ガウスの歴史を巡るブログ(その日にあった過去の出来事)

 学生時代からの大の旅行好きで、日本中を旅して回りました。その中でいろいろと歴史に関わる所を巡ってきましたが、日々に関わる歴史上の出来事や感想を紹介します。Yahooブログ閉鎖に伴い、こちらに移動しました。

2022年09月

SDGs0001
 今日は、平成時代の2015年(平成27)に、第70回国連総会で「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が全会一致で採択された日です。
 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(じぞくかのうなかいはつのための2030あじぇんだ)は、2015年(平成27)9月25日の国連総会で採択された国際社会共通の目標・行動計画(アジェンダ)でした。貧困の撲滅などを目指し、2001年(平成13)にまとめられた「ミレニアム開発目標」(Millennium Development Goals: MDGs)が、2015年(平成27)に未達成の分野を残したまま期限となったことから、その後継として、貧困や不平等のない、気候変動に対応した持続可能な社会実現のため、向こう15年間(2030年まで)の新たな「持続可能な開発」(Sustainable Development Goals: SDGs) の指針として策定されたものです。
 内容は、17の目標(①貧困をなくそう、②飢餓をゼロに、③すべての人に健康と福祉を、④質の高い教育をみんなに、⑤ジェンダー平等を実現しよう、⑥安全な水とトイレを世界中に、⑦エネルギーをみんなに・そしてクリーンに、⑧働きがいも経済成長も、⑨産業と技術革新の基盤をつくろう、⑩人や国の不平等をなくそう、⑪住み続けられるまちづくりを、⑫つくる責任・つかう責任、⑬気候変動に具体的な対策を、⑭海の豊かさを守ろう、⑮陸の豊かさも守ろう、⑯平和と公正をすべての人に、⑰パートナーシップで目標を達成しよう)と169の具体的目標からなっていました。国際連合に加盟する全193カ国が合意し、2016年(平成28)に正式に発効し、翌年には、国連総会で、ターゲットの進ちょく状況を測定するための具体的な数値などを示した全244(重複を除くと232)からなる指標枠組みが承認されています。
 以下に、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(仮訳)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「持続可能な開発のための2030アジェンダ」(仮訳) 2015年9月25日第70回国連総会で採択 

前文
このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である。これはまた、より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求ものでもある。我々は、極端な貧困を含む、あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識する。
すべての国及びすべてのステークホルダーは、協同的なパートナーシップの下、この計画を実行する。我々は、人類を貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち、地球を癒やし安全にすることを決意している。我々は、世界を持続的かつ強靱(レジリエント)な道筋に移行させるために緊急に必要な、大胆かつ変革的な手段をとることに決意している。我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。
今日我々が発表する17の持続可能な開発のための目標(SDGs)と、169のターゲットは、この新しく普遍的なアジェンダの規模と野心を示している。これらの目標とターゲットは、ミレニアム開発目標(MDGs)を基にして、ミレニアム開発目標が達成できなかったものを全うすることを目指すものである。これらは、すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性と女児のエンパワーメントを達成することを目指す。これらの目標及びターゲットは、統合され不可分のものであり、持続可能な開発の三側面、すなわち経済、社会及び環境の三側面を調和させるものである。
これらの目標及びターゲットは、人類及び地球にとり極めて重要な分野で、向こう15年間にわたり、行動を促進するものになろう。
人間
我々は、あらゆる形態及び側面において貧困と飢餓に終止符を打ち、すべての人間が尊厳と平等の下に、そして健康な環境の下に、その持てる潜在能力を発揮することができることを確保することを決意する。
地球
我々は、地球が現在及び将来の世代の需要を支えることができるように、持続可能な消費及び生産、天然資源の持続可能な管理並びに気候変動に関する緊急の行動をとることを含めて、地球を破壊から守ることを決意する。
繁栄
我々は、すべての人間が豊かで満たされた生活を享受することができること、また、経済的、社会的及び技術的な進歩が自然との調和のうちに生じることを確保することを決意する。
平和
我々は、恐怖及び暴力から自由であり、平和的、公正かつ包摂的な社会を育んでいくことを決意する。平和なくしては持続可能な開発はあり得ず、持続可能な開発なくして平和もあり得ない。
パートナーシップ
我々は、強化された地球規模の連帯の精神に基づき、最も貧しく最も脆弱な人々の必要に特別の焦点をあて、全ての国、全てのステークホルダー及び全ての人の参加を得て、再活性化された「持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップ」を通じてこのアジェンダを実施するに必要とされる手段を動員することを決意する。
持続可能な開発目標の相互関連性及び統合された性質は、この新たなアジェンダ(以後「新アジェンダ」と呼称)の目的が実現されることを確保する上で極めて重要である。もし我々がこのアジェンダのすべての範囲にわたり自らの野心を実現することができれば、すべての人々の生活は大いに改善され、我々の世界はより良いものへと変革されるであろう。

宣言 (注:各パラ冒頭のカッコ書きは仮訳用に便宜上付したもの)
導入部
1.我々、国家元首、政府の長その他の代表は、国連が70周年を迎えるにあたり、2015年9月25日から27日までニューヨークの国連本部で会合し、今日、新たな地球規模の持続可能な開発目標を決定した。
2.(総論)我々の国民に代わり、我々は、包括的、遠大かつ人間中心な一連の普遍的かつ変革的な目標とターゲットにつき、歴史的な決定を行った。我々は、このアジェンダを2030年までに完全に実施するために休みなく取り組むことにコミットする。我々は、極端な貧困を含む、あらゆる形態と様相の貧困を撲滅することが最も大きな地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識する。我々は、持続可能な開発を、経済、社会及び環境というその三つの側面において、バランスがとれ統合された形で達成することにコミットしている。我々はまた、ミレニアム開発目標の達成を基にして、その未完の課題に取り組むことを追求する。
3.(取り組むべき課題)我々は、2030年までに以下のことを行うことを決意する。あらゆる貧困と飢餓に終止符を打つこと。国内的・国際的な不平等と戦うこと。平和で、公正かつ包摂的な社会をうち立てること。人権を保護しジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメントを進めること。地球と天然資源の永続的な保護を確保すること。そしてまた、我々は、持続可能で、包摂的で持続的な経済成長、共有された繁栄及び働きがいのある人間らしい仕事のための条件を、各国の発展段階の違い及び能力の違いを考慮に入れた上で、作り出すことを決意する。
4.(誰一人取り残さない)この偉大な共同の旅に乗り出すにあたり、我々は誰も取り残されないことを誓う。人々の尊厳は基本的なものであるとの認識の下に、目標とターゲットがすべての国、すべての人々及び社会のすべての部分で満たされることを望む。そして我々は、最も遅れているところに第一に手を伸ばすべく努力する。
5.(新アジェンダの特徴)このアジェンダは前例のない範囲と重要性を持つものである。このアジェンダは、各国の現実、能力及び発展段階の違いを考慮に入れ、かつ各国の政策及び優先度を尊重しつつ、すべての国に受け入れられ、すべての国に適用されるものである。これらは、先進国、開発途上国も同様に含む世界全体の普遍的な目標とターゲットである。これらは、統合され不可分のものであり、持続可能な開発の三側面をバランスするものである。
6.(これまでの経緯)最も貧しく最も脆弱なところからの声に特別な注意を払いながら市民社会及びその他のステークホルダーとの間で行われた2年以上にわたる公開のコンサルテーション及び関与の結果、この目標とターゲットができた。このコンサルテーションは、持続可能な開発に関する公開作業部会及び国連による重要な作業を含むものであり、事務総長は2014年12月に統合報告書を提出している。
我々のビジョン
7.(目指すべき世界像)これらの目標とターゲットにおいて、我々は最高に野心的かつ変革的なビジョンを設定している。我々は、すべての人生が栄える、貧困、飢餓、病気及び欠乏から自由な世界を思い描く。我々は、恐怖と暴力から自由な世界を思い描く。すべての人が読み書きできる世界。すべてのレベルにおいて質の高い教育、保健医療及び社会保護に公平かつ普遍的にアクセスできる世界。身体的、精神的、社会的福祉が保障される世界。安全な飲料水と衛生に関する人権を再確認し、衛生状態が改善している世界。十分で、安全で、購入可能、また、栄養のある食料がある世界。住居が安全、強靱(レジリエント)かつ持続可能である世界。そして安価な、信頼でき、持続可能なエネルギーに誰もがアクセスできる世界。
8.(目指すべき世界像)我々は、人権、人の尊厳、法の支配、正義、平等及び差別のないことに対して普遍的な尊重がなされる世界を思い描く。人種、民族及び文化的多様性に対して尊重がなされる世界。人間の潜在力を完全に実現し、繁栄を共有することに資することができる平等な機会が与えられる世界。子供たちに投資し、すべての子供が暴力及び搾取から解放される世界。すべての女性と女児が完全なジェンダー平等を享受し、そのエンパワーメントを阻む法的、社会的、経済的な障害が取り除かれる世界。そして、最も脆弱な人々のニーズが満たされる、公正で、衡平で、寛容で、開かれており、社会的に包摂的な世界。
9.(目指すべき世界像)我々は、すべての国が持続的で、包摂的で、持続可能な経済成長と働きがいのある人間らしい仕事を享受できる世界を思い描く。消費と生産パターン、そして空気、土地、河川、湖、帯水層、海洋といったすべての天然資源の利用が持続可能である世界。民主主義、グッド・ガバナンス、法の支配、そしてまたそれらを可能にする国内・国際環境が、持続的で包摂的な経済成長、社会開発、環境保護及び貧困・飢餓撲滅を含めた、持続可能な開発にとってきわめて重要である世界。技術開発とその応用が気候変動に配慮しており、生物多様性を尊重し、強靱(レジリエント)なものである世界。人類が自然と調和し、野生動植物その他の種が保護される世界。
我々の共有する原則と約束
10.(主要原則)新アジェンダは、国際法の尊重を含め、国連憲章の目的と原則によって導かれる。世界人権宣言、国際人権諸条約、ミレニアム宣言及び2005年サミット成果文書にも基礎を置く。また、「発展の権利に関する宣言」などその他の合意も参照される。
11.(関連する主要国連会議)我々は、持続可能な開発のための確固たる基礎を築き、この新アジェンダを形作るのを助けたすべての主要な国連会議及びサミットの成果を再確認する。これらは、「環境と開発に関するリオ宣言」、「持続可能な開発に関する世界首脳会議」、「世界社会開発サミット」、「国際人口・開発会議(ICPD)行動計画」、「北京行動綱領」(第4回世界女性会議)、「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」を含む。我々はまた、「第4回後発開発途上国(LDCs)会議」、「第3回小島嶼開発途上国(SIDS)会議」、「第2回内陸開発途上国(LLDCs)会議」及び「第3回国連防災世界会議」を含め、これらの会議のフォローアップを再確認する。
12.(共通だが差異のある責任)我々は、「環境と開発に関するリオ宣言」のすべての原則、とりわけ、その第7原則にあるように共通だが差異ある責任の原則を再確認する。
13.(統合されたアプローチの重要性)これらの主要な会議及びサミットの課題並びにコミットメントは、相互に関連しており、統合された解決が必要である。これらに効果的に対処するために、新たなアプローチが必要である。持続可能な開発が意味するところでは、すべての形態及び側面の貧困撲滅、国内的・国際的不平等との戦い、地球の維持、持続的・包摂的・持続可能な経済成長を作り出すこと、並びに社会的包摂性を生み出すことは、お互いに関連し合っており、相互に依存している。
今日の世界
14.(直面する課題)我々は、持続可能な開発に対する大きな課題に直面している。依然として数十億人の人々が貧困のうちに生活し、尊厳のある生活を送れずにいる。国内的、国際的な不平等は増加している。機会、富及び権力の不均衡は甚だしい。ジェンダー平等は依然として鍵となる課題である。失業、とりわけ若年層の失業は主たる懸念である。地球規模の健康の脅威、より頻繁かつ甚大な自然災害、悪化する紛争、暴力的過激主義、テロリズムと関連する人道危機及び人々の強制的な移動は、過去数十年の開発の進展の多くを後戻りさせる恐れがある。天然資源の減少並びに、砂漠化、干ばつ、土壌悪化、淡水の欠乏及び生物多様性の喪失を含む環境の悪化による影響は、人類が直面する課題を増加し、悪化させる。我々の時代において、気候変動は最大の課題の一つであり、すべての国の持続可能な開発を達成するための能力に悪影響を及ぼす。世界的な気温の上昇、海面上昇、海洋の酸性化及びその他の気候変動の結果は、多くの後発開発途上国、小島嶼開発途上国を含む沿岸地帯及び低地帯の国々に深刻な影響を与えている。多くの国の存続と地球の生物維持システムが存続の危機に瀕している。
15.(チャンス)しかしながら、大きな機会の時でもある。多くの開発の課題に対応するために重要な進展があった。過去の世代において、数百万人の人が極度の貧困から脱した。教育へのアクセスは少年少女いずれに対しても大きく増加した。ICTと地球規模の接続性は人間の進歩を加速化させ、デジタルデバイドを埋め、知識社会を発展させる大きな潜在力があり、医学やエネルギーのように多様な幅広い分野において科学技術イノベーションが持つ潜在力もまた同様である。
16.(MDGsで残された課題への対応)およそ15年前、ミレニアム開発目標(MDGs)が合意された。これらは、開発のための重要な枠組みを与え、多くの分野で重要な進展が見られた。しかしながら、進展にはばらつきがあり、それはアフリカ、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国で特にそうである。いくつかの目標、特に母子保健及び性と生殖に関する健康の目標は依然として達成に向けての軌道に乗っていない。我々は、このような外れた目標を含めて、すべてのMDGsの完全な達成に向けて、とりわけ後発開発途上国など重視すべき国に対して焦点をあてて拡大した支援を、適切な支援プログラムに沿って供与することを再度約束する。新アジェンダはミレニアム開発目標を基礎として、ミレニアム開発目標が達成できなかったもの、とりわけ最も脆弱な部分に取り組むことにより、これを完遂することを目指す。
17.(MDGsを超える課題への対応)我々が今日発表する枠組みは、そのスコープにおいてミレニアム開発目標を遙かに越えるものである。貧困撲滅、保健、教育及び食料安全保障と栄養といった継続的な開発分野の優先項目に加えて、この枠組みは、幅広い経済・社会・環境の目的を提示している。また、より平和かつ包摂的な社会も約束している。さらに重要なことは、実施手段も提示している。我々が決定した統合的なアプローチを反映して、新たな目標とターゲットには、深い相互関連性とクロスカッティングな要素がある。
新アジェンダ
18.(総論)本日、我々が発表する17の持続可能な開発目標と169の関連づけられたターゲットは、統合され不可分のものである。このような広範でユニバーサルな政策目標について、世界の指導者が共通の行動と努力を表明したことは未だかつてなかった。持続可能な開発に向けた道を進むにあたって、すべての国や地域に進展をもたらすウィン・ウィンの協力と地球規模の開発のために我々が一つとなって身を費やすことを決めた。すべての国はその固有の財産、自然資源及び経済活動に対して恒久の主権を有しており、またその権利を自由に行使することを確認する。我々は現在及び将来の世代の益のためのこのアジェンダを実施する。そのために、我々は国際法に対するコミットメントを確認するとともに、新たな開発目標は、国際法の下での権利と義務に整合する形で実施することを確認する。
19.(人権)我々は、世界人権宣言及びその他の人権に関する国際文書並びに国際法の重要性を確認する。我々は、すべての国が国連憲章に則り、人種、肌の色、性別、言語、宗教、政治若しくは信条、国籍若しくは社会的出自、貧富、出生、障害等の違いに関係なく、すべての人の人権と基本的な自由の尊重、保護及び促進責任を有することを強調する。
20.(ジェンダー)ジェンダー平等の実現と女性・女児のエンパワーメントは、すべての目標とターゲットにおける進展において死活的に重要な貢献をするものである。人類の潜在力の開花と持続可能な開発の達成は、人類の半数に上る(女性)の権利と機会が否定されている間は達成することができない。女性と女児は、質の高い教育、経済的資源への公平なアクセス、また、あらゆるレベルでの政治参加、雇用、リーダーシップ、意思決定において男性と同等の機会を享受するべきである。我々は、ジェンダー・ギャップを縮めるための投資を顕著に増加するために努力するとともに国、地域及びグローバルの各レベルにおいてジェンダー平等と女性のエンパワーメントを推進する組織への支援を強化する。女性と女児に対するあらゆる形態の暴力は男性及び男子の参加も得てこれを廃絶していく。新たなアジェンダの実施において、ジェンダーの視点をシステマティックに主流化していくことは不可欠である。
21.(差別化)新たな目標とターゲットは2016年1月から効力を持ち、向こう15年間における我々の決定をガイドする。我々は、各国の各々の現実、能力、開発段階、政策、優先課題を考慮に入れながら、国、地域、グローバル・レベルで新目標を実施する。我々は、関連する国際規範やコミットメントと整合性を維持しつつ、持続的で包摂的かつ持続可能な経済開発を目指していくための各国の政策余地を尊重する。また、我々は持続可能な開発における、地域の側面、地域経済統合及び連結性の重要性をも認識する。地域レベルでの枠組みは、国レベルで持続可能な開発政策の具体的な実施を後押しすることにつながる。
22.(特別な課題を持つ国々)各々の国は、持続可能な開発を実現していく上で特有の課題に直面している。最も脆弱な国々、特にアフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国は、紛争下や紛争後国と同様に特別な配慮を必要としている。同様に、多くの中所得国にも深刻な課題を抱えている。
23.(脆弱な人々)脆弱な人々はエンパワーメントがなされなければならない。新アジェンダに反映されている脆弱な人々とは、子供、若者、障害者(その内80%以上が貧困下にある)、HIV/エイズと共に生きる人々、高齢者、先住民、難民、国内避難民、移民を含む。また、我々は複合的な人道危機の影響を受けた地域に住む人々及びテロの影響を受けた人々が直面する困難や苦難を取り除き、脆弱な人々の特別なニーズに対する支援を強化すべく、国際法に照らしながら、更なる有効な措置及び行動をとる。
24.(食料安全保障)我々は、2030年までに極度の貧困を撲滅することを含む、すべての形態の貧困の終結にコミットする。すべての人々は社会保護制度を通じてすべての人が基礎的な生活水準を享受するべきである。また我々は、優先事項として飢餓を撲滅し、食料安全保障を実現するとともに、あらゆる形態の栄養不良を解消することを決意する。この観点から、我々は世界食料安全保障委員会の重要な役割と包摂的な性格を再確認するとともに「栄養に関するローマ宣言」及び「行動枠組」を歓迎する。我々は開発途上国、特に後発開発途上国における小自作農や女性の農民、遊牧民、漁業民への支援を通じて農村開発及び持続可能な農業・漁業発展のために資源を注ぎ込む。
25.(教育)我々は就学前から初等、中等、高等、技術、職業訓練等のすべてのレベルにおける包摂的で公正な質の高い教育を提供することにコミットする。性、年齢、人種、民族、に関係なくすべての人々が、また障害者、移民、先住民、子供、青年、脆弱な状況下にある人々が社会への十全な参加の機会を確保するために必要とされる技能や知識を獲得するめの生涯学習の機会を有するべきである。安全な学校及び結束力のある地域社会や家族等を通じ、国が人口ボーナスを享受できるようにすることにより、我々は、子供や若者に彼らの権利と能力を完全に実現するための育成環境を提供するよう努める。
26.(保健UHC)身体的及び精神的な健康と福祉の増進並びにすべての人々の寿命の延長のために、我々はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と質の高い保健医療へのアクセスを達成しなければならない。誰一人として取り残されてはならない。我々は、2030年までにこのような防ぐことのできる死をなくすことによって、新生児、子供、妊産婦の死亡を削減するために今日までに実現した進歩を加速することを約束する。家族計画、情報、教育を含む、性と生殖に関するサービスへの普遍的なアクセスを確保することに全力で取り組む。我々は、開発途上国においてはびこる薬剤耐性や対応されていない病気に関する問題への取組を含め、マラリア、HIV/エイズ、結核、肝炎、エボラ出血熱及びその他の感染病や伝染病に対して示された進歩の速度を等しく加速する。我々は、持続可能な開発に対する大きな挑戦の一つとなっている行動・発達・神経学的障害を含む非感染性疾患の予防や治療に取り組む。
27.(経済基盤)我々は、すべての国のために強固な経済基盤を構築するよう努める。包摂的で持続可能な経済成長の継続は、繁栄のために不可欠である。これは、富の共有や不平等な収入への対処を通じて可能となる。我々は、すべての人々のための働きがいのある人間らしい仕事をはじめとして若者の雇用促進、女性の経済的エンパワーメントの促進を通じダイナミックかつ持続可能な革新、人間中心の経済構築を目指す。我々は、強制労働や人身取引及びすべての形態の児童労働を根絶する。すべての国々は、生産性と職務を達成するために必要とされる知識や技能、社会に参入できる能力を備えた、健全で優れた教育を受けた労働人口を有する立場にある。我々は、後発開発途上国のあらゆるセクターにおける生産性向上のために構造改革を含む取組を行う。我々は、生産能力・生産性・生産雇用の増大、金融包摂、持続可能な農業・畜産・漁業開発、持続可能な工業開発、手頃で信頼できる持続可能な近代的エネルギー供給へのユニバーサルなアクセス、持続可能な輸送システム、質の高い強靱(レジリエント)なインフラにおいて、生産能力、生産性、生産雇用を増大させる政策を採用する。
28.(持続可能な消費・生産)我々は、社会における生産や消費、サービスのあり方について根本的な変革をすることにコミットする。政府、国際機関、企業、その他の非政府主体や個人は、開発途上国における持続可能な消費と生産を促進するための科学、技術、革新能力を獲得するための財政的、技術的支援等を通じてより持続可能な消費・生産パターンへの移行に貢献しなければならない。我々は、「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み」の実施を促進する。開発途上国の発展と能力を踏まえつつ、先進国がリードの下で、すべての国々が実行をする。
29.(移民)我々は、包括的成長と持続可能な開発に対する移民の積極的な貢献を認識している。また、他国への移住は、送出、通過、目的地となる各々の国の発展に大きく関連している多面的な実態の現実であり、首尾一貫した包括的な対応を必要とするということを認識する。我々は、移民に対し、その地位、難民及び避難民を問わず、人権の尊重や人道的な扱いを含む安全で秩序だった正規の移住のための協力を国際的に行う。このような協力は、特に開発途上国において難民を受け入れているコミュニティの強靱性(レジリエンス)を強化することにも注力すべきである。我々は、移民が市民権のある国へ帰国するための移民の権利を強調し、国家は帰国する自国民が正当に受け入れられることを保証しなければならないということを想起する。
30.(一方的経済措置の禁止)各国は、特に開発途上国において経済及び社会の発展を阻害し、国際法と国連憲章に合致しないような一方的経済・財政・貿易措置の公布及び適用を行うことを慎むよう強く求められている。
31.(気候変動)我々は、気候変動枠組条約が、気候変動に対する地球規模の対応を交渉するための主要な国際的、政府間フォーラムであるということを認める。我々は、気候変動や環境破壊によって引き起こされた脅威に対し断固として取り組む決意である。地球規模の気候変動の特徴を踏まえ、世界の温室効果ガス排出削減を加速し、気候変動による負の影響に対する適応を促進するための可能な限り広い国際協力が求められる。我々は、2020年までの世界の年間温室効果ガス排出に関する締約国の緩和約束の総体的効果と、世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比べて2又は1.5℃以内に抑える可能性が高い総体的な排出の道筋との間に大きな隔たりがあることについて深刻な懸念をもって留意する。
32.(気候変動)12月のパリにおける第21回締約国会合を見据え、我々は、野心的で世界共通の気候合意にむけて取り組むというすべての国のコミットメントを強調する。我々は気候変動枠組条約の下で全ての締約国に適用される議定書、他の法的文書又は法的効力を有する合意成果は、均衡のとれた態様、とりわけ、緩和、適応、資金、技術開発・移転、能力構築、行動と支援に関する透明性等を扱うものとすることを再度確認する。
33.(天然資源、海洋、生物多様性等)我々は、社会的・経済的発展の鍵は、地球の天然資源の持続可能な管理にあると認識している。よって我々は、大洋、海、湖の他、森林や山、陸地を保存し、持続的に使用すること及び生物多様性、生態系、野生動物を保護することを決意する。また、我々は、持続可能な観光事業、水不足・水質汚染への取組を促進し、砂漠化、砂塵嵐、浸食作用、干ばつ対策を強化し、強靱性(レジリエンス)の構築と災害のリスク削減にむけた取組を強化する。この観点から我々は、2016年にメキシコで開催される生物多様性条約第13回締約国会議に期待を寄せている。
34.(都市発展、化学物質等)我々は、持続可能な都市開発とその管理は、我々の国民の生活の質を確保する上で欠くことができないことであるということを認識する。我々は、地域社会のつながりと安全の確保の他、イノベーションと雇用を促進するための都市や人間の居住地の更新、計画を実施するために地方政府やコミュニティと協働する。我々は、化学物質の環境上適正な管理と安全な使用、廃棄物の削減と再生利用、水とエネルギーのより有効な活用等を通じ、都市活動や人の健康と環境に有害な化学物質の負のインパクトを減らす。こうして、我々は、地球気候システムに対する都市の影響を最小化するよう努力する。また、我々は、国家・農村・都市の開発計画を策定する際に、人口動態と将来推計を踏まえて検討を行う。我々は、エクアドルの首都キトで開催が予定されている「人間居住と持続可能な都市開発に関する国連会議」に期待している。
35.(平和と安全)持続可能な開発は、平和と安全なくしては実現できない。同時に、平和と安全は、持続可能な開発なくしては危機に瀕するだろう。新アジェンダは、司法への平等なアクセスを提供し、(発展の権利を含む)人権の尊重、効果的な法の支配及び全てのレベルでのグッド・ガバナンス並びに透明、効果的かつ責任ある制度に基礎をおいた平和で、公正かつ、包摂的な社会を構築する必要性を認める。新アジェンダにおいては、不平等さ、腐敗、貧弱な統治、不正な資金や武器の取引といった暴力、不安及び不正義を引き起こす要因に焦点が当てられている。我々は、平和構築及び国家建設において女性が役割を担うことを確保することも含めて紛争の解決又は予防、及び紛争後の国々の支援のための努力を倍加しなければならない。我々は、経済的・社会的発展及び環境の面でも悪影響を及ぼし続けている植民地下及び外国占領下にある人民の自決の権利の完全な実現への障害を除去するために、国際法に合致する更なる効果的な手段と行動を求める。
36.(文化)我々は、文化間の理解、寛容、相互尊重、グローバル・シチズンシップとしての倫理、共同の責任を促進することを約束する。我々は、世界の自然と文化の多様性を認め、すべての文化・文明は持続可能な開発に貢献するばかりでなく、重要な成功への鍵であると認識する。
37.(スポーツ)スポーツもまた、持続可能な開発における重要な鍵となるものである。我々は、スポーツが寛容性と尊厳を促進することによる、開発及び平和への寄与、また、健康、教育、社会包摂的目標への貢献と同様、女性や若者、個人やコミュニティのエンパワーメントに寄与することを認識する。
38.(領土保全及び政治的独立)我々は、国連憲章に従って、国の領土保全及び政治的独立が尊重される必要があることを再確認する。
実施手段
39.新アジェンダの規模と野心は、その実施を確保するために活性化された「グローバル・パートナーシップ」を必要とする。我々は、全面的にこれにコミットする。このパートナーシップは、世界的連帯、特に、貧しい人々や脆弱な状況下にある人々に対する連帯の精神の下で機能する。それは、政府や民間セクター、市民社会、国連機関、その他の主体及び動員可能なあらゆる資源を動員して全ての目標とターゲットの実施のために地球規模レベルでの集中的な取組を促進する。
40.(実施手段、アディスアベバ行動目標との関係)目標17とそれぞれのSDG下における実施手段は、我々のアジェンダを実現する鍵であり、その他の目標とターゲットの重要さに匹敵する。SDGsを含むアジェンダは、持続可能な開発のための活性化されたグローバル・パートナーシップの枠組みの下で実現され、2015年7月13~16日、アディスアベバで開催された第3回開発資金国際会議成果文書に記載されている具体的な政策と行動によって支えられる。我々は、持続可能な開発のための2030アジェンダの不可欠な部分であるアディスアベバ行動目標が国連総会においてエンドースされたことを歓迎する。我々は、アディスアベバ行動目標の十分な実施は、持続可能な開発の目標とターゲットの実現に不可欠であることを認める。
41.(国家、民間セクターの役割)我々は、それぞれの国が自国の経済・社会発展のための第一義的な責任を有するということを認識する。新アジェンダは、その目標とターゲットの実施に必要とされる手段も含んでいる。これらの実施手段は財政的なリソースの動員をはじめとして、相互に同意された譲許的優遇的な条件で開発途上国に対し行われる環境に優しい技術の移転、能力構築を含むものであることを認める。国内及び国際社会による公的資金は、不可欠なサービスと公共財の供給及び他の資金源を呼び込む上できわめて重要な役割を果たす。我々は、小規模企業から多国籍企業、協同組合、市民社会組織や慈善団体等多岐にわたる民間部門が新アジェンダの実施における役割を有することを認知する。
42.(各種行動計画、アフリカ関連イニシアティブ、紛争)我々は、「イスタンブール宣言及び行動計画」、「サモア・パスウェー(SAMOApathway)」、「ウィーン行動計画」等の関連ある戦略及びプログラムの実施を支持する。また、新アジェンダにおいて不可欠であるアフリカ連合の「2063アジェンダ」と「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」のプログラムを支持することの重要性を再確認する。我々は、紛争下や紛争後の国々が永続的な平和と持続可能な開発を達成するための大きな課題を有していることを認識する。
43.(ODAの役割、コミットメントの再確認)我々は、国際的な公的資金が、国内、とりわけ限られた国内資源しかない最貧国や脆弱な国において、公的資源を国内的に動員するための取組を補完する上で重要な役割を果たすということを強調する。ODAを含む国際的な公的資金の重要な活用は、公的及び民間の他の資源からの追加的な資源を動員する触媒となるものである。ODA供与国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.2%にするという目標を達成するとの多くの先進国によるコミットメントを含め、それぞれのコミットメントを改めて確認する。
44.(国際金融機関の役割)我々は、国際金融機関が、特に開発途上国に対し、それぞれのマンデート及び各々の国の政策スペースに従って支援を行う重要性を認める。我々は、国際的な経済上の決定や国際的な経済面のガバナンスや規範に関する意思決定において、アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国、中所得国も含む開発途上国の声と参入を普及し強化することにコミットする。
45.(国会議員、政府、公的機関の役割)我々は、新アジェンダのために必要とされる予算の可決と我々のコミットメントの効果的な実施に関する説明責任を確実なものとするために、国会議員が果たす不可欠な役割についても認識している。また、政府と公共団体は、地方政府、地域組織、国際機関、学究組織、慈善団体、ボランティア団体、その他の団体と密接に実施に取り組む。
46.(経社理、国連開発システム)我々は、SDGsと持続可能な開発の達成を支援するために、十分に資源に恵まれ、適切に、首尾一貫した、有効で効果的な国連システムが有する重要な役割を強調する。国レベルでのより強化されたオーナーシップ及びリーダーシップの重要性を強調する一方で、我々は、本アジェンダの文脈における経済社会理事会での「国連開発システムの長期的ポジショニングに関する対話」を支持する。
フォローアップとレビュー
47.次の15年に向けた目標とターゲットを実行する進歩に関し、各国政府が、国、地域、世界レベルでのフォローアップとレビューの第一義的な責任を有する。国民への説明責任を果たすため、我々は、本アジェンダ及びアディスアベバ行動目標に記されているとおり様々なレベルにおける体系的なフォローアップとレビューを行う。また、国連総会及び経済社会理事会の下で開催される「ハイレベル政治フォーラム」が、世界レベルのフォローアップとレビューを監督する主要な役割を持つ。
48.(本件アジェンダを達成するための)指標は、こうした(フォローアップ)活動を支援するために整備される。誰一人も取り残さないよう進捗を測定するためには、高品質で、アクセス可能、時宜を得た細分化されたデータが必要である。このようなデータは、政策決定の鍵となる。現存する報告メカニズムからのデータと情報は、可能な限り活用されるべきである。アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国、中所得国をはじめとする開発途上国における、統計能力の強化のための努力を強化することに我々は合意する。我々は進捗を測定するために、GDP指標を補完する、より包括的な手法を開発することにコミットする。
我々の世界を変える行動の呼びかけ
49.(国連とそれを支える価値観)70年前、以前の世代の指導者たちが集まり、国際連合を作った。彼らは、戦争の灰と分裂から、国連とそれを支える価値、すなわち平和、対話と国際協力を作り上げた。これらの価値の最高の具体化が国連憲章である。
50.(新アジェンダの歴史的意義)今日我々もまた、偉大な歴史的重要性を持つ決定をする。我々は、すべての人々のためによりよい未来を作る決意である。人間らしい尊厳を持ち報われる生活を送り、潜在力を発揮するための機会が否定されている数百万という人々を含む全ての人々を対象とした決意である。我々は、貧困を終わらせることに成功する最初の世代になり得る。同様に、地球を救う機会を持つ最後の世代にもなるかも知れない。我々がこの目的に成功するのであれば2030年の世界はよりよい場所になるであろう。
51.(新アジェンダの歴史的意義)今日我々が宣言するものは、向こう15年間の地球規模の行動のアジェンダであるが、これは21世紀における人間と地球の憲章である。子供たち、若人たちは、変化のための重要な主体であり、彼らはこの目標に、行動のための無限の能力を、また、よりよい世界の創設にむける土台を見いだすであろう。
52.(人々を中心に据えたアジェンダ)「われら人民は」というのは国連憲章の冒頭の言葉である。今日2030年への道を歩き出すのはこの「われら人民」である。我々の旅路は、政府、国会、国連システム、国際機関、地方政府、先住民、市民社会、ビジネス・民間セクター、科学者・学会、そしてすべての人々を取り込んでいくものである。数百万の人々がすでにこのアジェンダに関与し、我が物としている。これは、人々の、人々による、人々のためのアジェンダであり、そのことこそが、このアジェンダを成功に導くと信じる。
53.(結語)人類と地球の未来は我々の手の中にある。そしてまた、それは未来の世代にたいまつを受け渡す今日の若い世代の手の中にもある。持続可能な開発への道を我々は記した。その道のりが成功し、その収穫が後戻りしないことを確かなものにすることは、我々すべてのためになるのである。
持続可能な開発目標(SDGs)とターゲット
54.(SDGs公開作業部会報告書)包摂的な政府間交渉プロセスを経て、且つ持続可能な開発に関する公開作業部会の提案、その中には同提案の背景を説明するシャポー1を含む、を踏まえ、下記の事項が、我々が合意した目標とターゲットである。
1 A68/970 ‘Report of the Open Working Group of the General Assembly on Sustainable Development Goals’を参照(同じくA 68/970 Add. 1も参照ありたい)
55.(各国の状況を踏まえた差別化)持続可能な開発目標(SDGs)とターゲットは、各国の置かれたそれぞれの現状、能力、発展段階、政策や優先課題を踏まえつつ、一体のもので分割できないものである。また、地球規模且つすべての国に対応が求められる性質のものである。ターゲットは、地球規模レベルでの目標を踏まえつつ、各国の置かれた状況を念頭に、各国政府が定めるものとなる。また、各々の政府は、これら高い目標を掲げるグローバルなターゲットを具体的な国家計画プロセスや政策、戦略に反映していくことが想定されている。持続可能な開発が経済、社会、環境分野の進行中のプロセスとリンクしていることをよく踏まえておくことが重要である。
56.(特別な課題を持つ国々)これらの目標とターゲットを決定するに当たって、我々は各国が持続可能な開発を達成するために特有の課題に直面していることを認識し、最も脆弱な国々、特にアフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国が直面している特別な課題とともに、中所得国が直面している特有の課題を強調する。また、紛争下にある国々も特別な配慮を必要としている。
57.(データ収集のための能力構築)我々は、いくつかのターゲットについては、基準データが入手困難であるということを認識し、まだ確立されていない国及び地球規模レベルの基準データを整備するための加盟国レベルでの能力構築及びデータ収集強化の支援を強く求める。我々は、以下のターゲットの内、特に明確な数値目標が掲げられていないものについて、その進捗をより的確に把握するために適切な対応をとることにコミットする。
58.(他のプロセスとの関係)我々のアジェンダの実施の妨げとなり得る課題に関する他のフォーラムでの各国の取組を歓迎する、また一方で、それらのプロセスの独自性も尊重する。我々は、本アジェンダ及びその実施が、他のプロセスやそこでの決定に対しこれに貢献することはあっても侵害することのないようにする。
59.(各国の差別化)我々は、持続可能な開発の達成に向け、それぞれの国が置かれた状況及び優先事項に基づき各々に違ったアプローチ、ビジョン、モデルや利用可能な手段が変わってくることを認識する。そして、我々は、地球という惑星及びその生態系が我々の故郷であり、「母なる地球」が多くの国及び地域において共通した表現であるということを再確認する。

持続可能な開発目標 ※公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)作成による仮訳をベースに編集
目標1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
目標2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
目標4. すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
目標6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
目標7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
目標9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
目標11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
目標13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる*
目標14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
目標15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
目標16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
目標17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
*国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う基本的な国際的、政府間対話の場であると認識している。
目標1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。
1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。
1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。
1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に対する暴露や脆弱性を軽減する。
1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。
1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。
目標2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
2.2 5歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。
2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
2.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。
2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。
2.b ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。
2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。
目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
3.1 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。
3.2 すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。
3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。
3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。
3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。
3.6 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。
3.7 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスをすべての人々が利用できるようにする。
3.8 すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。
3.9 2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。
3.a すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。
3.b 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。
3.c 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。
3.d すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。
目標4. すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
4.1 2030年までに、すべての女児及び男児が、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。
4.2 2030年までに、すべての女児及び男児が、質の高い乳幼児の発達支援、ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。
4.3 2030年までに、すべての女性及び男性が、手頃な価格で質の高い技術教育、職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。
4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
4.5 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。
4.6 2030年までに、すべての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。
4.7 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。
4.a 子ども、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、すべての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。
4.b 2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、ならびにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。
4.c 2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員養成のための国際協力などを通じて、資格を持つ教員の数を大幅に増加させる。
目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う
5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。
5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。
5.4 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
5.6 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。
5.a 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。
5.b 女性のエンパワーメント促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。
5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性及び女子のあらゆるレベルでのエンパワーメントのための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。
目標6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。
6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける。
6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物質や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加させることにより、水質を改善する。
6.4 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。
6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
6.b 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。
目標7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。
目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
8.1 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。
8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。
8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。
8.4 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10カ年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならび同一価値の労働についての同一賃金を達成する。
8.6 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。
8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。
8.9 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
8.10 国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。
8.a 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。
8.b 2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。
目標9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
9.1 すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。
9.2 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。
9.3 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。
9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
9.5 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、 技術能力を向上させる。
9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。
9.b 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。
9.c 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。
目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
10.1 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々のエンパワーメント及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
10.4 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
10.5 世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
10.6 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
10.7 計画に基づき良く管理された移住政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
10.a 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
10.b 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
10.c 2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。
目標11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
11.1 2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
11.7 2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
11.c 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。
目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する
12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。
12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。
目標13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる*
13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応力を強化する。
13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。
13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。
13.a 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施し、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。
13.b 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する
*国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う基本的な国際的、政府間対話の場であると認識している。
目標14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
14.1 2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
14.3 あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。
14.4 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
14.5 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
14.6 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する2。
2 現在進行中の世界貿易機関(WTO)交渉およびWTOドーハ開発アジェンダ、ならびに香港閣僚宣言のマンデートを考慮。
14.7 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
14.a 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。
14.b 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
14.c 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。
目標15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。
15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。
15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。
15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。
15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。
15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。
15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。
15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。
15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。
15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。
15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。
15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。
目標16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
16.1 あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。
16.2 子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。
16.3 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。
16.4 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。
16.5 あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。
16.6 あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。
16.7 あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。
16.8 グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。
16.9 2030年までに、すべての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。
16.10 国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。
16.a 特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。
16.b 持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。
目標17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する
資金
17.1 課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。
17.2 先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。
17.3 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。
17.4 必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。
17.5 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。
技術
17.6 科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。
17.7 開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。
17.8 2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。
能力構築
17.9 すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。
貿易
17.10 ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めたWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。
17.11 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。
17.12 後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、すべての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。
体制面
政策・制度的整合性
17.13 政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。
17.14 持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。
17.15 貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。
マルチステークホルダー・パートナーシップ
17.16 すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
データ、モニタリング、説明責任
17.18 2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。
17.19 2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。
実施手段とグローバル・パートナーシップ
60.(グローバル・パートナーシップ)我々は、この新アジェンダの完全な実施のための強いコミットメントを再確認する。我々は、活性化され強化されたグローバル・パートナーシップ及び同程度に野心的な実施手段無しには、この野心的な目標とターゲットは達成できないということを認識する。活性化されたグローバル・パートナーシップは、政府、市民社会、民間セクター、国連機関、その他の主体を集結させるとともに、あらゆる利用可能な資源を動員し、すべての目標とターゲットの実施を支援するための全世界の強い関与を促進する。
61.(実施手段)アジェンダの目標とターゲットは、我々の集合的な野心を実現するために必要な実施手段も取り上げている。それぞれのSDGのターゲット及び目標17で取り上げられている実施手段は、上述したように我々のアジェンダを実現するための鍵であり、その他の目標とターゲット同様に重要である。(これらの実施手段関連目標・ターゲットは)その他の目標の実施努力と、これらの進捗をモニターする枠組みの双方において同等のプライオリティーをもって扱う。
62.(アディスアベバ行動目標との関係)
SDGsを含むこのアジェンダは、持続可能な開発のための活性化されたグローバル・パートナーシップの枠組みにおいて実現されるものであり、持続可能な開発のための2030アジェンダと不可欠な部分を成すアディスアベバ行動目標の具体的な政策と行動によってサポートされるものである。アディスアベバ行動目標は、2030アジェンダのターゲットの実施手段を具体的な文脈に置くとともに、それを補足する助けとなるものである。これらは、国内のリソース、国内外の民間資金、国際開発協力、開発の牽引力としての国際貿易、負債及び債務持続性、体制的な課題、科学技術イノベーション、能力構築、データ、モニタリング及びフォローアップのすべてに関連してくるものである。
63.(各国と国際社会の役割)
統合的な国家財政の枠組みによって支えられた国家の持続可能な開発戦略は、我々の取組の要となる。我々は、各国が自国の経済・社会開発に対して第一義的な責任があること、国家政策と開発戦略の役割は過小評価できないことを改めて表明したい。我々は、関連の国際的なルール及びコミットメントと合致する限りにおいて、各国がそれぞれの貧困撲滅や持続可能な開発のための政策を実施するための政策スペースやリーダーシップを尊重する。同時に、一国の開発努力はそれを可能とする国際的な経済環境によって支援されなければならず、そうした環境とは、首尾一貫した、互恵的な国際貿易、通貨・金融システム及びより発達した地球規模の経済ガバナンスである。また、能力構築だけでなく、地球規模での適切な知識と技術の利用可能性を高め、促進するプロセスの構築が重要である。我々は、あらゆるレベルにおけるすべての主体によって、持続可能な開発のための政策一貫性及び環境整備の追求及び持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを再活性化することにコミットする。
64.(各種行動計画、アフリカ関連イニシアティブ、紛争)
我々は、「イスタンブール宣言及び行動計画」、「サモア・パスウェー(SAMOApathway)」、「ウィーン行動計画」等の関連ある戦略及びプログラムの実施を支持する。また、新アジェンダにおいて不可欠であるアフリカ連合の「2063アジェンダ」と「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」のプログラムを支持することの重要性を再確認する。我々は、紛争下や紛争後の国々が永続的な平和と持続可能な開発を達成するための大きな課題を有していることを認識する。
65.(中所得国の課題)
我々は、中所得国も持続可能な開発を達成するために困難な課題に直面していることを認識する。今日までに達成された努力の成果を持続させるためには、様々な経験の共有、よりよい調整、国連開発システム、国際金融機関、地域機関及びその他のステークホルダーによる支援を通じてこれらの課題への取組を強化するべきである。
66.(国内資金の動員、各国のオーナーシップ)
我々は、すべての国にとって、ナショナル・オーナーシップの原則の下で強調されている公共政策及び国内リソースの動員と有効な活用は、SDGsの達成を含む持続可能な開発に向けた我々の取組の中心に置かれるものであるということを強調する。我々は、国内リソースは、あらゆるレベルでの整備された環境の下、経済成長によって生み出されるということを認識する。
67.(民間企業活動)民間企業の活動・投資・イノベーションは、生産性及び包摂的な経済成長と雇用創出を生み出していく上での重要な鍵である。我々は、小企業から協同組合、多国籍企業までを包含する民間セクターの多様性を認める。我々は、こうした民間セクターに対し、持続可能な開発における課題解決のための創造性とイノベーションを発揮することを求める。「ビジネスと人権に関する指導原則と国際労働機関の労働基準」、「児童の権利条約」及び主要な多国間環境関連協定等の締約国において、これらの取り決めに従い労働者の権利や環境、保健基準を遵守しつつ、ダイナミックかつ十分に機能する民間セクターの活動を促進する。
68.国際貿易は、包摂的な経済成長や貧困削減のための牽引車であり、持続可能な開発の促進に貢献する。我々は、世界貿易機関(WTO)の下、普遍的でルールに基づいた、開かれて、透明性があり予測可能性がある公平・無差別で包摂的な多角的貿易体制の促進及び意義のある貿易の自由化に向けた努力を続ける。我々は、すべての世界貿易機関(WTO)加盟国に対し、ドーハ・ラウンド交渉を迅速に終結するための努力を以前にも増して取り組むことを求める。我々は、開発途上国、とりわけアフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国、中所得国に対し、地域経済の統合と相互接続性の促進を含む貿易関連の能力構築を促進するための支援の重要性を強調する。
69.(債務)我々は、開発途上国が長期的な債務持続性を有することができるように、債権金融、債務救済、債務リストラ及びその他の債務管理等を適切に組み合わせて取り組む必要性を認識する。多くの国々は債務危機に対して脆弱であり、特に後発開発途上国、小島嶼開発途上国の他、幾つかの先進国も危機の渦中にいる。我々は改めて、債務国と債権国が、持続不可能な債務を防ぎ、この解決に取り組まなければならないということを確認する。持続可能な債務のレベルを維持するのは、借入国の責任である。しかしながら、我々は、貸し手にも、一国の債務持続性を損なわない形で貸し出すという責任があるということを認識する。我々は、債務救済を受け、持続可能な債務を達成した国々の債務持続性の管理を支援する。
70.(技術促進メカニズム)我々は、持続可能な開発目標を支持するために、アディスアベバ行動目標で合意された技術促進メカニズム(TFM)を立ち上げる。TFMは、加盟国や市民社会、民間セクター、科学団体、国連やその他のマルチ・ステークホルダー間の協力に基づいている。また、その構成は、SDGsのための科学技術イノベーションに関する国連機関間タスクチーム(以下、国連機関間タスクチーム)、オンライン・プラットフォーム、SDGsのための科学技術イノベーションに関するマルチ・ステークホルダー・フォーラム(以下、マルチ・ステークホルダー・フォーラム)から成っている。
・国連機関間タスクチームは、能力構築取組分野におけるシナジーと効率性を高め、科学技術イノベーションにおける国連システム間の協力、一貫性、調整力を高めることが期待されている。タスクチームは、現存資源を活用しながら、マルチ・ステークホルダー・フォーラムやオンライン・プラットフォームのモダリティーに関するプロポーザルの作成からこれらの運用・実施の準備のために、市民社会、民間セクター、科学者の各分野から構成される10人の代表者と協力してこれを行う。10人の代表者は、2年の任期で、国連事務総長によって任命される。タスクチームは、国連のすべての機関、基金、プログラムの他、経済社会理事会の下に設けられている機能委員会のいずれも参加できるが、最初のメンバーはTFMに関する非公式作業部会に関わってきた機関、すなわち、国連経済社会局(UNDESA)、国連環境計画(UNEP)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国際電気通信連合(ITU)、世界知的所有権機関(WIPO)、世界銀行から構成される。
・オンライン・プラットフォームは、国連内外にある既存の科学技術イノベーション関連メカニズム、プログラムのマッピング及びこれら情報・サービスへのゲートウェイの構築を行う。同プラットフォームは、科学、技術及びイノベーションに関する各種情報、成功例や教訓等へのアクセスを促進する他、公開されている科学情報の普及に貢献する。同プラットフォームの開発にあたっては、既存の科学技術イノベーション・プラットフォームへのアクセスや情報等を提供し、重複を避け相乗効果を強化するために、国連の内外で蓄積されてきた教訓も踏まえつつ、独立した技術的な調査を行い開発するものとする。
・マルチ・ステークホルダー・フォーラムは、年1回、2日間の会期で様々なステークホルダーを招集し、持続可能な開発の実施を巡る科学技術イノベーション協力に関するテーマ別の議論を行う。このフォーラムでは、科学技術イノベーション協力及び能力構築に関するものを含め、技術ニーズとギャップを埋めるための様々なマッチメーキング、協力、能力構築等の機会が提供される。フォーラムは経済社会理事会議長によって招集され、経済社会理事会による年次「ハイレベル政治フォーラム」会合の前に開催されるか、テーマ等の関連性があれば他のフォーラム、会議等に関連づけて開催することができる。このフォーラムは2つの国連加盟国からなる共同議長の下で開催される。そして、その成果はポスト2015年開発アジェンダ実施のフォローアップ・レビューの観点から経済社会理事会「ハイレベル政治フォーラム」へのインプットがなされる。
・「ハイレベル政治フォーラム」の会議では、マルチ・ステークホルダー・フォーラムの成果がインプットされる。また、その翌年のフォーラムのテーマについては、上記国連機関間タスクチームの専門的インプットを得て決定される。
71.(普遍性、不可分性、関連性)我々は、実施手段を含む本アジェンダ及び持続可能な開発目標とターゲットは、普遍的で、不可分、相互に関連していることを再度強調する。
フォローアップとレビュー
72.(フォローアップ・レビュー)我々は、次の15年に向けた本アジェンダの実施に関する組織的なフォローアップ・レビューへの関与にコミットする。力強く、自発的、効果的、参加型、透明かつ統合的なフォローアップ・レビューの枠組みは、実施への貢献に不可欠である。また、こうしたフォローアップ・レビューは、各国が誰一人も取り残さない進展を図るために、本アジェンダの実施を最大化し、その進捗をしっかりと把握することを支援する。
73.(各レベルでの必要性)国内、地域的、全世界の各レベルでの活動にあたっては、この枠組みが国民への説明責任を促進し、本アジェンダを達成するための効果的な国際協力を支援し、成功例の交換や相互学習を促進する。また、共通の課題や新たに対応が必要とされる課題への対処のための支援を動員する。本アジェンダはユニバーサルであるが故に、すべての国家間の相互信頼と理解は重要である。
74.(基本原則)すべてのレベルにおけるフォローアップとレビュー(FUR)のプロセスは、次の原則によって導かれる。
a.これらのプロセスは、自主的で、国主導であり、多様な国の現実、能力、開発レベルを考慮し、政策スペースと優先事項を尊重する。国家のオーナーシップは、持続可能な開発を達成するための鍵である。よって、グローバル・レビューが各国の公的データ・ソースを基に行われることを踏まえると、国家レベルのプロセスによる成果は、地域及び全世界レベルでのレビューのための土台となるものである。
b.これらは、ユニバーサルで、統合され、相互に関連しており、且つ3つの側面を有する持続可能な開発の性質を尊重した方法で、すべての国において、実施手段を含むユニバーサルな目標とターゲットを実施し、その進捗を計る。
c.これらは、各国がしっかりとした情報に基づく政策を選択できるよう、長期的な方向性、達成度合い、課題、ギャップ、死活的に重要な成功の要素を見出し、各国への支援を行う。また、必要な実施手段とパートナーシップを動員し、解決策や成功例を導き出すとともに、国際開発システムの連携と有効性を高める。
d.これらは、すべての人々にとって開かれて、包摂的で、参加型の、透明性を持ち、すべてのステークホルダーによる報告をサポートする。
e.これらは、人間中心で、ジェンダーに配慮し、人権を尊重し、特に、貧困で脆弱な最も取り残された人々に焦点を当てたものとする。
f.これらは、既存のプラットフォーム及びプロセスを活用し重複を避けて行われる。また、各国の状況、能力、必要性、優先事項に対応したものとする。新たな問題や新しい方法論の開発を考慮して改良を加えるとともに、各国の行政府における報告の負担を最小限にする。
g.これらは、各国の主導で行われる評価やデータに基づく正確で根拠のあるものである。各国が行う評価やデータは、高品質で、アクセス可能、時宜を得た、細分化されたデータに基づくものであり、具体的には、収入、性別、年齢、人種、民族的属性、移住者の法律上の地位、障害、地理的属性及びその他各々の国内での状況に関連のある特徴等を踏まえたデータである。
h.これらは、特に、アフリカ諸国、後発開発途上国、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国、中所得国等の開発途上国における国家資料システム及び評価事業の強化を含む能力開発の拡大を必要とする。
i.これらは、国連システムと多国間機関による積極的な支援によって支えられる。
75.(指標)目標とターゲットは、グローバルな指標によってフォローアップされる。これらは、国レベルや全世界レベルでのベースライン・データの欠如を埋める取組とともに、各国や地域レベルで策定される指標によって補完されるものである。国連統計委員会の下に設けられた「SDG指標に関する機関間専門家グループ(IAEG)」が策定するグローバル指標の枠組みは、2016年3月に国連統計委員会で合意され、既存のマンデートに基づき国連経済社会理事会及び総会で採択される。この枠組みは、実施手段を含むすべての目標とターゲットに対応したもので、SDGsに込められた政治的なバランス、野心のレベルを適切に反映したシンプルでありながらも妥協のないものである。
76.(能力開発)我々は、開発途上国、とりわけアフリカ諸国、後発開発途上国、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国に対し、高品質で、時宜を得た、細分化されたデータへのアクセスを確実にするため、統計局及びデータ・システムのエンパワーメントのための支援を行う。我々は、地球観測や地理空間情報等を含む幅広いデータの活用を追求するために、各国のオーナーシップを前提としつつ、支援と進捗管理における透明性と説明責任を明確にした形での官民連携の拡大を促進する。
77.(各レベルでのレビュー)我々は、地方、国、地域、全世界レベルでの定期的且つ包摂的なレビューの実施に取り組むことにコミットする。我々は、既存のフォローアップ・レビューの機関及びメカニズムを最大限活用する。国レベルの報告は、地域及び全世界レベルでの進捗と課題を特定することを可能とする。地域レベルの対話と全世界レベルでのレビューと併せ、様々なレベルにおけるフォローアップのための勧告を提供する。
国内レベル
78.(各国の対応)我々は、すべての国連加盟国が本アジェンダ全体の実施に関する実務的で野心的な対応に早急に着手するよう促す。これらは、既存の国家開発、持続可能な開発戦略等をふまえて、SDGsの移行を支援するものとする。
79.(国内での実施)また我々は、加盟国が、国及び地域レベルにおいて、各々の国のイニシアティブで行われる定期的で包摂的な進捗に関するレビューを行うことを促す。かかるレビューは、各国の現状や政策、優先課題を踏まえつつ、先住民、市民社会、民間セクター及び他のステークホルダーからの貢献を得つつ行われるべきである。また、国会やその他の機関もこうしたプロセスを支援する。
地域レベル
80.(役割)地域レベルでのフォローアップ・レビューは、自発的なレビューを含む相互の学び、共通のターゲットに関する成功例と議論を共有する有益な機会となり得る。この観点からは、地域委員会及び地域組織の協力を歓迎する。包摂的な地域プロセスは、「持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム」を含む、全世界レベルでのフォローアップとレビューに貢献するものである。
81.(適切な地域フォーラムの特定)既存の地域レベルでのフォローアップ・レビュー・メカニズムを踏まえたものとするために、我々はすべての加盟国に対し最も適切な地域フォーラムを特定することを求める。国連地域委員会は、この観点から加盟国への支援を継続することが期待されている。
全世界レベル
82.(ハイレベル政治フォーラム)「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」は、そのマンデートの定めるところに従い、総会、経済社会理事会、その他関連機関及びフォーラムとの一貫性を確保しつつ、全世界レベルでのフォローアップ・レビュー・プロセス・ネットワークの監督において中心的な役割を果たす。同フォーラムは、成功、課題、教訓を含む経験の共有を促進し、フォローアップのための政治的リーダーシップ、指導、助言を提供し、持続可能な開発政策に関するシステム全体としての一貫性と調整を促進する。また、本アジェンダ自体がその意義を失わず野心的なものであり続けるようにし、その進捗や、先進国及び開発途上国が直面している課題に焦点をあてなければならない。さらに、後発開発途上国、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国に関するものを含む、関連する全ての国連の会合フォローアップ・レビュー活動との効果的なリンケージが構築される。
83.(事務総長報告書)「ハイレベル政治フォーラム」におけるフォローアップ・レビューにおいては、国連システムの協力の下、グローバルな指標枠組み及び各国の統計・情報システムによって作成されたデータに基づき、事務総長が毎年作成する「年次SDG進捗報告(annualSDGProgressReport)」が提出される。またこの他に、「グローバル持続可能開発報告(GlobalSustainableDevelopmentReport)も活用されることになっており、この報告は、各国の政策立案者が科学的な裏付けをもって貧困撲滅及び持続可能な開発を促進していけるようにするために科学と政策間の橋渡しを強化することを目指している。我々は、経済社会理事会議長に対し、「グローバル持続可能開発報告」について、そのスコープ、方法論、作成の頻度及び「年次SDG進捗報告」との関係あり方についての協議プロセスを招集し、そのプロセスの結果を、2016年の「ハイレベル政治フォーラム」会期での閣僚宣言に反映する。
84.(ステークホルダーの関与)経済社会理事会主催による「ハイレベル政治フォーラム」では、国連総会決議67/290を踏まえて定期的なレビューを実施する。同フォーラムでのレビューは、先進国、開発途上国の他、関連する国連機関、市民社会・民間セクターなどのステークホルダーに対し報告を促しているが、あくまで自発的な性格のものである。レビューは、閣僚やその他のハイレベル参加者が関与した国家主導のプロセスである。レビューは、メジャー・グループ及び関連したステークホルダーの参加を通して、パートナーシップのためのプラットフォームを提供する。
85.(テーマ別レビュー)さらに、「ハイレベル政治フォーラム」では持続可能な開発目標の進捗に関するテーマ別レビューも開催する。こうしたテーマ別レビューは、各目標間の相互関連性を踏まえつつ、経済社会理事会の各種機能委員会及びその他政府間機関、フォーラム等によるサポートを受ける。こうしたテーマ別レビューはすべてのステークホルダーを関与しつつ、「ハイレベル政治フォーラム」の実施サイクルに統合されていく。
86.(アディスアベバ行動目標との関係)アディスアベバ行動目標にて言及されているとおり、我々は、開発資金(会議)の成果に対するフォローアップ・レビューと本アジェンダのフォローアップ・レビューの枠組みに統合されているSDGsの全ての実施手段を歓迎する。開発資金に関する年次経済社会理事会フォーラムにおいて政府間合意の下で得られた結論及び提言については、「ハイレベル政治フォーラム」における本アジェンダ実施に関する全体のフォローアップ・レビューに役立てられる。
87.(総会主催HLPF)総会主催の下で4年に1回行われる「ハイレベル政治フォーラム」は、本アジェンダの実施、進捗及び課題の特定、さらなる実施促進のための動員を行う上でハイレベルでの政治的ガイダンスを与えるものである。国連総会の下で開催される次回ハイレベル政治フォーラムは2019年に開催され、以降、「四ケ年包括政策レビュー(QCPR)」プロセスとの一貫性を最大化するために開催時期を調整することにする。
88.(国連開発システム)また、我々は、国連開発システムによる新たなアジェンダの実施に対して首尾一貫した集約された支援を確実にするために、システム全体で整合性のとれた戦略計画、実施、報告体制の重要性を強調する。関連する統治組織は、実施支援のレビュー及び進捗と支障を報告しなければならない。(こうした各々の国連開発システムの)監督機関は、そうした支援の内容についてレビューを行いその進捗と障害について報告を行わなければならない。我々は経済社会理事会における「国連開発システムの長期的ポジショニングに関する対話」を歓迎し、適切な対応が取られることを期待する。
89.(メジャー・グループ)「ハイレベル政治フォーラム」は、国連総会決議67/290に沿って、メジャー・グループ及び関連したステークホルダーによるフォローアップ・レビューのプロセスへの参加を支持する。我々は、これらの関係者に対し、アジェンダの実施に対する彼らの貢献について報告することを呼びかける。
90.(HLPFに向けた事務総長報告書)2016年に開催される「ハイレベル政治フォーラム」の準備に向けて、我々は事務局長に対し第70回国連総会での検討に付すための報告書の作成を求める。具体的には、全世界レベルでの首尾一貫した、効率的で、包摂的なフォローアップ・レビューに向けた重要なマイルストーンを示す内容の報告書を求める。この報告書は、経済社会理事会の下で開催される「ハイレベル政治フォーラム」における各国によるレビューのための組織アレンジに関する提言を含むものとする。また、同報告は組織の責任を明確にし、各年テーマ、テーマ別レビューの結果、「ハイレベル政治フォーラム」に関する定期的レビューについてガイダンスを示すものとする。
91.(結語)2030年までに、より良い世界へと変えるため、本アジェンダを十分活用し、達成するための揺るぎないコミットメントを、我々は改めて確認する。

  「ウィキソース」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

769年(神護景雲3)宇佐八幡宮神託事件が起きる(新暦10月28日)詳細
1075年(承保2)公卿・関白・太政大臣藤原教通の命日(新暦11月6日)詳細
1691年(元禄4)大和絵師・土佐派中興の祖土佐光起の命日(新暦11月14日)詳細
1829年(文政12)P.F.vonシーボルトがシーボルト事件で、国外追放処分を受ける(新暦10月22日)詳細
1985年(昭和60)奈良県斑鳩町の藤ノ木古墳の石室等の発堀について発表される詳細
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seisounohi01
 今日は、昭和時代後期の1971年(昭和46)に、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年12月25日公布)が施行された日で、「清掃の日」とされています。
 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(はいきぶつのしょりおよびせいそうにかんするほうりつ)は、1954年(昭和29)に制定された「清掃法」を全面的に改めたもので、廃棄物の排出抑制と処理の適正化により、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的とした法律(昭和45年法律第137号)で「廃棄物処理法」とも呼ばれてきました。1960年代からの高度経済成長期には、大量にごみが発生するようになり、それまでの「清掃法」では規制できない色々な産業廃棄物公害が社会問題となったので、公害対策の視点も取り入れて制定されます。
 市町村と都道府県の事務配分の明確化、国に対しては技術開発の推進、地方公共団体への技術的、財政的援助を与えることなどを規定してきました。廃棄物処理について、①家庭や事務所などから出る紙ごみや粗大ごみ、屎尿などの一般廃棄物は、市町村が処理責任を持つ、②工場などの産業活動に伴い発生する汚泥、廃油、建設廃材などの産業廃棄物は、排出事業者や委託を受けた処理業者による処理を原則としています。また、毒性や爆発の危険性、および感染性のある廃棄物は特別管理廃棄物に指定し、厳しい処理基準を定めています。
 この法律は度々改正されていて、1976年(昭和53)の改正では、「措置命令規定の創設」、「再委託の禁止」、「処理記録の保存」、「敷地内埋立禁止」などが定められ、1991年(平成3)の改正では、特別管理廃棄物制度の導入(特別管理産業廃棄物を対象としてマニフェスト制度を導入)、廃棄物処理施設についての規制強化(施設設置が届出制から許可制に)、廃棄物の不法投棄の罰則強化などが行われ、1997年(平成9)の改正では、廃棄物の再生利用に係る認定制度の創設、廃棄物処理施設の設置に係る手続の規定(生活環境影響調査の実施など)、マニフェスト制度の拡大(すべての産業廃棄物に)、不法投棄原状回復基金制度の創設などが行われ、2000年(平成12)の改正では、「廃棄物処理基本方針」(国)および「都道府県廃棄物処理計画」(都道府県)策定制度の創設、マニフェスト制度の見直しなど排出事業者処理責任の徹底、廃棄物の野外焼却(野焼き)の禁止(直罰規定の導入)、支障の除去等の命令の強化などが行われました。その後も改正が頻繁に行われ、最終処分場跡地の形質変更を行う際には、都道府県知事等への届出義務化、石綿含有廃棄物に係る処理基準などが定められています。
 尚、この法律の施行を記念して、9月24日が「清掃の日」と定められ、毎年この日から10月1日までの1週間は「環境衛生週間」として、環境省が中心となり、全国各地で廃棄物の減量化・リサイクル、ごみの散乱防止、公共施設の清潔の保持などの啓発活動が実施されてきました。
 以下に、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号)を掲載しておきますので、ご参照下さい。

〇「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号)

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。
2 この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
3 この法律において「特別管理一般廃棄物」とは、一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)
5 この法律において「特別管理産業廃棄物」とは、産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。
6 この法律において「電子情報処理組織」とは、第十三条の二第一項に規定する情報処理センターの使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と、第十二条の三第一項に規定する事業者、同条第三項に規定する運搬受託者及び同条第四項に規定する処分受託者の使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
(国内の処理等の原則)
第二条の二 国内において生じた廃棄物は、なるべく国内において適正に処理されなければならない。
2 国外において生じた廃棄物は、その輸入により国内における廃棄物の適正な処理に支障が生じないよう、その輸入が抑制されなければならない。
(非常災害により生じた廃棄物の処理の原則)
第二条の三 非常災害により生じた廃棄物は、人の健康又は生活環境に重大な被害を生じさせるものを含むおそれがあることを踏まえ、生活環境の保全及び公衆衛生上の支障を防止しつつ、その適正な処理を確保することを旨として、円滑かつ迅速に処理されなければならない。
2 非常災害により生じた廃棄物は、当該廃棄物の発生量が著しく多量であることを踏まえ、その円滑かつ迅速な処理を確保するとともに、将来にわたつて生ずる廃棄物の適正な処理を確保するため、分別、再生利用等によりその減量が図られるよう、適切な配慮がなされなければならない。
(国民の責務)
第二条の四 国民は、廃棄物の排出を抑制し、再生品の使用等により廃棄物の再生利用を図り、廃棄物を分別して排出し、その生じた廃棄物をなるべく自ら処分すること等により、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第三条 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
2 事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めるとともに、物の製造、加工、販売等に際して、その製品、容器等が廃棄物となつた場合における処理の困難性についてあらかじめ自ら評価し、適正な処理が困難にならないような製品、容器等の開発を行うこと、その製品、容器等に係る廃棄物の適正な処理の方法についての情報を提供すること等により、その製品、容器等が廃棄物となつた場合においてその適正な処理が困難になることのないようにしなければならない。
3 事業者は、前二項に定めるもののほか、廃棄物の減量その他その適正な処理の確保等に関し国及び地方公共団体の施策に協力しなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第四条 市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り、及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たつては、職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。
2 都道府県は、市町村に対し、前項の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努めるとともに、当該都道府県の区域内における産業廃棄物の状況をはあくし、産業廃棄物の適正な処理が行なわれるように必要な措置を講ずることに努めなければならない。
3 国は、廃棄物に関する情報の収集、整理及び活用並びに廃棄物の処理に関する技術開発の推進を図り、並びに国内における廃棄物の適正な処理に支障が生じないよう適切な措置を講ずるとともに、市町村及び都道府県に対し、前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えること並びに広域的な見地からの調整を行うことに努めなければならない。
4 国、都道府県及び市町村は、廃棄物の排出を抑制し、及びその適正な処理を確保するため、これらに関する国民及び事業者の意識の啓発を図るよう努めなければならない。
(非常災害時における連携及び協力の確保)
第四条の二 国、地方公共団体、事業者その他の関係者は、第二条の三に定める処理の原則にのつとり、非常災害時における廃棄物の適正な処理が円滑かつ迅速に行われるよう、適切に役割を分担するとともに、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。
(清潔の保持等)
第五条 土地又は建物の占有者(占有者がない場合には、管理者とする。以下同じ。)は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない。
2 土地の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有し、若しくは管理する土地において、他の者によつて不適正に処理された廃棄物と認められるものを発見したときは、速やかに、その旨を都道府県知事又は市町村長に通報するように努めなければならない。
3 建物の占有者は、建物内を全般にわたつて清潔にするため、市町村長が定める計画に従い、大掃除を実施しなければならない。
4 何人も、公園、広場、キャンプ場、スキー場、海水浴場、道路、河川、港湾その他の公共の場所を汚さないようにしなければならない。
5 前項に規定する場所の管理者は、当該管理する場所の清潔を保つように努めなければならない。
6 市町村は、必要と認める場所に、公衆便所及び公衆用ごみ容器を設け、これを衛生的に維持管理しなければならない。
7 便所が設けられている車両、船舶又は航空機を運行する者は、当該便所に係るし尿を生活環境の保全上支障が生じないように処理することに努めなければならない。
(基本方針)
第五条の二 環境大臣は、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 廃棄物の減量その他その適正な処理の基本的な方向
二 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する目標の設定に関する事項
三 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策を推進するための基本的事項
四 廃棄物の処理施設の整備に関する基本的事項
五 非常災害時における前二号に掲げる事項に関する施策の推進を図るために必要な事項
六 前各号に掲げるもののほか、廃棄物の減量その他その適正な処理に関し必要な事項
3 環境大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、都道府県知事の意見を聴かなければならない。
4 環境大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(廃棄物処理施設整備計画)
第五条の三 環境大臣は、廃棄物処理施設整備事業(廃棄物の処理施設の整備に関する事業で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)の計画的な実施に資するため、基本方針に即して、五年ごとに、廃棄物処理施設整備事業に関する計画(以下「廃棄物処理施設整備計画」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
2 廃棄物処理施設整備計画においては、計画期間に係る廃棄物処理施設整備事業の実施の目標及び概要を定めるものとする。
3 前項の実施の目標及び概要を定めるに当たつては、廃棄物の処理施設の整備における課題に的確に対応するため、廃棄物処理施設整備事業における投資の重点化及び効率化を図ることができるように留意しなければならない。
4 環境大臣は、廃棄物処理施設整備計画の案を作成しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
5 環境大臣は、第一項の閣議の決定があつたときは、遅滞なく、廃棄物処理施設整備計画を公表しなければならない。
6 第三項から前項までの規定は、廃棄物処理施設整備計画を変更しようとする場合について準用する。
第五条の四 国は、廃棄物処理施設整備計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講ずるものとする。
(都道府県廃棄物処理計画)
第五条の五 都道府県は、基本方針に即して、当該都道府県の区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理に関する計画(以下「廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。
2 廃棄物処理計画には、環境省令で定める基準に従い、当該都道府県の区域内における廃棄物の減量その他その適正な処理に関し、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 廃棄物の発生量及び処理量の見込み
二 廃棄物の減量その他その適正な処理に関する基本的事項
三 一般廃棄物の適正な処理を確保するために必要な体制に関する事項
四 産業廃棄物の処理施設の整備に関する事項
五 非常災害時における前三号に掲げる事項に関する施策を実施するために必要な事項
3 都道府県は、廃棄物処理計画を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第四十三条の規定により置かれる審議会その他の合議制の機関及び関係市町村の意見を聴かなければならない。
4 都道府県は、廃棄物処理計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。
(都道府県廃棄物処理計画の達成の推進)
第五条の六 国及び都道府県は、廃棄物処理計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるものとする。
(廃棄物減量等推進審議会)
第五条の七 市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量等に関する事項を審議させるため、廃棄物減量等推進審議会を置くことができる。
2 廃棄物減量等推進審議会の組織及び運営に関して必要な事項は、条例で定める。
(廃棄物減量等推進員)
第五条の八 市町村は、社会的信望があり、かつ、一般廃棄物の適正な処理に熱意と識見を有する者のうちから、廃棄物減量等推進員を委嘱することができる。
2 廃棄物減量等推進員は、一般廃棄物の減量のための市町村の施策への協力その他の活動を行う。
第二章 一般廃棄物
第一節 一般廃棄物の処理
(一般廃棄物処理計画)
第六条 市町村は、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画(以下「一般廃棄物処理計画」という。)を定めなければならない。
2 一般廃棄物処理計画には、環境省令で定めるところにより、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関し、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 一般廃棄物の発生量及び処理量の見込み
二 一般廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項
三 分別して収集するものとした一般廃棄物の種類及び分別の区分
四 一般廃棄物の適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項
五 一般廃棄物の処理施設の整備に関する事項
3 市町村は、その一般廃棄物処理計画を定めるに当たつては、当該市町村の区域内の一般廃棄物の処理に関し関係を有する他の市町村の一般廃棄物処理計画と調和を保つよう努めなければならない。
4 市町村は、一般廃棄物処理計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない。
(市町村の処理等)
第六条の二 市町村は、一般廃棄物処理計画に従つて、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分(再生することを含む。第七条第三項、第五項第四号ニからヘまで及び第八項、第七条の三第一号、第七条の四第一項第五号、第八条の二第六項、第九条第二項、第九条の二第二項、第九条の二の二第一項第二号及び第三項、第九条の三第十二項(第九条の三の三第三項において準用する場合を含む。)、第十三条の十一第一項第三号、第十四条第三項及び第八項、第十四条の三の二第一項第五号、第十四条の四第三項及び第八項、第十五条の三第一項第二号、第十五条の十二、第十五条の十五第一項第三号、第十六条の二第二号、第十六条の三第二号、第二十三条の三第二項、第二十四条の二第二項並びに附則第二条第二項を除き、以下同じ。)しなければならない。
2 市町村が行うべき一般廃棄物(特別管理一般廃棄物を除く。以下この項において同じ。)の収集、運搬及び処分に関する基準(当該基準において海洋を投入処分の場所とすることができる一般廃棄物を定めた場合における当該一般廃棄物にあつては、その投入の場所及び方法が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和四十五年法律第百三十六号)に基づき定められた場合におけるその投入の場所及び方法に関する基準を除く。以下「一般廃棄物処理基準」という。)並びに市町村が一般廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外の者に委託する場合の基準は、政令で定める。
3 市町村が行うべき特別管理一般廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(当該基準において海洋を投入処分の場所とすることができる特別管理一般廃棄物を定めた場合における当該特別管理一般廃棄物にあつては、その投入の場所及び方法が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づき定められた場合におけるその投入の場所及び方法に関する基準を除く。以下「特別管理一般廃棄物処理基準」という。)並びに市町村が特別管理一般廃棄物の収集、運搬又は処分を市町村以外の者に委託する場合の基準は、政令で定める。
4 土地又は建物の占有者は、その土地又は建物内の一般廃棄物のうち、生活環境の保全上支障のない方法で容易に処分することができる一般廃棄物については、なるべく自ら処分するように努めるとともに、自ら処分しない一般廃棄物については、その一般廃棄物処理計画に従い当該一般廃棄物を適正に分別し、保管する等市町村が行う一般廃棄物の収集、運搬及び処分に協力しなければならない。
5 市町村長は、その区域内において事業活動に伴い多量の一般廃棄物を生ずる土地又は建物の占有者に対し、当該一般廃棄物の減量に関する計画の作成、当該一般廃棄物を運搬すべき場所及びその運搬の方法その他必要な事項を指示することができる。
6 事業者は、一般廃棄物処理計画に従つてその一般廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合その他その一般廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第七条第十二項に規定する一般廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する一般廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。
7 事業者は、前項の規定によりその一般廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
(事業者の協力)
第六条の三 環境大臣は、市町村における一般廃棄物の処理の状況を調査し、一般廃棄物のうちから、現に市町村がその処理を行つているものであつて、市町村の一般廃棄物の処理に関する設備及び技術に照らしその適正な処理が全国各地で困難となつていると認められるものを指定することができる。
2 市町村長は、前項の規定による指定に係る一般廃棄物になる前の製品、容器等の製造、加工、販売等を行う事業者に対し、環境省令で定めるところにより、当該市町村において当該一般廃棄物の処理が適正に行われることを補完するために必要な協力を求めることができる。
3 環境大臣は、第一項の規定による指定に係る一般廃棄物になる前の製品、容器等の製造、加工、販売等の事業を所管する大臣に対し、当該一般廃棄物の処理について市町村が当該製品、容器等の製造、加工、販売等を行う事業者の協力を得ることができるよう、必要な措置を講ずることを要請することができる。
4 環境大臣は、第一項の規定による指定を行うに当たつては、当該指定に係る一般廃棄物になる前の製品、容器等の製造、加工、販売等の事業を所管する大臣の意見を聴かなければならない。
第二節 一般廃棄物処理業
(一般廃棄物処理業)
第七条 一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
2 前項の許可は、一年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
3 前項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下この項及び次項において「許可の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
4 前項の場合において、許可の更新がされたときは、その許可の有効期間は、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
5 市町村長は、第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬が困難であること。
二 その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること。
三 その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
四 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
イ 心身の故障によりその業務を適切に行うことができない者として環境省令で定めるもの
ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
ハ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
ニ この法律、浄化槽法(昭和五十八年法律第四十三号)その他生活環境の保全を目的とする法令で政令で定めるもの若しくはこれらの法令に基づく処分若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号。第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項を除く。)の規定に違反し、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰ニ関スル法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
ホ 第七条の四第一項(第四号に係る部分を除く。)若しくは第二項若しくは第十四条の三の二第一項(第四号に係る部分を除く。)若しくは第二項(これらの規定を第十四条の六において読み替えて準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項の規定により許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者(当該許可を取り消された者が法人である場合(第七条の四第一項第三号又は第十四条の三の二第一項第三号(第十四条の六において準用する場合を含む。)に該当することにより許可が取り消された場合を除く。)においては、当該取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日前六十日以内に当該法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号、第八条の五第六項及び第十四条第五項第二号ニにおいて同じ。)であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないものを含む。)
ヘ 第七条の四若しくは第十四条の三の二(第十四条の六において読み替えて準用する場合を含む。)又は浄化槽法第四十一条第二項の規定による許可の取消しの処分に係る行政手続法第十五条の規定による通知があつた日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に次条第三項(第十四条の二第三項及び第十四条の五第三項において読み替えて準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による一般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分(再生することを含む。)の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法第三十八条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から五年を経過しないもの
ト ヘに規定する期間内に次条第三項の規定による一般廃棄物若しくは産業廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分の事業のいずれかの事業の全部の廃止の届出又は浄化槽法第三十八条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、ヘの通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人(当該事業の廃止について相当の理由がある法人を除く。)の役員若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの
チ その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
リ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人(法定代理人が法人である場合においては、その役員を含む。第十四条第五項第二号ハにおいて同じ。)がイからチまでのいずれかに該当するもの
ヌ 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイからチまでのいずれかに該当する者のあるもの
ル 個人で政令で定める使用人のうちにイからチまでのいずれかに該当する者のあるもの
6 一般廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を処分する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの処分を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
7 前項の許可は、一年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
8 前項の更新の申請があつた場合において、同項の期間(以下この項及び次項において「許可の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の許可は、許可の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。
9 前項の場合において、許可の更新がされたときは、その許可の有効期間は、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。
10 市町村長は、第六項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 当該市町村による一般廃棄物の処分が困難であること。
二 その申請の内容が一般廃棄物処理計画に適合するものであること。
三 その事業の用に供する施設及び申請者の能力がその事業を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
四 申請者が第五項第四号イからルまでのいずれにも該当しないこと。
11 第一項又は第六項の許可には、一般廃棄物の収集を行うことができる区域を定め、又は生活環境の保全上必要な条件を付することができる。
12 第一項の許可を受けた者(以下「一般廃棄物収集運搬業者」という。)及び第六項の許可を受けた者(以下「一般廃棄物処分業者」という。)は、一般廃棄物の収集及び運搬並びに処分につき、当該市町村が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百二十八条第一項の規定により条例で定める収集及び運搬並びに処分に関する手数料の額に相当する額を超える料金を受けてはならない。
13 一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者は、一般廃棄物処理基準(特別管理一般廃棄物にあつては、特別管理一般廃棄物処理基準)に従い、一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない。
14 一般廃棄物収集運搬業者は、一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、一般廃棄物処分業者は、一般廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。
15 一般廃棄物収集運搬業者及び一般廃棄物処分業者は、帳簿を備え、一般廃棄物の処理について環境省令で定める事項を記載しなければならない。
16 前項の帳簿は、環境省令で定めるところにより、保存しなければならない。
(変更の許可等)
第七条の二 一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者は、その一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分の事業の範囲を変更しようとするときは、市町村長の許可を受けなければならない。ただし、その変更が事業の一部の廃止であるときは、この限りでない。
2 前条第五項及び第十一項の規定は、収集又は運搬の事業の範囲の変更に係る前項の許可について、同条第十項及び第十一項の規定は、処分の事業の範囲の変更に係る前項の許可について準用する。
3 一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者は、その一般廃棄物の収集若しくは運搬若しくは処分の事業の全部若しくは一部を廃止したとき、又は住所その他環境省令で定める事項を変更したときは、環境省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。
4 一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者は、前条第五項第四号ロからトまで又はリからルまで(同号リからルまでに掲げる者にあつては、同号イ又はチに係るものを除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、環境省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。
5 一般廃棄物収集運搬業者若しくは一般廃棄物処分業者又はこれらの者の前条第五項第四号リに規定する法定代理人、同号ヌに規定する役員若しくは使用人若しくは同号ルに規定する使用人が、同号イに該当するおそれがあるものとして環境省令で定める者に該当するに至つたときも、前項と同様とする。
(事業の停止)
第七条の三 市町村長は、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、期間を定めてその事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。
一 この法律若しくはこの法律に基づく処分に違反する行為(以下「違反行為」という。)をしたとき、又は他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、若しくは他人が違反行為をすることを助けたとき。
二 その者の事業の用に供する施設又はその者の能力が第七条第五項第三号又は第十項第三号に規定する基準に適合しなくなつたとき。
三 第七条第十一項(前条第二項において準用する場合を含む。)の規定により当該許可に付した条件に違反したとき。
(許可の取消し)
第七条の四 市町村長は、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。
一 第七条第五項第四号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条まで若しくは第三十二条第一項(第二十五条から第二十七条までの規定に係る部分に限る。)の規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに該当するに至つたとき。
二 第七条第五項第四号リからルまで(同号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条までの規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに係るものに限る。)のいずれかに該当するに至つたとき。
三 第七条第五項第四号リからルまで(同号ホに係るものに限る。)のいずれかに該当するに至つたとき。
四 第七条第五項第四号イからトまで又はリからルまでのいずれかに該当するに至つたとき(前三号に該当する場合を除く。)。
五 前条第一号に該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による処分に違反したとき。
六 不正の手段により第七条第一項若しくは第六項の許可(同条第二項又は第七項の許可の更新を含む。)又は第七条の二第一項の変更の許可を受けたとき。
2 市町村長は、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者が前条第二号又は第三号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。
(名義貸しの禁止)
第七条の五 一般廃棄物収集運搬業者及び一般廃棄物処分業者は、自己の名義をもつて、他人に一般廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行わせてはならない。
第三節 一般廃棄物処理施設
(一般廃棄物処理施設の許可)
第八条 一般廃棄物処理施設(ごみ処理施設で政令で定めるもの(以下単に「ごみ処理施設」という。)、し尿処理施設(浄化槽法第二条第一号に規定する浄化槽を除く。以下同じ。)及び一般廃棄物の最終処分場で政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者(第六条の二第一項の規定により一般廃棄物を処分するために一般廃棄物処理施設を設置しようとする市町村を除く。)は、当該一般廃棄物処理施設を設置しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 一般廃棄物処理施設の設置の場所
三 一般廃棄物処理施設の種類
四 一般廃棄物処理施設において処理する一般廃棄物の種類
五 一般廃棄物処理施設の処理能力(一般廃棄物の最終処分場である場合にあつては、一般廃棄物の埋立処分の用に供される場所の面積及び埋立容量)
六 一般廃棄物処理施設の位置、構造等の設置に関する計画
七 一般廃棄物処理施設の維持管理に関する計画
八 一般廃棄物の最終処分場である場合にあつては、災害防止のための計画
九 その他環境省令で定める事項
3 前項の申請書には、環境省令で定めるところにより、当該一般廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添付しなければならない。ただし、当該申請書に記載した同項第二号から第七号までに掲げる事項が、過去になされた第一項の許可に係る当該事項と同一である場合その他の環境省令で定める場合は、この限りでない。
4 都道府県知事は、一般廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。)について第一項の許可の申請があつた場合には、遅滞なく、第二項第一号から第四号までに掲げる事項、申請年月日及び縦覧場所を告示するとともに、同項の申請書及び前項の書類(同項ただし書に規定する場合にあつては、第二項の申請書)を当該告示の日から一月間公衆の縦覧に供しなければならない。
5 都道府県知事は、前項の規定による告示をしたときは、遅滞なく、その旨を当該一般廃棄物処理施設の設置に関し生活環境の保全上関係がある市町村の長に通知し、期間を指定して当該市町村長の生活環境の保全上の見地からの意見を聴かなければならない。
6 第四項の規定による告示があつたときは、当該一般廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者は、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して二週間を経過する日までに、当該都道府県知事に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができる。
(許可の基準等)
第八条の二 都道府県知事は、前条第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 その一般廃棄物処理施設の設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合していること。
二 その一般廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。
三 申請者の能力がその一般廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画に従つて当該一般廃棄物処理施設の設置及び維持管理を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
四 申請者が第七条第五項第四号イからルまでのいずれにも該当しないこと。
2 都道府県知事は、前条第一項の許可の申請に係るごみ処理施設(政令で定めるものに限る。以下この項及び第十五条の二第二項において同じ。)の設置によつて、ごみ処理施設又は産業廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。以下この項及び第十五条の二第二項において同じ。)の過度の集中により大気環境基準(ごみ処理施設又は産業廃棄物処理施設において発生する政令で定める物質による大気の汚染に係る環境上の条件についての基準であつて、政令で定めるものをいう。第十五条の二第二項において同じ。)の確保が困難となると認めるときは、前条第一項の許可をしないことができる。
3 都道府県知事は、前条第一項の許可(同条第四項に規定する一般廃棄物処理施設に係るものに限る。)をする場合においては、あらかじめ、第一項第二号に掲げる事項について、生活環境の保全に関し環境省令で定める事項について専門的知識を有する者の意見を聴かなければならない。
4 前条第一項の許可には、生活環境の保全上必要な条件を付することができる。
5 前条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る一般廃棄物処理施設について、都道府県知事の検査を受け、当該一般廃棄物処理施設が当該許可に係る同条第二項の申請書に記載した設置に関する計画に適合していると認められた後でなければ、これを使用してはならない。
6 環境大臣は、生活環境の保全上緊急の必要がある場合にあつては、前条第一項の許可の申請に対し都道府県知事が行う処分に関し必要な指示をすることができる。
7 環境大臣は、生活環境の保全上緊急の必要がある場合にあつては、都道府県知事が行う第五項の検査に関し必要な指示をすることができる。
(定期検査)
第八条の二の二 第八条第一項の許可(同条第四項に規定する一般廃棄物処理施設に係るものに限る。)を受けた者は、当該許可に係る一般廃棄物処理施設について、環境省令で定めるところにより、環境省令で定める期間ごとに、都道府県知事の検査を受けなければならない。
2 前項の検査は、当該一般廃棄物処理施設が前条第一項第一号に規定する技術上の基準に適合しているかどうかについて行う。
(一般廃棄物処理施設の維持管理等)
第八条の三 第八条第一項の許可を受けた者は、環境省令で定める技術上の基準及び当該許可に係る同条第二項の申請書に記載した維持管理に関する計画(当該計画について第九条第一項の許可を受けたときは、変更後のもの。次項において同じ。)に従い、当該許可に係る一般廃棄物処理施設の維持管理をしなければならない。
2 第八条第一項の許可(同条第四項に規定する一般廃棄物処理施設に係るものに限る。)を受けた者は、当該許可に係る一般廃棄物処理施設の維持管理に関する計画及び当該一般廃棄物処理施設の維持管理の状況に関する情報であつて環境省令で定める事項について、環境省令で定めるところにより、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。
(記録及び閲覧)
第八条の四 第八条第一項の許可(同条第四項に規定する一般廃棄物処理施設に係るものに限る。)を受けた者は、環境省令で定めるところにより、当該許可に係る一般廃棄物処理施設の維持管理に関し環境省令で定める事項を記録し、これを当該一般廃棄物処理施設(当該一般廃棄物処理施設に備え置くことが困難である場合にあつては、当該一般廃棄物処理施設の設置者の最寄りの事務所)に備え置き、当該維持管理に関し生活環境の保全上利害関係を有する者の求めに応じ、閲覧させなければならない。
(維持管理積立金)
第八条の五 特定一般廃棄物最終処分場(一般廃棄物処理施設である一般廃棄物の最終処分場であつて、環境省令で定めるものをいう。以下同じ。)について第八条第一項の許可を受けた者(以下「特定一般廃棄物最終処分場の設置者」という。)は、当該特定一般廃棄物最終処分場に係る埋立処分の終了後における維持管理を適正に行うため、埋立処分の終了までの間、毎年度、特定一般廃棄物最終処分場ごとに、都道府県知事が第四項の規定により通知する額の金銭を維持管理積立金として積み立てなければならない。
2 維持管理積立金の積立ては、環境省令で定めるところにより、独立行政法人環境再生保全機構(以下「機構」という。)にしなければならない。
3 維持管理積立金は、機構が管理する。
4 維持管理積立金の額は、当該特定一般廃棄物最終処分場の維持管理に必要な費用の額及び当該特定一般廃棄物最終処分場の埋立期間を基礎とし、環境省令で定める算定基準に従い、都道府県知事が算定して通知する額とする。
5 機構は、環境省令で定めるところにより、維持管理積立金に利息を付さなければならない。
6 特定一般廃棄物最終処分場の設置者又は特定一般廃棄物最終処分場の設置者であつた者若しくはその承継人(これらの者が法人である場合において、当該法人が解散し、当該特定一般廃棄物最終処分場を承継する者が存しないときは、当該法人の役員であつた者を含む。)は、維持管理積立金の積立てをしている特定一般廃棄物最終処分場について埋立処分の終了後に維持管理を行う場合その他環境省令で定める場合には、環境省令で定めるところにより、当該特定一般廃棄物最終処分場に係る維持管理積立金を取り戻すことができる。
7 第九条の五第三項、第九条の六第一項又は第九条の七第一項の規定により第八条第一項の許可を受けた者について地位の承継があつたときは、当該許可を受けた者が積み立てた維持管理積立金は、当該許可を受けた者の地位を承継した者が積み立てたものとみなす。
8 前各項に定めるもののほか、維持管理積立金の積立て及び取戻しに関し必要な事項は、環境省令で定める。
(変更の許可等)
第九条 第八条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る同条第二項第四号から第七号までに掲げる事項の変更をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
2 第八条第三項から第六項まで及び第八条の二第一項から第四項までの規定は、前項の許可について、同条第五項の規定は、前項の許可を受けた者について、同条第六項の規定は、前項の許可の申請に対し当該都道府県知事が行う処分について、同条第七項の規定は、この項の規定により準用する同条第五項の規定に基づき都道府県知事が行う検査について準用する。
3 第八条第一項の許可を受けた者は、第一項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたとき、若しくは同条第二項第一号に掲げる事項その他環境省令で定める事項に変更があつたとき、又は当該許可に係る一般廃棄物処理施設(一般廃棄物の最終処分場であるものを除く。)を廃止したとき、若しくは一般廃棄物処理施設を休止し、若しくは休止した当該一般廃棄物処理施設を再開したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
4 第八条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る一般廃棄物処理施設が一般廃棄物の最終処分場である場合において、当該最終処分場に係る埋立処分(地中にある空間を利用する処分の方法を含む。以下同じ。)が終了したときは、その終了した日から三十日以内に、環境省令で定めるところにより、その旨及びその他環境省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
5 第八条第一項の許可を受けた者は、当該許可に係る一般廃棄物処理施設が一般廃棄物の最終処分場である場合においては、環境省令で定めるところにより、あらかじめ当該最終処分場の状況が環境省令で定める技術上の基準に適合していることについて都道府県知事の確認を受けたときに限り、当該最終処分場を廃止することができる。
6 第八条第一項の許可を受けた者は、第七条第五項第四号ロからトまで又はリからルまで(同号リからルまでに掲げる者にあつては、同号イ又はチに係るものを除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
7 第八条第一項の許可を受けた者又はその者の第七条第五項第四号リに規定する法定代理人、同号ヌに規定する役員若しくは使用人若しくは同号ルに規定する使用人が、同号イに該当するおそれがあるものとして環境省令で定める者に該当するに至つたときも、前項と同様とする。
(改善命令等)
第九条の二 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、第八条第一項の許可を受けた者に対し、期限を定めて当該一般廃棄物処理施設につき必要な改善を命じ、又は期間を定めて当該一般廃棄物処理施設の使用の停止を命ずることができる。
一 第八条第一項の許可に係る一般廃棄物処理施設の構造又はその維持管理が第八条の二第一項第一号若しくは第八条の三第一項に規定する技術上の基準又は当該許可に係る第八条第二項の申請書に記載した設置に関する計画若しくは維持管理に関する計画(これらの計画について前条第一項の許可を受けたときは、変更後のもの)に適合していないと認めるとき。
二 第八条第一項の許可を受けた者の能力が第八条の二第一項第三号に規定する環境省令で定める基準に適合していないと認めるとき。
三 第八条第一項の許可を受けた者が違反行為をしたとき、又は他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、若しくは他人が違反行為をすることを助けたとき。
四 第八条第一項の許可を受けた者が第八条の二第四項(前条第二項において準用する場合を含む。)の規定により当該許可に付した条件に違反したとき。
2 第八条の二第六項の規定は、前項の規定に基づき都道府県知事が行う処分について準用する。
(許可の取消し)
第九条の二の二 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、当該一般廃棄物処理施設に係る第八条第一項の許可を取り消さなければならない。
一 第八条第一項の許可を受けた者が第七条第五項第四号イからルまでのいずれかに該当するに至つたとき。
二 前条第一項第三号に該当し情状が特に重いとき、又は同項の規定による処分に違反したとき。
三 不正の手段により第八条第一項の許可又は第九条第一項の変更の許可を受けたとき。
2 都道府県知事は、前条第一項第一号、第二号若しくは第四号のいずれかに該当するとき、又は特定一般廃棄物最終処分場の設置者が第八条の五第一項の規定による維持管理積立金の積立てをしていないときは、当該一般廃棄物処理施設に係る第八条第一項の許可を取り消すことができる。
3 第八条の二第六項の規定は、前二項の規定に基づき都道府県知事が行う処分について準用する。
(許可の取消しに伴う措置)
第九条の二の三 一般廃棄物処理施設である一般廃棄物の最終処分場について第八条第一項の許可を受けた者が前条第一項又は第二項の規定により当該許可を取り消されたときは、当該許可を取り消された者又はその承継人(次項において「旧設置者等」という。)は、次項の規定による確認を受けるまでの間は、第八条の二の二第一項、第八条の三、第八条の四、第九条の二第一項及び第九条の四の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用についてはなお第八条第一項の許可を受けた者と、第十八条第一項、第十九条第一項及び第二十一条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用についてはなお第九条の四に規定する一般廃棄物処理施設の設置者と、第二十一条の二第一項の規定(同項の規定に係る罰則を含む。)の適用についてはなお同項に規定する設置者とみなす。
2 旧設置者等は、環境省令で定めるところにより、あらかじめ当該最終処分場の状況が第九条第五項に規定する技術上の基準に適合していることについて都道府県知事の確認を受けたときに限り、当該最終処分場を廃止することができる。
(熱回収の機能を有する一般廃棄物処理施設に係る特例)
第九条の二の四 第八条第一項の許可に係る一般廃棄物処理施設であつて熱回収(廃棄物であつて燃焼の用に供することができるものを熱を得ることに利用することをいう。以下同じ。)の機能を有するもの(以下この条において「熱回収施設」という。)を設置している者は、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、都道府県知事の認定を受けることができる。
一 当該熱回収施設が環境省令で定める技術上の基準に適合していること。
二 申請者の能力が熱回収を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
2 前項の認定は、環境省令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によつて、その効力を失う。
3 第一項の認定を受けた者(以下この条において「認定熱回収施設設置者」という。)が当該認定に係る熱回収施設において行う一般廃棄物の処分については、第七条第十三項の規定にかかわらず、政令で定める基準に従つて行うことができる。この場合において、第十九条の三第一号及び第十九条の四第一項中「一般廃棄物の収集、運搬又は処分」とあるのは、「一般廃棄物の収集、運搬又は処分(第九条の二の四第一項の認定に係る熱回収施設における一般廃棄物の処分にあつては、同条第三項に規定する基準に適合しない一般廃棄物の処分)」とする。
4 第八条の二の二の規定は、認定熱回収施設設置者については、適用しない。
5 都道府県知事は、認定熱回収施設設置者が第一項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
6 前各項に規定するもののほか、第一項の認定に関し必要な事項は、政令で定める。
(市町村の設置に係る一般廃棄物処理施設の届出)
第九条の三 市町村は、第六条の二第一項の規定により一般廃棄物の処分を行うために、一般廃棄物処理施設を設置しようとするときは、環境省令で定めるところにより、第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類及び当該一般廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をしようとする市町村の長は、同項に規定する第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類を作成するに当たつては、政令で定める事項について条例で定めるところにより、前項に規定する調査の結果を記載した書類を公衆の縦覧に供し、当該届出に係る一般廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出する機会を付与するものとする。
3 都道府県知事は、第一項の規定による届出があつた場合において、当該届出に係る一般廃棄物処理施設が第八条の二第一項第一号に規定する技術上の基準に適合していないと認めるときは、当該届出を受理した日から三十日(一般廃棄物の最終処分場については、六十日)以内に限り、当該届出をした市町村に対し、当該届出に係る計画の変更又は廃止を命ずることができる。
4 第一項の規定による届出をした市町村は、前項の期間を経過した後でなければ、当該届出に係る一般廃棄物処理施設を設置してはならない。ただし、当該届出の内容が相当であると認める旨の都道府県知事の通知を受けた後においては、この限りでない。
5 第一項の規定による届出に係る一般廃棄物処理施設の管理者は、第八条の三第一項に規定する技術上の基準及び当該届出に係る第一項に規定する第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類に記載した維持管理に関する計画(当該計画について第八項の規定による届出をしたときは、変更後のもの。次項において同じ。)に従い、当該一般廃棄物処理施設の維持管理をしなければならない。
6 第一項の規定による届出に係る一般廃棄物処理施設(第八条第四項に規定する一般廃棄物処理施設であるものに限る。)の管理者は、当該届出に係る一般廃棄物処理施設の維持管理に関する計画及び当該一般廃棄物処理施設の維持管理の状況に関する情報であつて環境省令で定める事項について、環境省令で定めるところにより、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。
7 第一項の規定による届出に係る一般廃棄物処理施設(第八条第四項に規定する一般廃棄物処理施設であるものに限る。)の管理者は、環境省令で定めるところにより、当該一般廃棄物処理施設の維持管理に関し環境省令で定める事項を記録し、これを当該一般廃棄物処理施設(当該一般廃棄物処理施設に備え置くことが困難である場合にあつては、当該一般廃棄物処理施設の設置者の最寄りの事務所)に備え置き、当該維持管理に関し生活環境の保全上利害関係を有する者の求めに応じ、閲覧させなければならない。
8 第一項の規定による届出をした市町村は、当該届出に係る第八条第二項第四号から第七号までに掲げる事項の変更(環境省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、環境省令で定める事項を記載した書類を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
9 第二項及び第三項の規定は前項の規定による届出について、第四項の規定は前項の規定による届出をした市町村について準用する。この場合において、第二項中「同項」とあるのは「前項」と、第四項中「一般廃棄物処理施設を設置してはならない」とあるのは「第八条第二項第四号から第七号までに掲げる事項の変更をしてはならない」と読み替えるものとする。
10 都道府県知事は、第一項の規定による届出に係る一般廃棄物処理施設の構造又は維持管理が第八条の二第一項第一号若しくは第八条の三第一項に規定する技術上の基準又は当該届出に係る第一項に規定する第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類に記載した設置に関する計画若しくは維持管理に関する計画(これらの計画について第八項の規定による届出をしたときは、変更後のもの)に適合しないと認めるときは、その設置者又は管理者に対し、当該一般廃棄物処理施設につき必要な改善を命じ、又は期間を定めて当該一般廃棄物処理施設の使用の停止を命ずることができる。
11 第九条第三項から第五項までの規定は、第一項の規定による一般廃棄物処理施設の設置の届出をした市町村について準用する。この場合において、同条第三項中「第一項ただし書」とあるのは「第九条の三第八項」と、「同条第二項第一号に掲げる事項その他環境省令」とあるのは「環境省令」と、「当該許可」とあるのは「当該届出」と、同条第四項及び第五項中「当該許可」とあるのは「当該届出」と読み替えるものとする。
12 第八条の二第六項の規定は、第三項又は第十項の規定に基づき都道府県知事が行う処分について準用する。
(市町村による非常災害に係る一般廃棄物処理施設の届出の特例)
第九条の三の二 市町村は、非常災害が発生した場合に非常災害により生ずる廃棄物の処分を行うために設置する必要があると認める一般廃棄物処理施設について、一般廃棄物処理計画に定め、又はこれを変更しようとするときは、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に協議し、その同意を得ることができる。
2 市町村が前項の同意に係る一般廃棄物処理施設を設置しようとする場合における前条の規定の適用については、同条第九項中「第二項及び第三項の規定は」とあるのは「第二項の規定は、」と、「、第四項の規定は前項の規定による届出をした市町村について準用する」とあるのは「準用する」と、「、第四項中「一般廃棄物処理施設を設置してはならない」とあるのは「第八条第二項第四号から第七号までに掲げる事項の変更をしてはならない」と読み替える」とあるのは「読み替える」とし、同条第三項及び第四項の規定は、適用しない。
(非常災害に係る一般廃棄物処理施設の設置の特例)
第九条の三の三 市町村から非常災害により生じた廃棄物の処分の委託を受けた者は、当該処分を行うための一般廃棄物処理施設(一般廃棄物の最終処分場であるものを除く。)を設置しようとするときは、第八条第一項の規定にかかわらず、環境省令で定めるところにより、同条第二項各号に掲げる事項を記載した書類及び当該一般廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をしようとする者は、同項に規定する第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類を作成するに当たつては、政令で定める事項について条例で定めるところにより、前項に規定する調査の結果を記載した書類を公衆の縦覧に供さなければならない。この場合において、当該一般廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者は、政令で定める事項について条例で定めるところにより、当該届出をしようとする者に対し、生活環境の保全上の見地から意見書を提出することができる。
3 第九条の三第三項から第十項まで及び第十二項の規定は第一項の規定による届出について、第九条第三項の規定は当該届出をした者について準用する。この場合において、第九条の三第三項、第四項、第八項及び第九項中「市町村」とあるのは「非常災害により生じた廃棄物の処分の委託を受けた者」と、同項中「第二項及び」とあるのは「第九条の三の三第二項の規定及び」と、「第二項中」とあるのは「同条第二項中「前項の」とあるのは「次項において準用する第九条の三第八項の」と、」と、第九条第三項中「第一項ただし書」とあるのは「第九条の三の三第三項において準用する第九条の三第八項」と、「同条第二項第一号」とあるのは「第八条第二項第一号」と、「当該許可」とあるのは「当該届出」と読み替えるものとする。
(周辺地域への配慮)
第九条の四 第八条第一項の許可を受けた者、第九条の三第一項の規定による届出をした市町村及び前条第一項の規定による届出をした者(以下「一般廃棄物処理施設の設置者」という。)は、当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮するものとする。
(一般廃棄物処理施設の譲受け等)
第九条の五 第八条第一項の許可を受けた者(第三項及び次条第一項において「許可施設設置者」という。)から当該許可に係る一般廃棄物処理施設を譲り受け、又は借り受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2 第八条の二第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)の規定は、前項の許可について準用する。
3 第一項の許可を受けて一般廃棄物処理施設を譲り受け、又は借り受けた者は、当該一般廃棄物処理施設に係る許可施設設置者の地位を承継する。
(合併及び分割)
第九条の六 許可施設設置者又は第九条の三の三第一項の規定による届出をした者(以下この項及び次条において「許可施設設置者等」という。)である法人の合併の場合(許可施設設置者等である法人と許可施設設置者等でない法人が合併する場合において、許可施設設置者等である法人が存続するときを除く。)又は分割の場合(当該許可に係る一般廃棄物処理施設を承継させる場合に限る。)において当該合併又は分割について都道府県知事の認可を受けたときは、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により当該一般廃棄物処理施設を承継した法人は、許可施設設置者等の地位を承継する。
2 第八条の二第一項(第三号及び第四号に係る部分に限る。)の規定は、前項の認可について準用する。
(相続)
第九条の七 許可施設設置者等について相続があつたときは、相続人は、許可施設設置者等の地位を承継する。
2 前項の規定により許可施設設置者等の地位を承継した相続人は、相続の日から三十日以内に、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
第四節 一般廃棄物の処理に係る特例
(一般廃棄物の再生利用に係る特例)
第九条の八 環境省令で定める一般廃棄物の再生利用を行い、又は行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、環境大臣の認定を受けることができる。
一 当該再生利用の内容が、生活環境の保全上支障のないものとして環境省令で定める基準に適合すること。
二 当該再生利用を行い、又は行おうとする者が環境省令で定める基準に適合すること。
三 前号に規定する者が設置し、又は設置しようとする当該再生利用の用に供する施設が環境省令で定める基準に適合すること。
2 前項の認定を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書その他環境省令で定める書類を環境大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 当該再生利用の用に供する施設
3 環境大臣は、第一項の認定の申請に係る再生利用が同項各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。
4 第一項の認定を受けた者は、第七条第一項若しくは第六項又は第八条第一項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、当該認定に係る一般廃棄物の当該認定に係る収集若しくは運搬若しくは処分を業として行い、又は当該認定に係る一般廃棄物処理施設を設置することができる。
5 第一項の認定を受けた者は、第七条第十三項、第十五項及び第十六項並びに第十九条の三の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者と、第十八条第一項の規定(同項の規定に係る罰則を含む。)の適用については一般廃棄物処理施設の設置者とみなす。
6 第一項の認定を受けた者は、第二項第二号に掲げる事項の変更(当該認定に係る再生利用の用に供する施設以外の再生利用の用に供する施設(当該認定に係る再生利用の内容以外の内容の再生利用を行わないものに限る。)の設置を含む。)をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣の認定を受けなければならない。ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
7 第三項(第一項第三号に係る部分に限る。)の規定は、前項の変更の認定について準用する。
8 第一項の認定を受けた者は、第二項第一号に掲げる事項の変更又は第六項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。
9 環境大臣は、第一項の認定に係る再生利用が同項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるとき、又は当該認定を受けた者が第六項若しくは前項の規定に違反したときは、当該認定を取り消すことができる。
10 前各項に規定するもののほか、第一項の認定及び第六項の変更の認定に関し必要な事項は、政令で定める。
(一般廃棄物の広域的処理に係る特例)
第九条の九 環境省令で定める一般廃棄物の広域的な処理を行い、又は行おうとする者(当該処理を他人に委託して行い、又は行おうとする者を含む。)は、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、環境大臣の認定を受けることができる。
一 当該処理の内容が、一般廃棄物の減量その他その適正な処理の確保に資するものとして環境省令で定める基準に適合すること。
二 当該処理を行い、又は行おうとする者(その委託を受けて当該処理を行い、又は行おうとする者を含む。次項第二号において同じ。)が環境省令で定める基準に適合すること。
三 前号に規定する者が環境省令で定める基準に適合する施設を有すること。
2 前項の認定を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書その他環境省令で定める書類を環境大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 当該認定に係る処理を行い、又は行おうとする者及び当該処理の用に供する施設
3 環境大臣は、第一項の認定の申請に係る処理が同項各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。
4 第一項の認定を受けた者(その委託を受けて当該認定に係る処理を業として行う者(第二項第二号に規定する者である者に限る。)を含む。)は、第七条第一項又は第六項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、当該認定に係る一般廃棄物の当該認定に係る収集若しくは運搬又は処分を業として行うことができる。
5 前項に規定する者は、第七条第十三項、第十五項及び第十六項、第七条の五並びに第十九条の三の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者とみなす。
6 第一項の認定を受けた者は、当該認定に係る処理の内容又は第二項第二号に掲げる事項の変更をしようとするときは、環境省令で定めるところにより、環境大臣の認定を受けなければならない。ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
7 第三項の規定は、前項の変更の認定について準用する。
8 第一項の認定を受けた者は、第二項第一号に掲げる事項の変更又は第六項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。
9 第一項の認定を受けた者は、当該認定に係る処理を他人に委託する場合には、当該認定に係る処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
10 環境大臣は、第一項の認定に係る処理が同項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるとき、又は当該認定を受けた者が第六項若しくは第八項の規定に違反したときは、当該認定を取り消すことができる。
11 前各項に規定するもののほか、第一項の認定及び第六項の変更の認定に関し必要な事項は、政令で定める。
(一般廃棄物の無害化処理に係る特例)
第九条の十 石綿が含まれている一般廃棄物その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する一般廃棄物として環境省令で定めるものの高度な技術を用いた無害化処理(廃棄物を人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがない性状にする処理をいう。以下同じ。)を行い、又は行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、環境大臣の認定を受けることができる。
一 当該無害化処理の内容が、当該一般廃棄物の迅速かつ安全な処理の確保に資するものとして環境省令で定める基準に適合すること。
二 当該無害化処理を行い、又は行おうとする者が環境省令で定める基準に適合すること。
三 前号に規定する者が設置し、又は設置しようとする当該無害化処理の用に供する施設が環境省令で定める基準に適合すること。
2 前項の認定を受けようとする者は、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を環境大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 無害化処理の用に供する施設の設置の場所
三 無害化処理の用に供する施設の種類
四 無害化処理の用に供する施設において処理する一般廃棄物の種類
五 無害化処理の用に供する施設の処理能力
六 無害化処理の用に供する施設の位置、構造等の設置に関する計画
七 無害化処理の用に供する施設の維持管理に関する計画
八 その他環境省令で定める事項
3 環境大臣は、第一項の認定の申請に係る無害化処理が同項各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。
4 第一項の認定を受けた者は、第七条第一項若しくは第六項又は第八条第一項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、当該認定に係る一般廃棄物の当該認定に係る収集若しくは運搬若しくは処分を業として行い、又は当該認定に係る一般廃棄物処理施設を設置することができる。
5 第一項の認定を受けた者は、第七条第十三項、第十五項及び第十六項の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者とみなす。
6 第一項の認定を受けた者は、第二項第一号に掲げる事項その他環境省令で定める事項の変更をしたときは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を環境大臣に届け出なければならない。
7 環境大臣は、第一項の認定に係る無害化処理が同項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるとき、又は当該認定を受けた者が前項の規定に違反したときは、当該認定を取り消すことができる。
8 第八条第三項本文及び第四項から第六項までの規定は第一項の認定について、第八条の四の規定は同項の認定を受けた者について準用する。この場合において、第八条第三項本文中「前項」とあるのは「第九条の十第二項」と、同条第四項中「都道府県知事は、一般廃棄物処理施設(政令で定めるものに限る。)について」とあるのは「環境大臣は、」と、「第二項第一号」とあるのは「第九条の十第二項第一号」と、「書類(同項ただし書に規定する場合にあつては、第二項の申請書)」とあるのは「書類」と、同条第五項中「都道府県知事」とあるのは「環境大臣」と、「市町村の長」とあり、及び「市町村長」とあるのは「都道府県及び市町村の長」と、同条第六項中「当該都道府県知事」とあるのは「環境大臣」と読み替えるものとする。
9 前各項に規定するもののほか、第一項の認定に関し必要な事項は、政令で定める。
第五節 一般廃棄物の輸出
第十条 一般廃棄物を輸出しようとする者は、その一般廃棄物の輸出が次の各号に該当するものであることについて、環境大臣の確認を受けなければならない。
一 国内におけるその一般廃棄物の処理に関する設備及び技術に照らし、国内においては適正に処理されることが困難であると認められる一般廃棄物の輸出であること。
二 前号に規定する一般廃棄物以外の一般廃棄物にあつては、国内における一般廃棄物の適正な処理に支障を及ぼさないものとして環境省令で定める基準に適合する一般廃棄物の輸出であること。
三 その輸出に係る一般廃棄物が一般廃棄物処理基準(特別管理一般廃棄物にあつては、特別管理一般廃棄物処理基準)を下回らない方法により処理されることが確実であると認められること。
四 申請者が次のいずれかに該当する者であること。
イ 市町村
ロ その他環境省令で定める者
2 前項の規定は、次に掲げる者には、適用しない。
一 本邦から出国する者のうち、一般廃棄物を携帯して輸出する者であつて環境省令で定めるもの
二 国その他の環境省令で定める者
第三章 産業廃棄物
第一節 産業廃棄物の処理
(事業者及び地方公共団体の処理)
第十一条 事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。
2 市町村は、単独に又は共同して、一般廃棄物とあわせて処理することができる産業廃棄物その他市町村が処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理をその事務として行なうことができる。
3 都道府県は、産業廃棄物の適正な処理を確保するために都道府県が処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理をその事務として行うことができる。
(事業者の処理)
第十二条 事業者は、自らその産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。第五項から第七項までを除き、以下この条において同じ。)の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(当該基準において海洋を投入処分の場所とすることができる産業廃棄物を定めた場合における当該産業廃棄物にあつては、その投入の場所及び方法が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づき定められた場合におけるその投入の場所及び方法に関する基準を除く。以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。
2 事業者は、その産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「産業廃棄物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。
3 事業者は、その事業活動に伴い産業廃棄物(環境省令で定めるものに限る。次項において同じ。)を生ずる事業場の外において、自ら当該産業廃棄物の保管(環境省令で定めるものに限る。)を行おうとするときは、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の環境省令で定める場合を除き、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。
4 前項の環境省令で定める場合において、その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業場の外において同項に規定する保管を行つた事業者は、当該保管をした日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
5 事業者(中間処理業者(発生から最終処分(埋立処分、海洋投入処分(海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づき定められた海洋への投入の場所及び方法に関する基準に従つて行う処分をいう。)又は再生をいう。以下同じ。)が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分する者をいう。以下同じ。)を含む。次項及び第七項並びに次条第五項から第七項までにおいて同じ。)は、その産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除くものとし、中間処理産業廃棄物(発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において産業廃棄物を処分した後の産業廃棄物をいう。以下同じ。)を含む。次項及び第七項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第十四条第十二項に規定する産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。
6 事業者は、前項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
7 事業者は、前二項の規定によりその産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
8 その事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物を処理するために第十五条第一項に規定する産業廃棄物処理施設が設置されている事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、産業廃棄物処理責任者を置かなければならない。ただし、自ら産業廃棄物処理責任者となる事業場については、この限りでない。
9 その事業活動に伴い多量の産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者として政令で定めるもの(次項において「多量排出事業者」という。)は、環境省令で定める基準に従い、当該事業場に係る産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。
10 多量排出事業者は、前項の計画の実施の状況について、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に報告しなければならない。
11 都道府県知事は、第九項の計画及び前項の実施の状況について、環境省令で定めるところにより、公表するものとする。
12 環境大臣は、第九項の環境省令を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
13 第七条第十五項及び第十六項の規定は、その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者で政令で定めるものについて準用する。この場合において、同条第十五項中「一般廃棄物の」とあるのは、「その産業廃棄物の」と読み替えるものとする。
(事業者の特別管理産業廃棄物に係る処理)
第十二条の二 事業者は、自らその特別管理産業廃棄物の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める特別管理産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(当該基準において海洋を投入処分の場所とすることができる特別管理産業廃棄物を定めた場合における当該特別管理産業廃棄物にあつては、その投入の場所及び方法が海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律に基づき定められた場合におけるその投入の場所及び方法に関する基準を除く。以下「特別管理産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。
2 事業者は、その特別管理産業廃棄物が運搬されるまでの間、環境省令で定める技術上の基準(以下「特別管理産業廃棄物保管基準」という。)に従い、生活環境の保全上支障のないようにこれを保管しなければならない。
3 事業者は、その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物(環境省令で定めるものに限る。次項において同じ。)を生ずる事業場の外において、自ら当該特別管理産業廃棄物の保管(環境省令で定めるものに限る。)を行おうとするときは、非常災害のために必要な応急措置として行う場合その他の環境省令で定める場合を除き、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。
4 前項の環境省令で定める場合において、その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場の外において同項に規定する保管を行つた事業者は、当該保管をした日から起算して十四日以内に、環境省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
5 事業者は、その特別管理産業廃棄物(中間処理産業廃棄物を含む。次項及び第七項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合には、その運搬については第十四条の四第十二項に規定する特別管理産業廃棄物収集運搬業者その他環境省令で定める者に、その処分については同項に規定する特別管理産業廃棄物処分業者その他環境省令で定める者にそれぞれ委託しなければならない。
6 事業者は、前項の規定によりその特別管理産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
7 事業者は、前二項の規定によりその特別管理産業廃棄物の運搬又は処分を委託する場合には、当該特別管理産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い、当該特別管理産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
8 その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る当該特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならない。ただし、自ら特別管理産業廃棄物管理責任者となる事業場については、この限りでない。
9 前項の特別管理産業廃棄物管理責任者は、環境省令で定める資格を有する者でなければならない。
10 その事業活動に伴い多量の特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者として政令で定めるもの(次項において「多量排出事業者」という。)は、環境省令で定める基準に従い、当該事業場に係る特別管理産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。
11 多量排出事業者は、前項の計画の実施の状況について、環境省令で定めるところにより、都道府県知事に報告しなければならない。
12 都道府県知事は、第十項の計画及び前項の実施の状況について、環境省令で定めるところにより、公表するものとする。
13 環境大臣は、第十項の環境省令を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
14 第七条第十五項及び第十六項の規定は、その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業者について準用する。この場合において、同条第十五項中「一般廃棄物の」とあるのは、「その特別管理産業廃棄物の」と読み替えるものとする。
(産業廃棄物管理票)
第十二条の三 その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者(中間処理業者を含む。)は、その産業廃棄物(中間処理産業廃棄物を含む。第十二条の五第一項及び第二項において同じ。)の運搬又は処分を他人に委託する場合(環境省令で定める場合を除く。)には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者(当該委託が産業廃棄物の処分のみに係るものである場合にあつては、その処分を受託した者)に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない。
2 前項の規定により管理票を交付した者(以下「管理票交付者」という。)は、当該管理票の写しを当該交付をした日から環境省令で定める期間保存しなければならない。
3 産業廃棄物の運搬を受託した者(以下「運搬受託者」という。)は、当該運搬を終了したときは、第一項の規定により交付された管理票に環境省令で定める事項を記載し、環境省令で定める期間内に、管理票交付者に当該管理票の写しを送付しなければならない。この場合において、当該産業廃棄物について処分を委託された者があるときは、当該処分を委託された者に管理票を回付しなければならない。
4 産業廃棄物の処分を受託した者(以下「処分受託者」という。)は、当該処分を終了したときは、第一項の規定により交付された管理票又は前項後段の規定により回付された管理票に環境省令で定める事項(当該処分が最終処分である場合にあつては、当該環境省令で定める事項及び最終処分が終了した旨)を記載し、環境省令で定める期間内に、当該処分を委託した管理票交付者に当該管理票の写しを送付しなければならない。この場合において、当該管理票が同項後段の規定により回付されたものであるときは、当該回付をした者にも当該管理票の写しを送付しなければならない。
5 処分受託者は、前項前段、この項又は第十二条の五第六項の規定により当該処分に係る中間処理産業廃棄物について最終処分が終了した旨が記載された管理票の写しの送付を受けたときは、環境省令で定めるところにより、第一項の規定により交付された管理票又は第三項後段の規定により回付された管理票に最終処分が終了した旨を記載し、環境省令で定める期間内に、当該処分を委託した管理票交付者に当該管理票の写しを送付しなければならない。
6 管理票交付者は、前三項又は第十二条の五第六項の規定による管理票の写しの送付を受けたときは、当該運搬又は処分が終了したことを当該管理票の写しにより確認し、かつ、当該管理票の写しを当該送付を受けた日から環境省令で定める期間保存しなければならない。
7 管理票交付者は、環境省令で定めるところにより、当該管理票に関する報告書を作成し、これを都道府県知事に提出しなければならない。
8 管理票交付者は、環境省令で定める期間内に、第三項から第五項まで若しくは第十二条の五第六項の規定による管理票の写しの送付を受けないとき、これらの規定に規定する事項が記載されていない管理票の写し若しくは虚偽の記載のある管理票の写しの送付を受けたとき、又は第十四条第十三項、第十四条の二第四項、第十四条の三の二第三項(第十四条の六において準用する場合を含む。)、第十四条の四第十三項若しくは第十四条の五第四項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、環境省令で定めるところにより、適切な措置を講じなければならない。
9 運搬受託者は、第三項前段の規定により管理票の写しを送付したとき(同項後段の規定により管理票を回付したときを除く。)は当該管理票を当該送付の日から、第四項後段の規定による管理票の写しの送付を受けたときは当該管理票の写しを当該送付を受けた日から、それぞれ環境省令で定める期間保存しなければならない。
10 処分受託者は、第四項前段、第五項又は第十二条の五第六項の規定により管理票の写しを送付したときは、当該管理票を当該送付の日から環境省令で定める期間保存しなければならない。
11 前各項に定めるもののほか、管理票に関し必要な事項は、環境省令で定める。
(虚偽の管理票の交付等の禁止)
第十二条の四 第十四条第十二項に規定する産業廃棄物収集運搬業者若しくは第十四条の四第十二項に規定する特別管理産業廃棄物収集運搬業者又は第十四条第十二項に規定する産業廃棄物処分業者若しくは第十四条の四第十二項に規定する特別管理産業廃棄物処分業者は、産業廃棄物の運搬又は処分を受託していないにもかかわらず、前条第三項に規定する事項又は同条第四項若しくは第五項に規定する事項について虚偽の記載をして管理票を交付してはならない。
2 前条第一項の規定により管理票を交付しなければならないこととされている場合において、運搬受託者又は処分受託者は、同項の規定による管理票の交付を受けていないにもかかわらず、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しを受けてはならない。ただし、次条第一項に規定する電子情報処理組織使用義務者又は同条第二項に規定する電子情報処理組織使用事業者から、電子情報処理組織を使用し、同条第一項に規定する情報処理センターを経由して当該産業廃棄物の運搬又は処分が終了した旨を報告することを求められた同項に規定する運搬受託者及び処分受託者にあつては、この限りでない。
3 運搬受託者又は処分受託者は、受託した産業廃棄物の運搬又は処分を終了していないにもかかわらず、前条第三項若しくは第四項の送付又は次条第三項の報告をしてはならない。
4 処分受託者は、前条第四項前段若しくは第五項若しくは次条第六項の規定による当該処分に係る中間処理産業廃棄物について最終処分が終了した旨が記載された管理票の写しの送付又は同条第五項の規定による当該処分に係る中間処理産業廃棄物について最終処分が終了した旨の通知を受けていないにもかかわらず、前条第五項の送付若しくは次条第四項の報告又は同条第六項の送付をしてはならない。
(電子情報処理組織の使用)
第十二条の五 第十二条の三第一項に規定する事業者であつて、その事業活動に伴い多量の産業廃棄物(その運搬又は処分の状況を速やかに把握する必要があるものとして環境省令で定めるものに限る。以下この項において同じ。)を生ずる事業場を設置している事業者として環境省令で定めるもの(以下この条において「電子情報処理組織使用義務者」という。)は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合(第十二条の三第一項に規定する環境省令で定める場合及び電気通信回線の故障の場合その他の電子情報処理組織を使用して第十三条の二第一項に規定する情報処理センター(以下この条において単に「情報処理センター」という。)に登録することが困難な場合として環境省令で定める場合を除く。)には、運搬受託者及び処分受託者(その使用に係る入出力装置が情報処理センターの使用に係る電子計算機と電気通信回線で接続されている者に限る。以下この条において同じ。)から電子情報処理組織を使用し、情報処理センターを経由して当該産業廃棄物の運搬又は処分が終了した旨を報告することを求め、かつ、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物を引き渡した後環境省令で定める期間内に、電子情報処理組織を使用して、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を情報処理センターに登録しなければならない。この場合において、当該電子情報処理組織使用義務者は、運搬受託者及び処分受託者から報告することを求め、かつ、情報処理センターに登録したときは、第十二条の三第一項の規定にかかわらず、当該運搬受託者又は処分受託者に対し管理票を交付することを要しない。
2 第十二条の三第一項に規定する事業者(その使用に係る入出力装置が情報処理センターの使用に係る電子計算機と電気通信回線で接続されている者に限り、前項に規定する産業廃棄物を取り扱う場合の電子情報処理組織使用義務者を除く。以下この条において「電子情報処理組織使用事業者」という。)は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合(第十二条の三第一項に規定する環境省令で定める場合を除く。)において、運搬受託者及び処分受託者から電子情報処理組織を使用し、情報処理センターを経由して当該産業廃棄物の運搬又は処分が終了した旨を報告することを求め、かつ、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物を引き渡した後環境省令で定める期間内に、電子情報処理組織を使用して、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を情報処理センターに登録したときは、同項の規定にかかわらず、当該運搬受託者又は処分受託者に対し管理票を交付することを要しない。
3 運搬受託者又は処分受託者は、前二項の規定により電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者から報告することを求められた場合において、当該報告に係る産業廃棄物の運搬又は処分を終了したときは、第十二条の三第三項及び第四項の規定にかかわらず、環境省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して、環境省令で定める期間内に、情報処理センターにその旨(当該報告に係る産業廃棄物の処分が最終処分である場合にあつては、最終処分が終了した旨)を報告しなければならない。
4 処分受託者は、第一項又は第二項の規定により電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者から報告を求められた場合において、第六項又は第十二条の三第四項前段若しくは第五項の規定により当該処分に係る中間処理産業廃棄物について最終処分が終了した旨が記載された管理票の写しの送付を受けたときは、同項の規定にかかわらず、環境省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して、環境省令で定める期間内に、情報処理センターに当該最終処分が終了した旨を報告しなければならない。
5 情報処理センターは、前二項の規定による報告を受けたときは、電子情報処理組織を使用して、遅滞なく、当該報告に係る産業廃棄物の運搬又は処分を委託した電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者に、運搬受託者又は処分受託者が当該運搬又は処分を終了した旨(当該報告に係る産業廃棄物の処分が最終処分である場合にあつては、最終処分が終了した旨)を通知するものとする。
6 処分受託者は、前項の規定により当該処分に係る中間処理産業廃棄物について最終処分が終了した旨の通知を受けた場合において、当該処分を委託した者が電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者でないときは、第十二条の三第一項の規定により交付された管理票又は同条第三項後段の規定により回付された管理票に当該最終処分が終了した旨を記載し、環境省令で定める期間内に、当該処分を委託した管理票交付者に当該管理票の写しを送付しなければならない。
7 電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者は、第五項の規定による通知を受けたときは、当該運搬又は処分が終了したことを当該通知により確認しなければならない。
8 情報処理センターは、第一項又は第二項の規定による登録及び第三項又は第四項の規定による報告に係る情報をその使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録し、これを当該報告を受けた日から環境省令で定める期間保存しなければならない。
9 情報処理センターは、環境省令で定めるところにより、第一項又は第二項の規定による登録及び第三項又は第四項の規定による報告に関する事項を都道府県知事に報告しなければならない。
10 情報処理センターは、第一項又は第二項の規定による登録について環境省令で定める期間内に第三項又は第四項の規定による報告を受けないときは、電子情報処理組織を使用して、遅滞なく、その旨を当該登録をした電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者に通知しなければならない。
11 電子情報処理組織使用義務者又は電子情報処理組織使用事業者は、前項の規定による通知を受けたとき、第五項の規定により通知を受けた第三項若しくは第四項の規定による報告が虚偽の内容を含むとき、又は第十四条第十三項、第十四条の二第四項、第十四条の三の二第三項(第十四条の六において準用する場合を含む。)、第十四条の四第十三項若しくは第十四条の五第四項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該通知に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、環境省令で定めるところにより、適切な措置を講じなければならない。
12 前各項に定めるもののほか、電子情報処理組織に関し必要な事項は、環境省令で定める。
(勧告及び命令)
第十二条の六 都道府県知事は、第十二条の三第一項に規定する事業者、運搬受託者又は処分受託者(以下この条において「事業者等」という。)が第十二条の三第一項から第十項まで、第十二条の四第二項から第四項まで又は前条第一項から第四項まで、第六項、第七項及び第十一項の規定を遵守していないと認めるときは、これらの者に対し、産業廃棄物の適正な処理に関し必要な措置を講ずべき旨の勧告をすることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する勧告を受けた事業者等がその勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
3 都道府県知事は、第一項に規定する勧告を受けた事業者等が、前項の規定によりその勧告に従わなかつた旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかつたときは、当該事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
(二以上の事業者による産業廃棄物の処理に係る特例)
第十二条の七 二以上の事業者がそれらの産業廃棄物の収集、運搬又は処分を一体として実施しようとする場合には、当該二以上の事業者は、共同して、環境省令で定めるところにより、次の各号のいずれにも適合していることについて、当該産業廃棄物の収集、運搬又は処分を行おうとする区域(運搬のみを行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の認定を受けることができる。
一 当該二以上の事業者のいずれか一の事業者が当該二以上の事業者のうち他の全ての事業者の発行済株式の総数を保有していることその他の当該二以上の事業者が一体的な経営を行うものとして環境省令で定める基準に適合すること。
二 当該二以上の事業者のうち、それらの産業廃棄物の収集、運搬又は処分を行う者が、産業廃棄物の適正な収集、運搬又は処分を行うことができる事業者として環境省令で定める基準に適合すること。
2 前項の認定を受けようとする者は、共同して、環境省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事(同項に規定する都道府県知事をいう。以下この条において同じ。)に提出しなければならない。
一 当該二以上の事業者の名称及び住所並びに代表者の氏名
二 当該二以上の事業者全てについての議決権保有割合(一の事業者が保有する他の事業者の議決権の数を当該他の事業者の総株主の議決権の数で除して得た割合をいう。)に関する事項
三 当該二以上の事業者に係る産業廃棄物の収集、運搬又は処分の実施体制に関する事項
四 その他環境省令で定める事項
3 都道府県知事は、第一項の認定を受けようとする者が同項各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認定をするものとする。
4 第一項の認定を受けた者のうちいずれか一の事業者の事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物についての第十一条第一項、第十二条第一項から第八項まで、同条第十三項において読み替えて準用する第七条第十五項及び第十二条第十三項において準用する第七条第十六項、第十二条の二第一項から第八項まで、同条第十四項において読み替えて準用する第七条第十五項及び第十二条の二第十四項において準用する第七条第十六項、第十二条の三第一項から第八項まで、第十二条の五第一項から第七項まで、第十項及び第十一項、前条、第十四条第一項ただし書、第六項ただし書及び第十六項ただし書並びに第十四条の四第一項ただし書、第六項ただし書及び第十六項ただし書の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、当該認定を受けた者のうち他の事業者もまたその事業活動に伴い当該産業廃棄物を生じた事業者とみなす。
5 第一項の認定を受けた者のうちいずれか一の事業者の事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物についての第十八条第一項、第十九条第一項、第十九条の三(第一号及び第三号を除く。)、第十九条の五第一項、第十九条の六第一項及び第十九条の八の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、当該認定を受けた者を一の事業者とみなす。
6 第一項の認定を受けた者のうちいずれか一の事業者に関する次の各号に掲げる規定の適用については、当該認定を受けた者のうち他の事業者についても、当該各号に定める者とみなす。
一 第七条第五項第四号及び第十項第四号(これらの規定を第七条の二第二項において準用する場合を含む。)、第八条の二第一項第四号(第九条第二項並びに第九条の五第二項及び第九条の六第二項(これらの規定を第十五条の四において読み替えて準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)、第十四条第五項第二号及び第十項第二号(これらの規定を第十四条の二第二項において準用する場合を含む。)、第十四条の四第五項第二号及び第十項第二号(これらの規定を第十四条の五第二項において準用する場合を含む。)並びに第十五条の二第一項第四号(第十五条の二の六第二項において準用する場合を含む。) 申請者
二 第七条の四第一項第一号から第四号まで 一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者
三 第九条の二の二第一項第一号 第八条第一項の許可を受けた者
四 第十四条の三の二第一項第一号から第四号まで(第十四条の六において準用する場合を含む。) 第十四条第十二項に規定する産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者(第十四条の六において準用する場合にあつては、第十四条の四第十二項に規定する特別管理産業廃棄物収集運搬業者又は特別管理産業廃棄物処分業者)
五 第十五条の三第一項第一号 第十五条の二第五項に規定する産業廃棄物処理施設の設置者
7 第一項の認定を受けた者は、第二項各号に掲げる事項の変更をしようとするときは、共同して、環境省令で定めるところにより、都道府県知事の認定を受けなければならない。ただし、その変更が環境省令で定める軽微な変更であるときは、この限りでない。
8 第三項の規定は、前項の変更の認定について準用する。
9 第一項の認定を受けた者は、第七項ただし書の環境省令で定める軽微な変更をしたときは、共同して、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
10 都道府県知事は、第一項の認定を受けた者が同項各号のいずれかに適合しなくなつたと認めるとき、又は当該認定を受けた者が第七項若しくは前項の規定に違反したときは、当該認定を取り消すことができる。
11 前各項に規定するもののほか、第一項の認定及び第七項の変更の認定に関し必要な事項は、政令で定める。
(地方公共団体の処理)
第十三条 第十一条第二項又は第三項の規定により市町村又は都道府県がその事務として行う産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準は、産業廃棄物処理基準(特別管理産業廃棄物にあつては、特別管理産業廃棄物処理基準)とする。
2 都道府県又は市町村は、産業廃棄物の処理施設の設置その他当該都道府県又は市町村が行なう産業廃棄物の収集、運搬及び処分に要する費用を、条例で定めるところにより、徴収するものとする。
第二節 情報処理センター及び産業廃棄物適正処理推進センター
第一款 情報処理センター
(指定)
第十三条の二 環境大臣は、一般社団法人又は一般財団法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、情報処理センターとして指定することができる。
2 環境大臣は、前項の規定による指定をしたときは、当該情報処理センターの名称、住所及び事務所の所在地を公示しなければならない。
3 情報処理センターは、その名称、住所又は事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を環境大臣に届け出なければならない。
4 環境大臣は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
(業務)
第十三条の三 情報処理センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一 第十二条の五第一項及び第二項の規定による登録、同条第三項及び第四項の規定による報告並びに同条第五項及び第十項の規定による通知に係る事務(次号において「登録報告事務」という。)を電子情報処理組織により処理するために必要な電子計算機その他の機器を使用し、及び管理すること。
二 登録報告事務を電子情報処理組織により処理するために必要なプログラム、データ、ファイル等を作成し、及び保管すること。
三 第十二条の五第八項の規定による記録及び保存並びに同条第九項の規定による報告を行うこと。
四 前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(業務規程)
第十三条の四 情報処理センターは、前条各号に掲げる業務(以下「情報処理業務」という。)を行うときは、その開始前に、情報処理業務の実施方法、利用料金に関する事項その他の環境省令で定める事項について情報処理業務に関する規程(以下「業務規程」という。)を定め、環境大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 環境大臣は、前項の認可をした業務規程が情報処理業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、その業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
(事業計画等)
第十三条の五 情報処理センターは、毎事業年度、環境省令で定めるところにより、情報処理業務に関し事業計画書及び収支予算書を作成し、環境大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 情報処理センターは、環境省令で定めるところにより、毎事業年度終了後、情報処理業務に関し事業報告書及び収支決算書を作成し、環境大臣に提出しなければならない。
(業務の休廃止)
第十三条の六 情報処理センターは、環境大臣の許可を受けなければ、情報処理業務の全部又は一部を休止し、又は廃止してはならない。
(秘密保持義務)
第十三条の七 情報処理センターの役員若しくは職員又はこれらの職にあつた者は、情報処理業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
(帳簿)
第十三条の八 情報処理センターは、環境省令で定めるところにより、帳簿を備え、情報処理業務に関し環境省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。
(報告及び立入検査)
第十三条の九 環境大臣は、情報処理業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、情報処理センターに対し、情報処理業務若しくは資産の状況に関し必要な報告をさせ、又はその職員に、情報処理センターの事務所に立ち入り、情報処理業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(監督命令)
第十三条の十 環境大臣は、この款の規定を施行するために必要な限度において、情報処理センターに対し、情報処理業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
(指定の取消し等)
第十三条の十一 環境大臣は、情報処理センターが次の各号のいずれかに該当するときは、第十三条の二第一項の規定による指定(以下この条において単に「指定」という。)を取り消すことができる。
一 情報処理業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるとき。
二 指定に関し不正の行為があつたとき。
三 この款の規定若しくは当該規定に基づく命令若しくは処分に違反したとき、又は第十三条の四第一項の認可を受けた業務規程によらないで情報処理業務を行つたとき。
2 環境大臣は、前項の規定により指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。
第二款 産業廃棄物適正処理推進センター
(指定)
第十三条の十二 環境大臣は、事業者による産業廃棄物の適正な処理の確保を図るための自主的な活動を推進することを目的とする一般社団法人又は一般財団法人であつて、次条に規定する業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、全国を通じて一個に限り、産業廃棄物適正処理推進センター(以下「適正処理推進センター」という。)として指定することができる。
(業務)
第十三条の十三 適正処理推進センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
一 事業者に対し、産業廃棄物の処理の方法及び体制の点検又は改善のために必要な助言又は指導を行うこと。
二 産業廃棄物収集運搬業者、産業廃棄物処分業者等に関する情報を収集し、事業者に対し提供すること。
三 産業廃棄物の適正な処理に関し、事業者及びその従業員に対して研修を行うこと。
四 産業廃棄物の適正な処理の確保に資する啓発活動及び広報活動を行うこと。
五 産業廃棄物が不適正に保管、収集、運搬又は処分された場合において、第十九条の八第一項の規定による支障の除去等の措置を行う都道府県等に対し、当該産業廃棄物の撤去等の実施、資金の出えんその他の協力を行うこと。
六 前各号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
(産業廃棄物処理業の許可等の特例)
第十三条の十四 適正処理推進センター又はその委託を受けた者は、第十九条の九の規定による協力の求めに応じ、産業廃棄物の撤去等を行うときは、第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の規定にかかわらず、これらの規定による許可を受けないで、当該撤去等に必要な行為を業として実施することができる。
2 適正処理推進センターは、前項に規定する行為を他人に委託する場合には、政令で定める基準に従わなければならない。
(基金)
第十三条の十五 適正処理推進センターは、第十三条の十三各号に掲げる業務に関する基金を設け、これらの業務に要する費用に充てることを条件として事業者等から出えんされた金額の合計額をもつてこれに充てるものとする。
2 環境大臣は、前項に規定する基金への出えんについて、事業者等に対し、必要な協力を求めるよう努めるものとする。
(準用)
第十三条の十六 第十三条の二第二項から第四項まで、第十三条の五、第十三条の十及び第十三条の十一の規定は、適正処理推進センターについて準用する。この場合において、第十三条の五、第十三条の十及び第十三条の十一第一項第一号中「情報処理業務」とあるのは「第十三条の十三各号に掲げる業務」と、同項第三号中「若しくは当該」とあるのは「又は当該」と、「違反したとき、又は第十三条の四第一項の認可を受けた業務規程によらないで情報処理業務を行つたとき」とあるのは「違反したとき」と読み替えるものとする。
第三節 産業廃棄物処理業

以下略

   「法令全集」より

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1744年(延享元)江戸時代中期の思想家・石門心学の祖石田梅岩の命日(新暦10月29日)詳細
1877年(明治10)薩摩藩士・軍人・政治家西郷隆盛が西南戦争に敗れ、城山で自刃する詳細
1901年(明治34)歴史学者服部之総の誕生日詳細
1945年(昭和20)GHQが「政府からの報道の分離の件」(SCAPIN-51)を出す詳細
1966年(昭和41)熊本県の天草五橋(パールライン)が開通した日詳細
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 今日は、安土桃山時代の1557年(天正5)に、手取川の戦いで、上杉謙信軍が織田信長軍に大勝した日ですが、新暦では11月3日となります。
 手取川の戦い(てどりがわのたたかい)は、上杉謙信軍と織田信長軍による加賀国・手取川周辺(現在の石川県白山市湊町)で起きた戦いのことでした。この当時、越前国北ノ庄(現在の福井県福井市)を統治していたのは、織田信長の重臣・柴田勝家でしたが、1576年(天正4)に、勝家は加賀国(現在の石川県)へ「加賀一向一揆衆」の鎮圧のため侵攻を開始します。
 この動きに呼応して、上杉謙信は、織田軍を迎撃するため、越中国から進軍しました。能登国と越中国を結ぶ要所にある七尾城主・畠山氏の重臣だった長続連は、1557年(天正5)閏7月に、使者として三男長連龍をを安土城に派遣して織田信長に援軍を要請、信長は柴田勝家を総大将とする4万の軍勢の派遣を決定し、8月8日に織田軍は北国に向けて出陣します。
 しかし、9月15日には、七尾城において長続連が実権を握る事に不満を抱いていた遊佐続光、温井景隆ら親上杉派が内応して謀反、長続連をはじめとする長一族は皆殺しとなり、七尾城は落城してしまいました。9月17日に上杉方は加賀と能登間に立地する末森城を攻略し、山浦国清と斎藤朝信を配します。
 柴田勝家率いる織田軍は七尾城落城を知らないまま進軍を続け、9月23日には、織田軍が手取川を渡河したところで、上杉謙信軍と激突し、織田軍は1,000人余りの戦死傷者と増水した手取川で多数の溺死者を出して大敗を喫しました。その後、上杉謙信は越前丸岡城下坂井郡に進出し、9月26日には七尾城に帰陣し普請に着したとされます。
 10月3日に、柴田勝家らは、御幸塚の城塞に佐久間盛政、大聖寺城に柴田勝家の手勢を残し、加賀から帰還しました。

〇上杉謙信(うえすぎ けんしん)とは?

 戦国時代から安土桃山時代に活躍した武将・戦国大名です。1530年(享禄3)1月21日に、越後守護代の父・長尾為景の四男(母・長尾顕吉の娘)として生まれましたが、幼名は虎千代と言いました。1536年(天文5)に、父・為景が隠居し、兄・晴景が家督を継ぎましたが、1542年(天文11)には、父・為景が亡くなっています。
 1543年(天文12)8月15日 元服して長尾景虎と名乗り、9月には兄・晴景の命を受け、古志郡司として春日山城を出立して三条城、次いで栃尾城に入りました。1548年(天文17)に、守護上杉定実の仲介で、兄・晴景の養子となる形で春日山城主となり、1551年(天文20)には、義兄の長尾政景をも陰謀で倒して、上・中越地方の統一を実現します。
 1552年(天文21)、関東管領上杉憲政は北条氏康に攻められ、景虎を頼って、越後国へ逃亡してきたので、それを助けて関東に出兵しました。1553年(天文22)に、武田信玄との第一次川中島の戦いが起こりますが、その後11年にわたり好敵手として、第五次まで断続して戦います。
 一方、1553年(天文22)に、初めて上洛して後奈良天皇や室町幕府第13代将軍足利義輝に拝謁し、翌年には、北条氏康・今川義元と甲相駿三国同盟が結ばれました。1559年(永禄2)に再度上洛し、将軍足利義輝に謁見、正親町天皇から従五位下弾正少弼に任ぜられ、翌年には、北陸にも進出し、一向一揆との戦いが始まります。
 1561年(永禄4)に、北条氏を小田原の本城まで追い詰めますが破れず撤退するものの、翌年には上杉憲政から譲られて関東管領となり、上杉氏を名乗りました。1569年(永禄12)に、北条氏康に請われて上野一国の割譲と氏康の子三郎氏秀の入嗣を条件に講和、翌年には入道して謙信と名乗ります。
 1572年(元亀3)に、織田信長との同盟を機に越中を平定、1577年(天正5)には、七尾城を陥落させ、能登を手中とし、手取川の戦いでも織田軍を破りました。しかし、1578年(天正6)3月13日に、越後春日山城内で、数え年49歳で亡くなっています。

☆手取川の戦い関係略年表(日付は旧暦です)

<1577年(天正5)>

・5月 畠山軍によって上杉軍が前年に奪っていた冨木・熊木の両城が落とされる
・7月18日 畠山氏の重臣だった長綱連が穴水城を攻め、乙ヶ崎合戦で大勝する
・閏7月 謙信は再び能登に侵攻したため、長綱連は七尾城に撤退する
・閏7月23日 織田信長は長続連の使者が安土城に派遣されて、援軍の派遣を決定、柴田勝家を総大将とする4万の軍勢とする
・8月8日 織田軍は北国に向けて出陣する
・9月15日 長続連が実権を握る事に不満を抱いていた遊佐続光、温井景隆ら親上杉派が内応して謀反、長続連をはじめとする長一族は皆殺しとなり、七尾城は落城する
・9月17日 上杉方は加賀と能登間に立地する末森城を攻略し、山浦国清と斎藤朝信を配する
・9月23日 手取川の戦いにおいて上杉謙信軍と織田信長軍が激突し、織田軍は1,000人余りの戦死傷者と増水した手取川で多数の溺死者を出して大敗を喫する
・9月26日 上杉謙信は七尾城に帰陣し普請に着く
・9月25日 能登珠洲郡の松波城将の松波義親、上杉謙信と戦って死ぬ
・10月3日 柴田勝家らは、御幸塚の城塞に佐久間盛政、大聖寺城に柴田勝家の手勢を残し、加賀から帰還する
・10月25日 謙信は、能登各城に鰺坂長実・遊佐盛光連署による、十三箇条の制札を掲げる

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

785年(延暦4)長岡京造営中に、藤原種継暗殺事件が起きる(新暦10月30日)詳細
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 今日は、昭和時代前期の1945年(昭和20)に、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が「公衆衛生対策に関する覚書」(SCAPIN-48)を指令した日です。
 「公衆衛生対策に関する覚書」(こうしゅうえいせいにかんするおぼえがき)は、昭和時代前期の太平洋戦争敗戦後の連合国軍占領下で、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)によって、1945年(昭和20)9月22日に発令された、連合国最高司令官指令第48号「Public Health Measures」(SCAPIN-48)のことでした。戦後、外地からの引き上げが続き、第一に伝染病が恐れられ、その防疫対策に関することを主としたものです。
 内容は、疾病蔓延状況や医療機関の再開と共に医療(公衆衛生)関係従事者の状況等、長引いた戦時下における公衆衛生の疲弊状況の把握を第一に、伝染病防疫対策の実施、上下水道・汚物処理施設の復旧等々が示されていました。これを受けて、厚生省内に社会局(保護課・福利課・住宅課)、健民局に母子課が設置されます。
 一方、PHW局長サムスと看護課長オルトは占領任務を具現化するため、医療施設や保健所、結核療養所、看護婦養成施設などを来訪し、日本の医療、看護の現状をつぶさに視察・調査し、関係資料を収集して、現況把握に努めました。これらに基づいて、1947年(昭和22)の「保健所法」の全面改正のもとに、保健所を第一線として、戦前からの課題である母子衛生・結核対策をその主な柱として展開されることとなります。
 以下に、「公衆衛生対策に関する覚書」(SCAPIN-48)の英語版原文と日本語訳、現代語訳を掲載しておきますので、ご参照下さい。
 
〇「公衆衛生対策に関する覚書」 (全文) 1945年(昭和20)9月22日GHQ指令

<英語版原文>

OFFICE OF THE SUPREME COMMANDER 
 FOR THE ALLIED POWERS

 AG 710 (22 Sep 45) MG       APO 500 
(SCAPIN-48)          22 September 1945.

 MEMORANDUM FOR:THE IMPERIAL JAPANESE GOVERNMENT.
 THROUGH:Central Liaison Office, Tokyo.
 SUBJECT:Public Health Measures.

 The Supreme Commander for the Allied Powers directs that the Imperial Japanese Government take the following action: 

 1. An immediate survey by agencies of the Japanese Ministry of Health and Welfare to determine: 
a. Disease prevalence in each prefecture. 
b. Medical, dental, veterinary and public health personnel available in each prefecture. 
c. Hospital facilities, medical, veterinary and sanitary supplies present in each area with a comment in each instance as to its adequacy. 
d. The adequacy of laws and regulation of the indigenous Japanese Public Health and Welfare authorities to meet current requirements. 

 2. Immediately inaugurate such measures as: 
a. Weekly reports of communicable diseases by prefecture. 
b. Examination, detention or hospitalization of cases or suspected cases of communicable disease. 
c. Immunization, disinfectation and control of any disease which would be likely to seriously affect civilian health. 

 3. Restore all public water supply, sewerage system and other human waste disposal means to the maximum civilian capacity with the least practicable delay through the use of civilian resources and labor. 

 4. Reopen or continue in operation civilian hospitals, sanatoria, leprosaria and clinics for use of indigenous population as rapidly as conditions permit or require. Where civilian hospital space is inadequate, a survey of schools or other buildings will be made to locate facilities which are suitable to be used as emergency hospitals and these buildings so designated. 

 5. All civilian (wholesale) and Japanese Military and Naval medical, dental, veterinary, sanitation supplies and military foodstuffs will be distributed through indigenous Japanese agencies in accordance with Military Occupational control plans on recommedation to the Supreme Commander for the Allied Powers for their conservation and distribution. 

 6. Inaugurate port quarantine control in cooperation with United States Naval Forces. Port quarantine will be established by Japanese civilian control. 

 7. Reopen or continue in operation civilian laboratory facilities for public health work, for clinical diagnosis, and for the manufacture of sera and vaccines. 

 8. Expedite the reporting and analysis of vital statistics data in accordance with policies established by the Supreme Commander for the Allied Powers. 

 9. Place special emphasis on adequate measures for the control of all venereal diseases occurring in indigenous Japanese personnel. This will be accomplished by using existing Japanese agencies.

     FOR THE SUPREME COMMANDER:
                /s/ Harold Fair 
                /t/ HAROLD FAIR, 
                  Lt. Col.,AGD 
              Asst. Adjutant General 

  「国立国会図書館デジタルコレクション」より
 
<日本語訳>

 公衆衞生對䇿ニ關スル覺書

一九四五年九月二二日

聯合國最高司令官ハ日本政府ニ對シ左ノ措置ヲ執ルコトヲ指令ス

一、 厚生省ハ直チニ左ノ事項ヲ調査スベシ 
(イ) 各府縣ニ於ケル疾病蔓延狀況 
(ロ) 各府縣ニ於ケル醫師、齒科醫師、獸醫師及公衆衞生關係者ノ數 
(ハ) 各府縣ニ於ケル病院施設、醫療施設、獸醫關係施設及衞生施設ノ個々ニ關シ其ノ適不適ノ狀況 
(ニ) 從來ノ日本ノ公衆衞生關係法規ガ現在ノ要求ヲ充スニ適當ナリヤ否ヤノ狀況

二、 直チニ左ノ措置ヲ執ルベシ 
(イ) 各府縣每ノ傳染病ノ週間報吿 
(ロ) 傳染病患者及其ノ疑似患者ノ檢診ノ隔離及入院 
(ハ) 一般民衆ノ健康ニ對シ著シク影響ヲ有スルト思惟セラルル疾病ニ對スル豫防注射、昆虫驅除及撲滅策

三、 上水道、下水道及汚物處理施設ヲ軍以外ノ資材及勞力ヲ使用シテ出來得ル限リ速カニ復舊スベシ

四、 軍以外ノ病院、結核療養所癩療養所及診療所ヲ出來得ル限リ速カニ再開シ又ハ繼續スベシ。病院施設不足ノ場合ニハ應急病院トシテ利用シ得ベキ學校其ノ他ノ建築物ヲ調查スベシ。

五、 軍以外及陸海軍ノ總テノ醫療資材、齒科醫資材、獸醫資材、衞生資材及軍ノ食糧ハ其ノ保有及分配ニ關シ聯合國最高司令官ニ提言セラレタル占領管理方針ニ從ヒ從來ノ日本ノ機關ヲ通ジテ配給サルベシ。

六、 米海軍ト協力シテ海港檢疫ヲ爲スベシ。海港檢疫ハ日本軍以外ノ管理ニ依リ設置セラルベシ。

七、 公衆衞生關係、臨床診斷關係及血淸、ワクチン製造關係ノ軍以外ノ硏究所ノ業務ヲ再開シ又ハ繼續スベシ。

八、 聯合國最高司令官ニ依リ樹立セラレタル方針ニ從ヒ速カニ衞生統計ノ報吿及解說ヲ爲スベシ。 

九、 日本國民ノ花柳病撲滅ニ特ニ努力スベシ。本事業ハ旣存ノ日本ノ機關ニ依リ爲スベシ。 

  『日本管理法令研究』第2巻より
 
<現代語訳>

連合国軍最高司令官の事務所

(SCAPIN-48)         1945年9月22日

覚書:大日本帝国政府。
経由:東京中央連絡事務所。
件名:公衆衛生対策。

連合国軍最高司令官は、日本帝国政府が次の行動を取るように指示する。

1.厚生労働省の機関による、以下を決定するための即時調査。
a.各都道府県の疾病有病率。
b.各都道府県で医師、歯科医師、獣医師、公衆衛生の担当者の数。
c.病院施設、医療施設、獣医関係施設、衛生施設が各エリアにあり、それぞれの場合にその妥当性についてのコメント。
d.現在の要件を満たすための日本住民の公衆衛生福祉当局の法律と規制の適切性。

2.次のような措置を直ちに開始すること。
a.都道府県別の伝染病の週報。
b.伝染病の症例または疑わしい症例の検査、隔離または入院。
c.民間人の健康に深刻な影響を与える可能性のある病気の予防接種、消毒、および管理。

3.すべての公共水道、下水道システム、およびその他のし尿処理手段を民間の資源と労働力の使用による、出来る限り速やかな復旧。

4.民間病院、結核療養所、ハンセン病療養所、診療所を条件が許す限り迅速に、住民が利用できるように再開するか、運営を継続する。民間病院の施設が不足している場合は、学校やその他の建物を調査して、救急病院として使用するのに適した施設として指定するべき建物を見つけること。 

5.すべての民間(卸売)および日本陸軍および海軍の医療資材、歯科資材、獣医資材、衛生用品、および軍の食糧は、その保有と分配に関して、連合国軍最高司令官の勧告に関する軍事占領管理計画に従って、従来の住民の日本の機関を通じて配給される。

6.米国海軍と協力して港湾検疫管理を開始すること。港湾検疫は、日本の文民統制によって確立すること。 

7.公衆衛生業務、臨床診断、および血清とワクチンの製造のための民間研究施設を再開するか、運用を継続すること。

8.連合国軍最高司令官によって確立された方針に従って、速やかに衛星統計データの報告と分析をすること。 

9.日本国民に発生するすべての性感染症を管理するための適切な対策に特に重点を置く。これは、既存の日本の機関を使用して実現すること。

   最高司令官に代わり:
       / S /ハロルド・フェア
       / T /ハロルド・フェア、
           陸軍中佐、AGD 
           副司令官

 ※英語版原文から筆者が訳しました。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1311年(応長元)鎌倉幕府第10代執権北條師時の命日(新暦11月3日)詳細
1868年(明治元)戊辰戦争で鶴ヶ城が開城され、会津藩が新政府軍に降伏する(新暦11月6日)詳細
1945年(昭和20)GHQが「日本に与うる放送遵則(ラジオコード)」(SCAPIN-43)を出す詳細
1968年(昭和43)第3宮古島台風により宮古島で最大瞬間風速79.8mを記録する詳細
1980年(昭和55)文芸評論家・音楽評論家河上徹太郎の命日詳細
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Shoupkankoku01
 今日は、昭和時代中期の1950年(昭和25)に、シャウプ使節団(第二次)の正式報告書全文(第二次シャウプ勧告)が出された日です。
 シャウプ勧告(しゃうぷかんこく)は、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の要請によって来日したコロンビア大学教授 C.シャウプを団長とする使節団(7名)が日本の租税制度に関して行なった勧告で、正式名称は、「Reporton Japanese Taxation by the Shoup Misson」(シャウプ使節団日本税制報告書)といいました。この使節団は、昭和時代中期の1949年(昭和24)4月7日~6月19日に来日し、4ヶ月弱に及ぶ、政府、地方自治体の財政担当者、学者との懇談や全国各地の視察など各種調査後、同年8月27日付で、第一次報告書(概要)が出され、9月15日にGHQが第一次報告書(全文)を発表します。
 翌年8月に、シャウプ使節団(第二次)が再来日し、9月21日付で、第二次の正式報告書(全文)が出されました。その内容は、税制の抜本的改革を示し、直接税中心主義の徹底(所得税は徹底した総合課税とし、富裕税・再評価税の新設等)、地方財政の強化(地方税の独立税化等)、申告納税制の採用(青色申告・予定申告等)などを内容とし、一貫した租税体系として提案されています。
 この背景には、ドッジ・ラインによる日本経済の安定化に対応して、恒久的な租税制度の確立を目指すことがあり、その後の日本の税制の原点となりました。1950年(昭和25)の税制改革で、国税・地方税などに採用されましたが、その過程で大資本家の意向や政治家の介入などにより、勧告と異なる内容になったものもあります。

〇日本税制使節団(シャウプ使節団)のメンバー

・カール・S・シャウプ:コロンビア大学商学部教授兼政治学部大学院教授(税制使節団長)
・ウィリアム・ヴィックリー:コロンビア大学経済学部大学院教授(1996年ノーベル経済学賞受賞者)
・ウィリアム・C・ウォレン:コロンビア大学法科大学院教授
・ハワード・R・ボーエン:イリノイ大学商業・経営経済学部長
・スタンレー・S・サリー:カリフォルニア大学法学部教授
・ジェローム・B・コーエン:ニューヨーク市立単科大学経済学部教授
・ローランド・F・ハットフィールド:セント・ポール収税庁、税制調査局長

☆シャウプ使節団(第一次・第二次)関係略年表

<1949年(昭和24)>

・4月1日 GHQが5月初旬にシャウプ博士ほか6名からなる税制使節団(第一次)来日を発表する
・4月7日 使節団員ジェローム・B・コーエンが来日する
・4月28日 農林省農業改良局、NRSに対し、農民負担に関する諸資料を提出する
・5月10日 シャウプ博士、ヴィックリ一博士、ハットフィールド氏が来日する
・5月29日 農家の税負担の軽減につき、来週早々、森農相、片桐次官、シャウプ使節団と会見のうえ、要望書を手渡す予定と、「東京新聞」が報道する
・6月初旬 農林省、農林漁業の課税負担の現状とその改正に関する要望を、シャウプ使節団へ提出する
・6月11日 日本農民組合総本部、シャウプ使節団に対し、税制改革に関する意見書を作成、スタンレー・S・サリー氏が来日する
・6月12日 ハワード・R・ボーエン氏が来日する
・6月19日 ウイリアム・C・ウオーレン氏が来日する
・6月25日 農業復興会議現行税制改革に関する意見を表明、近くシャウプ使節団に提出する予定と、「東京新聞」、「日本経済新聞」が報道する
・7月14日 過重と不均衡にあえいでいる農村課税に対するシャウプ使節団の考え方(源泉課税方式の採用等)を、農林省へ示唆する
・7月15日 農林省関係者、シャウプ税制使節団に対し、源泉課税・徴収に対する意見等を要望する
・7月16日 GHQ/NRS、農林省に対し供出代金につき源泉課税徴収案内示ありたることを「時事新報」が報道する
・7月21日 大蔵省主税局、NRS提案にかかる農業所得税の賦課徴収計画概要に対し、意見を表明する
・7月22日 農林省、源泉徴収は回避、農家所得課税につき、第1案、第2案を呈示のうえ折衝と「毎日新聞」報道用
・8月26日 シャウプが内外記者団と会見、その概要を発表して、帰国する
・8月27日 第一次報告書(概要)が出される
・9月15日 GHQが第一次報告書(全文)を発表する

<1950年(昭和254)>

・8月 シャウプ使節団(第二次)が再来日する
・9月21日 第二次の正式報告書(全文)が出される
・税制改革で、シャウプ勧告が国税・地方税などに採用される

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1874年(明治7)日本画家菱田春草の誕生日詳細
1934年(昭和9)室戸台風が京阪神地方を直撃し、死者・行方不明者3,036人が出る詳細
1943年(昭和18)東条英機内閣において、「現情勢下ニ於ケル国政運営要綱」が閣議決定される詳細
1954年(昭和29)実業家・養殖真珠の創始者御木本幸吉の命日詳細
1968年(昭和43)小説家・評論家広津和郎の命日詳細
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