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 今日は、昭和時代前期の1942年(昭和17)に、関門トンネルが開通し、最初の試運転列車が通過した日です。
 関門トンネル(かんもんとんねる)は、山陽本線が関門海峡を横断する下関駅~門司駅間にある、日本最初の海底鉄道トンネルで、関門鉄道トンネルとも呼ばれてきました。産業経済の発達による輸送力増強と軍事的要請のため、1936年(昭和11)に着工、突貫工事で建設を進め、1939年(昭和14)4月19日に貫通、8月5日に完成(全長3,614m)します。
 1942年(昭和17)6月11日に、最初の試運転列車が通過、7月1日に貨物列車用に開通、11月15日に旅客列車用にも開通し、当初は単線での供用(後に下り線)を行いました。上り線トンネルは、1940年(昭和15)に着工決定、1944年(昭和19)8月8日に開通(全長3,605m)し、下り線から上り線に列車を移したうえで下り線トンネルの改修工事を行って、9月9日から複線での運転が開始されます。
 国鉄技術陣を総動員して、地質軟弱箇所に対応し、日本最初のシールド工法、開削工法、潜函工法、圧気工法など各種工法を採用して、悪地質を克服しました。1,140mが海底の部分で、最急勾配25‰、当初から直流電化で開業しています。
 その後関門海峡には、1958年(昭和33)に、関門国道トンネル(全長3,461m)、1975年(昭和50)には、東海道・山陽新幹線の新関門トンネル(全長18,713m)が開通しました。

〇鉄道トンネル(てつどうとんねる)とは?

 鉄道を通すために、山腹や地下などを掘り貫いた通路のことで、隧道(ずいどう)とも呼ばれています。日本の鉄道トンネルの第1号は、東海道本線の大阪~神戸間に、明治時代前期の1871年(明治4)に完成した石屋川トンネル(延長61m)で、イギリスからのお雇い外国人の設計によるものでした。
 1880年(明治13)には、東海道本線の大津市内にあった逢坂山トンネル(延長665m)を日本人の独力により建設します。その後、1884年(明治17)には、北陸本線の滋賀県と福井県の県境に柳ヶ瀬トンネル(延長1,320m)を完成させました。
 地形が急峻で、火山の多い国土で、軟弱地盤のある中で、トンネル技術の改良研究が発達していき、1903年(明治36)には、笹子トンネル(延長4,656m)、1931年(昭和6)には、清水トンネル(延長9,702m)、1934年(昭和9)には、丹那トンネル(延長7,804m)、1944年(昭和19)には、関門トンネル(延長3,614m)などが続々と掘削されます。また、太平洋戦争後になると、1962年(昭和37)に、北陸本線の北陸トンネル(延長13,870m)、1972年(昭和47)に、山陽新幹線の六甲トンネル(延長16,250m)、1980年(昭和55)に、上越新幹線の大清水トンネル(延長22,221m)などの長大トンネルが次々と建設されました。
 その頂点に立つのが1988年(昭和63)に開通した青函トンネル(延長53,850m)で、このトンネルは、鉄道トンネルとして世界第2位の長さ、海底トンネルとしては、世界一の長さと深さを保っています。

〇同じ日の過去の出来事(以前にブログで紹介した記事)

1615年(慶長20)武将・大名・茶人・織部流茶道の祖古田重然(織部)が豊臣方内通の罪に問われ自刃する(新暦7月6日)詳細
1873年(明治6)「国立銀行条例」に基づき、第一国立銀行(現在のみずほ銀行)が設立される(国立銀行設立の日)詳細
1951年(昭和26)「産業教育振興法」が公布される詳細
1969年(昭和44)「東京国立近代美術館」(現在の本館)が開館する詳細
1975年(昭和50)考古学者宮坂英弌の命日詳細