
「帝国在郷軍人会令」(ていこくざいごうぐんじんかいれい)は、現役を離れた軍人によって構成される組織だった「帝国在郷軍人会」を陸海軍所管の公的機関とすると定めた勅令(昭和11年勅令第365号)でした。日清戦争前後から郡長や町村長によって各地に兵事行政の補助や在郷軍人の管理を目的とする在郷軍人の尚武団体が組織されはじめましたが、日露戦争を契機として、陸軍省の指導下にこれらの団体を全国的に統合して、1910年(明治43)11月に任意団体の帝国在郷軍人会(総裁:陸軍大将伏見宮貞愛親王、会長:寺内正毅陸軍大臣)が創設されます。
戦時の動員に即応できる在郷軍人の軍事教育をおもな目的とし、当初は陸軍のみの組織でしたが、1914年(大正3)には、陸海軍共通組織となりました。満州事変(1931~33年)以後は、軍部の軍国主義宣伝機関として活躍し、1935年(昭和10)には、「天皇機関説」排撃運動を右翼勢力とともに進めて、国体明徴運動を展開ましたが、1936年(昭和11)に、この勅令(昭和11年勅令第365号)が公布(施行は同年10月11日)され、陸海軍所管の公的機関となります。
会員相互の親睦のほ他、壮丁準備教育、青年団指導、救護事業などでも活躍し、地域社会の秩序維持、地域住民の思想善導、軍国主義的宣伝に側面的に協力し、約300万人の会員を有しました。太平洋戦争敗戦後の軍国主義追放により、1945年(昭和20)8月31日に、解散が宣言され、これを受けて同年の11月5日の「帝国在郷軍人会令等廃止ノ件」(昭和20年勅令第619号)によって、この勅令も廃止されています。
以下に、「帝国在郷軍人会令」(昭和11年勅令第365号)の制定時の条文を掲載しておきますので、ご参照下さい。
戦時の動員に即応できる在郷軍人の軍事教育をおもな目的とし、当初は陸軍のみの組織でしたが、1914年(大正3)には、陸海軍共通組織となりました。満州事変(1931~33年)以後は、軍部の軍国主義宣伝機関として活躍し、1935年(昭和10)には、「天皇機関説」排撃運動を右翼勢力とともに進めて、国体明徴運動を展開ましたが、1936年(昭和11)に、この勅令(昭和11年勅令第365号)が公布(施行は同年10月11日)され、陸海軍所管の公的機関となります。
会員相互の親睦のほ他、壮丁準備教育、青年団指導、救護事業などでも活躍し、地域社会の秩序維持、地域住民の思想善導、軍国主義的宣伝に側面的に協力し、約300万人の会員を有しました。太平洋戦争敗戦後の軍国主義追放により、1945年(昭和20)8月31日に、解散が宣言され、これを受けて同年の11月5日の「帝国在郷軍人会令等廃止ノ件」(昭和20年勅令第619号)によって、この勅令も廃止されています。
以下に、「帝国在郷軍人会令」(昭和11年勅令第365号)の制定時の条文を掲載しておきますので、ご参照下さい。
〇「帝国在郷軍人会令」(昭和11年勅令第365号)1936年(昭和11)9月25日公布、同年10月11日施行
第一条 在郷軍人其ノ精神ヲ鍛錬シ軍事能力ヲ増進シ兼ネテ社会ノ公益ヲ図リ風教ヲ振作シ国家ノ干城国民ノ中堅タルノ実ヲ挙グル目的ヲ以テ帝国在郷軍人会ヲ組織セントスルトキハ陸軍大臣及海軍大臣ノ認可ヲ受クベシ
2 帝国在郷軍人会ノ組織、会員ノ資格、加入及脱退其ノ他帝国在郷軍人会ニ関シ必要ナル事項ハ陸軍大臣及海軍大臣之ヲ定ム
第二条 陸軍大臣及海軍大臣ハ帝国在郷軍人会ヲ監督ス
2 陸軍大臣及海軍大臣ハ其ノ定ムル所ニ依リ陸海軍部隊ノ長ヲシテ帝国在郷軍人会ヲ監督セシムルコトヲ得
第三条 政府ハ帝国在郷軍人会ニ対シ予算ノ範囲内ニ於テ補助金ヲ交付スルコトヲ得
第四条 帝国在郷軍人会ハ附図第一ニ定ムル会旗ヲ使用スルモノトス
2 帝国在郷軍人会会員ハ附図第二ニ定ムル会員徽章ヲ佩用スルモノトス
3 会旗ノ使用及会員徽章ノ佩用ニ関シテハ陸軍大臣及海軍大臣之ヲ定ム
第五条 帝国在郷軍人会ハ政治ニ干与スルコトヲ得ズ
第六条 陸軍大臣及海軍大臣ハ帝国在郷軍人会ニ対シ徴募、召集、徴発、防衛等ニ関シ協力ヲ求ムルコトヲ得
第七条 陸軍大臣、海軍大臣及第二条第二項ニ規定スル陸海軍部隊ノ長ハ帝国在郷軍人会ニ対シ会務ニ関スル報告ヲ徴シ会務執行又ハ会計ノ状況ヲ検査シ及監督上必要ナル処分ヲ為スコトヲ得
附 則
1 本令ハ昭和十一年十月十一日ヨリ之ヲ施行ス
2 本令施行ノ際現ニ存シ陸軍大臣及海軍大臣ノ監督ヲ受クル帝国在郷軍人会ハ本令施行ノ日ヨリ一月以内ニ会則ヲ具シ陸軍大臣及海軍大臣ニ届出デ本令ニ依ル帝国在郷軍人会ト為ルコトヲ得
(附図第一及び第二 略)
〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)
769年(神護景雲3) | 宇佐八幡宮神託事件が起きる(新暦10月28日) | 詳細 |
1075年(承保2) | 公卿・関白・太政大臣藤原教通の命日(新暦11月6日) | 詳細 |
1691年(元禄4) | 大和絵師・土佐派中興の祖土佐光起の命日(新暦11月14日) | 詳細 |
1829年(文政12) | P.F.vonシーボルトがシーボルト事件で、国外追放処分を受ける(新暦10月22日) | 詳細 |
1985年(昭和60) | 奈良県斑鳩町の藤ノ木古墳の石室等の発堀について発表される | 詳細 |
2015年(平成27) | 第70回国連総会で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択される | 詳細 |