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 今日は、明治時代後期の1906年(明治39)に、考古学者で「騎馬民族説」を唱えた江上波夫が生まれた日です。
 江上波夫(えがみ なみお)は、山口県下関市において生まれましたが、東京で育ち、東京師範学校付属小学校、旧制東京府立第五中学校を経て、1924年(大正13)に旧制浦和高等学校に入学しました。1927年(昭和2)に同校卒業後、東京帝国大学文学部東洋史学科で学びます。
 1930年(昭和5)に卒業後、東亜考古学会の留学生として中国の北京に渡り、水野清一らと共に長城地帯をはじめ各地の調査研究を行ない、1931年(昭和6)には、東方文化学院 (後の東京大学東洋文化研究所) 研究員となりました。1935年(昭和10)に内蒙古(内モンゴル)の横断踏査に出発、1937年(昭和12)に『蒙古高原横断記』を発表、1941年(昭和16)には、横断踏査を終えています。
 1942年(昭和17)に文部省の民族研究所設立準備委員会幹事となり、1945年(昭和20)には、民族研究所の第二部長となりました。太平洋戦争後、1947年(昭和22)に東京大学文学部講師となり、翌年には、東京大学東洋文化研究所教授となり、日本の国家形成について「騎馬民族征服説」を発表します。
 1956年(昭和31)に東京大学イラン・イラク遺跡調査団長を務め、1958年(昭和33)に共著『日本民族の起源』を刊行、1962年(昭和37)には、東京大学東洋文化研究所所長となりました。1964年(昭和39)に『日本における民族の形成と国家の起源』をまとめ、1967年(昭和42)には、東京大学を退官し、名誉教授となり、『騎馬民族国家』を発表、翌年にはその著作で、毎日出版文化賞を受賞します。
 1969年(昭和44)に紫綬褒章を受章、1971年(昭和46)に上智大学教授となり、1972年(昭和47)には、市民との連合による「東アジアの古代文化を考える会」会長となりました。1973年(昭和48)に多摩美術大学講師、多摩美術大学文様研究所研究所員として勤め、1974年(昭和47)に日本学術会議会員、1977年(昭和52)には、勲三等旭日中綬章を受章、古代オリエント博物館長となるります。
 1980年(昭和55)に水中考古学を提唱、水中文化財の発見・所在の確認を行い、1982年(昭和57)に日本オリエント学会会長、1983年(昭和58)に文化功労者、1984年(昭和59)には、日本水中考古学会会長となりました。1990年(平成2)にアジア史学会設立に参加し、会長となり、内モンゴルのオロンスム遺跡を再訪、1991年(平成3)に文化勲章、1992年(平成4)には、モンゴル政府より、モンゴル北極星勲章を受章しましたが、2002年(平成14)11月11日に、神奈川県において、96歳で亡くなっています。
 尚、2003年(平成15)には、横浜市に寄贈した考古・歴史・美術・民族資料約2,500点、文献資料約25,000点の整理と準備が終わり、「横浜ユーラシア文化館」が開館しました。

〇江上波夫の主要な著作

・『蒙古高原横断記』(1937年) 
・『蒙古高原──錫林郭爾、烏蘭察布に於ける地質・古生物、人類の調査』(1943年)
・『ユウラシア古代北方文化』(1948年)
・共著『日本民族の起源』(1958年)
・『日本における民族の形成と国家の起源』(1964年)
・『騎馬民族国家』(1967年)
・詩集『幻人詩抄』(1975年)

☆江上波夫関係略年表

・1906年(明治39)11月6日 山口県下関市において、生まれる
・1919年(大正8) 東京師範学校付属小学校を卒業する
・1924年(大正13) 旧制東京府立第五中学校を卒業する
・1927年(昭和2) 旧制浦和高校を卒業する
・1930年(昭和5) 東京帝国大学文学部東洋史学科を卒業、東亜考古学会の留学生として中国の北京に渡る
・1931年(昭和6) 東方文化学院 (後の東京大学東洋文化研究所) 研究員となる
・1935年(昭和10) 内蒙古(内モンゴル)の横断踏査に出発する
・1937年(昭和12) 『蒙古高原横断記』を発表する
・1941年(昭和16) 内蒙古(内モンゴル)の横断踏査を終える
・1942年(昭和17) 文部省の民族研究所設立準備委員会幹事となる
・1945年(昭和20) 民族研究所の第二部長となります
・1947年(昭和22) 東京大学文学部講師となる
・1948年(昭和23) 東京大学東洋文化研究所教授となり、日本の国家形成について「騎馬民族征服説」を発表する
・1956年(昭和31) 東京大学イラン・イラク遺跡調査団長を務める
・1958年(昭和33) 共著『日本民族の起源』を刊行する
・1962年(昭和37) 東京大学東洋文化研究所所長となる
・1964年(昭和39) 『日本における民族の形成と国家の起源』をまとめる
・1967年(昭和42) 東京大学を退官し、名誉教授となり、『騎馬民族国家』を発表する
・1968年(昭和43) 「騎馬民族国家」で、毎日出版文化賞を受賞する
・1969年(昭和44) 紫綬褒章を受章する
・1971年(昭和46) 上智大学教授となる
・1972年(昭和47) 市民との連合による「東アジアの古代文化を考える会」会長となる
・1973年(昭和48) 多摩美術大学講師、多摩美術大学文様研究所研究所員として勤める
・1974年(昭和47) 日本学術会議会員となる
・1977年(昭和52) 勲三等旭日中綬章を受章、古代オリエント博物館長となる
・1980年(昭和55) 水中考古学を提唱、水中文化財の発見・所在の確認を行う
・1982年(昭和57) 日本オリエント学会会長となる
・1983年(昭和58) 文化功労者となる
・1984年(昭和59) 日本水中考古学会会長となる
・1990年(平成2) アジア史学会設立に参加し、会長となり、内モンゴルのオロンスム遺跡を再訪する
・1991年(平成3) 文化勲章を受章する
・1992年(平成4) モンゴル政府より、モンゴル北極星勲章を受章する
・2002年(平成14)11月11日  神奈川県において、96歳で亡くなる
・2003年(平成15) 横浜市に寄贈した考古・歴史・美術・民族資料約2,500点、文献資料約25,000点の整理と準備が終わり、「横浜ユーラシア文化館」が開館する

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1717年(享保2)地理学者・儒学者長久保赤水の誕生日(新暦12月8日)詳細
1937年(昭和12)「日独伊防共協定」が調印される詳細
1938年(昭和13)北海道の北炭夕張炭鉱(天竜坑)で爆発事故が起こり、死者161人、負傷者21人を出す詳細
1943年(昭和18)大東亜会議において「大東亜共同宣言」が出される詳細
1945年(昭和20)GHQが「持株会社の解体に関する覚書」により、四大財閥の解体を指令する詳細
1975年(昭和50)俳人・随筆家・小説家・編集者石川桂郎の命日(桂郎忌)詳細