今日は、昭和時代前期の太平洋戦争下の1943年(昭和18)に、日本と南京政府により、「日華共同宣言」と「租界還付及治外法権撤廃等に関する日本国中華民国間協定」(日華新協定)が調印・公布された日です。
日華共同宣言 (にっかきょうどうせんげん)は、中国の南京において、日本の重光葵全権大使と中国の南京政府の汪兆銘によって署名・公布された共同宣言で、正式には、「戦争完遂についての協力に関する日華共同宣言」と言いました。
太平洋戦争下で、アメリカやイギリス側の反攻が強まる中、1942年(昭和17)12月21日の昭和天皇臨席の第9回御前会議において、「大東亜戦争完遂のための対支処理根本方針」が決定されます。これは、南京政府(汪兆銘政府)の政治力を強化するとともに、重慶の国民政府(蔣介石政府)に対する和平工作は一切行わないとしたものでした。
これを受けて、南京政府(汪兆銘政府)は1943年(昭和18)1月9日に、イギリスとアメリカに宣戦を布告すると共に、この共同宣言が調印・公布されます。これは、両国がアメリカ、イギリスに対する共同の戦争を完遂するために、軍事、政治、経済上完全に協力することを宣言したもので、同時に租界の還付と治外法権の撤廃を約した「租界還付および治外法権撤廃等に関する日華協定」(日華新協定)も調印されました。
そして、同年10月30日には、先の「日華基本条約」を破棄して「日本国中華民国間同盟条約」を締結し、形式的には、南京政府(汪兆銘政府)は、日本と対等の地位を得ることとなります。これに対して、アメリカ、イギリス両国は、重慶の国民政府(蔣介石政府)との間に新条約を締結、在華特権を放棄して対処しました。
以下に、「日華共同宣言」と「租界還付及治外法権撤廃等に関する日本国中華民国間協定」(日華新協定)を掲載しておきますので、ご参照下さい。
太平洋戦争下で、アメリカやイギリス側の反攻が強まる中、1942年(昭和17)12月21日の昭和天皇臨席の第9回御前会議において、「大東亜戦争完遂のための対支処理根本方針」が決定されます。これは、南京政府(汪兆銘政府)の政治力を強化するとともに、重慶の国民政府(蔣介石政府)に対する和平工作は一切行わないとしたものでした。
これを受けて、南京政府(汪兆銘政府)は1943年(昭和18)1月9日に、イギリスとアメリカに宣戦を布告すると共に、この共同宣言が調印・公布されます。これは、両国がアメリカ、イギリスに対する共同の戦争を完遂するために、軍事、政治、経済上完全に協力することを宣言したもので、同時に租界の還付と治外法権の撤廃を約した「租界還付および治外法権撤廃等に関する日華協定」(日華新協定)も調印されました。
そして、同年10月30日には、先の「日華基本条約」を破棄して「日本国中華民国間同盟条約」を締結し、形式的には、南京政府(汪兆銘政府)は、日本と対等の地位を得ることとなります。これに対して、アメリカ、イギリス両国は、重慶の国民政府(蔣介石政府)との間に新条約を締結、在華特権を放棄して対処しました。
以下に、「日華共同宣言」と「租界還付及治外法権撤廃等に関する日本国中華民国間協定」(日華新協定)を掲載しておきますので、ご参照下さい。
〇「戦争完遂についての協力に関する日華共同宣言」(日華共同宣言)1943年(昭和18)1月9日調印・公布
朕樞密顧問ノ諮詢ヲ經テ裁可シ昭和十八年一月九日南京ニ於テ帝國全權委員ガ中華民國全權委員ト共ニ署名調印シタル戰爭完遂ニ付テノ協力ニ關スル日華共同宣言ヲ茲ニ公布セシム
御名御璽
昭和十八年一月九日
内閣總理大臣兼
陸軍大臣 東條 英機
海軍大臣 嶋田繁太郎
外務大臣 谷 正之
大東亞大臣 青木 一男
條約第一號
戰爭完遂ニ付テノ協力ニ關スル日華共同宣言
大日本帝國政府及中華民國國民政府ハ兩國緊密ニ協力シテ米英両國ニ對スル共同ノ戰爭ヲ完遂シ大東亞ニ於テ道義ニ基ク新秩序ヲ建設シ惹テ世界全般ノ公正ナル新秩序ノ招來ニ貢獻センコトヲ期シ左ノ通宣言ス
大日本帝國及中華民國ハ米國及英國ニ対スル共同ノ戰爭ヲ完遂スル爲不動ノ決意ト信念トヲ以テ軍事上、政治上及経済上完全ナル協力ヲ爲ス
昭和十八年一月九日即チ中華民國三十二年一月九日南京ニ於テ
大日本帝國特命全權大使 重光 葵(印)
中華民國國民政府行政院院長 汪 兆銘(印)
「国立国会図書館デジタルコレクション」より
〇「租界還付及治外法権撤廃等に関する日本国中華民国間協定」1943年(昭和18)1月9日調印・公布
大日本帝國政府及中華民國國民政府ハ本日調印ノ戰爭完遂ニ付テノ協力ニ關スル日華共同宣言ノ本旨ニ從ヒ
中華民國ノ主權尊重ノ趣旨ニ基キ左ノ通協定セリ
第一章 專管租界
第一條 日本國政府ハ現ニ日本國カ中華民國ニ於テ有スル專管租界行政權ヲ中華民國政府ニ還付スヘシ
第二條 兩國政府ハ夫々同數ノ委員ヲ任命シ前條ノ實施ニ關スル細目ヲ協議決定セシムヘシ
第三條 中華民國政府ハ前二條ニ依ル租界還付實施後當該地域ニ於ケル施政ニ當リ日本國臣民ノ居住、營業及福祉等ニ關シ尠クモ從前ノ程度ヲ維持スヘシ
第二章 共同租界及公使館區域
第四條 日本國政府ハ別ニ協議決定セラルル所ニ從ヒ中華民國政府カ成ルヘク速ニ上海共同租界行政權及厦門鼓浪嶼共同租界行政權ヲ回收スルコトヲ承認スヘシ
第五條 日本國政府ハ中華民國政府カ北京公使館區域行政權ヲ速ニ回收スルコトヲ承認スヘシ
第三章 治外法權
第六條 日本國政府ハ現ニ日本國カ中華民國ニ於テ有スル治外法權ヲ速ニ撤廢スルコトニ決シタルニ依リ兩國政府ハ右ニ關スル具體案ヲ審議作成セシムルノ目的ヲ以テ其ノ夫々任命スル同數ノ委員ヨリ成ル專門委員會ヲ設置スヘシ
第七條 中華民國政府ハ日本國ノ治外法權ノ撤廢ニ伴ヒ自國領域ヲ日本國臣民ノ居住營業ノ爲開放スヘク且日本國臣民ニ對シテハ中華民國國民ニ比シ不利益ナル待遇ヲ與ヘサルモノトス
前條ノ專門委員會ハ前項ニ關スル具體案ヲ併セテ考究スヘシ
第八條 本協定ハ署名ノ日ヨリ實施セラルヘシ
右證據トシテ下名ハ各本國政府ヨリ正當ノ委任ヲ受ケ本協定ニ署名調印セリ
昭和十八年一月九日卽チ中華民國三十二年一月九日南京ニ於テ日本文及漢文ヲ以テ本書各二通ヲ作成ス
大日本帝國特命全權大使
重光葵(印)
中華民國國民政府行政院院長
汪兆銘(印)