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 今日は、昭和時代中期の1951年(昭和26)に、「旅券法」(昭和26年法律第267号)が公布(施行は同年12月1日)された日です。
 「旅券法」(りょけんほう)は、旅券(パスポート)の発給、効力その他旅券に関し必要な事項を定めることを目的として制定された法律(昭和26年法律第267号)でした。「日本国憲法」では、外国に移住し、旅行する自由を認めていますが、本法は、一定の場合 (一定の犯罪で訴追された者,刑を受けている者など) には、旅券発給者である外務大臣または領事官に発給拒否の権限を認め (13条1項1~4の2号) ています。
 さらに、外務大臣には「著しくかつ直接に日本国の利益または公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に対する発給拒否を認め (13条1項5号)ました。この裁量の是非をめぐって問題となることがありますが、外国人の出入国に関しては「出入国管理及び難民認定法」が適用されています。
 以下に、「旅券法」(昭和26年法律第267号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「旅券法」(昭和26年法律第267号)1951年(昭和26)11月28日公布、同年12月1日施行

(目的)
第一条
この法律は、旅券の発給、効力その他旅券に関し必要な事項を定めることを目的とする。

(定義)
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 公用旅券 国の用務のため外国に渡航する者及びその者が渡航の際同伴し、又は渡航後その所在地に呼び寄せる配偶者、子又は使用人に対して発給される旅券をいう。
二 一般旅券 公用旅券以外の旅券をいう。
三 各省各庁の長 本邦から公用旅券によつて外国に渡航する者(その者が同伴され、又は呼び寄せられる配偶者、子又は使用人である場合には、その者を同伴し、又は呼び寄せる者)が所属する各省各庁(衆議院、参議院、裁判所、会計検査院並びに内閣(内閣府及びデジタル庁を除く。)、内閣府、デジタル庁及び各省をいう。以下同じ。)の長たる衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣をいう。ただし、その者が各省各庁のいずれにも所属しない場合には、外務大臣とする。
四 渡航書 第十九条の三第一項に規定する渡航書をいう。
五 都道府県 本邦から一般旅券によつて外国に渡航する者の住所又は居所の所在地を管轄する都道府県をいう。
六 都道府県知事 前号に定める都道府県の知事をいう。
七 旅券の名義人 旅券の発給を受けた者をいう。

(一般旅券の発給の申請)
第三条 
一般旅券の発給を受けようとする者は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる書類及び写真を、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館(領事館が設置されていない場合には、大使館又は公使館。以下同じ。)に出頭の上領事官(領事館の長をいう。以下同じ。)に提出して、一般旅券の発給を申請しなければならない。ただし、国内において申請する場合において、急を要し、かつ、都道府県知事又は外務大臣がその必要を認めるときは、直接外務省に出頭の上外務大臣に提出することができる。
一 一般旅券発給申請書
二 戸籍謄本又は戸籍抄本
三 申請者の写真
四 渡航先の官憲が発給した入国に関する許可証、証明書、通知書等を申請書に添付することを必要とされる者にあつ っては、その書類
五 前各号に掲げるものを除くほか、渡航先及び渡航目的によって特に必要とされる書類
六 その他参考となる書類を有する者にあつては、その書類
2 前項第二号に掲げる書類は、次の各号のいずれかに該当するときは、提出することを要しない。ただし、第一号に該当する場合において、国内においては都道府県知事(直接外務大臣に提出する場合には、外務大臣。以下この条において同じ。)が、国外においては領事官が、その者の身分上の事実を確認するため特に必要があると認めるときは、この限りでない。
一 第十一条の規定に基づき前項の申請をするとき。
二 外務省令で定める場合に該当する場合において、国内においては都道府県知事が、国外においては領事官が、その者の身分上の事実が明らかであると認めるとき。
3 都道府県知事は、一般旅券の発給の申請を受理するに当たり、申請者が人違いでないこと及び申請者が当該一般旅券発給申請書に記載された住所又は居所に居住していることを確認するものとし、その確認のため、外務省令で定めるところによりこれを立証する書類の提示又は提出を申請者に求めることができる。
4 第一項の一般旅券の発給の申請に係る書類及び写真の提出は、外務省令で定めるところにより、次に掲げる者を通じてすることができる。
一 申請者の配偶者又は二親等内の親族
二 前号に掲げる者のほか、申請者の指定した者(当該申請者のために書類及び写真を提出することが適当でない者として外務省令で定めるものを除く。)

(公用旅券の発給の請求)
第四条
公用旅券の発給の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては公用旅券の発給を受けようとする者が最寄りの領事館に出頭の上領事官に、次に掲げる書類及び写真を提出してするものとする。
一 公用旅券発給請求書
二 公用旅券の発給を受けようとする者の写真
三 使用人にあっては、戸籍謄本又は戸籍抄本
四 国外において公用旅券の発給を受けようとする者にあつては、公用旅券の発給を必要とする理由を立証する書類
2 前項の場合において、公用旅券の発給を受けようとする者が本邦と外務大臣が指定する地域以外の地域との間を数次往復しようとするときは、その旨及び理由を公用旅券発給請求書に記載して、数次往復用の公用旅券の発給を請求することができる。

(旅券の二重受給の禁止)
第四条の二
旅券の発給を受けた者は、その旅券が有効な限り、重ねて旅券の発給を受けることができない。ただし、外務大臣又は領事官がその者の保護又は渡航の便宜のため特に必要があると認める場合は、この限りでない。

(一般旅券の発行)
第五条
外務大臣又は領事官は、第三条の規定による発給の申請に基づき、外務大臣が指定する地域(第三項及び第四項において「指定地域」という。)以外の全ての地域を渡航先として記載した有効期間が十年の数次往復用の一般旅券を発行する。ただし、当該発給の申請をする者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、有効期間を五年とする。
一 有効期間が五年の一般旅券の発給を受けようとする旨を一般旅券発給申請書に記載して申請する者である場合
二 十八歳未満の者である場合
2 外務大臣又は領事官は、前条ただし書の規定に該当する場合において一般旅券を発行するとき、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によつて認識することができない方法をいう。以下同じ。)による記録を行つていない一般旅券を発行するとき、又は第十三条第一項各号のいずれかに該当する者に対し一般旅券を発行するとき(第五項において「限定発行の事由があるとき」と総称する。)は、前項の一般旅券につき、渡航先を個別に特定して記載し、又は有効期間を十年(当該一般旅券の発給の申請をする者が同項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、五年)未満とすることができる。
3 前二項の規定にかかわらず、外務大臣又は領事官は、指定地域へ渡航しようとする者が第三条の規定による発給の申請をする場合には、渡航先を個別に特定して記載した有効期間が十年(当該発給の申請をする者が第一項第二号に掲げる場合に該当するときは、五年)の一往復用の一般旅券を発行するものとする。ただし、外務大臣が適当と認めるときは、渡航先を個別に特定して記載した有効期間が十年(当該発給の申請をする者が同項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、五年)以下の数次往復用の一般旅券を発行することができる。
4 前三項の規定にかかわらず、外務大臣又は領事官は、第十条第一項の規定に基づき第三条の規定による発給の申請をする者が当該申請に当たつて返納した一般旅券(以下この条及び第十四条において「返納旅券」という。)の名義人の氏名その他外務省令で定める事項に変更を生じた者であつて、有効期間を当該返納旅券の残存有効期間と同一とする一般旅券の発給を受けようとする旨を一般旅券発給申請書に記載して当該申請をするもの(第十四条において「記載事項変更旅券申請者」という。)である場合には、その有効期間及び種類が当該返納旅券の残存有効期間及び種類と同一である一般旅券であつて、当該返納旅券の次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定める地域を渡航先として記載したものを発行する。
一 次号及び第三号に掲げる返納旅券以外の返納旅券 指定地域以外の全ての地域
二 第二項、この号又は次項の規定に基づいて渡航先を個別に特定して記載した返納旅券 当該返納旅券に渡航先として記載されていた地域と同一の地域(指定地域を除く。)
三 前項又はこの号の規定に基づいて渡航先を個別に特定して記載した返納旅券 渡航先として個別に特定して記載する地域(当該返納旅券に渡航先として記載されていた指定地域を含み、当該返納旅券に渡航先として記載されていなかつた指定地域を除く。)
5 外務大臣又は領事官は、限定発行の事由があるときは、前項第一号又は第二号に掲げる返納旅券について同項の規定により発行する一般旅券につき、渡航先を個別に特定して記載し、又は有効期間を当該返納旅券の残存有効期間未満とすることができるものとし、同項第三号に掲げる返納旅券について同項の規定により発行する一般旅券につき、有効期間を当該返納旅券の残存有効期間未満とすることができる。

(公用旅券の発行)
第五条の二
外務大臣又は領事官は、第四条の規定による発給の請求に基づき、有効期間が五年の一往復用の公用旅券を発行する。ただし、同条第二項の請求があつた場合において、数次往復の必要を認めるときは、有効期間が五年以下の数次往復用の公用旅券を発行することができる。

(旅券の記載事項)
第六条
旅券には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 旅券の種類、番号、発行年月日及び有効期間満了の日
二 旅券の名義人の氏名及び生年月日
三 渡航先
四 前三号に掲げるもののほか、外務省令で定める事項
2 前項第三号の渡航先を地域名をもつて包括記載する場合の地域の範囲は、外務大臣が官報で告示するところによる。

(旅券の電磁的方法による記録)
第七条
外務大臣又は領事官は、旅券の名義人の写真及び前条第一項に掲げる事項の一部であつて外務省令で定めるものを、旅券に電磁的方法により記録することができる。

(旅券の交付)
第八条
第五条の規定により発行された一般旅券は、国内においては都道府県知事が、国外においては領事官が、外務省令で定めるところにより、当該一般旅券の発給につき第三条第一項の申請をした者の出頭を求めて当該申請者に交付する。ただし、同項ただし書の規定により直接外務大臣に申請する場合には、外務大臣が当該申請をした者の出頭を求めて当該申請者に交付する。
2 前項の場合において、病気、身体の障害、交通至難の事情その他の真にやむを得ない理由により申請者の出頭が困難であると認められ、かつ、当該申請者が人違いでないことが明らかであるときは、都道府県知事、外務大臣又は領事官は、外務省令で定めるところにより、当該申請者の出頭を求めることなく、当該申請者が確実に受領できると認められる最も適当な方法により一般旅券を交付することができる。
3 第五条の二の規定により発行された公用旅券は、国内においては各省各庁の長を通じて外務大臣が、国外においては領事官が、当該公用旅券の発給を受ける者に交付する。

(渡航先の追加)
第九条
第五条第二項から第五項までの規定に基づいて渡航先が個別に特定して記載された一般旅券の名義人は、当該一般旅券を使用して当該記載された渡航先以外の地域に渡航しようとする場合には、外務省令で定めるところにより、当該一般旅券及び次に掲げる書類を、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館に出頭の上領事官に提出して、渡航先の追加を申請しなければならない。
一 一般旅券渡航先追加申請書
二 渡航先及び渡航目的によつて特に必要とされる書類
2 公用旅券の渡航先の追加の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては渡航先の追加を受けようとする者が最寄りの領事館に出頭の上領事官に、公用旅券渡航先追加請求書(国外においては、外務大臣の定めるところにより、渡航先の追加を必要とする理由が新たに生じたことを立証する書類を含む。)及び、公用旅券の交付の後にあつては、当該公用旅券を提出してするものとする。
3 第三条第一項ただし書、第三項及び第四項の規定は第一項の申請の場合について、前条第一項及び第三項の規定は当該申請又は前項の請求に係る旅券の交付について、それぞれ準用する。この場合において、同条第一項中「当該申請者に交付する」とあるのは、「当該申請者に交付し、又はその指定した者の出頭を求めて交付する」と読み替えるものとする。

(記載事項に変更を生じた場合の取扱い)
第十条
一般旅券の名義人は、当該一般旅券の記載事項に変更を生じた場合には、前条第一項の規定の適用がある場合を除き、遅滞なく、当該一般旅券を返納の上、第三条の規定により新たに一般旅券の発給を申請するものとする。
2 公用旅券の記載事項に変更を生じた場合には、前条第二項の規定の適用がある場合を除き、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては当該公用旅券の名義人が最寄りの領事館の領事官に、遅滞なく、当該公用旅券を返納の上、第四条の規定により新たに公用旅券の発給を請求するものとする。
3 外務大臣又は領事官は、旅券の記載事項に変更を生じ、又は旅券の記載事項若しくは旅券に電磁的方法により記録された事項に誤りがあることを知つた場合において特に必要と認めるときは、申請又は請求に基づかないで、当該旅券の名義人(公用旅券でその名義人が国内に在るものについては、各省各庁の長)に対し、当該旅券の返納を求めて新たに旅券を発行することができる。
4 第八条第一項の規定は前項の規定により発行された一般旅券の交付について、同条第三項の規定は前項の規定により発行された公用旅券の交付について、それぞれ準用する。この場合において、同条第一項中「当該申請者に交付する」とあるのは、「当該申請者に交付し、又はその指定した者の出頭を求めて交付する」と読み替えるものとする。

(有効期間内の申請等)
第十一条
旅券の名義人(公用旅券でその名義人が国内に在るものについては、各省各庁の長)は、次の各号のいずれかに該当する場合には、第四条の二本文の規定にかかわらず、当該旅券の有効期間内においても当該旅券を返納の上第三条又は第四条の規定により旅券の発給を申請し、又は請求することができる。
一 当該旅券の残存有効期間が一年未満となつたとき。
二 当該旅券の査証欄に余白がなくなつたとき。
三 旅券を著しく損傷したとき。
四 その他外務大臣又は領事官がその者の保護又は渡航の便宜のため特に必要があると認めるとき。

(旅券の査証欄の増補)
第十二条
一般旅券の発給を受けようとする者は一般旅券査証欄増補申請書を、一般旅券の名義人は当該一般旅券及び一般旅券査証欄増補申請書を、外務省令で定めるところにより、国内においては都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館の領事官に提出して、当該一般旅券に関して、一回に限り査証欄の増補を申請することができる。
2 公用旅券の査証欄の増補の請求は、国内においては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては公用旅券の名義人が最寄りの領事館の領事官に、査証欄の増補を受けようとする公用旅券及び公用旅券査証欄増補請求書を提出してするものとする。
3 第三条第一項ただし書及び第四項の規定は第一項の申請の場合について、第八条第一項及び第三項並びに第九条第三項後段の規定は当該申請又は前項の請求に係る旅券の交付について、それぞれ準用する。

(一般旅券の発給等の制限)
第十三条
外務大臣又は領事官は、一般旅券の発給又は渡航先の追加を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合には、一般旅券の発給又は渡航先の追加をしないことができる。
一 渡航先に施行されている法規によりその国に入ることを認められない者
二 死刑、無期若しくは長期二年以上の刑に当たる罪につき訴追されている者又はこれらの罪を犯した疑いにより逮捕状、勾こう引状、勾こう留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から外務大臣に通報されている者
三 禁錮こ以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
四 第二十三条の規定により刑に処せられた者
五 旅券若しくは渡航書を偽造し、又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書を行使し、若しくはその未遂罪を犯し、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百五十五条第一項又は第百五十八条の規定により刑に処せられた者
六 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律(昭和二十八年法律第二百三十六号)第一条に規定する帰国者で、同法第二条第一項の措置の対象となつたもの又は同法第三条第一項若しくは第四条の規定による貸付けを受けたもののうち、外国に渡航したときに公共の負担となるおそれがあるもの
七 前各号に掲げる者を除くほか、外務大臣において、著しく、かつ、直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
2 外務大臣は、前項第七号の認定をしようとするときは、あらかじめ法務大臣と協議しなければならない。

(一般旅券の発給をしない場合等の通知)
第十四条
外務大臣又は領事官は、前条の規定に基づき一般旅券の発給若しくは渡航先の追加をしないと決定したとき、又は第五条第二項若しくは第五項の規定に基づいて渡航先を個別に特定して記載し、若しくは有効期間を十年(一般旅券の発給の申請をする者が同条第一項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは五年、記載事項変更旅券申請者であるときは当該返納旅券の残存有効期間)未満とすると決定したとき(第四条の二ただし書の規定に該当する場合において一般旅券を発行するときを除く。)は、速やかに、理由を付した書面をもって一般旅券の発給又は渡航先の追加を申請した者にその旨を通知しなければならない。

(署名)
第十五条
旅券の発給を受けようとする者(以下この条において「発給申請者」という。)は、旅券面の所定の場所(外務省令で定める場合には、旅券面への署名に代えて、一般旅券発給申請書又は公用旅券発給請求書の所定の場所)に署名しなければならない。ただし、当該発給申請者が署名することが困難なものとして外務省令で定める者である場合には、外務省令で定めるところにより、当該発給申請者の記名をもつて代えることができる。

(外国滞在の届出)
第十六条
旅券の名義人で外国に住所又は居所を定めて三月以上滞在するものは、外務省令で定めるところにより、当該地域に係る領事館の領事官に届け出なければならない。

(紛失又は焼失の届出)
第十七条
一般旅券の名義人は、当該一般旅券を紛失し、又は焼失した場合には、外務省令で定めるところにより、遅滞なく、国内においては都道府県に出頭の上都道府県知事を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館に出頭の上領事官に、その旨を届け出なければならない。ただし、国内において届け出る場合において、急を要し、かつ、都道府県知事又は外務大臣がその必要を認めるときは、直接外務省に出頭の上外務大臣に提出することができる。
2 前項の場合において、一般旅券の名義人が病気、身体の障害、交通至難の事情その他の真にやむを得ない理由により出頭が困難であると認められるときは、外務省令で定めるところにより、次に掲げる者を通じて届出を行うことができる。
一 一般旅券の名義人の配偶者又は二親等内の親族
二 前号に掲げる者のほか、一般旅券の名義人の指定した者(当該一般旅券の名義人のために届出を行うことが適当でない者として外務省令で定めるものを除く。)
3 都道府県知事は、第一項の旅券の紛失又は焼失の届出を受理するに当たり、届出者が人違いでないこと及び届出者が紛失旅券等届出書に記載された住所又は居所に居住していることを確認するものとし、その確認のため、外務省令で定めるところによりこれを立証する書類の提示又は提出を届出者に求めることができる。
4 公用旅券の名義人は、当該公用旅券を紛失し、又は焼失した場合には、外務省令で定めるところにより、遅滞なく、国内においては各省各庁の長を経由して外務大臣に、国外においては最寄りの領事館に出頭の上領事官に、その旨を届け出なければならない。

(旅券の失効)
第十八条
旅券は、次の各号のいずれかに該当する場合には、その効力を失う。
一 旅券の名義人が死亡し、又は日本の国籍を失つたとき。
二 旅券の発給を申請し若しくは請求した者が当該旅券の発行の日から六月以内に当該旅券を受領せず、又は一往復用の旅券の名義人が当該旅券の発行の日から六月以内に本邦を出国しない場合には、その六月を経過したとき。
三 旅券の有効期間が満了したとき。
四 一往復用の旅券の名義人が本邦に帰国したとき。
五 旅券の発給の申請又は請求に当たつて返納された旅券(第十条第三項の規定により返納された旅券を含む。)にあっては、当該返納された旅券に代わる旅券の発行があつたとき。
六 前条第一項又は第四項の規定による届出があったとき。
七 次条第一項の規定により返納を命ぜられた旅券にあつては、同項の期限内に返納されなかったとき、又は外務大臣若しくは領事官が、当該返納された旅券が効力を失うべきことを適当と認めたとき。
2 外務大臣は、旅券が前項第六号又は第七号に該当して効力を失つたときは、遅滞なくその旨を官報に告示しなければならない。

(返納)
第十九条
外務大臣又は領事官は、次に掲げる場合において、旅券を返納させる必要があると認めるときは、旅券の名義人に対して、期限を付けて、旅券の返納を命ずることができる。
一 一般旅券の名義人が第十三条第一項各号のいずれかに該当する者であることが、当該一般旅券の交付の後に判明した場合
二 一般旅券の名義人が、当該一般旅券の交付の後に、第十三条第一項各号のいずれかに該当するに至つた場合
三 錯誤に基づき、又は過失により旅券の発給、渡航先の追加又は査証欄の増補をした場合
四 旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合
五 一般旅券の名義人の渡航先における滞在が当該渡航先における日本国民の一般的な信用又は利益を著しく害しているためその渡航を中止させて帰国させる必要があると認められる場合
2 第十三条第二項の規定は、一般旅券の名義人が前項第一号又は第二号の場合において、第十三条第一項第七号に該当するかどうかを認定しようとするときについて準用する。
3 第一項の規定に基づき同項第一号又は第二号の場合において行う一般旅券の返納の命令(第十三条第一項第一号又は第六号に該当する者に対して行うものを除く。)については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。
4 外務大臣又は領事官は、第一項の規定に基づき一般旅券の返納を命ずることを決定したときは、速やかに、理由を付した書面をもつて当該一般旅券の名義人にその旨を通知しなければならない。
5 旅券の名義人が現に所持する旅券が前条第一項第一号から第四号まで又は第六号のいずれかに該当してその効力を失つたとき、及び公用旅券の場合においてその発給に係る国の用務がなくなり又は終了したときは、国内においては、一般旅券にあつてはその名義人が都道府県知事又は外務大臣に、公用旅券にあつては各省各庁の長が外務大臣に、国外においては旅券の名義人が領事官に、遅滞なくその旅券を返納しなければならない。
6 返納すべき旅券(第一項の規定に基づき返納を命ぜられた旅券を除く。)の名義人がこれを保有することを希望するときは、返納を受けた都道府県知事、外務大臣又は領事官は、外務省令で定めるところにより、その旅券に消印をしてこれを当該旅券の名義人に還付することができる。

(返納に係る公告)
第十九条の二
外務大臣又は領事官は、前条第四項の規定により一般旅券の返納を命ずる旨の通知(以下この条において「通知」という。)をする場合において、当該旅券の名義人の所在が知れないときその他通知をすべき書面を送付することができないやむを得ない事情があるときは、通知をすべき内容を外務大臣が官報に掲載することをもって通知に代えることができる。
2 外務大臣が通知をすべき内容を官報に掲載した場合においては、その掲載した日から起算して二十日を経過した日に、通知が当該旅券の名義人に到達したものとみなす。
3 外務大臣は、通知をすべき内容を官報に掲載したときは、遅滞なく、必要と認める地域に係る領事館の領事官に対しその旨を通報するものとし、当該通報を受けた領事官は、その所属する領事館の適当な場所に当該通報の内容を掲示するものとする。

(帰国のための渡航書)
第十九条の三
外務大臣又は領事官は、外国にある日本国民のうち次の各号のいずれかに該当する者で本邦に帰国することを希望するものに対し、その者の申請に基づいて、必要があると認める場合には、旅券に代えて渡航書を発給することができる。
一 旅券を所持しない者であって緊急に帰国する必要があり、かつ、旅券の発給を受けるいとまがないもの
二 旅券の発給を受けることができない者
三 第十九条第一項の規定による旅券の返納の命令に基づいて旅券を返納した者
2 渡航書の発給を受けようとする者は、渡航書発給申請書その他外務省令で定める書類及び写真を最寄りの領事館に出頭の上領事官に提出して、渡航書の発給を申請するものとする。この場合において、その者の現住する地方に領事館が設置されていないとき、その他その者が当該申請をすることができないやむを得ない事情があるときは、その者の親族その他外務省令で定める関係者が外務省又は最寄りの領事館に出頭の上外務大臣又は領事官に申請するものとする。
3 前項の申請に基づいて発行された渡航書は、外務大臣又は領事官が、当該渡航書の発給を申請した者の出頭を求めて当該申請者に交付する。
4 外務大臣又は領事官は、第一項各号のいずれかに該当する者の帰国のため特に必要があると認める場合には、前三項の規定にかかわらず、渡航書を申請に基づかないで発行し、又は出頭を求めることなく渡航書が確実に受領されると認められる最も適当な方法によりこれを交付することができる。
5 外務大臣又は領事官は、第一項又は前項の規定に基づき渡航書を発給する場合には、渡航書の有効期間及び帰国の経由地を指定することができる。

(手数料)
第二十条
国内において次の各号に掲げる処分の申請をする者は、政令で定めるところにより、当該各号に定める額の手数料を国に納付しなければならない。
一 第五条第一項本文の一般旅券の発給 一万四千円
二 第五条第一項ただし書の一般旅券の発給 九千円(処分の申請をする者が十二歳未満であるときは、四千円)
三 前二号に掲げる一般旅券以外の一般旅券の発給 四千円
四 一般旅券の渡航先の追加 千三百円
五 一般旅券の査証欄の増補 二千円
六 渡航書の発給 二千五百円
2 都道府県は、国内において前項第一号から第五号までに掲げる処分の申請をする者から条例で定めるところにより手数料を徴収することができる。この場合において、都道府県は、都道府県における当該事務に要する実費を勘案して政令で定める額を標準として、当該手数料の額を定めなければならない。
3 第一項第一号から第五号までに掲げる処分の申請をする者が、第三条第一項ただし書(第九条第三項、第十条第四項又は第十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定により直接外務大臣に申請する場合には、当該各号に定める額に政令で定める額を加えた額の手数料を、国に納付しなければならない。
4 国外において第一項各号に掲げる処分の申請をする者は、当該各号に定める額に前項の政令で定める額を加えた額に相当するものとして政令で定める額の手数料を、政令で定めるところにより国に納付しなければならない。
5 一般旅券の発給を必要とする原因が関係官庁の過失によって生じた場合には、前各項の規定にかかわらず、手数料を納付することを要しない。
6 永住を目的とする外国への渡航その他特別の事由がある場合には、政令で定めるところにより、第一項、第三項及び第四項の規定による国に納付すべき手数料を減額することができる。

(事務の委任)
第二十一条
外務大臣は、第十九条第四項の規定による通知に係る書面の交付に関する事務を入国審査官に委任することができる。

(都道府県が処理する事務)
第二十一条の二
この法律に規定する外務大臣の一般旅券に関する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

(事務の区分)
第二十一条の三
第三条、第八条第一項及び第二項、第九条第一項及び第三項、第十条第四項、第十二条第一項及び第三項、第十七条第一項から第三項まで並びに第十九条第五項及び第六項の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

(外務大臣の指示)
第二十一条の四
外務大臣は、国内外の情勢の急激な変化、人道上の理由その他の事由により必要と認めるときは、都道府県知事に対し、この法律又はこの法律に基づく政令の規定により都道府県知事が行う事務に関し必要な指示を行うことができる。

(外務省令への委任)
第二十二条
この法律の実施のための手続その他その執行について必要な事項は、外務省令で定める。

(罰則)
第二十三条
次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 この法律に基づく申請又は請求に関する書類に虚偽の記載をすることその他不正の行為によつて当該申請又は請求に係る旅券又は渡航書の交付を受けた者
二 他人名義の旅券又は渡航書を行使した者
三 行使の目的をもつて、自己名義の旅券又は渡航書を他人に譲り渡し、又は貸与した者
四 行使の目的をもつて、他人名義の旅券又は渡航書を譲り渡し、若しくは貸与し、譲り受け、若しくは借り受け、又は所持した者
五 行使の目的をもつて、旅券又は渡航書として偽造された文書を譲り渡し、若しくは貸与し、譲り受け、若しくは借り受け、又は所持した者
六 第十九条第一項の規定により旅券の返納を命ぜられた場合において、同項に規定する期限内にこれを返納しなかつた者
七 効力を失つた旅券又は渡航書を行使した者
2 営利の目的をもつて、前項第一号、第四号又は第五号の罪を犯した者は、七年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
3 第一項(第四号及び第五号の所持に係る部分並びに第六号を除く。)及び前項(第一項第四号及び第五号の所持に係る部分を除く。)の未遂罪は、罰する。
4 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 一般旅券に記載された渡航先以外の地域に渡航した者
二 渡航書に帰国の経由地が指定されている場合において、経由地以外の地域に渡航した者

(国外犯罪)
第二十四条
前条の規定は、国外において同条の罪を犯した者にも適用する。

(没取)
第二十五条
第二十三条の罪(第一項第一号の未遂罪を除く。)を犯した者の旅券若しくは渡航書又は旅券若しくは渡航書として偽造された文書は、外務大臣が没取することができる。

附 則 (省略)

    「ウィキソース」より

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