agawahiroyuki01
 今日は、大正時代の1920年(大正9)に、小説家阿川弘之の生まれた日です。阿川弘之(あがわ ひろゆき)は、広島県広島市白島九軒町土手通り(現在の中区白島九軒町)において、実業家だった父・阿川甲一、母・キミの長男として生まれました。
 広島高等師範学校附属中学を経て、1937年(昭和12)に、広島高等学校文科乙類に入学し、文芸部に所属、同人誌「こをろ」に参加します。1940年(昭和15)に、東京帝大文学部国文科に入学しましたが、1942年(昭和17)には、繰り上げ卒業となり、海軍予備学生を志願して佐世保海兵団に入団、台湾の高雄州東港海軍基地で基礎教育を受けました。
 1943年(昭和18)に帰国。横須賀海軍通信学校で特務班要員の訓練を受け、少尉に任官、翌年には、中尉に進級、支那方面艦隊司令部附となり、中国の漢口で通信諜報作業に従事しています。敗戦後の1945年(昭和20)にポツダム大尉に進級、俘虜となり、翌年復員帰国後、上京して志賀直哉を訪ね、定職につかずに執筆に専念することを決意、「世界」に掲げた短編『年年歳歳』によって文壇に進出しました。
 1950年(昭和25)に第一創作集『年年歳歳』を上梓、1952年(昭和27)には、長篇『春の城』で第4回読売文学賞を受賞します。1955年(昭和30)に「新潮」1~12月号に『雲の墓標』を連載、翌年、単行本化され、ロックフェラー財団の留学生(フェロウ)としてアメリカに滞在しました。
 1965年(昭和40)に『山本五十六』で、第13回新潮文学賞、1983年(昭和58)に第30回交通文化賞、1986年(昭和61)に『井上成美』(新潮社)で、第19回日本文学大賞、1979年(昭和54)に第35回日本芸術院賞・恩賜賞、1993年(平成5)には、文化功労者表彰を受けるなど数々の栄誉に輝きます。さらに、1994年(平成6)に評伝『志賀直哉』で、野間文芸賞、第48回毎日出版文化賞を受賞、1999年(平成11)には、文化勲章受章、第3回海洋文学大賞特別賞受賞、広島県名誉県民となりました。
 その後も、2002年(平成14)に『食味風々録』で、第53回読売文学賞受賞、2003年(平成15)に広島市名誉市民、2007年(平成19)には、第55回菊池寛賞を受賞したものの、2015年(平成27)8月3日に東京都内の病院において、94歳で亡くなっています。

〇阿川弘之の主要な著作

・第一創作集『年年歳歳』(1950年)
・『春の城』(1952年)第4回読売文学賞受賞
・『魔の遺産』(1954年)
・『雲の墓標』(1956年)
・『夜の波音』(1957年)
・童話『きかんしゃやえもん』(1959年)
・『なかよし特急』(1960年)第7回サンケイ児童出版文化賞
・『坂の多い道』(1960年)
・『山本五十六』(1965年)第13回新潮文学賞受賞
・『暗い波濤』(1974年)
・『南蛮阿房列車』(1977年)
・『米内光政』(1978年)
・『井上成美』(1986年)第19回日本文学大賞受賞
・評伝『志賀直哉』(1994年)第47回野間文芸賞受賞、第48回毎日出版文化賞
・『食味風々録』(2002年)読売文学賞受賞

☆阿川弘之関係略年表

・1920年(大正9)12月24日 広島県広島市白島九軒町土手通り(現在の中区白島九軒町)において、実業家だった父・阿川甲一、母・キミの長男として生まれる
・1927年(昭和2) 広島市の偕行社立済美小学校に入学する
・1933年(昭和8) 広島高等師範学校附属中学に入学する
・1937年(昭和12) 広島高等学校文科乙類に入学し、文芸部に所属する
・1940年(昭和15) 東京帝大文学部国文科に入学する
・1942年(昭和17) 繰り上げ卒業となり、海軍予備学生を志願して佐世保海兵団に入団、台湾の高雄州東港海軍基地で基礎教育を受ける
・1943年(昭和18) 帰国。横須賀海軍通信学校で特務班要員の訓練を受け、少尉に任官する
・1944年(昭和19) 中尉に進級、支那方面艦隊司令部附となり、中国の漢口で通信諜報作業に従事する
・1945年(昭和20) 敗戦後、ポツダム大尉に進級、俘虜となる
・1946年(昭和21) 復員帰国後、上京して志賀直哉を訪ね、定職につかずに執筆に専念することを決意、「世界」に掲げた短編『年年歳歳』によって文壇に進出する
・1949年(昭和24) 結婚する
・1950年(昭和25) 第一創作集『年年歳歳』を上梓する
・1952年(昭和27) 長篇『春の城』(新潮社)で第4回読売文学賞を受賞する
・1955年(昭和30) 「新潮」1~12月号に『雲の墓標』を連載する
・1956年(昭和31) 『雲の墓標』を単行本化、ロックフェラー財団の留学生(フェロウ)としてアメリカに滞在する
・1957年(昭和32) 『夜の波音』(創元社)を刊行する
・1960年(昭和35) 『坂の多い道』(新潮社)を刊行する
・1965年(昭和40) 『山本五十六』(新潮社)で、第13回新潮文学賞を受賞する
・1974年(昭和49) 『暗い波濤』(新潮社)を刊行する
・1983年(昭和58) 第30回交通文化賞を受賞する
・1986年(昭和61) 『井上成美』(新潮社)で、第19回日本文学大賞を受賞する
・1979年(昭和54) 第35回日本芸術院賞・恩賜賞を受賞する
・1993年(平成5) 文化功労者表彰を受ける
・1994年(平成6) 評伝『志賀直哉』で、野間文芸賞、第48回毎日出版文化賞を受賞する
・1999年(平成11) 文化勲章受章、第3回海洋文学大賞特別賞受賞、広島県名誉県民となる
・2002年(平成14) 『食味風々録』で、第53回読売文学賞を受賞する
・2003年(平成15) 広島市名誉市民となる
・2007年(平成19) 第55回菊池寛賞を受賞する
・2015年(平成27)8月3日 東京都内の病院において、94歳で亡くなる

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1882年(明治15)言語学者・国語学者橋本進吉の誕生日詳細
1902年(明治35)文芸評論家・思想家高山樗牛の命日詳細
1943年(昭和18)「徴兵適齢臨時特例」が公布・施行され、徴兵年齢が1歳引き下げられ19歳になる詳細
1953年(昭和28)日本とアメリカ合衆国が「奄美群島返還協定」に調印する詳細
1975年(昭和50)国鉄最後の蒸気機関車(SL)牽引による定期貨物列車が夕張線で運転される詳細