特別会計の恩給負担金を一般会計に繰り入れることに関する法律(昭和六年法律第八号)の規定を準用する。
4 第一項の規定により恩給法を準用する場合において、同項において準用する恩給法第五十九条第一項の規定により日本国有鉄道の役員又は職員が納付すべき金額は、同項の規定にかかわらず日本国有鉄道に納付すべきものとする。

 (共済組合)

第五十七条 日本国有鉄道の役員及び職員は、国に使用されるもので国庫から報酬を受けるものとみなし、国家公務員共済組合法(昭和二十三年法律第六十九号)の規定を準用する。この場合において、同法中「各省各庁」とあるのは「日本国有鉄道」と、「各省各庁の長」とあるのは「日本国有鉄道総裁」と、第六十九条(第一項第三号を準用する場合を除く。)及び第九十二条中「国庫」とあるのは「日本国有鉄道」と、第七十三条第二項及び第七十五条第二項中「政府を代表する者」とあるのは「日本国有鉄道を代表する者」と読み替えるものとする。
2 国家公務員共済組合法第二条第二項第八号の規定による共済組合は、前項の規定により準用する同法第二条第一項の規定により日本国有鉄道に設けられる共済組合となり同一性をもつて存続するものとする。

第五十八条 国庫は、日本国有鉄道に設けられた共済組合に対し、国家公務員共済組合法第六十九条第一項第三号に掲げる費用を負担する。

第五十九条 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第十二条第一項、厚生年金保険法(昭和十六年法律第六十号)第十六条の二及び船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第十五条の規定の適用については、日本国有鉄道の役員及び職員は、国に使用される者とみなす。

 (災害補償)

第六十条 日本国有鉄道の役員及び職員は、国に使用される者で、国庫から報酬をうけるものとみなし、国家公務員災害補償法(昭和  年法律第  号)の規定を準用する。この場合において、「国」(第四十二条中「国、市町村長」の国を除く。)とあるのは「日本国有鉄道」と、「会計」とあるのは「日本国有鉄道」と読み替えるものとする。
2 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第三条第三項の規定の適用については、日本国有鉄道の事業は、国の直営事業とみなす。
3 第一項の規定により補償に要する費用は、日本国有鉄道が負担する。

 (失業保険)

第六十一条 失業保険法(昭和二十二年法律第百四十六号)第七条の規定の適用については、日本国有鉄道の役員及び職員は、国に使用される者とみなす。

第六十二条 国庫は、日本国有鉄道がその役員及び職員に対し失業保険法に規定する保険給付の内容をこえる給付を行う場合には、同法に規定する給付に相当する部分につき同法第二十八条第一項に規定する国庫の負担と同一割合によつて算定した金額を負担する。

 (他の法令の適用)

第六十三条 道路運送法(昭和二十二年法律第百九十一号)、電気事業法(昭和六年法律第六十一号)、土地収用法(明治三十三年法律第二十九号)その他の法令(国の利害に関係のある訴訟についての法務総裁の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)を除く。)の適用については、この法律又は別に定める法律をもつて別段の定をした場合を除くの外、日本国有鉄道を国と、日本国有鉄道総裁を主務大臣とみなす。

附 則

 (施行期日)

1 この法律は、昭和二十四年四月一日から施行する。

 (財産の承継)

2 国有鉄道事業特別会計の資産は、この法律施行の日に日本国有鉄道に引き継ぐものとする。

 (日本国有鉄道設立の手続その他)

3 日本国有鉄道設立の手続、財産及び従業員の政府から日本国有鉄道への引継の手続その他この法律施行のために必要な事項は別に法律又は政令をもつて定める。

(大蔵・運輸・内閣総理大臣署名)

  「衆議院ホームページ」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1879年(明治12)青森県の尻屋崎灯台に日本初の霧笛(霧信号所)が設置された(霧笛記念日)詳細
1930年(昭和5)岡崎駅~多治見駅間・瀬戸記念橋駅~高蔵寺駅間で省営自動車(国鉄バスの前身)が運行開始される詳細
1947年(昭和22)「臨時石炭鉱業管理法」(昭和22年法律第219号)が公布(施行は翌年4月1日)される詳細
1948年(昭和23) 「日本専売公社法」が公布(施行は翌年4月1日)される詳細
1962年(昭和37)首都高速道路初の開通区間である京橋~芝浦間(4.5km)が開通する詳細
1984年(昭和59)小説家藤原審爾の命日詳細